JP4542409B2 - 骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法 - Google Patents

骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法 Download PDF

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Description

本発明は、骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法に関する。
間葉系幹細胞(MSC)は、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、ストローマ細胞、神経細胞、腱細胞等、様々な細胞への分化能を有しているため、これら細胞からなる組織を再生することができる細胞として知られている。このため、間葉系幹細胞を用いて組織再生や治療を行う試みが多くなされている。
間葉系幹細胞は骨髄液に多く含まれている。しかしながら、骨髄液から採取可能な間葉系幹細胞はごく微量であり、組織の再生に必要な量の間葉系幹細胞を得るためには、骨髄液中の間葉系幹細胞を濃縮してから分離し、間葉系幹細胞を培養することにより増殖させる必要がある。
従来、骨髄液中の間葉系幹細胞を濃縮・分離してから培養する方法としては、採取した骨髄液を遠心した後に、その上澄み液を除去し、残った沈殿部分のみを培養容器に播種する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来の方法においては、培養容器に最初に播種する間葉系幹細胞数を増大させて効率よく培養するという観点から、遠心分離により得られた間葉系幹細胞が濃縮された状態で含有されている沈殿部分のみが着目され、間葉系幹細胞の濃度が極めて低い上澄み部分については廃棄されていた。
特開2004−49142号公報(図1等)
しかしながら、発明者は、研究の結果、この廃棄されていた上澄み部分に自己血清やサイトカイン等の栄養物質が存在しているとの知見を得た。上澄み部分は、元来、骨髄由来間葉系幹細胞とともに骨髄液内に含まれていた物質であるため、これを活用することについては、免疫的な問題や、感染等の問題もなく都合がよい。
この発明は上述した事情に鑑みてなされてものであって、骨髄液を遠心分離または静置沈降することにより高濃度の間葉系幹細胞を含有する沈殿部分から分離された上澄み部分を廃棄することなく有効に活用して骨髄由来間葉系幹細胞の増殖効果を向上し、短期間で多量の骨髄由来間葉系幹細胞を培養・回収することができる骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、骨髄液を上澄みと沈殿とに分画し、前記沈殿を培養容器に播種して行う骨髄由来間葉系幹細胞の初代培養時に、前記分画により得られた上澄みを培地内に添加する骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法を提供する。
本発明によれば、骨髄液を分画した後の沈殿を培養容器内に播種し、所定の培地を供給して初代培養を行うことにより、沈殿内に含まれる骨髄由来間葉系幹細胞が培養容器の底面に接着して成長を開始する。このとき、培地内に分画により得られた上澄みを添加することにより、上澄み内に存在している自己血清やサイトカイン等の栄養物質の作用により、骨髄由来間葉系幹細胞の成長が促進され、上澄みを添加しない場合と比較して、早期に多くの骨髄由来間葉系幹細胞を得ることができる。
また、本発明は、骨髄液を上澄みと沈殿とに分画し、前記沈殿を培養容器に播種して行う初代培養において得られた骨髄由来間葉系幹細胞を異なる培養容器に播種し直して行う継代培養時に、前記分画により得られた上澄みを培地内に添加する骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法を提供する。
本発明によれば、培養容器内において初代培養を行った後に、培養容器の底面に付着して成長した骨髄由来間葉系幹細胞を剥離させて、新たな培養容器に播種し直し、所定の培地を供給して継代培養が行われる。このとき、培地内に、最初の分画により得られた上澄みを添加することにより、上記と同様にして、骨髄由来間葉系幹細胞の成長が促進される。継代培養の場合には、沈殿内に含まれていた赤血球等の不要成分が除去されているため、さらに、効果的に骨髄由来間葉系幹細胞の増殖効率を促進することができる。
上記発明においては、前記上澄みの添加量が、濃度0.1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
また、上記発明においては、前記上澄みの添加量が、濃度1質量%〜5質量%の範囲であることがさらに好ましい。
0.1質量%以上の濃度で上澄み液を添加することにより、骨髄由来間葉系幹細胞の成長促進効果が現れ、添加濃度とともにその効果が向上する。しかしながら、分画により得られる上澄み液の量には個人差があり、その添加濃度には限界がある。そこで、濃度1質量%〜5質量%の範囲で添加することにより、現実的に、成長促進効果を高めることができる。
本発明によれば、骨髄液を分画することにより得られた沈殿のみならず、上澄みを廃棄することなく有効利用することができる。また、沈殿に含まれる間葉系幹細胞の培養に、沈殿から分画された上澄みを用いることにより、免疫や感染等の問題もなく、上澄みに含まれる自己血清やサイトカイン等の栄養物質を利用して、骨髄由来間葉系幹細胞の成長を促進し、早期に多量の骨髄由来間葉系幹細胞を培養し回収することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法について、図1および図2を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法は、図1に示されるように、初代培養S1と、継代培養S2とから構成されている。
初代培養S1は、患者から採取した骨髄液を分離する分画ステップS11と、分画された上澄み液を採取する上清採取ステップS12と、残りの沈殿部分を培養容器に播種する播種ステップS13と、採取された上澄み液の一部を添加する上清添加ステップS14と、所定の培養条件下において培養する培養ステップS15とを含んでいる。
分画ステップS11においては、患者から採取した骨髄液Aは、まず、図2(a)に示される遠心分離容器1に収容される。遠心分離容器1は用いられる遠心分離装置(図示略)に適用したものであればよく、例えば、容量15mlの遠沈管を用いることができる。収容される骨髄液Aの量は特に限定されず、遠心分離容器1及び遠心分離装置の使用において許容される範囲内であればよい。
次に、骨髄液Aを収容した遠心分離容器1は、閉栓後、遠心分離装置の所定の位置に収容される。遠心分離装置としては、細胞分画に通常用いられる遠心分離機を用いることができる。遠心分離容器1を遠心分離装置に収容した後、遠心分離装置を操作して遠心分離容器1を旋回する。
遠心分離装置の回転速度は、骨髄液Aに作用する遠心加速度が100G以上500G以下となる範囲が好ましい。遠心加速度が100G未満では、短時間内に沈殿部分3と上澄み液2とが十分に分画されず、好ましくない。また、遠心加速度が500Gを超えると、細胞が損傷または破壊される場合があるので、好ましくない。
遠心時間は、2分以上30分以下が好ましい。遠心時間が2分未満では、沈殿部分3と上澄み液2とが十分に分画されず、好ましくない。また、遠心時間が30分を超えても時間に見合った分離効果が得られないので、効率および経済性の点から好ましくない。
通常、遠心加速度が大きいほど、遠心時間は短くてよい。例えば、骨髄液Aに作用する遠心加速度が300Gとなる回転速度で遠心を行う場合、遠心時間は5分間でよい。
上記のように骨髄液Aを遠心すると、図2(b)に示すように、遠心分離容器1内の骨髄液は上澄み液2と沈殿部分3とに分画される。
上清採取ステップS12は、上記のようにして遠心分離容器1内において分画された上澄み液2を、例えば、ピペット(図示略)を用いて採取することにより行われる。ピペットによる採取は、ピペットを手で操作してもよく、またロボット等の自動制御された装置を用いて行ってもよい。採取された上澄み液2は所定の容器(図示略)内に収容されて、例えば、4℃で保存される。
上澄み液2と沈殿部分3との界面4から上方の特定範囲、すなわち、上澄み液2の下部には、分画された状態においても比較的多くの間葉系幹細胞が含まれる。このため、できるだけ多くの間葉系幹細胞を採取する目的からすれば、上澄み液2は、界面4近くの特定領域を残して上部だけを採取することにしてもよい。
播種ステップS13は、遠心分離容器1内に残った沈殿部分3をピペット(図示略)を用いて採取し、採取された沈殿部分3を培養容器(図示略)に播種することにより行われる。
播種に際して、採取された沈殿部分3は、間葉系幹細胞が均一になるように、いったん所定の容器(図示略)内で培地と混合される。培地は、例えば、MEM(Minimal Essential Medium:最小必須培地)、FBS(Fetal Bovine Serum:ウシ胎児血清)、抗生剤を、例えば、84:15:1の配合割合で混合したものである。抗生剤は、例えば、ペニシリン系抗生物質である。
このようにして沈殿部分3と培地とを混合して得られた細胞懸濁液は、通常は分割されて複数の培養容器に移される。
上清添加ステップS14は、前記上清採取ステップS12において採取され所定の容器に保存しておいた上澄み液2を、培養容器内に貯留されている細胞懸濁液内にピペットを用いて滴下することにより行われる。
上澄み液2の添加は、0.1質量%〜10質量%濃度となるように行うことが好ましく、1質量%〜5質量%濃度となるように行うことがさらに好ましい。
培養ステップS15は、前記細胞懸濁液に上澄み液2を添加したものを収容した培養容器をインキュベータ(図示略)内に配置して、例えば、37±0.5℃、5%CO濃度に保持することにより行われる。培養容器内においては、間葉系幹細胞が培養容器の底面に付着しながら成長する。そして、培養期間の所定の時期、例えば、1日置きに定期的に培地を交換することにより、間葉系幹細胞の栄養分を補い、また老廃物等の不要分を除去する。
このようにして、10日〜約2週間程度で初代培養S1が終了する。
継代培養S2は、初代培養S1によって培養された間葉系幹細胞を培養容器の底面から剥離し、異なる培養容器に播種し直すことにより行われる。
剥離ステップS21は、具体的には、例えば、トリプシンのような蛋白質分解酵素を培養容器内に供給することにより、間葉系幹細胞を培養容器底面から引き剥がす。この場合、引き剥がされた間葉系幹細胞は、例えば、遠心分離機にかけることによりトリプシン等の他の成分から分離される(分離ステップS22)。
あるいは、上記剥離ステップS21および分離ステップS22に代えて、トリプシンのような蛋白質分解酵素を用いる代わりに、温度応答性培養容器を使用することにして培養容器の底面から間葉系幹細胞を引き剥がしてもよい。
温度応答性培養容器は、その底面に温度応答性高分子ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を共有結合で固定したものである。このような温度応答性培養容器は、その底面が、32℃を境界温度として、それ以上では、市販の細胞用培養容器と同程度の弱い疎水性を呈するが、温度を境界温度以下に冷却することにより高い親水性を呈する。
したがって、培養温度の37℃では、間葉系幹細胞は、疎水性を呈する培養容器の底面に付着して成長するが、培養終了後に、培養容器の温度を32℃以下に冷却することにより、底面を親水性に切り替えて、細胞を容易に剥離させることができる。このようにすることで、蛋白質分解酵素を使用しなくて済むので、細胞を傷つけることなく非侵襲的に回収することができる。
分離された間葉系幹細胞は、初代培養S1における播種ステップS13、上清添加ステップS14ならびに培養ステップS15と同様のステップS23〜S25により培養される。
すなわち、播種に際して、分離された間葉系幹細胞は所定の容器内で培地と混合され、細胞懸濁液として新たな培養容器に分割されて移される(播種ステップS23)。そして、容器に保存しておいた上澄み液を上記と同等の濃度範囲で添加し(上清添加ステップS24(、上記と同様の培養ステップS25を行う。
この場合に、初代培養S1時においては、細胞懸濁液が、骨髄液Aから分画された沈殿部分3を培地と混合することにより構成されていた。このため、細胞懸濁液には、骨髄由来間葉系幹細胞の他、赤血球のように、比重が重いために培養容器の底面付近に配され、骨髄由来間葉系幹細胞の培養容器の底面への接着を阻害する不要成分も含まれていた。継代培養S2時においては、これとは異なり、初代培養S1において成長した骨髄由来間葉系幹細胞自体を分離して培地に混合するので不要成分が含まれていない。このため、骨髄由来間葉系幹細胞は、容易に培養容器の底面に接着して成長を開始し、培地に添加されている上澄み液2によってより効果的にその成長を促進されることになる。
なお、上記の例では、抗生剤として、ペニシリン系抗生物質を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、セフェム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ホスホマイシン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン系等任意の抗生物質を採用することができる。
また、上記の例においては、MEMとFBSと抗生剤との配合割合が、例えば、84:15:1となることとしたが、これに代えて、MEM:FBS:抗生剤=80〜90:5〜10:0.1〜5となるようにしてもよい。
また、培地構成成分を、MEMとFBSと抗生剤の3成分からなるものとして説明したが、これに代えて他の培地構成成分、あるいは、追加の培地構成成分を採用することにしてもよい。特に、成長因子、例えば、サイトカイン、濃縮血小板、BMP、FGF、TGF−β、IGF、PDGF、VEGF、HGFやこれらを複合させたもの等の成長に寄与する物質を培地構成成分として混合することにしてもよい。また、エストロゲン等のホルモン剤や、ビタミン等の栄養剤を混合することにしてもよい。
そして、1回目の継代培養S2が行われた後には、さらに継代培養S2を続けるか否かの判断が行われ(ステップS3)、続ける場合には、剥離ステップS21から再度継代培養S2が繰り返される。
以下、本発明の実施例および比較例によって本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本願の各請求項の範囲において任意に変更可能である。
(実施例1)
患者から骨髄液を採取し、容量15mlの遠沈管に入れた。この遠沈管を遠心分離機に収容し、骨髄液に作用する遠心加速度が300Gとなるように回転速度1500rpmで、5分間遠心した。遠心後、骨髄液は上澄み液と沈殿部分とに分画された。
続いて、上澄み液全体をピペットを用いて採取し、所定の容器に収容した。
次に、遠沈管内の上澄み液が除去された沈殿部分全体をピペットを用いて採取して容器に取り、MEM、FBS、ペニシリン系抗生物質を84:15:1の配合割合で混合した培養培地と混合し、細胞懸濁液を作成した。沈殿部分と培養培地との混合割合は0.5:10とした。
こうして得られた細胞懸濁液を、10ml採取して培養容器に移し、保存しておいた上澄み液を5質量%濃度となるように添加し、37±0.5℃、5%CO濃度のインキュベータで初代培養し、培養8日目と10日目に細胞数を測定した。初代培養において、培地の交換は、細胞数に応じて、週に2〜3回行った。
このようにして2週間にわたり初代培養を行った後に、培養容器内にトリプシンを添加し、培養容器内の骨髄由来間葉系幹細胞を底面から剥離した。剥離した骨髄由来間葉系幹細胞は、容量15mlの遠沈管に入れ、この遠沈管を遠心分離機に収容し、遠心加速度が300Gとなるように回転速度1500rpmで、5分間遠心した。遠心後、骨髄由来間葉系幹細胞はトリプシンから分離され、遠沈管内に沈殿した。ピペットを用いて上澄み液のトリプシンを除去し、遠沈管内に沈殿していた骨髄由来間葉系幹細胞を採取した。
次に、採取した骨髄由来間葉系幹細胞を上記と同様の培養培地と混合し、細胞懸濁液を作成した。沈殿部分と培養培地との混合割合は、初代培養時と同様0.5:10とした。
こうして得られた細胞懸濁液を、10ml採取して培養容器に移し、保存しておいた上澄み液を5質量%濃度となるように添加し、37±0.5℃、5%CO濃度のインキュベータで継代培養し、培養4日目に細胞数を測定した。継代数2の継代培養においても、培地の交換は、細胞数に応じて、週に2〜3回行った。同様にして、継代数4の継代培養における7日目、継代数5の継代培養における7日目の細胞数を測定した。
これらの結果を図3に示す。
また、比較例として、骨髄液の上澄み液を添加しない同様の初代培養および継代培養結果を図3に併せて示す。
図3によれば、初代培養および継代培養の全ての結果において、上澄み液を添加した実施例1の場合の方が、添加しない比較例の場合と比較して、多量の間葉系幹細胞を得ることができたことがわかる。
特に、図3によれば、初代培養におけるよりも、継代培養における上澄み液の添加効果が顕著に現れている。これは、初代培養の場合には、骨髄液から分画した沈殿部分を播種しているために、沈殿部分に含有されている赤血球等の不要成分によって、骨髄由来間葉系幹細胞の容器底面への接着が阻害されているためであると考えられる。これに対して、継代培養の場合には、そのような不要成分が含まれていないために、播種された骨髄由来間葉系幹細胞は容器内面に容易に接着して成長することができ、添加された上澄み液に含有されている栄養物質によって成長を促進されている。その結果、上澄み液を添加しない場合と比較して、上澄み液を添加した場合には、同一の培養条件下において、約1.5倍〜3倍程度の増殖促進を図ることができることがわかった。
(実施例2)
図4および図5に、上澄み液の濃度に対する添加効果を示す。
これらの結果は、上述した実施例1の継代培養において行われたものである。
図4においては、上澄み液を添加しない場合の比較例と、上澄み液を0.1質量%、0.5質量%、1.0質量%、2.5質量%、5.0質量%の濃度でそれぞれ添加した場合において、それぞれ、1週間の継代培養を行った後の細胞数を示している。また、図5は、同様の測定を、上澄み液を0.5質量%、1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%4.0質量%、5.0質量%、6.0質量%、10。0質量%の濃度でそれぞれ添加した場合において、それぞれ1週間の継代培養を行った後の細胞数を示している。
これらの図4,図5によれば、上澄み液の添加効果は、0.1質量%濃度において既に現れ、濃度が高くなっていくほどその効果が上昇していることがわかる。また、図4と図5とでは検体が異なるために同一の結果は現れていないが、0.5質量%濃度の場合には、図4においては添加効果が比較的低く、図5においては比較的高い。一方、1.0質量%濃度の場合には、図4,図5のいずれにおいても比較的高い増殖促進効果が得られている。このことから、0,5質量%濃度では、上澄み液の添加効果は不安定であり、1.0質量%以上であることが好ましいと言える。
一方、上澄み液の濃度の上限については、特に制限がなく、高濃度であればあるほど効果がある。しかし、骨髄液から分画した沈殿部分の中に含まれている間葉系幹細胞の培養に、その分画において得られた上澄み液を使用するという性質上、多量の上澄み液を常に得ることは困難であり、個人差もある。現実的には、5.0質量%濃度程度が安定して実現できる濃度であると言える。
したがって、この実施例2によれば、培地に添加する上澄み液の濃度は、0.1質量%〜10質量%の範囲が好ましく、1.0質量%〜5.0質量%の範囲であることがさらに好ましい。
なお、上記実施形態においては、骨髄由来間葉系幹細胞の培養において上澄み液を添加して培養することについて説明したが、骨髄由来血液幹細胞を培養する際に同様に上澄み液を添加して培養しても同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、分画ステップS11として、遠心分離する場合について説明したが、これに代えて、1時間以上の静置により自然沈降させることにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法を示すフローチャートである。 図1の培養方法の分画ステップにおいて、骨髄液を遠心分離して得られた上澄み液と沈殿部分とを示す図である。 本発明の実施例1における上澄み液の添加効果を示すグラフである。 本発明の実施例2における上澄み液の濃度に対する添加効果を示すグラフである。 図4と同様のグラフである。
符号の説明
A 骨髄液
S1 初代培養
S14,S24 上清添加ステップ
S2 継代培養
2 上澄み液(上澄み)
3 沈殿部分(沈殿)

Claims (4)

  1. 骨髄液を上澄みと沈殿とに分画し、
    前記沈殿を培養容器に播種して行う骨髄由来間葉系幹細胞の初代培養時に、前記分画により得られた上澄みを培地内に添加する骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法。
  2. 骨髄液を上澄みと沈殿とに分画し、
    前記沈殿を培養容器に播種して行う初代培養において得られた骨髄由来間葉系幹細胞を異なる培養容器に播種し直して行う継代培養時に、前記分画により得られた上澄みを培地内に添加する骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法。
  3. 前記上澄みの添加量が、濃度0.1質量%〜10質量%の範囲である請求項1または請求項2に記載の骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法。
  4. 前記上澄みの添加量が、濃度1質量%〜5質量%の範囲である請求項3に記載の骨髄由来間葉系幹細胞の培養方法。
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