JP4538959B2 - 希土類系永久磁石の電気Niめっき方法 - Google Patents

希土類系永久磁石の電気Niめっき方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な組成のNiめっき液を使用して希土類系磁石の表面に均一電着性や緻密性や外観などに優れたNiめっき被膜を形成するための電気Niめっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Nd−Fe−B系永久磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石などの希土類系永久磁石は、高い磁気特性を有しているが、大気中で酸化腐食されやすい金属種(特にR)を含むので、表面処理を行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの影響によって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを招くことになる。さらに、磁気回路などの装置に組み込んだ磁石に錆が発生した場合、錆が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。従って、これらの問題点を回避するために、従来から、該磁石に要求される耐食性を付与すべく電気Niめっきにより、耐食性被膜としてのNiめっき被膜をその表面に形成することが行われている。
希土類系永久磁石の電気Niめっきにおいては、例えば、特開平6−13218号公報に記載されているめっき液のように、ホウ酸を含んだめっき液が広く採用されている。ホウ酸含有Niめっき液は、ホウ酸が優れた緩衝作用を有しており、希土類系永久磁石のめっき処理に適したpH(概ね4〜8)環境を容易に作り出すことができることや、該めっき液を使用して形成されるNiめっき被膜が均一電着性や緻密性や外観などに優れることから、希土類系永久磁石の表面にNiめっき被膜を形成するためのめっき液として最良とされており、また、電流効率や操業性に優れること、薬液コストが低いことといったような利点も有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ホウ酸含有Niめっき液において、ホウ酸の作用を如何なく発揮させるためには、一般的にはホウ酸をめっき液中に30g/l程度含ませることが必要とされている。前記公報に記載されたNiめっき液はホウ酸の含有量が比較的少ないが、それでも実施例に記載されためっき液でホウ酸の含有量が最も少ないものでもその含有量は15g/lである。環境問題への対応が不可欠な近年においては、水質汚濁を防止するためにもめっき液の排水問題への対応が重要課題となっており、ホウ酸含有Niめっき液についても、環境に好ましいとはいえないホウ酸の含有量を低減化させる必要がある。
一方、希土類系永久磁石表面に直接Niめっき被膜を形成する場合、特に、バレル式電気めっきを行う場合、全ての磁石に均一に通電されるまでにNiが置換析出することがある。表面にNiが置換析出した磁石に電気Niめっきを行っても、形成されるNiめっき被膜は均一電着性に劣り、結果として磁石の耐食性に影響を及ぼすことになる。従って、Niめっき被膜形成の効率は維持しつつもめっき液に含まれるNiイオン濃度はできるだけ低減化させる必要がある。
そこで本発明は、新規な組成のNiめっき液を使用して希土類系磁石の表面に均一電着性や緻密性や外観などに優れたNiめっき被膜を形成するための電気Niめっき方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の点に鑑み種々の検討を行った結果、Niめっき液に含まれるNiイオン濃度と塩素イオン濃度の重量比、ホウ酸に代わる緩衝剤の使用とその含有量を調整することにより、Niめっき液中のホウ酸の含有量を低減させても、従来量のホウ酸を含有するNiめっき液を使用して形成されるNiめっき被膜が有する均一電着性や緻密性や外観などの優れた特性を維持したNiめっき被膜を形成することができることやNiの置換析出を抑制して均一電着性に優れたNiめっき被膜を形成することができることを知見した。
【0005】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明の電気Niめっき方法は、請求項1記載の通り、希土類系永久磁石の電気Niめっき方法において、Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)が0.19〜11.4になるような含量でのNiイオンと塩素イオン(但しNiイオンは15g/l〜80g/l、塩素イオンは7g/l〜80g/l)、緩衝剤としてコハク酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.03mol/l〜1.0mol/l、ホウ酸を0〜15g/l、含むめっき液を使用して磁石表面にNiめっき被膜を形成することを特徴とする
た、請求項記載の電気Niめっき方法は、請求項記載の電気Niめっき方法において、前記めっき液がホウ酸を0〜10g/l含むことを特徴とする。
また、請求項記載の電気Niめっき方法は、請求項記載の電気Niめっき方法において、磁石表面に多層めっき被膜層を形成するに際しての第2層目以降にNiめっき被膜を形成するための電気Niめっきであることを特徴とする。
また、請求項記載の電気Niめっき方法は、請求項1記載の電気Niめっき方法において、磁石表面に直接Niめっき被膜を形成するに際しての前記めっき液のNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比が0.19〜4.0であることを特徴とする。
また、請求項記載の電気Niめっき方法は、請求項1乃至のいずれかに記載の電気Niめっき方法において、パルス電解を行いながら電気Niめっきを行うことを特徴とする。
また、請求項記載の電気Niめっき方法は、請求項1乃至のいずれかに記載の電気Niめっき方法において、希土類系永久磁石がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の電気Niめっき方法は、希土類系永久磁石の電気Niめっき方法において、Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)が0.19〜11.4になるような含量でのNiイオンと塩素イオン、緩衝剤としてコハク酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.03mol/l〜1.0mol/l、ホウ酸を0〜15g/l、含むめっき液を使用して磁石表面にNiめっき被膜を形成することを特徴とするものである。
【0007】
本発明の電気Niめっき方法において使用されるNiめっき液には、Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)が0.19〜11.4になるようにNiイオンと塩素イオンを含ませる。Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比が0.19よりも小さい場合、磁石表面に塩素イオンが残留したり、形成されるNiめっき被膜の内部応力が高くなりすぎるなどの問題が生じる恐れがあり、11.4よりも大きい場合、Niめっき液の電気伝導度に影響を及ぼす恐れがある。このような重量比に調整するためには、例えば、めっき液中にNiイオンを15g/l〜80g/l、塩素イオンを7g/l〜80g/l含ませればよい。なお、Niイオンの供給源としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケルなどがある。また、塩素イオンの供給源としては、前記の塩化ニッケルの他、塩化アンモニウムや塩化ナトリウムなどがある。
【0008】
緩衝剤としてはコハク酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.03mol/l〜1.0mol/l含ませる。これらの緩衝剤の含有量が0.03mol/lよりも少ない場合、緩衝作用が十分に発揮されない恐れがあり、1.0mol/lよりも多い場合、Niめっき液の長期安定性に影響を及ぼす恐れがある。磁石表面に直接Niめっき被膜を形成する場合には緩衝剤は0.2mol/l〜1.0mol/l含ませることがNiの置換析出を極力抑制する観点から望ましい。緩衝剤の中ではクエン酸およびその塩が形成されるNiめっき被膜の緻密性の点において望ましい。なお、コハク酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ニッケル塩などがある。
【0009】
Niめっき液に含まれるNiイオン濃度と塩素イオン濃度の重量比、ホウ酸に代わる緩衝剤の使用とその含有量を上記のように調整することにより、Niめっき液中のホウ酸の含有量を15g/l以下としても、従来量のホウ酸を含有するめっき液を使用して形成されるNiめっき被膜が有する均一電着性や緻密性や外観などの優れた特性を維持したNiめっき被膜を形成することができる。
【0010】
希土類系永久磁石表面に直接Niめっき被膜を形成する場合、高い電流効率を確保して迅速にNiめっき被膜を形成することが肝要であることから、Niめっき液中にはホウ酸を最大15g/lの範囲内で含ませることが望ましいが、本発明の電気Niめっき方法において、特に、Niめっき液中のホウ酸の含有量が10g/l以下の場合、即ち、究極的にはめっき液中にホウ酸を含ませない場合でも優れた特性を有するNiめっき被膜を形成することができることは、めっき液の排水問題への対応において非常に望ましいことであり、磁石表面に多層めっき被膜層を形成するに際しての第2層目以降にNiめっき被膜を形成する場合に効果を発揮する。
【0011】
また、希土類系永久磁石表面に直接Niめっき被膜を形成するに際してのNiめっき液のNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比を0.19〜4.0に調整することにより、Niの置換析出を抑制して均一電着性に優れたNiめっき被膜を形成することができる。
【0012】
Niめっき液のpHは4〜8に調整することが望ましい。pH調整剤は、例えば、炭酸ニッケルや硫酸など、めっき液の成分に応じた公知のものを使用すればよい。また、Niめっき液には優れた外観を有するNiめっき被膜を形成するためや、電子部品への適用時に要求される清浄性や接着性などを満たすために、ラウリル硫酸ナトリウム、2−ブチン1,4−ジオール、ベンゼンスルホン酸、プロパギルアルコール、クマリンなどの光沢剤のような各種自体公知の有機添加剤や無機添加剤を添加してもよい。また、導電補助剤として、硫酸ナトリウムや塩化アンモニウムなどを添加してもよい。
【0013】
本発明においては、電気Niめっきを行うに際してのめっき浴の液温は30℃〜70℃に調整することが望ましい。
【0014】
本発明においては、パルス電解を行いながら電気Niめっきを行うことが望ましい。本発明におけるNiめっき液を使用してパルス電解を行いながら電気Niめっきを行うことにより、金属結晶の微細緻密化や形成されるNiめっき被膜の密着性向上などの効果が得られる。パルス電解条件としては、パルス周期が2msec〜100msec、TONが1msec〜95msec、TOFFが1msec〜95msec、ピーク電流密度Iが0.2A/dm〜100A/dmなる条件が挙げられる。
【0015】
本発明の電気Niめっき方法で形成されるNiめっき被膜の膜厚は、希土類系永久磁石表面にこのNiめっき被膜のみを形成する場合は5μm〜30μmが望ましく、磁石表面に多層めっき被膜層を形成するに際しての第1層目にこのNiめっき被膜を形成する場合は0.2μm〜10μmが望ましく、第2層目以降にこのNiめっき被膜を形成する場合は1μm〜30μmが望ましい。磁石表面に多層めっき被膜層を形成するに際しての第2層目以降にこのNiめっき被膜を形成する場合、第1層目にはNiめっき被膜の他、Cuめっき被膜やSnめっき被膜やZnめっき被膜などの異なる金属めっき被膜を公知の成膜法にて形成してもよい。また、本発明の電気Niめっき方法で形成されるNiめっき被膜の上に、異なる金属めっき被膜を形成してもよいし、化成処理被膜などの別種の被膜を形成してもよい。
【0016】
本発明に適用される希土類系永久磁石の内、R−Fe−B系永久磁石における希土類元素(R)は、Nd、Pr、Dy、Ho、Tb、Smのうち少なくとも1種、あるいはさらに、La、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb、Lu、Yのうち少なくとも1種を含むものが望ましい。
また、通常はRのうち1種をもって足りるが、実用上は2種以上の混合物(ミッシュメタルやジジムなど)を入手上の便宜などの理由によって使用することもできる。
さらに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、Ta、Mo、W、Sb、Ge、Sn、Zr、Ni、Si、Zn、Hf、Gaのうち少なくとも1種を添加することで、保磁力や減磁曲線の角型性の改善、製造性の改善、低価格化を図ることが可能となる。また、Feの一部をCoで置換することによって、得られる磁石の磁気特性を損なうことなしに温度特性を改善することができる。
【0017】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載に何ら限定されるものではない。
【0018】
実施例1:
粉末冶金法により作製した15Nd−1Dy−7B−77Fe(原子%)の組成をもつ焼結体をアルゴン雰囲気中600℃で2時間時効処理を施し、厚さ3mm、幅12mm、長さ30mmの平板状に加工し、さらにバレル面取り加工を行って得られた焼結磁石を希釈硝酸で酸洗清浄化した。
この磁石に対し、硫酸ニッケル・6水和物と塩化ニッケル・6水和物と塩化アンモニウム(めっき液7についてはさらに塩化ナトリウムを使用)で表1に示した各種の濃度に調整したNiイオンと塩素イオン、緩衝剤としてクエン酸ナトリウム・2水和物147g/l(0.5mol/l)、ホウ酸8g/l、添加剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.02g/lと2−ブチン1,4−ジオール0.5g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより5に調整した7種類のNiめっき液を使用し、めっき浴の液温50℃、電流密度2A/dm、陽極としてNi板という電気Niめっき条件にて、膜厚が10μmのNiめっき被膜を磁石表面に形成した。形成されたNiめっき被膜の性能を表1に示す。
【0019】
表1における被膜健全性の評価はめっき被膜の緻密性及び耐食性促進評価(発色反応試験)により行った。評価方法を簡単に説明すると以下の通りである。フェリシアン化カリウム3g/l、エタノール100ml/lおよび塩酸にてpH2に調整した試験液にめっき磁石サンプルを常温で浸漬して60分間観察した。磁石素材に腐食が至ったり被膜欠陥(ピンホールなど)が存在する場合には青色斑点が発生するので、30分浸漬後も青色斑点の発生がない場合は◎、浸漬後20〜30分で青色斑点が発生した場合は○、浸漬後10分〜20分で青色斑点が発生した場合は△、浸漬後10分未満で青色斑点が発生した場合は×と評価した。
【0020】
表1におけるめっき付廻り性の評価は同一めっき磁石サンプルの平面部の10箇所観察によるめっき付着量(膜厚)のバラツキについて、バラツキが±10%以内の場合は○、バラツキが±10%〜20%の場合は△、バラツキが±20%を超える場合は×と評価することで行った。
【0021】
【表1】
Figure 0004538959
【0022】
表1から明らかなように、Niめっき液におけるNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)を所定の重量比に調整することで、ホウ酸の含有量を従来のホウ酸含Niめっき液の含有量より大幅に低減させても優れた特性のNiめっき被膜を形成することができることがわかった(めっき液2〜めっき液6)。
【0023】
実施例2:
実施例1と同様の方法で得られた焼結磁石を希釈硝酸で酸洗清浄化した。この磁石に対し、硫酸ニッケル・6水和物と塩化ニッケル・6水和物と塩化アンモニウムで表2に示した各種の濃度に調整したNiイオンと塩素イオン、表2に示した各種の濃度に調整した緩衝剤、ホウ酸8g/l、添加剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.02g/lと2−ブチン1,4−ジオール0.5g/lと1,3,6ナフタレントリスルホン酸ナトリウム2.0g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより6に調整した11種類のNiめっき液を使用し、めっき浴の液温50℃、電流密度3A/dm、陽極としてNi板という電気Niめっき条件にて、膜厚が10μmのNiめっき被膜を磁石表面に形成した。形成されたNiめっき被膜の性能を表2に示す。
【0024】
表2における被膜健全性の評価は実施例1と同様にして行った。耐食性の評価はプレッシャークッカー試験により行った。評価方法を簡単に説明すると以下の通りである。めっき磁石サンプルを125℃、85%RH、2気圧の環境下に200時間放置し、赤錆やフクレが発生しない場合は○、わずかな赤錆やフクレが発生した場合は△、赤錆やフクレが多数発生した場合は×と評価した。
【0025】
【表2】
Figure 0004538959
【0026】
表2から明らかなように、ホウ酸に代わるクエン酸などの緩衝剤の含有量を0.03mol/l以上に調整することで、ホウ酸の含有量を従来のホウ酸含Niめっき液の含有量より大幅に低減させても優れた特性のNiめっき被膜を形成することができることがわかった(めっき液2〜めっき液11)。
【0027】
実施例3:
実施例1と同様の方法で得られた焼結磁石を希釈硝酸で酸洗清浄化した。この磁石に対し、実施例1のNiめっき液4を使用し、実施例1と同様の電気Niめっき条件にて、膜厚が3μmのNiめっき被膜を磁石表面に形成した。
次に、硫酸ニッケル・6水和物と塩化ニッケル・6水和物と塩化アンモニウムで表3に示した各種の濃度に調整したNiイオンと塩素イオン、表3に示した各種の濃度に調整した緩衝剤、添加剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.02g/lと2−ブチン1,4−ジオール0.5g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより5に調整した5種類のNiめっき液を使用し、実施例1と同様の電気Niめっき条件にて、第2層Niめっき被膜として膜厚が15μmの被膜を第1層Niめっき被膜表面に形成した。形成されたNiめっき被膜の性能を表3に示す。
【0028】
表3における被膜健全性の評価は実施例1と同様にして行った。耐食性の評価は実施例2と同様にして行った。めっき密着性の評価はめっき磁石サンプルにエポキシ系樹脂(SW2214:住友3M製の熱硬化型エポキシ系接着剤で塗布接着後120℃、60分で加熱硬化)を塗布して鋼製治具と接着した後、180度剪断圧縮試験にて破壊強度(めっき剥離強度)を測定し、接着強度が400kg/cm以上の場合は○、接着強度が300kg/cm〜400kg/cmの場合は△、接着強度が300kg/cm未満の場合は×と評価することで行った。
【0029】
【表3】
Figure 0004538959
【0030】
表3から明らかなように、Niめっき液にホウ酸を含ませなくても、Niめっき液におけるNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)を所定の重量比に調整し、ホウ酸に代わるクエン酸などの緩衝剤の含有量を調整することで、優れた特性のNiめっき被膜を形成することができることがわかった(めっき液1〜めっき液4)。
【0031】
実施例4:
実施例1と同様の方法で得られた焼結磁石を希釈硝酸で酸洗清浄化した。この磁石に対し、自体公知のアルカリ浴Cuめっきを行って膜厚が3μmのCuめっき被膜を磁石表面に形成した。
次に、硫酸ニッケル・6水和物と塩化ニッケル・6水和物と塩化アンモニウムで表4に示した各種の濃度に調整したNiイオンと塩素イオン、表4に示した各種の濃度に調整した緩衝剤、ホウ酸8g/l、添加剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.02g/lと2−ブチン1,4−ジオール0.5g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより4に調整した5種類のNiめっき液を使用し、実施例1と同様の電気Niめっき条件にて、第2層Niめっき被膜として膜厚が10μmの被膜を第1層Cuめっき被膜表面に形成した。
最後に、硫酸ニッケル・6水和物200g/l、塩化ニッケル・6水和物40g/l、塩化アンモニウム10g/l(Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比は4.5)、クエン酸2アンモニウム45g/l(0.2mol/l)、添加剤としてベンゼンスルホン酸1g/lとプロパギルアルコール0.5g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより4に調整したNiめっき液を使用し、めっき浴の液温50℃、電流密度3A/dm、陽極としてNi板という電気Niめっき条件にて、第3層Niめっき被膜として膜厚が2μmのNiめっき被膜を第2層Niめっき被膜表面に形成した。形成されたNiめっき被膜の性能を表4に示す。なお、表4における被膜健全性の評価は実施例1と同様にして行った。耐食性の評価は実施例2と同様にして行った。
【0032】
【表4】
Figure 0004538959
【0033】
表4から明らかなように、Niめっき液におけるNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)を所定の重量比に調整し、ホウ酸に代わるクエン酸などの緩衝剤の含有量を調整することで、優れた特性のNiめっき被膜を形成することができることがわかった(めっき液2〜めっき液5)。
【0034】
実施例5:
実施例1と同様の方法で得られた焼結磁石を希釈硝酸で酸洗清浄化した。この磁石に対し、硫酸ニッケル・6水和物と塩化ニッケル・6水和物と塩化アンモニウムで表5に示した各種の濃度に調整したNiイオンと塩素イオン、緩衝剤としてクエン酸ナトリウム・2水和物147g/l(0.5mol/l)、ホウ酸8g/l、添加剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.02g/lと2−ブチン1,4−ジオール0.5g/lを含み、pHを塩基性炭酸ニッケルを添加することにより5に調整した各種のNiめっき液を使用し、実施例1と同様の電気Niめっき条件のもと、各種のパルス電解条件(パルス周期TとTONとTOFF)、ピーク電流密度I=10A/dmにてパルス電解を行いながら、膜厚が3μmのNiめっき被膜を磁石表面に形成した。
次に、実施例4の第3層Niめっき被膜を形成するためのNiめっき液を使用し、実施例4と同様の電気Niめっき条件にて、第2層Niめっき被膜として膜厚が5μmの被膜を第1層Niめっき被膜表面に形成した。形成されたNiめっき被膜の性能を表5に示す。なお、表5における被膜健全性の評価は実施例1と同様にして行った。耐食性の評価は実施例2と同様にして行った。めっき密着性の評価は実施例3と同様にして行った。
【0035】
【表5】
Figure 0004538959
【0036】
表5から明らかなように、パルス電解を行いながら電気Niめっきを行うことにより、高電流密度(短時間)での電気Niめっきが可能となり、高い耐食性を有するNiめっき被膜を形成することができ、Niめっき被膜の膜厚の薄膜化、ひいては寸法精度の向上を図ることができることがわかった(めっき液1〜めっき液4)。
【0037】
【発明の効果】
本発明の電気Niめっき方法によれば、Niめっき液に含まれるNiイオン濃度と塩素イオン濃度の重量比、ホウ酸に代わる緩衝剤の使用とその含有量を調整することにより、Niめっき液中のホウ酸の含有量を低減させても、従来量のホウ酸を含有するNiめっき液を使用して形成されるNiめっき被膜が有する均一電着性や緻密性や外観などの優れた特性を維持したNiめっき被膜を形成することができる。また、Niの置換析出を抑制して均一電着性に優れたNiめっき被膜を形成することができる。

Claims (6)

  1. 希土類系永久磁石の電気Niめっき方法において、Niイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比(Ni2+/Cl)が0.19〜11.4になるような含量でのNiイオンと塩素イオン(但しNiイオンは15g/l〜80g/l、塩素イオンは7g/l〜80g/l)、緩衝剤としてコハク酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.03mol/l〜1.0mol/l、ホウ酸を0〜15g/l、含むめっき液を使用して磁石表面にNiめっき被膜を形成することを特徴とする電気Niめっき方法
  2. 前記めっき液がホウ酸を0〜10g/l含むことを特徴とする請求項記載の電気Niめっき方法。
  3. 磁石表面に多層めっき被膜層を形成するに際しての第2層目以降にNiめっき被膜を形成するための電気Niめっきであることを特徴とする請求項記載の電気Niめっき方法。
  4. 磁石表面に直接Niめっき被膜を形成するに際しての前記めっき液のNiイオン濃度の塩素イオン濃度に対する重量比が0.19〜4.0であることを特徴とする請求項1記載の電気Niめっき方法。
  5. パルス電解を行いながら電気Niめっきを行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電気Niめっき方法。
  6. 希土類系永久磁石がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電気Niめっき方法。
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