JP4537517B2 - 空気入りラジアルタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りラジアルタイヤの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、必要な耐久性を維持しながら転がり性能とノイズ性能とを向上した空気入りラジアルタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
空気入りラジアルタイヤでは、図4に略示する如く、ベルト層aの外側に、バンドコードを螺旋巻きしてなるバンド層bを設けた構造のものが広く知られている。このバンド層bは、ベルト層aに対する拘束力を高めて高速耐久性能を向上させる他、トレッド剛性の増加によって操縦安定性を向上でき、さらには、このトレッド剛性の増加により振動伝達特性が変化し、振動伝達率のピークがより高周波数側に移行するなど車両の振動伝達率のピークとの間にズレを生じせしめロードノイズを低減させる等の利点を具えている。
【0003】
一方、タイヤでは、トレッドゴムgのクラックを抑制し耐久性を維持するために、トレッドゴムgの溝底におけるゴムゲージ厚さt1を最低限(通常1.5mm程度)確保することが必要であり、従って、バンド層bを形成した場合には、少なくともバンド層bの厚さt2だけトレッド全厚さt0が増加することとなる 。
【0004】
例えば前記バンド層bでは、より強い拘束力がベルト層外端部側に要求されるため、ベルト層a全体を覆うフルバンドプライb1と、ベルト層外端部のみを覆うエッジバンドプライb2とを重複させた構造(F+E構造という場合がある)が多用されている。しかし係る構造においても、接地圧分布の悪化を防ぐため、エッジバンドプライb2、b2間には、このエッジバンドプライb2の厚さ相当分のゴムゲージ厚さt3を増やす必要が生じる。すなわち、エッジバンドプライb2を部分的に配した場合においても、トレッド全厚さt0の増加を全巾に亘って招いてしまうこととなる。
【0005】
その結果、タイヤの重量増加を招くほか、転がり性能を低下させてしまうという問題が発生する。従って、この問題を改善するためには、バンド層の最大厚さ、すなわち複数枚のバンドプライが重複する領域でのバンド層の厚さをできるだけ低く抑えることが重要である。
【0006】
なお、エッジバンドプライb2を用いることなく前記F+E構造に相当する効果を有するバンド層として、トレッド中央側とトレッドショルダー側とでバンドコードの材質を相違させる構造、或いは特開平2−34403号公報等に記載の如く、トレッド中央側とトレッドショルダー側とでバンドコードの螺旋ピッチを相違させる構造が提案されている。しかし前者の構造は、バンドコード材料の種類が増えたり工程が複雑になり、成型機の機能を追加する必要が生じるなどコストの上昇を招く。また後者の構造は、工程の複雑さに加えて、粗い螺旋ピッチ部分でのコード角度が大きくなるため、高速走行性能の低下が懸念される。
【0007】
そこで本発明は、バンド層において、重複する一方のバンドプライのバンドコード間に他方のバンドプライのバンドコードを落ち込ませて重複領域での厚さを減じさせ、必要な耐久性を維持しながらトレッド全厚さを低く抑えることができ、転がり性能とノイズ性能とを向上しうる空気入りラジアルタイヤの製造方法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層と、このベルト層の外側に配されるバンド層とを具え、
前記ベルト層は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して10〜35°の角度で傾斜配列したベルトプライからなり
かつ前記バンド層は、ベルト層の少なくとも外端部において、複数枚のバンドプライを半径方向内外に重置した重複領域を具え、しかも前記重複領域にて半径方向内外で隣り合う一方のバンドプライのバンドコードと、他方のバンドプライのバンドコードとに同じ
バンドコードを用いた空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、
0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率を10%以下とした低伸度の1本以上のバンドコードを引き揃えた小巾の帯状プライをタイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより各前記バンドプライを形成するバンド層の形成工程を含む生タイヤの形成工程と、この生タイヤを加硫金型内で加硫する加硫工程とを具え、
前記バンド層の形成工程では、各バンドプライは、前記帯状プライの側縁が互いに突き合わせて螺旋状に巻回され、かつ前記重複領域におけるバンドコードのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度は、バンドプライ間相互で互いに整一されるとともに、
前記加硫工程時の加硫ストレッチを5%以上に設定し、加硫工程時、前記重複領域にて半径方向内外で隣り合う一方、他方のバンドプライ間におけるバンドコードを、半径方向内外に相対移動させることにより、
前記半径方向内外で隣り合う一方のバンドプライのバンドコード間に、他方のバンドプライのバンドコードが落ち込む落ち込み部を形成するとともに、
前記重複領域における全てのバンドプライのバンドコードを挟むコード間厚さTDを、各バンドプライの各バンドコードの直径Sの合計値ΣSよりも小としたことを特徴としている。
【0009】
また請求項2の発明では、前記コード間厚さTDは、前記合計値ΣSの0.55〜0.90倍であることを特徴としている。
【0010】
また請求項3の発明では、前記バンド層の形成工程は、前記バンドコードとして、0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率10%以下とした低伸度のバンドコードを用い、かつ前記加硫工程時の加硫ストレッチを3%以下とすることにより、半径方向内外で隣り合う一方、他方のバンドプライ間におけるバンドコードを、半径方向内外に相対移動させて前記落ち込み部を形成したことを特徴としている。
【0011】
また請求項4の発明では、前記ベルト層は、タイヤ断面高さHに対する、このベルト層内面におけるタイヤ赤道点とベルト外端点との間の半径方向の距離であるベルトキャンバー量BCの比BC/Hが、次式(1)の範囲であることを特徴としている。
BC/H ≦ 0.24−A×0.23 −−−(1)
式中、Aはタイヤの偏平率である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の製造方法によって形成される空気入りラジアルタイヤ1(以下タイヤ1という)が乗用車用タイヤである場合の子午断面を示しており、タイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具える。
【0013】
又タイヤ1には、前記ビード部4、4間を跨るトロイド状のカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の外側に配されるベルト層7と、このベルト層7のさらに外側に配されるバンド層9とを設けている。
【0014】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では、1枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスコードとしては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが好適に採用されるが、タイヤのサイズやカテゴリー、或いは要求性等に応じてスチールコードも採用しうる。
【0015】
また前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りで内側から外側に折り返されて係止される折返し部6bを有する。この本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が配される。本例では、前記折返し部6bは、その半径方向外端のビードベースラインBLからの高さをビードエーペックスゴム8の半径方向外端の高さよりも大とした所謂ハイターンアップ構造をなし、前記ビードエーペックスゴム8と協同してビード部4を補強しかつタイヤ横剛性を高めている。なおカーカス6が複数枚のプライで形成される場合には、少なくとも1枚のプライをハイターンアップ構造とするのが好ましい。なおビードベースラインBLとは、ビード底面4Sのタイヤ軸方向外端点を通るタイヤ軸方向の線であり、適用リムのリム径選定の基準をなす。
【0016】
また前記ベルト層7は、高弾性のベルトコードをタイヤ周方向に対して10゜〜35゜の角度で傾斜配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。各ベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードがプライ間相互で交差するように向きを違えて配され、これによるコードのトライアングル構造によってベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して補強する。ベルトコードとしては、スチールコード或いは、スチールに近い強度を有する例えば芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の高弾性繊維コードが好適に使用される。
【0017】
又本例では、内のベルトプライ7Aを外のベルトプライ7Bに比べてやや巾広に形成し、ベルト外端に作用する応力集中を緩和している。
【0018】
次に、前記バンド層9は、1本以上のバンドコード10を引き揃えた小巾の帯状プライ11(図2に示す)をタイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより形成されたバンドプライ12からなり、前記ベルト層7の少なくとも外端部において、複数枚のバンドプライ12を半径方向に重置した重複領域Kを形成している。
【0019】
具体的には、本例では、バンド層9は、前記ベルト層7の全巾を覆うフルバンドプライ12Fと、ベルト層7の外端部を覆うエッジバンドプライ12Eとからなり、ベルト層7の外端部側の拘束力を中央側(タイヤ赤道側)に比して高めた所謂F+E構造を具えている。従って、本例のバンド層9では、このフルバンドプライ12Fとエッジバンドプライ12Eとにより、2枚のバンドプライ12が半径方向に重置する重複領域Kを形成している。なお本例では、前記エッジバンドプライ12Eがフルバンドプライ12Fの半径方向内側に配される場合を例示しているが、半径方向外側であっても良い。
【0020】
また前記「ベルト層7の外端部」には、巾広のベルトプライの外端に相当するベルト層7の外端からタイヤ軸方向内側に少なくとも15mmの範囲が含まれる。
【0021】
前記帯状プライ11は、図2に示す如く、1本以上、本例では、複数本のバンドコード10を引き揃えたコード並列体をトッピングゴムで被覆した小巾のリボン状をなす。このとき、帯状プライ11内のバンドコード10の本数は5〜15本程度が好ましく、少なすぎるとプライ形成効率が低下し、逆に多すぎると、バンドコードのコード角度が過大となって拘束力が減じバンド層9としての機能を充分発揮できなくなる。なおバンドコードのタイヤ周方向に対するコード角度は、一般に5゜以下である。
【0022】
また帯状プライ11は、その側縁11eを互いに突き合わせて螺旋状に巻回することによって、バンドコード10が実質的に一定のピッチPで配列するフルバンドプライ12F及びエッジバンドプライ12Eを形成する。なおバンドコード10としては、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが使用できる。本例では、前記フルバンドプライ12F及びエッジバンドプライ12Eとも、互いに同一のバンドコード10を用いた場合を例示しているが、便宜上、前記フルバンドプライ12Fのバンドコードを10F、エッジバンドプライ12Eのバンドコードを10Eとして区別する場合がある。
【0023】
そして本願では、前記バンド層9は、図3に示すように、該重複領域Kにおいて内外で隣り合う一方のバンドプライ12(本例では、エッジバンドプライ12E)のバンドコード10E、10E間に他方のバンドプライ12(本例ではフルバンドプライ12F)のバンドコード10Fが落ち込む落ち込み部13を形成したことに、大きな特徴を有している。
【0024】
ここで、前記「落ち込む」とは、上のバンドコード10Fの半径方向内縁点が、下のバンドコード10Eの半径方向外縁点を結んだ外縁線ELを越えて、半径方向内方に入り込むことを意味する。そのためには、前記バンドコード10Eのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度を、バンドコード10Fのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度と整一させることが必要である。さらに、バンドコード10E、10E間のピッチPEと、バンドコード10F、10F間のピッチPFとは互いに等しいすなわち、PE=PFあることが必要である。
【0025】
このように、前記落ち込み部13を形成することにより、前記重複領域Kにおける全てのバンドプライ12のバンドコード10を挟むコード間厚さTDを、各バンドプライ12の各バンドコード10の直径Sの合計値ΣSよりも小に減じることができるのである。すなわち、バンド層9の最大厚さである重複領域Kでの厚さを減じることができ、トレッドゴムの溝底において最低限必要なゴムゲージ厚さを確保しながらトレッド全厚さを低く抑えることが可能となる。その結果、耐久性を維持しつつ、転がり性能を向上させることができる。
【0026】
なお、前記コード間厚さTDが合計値ΣS以上の時、トレッド全厚さが増大し転がり性能が損なわれる。又前記コード間厚さTDが合計値ΣSの0.5倍の時には、バンド層9は実質的に1層構造となってしまう。この時、バンドコード10F、10E間のコード間隔を確保するためにはコード密度が限定されることから、バンド層9は、前述した機能である高速耐久性能の向上、操縦安定性の向上、及びロードノイズの低減を充分に達成することができなくなる。このような観点から、前記コード間厚さTDは、前記合計値ΣSの0.55〜0.90倍とすることが好ましい。
【0027】
又バンド層9が前記F+E構造としての機能を有効に発揮するためには、図1のごとく前記重複領域Kのタイヤ軸方向の巾WEとタイヤ赤道Cからのフルバンドプライ12Fの巾WFとの比WE/WFを、1/12〜8/12の範囲とすることが好ましい。もし前記比WE/WFが1/12未満の時、前記外端部側での拘束力が不十分となってノイズ低減等バンド層9の機能が有効に発揮されない。又8/12をこえると、転がり性能の低下傾向となってしまう。
【0028】
又エッジバンドプライのタイヤ軸方向内端点では、剛性段差が発生する一方、通常その付近に周方向溝が配置される場合が多い。そのことから、従来、溝底におけるクラックの発生が顕著となり、エッジバンドプライの巾(重複領域Kの巾WEに相当)が規制されたり、又その採用を断念せざるを得ない場合が生じていた。しかし、本願では、落ち込み部13の形成によって、エッジバンドプライ12Eの内端点での剛性段差が緩和される。その結果、クラックの発生がいっそう抑制されるとともに、周方向溝の位置に関係なく、エッジバンドプライの採用及び巾の設定が可能となるなどの利点も発生する。
【0029】
次に、前記タイヤ1の製造方法を説明する。この製造方法では、バンド層9を形成する工程を含む生タイヤの形成工程と、この生タイヤを加硫金型内で加硫する加硫工程とを具える。なおバンド層9の形成工程は、前述した通りであり、前記帯状プライ11の側縁11eを互いに突き合わせて螺旋状に巻回することにより各バンドプライ12が形成され、かつ前記重複領域Kにおけるバンドコードのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度は、バンドプライ間相互で互いに整一される。又前記落ち込み部13生タイヤを加硫成型する際の加硫金型内でのタイヤのストレッチ、即ち加硫ストレッチを利用して形成することができる。
【0030】
具体的には、通常3%程度であった加硫成型時の加硫ストレッチを、例えば5%以上と従来よりも大きく設定する、或いはバンドコードとして従来よりも低伸度のコード材料を使用する。何れの場合も、加硫成型時、上のバンドコード10Fによる締め付け効果が、下のバンドコード10E、10E間に強く作用し、これにより生じる上のバンドコード10Fの下のバンドコード10Eに対する下方(半径方向内方)への相対移動によって、前記落ち込み部13が形成される。
【0031】
ここで前記した加硫ストレッチを大きく設定する手段では、加硫成型時にベルト層7等の変形が大きくなり、かつ部分的なゴム流れも大きくなることから、タイヤのユニフォミティー(均一性)の低下を招きやすく、例えば振動特性に不利となる。
【0032】
従って、低伸度のバンドコード10を使用する手段が好ましく採用できる。すなわち、バンドコード10として、0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率が10%以下のものを用いる。これにより、前記落ち込み部13の形成を可能としながら、3%程度の加硫ストレッチにおいても、バンド層9による必要な拘束力を確保でき、バンド層9の前記機能(高速耐久性能の向上、操縦安定性の向上、及びロードノイズの低減等)を有効に発揮できる。
【0033】
なお従来のナイロン製バンドコードの伸び率は14%程度である。又前記伸び率は、JISL1017に準拠して測定した値である。
【0034】
特に伸び率5%以下のバンドコード10は、3%未満の加硫ストレッチにおいても、より大きい落ち込み部13を形成でき、しかも拘束力がより高まるため、バンド層9の機能がいっそう向上する。また加硫ストレッチの減少により、ユニフォミティーのさらなる向上が期待できる。なお伸び率5%以下のバンドコード10として芳香族ポリアミド繊維コードが好適であり、又伸び率5〜10%のバンドコード10としてナイロン繊維コードが好適である。
【0035】
前記落ち込み部13の形成においては、バンドコード自体が太い場合、或いはバンドコードのコード密度R(プライ1cm巾当たりのコード本数)が高い場合、夫々バンドコードの半径方向への相対移動が妨げられる傾向となるため、不利となる。従って、バンドコード10の直径Sは、0.9mm以下が好ましく、又コード密度Rは、13本/1cm以下が好ましい。
【0036】
さらにこのバンドコード10の直径Sとコード密度Rとの積S×Rは、バンドプライに占めるバンドコード占拠率の指標となり、この積S×Rの値が小さいほど、バンドコードの相対移動が容易であり、かつユニフォミティーにも有利である。従って、積S×Rは8.0以下とするのが好ましい。
【0037】
又前述の如く、前記落ち込み部13が加硫成型時の加硫ストレッチを利用して形成される都合上、前記ベルト層7のベルトキャンバー量BCとタイヤ断面高さHとの比BC/Hが過大なタイヤ、すなわち曲率半径が小さなタイヤでは、トレッド中央側とトレッドショルダー側とで加硫ストレッチの差が大きくなりすぎ、製造を難しくするとともに、ユニフォミティーを著しく損ねるという問題がある。
【0038】
そのために、前記比BC/Hを、次式(1)の範囲に規制することが必要である。
BC/H ≦ 0.24−A×0.23 −−−(1)
式中、Aはタイヤの偏平率であり偏平率60%の時、A=0.60となる。又前記ベルトキャンバー量BCは、図1の如く、ベルト層7の内面におけるタイヤ赤道点とベルト外端点との間の半径方向の距離を意味する。
【0039】
なお前記ベルトキャンバー量BC、タイヤ断面高さH、及び偏平率Aは、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態で測定した値であり、正規リム」とは、JATMAで規定する標準リム、TRAで規定する "Design Rim" 、或いはETRTOで規定する "Measuring Rim"で特定されるサイズのリムである。又「正規内圧」とは、JATMAで規定する最高空気圧、TRAの表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、或いはETRTOで規定する "INFLATION PRESSURE" であり、乗用車用タイヤである場合には180KPaとする。
【0040】
【実施例】
タイヤサイズが195/60R15でありかつ図1に示す構造のタイヤを、表1〜3の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの転がり性能、耐久性能、ロードノイズ性能、及びユニフォミティーをテストし比較した。
【0041】
テスト方法は次の通り。
(1) 転がり性能:
転がり抵抗試験機を用い、試供タイヤを、リム(15×6.5JJ)、内圧(230kPa)、荷重(4.0kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1(従来タイヤ)を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好である。
【0042】
(2) 耐久性能:
試供タイヤを、リム(15×6.5JJ)、内圧(200kPa)、荷重(5.5kN)の基でドラム上を、速度60km/hで100km走行させた後の溝底でのクラックの発生状況を目視検査し、クラック発生の確認できたものを不良とした。
【0043】
(3)ロードノイズ性能:
前記試供タイヤを、リム(15×6.5JJ)、内圧(210kPa)にて乗用車用(1600cc、FF車)の全輪に装着し、スムース路面を速度50km/hにて走行させ、ドライバーの官能評価により5点法で評価した。数値が大きいほど騒音レベルが小さく良好である。
【0044】
(4) ユニフォミティー:
JASO C607「自動車用タイヤのユニフオミテイ試験方法」に準拠し、リム(15×6.5JJ)、内圧(200kPa)、荷重(4.0kN)、回転数(60rpm)の条件にてRFVを測定し、そのときのRFV一次の値を、比較例1(従来タイヤ)を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好である。
【0045】
【表1】
Figure 0004537517
【0046】
【表2】
Figure 0004537517
【0047】
【表3】
Figure 0004537517
【0048】
【発明の効果】
叙上の如く本発明の製造方法によって製造された空気入りラジアルタイヤは、バンド層において、半径方向内外に重複する一方のバンドプライのバンドコード間に他方のバンドプライのバンドコードを落ち込ませ、これによって重複領域での厚さを減じている。従って、必要な耐久性を維持しながらトレッド全厚さを低く抑えることができ、転がり性能とノイズ性能とを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法によって製造された空気入りラジアルタイヤ一実施例を示す断面図である。
【図2】 バンド層に用いる帯状プライを例示する斜視図である。
【図3】 バンドコードの落ち込み部を示す断面図である。
【図4】 従来技術を説明するトレッド部の断面図である。
【符号の説明】
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
9 バンド層
10、10F、10E バンドコード
11 帯状プライ
12、12F、12E バンドプライ
13 落ち込み部
K 重複領域

Claims (4)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、トレッド部の内方かつカーカスの外側に配されるベルト層と、このベルト層の外側に配されるバンド層とを具え、
    前記ベルト層は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して10〜35°の角度で傾斜配列したベルトプライからなり
    かつ前記バンド層は、ベルト層の少なくとも外端部において、複数枚のバンドプライを半径方向内外に重置した重複領域を具え、しかも前記重複領域にて半径方向内外で隣り合う一方のバンドプライのバンドコードと、他方のバンドプライのバンドコードとに同じ
    バンドコードを用いた空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、
    0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率を10%以下とした低伸度の1本以上のバンドコードを引き揃えた小巾の帯状プライをタイヤ周方向に螺旋状に巻回することにより各前記バンドプライを形成するバンド層の形成工程を含む生タイヤの形成工程と、この生タイヤを加硫金型内で加硫する加硫工程とを具え、
    前記バンド層の形成工程では、各バンドプライは、前記帯状プライの側縁が互いに突き合わせて螺旋状に巻回され、かつ前記重複領域におけるバンドコードのタイヤ周方向に対する向き及び傾斜角度は、バンドプライ間相互で互いに整一されるとともに、
    前記加硫工程時の加硫ストレッチを5%以上に設定し、加硫工程時、前記重複領域にて半径方向内外で隣り合う一方、他方のバンドプライ間におけるバンドコードを、半径方向内外に相対移動させることにより、
    前記半径方向内外で隣り合う一方のバンドプライのバンドコード間に、他方のバンドプライのバンドコードが落ち込む落ち込み部を形成するとともに、
    前記重複領域における全てのバンドプライのバンドコードを挟むコード間厚さTDを、各バンドプライの各バンドコードの直径Sの合計値ΣSよりも小としたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  2. 前記コード間厚さTDは、前記合計値ΣSの0.55〜0.90倍であることを特徴とする請求項1記載の空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  3. 前記バンド層の形成工程は、前記バンドコードとして、0.0236g/dtexの荷重を負荷したときの伸び率を10%以下とした低伸度のバンドコードを用い、かつ前記加硫工程時の加硫ストレッチを3%以下とすることにより、半径方向内外で隣り合う一方、他方のバンドプライ間におけるバンドコードを、半径方向内外に相対移動させて前記落ち込み部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りラジアルタイヤの製造方法。
  4. 前記ベルト層は、タイヤ断面高さHに対する、このベルト層内面におけるタイヤ赤道点とベルト外端点との間の半径方向の距離であるベルトキャンバー量BCの比BC/Hが、次式(1)の範囲であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の空気入りラジアルタイヤの製造方法。
    BC/H ≦ 0.24−A×0.23 −−−(1)
    式中、Aはタイヤの偏平率である。
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