以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
まず、第1の実施の形態について図1ないし図15を用いて説明する。
図1に示す超音波処置具(超音波凝固切開装置)10は、図2(A)に示すように、互いに着脱可能な本体ユニット12と、プローブユニット14と、振動子ユニット16とを備えている。本体ユニット12は、ハンドルユニット22と、シースユニット24と、ジョーユニット(処置ユニット)26とを備えている。シースユニット24およびジョーユニット26は、ハンドルユニット22に着脱可能である。ジョーユニット26は、シースユニット24に着脱可能である。シースユニット24とジョーユニット26とを組み合わせると、挿入部ユニット28(図1参照)が組み立てられる。挿入部ユニット28とハンドルユニット22とを組み合わせると、図3に示すように、本体ユニット12が組み立てられる。
図1および図2(A)に示すように、プローブユニット14は、振動子ユニット16に着脱可能である。振動子ユニット16は、本体ユニット12のハンドルユニット22に着脱可能である。このため、プローブユニット14と振動子ユニット16とが組み合わせられたユニットは、本体ユニット12に着脱可能である。すなわち、これら本体ユニット12と、プローブユニット14と、振動子ユニット16とを組み合わせると、図1に示すように、超音波処置具10が組み立てられる。
図2(A)に示すように、振動子ユニット16は、円筒状の振動子カバー30と、この振動子カバー30の内部に内蔵され、超音波振動を発生させる超音波振動子(図示せず)とを備えている。超音波振動子は、発生させた振動の振幅を拡大するホーン(図示せず)を先端部に備えている。このホーンには、プローブユニット14の基端部が着脱可能である。すなわち、振動子ユニット16の先端部には、プローブユニット14の基端部が着脱可能である。
振動子カバー30は、本体ユニット12の後述する操作部本体54の振動子接続部99(図5参照)に着脱可能なユニット連結部32を先端部に備えている。このユニット連結部32の外周面には、一部が切り欠かれたC字状の係合リング(Cリング)34が装着されている。図1に示すように、振動子カバー30の後端部には、図示しない振動子用プラグが配設された電源接続用コード36が接続されている。
図2(A)に示すように、プローブユニット14は、細長い直伸棒状の振動伝達部材(プローブ)40と、この振動伝達部材40の基端部に配設されたホーン部42と、このホーン部42の基端部に配設された最大径部44と、振動伝達部材40の先端部に配設された処置部46とを備えている。ホーン部42と最大径部44との連結部には、図2(B)に示すように、断面形状が円形とは異なる異形断面形状部(フランジ部)48が配設されている。この異形断面形状部48により、プローブユニット14は、後述する位置決め部材90の平行平面90a,90b(図7(C)参照)に対して位置決めされる。
図2(A)に示すように、振動伝達部材40の外周面には、それぞれリング状を有する複数の支持体50が配設されている。これら支持体50は、例えばゴム材などの弾性部材で形成され、振動伝達部材40の外周面の基端側から先端側に向かって伝達される超音波振動の定在波の節(以下、振動の節という)の位置に配設されている。
最大径部44の基端部には、取り付けネジ44aが配設されている。この取り付けネジ44aは、振動子ユニット16のホーンの先端部のプローブ取付部のネジ穴部に螺合される。このため、プローブユニット14と振動子ユニット16とは、一体的に組み合わせ可能である。最大径部44と振動伝達部材40との間のホーン部42は、振動子ユニット16から伝達される超音波振動の振幅を拡大する。振動伝達部材40は、ホーン部42で拡大された超音波振動を処置部46に向けて伝達する。
処置部46は、生体組織に接触して処置を行なうために設けられ、振動伝達部材40の中心軸から外れる方向に湾曲された非対称形状、例えば円弧形状に形成されている。処置部46の形状については後述するが、目的に応じて適宜のものが使用される(図16(A)および図17参照)。
図4に示すように、ハンドルユニット22は、絶縁性を有する操作部本体54を備えている。この操作部本体54は、略円筒状のハウジングである。操作部本体54の外周面には、固定ハンドル56が一体的に成形されている。この操作部本体54には、固定ハンドル56に対して回動可能な可動ハンドル58が配設されている。固定ハンドル56の操作端部(下端部)には、親指以外の指が選択的に掛けられる指掛孔56aが形成されている。可動ハンドル58の操作端部(下端部)には、同じ手の親指が掛けられる指掛孔58aが形成されている。
操作部本体54の外周面には、それぞれ1対の支点ピン受部54aと、作用ピン動作窓54bとが形成されている。作用ピン動作窓54bは、操作部本体54の壁部を貫通しているので、操作部本体54は、側部からの操作部本体54の内腔に連通されている(図7(C)参照)。可動ハンドル58の上端部には、二又状に分岐された連結部58bが形成されている。可動ハンドル58の上端部には、支点ピン受部54aに配設された支点ピン60が装着されている。これら支点ピン60は、可動ハンドル58をスムーズに回動させる低摩擦係数の部材で形成されたカラー(絶縁キャップ)54cを通して支点ピン受部54aに装着されている。このため、可動ハンドル58は、固定ハンドル56に対して開閉可能である。なお、これら支点ピン60は、シースユニット24の後述する絶縁チューブ116がハンドルユニット22に装着されたときの軸線よりも図5中の上側で操作部本体54に連結されている。
可動ハンドル58の上端部で、支点ピン60の下部には、作用ピン動作窓54bに配設された作用ピン62が装着されている。この作用ピン62の操作部本体54の内部側に配置された端部は、後述するスライダ86のピン受部86aに配設されている。このため、固定ハンドル56に対して可動ハンドル58が支点ピン60を支点として開閉されると、作用ピン62によりスライダ86が前後に進退される。
図4および図5に示すように、操作部本体54の先端部の内周面縁部には、固定リング64が装着されている。この固定リング64の内周面には、雌ネジ部が形成されている。この固定リング64の内側には、筒状の回転繋部材66が配設されている。この回転繋部材66は、先端部に小径部を、基端部に大径部をそれぞれ有し、これら小径部および大径部の間に段差部を有する。回転繋部材66の先端部の小径部の外周面で、段差部に近接する位置には、雄ネジ部が形成されている。回転繋部材66の雄ネジ部は、固定リング64の雌ネジ部に螺合されている。
回転繋部材66の小径部の外周面で、雄ネジ部よりも先端側には、回転繋部材66の軸方向に沿い、互いに対向した1対の長穴66aが形成されている。回転繋部材66の小径部の内側には、回転繋部材66の軸方向に摺動可能な筒状の回転固定部材68が配設されている。この回転固定部材68には、回転繋部材66の長穴66aをそれぞれ貫通した状態で1対の第1のピン70aが配設されている。すなわち、これら第1のピン70aは、回転繋部材66の長穴66aにそれぞれ挟持されている。このため、回転固定部材68は、第1のピン70aによって回転繋部材66の長穴66aの長手軸に沿って移動可能である。なお、この回転固定部材68の先端部には、図6(A)に示すように、互いに対向する1対のスリット部(第1の装着機構)68a,68bが形成されている。
この回転固定部材68の外側で、第1のピン70aが配設された位置よりも先端部側で、回転繋部材66の小径部の内側には、筒状のシース接続部材72が配設されている。すなわち、回転固定部材68の先端部の外側には、回転繋部材66とともに筒状のシース接続部材72が配設(固定)されている。
このシース接続部材72の先端部の内周面には、図6(A)に示すように、断面が円形状の開口縁部に、さらに、互いに対向する位置にスリット72a,72bが形成されている。これらスリット72a,72bは、シース接続部材72の中心に対してそれぞれ60°傾けた位置に形成されている。図4に示すように、シース接続部材72の基端部には、組み付け時、シース接続部材72の内周面の穴に対して回転固定部材68を位置決めするため、1対のアーム72c,72dが形成されている。
図5に示すように、シース接続部材72の基端面の一部は、回転固定部材68に当接されることにより位置決めされている。図6(B)に示すように、回転固定部材68の基端部の外周面には、互いに対向する平行平面68c,68dが形成されている。シース接続部材72のアーム72c,72dの基端部の内周面には、平行平面68c,68dに当接される平面が形成されている。シース接続部材72のアーム72c,72dの基端部の外周面は、回転繋部材66の内周面形状に沿った形状に形成されている。
図4および図5に示すように、回転繋部材66の外周面には、外周面に滑り止め74aを備えたリング状(筒状)の回転ノブ74が回転繋部材66に対して軸方向に摺動可能に装着されている。図6(B)に示すように、この回転ノブ74の内側には、第1のピン70aと係合する1対のピン受部74aが形成されている。このため、回転ノブ74は、回転固定部材68、回転繋部材66に対して回転固定される。すなわち、回転ノブ74を回転させると、回転繋部材66も追従して回転する。
回転繋部材66と回転ノブ74との先端面を覆う位置には、リング状の固定部材76が配設されている。この固定部材76の外周面には、雄ネジ部が形成されている。回転繋部材66の内周面には、雌ネジ部が形成されている。このため、固定部材76と回転繋部材66とは、互いのネジ部によって螺合されている。
図5に示すように、回転繋部材66の段差部の内周面には、径方向内方に突出したフランジ部66bが形成されている。回転固定部材68の基端部と、回転繋部材66のフランジ部66bとの間には、コイルバネ78が配設されている。1対の第1のピン70aは、回転固定部材68が回転繋部材66の先端部側に付勢されているので、通常、回転繋部材66の長穴66aの先端に配置されている。さらに、回転ノブ74もピン受部74aで1対の第1のピン70aに係合しているため、回転ノブ74が装着された位置の基端は、回転繋部材66の長穴66aの先端に一致する。このため、回転ノブ74をコイルバネ78の装備力量以上の力で基端側に引くと、回転繋部材66の長穴66aの長さ範囲で回転ノブ74、回転固定部材68が摺動する。
回転固定部材68の基端側には筒状の駆動パイプ接続部材(駆動軸接続部材)80が回転繋部材66に対して軸方向に摺動可能に配設されている。この駆動パイプ接続部材80の先端部には1対の駆動パイプ接続ピン(第1の装着機構)80aが配設されている。これら駆動パイプ接続ピン80aは、径方向内方に突出し、上述したジョーユニット26の後述する1対のカム溝(第2の装着機構)126aに係合可能である。この駆動パイプ接続部材80の後端側にはさらにスライダ受部材82が1対の第2のピン70bにより接続されている。スライダ受部材82の先端部は駆動パイプ接続部材80の内側に配設されており、先端部の内側にはプローブユニット14が本体ユニット12に組み付けた際に周囲の硬い部分に接触しないようにPTFE等の低摩擦で絶縁性材料からなる保護リング84が装着されている。
図7(A)および7(B)に示すように、この駆動パイプ接続部材80には、中間部と後端部に径方向外方に突出したフランジ部80b,80cが形成されている。フランジ部80b,80cは円周上数箇所に円弧状に切り欠きが形成されている。このため、ハンドルユニット22を洗浄する場合、洗浄液を容易にフランジ部80b,80cの間やその先端側、後端側に到達させることができるとともに、洗浄液を容易に排出させることができる。また、駆動パイプ接続部材80の質量を軽減させることができる。
駆動パイプ接続部材80のフランジ部80cには第3のピン70cが取り付けられている。この第3のピン70cは、回転繋部材66の後端側にある軸方向に延びたスリット66cに係合し、軸方向にはスリット66cに沿って摺動可能であるが、軸回り回転方向には回転繋部材66の回転追従する。また、回転繋部材66と駆動パイプ接続部材80は上述の回転繋部材66のフランジ部66bと駆動パイプ接続部材80の外周が当接されており、さらに上述のフランジ部80b,80cの外周と回転繋部材66の内周とが当接されている。これにより、駆動パイプ接続部材80はガタ等の発生を抑えた状態で軸方向に摺動可能である。
スライダ受部材82の基端部には、径方向外方に突出したフランジ部82aが形成されている。スライダ受部材82の外周面には、絶縁性を有する略リング状のスライダ86が配設されている。このスライダ86は、駆動パイプ接続部材80のフランジ部80cと、スライダ受部材82のフランジ部82aとの間で、スライダ受部材82の軸方向に沿って移動可能である。スライダ86の外周面には、上述した可動ハンドル58の作用ピン62の端部が配置された溝状のピン受部86aが形成されている。
スライダ受部材82の外側には、コイル状の駆動力制限バネ88が配設されている。この駆動力制限バネ88は、駆動パイプ接続部材80のフランジ部80cと、スライダ86との間に自由長よりも短くした状態で配設され、スライダ86は基端側(スライダ受部材82のフランジ部82a)に一定の力で付勢されている。このため、可動ハンドル58が固定ハンドル56に対して開閉されると、作用ピン62から軸方向先端側に伝えられる力量が駆動力制限バネ88の装備力量以下の場合にはスライダ86、スライダ受部材82、駆動パイプ接続部材80は一体的に進退する。作用ピン62から軸方向先端側に伝えられる力量が駆動力制限バネ88の装備力量以上になった場合にはスライダ86が駆動力制限バネ88の付勢力に抗して/従ってスライダ受部材82の外周面に沿って進退し、一定以上の力が軸方向先端側に伝えられることが防止される。
スライダ受部材82の内周面には、プローブユニット14が位置決めされる導電性を有する筒状の位置決め部材90が配設されている。この位置決め部材90は、スライダ受部材82のフランジ部82aのさらに基端部側で第4のピン70dによって固定されている。図7(C)に示すように、位置決め部材90の内周面には、互いに対向する平行平面90a,90bが形成されている。このため、図2(B)に示すプローブユニット14の異形断面形状部48の平行平面48a,48bが所定の位置で位置決めされた状態で装着される。
図4および図5に示すように、位置決め部材90の基端部の外周面には、導電性を有する接点パイプ92の先端部が嵌合により連結されている。
操作部本体54の基端部上方には、高周波電源(電気メス用電源)に接続される高周波接続ピン94が絶縁カバー94aを介して後傾された状態で取り付けられている。絶縁カバー94aは、例えば不完全な状態で高周波電源に高周波接続ピン94が配設された場合の電気的安全性を高めるために配設されている。
操作部本体54の基端部の内周面には、高周波接続ピン94の下端部が当接されるとともに、電気的に接続された状態で振動子ユニットガイド96が装着されている。この振動子ユニットガイド96の基端部の外周面には、図2に示す係合リング(Cリング)34を受けるCリング受部材98が操作部本体54の内周面に螺合されている。このため、Cリング受部材98とガイド96とにより、振動子ユニット16のユニット連結部32が係合される振動子接続部99が形成されている。
このガイド96の基端部には、断面がL字状のコネクタ92aが第5のピン70eによって装着されている。コネクタ92aは、接点パイプ92の外周面に弾性変形した状態で一定の力で付勢されて接触している。このコネクタ92aの先端部は、断面がU字状に形成され、U字状の底部は接点パイプ92の外側よりも内側になるように設計されている。このため、コネクタ92aは、接点パイプ92の外周面に対して外方向に弾性変形して線接触されている。このような構成により、例えば、プローブユニット14をハンドルユニット22の操作部本体54に装着する場合、接点パイプ92や位置決め部材90に径方向内方に突出した部材が設けられていないので、プローブユニット14の処置部46の先端部等を引っ掛けることなく、容易かつ、確実に装着することが可能である。
なお、上述した高周波接続ピン94は、振動子ユニットガイド96のコネクタ92aによって接点パイプ92に電気的に接続されている。また、接点パイプ92と位置決め部材90とが嵌合により連結されているので、高周波接続ピン94は、位置決め部材90にも電気的に接続されている。
このようにして、ハンドルユニット22が構成されている(図2(A)参照)。
図8に示すように、シースユニット24は、ツマミ112と、シースユニット用接続部材114と、絶縁チューブ116と、長尺パイプ118と、先端カバー120とを備えている。
シースユニット用接続部材114の基端部には、二又に分岐された1対の固定アーム114a,114bが延出されている。これら固定アーム114a,114bの基端部には、径方向外方に突出した外方突出部として固定部(第4の装着機構)114c,114dが形成されている。これら固定部114c,114dはハンドルユニット22の上述したシース接続部材72に係脱可能である。
図6(A)および図8に示すように、固定アーム114a,114bの基端部には、径方向内方に突出した内方突出部114e,114fが形成されている。図8に示すように、シースユニット用接続部材114の内側には、上述したジョーユニット26の後述するジョーユニット用接続部材126(図9参照)の外周面に密着して気密を確保するリング状のパッキン114gが装着されている。このため、組み付け状態ではシースユニット24とジョーユニット26との隙間から、例えば内視鏡下外科手術で使用される気腹ガスがハンドル56,58側に抜けることが防止される。
図8に示すように、シースユニット用接続部材114の先端側には、長尺パイプ118が装着されている。この長尺パイプ118の先端部には、1対のカム溝(第2の凹部)118aが形成されている。これらカム溝118aは、長尺パイプ118の先端から基端側に向かって軸方向に延びた部位と、この部位の基端側端部に対して直交し、長尺パイプ118の軸中心に対して約60°傾けられた位置まで延びた部位とにより略L字状に形成されている。これらカム溝(第5の装着機構)118aには、ジョーユニット26(図9参照)の後述するジョー支持部材(作用部支持部材)132のアーム132c,132dの外方突出部(第3の装着機構)132i,132j(図8および図10(B)参照)が係合される。長尺パイプ118の先端部の外周には、カム溝118aを覆う先端カバー120が配設されている。この先端カバー120の先端面は、径方向外方に突出した縁部を備えている。
シースユニット用接続部材114の外周には雄ネジ部が設けられ、この雄ネジ部は円筒状のツマミ112の内周にある雌ネジ部と螺合されている。ツマミ112の外周面には滑り止め112aが形成されている。先端カバー120と長尺パイプ118の外周には絶縁チューブ116が被覆されている。図10(A)に示すように、絶縁チューブ116の先端側は、先端カバー120の先端にある縁部に当接されている。図5に示すように、絶縁チューブ116の基端部はツマミ112の内周面まで延出されている。このようにして、シースユニット24が構成されている。(図2(A)参照)。
図9に示すように、ジョーユニット26は、ジョーユニット用接続部材126と、駆動パイプ(駆動軸)128と、保護部材130と、ジョー支持部材132と、先端作用部134とを備えている。
ジョー支持部材132は、筒状を有し、先端部および基端部にそれぞれ1対のアーム132a,132b,132c,132dを備えている。先端部側のアーム132a,132bを第1のアームとし、基端部側のアーム132c,132dを第2のアームとする。第2のアーム132c,132dの基端部には、突出部132e,132fが形成されている。図10(B)に示すように、これら突出部132e,132fは、それぞれジョー支持部材132の第2のアーム132c,132dの内方に突出した内方突出部132g,132hと、外方に突出した外方突出部132i,132jとを備えている。内方突出部132g,132hは、駆動パイプ128の後述する長穴(第1の凹部)128aに係合されている。一方、外方突出部132i,132jは、シースユニット24の長尺パイプ118の先端部のカム溝118a(図8参照)に係合される。
ジョーユニット用接続部材126は、円筒状に形成されている。この接続部材126の基端部には、1対のカム溝126aが形成されている。これらカム溝126aは、ジョーユニット用接続部材126の基端から先端側に向かって斜めに延びた部位と、この部位の先端側端部から、接続部材126の軸方向に対して直交する方向に延びた部位とにより形成されている。これらカム溝126aには、上述したハンドルユニット22の駆動パイプ接続部材80の駆動パイプ接続ピン80a(図5参照)がそれぞれ係脱可能である。ジョーユニット用接続部材126の基端部寄りには、この接続部材126の軸方向に沿って1対の長穴126bが形成されている。これら長穴126bには、シースユニット24の接続部材114の固定アーム114a,114bの内方突出部114e,114f(図8参照)が係脱可能である。
ジョーユニット用接続部材126の先端部の内周面には、駆動パイプ128の基端部の外周面が例えば接着や溶接などにより固定されている。駆動パイプ128の先端部は、ジョー支持部材132の内側で長手方向に摺動可能に配設されている。この駆動パイプ128の先端部近傍には、駆動パイプ128の軸方向に沿って1対の長穴128aが形成されている。これら長穴128aには、上述したように外側からジョー支持部材132の第2のアーム132c,132dの内方突出部132g,132hが嵌合されている。このため、駆動パイプ128は、ジョー支持部材132に対して長手軸方向に摺動可能であるが、回転方向には固定されている。
図10(A)に示すように、駆動パイプ128の内周面で、長穴128aよりもやや先端部寄りには、径方向内方に突出した内方突出部128bが形成されている。駆動パイプ128の先端部の内周面には、筒状の保護部材(筒状部材)130の外周面が例えば接着により固定されている。この保護部材130の外周面には、環状溝(溝部)130aが形成されている。この環状溝130aには、駆動パイプ128の内方突出部128bが係合されている。
駆動パイプ128の先端部には、駆動パイプ128の先端縁部から駆動パイプ128に一体的に先端側に延出されたピン受部128cが形成されている。すなわち、このピン受部128cは、駆動パイプ128の先端縁部からタブ状に一部が延出されている。このピン受部128cの先端部は、駆動パイプ128の径方向内方側に丸められている。このため、このピン受部128cで後述する連結ピン142が配設されるとともに、この連結ピン142がジョー本体136に配設されて、駆動パイプ128とジョー本体136とが連結されている。
図9に示すように、先端作用部134は、基端部が略アーチ型の形状のジョー本体136と、対象物(生体組織)を把持する把持部材138とを備えている。ジョー本体136は、先端部で連結された状態で基端部で二又状に分岐された1対のアーム136a,136bを備えている。このため、ジョー本体136の基端部には、所定の隙間が形成されている。把持部材138は、例えばPTFE等、耐熱性を有するとともに接触する部材に対する摩擦抵抗を低くする材料で形成されている。この把持部材138には、凝固切開対象の生体組織を把持する把持面側に滑り止めの歯が複数並設され、鋸歯状に形成された滑り止め歯部(把持面)138aが形成されている。この把持部材138の把持面138aによって凝固切開対象の生体組織を滑ることなく把持可能である。この把持部材138の把持面138aに対して反対側には、ジョー本体136の1対のアーム136a,136b間に嵌合される突起部138bが形成されている。このため、図11(B)および図11(C)に示すように、把持部材138は、ジョー本体136の隙間に対して嵌合されて例えば接着により装着されている。
図9に示すように、ジョー本体136の各アーム136a,136bの基端部には、脚部136c,136dが形成されている。ジョー支持部材132の第1のアーム132a,132bと、ジョー本体136のアーム136a,136bの基端部の脚部136c,136dとは、枢支ピン140a,140bによって連結されている。すなわち、ジョー本体136は、ジョー支持部材132に枢支ピン140a,140bによって連結されている。このため、ジョー本体136は、ジョー支持部材132の先端部に対して回動可能である。
ジョー本体136の各アーム136a,136bの基端部で、脚部136c,136dの上縁部側には、駆動パイプ128の先端部のピン受部128cと連結ピン142によって連結されるピン穴挿通部が形成されている。このため、駆動パイプ128の先端部のピン受部128cと、ジョー本体136のアーム136a,136bの基端部とは、連結ピン142によって連結されている。したがって、駆動パイプ128をジョーユニット26の軸方向に沿ってジョー支持部材132に対して進退させると、先端作用部134が枢支ピン140a,140bを支点としてジョー支持部材132の先端部に対して回動される。
ここで、駆動パイプ128を先端側に前進させることにより先端作用部134が閉じられる。この先端作用部134の閉操作時には、プローブユニット14の振動伝達部材40の処置部46に対して先端作用部134の把持部材138を押し付けることにより、処置部46と先端作用部134の把持部材138との間で対象物(生体組織)が把持される。なお、先端作用部134は、生体組織を剥離させる場合にも使用される。
さらに、万一強度的に一番弱い駆動パイプ128の先端部のピン受部128cの一部が破損しても、ジョー支持部材132と駆動パイプ128は長穴128aと内方突出部132g,132hの係合により互いに回転固定されているため、組み付け時はシースユニット24に対してもジョー支持部材132が回転固定される。よって、ジョー支持部材132の外方突出部132i.132jとシースユニット24のカム溝118aとの係合が外れることが防止される。
このようにして、ジョーユニット26が構成されている(図2(A)参照)。
ところで、図11(A)に示すように、ジョー本体136のアーム136a,136bの基端部の基端面は、上述したように、アーチ状に形成されている。このため、アーム136a,136bの基端部や、その脚部136c,136dの強度は、同じ肉厚である場合と比較すると、例えば略矩形状やU字状の場合よりも高められている。そうすると、アーム136a,136bの基端部や、その脚部136c,136dは、同じような強度を維持しながら、略矩形状やU字状の場合よりも薄肉に形成されている。このため、ジョー本体136の基端部の基端面は、同じ強度を維持しながら略矩形状やU字状の場合よりも小さく形成されている。このように、ジョー本体136の基端部の基端面が小さく形成されていることによって、ジョー本体136は、全体的に小さく形成されている。
ジョー本体136のアーム136a,136bの外周面で、脚部136c,136dの前方位置には、突起部136eが形成されている。これら突起部136eは、脚部136c,136dの肉厚よりも厚く形成されている。図11(B)および図11(C)に示すように、ジョー支持部材132の先端部のアーム132a,132bには、ジョー本体136の突起部136eに当接される突出部132kが形成されている。このため、例えば図11(C)に示すように、突起部136eと突出部132kとが当接された場合であっても、ジョー本体136のより厚肉の突起部136eでジョー支持部材132の突出部132kを受けることができるので、把持部材138とプローブユニット14の処置部46との間に何も挟まない状態でジョー本体136を閉じても処置部46などに大きな力が加えられることが防止される。すなわち、超音波振動による処置部46への応力が制限され、プローブユニット14の疲労破壊が防止される。
次に、この実施の形態に係る超音波処置具10の作用について説明する。
超音波処置具10は、図2に示すように、本体ユニット12と、プローブユニット14と、振動子ユニット16とに分離されている。本体ユニット12は、ハンドルユニット22と、ジョーユニット26と、シースユニット24とに分離されている。
超音波処置具10を組み立てる場合、ここでは、先に図12に示すシースユニット24とジョーユニット26とを組み付けて挿入部ユニット28を組み立てる。
図13(A)中に矢印αで示すように、シースユニット24の先端部から基端部に向かってジョーユニット26を内挿する。シースユニット24に対してジョーユニット26をそれ以上挿入することができない位置まで挿入する。ここで、ジョーユニット26のジョー支持部材132の第2のアーム132c,132dの外方突出部132i,132j(図10(B)参照)をシースユニット24の長尺パイプ118のカム溝118a(図8参照)の開口縁部に合わせる。このようにして、シースユニット24に対してジョーユニット26を位置決めする。
この状態で、シースユニット24に対してジョーユニット26の挿入を続ける。ジョーユニット26の基端部のジョーユニット用接続部材126の基端縁部が、シースユニット24の基端部のシースユニット用接続部材114の基端部の固定アーム114a,114bの内方突出部114e,114f(図8参照)に突き当たる。内方突出部114e,114fは、1対の固定アーム114a,114bの基端部に形成されているので、固定アーム114a,114bが所定の力で押し込むと広がるのにともなって広げられる。すなわち、内方突出部114e,114fは、固定アーム114a,114bの弾性変形により互いに離隔する方向に広げられる。
一方、ジョーユニット26のジョー支持部材132の外方突出部132i,132jが、シースユニット24の長尺パイプ118のカム溝118aの基端部に突き当てられる位置まで挿入される。このとき、ジョーユニット26のジョー支持部材132の段差部(アーム132c,132dの先端)が、シースユニット24の先端カバー120の先端面に突き当たる。
図13(B)中に矢印βで示すように、把持部材138の把持面(歯部)138aを手前側に向けた状態で、シースユニット24に対してジョーユニット26の把持面138aを手前側から下向きに回動させる。すなわち、シースユニット24をジョーユニット26に対して相対的に奥側(時計周り)に回転させる。言い換えると、ジョーユニット26をシースユニット24に対して相対的に手前側(反時計周り)に回転させる。
すると、ジョーユニット26のジョー支持部材132の外方突出部132i,132jが、約60°回転されてシースユニット24のL字状のカム溝118aの最奥位置に突き当てられて係合される。
このとき、ジョーユニット26の基端部の接続部材126の1対の長穴126bに、シースユニット24の固定アーム114a,114bの1対の内方突出部114e,114fがそれぞれ外方から嵌合される(図5および図6(A)参照)。すなわち、固定アーム114a,114bの弾性変形が元の状態に戻される。
したがって、ジョーユニット26がシースユニット24に対して2つの位置で組み付けられて、図13(C)に示す挿入部ユニット28が構成される。この状態では、ジョーユニット26をシースユニット24に対して一定以上の力で反時計周りに回転させる場合以外、ジョーユニット26がシースユニット24から抜け落ちることが防止される。
次に、シースユニット24とジョーユニット26とを一体化させた挿入部ユニット28をハンドルユニット22に組み付ける。この場合、図14(A)に矢印γで示すように、ハンドルユニット22の先端部のシース接続部材72の先端部の内側を通して挿入部ユニット28を内部に挿入する。
シースユニット24の基端部の接続部材114の固定部(外方突起部)114c,114dを、ハンドルユニット22の図6(A)に示すシース接続部材72のスリット(拡張穴)72a,72bに一致させて挿入する。このため、挿入部ユニット28は、ハンドルユニット22に対して位置決めされる。
なお、シースユニット24の接続部材114の固定部114c,114dをハンドルユニット22のシース接続部材72のスリット72a,72bに一致させない場合、ハンドルユニット22に対してシースユニット24をスムーズに挿入することが出来ない。
また、上述の挿入部ユニット28の組み立てにおいて、ジョーユニット26をシースユニット24に突き当たるまで挿入した後、ジョーユニット26をシースユニット24に対して回転させていない場合、または、不完全に回転させた場合は、シースユニット24の基端の固定アーム114a,114bの内方突出部114e,114fがジョーユニット26の基端部の接続部材126の長穴126bと嵌合されておらず、固定アーム114a,114bは互いに隔離する方向に広がったままの状態となる。この場合、固定部114c,114dの外径は、シース接続部材72の内部のスリット72a,72b(図6(A)参照)よりも大きくなり、挿入することが出来ない。
ハンドルユニット22に位置決めされた挿入部ユニット28は、シースユニット用接続部材114の固定部114c,114dが回転固定部材68の先端部に突き当てられる。この状態で、さらに挿入部ユニット28をハンドルユニット22に挿入する。回転固定部材68をコイルバネ78の付勢力に抗して操作部本体54の基端部側に移動させ、回転固定部材68の基端部を駆動パイプ接続部材80の外周面に突き当てる。
すると、駆動パイプ接続部材80の先端部の駆動パイプ接続ピン80aがジョーユニット26の基端部の接続部材126のカム溝126aの後端の開口部に配置される。一方、シースユニット用接続部材114の固定部114c,114dは、シース接続部材72内の回転方向の位置決め用のスリット72a,72bを基端部側に抜けて、軸回りに回転可能となる。
図14(B)中に矢印δで示すように、先端作用部134の把持面138aを手前側に向けた状態で、ハンドルユニット22に対して挿入部ユニット28の把持面138aを手前側から下向きに回動させる。すなわち、ハンドルユニット22を挿入部ユニット28に対して相対的に奥側(時計周り)に回転させる。言い換えると、挿入部ユニット28をハンドルユニット22に対して相対的に手前側(反時計周り)に回転させる。
すると、図6(A)に示すように、固定アーム114a,114bが回転固定部材68の先端部のスリット部68a,68bと軸回り回転方向の位置が一致したときにコイルバネ78により先端側に付勢されている回転固定部材68は、第1のピン70aが回転繋部材66のスリット66cの先端側に突き当たる位置まで戻り、回転固定部材68のスリット部68a,68bと、シースユニット用接続部材114の固定アーム114a,114bの固定部114c,114dとが噛み合う。このため、シースユニット24は、回転固定部材68に軸回りに回転固定される。図5に示すように、このとき同時に、駆動パイプ接続ピン80aは、ジョーユニット26の接続部材126の基端部のカム溝126aにより奥位置まで引き込み挿入されて軸方向に固定される。
さらに、シースユニット用接続部材114の固定アーム114a,114bの固定部(外方突起部)114c,114dがシース接続部材72のスリット72a,72bと軸回り回転方向の位置がずれるため(図6(A)参照)、ハンドルユニット22に対してシースユニット24は軸方向(長手方向)に固定される。さらにシースユニット用接続部材114の固定アーム114a,114bは外周をハンドルユニット22のシース接続部材72内側の穴部で径方向外方への変形を抑えられているため、挿入部ユニット28とハンドルユニット22とを組み付けた状態では、ジョーユニット26はシースユニット24に対して完全に回転固定される。このため、ジョー支持部材132の外方突出部132i,132jとシースユニット24の長尺パイプ118のカム溝118aとの係合が外れることはなく、ジョー支持部材132はシースユニット24に対して軸方向に完全に固定される。これにより挿入部ユニット28は回転固定部材68と相対的に軸回りに回転固定される。これに伴い第1のピン70aにより、回転繋部材66、第3のピン70cを介して駆動パイプ接続部材80が互いに軸回りに回転固定される。これにより、駆動パイプ接続部材80の駆動パイプ接続ピン80aは、回転固定部材68を基端側に移動させて、挿入部ユニット28と駆動パイプ接続部材80とを互いに回転可能な状態にしない限り、ハンドルユニット22から外れることが防止される。
したがって、挿入部ユニット28がハンドルユニット22に対して2つの位置で組み付けられて、図14(C)に示す本体ユニット12が構成される。
さらに、図2に示すように、プローブユニット14と振動子ユニット16とを連結する。この場合、プローブユニット14の基端部の取り付けネジ44aを、振動子ユニット16のホーンの先端部のプローブ取付部のネジ穴部に螺合する。
この状態のプローブユニット14をハンドルユニット22の基端部から挿入部ユニット28の先端部に向かって挿入する。挿入していく際にプローブユニット14の異形断面形状部48の平行平面48a,48b(図2(B)参照)は、ハンドルユニット22の位置決め部材90の平行平面90a,90bによって決められた位置に位置決めされる。例えば本実施の形態の場合は180°対称に2ケ所の位置で挿入可能であるが、術者はプローブユニット14の処置部46とジョーユニット26の先端作用部134と形状が一致する方向で挿入を行なう。
さらにプローブユニット14の基端部まで挿入し、振動子ユニット16のユニット連結部32(図2(A)参照)をハンドルユニット22の基端部に装着する。すると、ハンドルユニット22の振動子ユニットガイド96とCリング受部材98で形成される振動子接続部99に振動子ユニット16のユニット連結部32が係合される。するとプローブユニット14の処置部46が先端作用部134に対峙する位置に突出されて超音波処置具10(図1参照)が組み立てられる。
このように組み立てられた超音波処置具10の動作について説明する。
術者が回転ノブ74を回転させると、回転ノブ74と回転可能に固定された第1のピン70aを介して回転繋部材66が追従して回転する。回転繋部材66が回転すると、回転繋部材66の先端部の内周面で固定されたシース接続部材72、固定部材76が回転する。
さらに、回転繋部材66のスリット66cと係合した第3のピン70cと連結された駆動パイプ接続部材80が回転する。駆動パイプ接続部材80が回転すると、第2のピン70bで連結されたスライダ受部材82が回転する。スライダ受部材82が回転すると、第4のピン70dで連結された位置決め部材90が回転する。さらに、第1のピン70aに連結された回転固定部材68、回転固定部材68のスリット部68a,68bと係合しているシースユニット24のシースユニット用接続部材114、シースユニット用接続部材114の内方突出部114e,114fと係合しているジョーユニット26のジョーユニット用接続部材126も回転する。これらの部材と一体的に固定されている他の部材も追従して回転する。すなわち、術者が回転ノブ74を回転させると、回転固定部材68、回転繋部材66、シース接続部材72、駆動パイプ接続部材80、スライダ受部材82、位置決め部材90、接点パイプ92、振動子ユニットガイド96が操作部本体54に対して相対的に回転する。このため、回転ノブ74を回転させると、シースユニット24およびジョーユニット26も回転ノブ74の回転に追従して回転する。
次に、術者が固定ハンドル56と可動ハンドル58のそれぞれの指掛孔56a,58aを保持して、固定ハンドル56に対して可動ハンドル58を回動させる。固定ハンドル56の指掛孔56aに対して可動ハンドル58の指掛孔58aを近接させる。すなわち、固定ハンドル56および可動ハンドル58を相対的に閉じる。
可動ハンドル58は、操作部本体54の支点ピン60を支点として回動する。可動ハンドル58の動作に連動して、作用ピン62が支点ピン60を支点として円弧状に移動する。作用ピン62の端部は、操作部本体54の内部でスライダ86のピン受部86aに係合されているので、スライダ86は、軸方向先端側に押し出され、可動ハンドル58を閉じる力は軸方向先端側の力に変換される。可動ハンドル58を開く操作をすると逆にスライダ86は軸方向後端側に押し出され、可動ハンドル58を開く力は、軸方向後端側の力に変換される。
スライダ86はスライダ受部材82に駆動力制限バネ88により軸方向後端側に一定の力で付勢されているため、可動ハンドル58の閉操作による軸方向先端側の力がこの駆動力制限バネ88の装備力量以下の場合は、スライダ受部材82、駆動パイプ接続部材80と一体的に先端方向にスライドする。可動ハンドル58の閉操作による軸方向先端側の力がこの駆動力制限バネ88の装備力量以上になった場合は、スライダ86は駆動力制限バネ88に抗してスライダ受部材82、駆動パイプ接続部材80に対して軸方向先端側にスライドし、一定以上の軸方向先端側の軸力が駆動パイプ接続部材80に伝達されることが防止される。
可動ハンドル58の閉操作による軸方向先端側の力が駆動力制限バネ88の装備力量以下の場合は、上述のように駆動パイプ接続部材80も一体的に先端側にスライドする。軸方向先端側の力は駆動パイプ接続ピン80aを介してこれと係合しているジョーユニット26基端部にあるジョーユニット用接続部材126に伝達される。ジョー支持部材132はシースユニット24との係合により軸方向に固定されているため、ジョーユニット用接続部材126と連結されている駆動パイプ128はジョー支持部材132に対して先端方向に摺動する。さらに駆動パイプ128は先端部のピン受部128cでジョー本体136と連結され、ジョー本体136はさらにジョー支持部材132と枢支ピン140a,140bにより回動可能に取り付けられているため、ジョー本体136は枢支ピン140a,140bを支点として下側に回動する(図11(C)参照)。
したがって、先端作用部134の把持部材138の把持面138aとプローブユニット14の処置部46との間に生体組織を挟み可動ハンドル58を閉じることで生体組織が把持される。逆に可動ハンドル58を固定ハンドル56に対して開く方向に操作した場合は、上述した作用と逆の作用により、ジョー本体136が枢支ピン140a,140bを支点として上側に回動し、ジョー本体136、把持部材138を開く操作が可能となる。
生体組織を把持した状態で振動子ユニット16の超音波振動子を振動させると、プローブユニット14の最大径部44からホーン部42、振動伝達部材40を通して処置部46に超音波振動が伝達される。生体組織はプローブユニット14の処置部46に対して、ジョー本体136を介して把持部材138の把持面138aより閉じる方向の力を受けている。この状態で超音波振動が伝達されると生体組織が処置部46に接している面で摩擦熱が発生し、凝固作用が生まれる。さらに凝固作用により脆くなった生体組織は超音波振動により機械的に切断され、凝固、切開の処置が行われる。
一方、高周波接続ピン94に図示しない高周波電源から高周波電流を供給するためのコードを接続し、高周波電源から高周波電流を供給する。すると、高周波接続ピン94、振動子ユニットガイド96、コネクタ92a、接点パイプ92、位置決め部材90を通してプローブユニット14の異形断面形状部48からプローブユニット14に高周波電流が流れる。このため、高周波電流は、異形断面形状部48、ホーン部42、振動伝達部材40を通して処置部46に伝達される。したがって、先端作用部134の把持部材138の把持面138aと、この把持面138aに対峙されたプローブユニット14の処置部46との間に生体組織を把持した状態や、処置部46を生体組織に接触させた状態で高周波電流を供給すると、ジュール熱により生体組織が処置部46により高周波処置される。
さらに万一ジョーユニット26の駆動パイプ128の強度上一番弱いピン受部128cが破断しても、ジョー支持部材132の内方突出部132g,132hと駆動パイプ128の長穴128aとが係合し、回転方向に固定されているため、ジョー支持部材132は駆動パイプ128、ジョーユニット用接続部材126を介してシースユニット24に対して回転固定される。したがって、ジョー支持部材132の外方突出部132i,132jとシースユニット24の長尺パイプ118先端部のカム溝118aとの係合が解除されることはなく、ジョー支持部材132から先端部が脱落することが防止される。
上述した超音波処置や高周波処置が終了した後、各ユニット14,16,22,24,26を洗浄等するために超音波処置具10を分解する。この場合、先ず、プローブユニット14および振動子ユニット16を上述した作用と逆の作用によりハンドルユニット22から取り外す。
図15(A)中に矢印εで示すように、ハンドルユニット22の回転ノブ(ロック解除機構)74を操作部本体54の基端部側に引く。回転ノブ74の後端面が第1のピン70aの頭部に当接されているので、回転固定部材68は、コイルバネ78を回転繋部材66のフランジ部66b側に縮めながら操作部本体54の基端部側に移動する。このとき、回転固定部材68の先端部のスリット部68a,68b(図6(A)参照)と、固定アーム114a,114bの固定部114c,114dとの係合が解除される。すなわち、回転固定部材68と、シースユニット用接続部材114との係合が解除され、挿入部ユニット28がシース接続部材72に対して回転可能となる。
この状態で、シースユニット24のツマミ112を把持して、シースユニット24およびジョーユニット26を一体化させた挿入部ユニット28を超音波処置具10を組み立てたときの作業に対して逆の方向に約60°回転させる。すなわち、図15(A)中に矢印ζで示すように回転させる。すると、シースユニット用接続部材114の固定部(外方突出部)114c,114dと、シース接続部材72のスリット72a,72bの位置とが一致する。
また、同時に、駆動パイプ接続部材80の駆動パイプ接続ピン80aがジョーユニット用接続部材126の基端のカム溝126aの開口部に配置されて軸方向の係合が外れる。この状態で、図15(C)中に矢印ηで示すように、シース接続部材72から挿入部ユニット28を取り外す。
次に、挿入部ユニット28をシースユニット24およびジョーユニット26に分解する。この場合、シースユニット24およびジョーユニット26を組み付ける作業に対して逆の操作を行なう。すると、挿入部ユニット28がシースユニット24およびジョーユニット26に分解される。
次に、プローブユニット14と振動子ユニット16とを分解する。このため、超音波処置具10をプローブユニット14、振動子ユニット16、ハンドルユニット22、シースユニット24およびジョーユニット26の5つのユニットに分解する作業を終了する。
この状態で、各ユニット14,16,22,24,26を洗浄消毒し、再使用可能な状態にする。再使用する場合、上述したように超音波処置具10を組み立てる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
例えばハンドルユニット22、シースユニット24、ジョーユニット26のいずれかの一部が摩耗したり、破損した場合であっても、摩耗したり破損したユニットのみを交換して組み立てると再び超音波処置具10として使用することができるので、交換に伴うコストを低く抑えることができる。
また、本体ユニット12においては、シースユニット24およびジョーユニット26をハンドルユニット22から取り外すことができるので、特別な専用の洗浄具を用いることなく各ユニット22,24,26を短時間に確実に洗浄することができる。このため、本体ユニット12の洗浄にかけるコストを低く抑えることができる。
さらに、超音波処置具10の使用中、大きな力がかかるジョーユニット26の駆動パイプ128においては強度上一番弱くなる先端部のピン受部128cが破損してもジョー支持部材132は駆動パイプ128と回転固定されているためシースユニット24の長尺パイプ118先端部のカム溝118aとの係合が解除されることはなくジョー支持部材132から先端部が脱落することが防止される。
なお、この実施の形態では、挿入部ユニット28を構成してから挿入部ユニット28をハンドルユニット22に装着して本体ユニット12を組み立てる作用について説明したが、例えばシースユニット24をハンドルユニット22に装着してからジョーユニット26をシースユニット24およびハンドルユニット22に装着して本体ユニット12を組み立てる構造にしても良い。
また、本体ユニット12を3つのユニット22,24,26に分解する場合、ハンドルユニット22から挿入部ユニット28を分解した後、挿入部ユニット28を2つのユニット24,26に分解する作用について説明したが、例えばハンドルユニット22からジョーユニット26を分離した後、ハンドルユニット22からシースユニット24を分離する構造にしても良い。
次に、第2の実施の形態について図16ないし図18を用いて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
この実施の形態では、例えば、第1の実施の形態で説明したプローブユニット14の湾曲したタイプの処置部46(図2(A)参照)ではなく、図16(A)に示すように、ストレートに延びたタイプの処置部46Aを使用する。プローブユニット14の先端の処置部46の形状が異なる場合、共振周波数が同じになるように設計した場合はプローブユニット14の長さはそれぞれ異なるものとなる。共通のシースユニット24を使用可能とするには、振動子ユニット16とハンドルユニット22との組み付け位置をずらしたハンドルユニット22が必要となる。このため、図17に示すように、使用したいプローブユニット14に応じて、ハンドルユニット22、ジョーユニット26には、各種のラインナップが必要となる。図17は、その中の一例を示す。
図17中のプローブユニット14の欄には、4つのタイプの処置部46と、それぞれの処置部46に対する異形断面形状部48とを例示する。処置部46は、上から順に、ストレートタイプ46A、先端部が異形状の変形型ストレートタイプ46B、互いに異なる方向に湾曲された湾曲タイプ46C,46Dである。各欄の上側は上面図、下側は側面図である。ストレートタイプの処置部46Aの異形断面形状部48Aは、図16(B)に示すものと同じである。なお、ここでは図示しないが、ストレートタイプの処置部46Aの異形断面形状部48Aは、図2(B)に示すものと同じでも良い。変形型ストレートタイプ、湾曲タイプの処置部46B,46C,46Dの異形断面形状部48Bは、後述する3つの平面部48f,48g,48hと、1つの曲面部とを備えている。
ジョーユニット26の欄には、3つのタイプを示す。最上欄には、プローブユニット14の処置部46がストレートタイプ46Aおよび変形型ストレートタイプ46Bを有するプローブユニット14A,14Bに適合するストレートタイプの先端作用部134Aと、このような先端作用部134Aを有するジョーユニット26Aとを示す。中段欄および下欄には、それぞれ図17中の左側に示すプローブユニット14の処置部46が湾曲タイプ46B,46Cを有するプローブユニット14C,14Dに適合する湾曲タイプの先端作用部134B,134Cと、このような先端作用部134B,134Cを有するジョーユニット26B,26Cとを示す。各欄の上段は先端作用部134の上面図、中段は先端作用部134の側面図、下段はジョーユニット26の側面図である。
ハンドルユニット22の欄には、4つのタイプを示す。最上欄のハンドルユニット22Aおよび上から3段目のハンドルユニット22Cは、外観上は同じタイプであるが、例えば位置決め部材90や駆動パイプ接続部材80のような内部構成が異なる。同様に、2段目のハンドルユニット22Bおよび最下欄のハンドルユニット22Dは、外観上は同じタイプであるが、内部構成が異なる。これらハンドルユニット22B,22Dは、可動ハンドル58を操作部本体54の中心軸に対して図17中の上側に配置したものである。
ハンドルユニット22には、これらラインナップ中の互いに誤った組み合わせのユニット同士が組み付けられることを防止する誤装着防止機構がある。以下、誤装着防止機構について例示する。
上述したように、プローブユニット14はその先端の処置部46の形状の違うものに対して共振周波数を合わせる設計を行なうと軸方向の長さが数ミリメートル異なる。よって図17中に示すプローブユニット14の処置部46は、ストレートタイプ46Aと、変形型ストレートタイプ46Bとで長さが異なる。湾曲タイプ46C,46Dは、湾曲の度合が同じであるので、互いに同じ長さとなる。また、ストレートタイプ46Aおよび変形型ストレートタイプ46Bと、湾曲タイプ46C,46Dとを比較しても、長さが異なる。
このような長さ違いの複数のプローブユニット14A,14B,14C,14Dに対して、1種類のシースユニット24で使用可能にするためには、ジョーユニット26の先端作用部134の長さや、ハンドルユニット22と振動子ユニット16の突き当ての位置を調整する。例えば、ストレートタイプ46Aおよび変形型ストレートタイプ46Bの処置部を備えた本実施の形態のプローブユニット14では、ジョーユニット26の先端作用部134は同じものを使用することができる。
しかしながら、プローブユニット14の長さが異なるため、同じ長さのジョーユニット26、シースユニット24と組み合わせるためにはハンドルユニット22に対する振動子ユニット16の突き当て位置を変える必要がある。例えば本実施の形態の場合、プローブユニット14A用にはハンドルユニット22A,22Bのいずれかが必要となり、プローブユニット14B,14C,14D用にはハンドルユニット22C,22Dのいずれかが必要となる。さらに、変形型ストレートタイプ46B、湾曲タイプ46C,46Dの処置部46を有するプローブユニット14の長さに対応するジョーユニット26は、ジョーユニット26A,26B,26Cのそれぞれの先端作用部134A,134B,134Cの長さが異なるだけである。このため、ハンドルユニット22C,22Dと振動子ユニット16との突き当て位置(装着位置)は同じとなる。そうすると、ジョーユニット26A,26B,26Cに対してハンドルユニット22C,22Dを使用することができる。また、プローブユニット14B,14C,14Dに対してハンドルユニット22C,22Dを使用することができる。
図16(A)に示すプローブユニット14Aは、図17に示すストレートタイプの円筒状の処置部46Aを備えている。この場合、処置部46Aは完全な円筒形状であるため、ジョーユニット26Aの先端作用部134Aにある把持部材138に対して軸回りにどの位置に当接しても機能する。よって、図16(B)に示すように、異形断面形状部48Aの外周面は、円周上3等分に3つの平面部48c,48d,48eが設けられている。すなわち、異形断面形状部48Aの中心に対して対称的に平面部48c,48d,48eが形成されている。
プローブユニット14Aが装着されるハンドルユニット22A,22Bには、図示しないが、この異形断面形状部48Aと同じ形状の穴部を有する位置決め部材(第1の着脱機構)90Aが形成されている。このため、プローブユニット14Aはハンドルユニット22A,22Bの位置決め部材90Aに対して軸回りに60°毎に組み付けることができる。
図17に示すプローブユニット14B,14C,14Dの処置部46B,46C,46Dは、各々対応するジョーユニット26A,26B,26Cの先端作用部134A,134B,134Cと1通りに当接するように位置決めが必要となる。そのため、図17中に示すように、異形断面形状部48Bの外周面には、平面部48f,48g,48hが90°づつ3箇所に設けられている。平面部48f,48hを繋ぐ面は、例えば曲面や複数の平面など、1つの平面以外に形成されていることが好ましい。
プローブユニット14B,14C,14Dが装着されるハンドルユニット22C,22Dには、図示しないが、この異形断面形状部48Bと同じ形状の穴部を有する位置決め部材(第1の着脱機構)90Bが形成されている。このため、プローブユニット14B,14C,14Dはハンドルユニット22C,22Dの位置決め部材90B、スライダ受部材82、駆動パイプ接続部材80に対して1通りでしか組み付けることができない。
さらに、本実施の形態では図18(A)および図18(B)に示すように、ハンドルユニット22A,22B,22C,22Dの駆動パイプ接続部材80の先端には、駆動パイプ接続ピン(第2の着脱機構)80aが、1つだけ配設されている。ジョーユニット26A,26B,26Cのジョーユニット用接続部材126には、この1つの駆動パイプ接続ピン80aと係合するカム溝126aが1つだけ設けられている。このような構成によりジョーユニット26とシースユニット24を組み付けた挿入部ユニット28は、ハンドルユニット22の駆動パイプ接続部材80、スライダ受部材82、位置決め部材90に対して1箇所でしか組み付けられないように位置決めされる。
このため、図17中に示すように、プローブユニット14Aの異形断面形状部48Aとプローブユニット14B,14C,14Dの異形断面形状部48Bとは互いに異なる形状を有している。このため、プローブユニット14Aはハンドルユニット22C,22Dと組み付けることができない。プローブユニット14B,14C,14Dはハンドルユニット22A,22Bと組み付けることができない。
プローブユニット14A,14B,14C,14Dとジョーユニット26A,26B,26Cとの誤組み合わせを完全に防止する場合は、ジョーユニット26A,26B,26Cが各々対応するハンドルユニット22と1箇所でしか組み付かないようにハンドルユニット内の駆動パイプ接続ピン80aを2つ以上のそれぞれ異なる数や位置に作成(図5および図6(B)参照)する。一方、ジョーユニット26A,26B,26C側のジョーユニット用接続部材126にもこの駆動パイプ接続ピン80aと係合するように数や位置を合わせたカム溝126aを配設する。そうすると、ジョーユニット26A,26B,26Cが各々対応するハンドルユニット22と1箇所でしか組み付かないようにすることができる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
各種ユニットに適合可能なユニットのみ装着可能な誤装着防止機構を各種ユニットに設けたので、各種ユニットの誤装着を防止することができる。
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
[付記]
(付記項1)
電流を超音波振動に変換するための振動子と、
超音波振動を伝達するためのプローブと、前記プローブ先端部には処置部が備えられており、ハンドルと細長い挿入部と、前記挿入部先端にはハンドルの開閉操作に連動して前記プローブ先端処置部に対侍して開閉動作する把持部を有する超音波凝固切開装置において、
前記ハンドルが前記把持部と、前記ハンドルの開閉操作による駆動力を前記把持部に伝達するための駆動軸とが一体になった処置部ユニットと、
前記処置部ユニットの先端処置部の基端部から前記ハンドルまでを覆うシースユニットと、
術者の手により保持され開閉操作可能なハンドルユニットと
の3つに分解可能であり、前記プローブ先端処置部形状と適合した前記ハンドルユニットと、前記ハンドルユニットと適合した前記処置部ユニットとだけ組付け可能にしたことを特徴とする超音波凝固切開装置
(付記項2)
前記プローブの先端処置部形状と適合した前記処置部ユニットに対してそれ以外の組合せが不可能な機構が設けられた専用の前記シースユニットが存在することを特徴とする付記項1に記載の超音波凝固切開装置。