JP4531570B2 - 封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpAおよび/またはibpB)を欠失あるいは増幅させて目的タンパク質を製造する方法 - Google Patents

封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpAおよび/またはibpB)を欠失あるいは増幅させて目的タンパク質を製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、封入体関連タンパク質(inclusion body−associated protein)をコードする遺伝子(ibpAおよび/またはibpB)を欠失あるいは増幅させて目的タンパク質を製造する方法に係り、より詳しくは、ibpAおよび/またはibpBを欠失させたバクテリアを用いて目的タンパク質を分泌・生産するか、あるいは、ibpAおよび/またはibpBが増幅されたバクテリアを用いて目的タンパク質を封入体の形で得る方法に関する。
組換えDNA技術の発展には目を見張るものがあり、そのおかげで、天然の状態では微量でしか得られなかった医薬用・産業用の有効タンパク質を細菌、酵母、カビ、動植物及び昆虫細胞で大量生産することが可能になった。しかしながら、宿主細胞で目的タンパク質を大量生産すれば、細胞はこれをストレスとして認識し、自分を保護するために多数の分子シャペロン(molecular chaperones)を生産することになる。分子シャペロンはほとんどが熱ショックタンパク質(heat shock proteins:HSPs)であり、全ての細胞に1以上ずつ存在する。
大腸菌の場合、前記HSPsとしてSecB,DnaK,DnaJ,GrpE,GroEL,GroES,IbpA,IbpBなどが知られており、これらは、DNA複製、RNA合成、タンパク質の合成、折り畳み(folding)、再循環(recycling)、細胞の***と成長などに重要な役割を果たす(例えば、下記の非特許文献1参照)。大腸菌の細胞質内における最も代表的なHSPsは、DnaK−DnaJ−GrpEとGroEL−GroESである。DnaKは変性されたタンパク質の疎水性部分に結合し、DnaJにより加水分解された後、GrpEによりDnaKが再循環されつつ天然タンパク質(native protein)に復旧される。このような変性タンパク質の折り畳みは、GroEL−GroESにより加速化される。
HSPsを用いて目的タンパク質の生産性を高めようとする種々なる研究が活発になされている。今までの研究は、大きく目的タンパク質を水溶性の形で生産する方法と、不溶性の封入体として生産する方法とに大別できる。前者は、HSPsを同時に発現させて目的タンパク質の生産性及び活性を高める方法であることを特徴とする。Goloubinoffは、GroELとGroESを用いて活性を有する外来リブロースビスフォスフェイトカルボキシラーゼ(ribulose bisphosphate carboxylases;Rubiscos)タンパク質の生産性を高めた(例えば、下記の非特許文献2参照)。さらに、GeorgiouとValaxは、GroELとGroESまたはDnaKとDnaJをβ−ガラクトシダーゼ(b−Galactosidase)の生産に用いた(例えば、下記の非特許文献3参照)。Murbyは、細胞自体のタンパク質や目的タンパク質の発現と分泌(secretion)に必須となるタンパク質DnaKをアルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase)や融合タンパク質(fusion proteins)と共に発現させた(例えば、下記の非特許文献4参照)。
しかしながら、このようなシステムは、目的タンパク質を生産するのにいくつかの問題点を有している:(1)HSPsタンパク質を過量で同時に発現させるため、全体のタンパク質のうちHSPsタンパク質が占める割合が大きくなり(30−50%)、細胞が目的タンパク質を合成できる最大限の能力(capacity)を相対的に下げる;(2)2つの発現ベクターを用いるため、プラスミドの安定性(stability)が低下する;(3)目的タンパク質の正確な折り畳みは多数の他の分子シャペロンが互いに働くことでなされるため、1ないし2種のシャペロンでは不可能である(例えば、下記の非特許文献5参照)。最近には、このような問題点を一部補完するために、HSPs自体に突然変異が誘発された菌株を用いる方法が開発されている。Baneyxは、DnaK突然変異体を用いて活性を有する目的タンパク質を2ないし4倍と増やした(例えば、下記の特許文献1参照)。
後者は、HSPsの調節因子(rpoH)を欠失させた菌株を用いて目的タンパク質の生産性を高める方法であることを特徴とする。rpoH遺伝子(シグマ32:σ32)を欠失させた菌株は、変性されたタンパク質の折り畳みと分解(degradation)に関連するHSPsの合成を減らすので、プロテアーゼ(protease)により分解され易いタンパク質や不溶性の封入体として生産される目的タンパク質の生産に向いている。Eastonは、rpoH欠失菌株を用いて細胞質内に封入体としてbIGF2(bovine insulin−like growth factor 2)を20−25%ほど生産した(例えば、下記の非特許文献6参照)。Obukowiczは、新規なrpoH欠失菌株を用いて目的タンパク質の生産性を大幅に高めた(例えば、下記の非特許文献7参照)。さらに、Goldbergは、rpoHとlonを欠失させた菌株を用いて目的タンパク質の分解を減らすことにより、目的タンパク質の生産性を高めた(例えば、下記の特許文献2参照)。しかしながら、これらのシステムも目的タンパク質を生産するに当たり、細胞の成長に致命的な影響を与えるという問題点がある。
今まで、sHSPs(small heat shock proteins)は、目的タンパク質の生産に全く用いられていなかった。sHSPsは小さな分子量(15−30kDa)を有するHSPsであり、熱や目的タンパク質の過剰生産などのストレスにより誘導され、タンパク質の変性を保護する。sHSPsは、真核生物(eukaryotes)から原核生物(prokaryotes)に至るまでのあらゆる生物に存在する。今まで究明されているものとしては、ヒト(Human)由来のsHSPs(HSP27,aA−,bB−crystallin)、マウス由来のHSP25、エンドウ(Pisum sativum(pea))由来のHSP18.1、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のHSP26、ダイズ根粒菌(Bradyrizobium japonicum)由来のsHSPs(HSPH,HSPB,HSPC,HSPF)、メタン生成菌(Methanococcus jannaschii)由来のHSP16.5、シネココッカス・ブルカヌス(Synechococcus vulcanus)由来のHSP16、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のHSP16.3が報告されている(例えば、下記の非特許文献8参照)。
特に、組換え大腸菌で目的タンパク質を生産時、sHSPsに属する封入体結合タンパク質であるIbpAおよび/またはIbpBが目的タンパク質に結合されるということが報告されている(例えば、下記の非特許文献9参照)。このため、sHSPsに含まれるIbpAおよび/またはIbpBが生物(特に、バクテリア)からストレスにより変性されたタンパク質を保護するということは明らかな事実である。
組換え大腸菌から目的タンパク質を周辺細胞質(periplasm)や培養液に分泌する方法は、下記のようなメリットを有している:(1)周辺細胞質や培地内には細胞質内に比べて遥かに少量のタンパク質が存在するため、所望とする目的タンパク質は高純度にて分離及び精製可能である(例えば、下記の非特許文献10参照);(2)周辺細胞質や培養液に分泌された目的タンパク質は、ほとんどのプロテアーゼが存在する細胞質から分離されるため、細胞質内のプロテアーゼによる分解を予防することができ、目的タンパク質の収率を高めることができる(例えば、下記の非特許文献11参照);(3)周辺細胞質は細胞質内よりも一層酸化が進んだ環境であるため、ジスルフィド(disulfide)の結合が遥かに容易になされ、その結果、生産されたタンパク質の正しい折り畳みが形成されることにより、不溶性封入体の形成が顕著に低減する(例えば、下記の非特許文献11参照)。しかしながら、分泌が全くなされないか、あるいは、分泌されたタンパク質が活性を有さない不溶性封入体を形成する場合もしばしばある。
一方、あるタンパク質は、不溶性封入体の形で得ることが有利になる場合もある。今まで、封入体の生成に関する研究が活発に行われてきているが、未だ封入体の形成に働く正確なメカニズムは知られておらず、いかなる一般的な関連性も明らかになっていないのが現状である(例えば、下記の非特許文献13参照)。封入体の形成は宿主−ベクターシステム、タンパク質の特性、培養及び発現条件によって変わるため、所望とするシステムにおける実験を通じてのみ明らかになる。
そこで、本発明者らは、バクテリアを用いて目的タンパク質の生産性を高める菌株システムを開発するために鋭意研究した結果、大腸菌由来の封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpAおよび/またはibpB)を欠失させたバクテリアを用いて目的タンパク質の分泌・生産性と活性が高められることと、大腸菌由来の封入体結合タンパク質をコーディングする遺伝子(ibpAおよび/またはibpB)が増幅されたバクテリアを用いて細胞質内に生産される目的タンパク質の生産性が高められること、及び目的タンパク質が不溶性封入体の形で得られることを確かめ、本発明を完成するに至った。
LaRossa and Van Dyk,Mol.Microbiol.,5,529−34,1991 Goloubinoff et al.,Nature,337,44−7,1989 Georgiou and Valax, Curr.Opin.Biotechnol.,7,190−7,1996 Murby et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.,14,336−46,1991 Langer et al.,Nature,356,683−9,1992 Easton et al.,Gene,101,291−5,1991 Obukowicz et al.,Appl.Environ.Microbiol.,58,1511−23,1992 Studer and Narberhaus,J.Biol.Chem.,275,37212−8,2000 Allen et al.,J.Bacteriol.,174,6938−47,1992 Nossal et al.,J.Biol.Chem.,241,3055−62,1966 Meerman and Georgiou,Ann.N.Y.Acad.Sci.,721,292−302,1994 Hockney,TIBTECH,12,456−63,1994 Makrides,SC,Microbiol.Rev.,60,512−38,1996 US5,552,301 US4,758,512
本発明の目的は、目的タンパク質を効率よく分泌・生産するためにibpAおよび/またはibpB遺伝子を欠失させたバクテリア及びこのバクテリアを培養することを特徴とする目的タンパク質の分泌・生産方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ibpAおよび/またはibpB遺伝子が増幅されたバクテリア及びこのバクテリアを培養することを特徴とする目的タンパク質を不溶性封入体の形で得る方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、ibpA及び/またはibpB遺伝子が欠乏されたバクテリア及びこのバクテリアを培養することを特徴とする目的タンパク質の分泌・生産方法を提供する。
本発明において、好ましくは、前記バクテリアは大腸菌である。また、前記バクテリアは、目的タンパク質をコードする遺伝子を含有し、シグナル配列をさらに含有することを特徴とすることができる。
また、本発明は、バクテリアにおいてibpA及び/またはibpB遺伝子を増幅させる機能を有するプラスミドpACTacIbpAB,pACIbpAB,pACTacIbpAまたはpACTacIbpBを提供する。
さらに、本発明は、ibpA及び/またはibpB遺伝子が増幅されたバクテリア及びこのバクテリアを培養することを特徴とする目的タンパク質を不溶性封入体の形で製造する方法を提供する。
より具体的には、前記プラスミドpACTacIbpAB,pACIbpAB,pACTacIbpAまたはpACTacIbpBに形質転換してibpA及び/またはibpB遺伝子を増幅させたバクテリアを提供する。
本発明において、好ましくは、前記バクテリアは大腸菌である。また、前記バクテリアは、目的タンパク質をコードする遺伝子を含有することを特徴とする。さらに、ibpA及び/またはibpB遺伝子を増幅させることにより、水溶性の形で生産されていた目的タンパク質を不溶性封入体の形で生産することが可能になる。前記封入体の形の目的タンパク質は細胞質内に蓄積される。
さらに、本発明は、ibpA及び/またはibpB遺伝子を増幅または欠失させて目的タンパク質の生成方式を水溶性または不溶性に調節する方法を提供する。
今までは、ibpA及び/またはibpB遺伝子が目的タンパク質の生産に及ぼす影響についてほとんど報告されておらず、目的タンパク質の生産に全く用いられていなかった。本発明においては、大腸菌由来の封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpA及び/またはibpB)を欠失させたバクテリアを用いて目的タンパク質の分泌・生産及び活性を高めている。併せて、大腸菌由来の封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpA及び/またはibpB)を増幅させたバクテリアを用いて細胞質内に生産される目的タンパク質の生産性を高めると共に、目的タンパク質を不溶性封入体の形で生産している。
本発明によれば、封入体の形成を所望の通りに操作可能であるため、医薬用・産業用の有効タンパク質の工程システムとタンパク質の特性によって、下記のような多数のメリットを得ることができる:(1)ベクターの製作及び培養条件が単純であり、細胞の高濃度培養などの方法により大量生産が可能である(Lee,SY,Trends Biotechnol.,14,98−105,1996);(2)培養後に菌体の回収及び破壊を経て低速遠心分離により普通80−98%の純度に精製されるので、初期の分離段階において1−30%の純度しか得られなかった水溶性タンパク質と比較したとき、分離が遥かに容易になる(Jeong and Lee,Appl.Environ.Microbiol.,65,3027−32,1999);(3)細胞内のプロテアーゼに敏感なために分解が起こるタンパク質の場合、封入体の形成によりプロテアーゼの攻撃から保護可能である(Kane and Hartley,Trends Biotechnol.,6,95−101,1988)。さらに、封入体の溶解(solubilization)と再生(renaturation)過程が実験によってきちんと定立されているため、水溶性の形よりは封入体の形で得た方が一層優れた生産システムになりうる(Denefle et al.,Gene,56,61−70,1987;Saito et al.,J.Biochem.,101,1281−88,1987;Gill et al.,Bio/Technol.,3,643−6,1985;Weir and Sparks,Biochem.J.,245,85−91,1987)。
プラスミドpSKIbpABKmの遺伝子マップである。ibpA’はsibpA遺伝子の以前の5’から500bp、ibpB’はibpB遺伝子の3’から500bpを示す。 プラスミドpACTacIbpAの遺伝子マップである。 プラスミドpACTacIbpBの遺伝子マップである。 プラスミドpACTacIbpABの遺伝子マップである。 プラスミドpACIbpABの遺伝子マップである。 プラスミドpTac99GFPの遺伝子マップである。 プラスミドp223−3IFN−γの遺伝子マップである。 プラスミドpTac99IL−12p40の遺伝子マップである。 組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌W3110からの誘導発現後4時間が経過した後に得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上おいて分析した結果を示す電気泳動写真である。 組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌WIbpAとWIbpBから得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌WIB101からの誘導発現後4時間が経過した後に得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 組換えプラスミドpTrcSOb4で形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101からの誘導発現後4時間が経過した後に得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 プラスミドpYKM−Iで形質転換された組換え大腸菌W3110,WIbpA,WibpB及びWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACTacIbpBまたはpACTacIbpAB)とpYKM−Iで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpYKM−Iに同時で形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とp223−3IFN−γで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpTac99IL−12p40で同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpTac99GFPで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCmまたはpACTacIbpAB)とpTac99GFPで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。 オワンクラゲ(Aequorea victoria)由来GFPの緑色蛍光の明るさを測定して示す結果である。
発明の詳細な説明
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。しかし、これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲がこれらの実施例に何ら限定されないということは当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
《実施例1》ibpA,ibpBまたはibpAB遺伝子を欠失させた大腸菌の製造
大腸菌W3110(ATCC39936)の染色体DNAをサムブルーク等の方法により分離・精製した(Sambrook et al.,Molecular Cloning,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1989)。大腸菌W3110を500mlのLB培地(Luria−Bertani medium)において24時間をかけて培養した。初期の対数成長期の菌株を遠心分離により回収した後、10mg/mlのリゾチーム(lysozyme,Sigma Co.,USA)が含まれているTE溶液(10mM Tris,1mM EDTA;pH7.6)50mlに懸濁した。前記菌株懸濁液を24時間をかけて徐々に攪拌しつつ常温において培養した。
菌株の破砕とタンパク質の除去のために、前記培養液に10%のSDS(sodium dodecyl sulfate)溶液16mlと20mg/mlのプロテイナーゼK(Proteinase K,Sigma Co.,USA)570μlを加え、37°Cで1時間をかけて反応させた。次いで、5M NaCl溶液14mlと0.7M NaCl溶液に溶解されている10%のCTAB(cetyltrimethylammoniumbromide,Sigma Co.,USA)10.66mlを加えた後、65°Cで10分をかけて反応させた。その後、前記反応液と同じ体積を有するクロロホルム-イソアミルアルコール(chloroform:isoamylalcohol=24:1)を加え、常温で2時間をかけて注意深く混合した。前記混合液を6,000rpmにて10分間遠心分離して上澄み液をビーカに移し、ここに2倍の体積を有する冷却エタノールを徐々に加えて染色体DNAを沈殿させた後、ガラス棒を用いてDNAを巻き上げた。前記ガラス棒を自然乾燥させてエタノールを除去し、1mlのTE溶液にDNAを溶解させた。前記DNA溶液にRNase(Sigma Co.,USA)を最終濃度が50g/mlになるように加え、37°Cで1時間をかけて反応させた。
反応が終わった後、前記反応液と同じ体積を有するクロロホルム-イソアミルアルコール(chloroform:isoamylalcohol=24:1)をさらに加え、常温で2時間をかけて注意深く混合した。前記混合液を6,000rpmにて10分間遠心分離して上澄み液をビーカに移し、ここに2倍の体積を有する冷却エタノールを徐々に加えて染色体DNAを沈殿させた後、ガラス棒を用いてDNAを巻き上げた。前記ガラス棒を自然乾燥させてエタノールを除去し、最終的に1mlのTE溶液に精製された大腸菌W3110の染色体DNAを溶解させた。
大腸菌からibpA,ibpBまたはibpAB遺伝子を除去するために、バクテリオファージlのレッド・オペロン(operon)を用いた(Jeong and Lee,Appl.Environ.Microbiol.,68,4979−85,2002)。相同性組換え(homologous recombination)を用いた突然変異の製作のために、バクテリオファージlのレッド・オペロンが含有されているpTrcEBGに大腸菌W3110を形質転換した後、1mM IPTGを加えて形質転換されたW3110(pTrcEBG)からレッド・オペロンの発現を誘導した。この大腸菌を用いてエレクトロポレーションコンピテント細胞(electroporation−competent cell)を製作した。
同種組換えを用いた突然変異の製作のために、大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型とし、配列番号1と2のプライマーを用いてibpAB遺伝子のプロモータ部分を含有している500bpと、配列番号3と4のプライマーを用いてibpAB遺伝子の3’末端基から500bpを増幅させてpBluescript SK(−)(Stratagene Cloning Systems,USA)の制限酵素NotIとXbaIの認識部位及び制限酵素EcoRIとSalIの認識部位にそれぞれ挿入し、配列番号5と6のプライマーを用いてカナマイシン抵抗遺伝子600bpを増幅させて上記の方法により製造されたプラスミドの中間となる制限酵素XbaIとEcoRIの認識部位に挿入することにより、プラスミドpSKIbpABKmを得た(図1)。
前記プラスミドpSKIbpABKmを鋳型とし、配列番号1と4のプライマーを用いて得られたPCR産物を前記製造されたエレクトロポレーションコンピテント細胞に挿入することにより、ibpAB遺伝子を除去した。ibpABが除去された突然変異大腸菌をWIB101と名付けた。WIB101菌株から染色体を分離し、染色体内のibpAB遺伝子の位置にカナマイシン遺伝子が挿入されているかどうかを配列番号5と6のプライマーを用いてPCR方法により確かめた。
さらに、ibpAまたはibpB遺伝子が突然変異された大腸菌を得るために、ibpAまたはibpB遺伝子の5’末端から60bp、3’末端から60bpずつを含有しているカナマイシン抵抗遺伝子をそれぞれ配列番号7と8、配列番号9と10のプライマーを用いてPCRを行うことにより増幅させた。増幅したPCR産物を前記のようにして製造されたエレクトロポレーションコンピテント細胞に挿入することにより、ibpAまたはibpB遺伝子を除去した。ibpAまたはibpBが除去された突然変異大腸菌をそれぞれWIbpA,WIbpBと名付けた。
全てのPCRにおいて、最初の変性(denaturation)は95°Cで5分間1回、2回目の変性は95°Cで50秒間、アニール(annealing)は55°Cで1分間、そして延長(extention)は72°Cで1分30秒間行った。また、これらの過程を30回繰り返し行い、その後、72°Cで5分間最後の延長を1回行った。
5’−ataagaatgcggccgccagctgtggatcaccgaaactgat−3’(配列番号1)
5’−gctctagatgcatagactgagggggcagca−3’(配列番号2)
5’−ggaattctttcgactgtttaagatatttcgg−3’(配列番号3)
5’−acgcgtcgacggagaaaatccccagcactaccgg−3’(配列番号4)
5’−gctctagagccacgttgtgtctcaaa−3’(配列番号5)
5’−cgaattcttagaaaaactcatcgagca−3’(配列番号6)
5’−atgcgtaactttgatttatccccgctttaccgttctgctattggatttgaccgtttgtttgccacgttgtgtctcaaaatctc−3’(配列番号7)
5’−ttagttgatttcgatacggcgcggttttttcgcttccggaatcacgcgttcgagatcgatttagaaaaactcatcgagca−3’(配列番号8)
5’−atgcgtaacttcgatttatccccactgatgcgtcaatggatcggttttgacaaactggccgccacgttgtgtctcaaaatctc−3’(配列番号9)
5’−ttagctatttaacgcgggacgttcgctgatagcgatacgctgcgctgcgatgggttcaggttagaaaaactcatcgagca−3’(配列番号10)
《実施例2》ibpA及び/またはibpB遺伝子を導入した組換えプラスミドの製造
IbpAとIbpBタンパク質を発現させるために、下記のようにして組換えプラスミドを製作した。
大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型とし、それぞれ配列番号11と12、配列番号13と14、配列番号15と16のプライマーを用いて実施例1の方法と同様にしてPCRを行い、ibpA,ibpB及びibpAB遺伝子を得た。得られたibpA,ibpB及びibpAB遺伝子をそれぞれEcoRIとHindIIIに切断された組換えプラスミドpTac99Aに挿入することにより、それぞれプラスミドpTac99IbpA,pTac99IbpB及びpTac99IbpABを製作した。組換えプラスミドpTac99Aは、pTrc99A(Pharmacia Biotech.,Uppsala, Sweden)のtrcプロモータをpKK223−3(Pharmacia Biotech.,Uppsala,Sweden)のtacプロモータに切り換えたプラスミドである。前記切り換えられたプラスミドは、pKK223−3のtacプロモータを制限酵素PvuIIとEcoRIにより処理して得た後、tacプロモータの遺伝子断片を同じ制限酵素で切断されたpTrc99Aに挿入することにより得られた。
それぞれの前記プラスミドpTac99IbpA,pTac99IbpB及びpTac99IbpABを制限酵素SspIで切断して制限酵素DraIとPvuIIで切断されたプラスミドpACYC184(New England Biolabs,USA)に挿入し、それぞれプラスミドpACTacIbpA,pACTacIbpB及びpACTacIbpABを製作した(図2ないし図4)。
ibpAB遺伝子をセルフプロモータを用いて発現させるために、大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型とし、それぞれ配列番号17と18のプライマーを用いて実施例1の方法と同様にしてPCRを行うことにより、ibpABプロモータとibpAB遺伝子を含むPCR産物を得た。得られた遺伝子を制限酵素EcoRIに切断し、同じ酵素に切断されたpACYC184(New England Biolabs,USA)に挿入することにより、プラスミドpACIbpABを製作した(図5)。
5’−ggaattcatgcgtaactttgatttatccc−3’(配列番号11)
5’−cccaagcttttagttgatttcgatacggcgc−3’(配列番号12)
5’−ggaattcatgcgtaacttcgatttatccccactg−3’(配列番号13)
5’−cccaagcttttagctatttaacgcgggacgttcgct−3’(配列番号14)
5’−ggaattcatgcgtaactttgatttatccc−3’(配列番号15)
5’−cccaagcttttagctatttaacgcgggacgttcgct−3’(配列番号16)
5’−ggaattccagctgtggatcaccgaaactg−3’(配列番号17)
5’−ggaattcagaacgtgccgaaatatctta−3’(配列番号18)
《実施例3》目的タンパク質の遺伝子を導入した組換えプラスミドの製造
オワンクラゲ(Aequorea victoria)のGFP(green fluorescent protein)を発現させるために、gfpuv遺伝子を含むプラスミドpGFPuv(Stratagene Cloning Systems,USA)を鋳型とし、配列番号19と20のプライマーを用いて実施例1の方法と同様にしてPCRを行うことにより、GFP遺伝子を得た。得られたGFP遺伝子を制限酵素EcoRIとHindIIIで切断し、同じ酵素で切断されたpTac99Aに挿入することにより、プラスミドpTac99GFPを製作した(図6)。
INF−γ(interferon−γ)タンパク質を発現させるために、サイトカイン(Cytokine)バンク(http://cytokine.chonbuk.ac.kr/)から分譲されたヒト由来のINF−γ遺伝子を含むプラスミドpUC18/IFN−γを鋳型とし、配列番号21と22のプライマーを用いて実施例1の方法と同様にしてPCRを行うことにより、INF−γ遺伝子を得た。得られたINF−γ遺伝子を制限酵素EcoRIとHindIIIで切断し、同じ酵素で切断されたpKK223−3(Pharmacia Biotech.,Uppsala,Sweden)に挿入することにより、プラスミドp223−3IFN−γを製作した(図7)。
ヒト由来のインターロイキン12ベータ鎖(interleukin 12 β chain:IL−12p40)タンパク質を発現させるために、サイトカインバンク(http://cytokine.chonbuk.ac.kr/)から分譲されたヒト由来のインターロイキンベータ鎖遺伝子を含むプラスミドpUC18/p40を鋳型とし、配列番号19と20のプライマーを用いて実施例1の方法と同様にしてPCRを行うことにより、IL−12p40遺伝子を得た。得られたIL−12p40遺伝子を制限酵素EcoRIとHindIIIで切断し、同じ酵素で切断されたpTac99Aに挿入することにより、プラスミドpTac99IL−12p40を製作した(図8)。
5’−ggaattcatgagtaaaggagaagaacttt−3’(配列番号19)
5’−cccaagcttttatttgatgagctcatcc−3’(配列番号20)
5’−ggaattcatgtgttactgccaggacccatat−3’(配列番号21)
5’−cccaagcttttactgggatgctcttcgacc−3’(配列番号22)
《実施例4》ibpAB遺伝子を欠失させた大腸菌からの大腸菌由来のアルカリフォスファターゼタンパク質の分泌・生産
既存のアルカリフォスファターゼ発現プラスミドpTrcS1PhoA(Choi et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,53,640−5,2000)を用いて前記実施例1に従い製造された大腸菌WIbpA,WIbpB,WIB101と母菌株W3110をそれぞれ形質転換した。カナマイシンとアンピシリンが両方ともに加えられたLB平板培地、またはアンピシリンのみ加えられたLB平板培地においてそれぞれの形質転換菌株を選別した。それぞれの組換え大腸菌をLB培地(37°C)において培養した。アルカリフォスファターゼタンパク質の発現は、分光光度計により600nm波長で測定された光学密度(O.D.)が0.7となる時点で、1mMのIPTG(isopropyl−β−thiogalactoside)を加えることにより誘導した。誘導発現後4時間が経過した後に培養液を1mlずつ取り、全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質、周辺細胞質タンパク質及び細胞質タンパク質にそれぞれ分画し、同時に培養液を0.1mlずつ取ってアルカリフォスファターゼの活性を測定した。
全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質、周辺細胞質タンパク質及び細胞質タンパク質には、下記のようにしてそれぞれ分画した:全体タンパク質は培養液1mlを4°Cで6,000rpmにて5分間遠心分離して得た沈殿物を0.5mlのTE溶液により1回洗浄した後、さらに4°Cで6,000rpmにて5分間遠心分離して沈殿物を得、これを0.2mlのTE溶液に懸濁して超音波破砕することにより分画した。前記全体タンパク質を4°Cで10,000rpmにて10分間遠心分離して上澄み液を水溶性タンパク質とし、沈殿物を不溶性封入体とした。
周辺細胞質タンパク質及び細胞質タンパク質を分画するために、培養液1mlを4°Cで6,000rpmにて5分間遠心分離して得られた沈殿物に20%のサッカロースを含む30mM Tris−HCl(pH8.0)溶液を0.4mlほど入れて十分に混ぜた後、1mM EDTAを加えて約10分間常温で攪拌した。次いで、さらに4°Cで10,000rpmにて10分間遠心分離して沈殿物を得、冷たい5mM MgSO溶液を0.4mlほど入れて注意深く混ぜた後、氷中で約10分間攪拌し、その後、4°Cで10,000rpmにて10分間遠心分離して上澄み液及び沈殿物をそれぞれ取った。このとき、上澄み液は細胞の周辺細胞質にあるタンパク質とし、沈殿物は0.2mlのTE緩衝溶液に懸濁し、且つ、超音波破砕して細胞質タンパク質とした(Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,1989)。
このようにして得られたタンパク質含有溶液を200μlずつ取り、これらをSDS−PAGEサンプル溶液(25%のグリセロール、2%のSDS、14.4mM 2−メルカプトエタノール、0.1%のブロモフェノールブルー(bromophenol blue)、60mM Tris−HCl)50μlと混合して10分間沸騰した後、これを12%分離用ゲル(separating gel)においてSDS−PAGEゲル電気泳動を行った。次いで、ゲルを染色溶液(メタノール40%、酢酸10%、0.25g/LクマシーブリリアントブルーR(Coomassie brilliant blue R))に2時間以上担漬して染色を行い、さらに脱色溶液(40%のメタノール、7%の酢酸)に2時間以上ずつ2回担漬して脱色を行った(図9)。
図9は、組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌W3110から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図9において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし5は誘導発現後4時間が経過した後に形質転換菌株から得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質、周辺細胞質タンパク質及び細胞質タンパク質をそれぞれ示す。さらに、矢印(←)は分泌されたアルカリフォスファターゼタンパク質を示す。
図9に示すように、大腸菌W3110内においてアルカリフォスファターゼのほとんどは不溶性封入体の形で存在し、このタンパク質に対してN−末端塩基配列(N−terminal sequence)分析を行った結果、分泌信号配列が切断されていない形であって、周辺細胞質に分泌されなかった。併せて、前記SDS−PAGEゲル電気泳動の結果はデンシトメータを用いたタンパク質の定量に用いられ、全体タンパク質のうちアルカリフォスファターゼが占める割合は約15%であった。
図10は、組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌WIbpAとWIbpBから得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図10において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし3は誘導発現後4時間が経過した後に形質転換菌株WIbpAから得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質をそれぞれ示す。そして、レーン4ないし6は誘導発現後4時間が経過した後に形質転換菌株WIbpBから得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質をそれぞれ示す。さらに、矢印(←)は分泌されたアルカリフォスファターゼタンパク質を示す。
図10に示すように、大腸菌WIbpAとWIbpB内においてアルカリフォスファターゼのほとんどは不溶性封入体の形で存在し、このタンパク質に対してN−末端塩基配列分析を行った結果、シグナル配列が切断されていない形であって、周辺細胞質に分泌されなかった。
図11は、組換えプラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された組換え大腸菌WIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図11において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし5は誘導発現後4時間が経過した後に形質転換菌株から得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質、不溶性タンパク質、周辺細胞質タンパク質及び細胞質タンパク質をそれぞれ示す。さらに、矢印(¬)は分泌されたアルカリフォスファターゼタンパク質を示す。
図11に示すように、大腸菌WIB101内において分泌作用が起こった後、シグナル配列が切断されたアルカリフォスファターゼのほとんどは水溶性アルカリフォスファターゼの形で存在しており、周辺細胞質タンパク質に含まれた水溶性アルカリフォスファターゼの量は相対的に高いということが分かった。併せて、前記SDS−PAGEゲル電気泳動の結果はデンシトメータを用いたタンパク質の定量に用いられ、全体タンパク質のうち 分泌されたアルカリフォスファターゼが占める割合は約30%であって、ほとんど周辺細胞質として分泌されていた。
分泌されたアルカリフォスファターゼの活性は下記のような方法により測定した(Brickman and Beckwith,J.Mol.Biol.,96,307−16,1975)。上記において得られた大腸菌は50mM Tris−HCl(pH7.5)溶液1mlに懸濁し、ここにクロロホルム0.1mlを加えた後に37°Cにおいて5分間反応させた。次いで、0.4%のPNPP(p−nitrophenyl phosphate)0.1mlを加えてさらに37°Cにおいて5分間反応させた後、1M KHPO溶液0.1mlにより反応を止め、12,000rpmにて5分間遠心分離して上澄み液のみを取った。この上澄み液を50mM Tris−HCl溶液により希釈し、分光光度計を使って420nmと550nmの二つの波長における吸光度を測定した。アルカリフォスファターゼの活性度(U/ml)は下記のような計算式により算出され、その結果を下記表1に示す:
数式1

表1において、対照区はプラスミドpJS101ΔPで形質転換された大腸菌W3110、WIbpA、WIbpB及びWIB101の培養液を上述したような方法により処理して測定したアルカリフォスファターゼの活性とした。
前記表1に示すように、プラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された大腸菌WIB101のアルカリフォスファターゼが、プラスミドpTrcS1PhoAで形質転換された大腸菌W3110,WIbpA及びWIbpBよりもほとんど3倍以上高い活性を示し、対照区となるプラスミドpJS101ΔPで形質転換された大腸菌W3110,WIbpA,WIbpB及びWIB101はほとんど活性を示さなかった。これより、アルカリフォスファターゼは細胞内においては活性を有することができず、必ず周辺細胞質に分泌されて初めて活性を有するという点を考慮した時、形質転換された組換え大腸菌WIB101で生産されたアルカリフォスファターゼは周辺細胞質に成功的に分泌されていることが分かった。
しかしながら、形質転換された組換え大腸菌W3110,WIbpA及びWIbpBにおいては、生産されたアルカリフォスファターゼが周辺細胞質に分泌できず、細胞質において不溶性封入体として形成された。これより、形質転換された組換え大腸菌WIB101においては、アルカリフォスファターゼがほとんど全ての水溶性の形で存在し、活性も遥かに高いということが確かめられた。さらに、形質転換された組換え大腸菌WIB101の細胞濃度が形質転換された組換え大腸菌W3110に比べて2倍以上高いので、実際には同一時間でアルカリフォスファターゼの活性が6倍以上高く現れる。これより、ibpABを欠失させた大腸菌WIB101は水溶性及び活性を有するアルカリフォスファターゼタンパク質の分泌・生産に有効な菌株であることが確認できた。
《実施例5》ibpAB遺伝子を欠失させた大腸菌からのヒト由来レプチン(leptin)の分泌・生産
既存のレプチン発現プラスミドpTrcSOb4(Jeong and Lee.,Biotechnol.Bioeng.,67,398−407,2000)で前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101と母菌株W3110をそれぞれ形質転換した。次いで、前記実施例4の方法と同様に細胞培養を行った。レプチンタンパク質の発現は、分光光度計を用いて600nmの波長で測定した吸光度が0.7となる時点で、1mMのIPTGを加えることにより誘導した。誘導発現後4時間が経過した後に培養液を1mlずつ取り、前記実施例4の方法と同様にして全体タンパク質、水溶性タンパク質及び封入体タンパク質にそれぞれ分画した(図12)。
図12は、組換えプラスミドpTrcSOb4で形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図12において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし3は誘導発現後4時間が経過した後で形質転換された大腸菌W3110から得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質及び不溶性封入体をそれぞれ示す。そして、レーン4ないし6は誘導発現後4時間が経過した後で形質転換された大腸菌WIB101から得られた全体タンパク質、水溶性タンパク質及び不溶性封入体をそれぞれ示す。さらに、矢印(←)は分泌されたヒト由来レプチンタンパク質を示す。
図12に示すように、形質転換された大腸菌W3110においては全体レプチンタンパク質の約50%が不溶性封入体を形成するのに対し、形質転換大腸菌WIB101においては形成された全てのレプチンタンパク質がほとんど水溶性の形で存在するということが確認できる。さらに、形質転換された組換え大腸菌WIB101の細胞濃度が形質転換された組換え大腸菌W3110に比べて3倍ほど高いので、実際には、同一時間で水溶性レプチンの濃度は3倍以上高く現れる。これより、ibpABを欠失させた大腸菌WIB101は、水溶性レプチンタンパク質の分泌・生産に有効な菌株であることが確認できた。
《実施例6》IbpA及び/またはibpB発現システムによる細胞質内へのIGF−I(human insulin−like growth factor−I)タンパク質の生産
前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101,WIbpA,WIbpBと母菌株W3110を既存のIGF−I発現プラスミドpYKM−I(Kim and Lee,J.Biotechnol.,48,97−105,1996)でそれぞれ形質転換した。細胞の培養は、前記実施例4の方法と同様にして行った。ヒト由来IGF−Iタンパク質の発現は、分光光度計を用いて600nmの波長において測定した吸光度(O.D.)が0.7となる時点で、1mMのIPTGを加えることにより誘導した。ヒト由来IGF−Iタンパク質の誘導発現後4時間が経過した後に培養液を集めて遠心分離器により回収した後、各形質転換菌株のヒト由来IGF−Iタンパク質を実施例4の方法と同様にして全体タンパク質に分画した(図13)。
図13は、プラスミドpYKM−Iで形質転換された組換え大腸菌W3110,WIbpA,WIbpB,WIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図13において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1はpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン2はpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIbpA、レーン3はpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIbpB、レーン4はpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIB101の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はヒト由来IGF−Iタンパク質を示す。
図13に示すように、大腸菌W3110,WIbpA,WIbpBにヒト由来IGF−Iタンパク質がほとんど同量にて発現されるのに対し、ibpABが両方ともに欠失した大腸菌WIB101においては、細胞質内に生産される目的タンパク質を発見することができなかった。これより、目的タンパク質の生産に当たっては、IbpAまたはIbpBタンパク質が必ず必要となるということが確認できた。
さらに、前記実施例2に従い製造されたそれぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACTacIbpB,pACTacIbpAB,pACIbpAB)と既存のIGF−I発現プラスミドpYKM−Iで前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101と母菌株W3110を同時に形質転換した。細胞の培養とヒト由来IGF−Iタンパク質の誘導は、上述した方法と同様にして行った。
図14は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACTacIbpBまたはpACTacIbpAB)とpYKM−Iで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図14において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1は組換えプラスミドp184ΔCmとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン2は組換えプラスミドpACTacIbpABとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン3は組換えプラスミドpACTacIbpAとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン4は組換えプラスミドpACTacIbpBとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はヒト由来IGF−Iタンパク質を示す。
図15は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpYKM−Iで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図15において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1は組換えプラスミドp184ΔCmとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン2は組換えプラスミドp184ΔCmとpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIB101、レーン3は組換えプラスミドpACTacIbpABとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン4は組換えプラスミドpACTacIbpABとpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIB101、レーン5は組換えプラスミドpACIbpABとpYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110、レーン6は組換えプラスミドpACIbpABとpYKM−Iで形質転換された大腸菌WIB101の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はヒト由来IGF−Iタンパク質を示す。
図14と図15に示すように、大腸菌W3110にibpA,ibpBまたはibpABを同時に発現させることにより、ヒト由来IGF−Iタンパク質が対照区(pYKM−Iで形質転換された大腸菌W3110)よりも約2倍ほど増えていることが確認できた。さらに、ibpABを欠失させた大腸菌WIB101においては、細胞質内に生産される目的タンパク質を発見することができなかった。
これより、細胞質内に生産される目的タンパク質の場合、ibpA,ibpBまたはibpABが目的タンパク質の生産性を高めるということが確認できた。本発明において、細胞質内に生成される他の目的タンパク質の適用有無を確認するために、ibpAB(pACTacibpABとpACibpAB)のみをもってさらなる実験を行った。
《実施例7》IbpAB発現システムによる細胞質内へのヒト由来IFN−γ(interferon−γ)の生産
前記実施例2に従い製造されたそれぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACIbpAB)と実施例3に従い製造したヒト由来インターフェロン・ガンマタンパク質のプラスミドp223−3IFN−γで前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101、母菌株W3110を同時に形質転換した。細胞の培養は、前記実施例4の方法と同様にして行った。ヒト由来インターフェロン・ガンマタンパク質の発現は、分光光度計を用いて600nmの波長で測定した吸光度が0.7となる時点で、1mMのIPTGを加えることにより誘導した。ヒト由来インターフェロン・ガンマタンパク質の誘導発現後4時間が経過した後に培養液を集めて遠心分離器により回収した後、各形質転換菌株のヒト由来インターフェロン・ガンマタンパク質を実施例4の方法と同様にして全体タンパク質に分画した(図16)。
図16は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とp223−3IFN−γで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図16において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1は組換えプラスミドp184ΔCmとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌W3110、レーン2は組換えプラスミドp184ΔCmとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌WIB101、レーン3は組換えプラスミドpACTacIbpABとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌W3110、レーン4は組換えプラスミドpACTacIbpABとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌WIB101、レーン5は組換えプラスミドpACIbpABとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌W3110、レーン6は組換えプラスミドpACIbpABとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌WIB101の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はヒト由来IFN−γタンパク質を示す。
図16に示すように、大腸菌W3110にIbpABを同時に発現させることにより、ヒト由来インターフェロン・ガンマタンパク質が対照区(p184ΔCmとp223−3IFN−γで形質転換された大腸菌W3110)よりも約2倍ほど増えていることが確認できた。さらに、IbpABを欠失させた大腸菌WIB101においては、細胞質内に生産される目的タンパク質を発見することができなかった。
《実施例8》IbpAB発現システムによる細胞質内へのヒト由来インターロイキン12ベータ鎖(interleukin 12 β chain)タンパク質の生産
前記実施例2に従い製造されたそれぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACIbpAB)と実施例3に従い製造されたヒト由来インターロイキン12ベータ鎖プラスミドpTac99IL−12p40で前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101、母菌株W3110を同時に形質転換した。細胞の培養は、前記実施例4の方法と同様にして行った。ヒト由来インターロイキン12ベータ鎖タンパク質の発現は、分光光度計を用いて600nmの波長で測定した吸光度が0.7となる時点で、1mMのIPTGを加えることにより誘導した。ヒト由来インターロイキン12ベータ鎖タンパク質の誘導発現後4時間が経過した後に培養液を集めて遠心分離器により回収した後、各形質転換菌株のヒト由来インターロイキン12ベータ鎖タンパク質を実施例4の方法と同様にして全体タンパク質に分画した(図17)。
図17は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpTac99IL−12p40で同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図17において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1は組換えプラスミドp184ΔCmとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌W3110、レーン2は組換えプラスミドp184ΔCmとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌WIB101、レーン3は組換えプラスミドpACTacIbpABとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌W3110、レーン4は組換えプラスミドpACTacIbpABとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌WIB101、レーン5は組換えプラスミドpACIbpABとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌W3110、レーン6は組換えプラスミドpACIbpABとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌WIB101の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はヒト由来インターロイキン12ベータ鎖タンパク質を示す。
図17に示すように、大腸菌W3110にIbpABを同時に発現させることにより、ヒト由来インターロイキン12ベータ鎖タンパク質が対照区(p184ΔCmとpTac99IL−12p40で形質転換された大腸菌W3110)よりも約1.5倍ほど増えていることが確認できた。さらに、IbpABを欠失させた大腸菌WIB101においては、細胞質内に生産される目的タンパク質を発見することができなかった。
《実施例9》IbpAB発現システムによる細胞質内へのオワンクラゲ(A.victoria)のGFPの生産
前記実施例2に従い製造されたそれぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpA,pACIbpAB)と実施例3に従い製造されたオワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質(GFP)プラスミドpTac99GFPで前記実施例1に従い製造された大腸菌WIB101、母菌株W3110を同時に形質転換した。細胞の培養は、前記実施例4の方法と同様にして行った。GFPの発現は、分光光度計を用いて600nmの波長で測定した吸光度が0.7となる時点で、1mMのIPTGを加えることにより誘導した。GFP誘導発現後4時間が経過した後に培養液を集めて遠心分離器により回収した後、各形質転換菌株の緑色蛍光タンパク質に対し実施例4の方法と同様にして、全体タンパク質、水溶性タンパク質及び不溶性タンパク質に分画した(図18ないし図20)。
図18は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCm,pACTacIbpABまたはpACIbpAB)とpTac99GFPで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110とWIB101から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図18において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1は組換えプラスミドp184ΔCmとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110、レーン2は組換えプラスミドp184ΔCmとpTac99GFPで形質転換された大腸菌WIB101、レーン3は組換えプラスミドpACTacIbpABとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110、レーン4は組換えプラスミドpACTacIbpABとpTac99GFPで形質転換された大腸菌WIB101、レーン5は組換えプラスミドpACIbpABとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110、レーン6は組換えプラスミドpACIbpABとpTac99GFPで形質転換された大腸菌WIB101の全体タンパク質をそれぞれ分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はGFPを示す。
図18に示すように、大腸菌W3110にIbpABを同時に発現させることにより、GFPが対照区(p184ΔCmとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110)よりも約2倍以上増えていることが確認できた。さらに、IbpABを欠失させた大腸菌WIB101においては、細胞質内に生産される目的タンパク質を発見することができなかった。
図19は、それぞれの組換えプラスミド(p184ΔCmまたはpACTacIbpAB)とpTac99GFPで同時に形質転換された組換え大腸菌W3110から得られたタンパク質をSDS−PAGEゲル上において分析した結果を示す電気泳動写真である。図19において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし3はそれぞれ組換えプラスミドp184ΔCmとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110の全体タンパク質、水溶性タンパク質及び不溶性タンパク質を、そして、レーン4ないし6は組換えプラスミドpACTacIbpABとpTac99GFPで形質転換された大腸菌W3110をそれぞれ全体タンパク質、水溶性タンパク質及び不溶性タンパク質に分画した結果を示す。さらに、矢印(←)はGFPを示す。
図19に示すように、大腸菌W3110にIbpABを同時に発現させることにより、水溶性の目的タンパク質がほとんど100%不溶性封入体に切り換えられていることが確認できた。
図20は、オワンクラゲ由来GFPの緑色蛍光の明るさを測定して示す結果である。図20において、レーン1はW3110、レーン2はW3110(pTac99GFP)、レーン3はWIB101(pTac99GFP)、レーン4はW3110(pTac99GFP+pACTacIbpAB)である。図20を参照すれば、緑色蛍光の明るさは、上記のSDS−PAGE結果と一致している。本発明を通じて、我々は、有用タンパク質の特性と工程システムによって封入体の形成を所望の通りに操作することが可能であることが確認できた。
本発明は、大腸菌由来の封入体結合タンパク質をコードする遺伝子(ibpA及び/またはibpB)を用いた2種類の目的タンパク質の製造方法を提供する。一つは、ibpA及び/またはibpBを欠失させたバクテリアを用いて目的タンパク質の分泌・生産性及び活性を高める方法である。前記バクテリアを用いると、分泌されたタンパク質が活性を有さない不溶性封入体として形成されることを、活性を有する水溶性タンパク質として分泌・生産するように操作することができ、生物工程の生産性の向上が図れる。もう一つは、ibpA及び/またはibpBが増幅されたバクテリアを用いてバクテリアの細胞質内に生産される目的タンパク質の生産性を高めると共に、目的タンパク質を不溶性封入体として生産する方法である。前記組換えベクターの導入を通じて封入体の形成を所望の通りに操作することができるので、有用タンパク質の特性と工程システムによって封入体を形成することにより、生物工程の生産性の向上が図れる。

Claims (4)

  1. 微生物を培養することにより、周辺細胞質(periplasm)又は細胞の細胞外空間において分泌型の目的タンパク質を製造する方法であって、前記目的タンパク質をコードする遺伝子によって形質転換された、ibpA及びibpB遺伝子が欠失したバクテリアを培養し、前記目的タンパク質が細胞を破壊することなく得られることを含む、前記製造方法。
  2. 前記バクテリアが、更にシグナル配列を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記目的タンパク質が、レプチン又はアルカリフォスファターゼである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記バクテリアが、大腸菌である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
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