JP4528947B2 - 無機マトリックス中に半導体ナノ粒子を分散した蛍光体 - Google Patents

無機マトリックス中に半導体ナノ粒子を分散した蛍光体 Download PDF

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Description

本発明は、無機マトリックス中に半導体ナノ粒子が分散した蛍光体及びその製造方法に関する。
蛍光体は今日、照明や表示材料として広く用いられて日常生活を支えている。この蛍光体としては、古くから遷移元素イオン(遷移金属イオンや希土類イオン)を分散させた無機マトリックスが用いられてきた。
一方で近年、作製法を工夫した半導体ナノ粒子が高効率の発光を示すことが見出されている。この半導体ナノ粒子としては、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化亜鉛等のII-VI族化合物が代表的なものであり、直径は2から5ナノメ
ートル程度である。この半導体ナノ粒子は、発光の減衰時間が短く、粒径によって発光波長が制御できるため、新しいタイプの蛍光材料として注目されている。
このような半導体ナノ粒子は、粒径が小さいために表面の割合が大きい。表面には、通常、多数の欠陥があって無輻射失活の原因となる。このため、様々な方法によって表面の不活性化処理が行われる。この不活性化には、チオールなどの硫黄を含む有機界面活性剤や硫化亜鉛が用いられる。
この半導体ナノ粒子の作製法として、水溶液中で界面活性剤を用いる方法が良く知られている。(非特許文献1)。しかし、水溶液法で作製された半導体ナノ粒子は、水溶液のままでは不安定で工業的応用には不向きであった。
このため、半導体ナノ粒子を有機物からなる高分子に固定する方法が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、マトリックスとして用いる高分子は、耐光性、耐熱性、耐薬品性などが不十分であり、しかも水や酸素を少しずつ透過させるので、固定化されたナノ粒子が徐々に劣化するという問題点があった。
このような高分子の欠点を克服するために、ゾルゲル法を用いてガラスマトリックス中に半導体ナノ粒子を分散させる研究が進んでいる。この方法においては、ナノ粒子の水への分散性を向上させるため界面活性剤(チオグリコール酸(TGA)等)を用い、ガラスマ
トリックスに均一に分散させるために該マトリックスの原料としてオルガノアルコキシシラン(例えば、式:M(OR1)4-nR2 n、式中、MはSi等、R1は低級アルキル基、R2はアミノア
ルキル基等の有機基、nは1、2又は3)が好適に用いられている。
具体的には、例えば、特許文献1には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS
)や3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)等のオルガノアルコキシシラン
を用いたゾルゲル法により、ケイ素を含む固体マトリックス中に、テルル化カドミウムナノ粒子が5×10-4〜1×10-2モル/リットルの濃度で分散しかつ発光効率3%以上の蛍光体
が製造できることが記載されている。
また、特許文献2には、APS等を用いたゾルゲル法により形成されたマトリックス中に
、発光効率が20%以上の半導体ナノ粒子が2×10-6〜2×10-4モル/リットルの濃度で分散
してなる蛍光体が記載されている。
同様に、非特許文献3及び4においても、オルガノアルコキシシラン(APS、MPS等)を
混ぜることでマトリックス中のナノ粒子の分散性を上げている。
この様に、半導体ナノ粒子、界面活性剤、オルガノアルコキシシラン等を用いたゾルゲル反応により、ガラスマトリックス中に半導体ナノ粒子を均一分散させて、ナノ粒子の劣化を防止して、経時安定性を高めることが可能となっている。
しかしながら、この蛍光体は、ガラスの性質を持つと共に高分子としての性質があり、耐熱性、耐薬品性が必ずしも蛍光体として要求されるレベルには達していなかった。従って、蛍光体のさらなる経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的特性などを考える時、ガラスマトリックス中には出来るだけ有機物を含まないものが有利となる。
ところで、非特許文献5には、分子内に有機基を含まないテトラアルコキシシランを用いたゾル-ゲル法により、ガラスマトリックス中に超微粒子を分散させることが報告され
ている。しかしながら、この方法は、超微粒子が水溶性ではないためにゾル-ゲル法の手
段が限られることとなり、しかもゲル状のものしか得られないという欠点があった。さらに、得られる蛍光体中のナノ粒子の発光効率が低いため実用的な用途にはほど遠いものであった。
以上のように、マトリックス中でナノ粒子の高い発光効率を保持しつつ、より優れた経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的特性等を達成しうる無機マトリックス蛍光体が強く望まれていた。
国際公開第2004/000971号パンフレット 国際公開第2004/065296号パンフレット ガオら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、ビー、102巻、8360ページ、1998年 バベンディーら、アドバンスト マテリアル、12巻、1103ページ(2000) チャンら、アドバンストマテリアルズ、16巻、2092ページ、2004年 ナンら、アンゲバンテ ケミー インターナショナル エディション、43巻、5393ページ、2004年 セルバンら、アドバンスト マテリアル、13巻、985ページ(2001)
本発明の主な目的は、マトリックス中でナノ粒子の高い発光効率を保持しつつ、優れた経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的強度等を達成しうる無機マトリックス蛍光体を提供することにあり、さらにこれを用いた照明装置や表示装置などの光デバイスを供給することにある。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内に有機基を有しないテトラアルコキシシランを用いて、所定の条件下で水分散性のナノ粒子をガラスマトリックスに導入し、得られる蛍光体が高い発光効率及び優れた経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的特性等を有することを見出した。
具体的には、ゾルゲル反応に用いるアルコールはナノ粒子にとって典型的な貧溶媒であることから、ナノ粒子導入時にはアルコールをできるだけ除去してゾルゲル反応を進めることを試みた。また、ゾルゲル反応時のpH、温度、溶液を加える速度等を適切に選択することを試みた。その結果、ゲル化時間を短縮し水溶液中のナノ粒子の発光効率をほぼ保ちつつガラス中に均一に分散させることが可能となった。そして、このガラス蛍光体は、
従来のオルガノアルコキシシランを用いたものよりも硬く、比重が高く、また耐薬品性に優れていることが明らかとなった。かかる知見に基づきさらに研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の無機マトリックス蛍光体及びその製造方法を提供する。
項1.発光効率25%以上の半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に分散してなる蛍光体。
項2.前記半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に濃度10-5モル/リットル以上で分散
してなる項1に記載の蛍光体。
項3.ビッカース硬度が500 MPa以上である項1又は2に記載の蛍光体。
項4.比重が1.7以上である項1、2又は3に記載の蛍光体。
項5.無機マトリックスが、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法により作製されたものである項1〜4のいずれかに記載の蛍光体。
項6.金属アルコキシドが、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシジルコニウム、テトラアルコキシチタン及びトリアルコキシアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である項5に記載の蛍光体。
項7.半導体ナノ粒子が、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム及びセレン化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種である項1〜6のいずれかに記載の蛍光体。
項8.項1〜7のいずれかに記載の蛍光体を有する発光デバイス。
項9.ガラス蛍光体の温度を50℃以下に保持するための冷却装置又は熱放射材料を備えた項8に記載の発光デバイス。
項10.発光効率25%以上の半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に分散してなる蛍光体の製造方法であって、(1)金属アルコキシド、アルコール、水及び酸を混合して金属アルコキシドの加水分解溶液とし、(2)該加水分解溶液からアルコールの大部分を除去し、(3)さらにpH5.5〜8.5に調製した後、(4)これと発光効率25%以上の半導体ナノ粒子の分散液とを混合した後、硬化させることを特徴とする蛍光体の製造方法。
項11.さらに、前記(4)で硬化後の蛍光体を加熱処理することを特徴とする項10に記載の蛍光体の製造方法。
尚、本願明細書における「溶液中の半導体ナノ粒子の発光効率」とは、吸収された光子(フォトン)数(ΦA)に対するフォトルミネッセンスとして発光される光子(フォトン
)数(ΦPL)の割合(ΦPL/ΦA)として定義される。この発光効率は、当該技術分野に
おいて標準的に用いられる値であり、「内部量子収率」と同義である。発光効率は、発光効率が既知の色素分子を用いて、該色素分子溶液と測定対象物における励起光波長での吸光度と発光強度とを比較することにより算出される。測定時には、通常は色素分子溶液と測定対象物の励起波長での吸光度を一致させて比較する。(例えば、既報の方法、ドーソンら、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー、72巻、3251ページ(1968年)を参照)。
また、本願明細書において、「蛍光体中の半導体ナノ粒子の発光効率」は、蛍光体中の半導体ナノ粒子に吸収された励起光の光子(フォトン)数(Φ)に対する蛍光体中の該ナノ粒子からフォトルミネッセンスとして放出される光子(フォトン)数(ΦPL)の割合(ΦPL/Φ)として定義される。具体的には、吸光度と発光効率とが既知の色素分子溶液を入れたガラスセル、及び同一の厚さを有する測定対象物となるガラスを用意し、該色素分子溶液と測定対象物における吸光度と発光強度とを比較することにより算出される値である。蛍光体が粉体の場合や、散乱が大きい場合にも同様の原理で測定される。ただし、この場合には、積分球の表面に白色散乱体(酸化マグネシウムなど)を取り付けた場合と、試料を取り付けた場合とで励起光の散乱強度を測定して光吸収量を測定し、さらに試料からの発光強度を測定して、算出する。
さらに具体的には、本発明においては、発光効率が既知の色素としてキニーネの0.5M
硫酸水溶液(発光効率54.6%)を用いている。数種類の濃度のキニーネ溶液を厚さの異なる数個のセルにつめて蛍光強度を測定し、その結果から任意の濃度でナノ粒子が分散した複数の厚みの蛍光体(ガラス板)の発光効率を導き出す方法を採用した。蛍光体の発光効率は、正確には屈折率を用いて補正する必要がある。本発明の蛍光体の屈折率を偏光解析によって測定すると、発光波長の500〜600ナノメートルの範囲で、1.35〜1.36という値が得られた。一方で、色素を入れて比較した水溶液の屈折率が同じ波長範囲で1.33であることが、化学便覧、基礎編IIの553ページ(日本化学会編 改訂3版、丸善株式会社)か
ら明らかである。このように両者の屈折率値が極めて近いので、本発明の蛍光体の場合は、屈折率による補正は必要としない。
以下、本発明を詳述する。
I.半導体ナノ粒子
本発明の半導体ナノ粒子としては、水分散性を有する蛍光性半導体ナノ粒子が好適に用いられる。具体的には直接遷移を示すII-VI族の化合物半導体であって、可視領域で発光
するものが挙げられる。例えば、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウムなどを例示することができ、好ましくはテルル化カドミウム又はセレン化亜鉛である。なお、本発明の半導体ナノ粒子は、界面活性剤を含む水溶液中で安定化されて存在する。
半導体ナノ粒子の製法としては、例えば、前記特許文献1及び2に従って製造することができる。
具体的には、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解したアルカリ性水溶液中に、不活性雰囲気下において、VI族元素化合物を導入することによって、II-VI族半導
体を得ることができる。VI族元素化合物は、気体状のものを用いることもできる。
II族元素を含む水溶性化合物としては、過塩素酸塩が好ましく、例えば、II族元素がカドミウムである場合には、過塩素酸カドミウムを用いることができる。水溶液中のII族元素を含む水溶性化合物の濃度は、通常、0.001〜0.05モル/リットル程度、さらに0.01〜0.02モル/リットル程度、特に0.013〜0.018モル/リットル程度のとすることが好ましい。
界面活性剤としては、疎水基であるチオール基と親水基を有するものが好ましい。親水基としては、カルボキシル基などのアニオン性基、アミノ基などのカチオン性基、水酸基などを例示できるが、特に、カルボキシル基などのアニオン性基が好ましい。この界面活性剤の具体例としては、チオグリコール酸、チオグリセロール、メルカプトエチルアミン等を例示できる。界面活性剤の使用量は、水溶液中に含まれるII族元素イオン1モルに対
して、1〜2.5モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度とする。界面活性剤の使用量が上記範囲を上回ると、得られるナノ粒子の発光効率が低下する傾向がある。
VI族元素化合物としては、例えば、VI族元素の水素化物などを用いることができ、VI族元素がテルルである場合には、テルル化水素を用いることができる。その他、テルル化水素を水酸化ナトリウムと反応させて得られるテルル化水素ナトリウムを水溶液として導入することも可能である。VI族元素化合物の使用量は、通常、II族イオン1モルに対して、VI族イオンを0.3〜1.5モル程度であればよく、さらに0.4〜0.9モル程度とすることが好ましい。
半導体ナノ粒子の製造に用いる水は高純度の水を用いることが好ましい。特に、比抵抗18MΩ・cm以上、且つ水中の有機系化合物の総量(TOC)が5ppb以下、好ましくは3ppb以下の超純水を用いることがより好適である。この様な高純度の水で反応容器等を十分に洗浄し、更に、反応溶媒としても高純度の水を用いることよって、優れた発光性能を有する半導体ナノ粒子を得ることが可能となる。
上記反応は、通常、不活性雰囲気下において、II族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に、気体状のVI族元素化合物をバブリングさせるか、気体状のVI族化合物を水酸化ナトリウム溶液と反応させて水溶液とした後、注射器等でII族元素を含む水溶性化合物及び界面活性剤を溶解した水溶液中に注入することよって行うことができる。
不活性雰囲気としては、反応に関与しない気体の雰囲気であればよく、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等の不活性ガス雰囲気を好適に利用できる。
上記反応は、通常、室温(例えば、10〜30℃程度)において行うことができる。水溶液のpHは、10〜12程度、特に10.5〜11.5であることが好ましい。反応は、通常、VI族化合物を導入後、10分程度以内に終了する。
その後、大気中で還流することにより、所望のサイズの半導体ナノ粒子を分散した水溶液を得る。該水溶液中の該ナノ粒子の濃度は反応条件によって適宜選択されるが、通常、1×10-7モル/リットルから3×10-6モル/リットルであり、典型的には3×10-7モル/リットルから2×10-6モル/リットル程度、特に1×10-6モル/リットル程度である。
製造される半導体ナノ粒子の粒径は、通常、2〜5 nm程度である。還流時間を長くする
と、粒径を大きくすることができる。該半導体ナノ粒子の発光色は粒径によって決まり、粒径が小さいほど短波長の発光を示す。半導体ナノ粒子の粒径を揃えれば単色の発光が得られるし、いろいろな粒径のものを混ぜればそれに応じた色調の発光が得られる。
単色で発光するナノ粒子を得るためには、還流時間を一定に制御し、その粒径分布の分散の標準偏差が、粒径の平均値に対して20%以下、好ましくは15%以下となる様に調整すればよい。
この様にして得られる半導体ナノ粒子の水溶液には、通常、原料として用いたII族元素のイオン、界面活性剤、1ナノメートルを下回る微細なクラスターなどが含まれる。この半導体ナノ粒子の水溶液を用いて、後述する方法によって、そのまま半導体ナノ粒子を無機マトリックス中に分散させて蛍光体とすることができる。
さらに、該水溶液に含まれるナノ粒子を、粒子径のそろったナノ粒子毎に分離することができる。例えば、ナノ粒子の粒径が大きくなるほど溶解度が低くなることを利用して、
該ナノ粒子の水溶液にイソプロパノールなどの貧溶媒を添加することで、サイズ別にナノ粒子を沈殿させ、これを遠心分離器にかけて分離する。
この様にして精製したナノ粒子を水に再分散させて水溶液とすることもでき、この場合も該ナノ粒子は高い発光効率を示す。該水溶液はそのままでもある程度は安定であるが、該水溶液に、さらにII族元素を含む水溶性化合物、及び界面活性剤を添加することによって、水溶液の安定性を向上さて、凝集を防ぎ発光効率を保つことができる。II族元素化合物の種類、該化合物の濃度、界面活性剤の量、水溶液のpH等は、上述したII-VI族半導体
ナノ粒子を作製するために用いる水溶液と同様の範囲に調製すればよい。
具体的には、II-VI族半導体ナノ粒子(1×10-7〜3×10-6モル/リットル程度、好まし
くは、3×10-7〜2×10-6モル/リットル程度)、II-VI族半導体ナノ粒子の原料であるII
族元素を含む水溶性化合物(II族元素イオン)(0.001〜0.05モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.02モル/リットル程度、より好ましくは0.013〜0.018モル/リットル程度)、及び界面活性剤(水溶液中に含まれるII族元素イオン1モルに対し0.5〜5モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度)を含むpH10〜12程度(好ましくは、10.5〜11.5程度)の水溶液が好適である。
その他に、セレン化カドミウム等の半導体ナノ粒子は、有機金属の熱分解を利用して有機溶媒中で作製することもできる。この半導体ナノ粒子表面を、TGA等のチオール系の界
面活性剤で置換したものも水分散性を有するので、半導体ナノ粒子の水溶液として用いることができる。これは、公知の方法(バベンディーら、特表2002-525394号公報)として
知られている。
以上の方法で得られる半導体ナノ粒子は、水分散性が良好であって高い発光効率を有している。この水溶液中の半導体ナノ粒子の発光効率は、25〜85%程度である。特に、赤色発光の半導体ナノ粒子では、調整後の光照射などの後処理をすることなく70%程度の発光効率が得られる。ここで水分散液中でのナノ粒子の発光効率は、完成した蛍光体の発光効率に大きく影響を及ぼす。
とくに、セレン化亜鉛ナノ粒子を用いる場合には、チオグリコール酸を界面活性剤として用いて、上記の方法で作製した後に、紫外線照射処理を行うと、発光効率が35%程度にまで上昇する。詳しくは、日本セラミックス協会、2005年年会、講演予稿集2E02(98ペー
ジ)に記載の方法によって行う。
この半導体ナノ粒子の水溶液を用いて、後述する方法で無機マトリックス中に該ナノ粒子を分散させる。これによって、該ナノ粒子は無機マトリックス中で良好な分散性を有し高濃度で存在できるとともに、高い発光効率を維持することができ、優れた性能を有する蛍光体を得ることが可能となる。精製したナノ粒子を水に再分散させた水溶液を用いる場合は、特に優れている。
II.蛍光体の製造方法
本発明の無機マトリックス中に発光効率25%以上の半導体ナノ粒子が分散してなる蛍光体は、例えば、(1)金属アルコキシド、アルコール、水及び酸を混合して金属アルコキシドの加水分解溶液とし、(2)該加水分解溶液からアルコールの大部分を除去し、(3)さらにpH5.5〜8.5に調製した後、(4)これと発光効率25%以上の半導体ナノ粒子の分散液とを混合した後、硬化させることにより製造することができる。
上記(1)で用いる金属アルコキシドとは、テトラアルコキシシラン(Si(OR)4)、テ
トラアルコキシジルコニウム(Zr(OR)4)、テトラアルコキシチタン(Ti(OR)4)、トリアルコキシアルミニウム(Al(OR)3)等が例示される。上記のRはアルコキシ基であり、好ま
しくは、C1-4のアルコキシ基である。具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等が例示される。金属アルコキシドは、これらのうち、一種又は二種以上を用いることができる。金属アルコキシドとしてテトラアルコキシシランを用いるのが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。二種以上を混合する場合は、テトラエトキシシランを主成分(例えば、80モル%以上)とするのが好ましい。
また、金属アルコキシドとして、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシジルコニウムを混合したものが、化学的安定性と機械的特性の点から好適である(例えば、実施例3)。この場合、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシジルコニウムのモル比は、100:0〜80:20程度、特に90:10〜95:5程度とするのが好ましい。
また、金属アルコキシドとして、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシチタンを混合したものが、発光効率の点から好適である(例えば、実施例6)。テトラアルコキシシランとテトラアルコキシチタンのモル比は、100:0〜80:20程度、特に85:15〜95:5程度
とするのが好ましい。
なお、本発明においては、原料として金属アルコキシドを用いるものであるが、本発明の作用効果に悪影響を与えない範囲で、必要に応じて特許文献1又は2で示されるような、一般式:
X−Si(OR’)4-m
(式中、Xは、アミノアルキル基、メルカプトアルキル基等、R’はC1-3のアルキル基、m=1,2又は3を示す)
で表されるオルガノアルコキシシランを添加しても良い。オルガノアルコキシシランとしては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)、3-メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン(MPS)等が挙げられる。通常、金属アルコキシドとオルガノアルコキシシラン
のモル比は、100:0〜90:10程度であればよい。
上記(1)で用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のC1−4のアルコールが挙げられる。使用する金属アルコキシドのアルコキシドに対応するアルコールを用いることが好ましい。例えば、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いる場合、アルコールとしてエタノールが用いられる。
上記(1)で用いる酸としては、塩酸、酢酸、硝酸等が挙げられる。酸の使用量は触媒量でよい。ゾルゲル法において酸を用いるのは、酸条件下では金属アルコキシドの加水分解は速いが続く脱水反応が遅いため、反応中間体である金属水酸化物(例えば、シラノール)の形態で保持される時間が長くなる。そのため、半導体ナノ粒子を混合するまでの間にゾル状態で長時間保持されるため、後述のアルコールの除去及びpHの調製に必要な可使時間が確保できるからである。なお、塩基を用いる場合には、金属アルコキシドの加水分解は遅いが続く脱水反応が速いため、ゲル化が急速に進行してしまうため好ましくない。
金属アルコキシド(オルガノアルコキシシランを含む場合は、オルガノアルコキシシランと金属アルコキシドの合計)、アルコール、及び水の配合量は、1:1〜60:1〜200程度のモル比であればよい。酸は上述したように触媒量でよい。
各成分の混合時は、通常、15〜80℃程度で5分〜1時間程度撹拌すればよい。混合時の温度は、金属アルコキシドの種類等に応じて適宜選択できる。なお、テトラアルコキシシランを主成分とする二種以上の金属アルコキシドを混合する場合は、テトラアルコキシシランにアルコール、水及び触媒量の酸を加えて得られる加水分解溶液に、他の金属アルコキシドのアルコール溶液を滴下すればよい。反応温度は、常温でも加温してもよい。通常、30〜80℃程度で撹拌すればよい。
これにより、pH3〜5程度の金属アルコキシドの加水分解溶液が調製される。
次に、上記(2)において、上記(1)で得られた金属アルコキシドの加水分解溶液から大部分のアルコールを除去する。ゾルゲル反応に用いるアルコールは、半導体ナノ粒子の分散を妨げる典型的な貧溶媒であるため、アルコールをできるだけ除去した後にナノ粒子を導入することが好ましいからである。通常、常温(10〜30℃程度)常圧(0.1MPa程度)にて2〜15時間程度撹拌してアルコール分を自然蒸発させる方法、或いは、減圧下でア
ルコール分を留去する方法などが用いられる。
該加水分解溶液からのアルコール分の除去割合は、具体的に規定することは容易ではないが、その大部分が除去されていればよい。通常、アルコール分の除去に応じて加水分解溶液の粘度が上昇することから、例えば、加水分解溶液の粘度が、200〜3000 mPa・s程度、好ましくは500〜2000 mPa・s程度、さらに好ましくは700〜1500 mPa・s程度になるまで、アルコールを除去すればよい。
次に、上記(3)において、上記(2)で得られたアルコールが除去された加水分解溶液のpHを5.5〜8.5に調製する。上記(1)の加水分解溶液は、酸触媒により液性が酸性にあるため、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)水溶液を用いてpHを5.5〜8.5に調製する。pHが上昇すると、ゾル状の加水分解溶液の脱水縮合反応が促進されることになる。
なお、金属アルコキシドとして、テトラアルコキシシランのみを用いた場合、その加水分解溶液のpHを5.5〜6.5程度にするのが好ましく、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシジルコニウムを用いた場合、その加水分解溶液のpHを7.5〜8.5程度にするのが好ましく、テトラアルコキシシランとテトラアルコキシチタンを用いた場合、その加水分解溶液のpHを6.5〜7.5程度にするのが好ましい。
次に、上記(4)において、上記(3)で得られたpH5.5〜8.5程度に調製された加水分解溶液と、前記「I.半導体ナノ粒子」の項で調製された半導体ナノ粒子の水溶液とを混合し硬化させる。
半導体ナノ粒子の水溶液は、具体的には、II-VI族半導体ナノ粒子(1×10-7〜3×10-6
モル/リットル程度、好ましくは、3×10-7〜2×10-6モル/リットル程度)、II-VI族半
導体ナノ粒子の原料であるII族元素を含む水溶性化合物(II族元素イオン)(0.001〜0.05モル/リットル程度、好ましくは0.01〜0.02モル/リットル程度、より好ましくは0.013〜0.018モル/リットル程度)、及び界面活性剤(水溶液中に含まれるII族元素イオン1モルに対し0.5〜5モル程度、好ましくは1〜1.5モル程度)を含むpH10〜12程度(好ましくは、10.5〜11.5程度)の水溶液が好適である。
上記(3)で調製された加水分解溶液は脱水縮合反応が進行し易いため、調製後は速やかに半導体ナノ粒子の水溶液と混合することが好ましい。両者の混合は、常温常圧にて撹拌混合すればよい。
得られた混合物を、室温で2〜14日程度放置することにより、硬化が進行し無機マトリックス中に半導体ナノ粒子が分散した蛍光体が製造される。この蛍光体のビッカース硬度は、500 MPa以上、さらに550〜1000MPa程度、特に600〜1000MPa程度となる。また、そ
の比重は、1.7以上、さらに1.7〜2.2と高い値となる。また、その発光効率は、発光効率25%以上、さらに30%以上、特に35〜80%程度となる。
さらに、得られた蛍光体を、80〜100℃程度で1〜5時間程度熱処理することにより、硬度及び比重がともに向上した蛍光体を得ることもできる。この蛍光体のビッカース硬度は、600 MPa以上、さらに650〜1000MPa程度、特に700〜1000MPa程度となる。また、
その比重は、1.8以上、さらに1.8〜2.4と高い値となる。また、その発光効率は、発光効
率25%以上、さらに30%以上、特に35〜80%程度となる。
次に、より具体的な蛍光体の製造例を説明する。
まず、テトラエトキシシランのゾルゲル法により製造される無機マトリックスに半導体ナノ粒子を分散させる方法について述べる。
テトラエトキシオルソシリケート(TEOS)をエタノールで薄めた後に、水と少量の塩酸を加えて2〜3時間、攪拌し、TEOSを部分的に加水分解して加水分解溶液を得る。その後、加水分解溶液を5〜10時間程度撹拌して大部分のエタノールを蒸発させる。この加水分解
溶液の粘度は700〜1500 mPa・s程度である。次に、水酸化ナトリウム水溶液にて加水分解溶液のpHを6.5〜7.5程度にして、テフロン(登録商標、以下同じ)シャーレに流し込む。これにテルル化カドミウム分散水溶液を加えて、素早くかき混ぜる。さらに、これを室温で3〜5日間程度放置することで、ガラス蛍光体を得る。さらに80〜100℃程度の温度で数
時間の熱処理をして脱水縮合反応を進めて、ガラスの質を上げることができる。
次に、シリカにジルコニアを混ぜた無機マトリックスに半導体ナノ粒子を分散させる方法について説明する。ジルコニウムを混ぜたガラスは、シリカのみのガラスに比べて、さらに化学的安定性、耐熱性等が向上する。
TEOSにエタノール、水および少量の塩酸を加えて1時間程度攪拌することで部分的に加
水分解して加水分解溶液を得る。ジルコニウムプロポキシドのエタノール溶液を、前記TEOSの部分的加水分解溶液に1滴ずつ加え、65〜75℃で20〜60分程度加熱攪拌して加水分解
溶液を得る。室温に冷却した後、さらに水と少量の塩酸を加えてもよい。これをさらに3
〜10時間程度攪拌して、ほとんどのエタノールを蒸発させる。この加水分解溶液の粘度は、700〜1500 mPa・s程度である。その後、pHを7.5〜8.5程度に調整して、これをテフロンシャーレに注ぎ込んだ後、テルル化カドミウムナノ粒子分散溶液を加えて、素早く攪拌する。室温で4〜6日程度放置すると、均一なガラス蛍光体が出来上がる。さらに、80〜100
℃程度の温度で数時間の熱処理をして脱水縮合反応を進めて、ガラスの質を上げることができる。
なお、水の量とpHを最適化して、ゲル化時間を減らすことで、発光効率の低下を防ぐことが出来る。ゲル化時間は、20分以下が好ましく、10分以下とするのがより好ましい。また、シリコンとジルコニウムのモル比は、80:20〜98:2程度、好ましくは90:10〜95:5程度とするのが良い。得られたナノ粒子分散シリカジルコニアガラス蛍光体の写真と分散の様子の模式図を図1に示す。
上記した方法によって形成される本発明の蛍光体は、全体としては基本的にガラスの性質を示すものであり、今までのオルガノアルコキシシランを用いて製造される蛍光体に比
べて、さらに経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的特性などの諸特性に優れたものとなる。
なお、原料として金属アルコキシドとともにオルガノアルコキシシランを用いた蛍光体の場合は、蛍光体中のオルガノアルコキシシランの含有量は、元素分析を行うことで見当をつけることが出来る。オルガノアルコキシシランとしてはAPSが多用されるので、この
場合はアミノ基に含まれる窒素が検出される。また、オルガノアルコキシシランを含む場合は、一般にビッカース硬度が低下する。本発明の蛍光体では、ビッカース硬度500 MPa
以上のものが得られるので、従来APSを用いた蛍光体(ビッカース硬度490 MPa以下)との区別が出来る。ビッカース硬度は、例えば島津製作所のビッカーステスター(HMV−1)
を用いて10グラム重の加重を15秒間加えることで測定できる。
また、本発明の蛍光体では、ゾルゲル反応の進行に伴って網目構造が高度に発達する。このため、収縮が著しく硬度と比重が上昇する。これまでのオルガノアルコキシシラン(例えば、APS等)を用いた蛍光体の場合は、比重が1.4程度であるのに対し、本発明の蛍光体では、一例としてマトリックスがシリカのみの蛍光体の場合で、比重1.73±0.01、それを100℃で3時間熱処理したもので1.78±0.02程度となる。また、シリカジルコニア蛍光体では、1.89±0.01、それを100℃で3時間熱処理したもので2.01±0.01と1.7を超えるもの
が作製される。
本発明では、このように硬度が高いマトリックスや比重が高いマトリックスでナノ粒子が強固に保護されているため、経時安定性、化学的安定性、耐熱性、機械的特性等に優れている。
III.蛍光体の用途
以上の方法で得られる蛍光体は、輝度が高く、単一波長の光照射で様々な発色光を示すものであり、従来の蛍光体に替えて以下に示すような発光デバイス(照明装置や表示素子など)の蛍光体として有効に利用できる。
照明装置
特に波長365 nm の水銀灯や紫外LEDによる励起にあわせて、適当な粒径の半導体ナノ粒子を組み合わせることで白色照明光が得られる。他に冷陰極蛍光ランプなどのように液晶のバックライトとしての照明、水銀灯を用いるプレゼンテーション用の液晶プロジェクター用の光源などとして利用できる。
表示素子(ディスプレイなど)
平板に微細なパターンとして当該ガラス蛍光体を塗布したものを用いる。RGBの3色の発光を示すナノ粒子を含むガラスを、例えば直径0.1ミリ程度の多数のドットに交互に塗りわ
け、紫外光を情報信号に応じて強度変調して照射することで、所望の表示が得られる。この場合の励起光源については、マトリックスの吸収のない範囲の波長を選択する必要がある。波長320nm未満では多くの場合マトリックスの吸収が出てくるので、例えば、水銀
ランプ、LED、固体レーザーなどの波長320nm〜600nm程度の光源を利用することが好
ましい。
特に、強い励起光を照射した場合には、蛍光体の温度が上昇して劣化が早まる。劣化の活性化エネルギーとしては、およそ300meVという値となる。このため、長持ちさせるには、出来るだけ使用温度が低いほど望ましく、出来る限り50℃以下、出来れば40℃以下が望ましい。そのためには励起光源の配置を工夫し、冷却装置、熱放散材料を備えていることが好ましい。冷却装置としては、例えば強力な冷却ファン、水冷等が、熱放散材料としては金属やセラミックスが挙げられる。
本発明の蛍光体は、硬度や比重が高いガラスマトリックス中において半導体ナノ粒子が安定的に存在し、また該半導体ナノ粒子は高い発光効率を保持しかつ高濃度状態を保持している。そのため、本発明の蛍光体は、より実用に適した蛍光体となる。
このような蛍光体は、従来の蛍光体に替えて高輝度の表示装置や照明装置などの光デバイスとして好適に用いられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
4官能のシリカだけをマトリックスとするナノ粒子分散ガラス蛍光体を作製した。
既報の方法(李、村瀬、ケミストリー レターズ、34巻、92ページ、2005年)に従い、水に分散したテルル化カドミウムナノ粒子を作製した。すなわち、過塩素酸カドミウム(6水和物、1.095g)を水200ミリリットルに溶かし、これに界面活性剤のチオグリコール
酸(TGA)を過塩素酸カドミウムに対し、1.25倍モル加えた。これに、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pH11.4に調整した。30分脱気した後、不活性雰囲気下、激しく攪拌しながらテルル化水素ガスを導入した。さらに10分間の攪拌後、コンデンサーをつけて約100℃で還流した。還流とともにテルル化カドミウム粒子が成長し、発光波長が緑色から
赤色にシフトした。
まず、還流初期の段階で、緑色発光のテルル化カドミウムナノ粒子(直径約3 nm)を含む溶液(これを溶液1とする。)を取り出した。テルル化カドミウムは界面活性剤のTGA
で覆われて水の中で安定化していた。
次に、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)をエタノールに混ぜて、室温で10分間攪拌して溶解させた。次に、純水と0.1Mの塩酸をこのエタノール溶液に混ぜ、約1時間攪拌して透明な溶液を得た。TEOS、エタノール、水、塩酸のモル比は、1:10:50:1.5x10-3とした。また、溶液のpHは約4であった。この溶液を9時間攪拌して、ナノ粒子に対して貧溶媒であるエタノールを飛ばしつつ、部分的にTEOSを加水分解した加水分解溶液を得た。この加水分解溶液を、0.5M水酸化ナトリウム溶液を用いてpH6にした。
この加水分解溶液をテフロンシャーレに移し、これに上記の溶液1を1mL、素早く加えて撹拌した。このまま4日間室温で放置すると固化してガラス蛍光体となった。これを
蛍光体1とする。
次に、還流時間を十分に長くして得られる赤色発光のテルル化カドミウムナノ粒子(直径約4 nm)を含む溶液(これを溶液2とする。)を取り出した。この溶液2を、上記溶液1の場合と同様にしてガラス蛍光体を作製した。これを蛍光体2とする。
吸収分光光度計(U-4000、日立製作所製)及び蛍光分光光度計(F-4500、日立製作所製)を用いて、溶液1、溶液2、蛍光体1、蛍光体2の吸収、発光スペクトルを測定し、その結果を図2に示す。
図2中、(i)は緑色発光ガラス蛍光体1の吸収スペクトル、(ii)は赤色発光ガラス蛍光
体2の吸収スペクトル、(iii)は緑色発光ガラス蛍光体1の発光スペクトル、(iv)は赤色
発光ガラス蛍光体2の発光スペクトルを示す。また、(v)は溶液1の発光スペクトル、(vi
)は溶液2の発光スペクトルを示す。
図2より、ナノ粒子の発光スペクトルは、溶液状態とガラス蛍光体内でほとんど変化がないことが確かめられた。このスペクトルから、蛍光体1及び2の発光効率を求めるとそれぞれ30%、42%となった。ナノ粒子の濃度は、蛍光体1及び2ともに1.2×10-5モル/リットルと見積もられた。
さらにこの蛍光体2を空気中で80℃、3時間加熱して脱水縮合反応を進めることで、さらに高品位の蛍光体(熱処理蛍光体2)を得ることが出来た。このときの赤色発光蛍光体(蛍光体2)の吸収及び発光スペクトルの変化を図3に示す。吸収スペクトルの変化はほとんどないが、加熱によって発光効率は42%から33%に減少し、また、脱水縮合反応によりガラスは明らかに収縮した。
蛍光体2及び熱処理蛍光体2の硬度を、島津製作所のビッカーステスター(HMV−1)
を用いて10グラム重の加重を15秒間加えることで測定した。測定は異なった場所で6回ず
つ行い、その平均とばらつきを求めた。その結果、蛍光体2のビッカース硬度は、940±10 MPa、熱処理蛍光体2では1100±40 MPaであった。
また、蛍光体2の比重を、比重瓶を用いた標準的な比重計で、20℃で複数回の比重測定を行った。その結果、蛍光体2の比重は、1.73±0.01という値が得られた。これを100℃
で3時間熱処理した蛍光体(熱処理蛍光体3)では、1.78±0.02であった。
比較例1で得られるAPSから作製したガラス蛍光体の比重(1.4)よりも十分に高いことが示された。
比較例1
特許文献2の実施例3に記載の方法に従い、APSを用いたマトリックスにテルル化カド
ミウムナノ粒子を分散させた蛍光体を製造し、さらにこれを100℃で3時間熱処理して蛍光体を得た。
この蛍光体のビッカース硬度は490 MPaであり、比重は1.4であった。
実施例2
実施例1と同様の方法で緑色発光のガラス蛍光体作製した。該蛍光体中のナノ粒子の濃度を変えて発光効率の変化を調べた。その結果を図4(a)及び図4(b)に示す。
なお、図4(a)中、(i)はナノ粒子の濃度が1.5×10-5モル/リットルの蛍光体の吸収
スペクトル、(iii)はその発光スペクトル、(ii)はナノ粒子の濃度が6.0×10-5モル/リッ
トルの蛍光体の吸収スペクトル、(iv)はその発光スペクトルを示す。また、コロイド溶液と示されているのは、ガラスに入れる前のナノ粒子分散水溶液のスペクトルを示す。
図4(a)によれば、溶液状態とガラス蛍光体では、発光スペクトルにほとんど変化がないことが分かる。また、ガラス蛍光体中でナノ粒子の濃度が高くなっても、発光スペクトルの位置や形が変わらないことが分かる。
図4(b)によれば、蛍光体中のナノ粒子の濃度が1.5×10-5〜6×10-5モル/リットル
までは、発光効率は30%と高い値で保たれていることがわかる。
実施例3
4官能のシリカとジルコニアをマトリックスとするナノ粒子分散ガラス蛍光体を作製し
た。
実施例1と同様の方法でテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液を作製した。緑色及び赤色発光の溶液をそれぞれ溶液1及び溶液2とする。
TEOS、純水、及びエタノールを1:1:1のモル比で混合した。これに塩酸を微量添加して
溶液のpHを4にした後、1時間攪拌してTEOSを部分的に加水分解した。
ジルコニウムプロポキシド(Zr(OC3H7)4)と等容量のエタノールの溶液を、先に用意したTEOSの部分加水分解溶液に一滴ずつ加え、さらに70℃で30分間加熱攪拌した。溶液中のシリコンとジルコニウムのモル比が93:7になるように調製した。室温に冷却後、さらに
純水に薄めた塩酸を一滴ずつ加えた。このとき、(ジルコニウム+シリコン):エタノール:水:塩酸のモル比が、1:5:30:0.002になるように調整した。このときのpHは、4であ
った。この溶液を9時間攪拌し、ほとんどのエタノールを飛ばすことで、加水分解溶液を
得た。この加水分解溶液のpHを水酸化ナトリウム溶液で8に調整した。
この加水分解溶液をテフロンシャーレに移し、溶液1を1ミリリットル、素早く加える
ことで、ゲル化を進ませた。このまま5日程度放置することで、透明なガラス蛍光体が得
られた。この蛍光体の写真と模式図を図1に示す。
このガラス蛍光体中のナノ粒子の濃度を増加させた場合の発光効率の変化を図5に示す。ナノ粒子の濃度を4×10-5モル/リットル程度に増加させても発光効率40%が保たれることがわかる。
同様に、溶液2を加えてガラス蛍光体を作製した。このガラス蛍光体中のナノ粒子の濃度と発光効率の関係を図6に示す。この場合もナノ粒子の濃度を4×10-5モル/リットル程度に増加させても発光効率60%が保たれることがわかる。発光効率60%という値は、これまで報告されたどのナノ粒子分散固体よりも高い値である。
実施例1と同様の方法で、ビッカース硬度を測定すると、730 MPaであった。このガラ
スの比重を実施例1と同じ方法で測定したところ、1.89±0.01であった。さらにこれを100℃で3時間熱処理した蛍光体では、2.01±0.01であった。
比較例1で得られるAPSから作製したガラス蛍光体の比重(1.4)よりも十分に高いことが示された。
実施例4
シリカジルコニアガラス蛍光体がゲル化するまでの時間と得られたガラスの発光効率の関係を調べた。
シリコンとジルコニウムのモル比を93:7とし、ガラス中のナノ粒子の濃度を3×10-5
ル/リットルに固定した。ナノ粒子分散液(実施例1の溶液1又は溶液2)と加える水の
量を制御することで、ゲル化時間を変えて出来上がるガラスの発光効率を測定した。ガラス蛍光体の作製は、水の量以外は実施例3に記した方法で行った。
ジルコニアとシリカの合計量に対して、水をモル比で8、12、17、25、34、40とした時
に、ゲル化するまでの時間は、緑色、赤色発光ともそれぞれ2分、5分、10分、15分、20分、25分であった。ゲル状態からさらに反応を進ませてガラス化させて、その発光効率を測定した。この結果を図7に示す。
図7より、緑色発光ガラス蛍光体及び赤色発光ガラス蛍光体とも、ゲル化時間が20分を超えない範囲では発光効率は、作製時に用いたテルル化カドミウム水溶液の値が保たれるが、それを超えると発光効率が低下することがわかった。これにより、ゲル化するまでの時間を一定時間内に制御することにより、ナノ粒子分散水溶液の発光効率をほぼ保持できることが明らかとなった。
実施例5
実施例3において溶液2から得られる赤色発光シリカジルコニアガラス蛍光体について、沸騰水に対する安定性を調べた。その結果を図8に示す。
図8中、沸騰水に浸漬後1時間では、初期のナノ粒子の吸収及び発光スペクトルは変化
はなく、発光効率も60%で維持されていた。3時間が経過して始めて発光効率が60%から56%に変化したが、吸収スペクトルはほとんど変化しない。浸漬後1時間後及び3時間後では、吸収スペクトルはほぼ同じであり、図8中では重なって示されている。
なお、図8には示していないが、比較例1で得られたガラス蛍光体は、沸騰水に入れると1分程度で表面が劣化し、際立った違いがあることがわかった。
実施例6
4官能のシリカとチタニアをマトリックスとするナノ粒子分散ガラス蛍光体を作製した。
実施例1と同様の方法で赤色発光のテルル化カドミウムナノ粒子分散水溶液(溶液1)を作製した。
TEOS、純水、エタノールを1:1:1.8のモル比で混合した。これに塩酸を微量、添加して
溶液のpHを4にした後、1時間攪拌してTEOSを部分的に加水分解した。
チタンテトライソプロポキシド(Ti(OCH(CH3)2)4)と等容量のエタノール溶液を、先に用意したTEOSの部分加水分解溶液に一滴ずつ加え、さらに70℃で20分間加熱攪拌した。溶液中のシリコンとチタンのモル比が90:10になるように調製した。室温に冷却後、さらに純水に薄めた塩酸を一滴ずつ加えた。このとき、(チタン+シリコン):水:塩酸のモル比が、1:5:0.002になるように調整した。この溶液を2時間攪拌して、ほとんどのエタノ
ールを飛ばすことで、加水分解溶液を得た。
この加水分解溶液3ミリリットルをテフロンシャーレ上に取り出し、水6ミリリットル
を加えた後、0.1Mの水酸化ナトリウム溶液でpH7に調整した。これに、先の溶液1を攪拌しながら加え、その後この状態で3日間静置することにより、透明なガラス蛍光体が得ら
れた。
この蛍光体の発光効率を測定すると、62%と大変高い値を示した。
実施例3で得られたシリカジルコニアガラス蛍光体の写真と模式図を示す。 実施例1で得られた緑色発光及び赤色発光半導体ナノ粒子分散シリカガラス蛍光体の発光及び吸収スペクトル、並びに溶液1及び2の発光スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られた赤色発光ガラス蛍光体の熱処理(80℃、3時間、大気中)前後の吸収及び発光スペクトルの変化を示すグラフである。 (a)は実施例2で得られた緑色発光ガラス蛍光体の吸収及び発光スペクトルを示すグラフである。(b)は実施例2で得られた緑色発光ガラス蛍光体におけるナノ粒子分散濃度と発光効率の関係を示すグラフである。 実施例3で得られた緑色発光シリカジルコニアガラス(Si0.93Zr0.07O2)蛍光体のナノ粒子分散濃度と発光効率の関係を示すグラフである。 実施例3で得られた赤色発光シリカジルコニアガラス(Si0.93Zr0.07O2)蛍光体のナノ粒子分散濃度と発光効率の関係を示すグラフである。 実施例4で得られた緑色発光及び赤色発光シリカジルコニアガラス蛍光体におけるゲル化時間と発光効率の関係を示すグラフである。 実施例5で得られた赤色発光シリカジルコニアガラス(Si0.93Zr0.07O2)の沸騰水への浸漬時間と吸収及び発光スペクトルの関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 発光効率25%以上の半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に分散してなる蛍光体の製造方法であって、(1)テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシジルコニウム、テトラアルコキシチタン及びトリアルコキシアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属アルコキシド;アルコール;水及び酸を混合して前記金属アルコキシドの加水分解溶液とし、(2)該加水分解溶液からアルコールの大部分を除去し、(3)さらにpH5.5〜8.5に調製した後、(4)これと発光効率25%以上の半導体ナノ粒子の分散液とを混合した後、硬化させることを特徴とする蛍光体の製造方法
  2. 金属アルコキシドが、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシジルコニウム及びテトラアルコキシチタンからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項に記載の蛍光体の製造方法
  3. 半導体ナノ粒子が、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム及びセレン化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の蛍光体の製造方法
  4. さらに、前記(4)で硬化後の蛍光体を加熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体の製造方法により得られる蛍光体。
  6. 前記半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に濃度10 -5 モル/リットル以上で分散してなる
    請求項5に記載の蛍光体。
  7. ビッカース硬度が500 MPa以上である請求項5又は6に記載の蛍光体。
  8. 比重が1.7以上である請求項5〜7のいずれかに記載の蛍光体。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の蛍光体を有する発光デバイス。
  10. ガラス蛍光体の温度を50℃以下に保持するための冷却装置又は熱放射材料を備えた請求項9に記載の発光デバイス。
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