JP4528853B2 - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、所謂トイレトレーニングに用いられる使い捨ておむつ、使い捨て吸収パッド等の、使い捨て吸収性物品に関するものである。
従来、トレーニング用の使い捨ておむつとしては、装着者に排尿を知覚させるために、尿を肌に接触させ、湿潤による不快感を強調する工夫を施したものが一般的であったが、肌のフヤケからカブレに繋がるおそれがあることから、尿を肌から遠ざけるものでありながら、装着者に排尿を知覚させるための技術開発が行われている。
この代表的なものが、ソルビトール等のように尿との接触により尿に温度変化をもたらす物質の利用である(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術では、ソルビトール等の温度変化物質を含む部材を、吸収要素の身体側に配置することが提案されている。また、特許文献2記載の技術では、浸透性層と不浸透性層との間にソルビトール等の温度変化物質を挟んでなる要素を、吸収性コア上に配置することが提案されている。
特許3922722号公報 特許3830901号公報
しかしながら、従来のものの温度変化は、温度変化物質の使用量の割には変化度合い及び変化速度ともに不十分であるという問題点があった。そのため、従来のものは装着者が排尿を知覚して申告する率が低く、例えば、現在市販されている冷却物質入りのトレーニング用の使い捨ておむつでは高くても4割程度であった。
そこで、本発明の主たる課題は、温度変化効率に優れ、より速く且つより大きな温度変化を発揮しうる使い捨て吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究した結果、次のような知見を得た。すなわち、単に吸収体中に温度変化物質を含有させるだけであると、温度変化物質に接触せずに吸収体に保持された尿が、温度変化を阻害するだけでなく、吸収体内で温度変化物質による温度変化作用が発現しても、その温度変化は、吸収体が本来的に有している断熱作用によって遮られてしまう。また、温度変化物質による温度変化作用を効率良く発現させようとすると、一見、排尿部位に温度変化物質を配置するのが望ましいようであるが、排尿部位は最も継続的に尿が供給される部位であり、先に供給された尿により発生する温度変化が、後に供給される尿の温度により弱まるか又は打ち消されてしまう。しかもこれらの現象は、温度変化性能に対する影響が極めて大きい。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
<請求項1記載の発明>
物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
液透過性表面シートと裏面側シートとの間に吸収体が介在されてなる吸収部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
前記吸収体は、物品前後方向中央から前側に物品全長の30〜48%延在しており、
前記吸収体に、厚みがその周囲の領域の0〜50%であるポケット部が、物品前後方向中央から前側に物品全長の20%の部位を含み、且つ前記ポケット部の前端部と前記吸収体の前端部との距離が物品全長の5〜30%であるように、形成されており、
前記ポケット部内に、吸湿性を有し、かつ尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質が配置されており、
水分との接触により色が変化する***インジケータの少なくとも一部が、前記ポケット部と重なるように設けられている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
本発明では、排尿時に表面シートを透過し、吸収体に吸収された尿が拡散作用により前側に十分に移動した後に、ポケット部内の温度変化物質と接触する。これにより、ポケット部内では温度変化が発生し、その温度変化が吸収体を介さずに、装着者の腹側部分に伝達される。このように、十分に拡散移動した後の尿が温度変化に寄与する構造であると、従来のような、先に供給された尿により発生する温度変化が後に供給される尿の温度により弱まる又は打ち消されるといった現象を回避でき、温度変化物質の使用量に見合った温度変化が発現する。しかも、その十分な温度変化はポケット部(表裏貫通部)で発生するため、身体へ効率良く伝達される。よって、本発明によれば、温度変化効率に優れ、より速く且つより大きな温度変化を発揮しうる使い捨て吸収性物品となる。
また、トレーニング用おむつでは***インジケータも併用して装着者に排尿のあったことを伝えるような仕様とすることが多いが、***インジケータが吸収体のポケット部と重なるように設けられていると、少量の尿でも変色が良好であるため好ましい。ここで、温度変化物質が吸湿性を有すると、保管中の空気中の水分(湿気)の接触、あるいは使用中の着用者の汗や体から放散される水分の接触によって、***していないのに***インジケータが変色してしまうことがない。
<請求項2記載の発明>
物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
液透過性表面シートと裏面側シートとの間に吸収体が介在されてなる吸収部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
前記吸収体は、物品前後方向中央から前側に物品全長の30〜48%延在しており、
前記吸収体に、厚みがその周囲の領域の0〜50%であるポケット部が、物品前後方向中央から前側に物品全長の20%の部位を含み、且つ前記ポケット部の前端部と前記吸収体の前端部との距離が物品全長の5〜30%であるように、形成されており、
前記ポケット部内に、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質が配置されており、
前記ポケット部の周囲の、少なくとも前記ポケット部の前端部近傍には、高吸収性ポリマーが、前記吸収体のその他の領域と比較して最も高密度に配置されている、
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
ポケット部の周囲、少なくとも装着者の腹部にあたるポケット部の前端部近傍に高吸収性ポリマーが高密度に配置されていると、拡散しようとする温度変化した尿を吸収保持し、装着者の腹部周辺にとどめることができるため、好ましい。
<請求項記載の発明>
前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
前記ポケット部内における前記温度変化物質の目付けが500〜1000g/m2であり、
前記ポケット部の総面積は2500〜8000mm2であり、
前記温度変化物質により前記吸収体に生じうる熱量変化の総量は20cal以上であり、
前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上である、
請求項1又は2記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
このような寸法のポケット部内に、このような性能及び量の温度変化物質を用いることによって、上記本発明の作用効果がより顕著なものとなる。特に、温度変化物質が尿への溶解によって温度変化する物質である場合、ポケット部に供給される尿がポケット部の温度変化物質のほとんど全てを溶解するだけの量であると、温度変化した尿はこれを保持するものがないため周囲に拡散してしまうという問題が顕著である。しかし、本発明の吸収性物品は、十分に拡散移動した後の尿が温度変化に寄与する構造であるため、ポケット部の温度変化物質はその一部が溶け残り、温度変化した尿を保持することができる。そして、温度変化物質内に保持された尿がその後もゆっくりと温度変化物質の溶解を進めるため、温度変化がより確実に装着者に伝わる。
<請求項記載の発明>
前記吸収体は、親水性繊維を120〜200g/m2、及び高吸収性ポリマー粒子を170〜220g/m2含み、前記親水性繊維の含有量よりも前記高吸収性ポリマーの含有量のほうが多い、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
ポケット部自体は吸収量が少ないあるいは全くないため、供給される尿の量が多いと、温度変化した尿のうちポケット部に保持しきれない分については周囲に拡散してしまい、装着者への温度変化の伝達が不十分になることがある。しかし、親水性繊維の使用量が高吸収性ポリマーに対して少ないと、高吸収性ポリマーが水分を吸収してゼリー状に膨張した後の吸収体内の液拡散性は低くなるため、少なくとも排尿口に近い位置の吸収体におけるポケット部との境界近傍においては、ポケット部に供給されて温度変化した尿が吸収体内に戻って拡散することがない。
以上のとおり、本発明によれば、温度変化効率に優れ、より速く且つより大きな温度変化を発揮しうる使い捨て吸収性物品となる、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について、パンツ型使い捨ておむつ(トレーニングパンツ)の例を引いて説明するが、本発明はテープ式の使い捨ておむつやパッド型の吸収性物品等にも適用できることはいうまでもない。
<パンツ型使い捨ておむつの基本構造例>
図1〜図9は、パンツ型使い捨ておむつの一例を示している。各図において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
このパンツ型使い捨ておむつは、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部100が形成されるように構成されている。符号12Aは個々の溶着部を示しており、この溶着部12Aの群がサイドシール部を構成するものである。図示形態のように、背側外装シート12Bが溶着部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施し、背側延出部14に延出溶着部12Eを設けることができる。延出溶着部12Eを設けることにより、後述する背側延出部14の第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することができる。この場合、脇部の破りやすさを考慮して、溶着部12Aは小さな溶着部の集合からなり、溶着部12Aにおける溶着面積の比率が低い接合パターンとすることが一般的であるが、延出溶着部12Eでは破りやすさを考慮する必要が無いため、溶着パターンは溶着部12Aよりも溶着面積の比率を高くすることにより第2の細長状弾性伸縮部材16が確実に溶着固定されるようにしてもよい。また、延出溶着部12Eは臀部カバー部14Cの縁部をカーブしたラインで溶着し、臀部カバー部14Cの第2の細長状弾性伸縮部材16の引き込みを防止することもできる。
また、胴回り部100における腹側外装シート12Fの幅方向中央部内面に内装体200の前端部がホットメルト接着剤等により連結されるとともに、背側外装シート12Bの幅方向中央部内面に内装体200の後端部がホットメルト接着剤等により連結されており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離Yは150〜250mm程度とすることができる。図示しないが、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間部で連続した形態、つまり腹側から背側までを一体的な外装シートにより連続的に覆う形態を採用することもできる。
図7及び図8からも判るように、胴回り部100の上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口部WOとなり、内装体200の幅方向両側において胴回り部100の下縁および内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部LOとなる。各溶着部12Aを剥がして展開した状態では、図1に示すように砂時計形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、***物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部100は内装体200を装着者に対して支持する部分である。
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、図4及び図5にも示すようにシート状資材12,12を2枚貼り合せてなるものであり、内側に位置する内側シート状資材12はウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する外側シート状資材12は内側シート状資材12のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在され、対向面にホットメルト接着剤等により固定されている。シート状資材12としては溶着により接合できるものであれば特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その坪量は10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
そして、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bには、胴回りに対するフィット性を高めるために、両シート状資材12,12間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張率で設けられている。細長状弾性伸縮部材15〜18,19T,19Uとしては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bの両シート状資材12,12の貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める背側本体部13と、この背側本体部13の下側に延出する背側延出部14とを有している。背側延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出した臀部カバー部14Cとを有している。
背側延出部14の形状は適宜定めることができるが、図示例では、背側延出部14の上端部は、背側本体部13と同幅で背側本体部13の下側に延出されており、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭められている。背側本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、臀部を覆い易い形状となる。
背側延出部14の寸法は適宜定めることができるが、図6に示すように、臀部カバー部14Cの幅方向長さ14x(臀部カバー部14Cの幅方向外側の縁14eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、臀部カバー部14Cの上下方向の長さ14y(延出長さ)が30〜80mmであると、より好ましい。また、背側延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、背側延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度であると、臀部の外観および装着感に優れるため、好ましい。
背側本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
背側本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、背側本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、背側本体部13の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、背側延出部14における内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくとも臀部カバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。
第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの背側本体部13と基本的に同様の腹側本体部(溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような背側延出部14を有していないものである。
すなわち、腹側外装シート(腹側本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおける内側シート状資材12の内側面と外側シート状資材12の折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
また、腹側外装シート12F(腹側本体部)の下側部分Uにおける内側シート状資材12の外側面と外側シート状資材12の内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は1880dtex以下、好ましくは470dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
図示形態の腹側外装シート12Fは、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、溶着部12Aと同じ上下方向範囲を占める腹側本体部と、この腹側本体部の下側に延出する腹側延出部とからなる構成とすることもできる。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、腹側延出部の面積は、背側延出部の面積の10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。腹側延出部が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、背側本体部13および背側延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15、16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面全体を覆うように、あるいは腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとの間に露出する部分全体を覆うように、股間部外装シート12Mを固定することもできる。また、表面シート30と吸収要素50との間に、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させる中間シート(セカンドシート)を設けることもできるが、肌への熱伝達が阻害されるため、表面シート30と吸収要素50との間には、少なくとも後述するポケット部57と重なる部分、好ましくは全体にわたり、他の部材を設けないのが好ましい。さらに、内装体200の両脇に***物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立するバリヤーカフス60,61を設けることができる。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。また、内装体200は、メカニカルファスナーや粘着材を用い、外装シート12F,12Bに対して着脱自在に取り付けることもできる。
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。特には、表面側からの温度変化を感知し易くするため、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつさらっと感に優れるため好適である。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合わせてなるものであってもよい。
表面シート30を不織布から構成する場合、その厚みが0.1〜3mm程度、特に0.5mm以下、且つ目付けが10〜40g/m2程度、特に25g/m2以下であるように構成すると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。
バリヤーカフス60,61を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11とバリヤーカフス60,61との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及びバリヤーカフス60,61に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。これにより、内装体200の両側部の剛性が向上するという効果も得られる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、股間部外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、水分との接触により色が変化する***インジケータ80を設けることができる。***インジケータ80は、液不透過性シート11と吸収体56の間に設けるのが好ましく、吸収体56の全長の30%以上、特に60%以上にわたって設けられるのが好ましく、少なくとも吸収体56の幅方向中央に沿って設けられるのが好ましい。吸収体56が後述する包装シート58によって包まれている場合、***インジケータ80は包装シート58の吸収体56側あるいは液不透過性シート11側のいずれの側に設けてもよい。また、***インジケータ80を設けた別の部材を液不透過性シート11と吸収体56の間に配置してもよい。***インジケータ80は、後述する吸収体56のポケット部57と重なるように設けられていると、少量の体液でも変色が良好であるため、好ましい。この場合、***インジケータ80の30%以上、特に50%以上がポケット部57と重なるのが好ましく、ポケット部57は吸収体56を上下方向に貫通するように設けられる(包装シート58は存在してもよい)のが好ましい。
(バリヤーカフス)
バリヤーカフス60,61は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。
本実施の形態では、図3及び図4にも示すように、内装体200の左右各側において二重にバリヤーカフス60,61が設けられている。おむつを展開した状態では、図示のように、内側バリヤーカフス61は内装体200の側部から幅方向中央側に斜めに起立するものであり、外側バリヤーカフス60は、内側バリヤーカフス61の幅方向外側において内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、内側バリヤーカフス61は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のバリヤーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸張状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。細長状弾性伸縮部材63は、バリヤーシート62に対し、前後端部では固定されておらず、中間部においてバリヤーカフスが前後に伸縮するように固定されている。バリヤーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは420〜1120dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。また、図示しないが、二つに折り重ねたバリヤーシートの間に防水フィルムを介在させることもできる。
細長状弾性伸縮部材63は、内側バリヤーカフス61の先端部に1〜2本配置するのが好ましく、先端部と基端部との間の中間部にも1〜2本配置すると更に好ましい。中間部に細長状弾性伸縮部材63があると、これを支点として中間部から先端部に亘る範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。中間部の細長状弾性伸縮部材63の配置位置は内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の30〜70%範囲が好ましい。乳幼児用紙おむつでは、内側バリヤーカフス61の高さは15〜35mm程度が好ましいため、細長状弾性伸縮部材63の配置範囲は先端から基端側に5〜25mmの位置が好ましく、12〜18mmの位置がより好ましい。内側バリヤーカフス61の先端部及び/または中間部にそれぞれ細長状弾性伸縮部材63を平行に設ける場合は、その配置間隔61dは2〜10mmが好ましく、2〜6mmがより好ましい。
そして、内側バリヤーカフス61のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分(内側取付部分)65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分であり、内側突出部分に相当する)とされ、この突出部分66のうち前後方向両端部が表面シート30表面にホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67により固定され、前後方向中間部が非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸張状態で固定されている。
外側バリヤーカフス60も、内側バリヤーカフス61と基本的に同様の構造を有するものであるが、その取付部分(外側取付部分)68が、内装体200の裏面側における内側バリヤーカフス61の取付部分65よりも幅方向中央側において内側バリヤーカフス61の外面に固定される点、突出部分(外側突出部分)69のうち前後方向両端部が、取付部分68から内装体200の側部を通り内側バリヤーカフス61における内側突出部分66の前後方向両端部の表面まで延在し且つ内側突出部分66の前後方向両端部の表面に固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる点、細長状弾性伸縮部材63の配置及び本数等で異なるものである。
ただし、内側バリヤーカフス61についても、内側突出部分の先端部は幅方向外側に折り返される構造、具体的には内側バリヤーカフス61の高さ(突出部の幅方向長さ)の1/2以下、好ましくは1/3以下であれば、外側バリヤーカフス61と同様に先端側部分が幅方向外側に折り返され且つ付け根部側部分に固定される構造を採っても良い。
外側バリヤーカフス60の自由部分(外側自由部分)に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。外側バリヤーカフス60に配置する細長状弾性伸縮部材63の太さや伸長率は、内側バリヤーカフス61に準ずるが、太さは内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより太く、伸長率は内側バリヤーカフス61のものと同じ、またはより低いほうが好ましい。
また、突出部分66,69の前後固定部67の前後方向長さL6は、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは短く形成するのが好ましく、バリヤーカフス60,61における細長状弾性伸縮部材63の前後方向固定長さは、内側バリヤーカフス61の方が外側バリヤーカフス60と同じかまたは長く形成するのが好ましい。取付部分65と突出部分66との境界は、外側バリヤーカフス60と内側バリヤーカフス61とで同じ位置であっても良いが、外側バリヤーカフス60の境界が内側バリヤーカフス61の境界よりも幅方向中央側に離間しているのが好ましく、その離間距離は10mm以内が好ましい。
外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61の取付部分68,65における突出部分66,69側の縁部には、ホットメルト接着剤やヒートシールによる線状の付け根固定部を形成するのが好ましい。また、他の固定部はホットメルト接着剤等を用いて適宜のパターンで固定することができる。この線状の付け根固定部は、内装体200の表面側の側部近傍(具体的には側縁から幅方向に0〜5mm、好ましくは0〜3mmの位置)または裏面側に位置するのが好ましい。この場合、バリヤーカフスを表面側に折り返して固定しているのは実質的に前後方向両端部のみとなるため、前後固定部67による幅方向中央側への規制が十分に作用しない股間部においては、外側バリヤーカフス60及び内側バリヤーカフス61いずれもが幅方向外側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが広くなる。表面側で側縁から幅方向に5mmを越えて線状の付け根固定部が位置すると、股間部においてもバリヤーカフスが幅方向中央側に向かって起立し、内側バリヤーカフス61の形成するポケットが狭くなるため、好ましくない。裏面側に位置する場合は、内装体200の側縁から0〜20mmの位置が適当だが、20mmを越えて位置してもよい。
外側及び内側バリヤーカフス60,61の取付部分68,65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができ、またいずれか一方のバリヤーカフスを介して他方のバリヤーカフスを内装体200に対して固定することもできる。
かくして構成された外側及び内側バリヤーカフス60,61では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66,69のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分68,65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開くように起立するため、外側及び内側バリヤーカフス60,61が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。一方、股間部の前後両側(腹部及び背部)においては、前後固定部67により外側及び内側バリヤーカフス60,61が幅方向外側へ開かないように規制されるため、内側バリヤーカフス61は高く起立し、外側バリヤーカフス60の下半分も同様に起立するため、腹部及び背部における内装体200両脇からのもれが確実に防止できる。また、内側バリヤーカフス61の突出部分66における前後固定部67は折り返さずに、外側バリヤーカフス60の突出部部分68における前後固定部67は外向きに折り返されているため、外側及び内側バリヤーカフス60,61における内側及び外側自由部分間の離間状態が維持され、外側及び内側バリヤーカフス60,61が広い間隔で確実に起立し、それぞれが脚周りにフィットするようになるため、漏れ防止性に優れたものとなる。
バリヤーカフス60,61の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図7に示すように、内側バリヤーカフス61の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)W5は10〜50mm、特に15〜35mmであるのが好ましく、外側バリヤーカフス60の起立高さ(展開状態における突出部分69の幅方向長さ)W6は15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、内側バリヤーカフス61を表面シート30表面に倒した状態における先端間の離間距離W4は60〜170mm、特に70〜120mmであるのが好ましい。また、外側バリヤーカフス60を表面シート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W3は60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
なお、図示形態と異なり、外側及び内側バリヤーカフス60,61のいずれか一方のみを設けることもできる。
(吸収要素)
本例の吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有するものとなっているが、包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、親水性を有することが好ましく、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば120〜200g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、前後方向中央CLから前側に物品全長L5の30〜48%、及び後側に物品全長L5の25〜45%延在している。吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体とバリヤーカフス60,61の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。具体的な寸法としては、吸収体前端部56Fの前後方向長さをL1とし、吸収体56と腹側外装シート12Fとの重なり部分における前後方向長さをL2とし、吸収体後端部56Bの前後方向長さをL3とし、吸収体56と背側外装シート12Bとの重なり部分における前後方向長さをL4とし、括れ部56Nの最小幅をW1とし、吸収体前端部56Fの幅及び吸収体後端部56Bの幅をW2としたとき、下記の式(1)〜(4)を満足するように構成されていると、好ましい。
70mm ≦ W1 < W2 ≦ 190mm …(1)
0.5 ≦ W1/W2 ≦ 0.85 …(2)
0mm ≦ L1−L2 ≦ 70mm …(3)
0mm ≦ L3−L4 ≦ 50mm …(4)
W1及びW2が狭過ぎると、バリヤーカフス60,61の起立が不安定になり、また吸収量が不十分となり、広過ぎるとフィット性の低下により装着感が悪化する。
また、上記数値範囲にあると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の取付部分65近傍に吸収体56が存在しないため、バリヤーカフス60,61の動きの自由度が増し、バリヤーカフス60,61が幅方向外側に開き易く、肌に対して面で当たりやすくなり、脚の動きに対するフィット面の追従性も向上する。前後両側においては内装体200側部の吸収体56が十分な範囲に存在するため、これを基点(支点)としてバリヤーカフス60,61の起立が安定する。前後両側から股間部に至る部分は、バリヤーカフス60,61が内装体200の幅方向両側縁を基準として幅方向内側に起立した姿勢から幅方向外側に開いていく変位部であり、このバリヤーカフス60,61の姿勢変化が内装体200側部まで存在する吸収体56により支えられ、バリヤーカフス60,61の全体的な起立形状が安定する。上記数値範囲を外れ、括れ部が大きくなりすぎると、股間部においてはバリヤーカフス60,61の自由度が高くなりすぎ、かえって脚周りに隙間ができ易くなるおそれがあり、また股間部の前後両側においても基点(支点)が無いためにバリヤーカフス60,61の起立が不安定になるおそれがある。逆に括れ部が小さくなりすぎると、バリヤーカフス60,61の自由度が低下するので好ましくない。
さらに、括れ部56N全体の前後方向長さL7は好ましくは80mm以上、特に好ましくは120〜260mmとされる。括れ部56Nの前後方向長さL7が短過ぎるとバリヤーカフス60,61の自由度が低下するとともに、吸収体56の脚周りに対するフィット性が低下して脚の動きを妨げるようになり、長すぎるとバリヤーカフス60,61の起立が安定しなくなる。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56中にはその全体にわたり高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマーとしては、抗菌物質と一体化したものを用いることができる。特に、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなるゼオライト粒子(以下、これを抗菌消臭性ゼオライトという)を高吸収性ポリマー中に含有させるか、あるいは抗菌消臭性ゼオライト粒子を高吸収性ポリマー粒子の表面に静電気により付着させてなる、抗菌消臭性高吸収性ポリマー粒子が好適である。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の含有量は、100〜400g/m2、特に170〜220g/m2の範囲内で、親水性繊維の含有量よりも高吸収性ポリマーの含有量のほうが多い、具体的には重量比較で繊維集合体1に対して高吸収性ポリマーが1.1〜2.0、特に1.4〜1.6程度となるように設定するのが好ましい。ポリマーの含有量が170g/m2未満では、トレーニング用途のみであれば使用可能であるが、着用者が***に気づかずに複数回***(排尿)した場合には吸収量が不足してもれることがあり、220g/m2を超えるとジャリジャリとした感触が着用者に伝わりやすく、トイレトレーニング中の着用者におむつを使用していることを強く意識させることとなる。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の***部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。あるいは、吸収体56に後述するポケット部57を設ける場合は、ポケット部57の周囲には、高吸収性ポリマーが、前記吸収体のその他の領域と比較して最も高密度に配置されるようにすることもできる。具体的には、重量比較で繊維集合体1に対して高吸収性ポリマーが1.4〜2.2程度となっているのが好ましい。また、高吸収性ポリマーを高密度に配置するのは、ポケット部57の前端部近傍のみとしてもよい。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないような目の細かいシートであるのが望ましく、表面側からの温度変化を感知し易くするため、薄く低目付けのものが適当である。厚みは0.05〜3mm程度、特に0.2mm以下、且つ目付けが5〜25g/m2程度、特に15g/m2以下であると、裏面側から肌への伝熱性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。
なお、図示形態のように、吸収要素50の表面(着用者面)側に包装シート58の合わせ目を有する場合、着用者に効果的に温度変化を感知させるため、合わせ目の重なり幅58Wは温度変化物質40の配置領域の幅40Wより狭く、かつ寸法が40mm以下、特に20mm以下となっていることが好ましい。このように狭くしていても、上記理由により、高吸収性ポリマー粒子が脱出することは無い。また、包装シート58の合わせ目は、排尿口に当接する幅方向の中央を含まないように、側部寄りに形成するのも好ましい形態である。
(股間部外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面に露出する股間部外装シート12Mが設けられている。この股間部外装シート12Mの素材としては、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bと同様のものを用いることができるが、より高強度の素材や消臭剤を含有するもの等、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bとは異なる素材を用いることもできる。具体的には、PP、PP/PE、PP/PET等の繊維からなる、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、エアーポイント不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等の各種不織布、あるいはこれに消臭剤等を添加したもの等を用いることができる。
股間部外装シート12Mには座位時に高い体圧がかかる。よって、摩擦堅牢度の高い(毛羽立たない)特性を有する素材が好ましい。
股間部外装シート12Mは、印刷や着色を行い、デザイン要素を備えたシートとしてもよい。前述のデザインシートと併用する場合は、それぞれのデザインが重ならないように配置することが好ましい。
股間部外装シート12Mとして伸縮不織布を用い、内装体200の長手方向に伸長して貼り付けると、股間部のフィット性が向上するため好ましい。
股間部外装シート12Mが幅方向側部から身体側面まで回り込み、バリヤーシート62の外面にホットメルト接着剤等により接着固定されていると、内装体200の両側部の剛性が向上する。このような形態においては、股間部外装シート12Mに剛度(コシ度)の高いシートを用いることが好ましい。具体的には、クラーク法(JISL1096 C法)によって測定される剛軟度の、シートのMD方向とCD方向との和が100mm以上、好ましくは150mm以上のシートを用いるとよい。
図示例では、腹側及び背側外装シート12F,12Bと内装体200とが重なる部分において、股間部外装シート12Mは内装体200と腹側及び背側外装シート12F,12Bとの間に挟まれているが、腹側及び背側外装シート12F,12Bの外側に貼り付けることも可能である。股間部外装シート12Mは、ホットメルト接着剤等により内装体200の裏面、並びに腹側及び背側外装シート12F,12Bの内面若しくは外面に貼り付けられる。
<特徴部分について>
吸収体56には、物品前後方向中央CLから前側に物品全長L6の20%の部位を含むように、ポケット部57が形成されるとともに、このポケット部57内に、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質40が配置されている。ポケット部57の前端部と吸収体56の前端部との距離は、物品全長L6の5〜30%であれば良いが、特に10〜20%であることが好ましい。ポケット部57は厚みがその周囲の領域の厚みの平均値に対して0〜50%であれば良いが、吸収体56を表裏方向に貫通するように形成されていることがより好ましい。ポケット部57が吸収体56を表裏方向に貫通するものであると、温度変化物質40を保持するポケット容積が大きくなるとともに、温度変化が装着者の身体へ効率良く伝達される。
より詳細には、図示例のポケット部57は、物品前後方向中央CLから前側に物品全長L6の0〜40%の範囲に収まるとともに、その前後方向長さ57Lが物品全長L6の10〜20%、且つその幅57Wが吸収体56の全幅W2の25〜60%となるように設けられている。温度変化物質40は、図示例のように吸収体56のうちポケット部57にのみ設けるのが、尿の拡散性を損ねない点及び費用対効果の点から好ましいが、ポケット部57以外の部分にも設けることができる。また、ポケット部57の形状は、図示例のような矩形状の他、三角形状、円状、楕円状等、適宜の形状とすることができる。また、本実施形態のようなパンツ型使い捨ておむつにおいては、図6のようにポケット部57が設けられる前後方向範囲が、腹側外装シート12Fの左右両側部のサイドシール部(溶着部12A)の下端部を結ぶ線を含むように配置されていると、排尿口から適度に離れ、かつ装着者の腹側部分に密着する領域に、効果的に温度変化がもたらされるため好ましい。ただし、吸収体56の腹側端部からの尿もれを防止するため、ポケット部57の前端と吸収体56の前端との距離は、20mm以上あることが好ましい。
温度変化物質40は、ポケット部57内の全体にわたり均等に設けられているのが好ましいが、部位によって量が異なっていても良い。粒子状の温度変化物質40を用いる場合、その移動を防止するために、ポケット部57の底部を構成するシート(図示形態の場合は包装シート58)に温度変化物質40を接着剤等の固定手段により固定することもできる。もちろん、温度変化物質40を固定せず、ポケット部57内で移動できるように構成しても良い。
温度変化物質40は、尿に接触して溶解熱、水和熱、又は反応熱等により熱を吸収又は放出し、尿を冷却又は加熱するものである。尿への溶解により熱を吸収する温度変化物質40の例としては、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の含水塩、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム等の無水塩、尿素、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等を挙げることができる。尿への溶解により熱を放出する温度変化物質40の例としては、塩化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化アルミニウムカリウム等を挙げることができる。本発明では、これらのうち、吸熱作用を発現するソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール又は尿素などの有機化合物を使用することが好ましい。特にソルビトールやキシリトールは、溶解性に極めて優れ、化学的安定性が良く、人体に悪影響を及ぼさないため、好適に使用できる。尿への溶解により吸熱又は放熱する物質を用いる場合、尿への溶解度が低いと、十分な温度変化を発揮できないため、温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上、特に50g以上であるものが好ましい。また、20cal/g以上の熱量変化を生じるものが好ましく、35cal/g以上の熱量変化を生じるものがより好ましい。また、単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上であることが好ましい。
尿との反応により熱を吸収又は放出する物質の例としては、オルトエステル類、又はメントンを炭素量が1ないし8のアルコール或いは炭素量が2ないし8のポリオールと反応させて得られるメントンケタルのようなケタル類、及びそれらの構造的又は光学的異性体を挙げることができる。また、尿により膨潤することにより熱を吸収又は放出する温度変化物質40の例としては、軽く架橋結合し部分的に中和されたポリアクリル酸を挙げることができる。
温度変化物質40は、粒子状(粉体状含む)のものが好適に用いられるが、繊維状等の他の形状のものを用いることもできる。
また、前述のような***インジケータ80がポケット部57と重なる形態、特に***インジケータ80が吸収体56を上下方向に貫通するように設けられるポケット部57と重なる形態では、保管中の空気中の水分(湿気)の接触、あるいは使用中の着用者の汗や体から放散される水分の接触によって、***していないのに***インジケータが変色してしまうことがある。しかし、温度変化物質40が吸湿性を有する物質、例えば上述のような水への溶解度が高く表面積の大きい粒子状をなすもの(具体例としては粒子状のソルビトールやキシリトールが好適である)であると、上記のような予期せぬ***インジケータの変色を防止することができる。
かくして構成されたおむつにおいては、排尿時に表面シート30を透過し、吸収体56に吸収された尿が拡散作用により前側に十分に移動した後に、ポケット部57内の温度変化物質40と接触する。これにより、ポケット部57内では温度変化が発生し、その温度変化が吸収体56を介さずに、装着者の腹側部分に伝達される。このように、十分に拡散移動した後の尿が温度変化に寄与する構造であると、先に供給された尿により発生する温度変化が後に供給される尿の温度により弱まる又は打ち消されるといった現象を抑制でき、温度変化物質40の使用量に見合った温度変化が発現する。しかも、その十分な温度変化はポケット部(表裏貫通部)57で発生するため、断熱され難く、身体へ効率良く伝達される。さらに、図示形態の場合、十分な大きさのポケット部57がほぼ装着者の腹部又は下腹部に位置しており、装着者の腹部又は下腹部は身体表面において相対的に膨出しているため、ポケット部57内における温度変化部位に近接し易く、ポケット部57内における温度変化が装着者に伝わり易くなる。
温度変化物質40を含むポケット部57は、図10に示すように、物品前後方向中央CLに対して前側に物品全長L6の25〜45%の位置から、物品前後方向中央CLに対して後側に物品全長L6の20〜40%の位置まで、物品の幅方向中央に沿って、且つ幅が吸収体56の全幅W2の25〜60%で延在させるのも好ましい形態である。この形態においても、この形態では、温度変化物質を40含むポケット部57が排尿位置を含むように延在しているため、尿量が少ない場合でも、多い場合でも十分な温度変化を発生させることができる利点がある。なお、図示例のポケット部57は、長方形状に設けられているが、上記寸法範囲内において三角形状等、適宜の形状とすることができる。その他は上記形態と基本的に同様であるため、敢えて説明を省略する。
また、図11に示すように、温度変化物質40を含むポケット部57は、吸収体56の中央領域55を取り囲むように環状に形成し、その線幅57Bを物品全長L6の5〜10%程度とするのも好ましい。この場合、中央領域55は、物品前後方向中央CLから前側に物品全長L6の15〜35%、及び後側に物品全長L6の15〜35%、物品の幅方向中央に沿って延在し、且つ幅が吸収体56の全幅W2の40〜75%とするのが好ましい。この形態では、吸収体56に吸収された尿が、***位置からどの方向に拡散したとしても、温度変化物質40を含むポケット部57に到達し、温度変化物質40と接触させることができる。よって、より多くの尿をポケット部57内の温度変化物質40と接触させることができる、あるいは尿の拡散方向が偏っても確実にポケット部57内の温度変化物質40と接触させることができる。その他は上記形態と基本的に同様であるため、敢えて説明を省略する。
ここで、装着者に排尿を明瞭に知覚させるためには、表面シート30の表面において4度以上、特に5度以上の温度変化があると好ましい。具体的に、上述の各形態において、表面シート30と吸収要素50との間に他の部材を有しない場合、このような温度変化を達成するためには、次の条件を満足するように構成するのが好ましい。
液透過性表面シート30の素材:不織布。
液透過性表面シート30の厚み:0.1〜0.5mm。
液透過性表面シート30の目付けが10〜40g/m2
包装シート58の素材:クレープ紙またはSMS不織布。
包装シート58の厚み:0.05〜0.2mm。
包装シート58の目付け:5〜25g/m2
温度変化物質40の種類:尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するもの。
温度変化物質40の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):30g以上、特に50g以上。
ポケット部57の総面積:2500〜8000mm2
ポケット部57内における温度変化物質の目付け(温度変化物質の総使用量をポケット部の総面積で除した値。他に同じ。):500〜1000g/m2
(例1)
図1〜図10に示す構造のパンツ型使い捨ておむつを作製した。細部の仕様は以下のとおりとした。
液透過性表面シート30:厚み2mm、目付け25g/m2のPE/PP複合繊維からなるエアスルー不織布。
包装シート58:厚み1mm、目付けが15g/m2のクレープ紙。
吸収体56の寸法:前後方向中央を基準として前側に205mmの位置から後側に190mmの位置まで、且つ幅方向中央を基準として、左側に70mmの位置から右側に70mmの位置まで。面積は55,300mm2
温度変化物質40の種類:ソルビトール(溶解熱はマイナス26cal/g、東和化成工業株式会社製「ソルビット」)
温度変化物質40の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):70g。
ポケット部57の寸法:全長70mm、全幅40mmの矩形範囲で、前端部は吸収体56の前端部から75mm離間している。面積は2800mm2
ポケット部57内における温度変化物質40の目付け:500g/m2
吸収体56の構成:パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子(吸収体56の厚み方向及びこれと直交する方向に均一に分散されている)。
吸収体56におけるパルプ目付け:110g/m2
吸収体56における高吸収性ポリマーの目付け:160g/m2
高吸収性ポリマーの吸収速度:35秒。
(例2)
図13に示すように、吸収体56上面の所定範囲に温度変化物質40を所定量散布した以外は、例1と同様の構造のパンツ型使い捨ておむつを作製した。細部の仕様は以下のとおりとした。
液透過性表面シート30:厚み2mm、目付け25g/m2のPE/PP複合繊維からなるエアスルー不織布。
包装シート58:厚み1mm、目付けが15g/m2のクレープ紙。
吸収体56の寸法:前後方向中央を基準として前側に205mmの位置から後側に190mmの位置まで、且つ幅方向中央を基準として、左側に70mmの位置から右側に70mmの位置まで。面積は55,300mm2
温度変化物質40の種類:ソルビトール(溶解熱はマイナス26cal/g、東和化成工業株式会社製「ソルビット」)
温度変化物質40の溶解度(温度20℃の100mlの水に対する):70g。
温度変化物質40を有する部分の寸法:前後方向中央を基準として前側に160mmの位置から後側に40mmの位置まで、且つ幅方向中央を基準として、左側に50mmの位置から右側に50mmの位置までの矩形範囲。面積は20,000mm2
温度変化物質40を有する部分における温度変化物質40の目付け:500g/m2
吸収体56の構成:パルプ繊維及び高吸収性ポリマー粒子(吸収体56の厚み方向及びこれと直交する方向に均一に分散されている)。
吸収体56におけるパルプ目付け:110g/m2
吸収体56における高吸収性ポリマーの目付け:160g/m2
高吸収性ポリマーの吸収速度:35秒。
(例3)
吸収体56にポケット部57及び温度変化物質40を設けない点以外は、例1と同様の構成を有するパンツ型使い捨ておむつを例3として作製した。
(実験方法及び実験結果)
温度37℃、量50ccの人工尿をビーカーに用意し、この人工尿を、おむつの前後方向中央且つ幅方向中央の表面に対して約15cm上方から3秒程度で供給した後、おむつの前後方向中央から前側に物品全長の70mm離れた幅方向中央位置(ポケット部57の前端部近傍)において、直径5cmの範囲を非接触型の温度計で所定時間毎に測定した。
測定結果のグラフを図12に示した。このグラフからも判るように、本発明に係る例1は、例2と比べて、温度の低下速度が速く、且つ最低温度が低いものであり、しかもその最低温度を十分な時間維持できるものであった。
本発明は、パンツ型やテープ式、あるいはパッド型の吸収性物品等、広範な用途に適用できるものである。
パンツ型使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツ型使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6断面図である。 図1の7−7断面図である。 図1の8−8断面図である。 パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、おむつを展開した状態における平面図である。 パンツ型使い捨ておむつの要部のみを寸法とともに示す、断面図である。 製品状態の正面図である。 製品状態の背面図である。 他の吸収体例の平面図である。 別の吸収体例の平面図である。 実験結果のグラフである。 図3に示される部分に相当する比較例の断面図である。
100…胴回り部、11…液不透過性シート、12F…腹側外装シート、12B…背側外装シート、200…内装体、30…表面シート、40…温度変化物質、50…吸収要素、52…繊維、54…高吸収性ポリマー粒子、56…吸収体、57…ポケット部、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート。

Claims (4)

  1. 物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
    液透過性表面シートと裏面側シートとの間に吸収体が介在されてなる吸収部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
    前記吸収体は、物品前後方向中央から前側に物品全長の30〜48%延在しており、
    前記吸収体に、厚みがその周囲の領域の0〜50%であるポケット部が、物品前後方向中央から前側に物品全長の20%の部位を含み、且つ前記ポケット部の前端部と前記吸収体の前端部との距離が物品全長の5〜30%であるように、形成されており、
    前記ポケット部内に、吸湿性を有し、かつ尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質が配置されており、
    水分との接触により色が変化する***インジケータの少なくとも一部が、前記ポケット部と重なるように設けられている、
    ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
  2. 物品前後方向中央より前側に延在する前側部分と、物品前後方向中央より後側に延在する後側部分とを有し、
    液透過性表面シートと裏面側シートとの間に吸収体が介在されてなる吸収部分を備えた、使い捨て吸収性物品において、
    前記吸収体は、物品前後方向中央から前側に物品全長の30〜48%延在しており、
    前記吸収体に、厚みがその周囲の領域の0〜50%であるポケット部が、物品前後方向中央から前側に物品全長の20%の部位を含み、且つ前記ポケット部の前端部と前記吸収体の前端部との距離が物品全長の5〜30%であるように、形成されており、
    前記ポケット部内に、尿との接触により尿を冷却又は加熱する温度変化物質が配置されており、
    前記ポケット部の周囲の、少なくとも前記ポケット部の前端部近傍には、高吸収性ポリマーが、前記吸収体のその他の領域と比較して最も高密度に配置されている、
    ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
  3. 前記温度変化物質は尿への溶解により吸熱反応を起し、尿を冷却するものであり、且つ温度20℃の100mlの温度20℃の100mlの水への溶解度が30g以上であり、
    前記ポケット部内における前記温度変化物質の目付けが500〜1000g/m2であり、
    前記ポケット部の総面積は2500〜8000mm2であり、
    前記温度変化物質により前記吸収体に生じうる熱量変化の総量は20cal以上であり、
    前記温度変化物質を有する部分の単位面積当たりの熱量変化は1cal/cm2以上である、
    請求項1又は2記載の使い捨て吸収性物品。
  4. 前記吸収体は、親水性繊維を120〜200g/m2、及び高吸収性ポリマー粒子を170〜220g/m2含み、前記親水性繊維の含有量よりも前記高吸収性ポリマーの含有量のほうが多い、請求項記載の使い捨て吸収性物品。
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