JP4527275B2 - ポリアミド樹脂組成物及びプラスチック多層体 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及びプラスチック多層体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物、より詳細には、フッ素樹脂に対して優れた接着性を有するポリアミド樹脂組成物に関する。また、本発明は、ポリアミド樹脂層とフッ素樹脂層とが直接接着しているプラスチック多層体、及びポリアミド樹脂からなる外層とフッ素樹脂からなる内層とが直接接着している多層チューブに関する。この多層チューブは自動車等の燃料ホースなどとして利用できる。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、耐熱性、耐磨耗性、成形性等に優れるが、極性物質や燃料成分に対する遮断性が低いという欠点を有している。一方、フッ素樹脂は、成形性が低く、高価ではあるが、極性物質や燃料成分に対する遮断性に優れている。そこで、この両者の長所を生かし短所を相補うものとして、ポリアミド樹脂とフッ素樹脂とを組み合わせた多層複合体が提案され、自動車産業、電気産業、機械産業等における構造物品(多層チューブ、多層シートなど)として利用されている。
【0003】
一般にポリアミド樹脂とフッ素樹脂とは相溶性がないため、これらの多層複合体を製造するには相関接着力が不足するという問題点がある。この問題点を解決するため、特開平9−194815号公報には、ポリアミド樹脂層とフッ素樹脂層との間に、アミノ末端基を過剰に有するポリアミドと所定量のジアミンとを含む中間層を設けることを提案している。この方法によれば、確かにポリアミド樹脂層とフッ素樹脂層とが強固に接着した多層複合体が得られるが、チューブ等の製造時には余分な接着力が災いし、接着界面でオーバーリアクションを起こし、各層の厚みが不均一になったり、最悪の場合チューブ等の押出しそのものができなくなったりするという問題が生じる。
【0004】
特開平10−311461号公報には、特定の官能基を有するグラフト化合物によりグラフト化されたフッ素樹脂で構成されたフッ素樹脂層と、ポリアミド樹脂層とからなる2層積層構造の燃料ホースが開示されている。また、特開平8−104805号公報には、カルボン酸の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7塩を所定量含むポリアミド樹脂層と、フッ素樹脂層とからなる燃料ホースが開示されている。しかし、これらの燃料ホースは、接着性等の点で必ずしも十分満足できるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、フッ素樹脂と強固に接着可能であり、しかもフッ素樹脂とポリアミド樹脂との多層複合体を作製する際、接着界面においてオーバーリアクション等の不具合が発生しない又は発生しにくいポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、フッ素樹脂層とポリアミド樹脂層とが強固に接合し、しかも製造・加工時においてオーバーリアクション等が生じない又は生じにくいプラスチック多層体を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、フッ素樹脂からなる内層とポリアミド樹脂からなる外層とが強固に接着し、しかも製造・加工時においてオーバーリアクション等の不具合が発生しない又は発生しにくい多層チューブを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、カルボキシル末端基がアミノ末端基よりも過剰に存在するポリアミドと、芳香族ジアミンと、pKaが特定値以上の塩基又はその塩とを組み合わせると、フッ素樹脂に対して強固に接着すると共に、チューブ等の成形時においてもオーバーリアクション等の不具合を防止又は抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)カルボキシル末端基とアミノ末端基との比率が、前者/後者(モル比)>1.5であるポリアミドと、(B)ジアミノジフェニルメタン類と、(C)pKa(25℃)10以上の環状アミン又はその塩とを含有し、ポリアミド(A)100重量部に対して、ジアミノジフェニルメタン類(B)の使用量が0.1〜10重量部であり、且つ、環状アミン又はその塩(C)の使用量が0.1〜20重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物を提供する。
【0010】
前記ポリアミド(A)の相対粘度(0.5重量%m−クレゾール溶液;25℃)は例えば1.9〜2.7程度である。ポリアミド(A)として、例えば、ポリアミド11、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212及びポリアミド12から選択された少なくとも1種のポリアミドを使用できる。
【0013】
本発明は、また、フッ素樹脂からなるフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層に直接積層形成されたポリアミド樹脂からなるポリアミド樹脂層とで構成されたプラスチック多層体であって、前記ポリアミド樹脂層が上記のポリアミド樹脂組成物を用いて形成されているプラスチック多層体を提供する。
【0014】
本発明は、さらに、フッ素樹脂からなる内層と、該内層の外周面に直接積層形成されたポリアミド樹脂からなる外層とで構成された多層チューブであって、前記外層が、上記のポリアミド樹脂組成物を用いて形成されている多層チューブを提供する。
【0015】
なお、本明細書において、相対粘度は、DIN53727/ISO307に準じ、0.5重量%m−クレゾール溶液中、25℃の条件で測定した値である。
【0016】
【発明の実施の形態】
[ポリアミド(A)]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)カルボキシル末端基とアミノ末端基との比率が、前者/後者(モル比)>1であるポリアミド(以下、「カルボン酸末端ポリアミド」と称する場合がある)をベースレジンとして含有している。
【0017】
カルボン酸末端ポリアミドの種類としては、例えば、脂肪族、脂環式又は芳香族ジアミンと、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸との重縮合により得られるポリアミド;ε−アミノヘキサン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムから得られるポリアミド;又は前記成分からなる共重合ポリアミド;これらのポリアミドの混合物等が挙げられる。
【0018】
より具体的には、カルボン酸末端ポリアミドとして、ポリアミド11、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212、ポリアミド12などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの中でも、特に加工特性に優れることから、ポリアミド11、ポリアミド12などが好ましい。
【0019】
カルボン酸末端ポリアミド中の全カルボキシル末端基と全アミノ末端基との比率(モル比)は、前者/後者(モル比)が1より大きい範囲であればよいが、好ましくは前者/後者(モル比)>1.2[例えば、10>前者/後者(モル比)>1.2]、さらに好ましくは前者/後者(モル比)>1.5[例えば、5>前者/後者(モル比)>1.5]である。上記の比率が1以下の場合には、チューブ等の成形時にオーバーリアクションなどが起こり、各層の厚みの均一な成形品が得られにくくなる。
【0020】
なお、カルボキシル末端基の全末端基に対する割合は、例えば50〜100モル%、好ましくは52〜95モル%、さらに好ましくは55〜90モル%程度である。
【0021】
カルボン酸末端ポリアミド中のアミノ末端基の濃度は、例えば0〜30mmol/kg、好ましくは0〜20mmol/kg程度であり、カルボキシル末端基の濃度は、例えば15〜80mmol/kg、好ましくは20〜60mmol/kg程度である。
【0022】
前記カルボキシル末端基とアミノ末端基の比率や、アミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度は、重合時に添加する末端調整剤(例えば、モノアミン、ジアミン、一塩基酸、二塩基酸など)の量を調節したり、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によりポリアミドを製造する場合には、該ジアミンとジカルボン酸のモル比を変化させることによりコントロールできる。例えば、末端調整剤としてモノアミンを使用するとカルボキシル末端基が減少し、ジアミンを用いるとカルボキシル末端基が減少するとともにアミノ末端基が増加する。また、末端調整剤として一塩基酸を用いるとアミノ末端基が減少し、二塩基酸を用いるとアミノ末端基が減少するとともにカルボキシル末端基が増大する。カルボキシル末端基やアミノ末端基の量は慣用の方法、例えば、末端基法(中和滴定法)により定量できる。
【0023】
カルボン酸末端ポリアミドの相対粘度は1.9〜2.7の範囲が好ましい。相対粘度が1.9未満の場合には、溶融粘度が低すぎて、例えば、チューブ等を押出成形する際、ドローダウンして直管が得られ難くなりやすい。カルボン酸末端ポリアミドの数平均分子量は、例えばポリアミド12などの場合、20000〜35000程度である。
【0024】
[芳香族ジアミン(B)]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、また、芳香族ジアミン(B)を含んでいる。芳香族ジアミン(B)は、フッ素樹脂からなる層と、本発明のポリアミド樹脂組成物により形成されたポリアミド樹脂層とを共押出し等により積層して複合体を製造する際、フッ素樹脂層中のフッ素樹脂と反応して両層の結合を強める働きをするものと推察される。
【0025】
芳香族ジアミン(B)としては、芳香環(芳香族炭化水素環又は芳香族複素環)に複数個のアミノ基が結合している化合物であれば特に限定されない。また、芳香族ジアミン(B)は芳香環を複数個有していてもよく、その場合、複数個のアミノ基は同一の芳香環に結合していてもよく、異なる芳香環に結合していてもよい。芳香族ジアミン(B)の2つのアミンは第1級アミン又は第2級アミンであるのが好ましく、特に両方のアミンが第1級アミンであるのが好ましい。
【0026】
代表的な芳香族ジアミン(B)として、例えば、p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジメチル−p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類;2,2′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノビフェニル(ベンジジン)などのジアミノビフェニル類;ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタンなどのビス(4−アミノフェニル)メタン類(ジアミノジフェニルメタン類);2,2′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノンなどのジアミノベンゾフェノン類;2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなどのジアミノフェノール類;2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジンなどのジアミノピリジン類;2,2′−ジアミノジフェニルアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミンなどのジアミノジフェニルアミン類などが挙げられる。これらの芳香族ジアミン(B)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0027】
芳香族ジアミン(B)の使用量は、ポリアミド(A)100重量部に対して、例えば0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度である。芳香族ジアミン(B)の量が少なすぎると、フッ素樹脂に対して十分な接着強度が得られにくくなり、多すぎると樹脂表面に芳香族ジアミンがブリードアウトしたり、チューブ等の成形時に、オーバーリアクションなどの不具合が起こり、良好な成形物が得られにくくなる。
【0028】
[塩基又はその塩(C)]
前記塩基又はその塩(C)における塩基としては、pKa(25℃)が10以上の塩基であれば特に制限されないが、その代表的な例として、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン;シクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン;ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−5(=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7;DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの環状アミン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリム等の無機塩基などが例示できる。
【0029】
これらの中でも第3級アミンが好ましい。また、塩基性の強さ等から環状アミンが好適である。特に好ましい塩基には、DBU、DBNなどの架橋環式第3級アミン等が含まれる。
【0030】
前記塩基の塩としては、酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、ナフトエ酸等のカルボン酸の塩、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸の塩、フェノール、クレゾール、ノボラック等のフェノール類の塩などの有機酸の塩;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸の塩が例示できる。
【0031】
前記塩基又はその塩(C)は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。塩基又はその塩(C)の使用量は、ポリアミド(A)100重量部に対して、例えば0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部程度である。塩基又はその塩(C)の使用量が0.1重量部未満の場合にはポリアミド樹脂層とフッ素樹脂層との接着性が低下しやすくなり、20重量部を超えるとポリアミド樹脂層の機械的強度等が低下しやすくなる。
【0032】
前記塩基又はその塩(C)は、フッ素樹脂からなる層と、本発明のポリアミド樹脂組成物により形成されたポリアミド樹脂層とを共押出し等により積層して複合体を製造する際、フッ素樹脂層中のフッ素樹脂とポリアミド樹脂層中の芳香族ジアミン(B)[又はポリアミド(A)]との反応の触媒として機能するものと推測される。
【0033】
本発明のポリアミド樹脂組成物には、前記の成分(A)、(B)、(C)のほか、必要に応じて、ポリアミド以外のポリマー;耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、結晶核剤、滑剤、難燃剤、無機充填剤、導電付与剤などの通常用いられる添加剤、ガラス繊維、ガラス球、炭素繊維、鉱物繊維などの充填剤又は強化材などが添加されていてもよい。
【0034】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、前記成分(A)、(B)、(C)と、必要に応じて適宜の添加剤とを、ポリアミド(A)が溶融する温度下(例えば200〜300℃程度)、二軸混練押出機等を用いて混練することにより得ることができる。
【0035】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、フッ素樹脂層とポリアミド樹脂層とが直接接触している多層体(多層チューブ、多層シート等)における該ポリアミド樹脂層の形成材料として有用である。
【0036】
[プラスチック多層体及び多層チューブ]
本発明のプラスチック多層体において、フッ素樹脂層を構成するフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)等のパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、フルオロアルキル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有モノマーを構成単位として含む樹脂が挙げられる。フッ素樹脂は、フッ素原子含有モノマーと共に、該フッ素原子含有モノマーと共重合可能な単量体を構成単位として含んでいてもよい。このような単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのオレフィン;アルキルビニルエーテル;アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0037】
代表的なフッ素樹脂には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とのグラフト重合体などが含まれる。
【0038】
フッ素樹脂層には、必要に応じて前記と同様の添加剤が添加されていてもよい。
【0039】
本発明のプラスチック多層体は、少なくともフッ素樹脂層とポリアミド樹脂層とを有していればよく、フッ素樹脂層及び/又はポリアミド樹脂層の外側に他の樹脂層等が1層又は2層以上積層されていてもよい。
【0040】
前記樹脂層として、例えば、導電性材料を含む熱可塑性樹脂からなる導電性樹脂層、補強層などが例示される。導電性材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀などの金属の粉末;鉄やステンレスなどの金属の繊維;カーボンブラック;表面が金属で被覆された粉末や粒状物などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂などのスチレン系樹脂;ポリエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリフェニレンスルフィド;メタクリル樹脂;塩化ビニル樹脂;フッ素樹脂などが挙げられる。
【0041】
本発明のプラスチック多層体は、例えば、フッ素樹脂を含むフッ素樹脂組成物と前記本発明のポリアミド樹脂組成物とを共押出しすることにより製造できる。また、押出成形と、圧縮成形、射出成形等とを組み合わせることにより製造することもできる。フッ素樹脂層とポリアミド樹脂層との接着性を高めるため、成形後に加熱処理を施してもよい。
【0042】
本発明のプラスチック多層体では、フッ素樹脂層とポリアミド樹脂層とが強固に接合しているため、極性物質や燃料成分に対するバリア性等のフッ素樹脂の有する長所と、耐熱性、耐磨耗性、成形性等のポリアミド樹脂の有する長所とを共に生かすことができる。そのため、自動車産業、電気産業、機械産業等における構造物品(多層チューブ、多層シートなど)として使用できる。
【0043】
本発明の多層チューブは、前記プラスチック多層体の1つの態様である。内層を構成するフッ素樹脂は上記のものを使用できる。また、上記と同様、フッ素樹脂層の内側やポリアミド樹脂層の外側には、必要に応じて導電性樹脂層、補強層(ゴムや軟質樹脂で構成された層)、補強糸層(天然糸、合成糸、金属製糸等による層)、外皮層(ゴムや軟質樹脂で構成された層)などの他の層が形成されていてもよい。この多層チューブは、共押出法等により製造できる。
【0044】
フッ素樹脂からなる内層の厚み、ポリアミド樹脂からなる外層の厚みは、用途によって適宜選択できる。
【0045】
本発明の多層チューブは、外層が耐熱性、耐磨耗性、成形性等に優れるポリアミド樹脂からなり、内層が燃料に対するバリア性に優れるフッ素樹脂からなるため、燃料ホース等として好適に使用できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、フッ素樹脂と強固に接着可能であり、しかもフッ素樹脂とポリアミド樹脂との多層複合体を作製する際、オーバーリアクション等の不具合の発生を防止又は抑制できる。
【0047】
また、本発明のプラスチック多層体及び多層チューブでは、フッ素樹脂層とポリアミド樹脂層とが強固に接合するとともに、製造・加工時においてオーバーリアクション等が生じない又は生じにくいので、各層の厚みが均一である。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0049】
実施例1
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が10mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が20mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部に、ビス(4−アミノフェニル)メタン(ナカライ試薬製)1重量部、及びDBN2重量部を加え、二軸押出機を用いてコンパウンド化を行い、外層形成用のポリアミド樹脂組成物を得た。
このポリアミド樹脂組成物と、内層形成用のテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニルデン共重合体(商品名「THV−500」、3M社製)とを用い、多層管成形用押出機により、280℃(ダイの温度)で内層と外層とを同時に押出成形して、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0050】
実施例2
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が10mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が20mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部に、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン(ナカライ試薬製)1重量部、及びDBN2重量部を加え、二軸押出機を用いてコンパウンド化を行い、外層形成用のポリアミド樹脂組成物を得た。
このポリアミド樹脂組成物と、内層形成用のテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニルデン共重合体(商品名「THV−500」、3M社製)とを用い、多層管成形用押出機により、280℃(ダイの温度)で内層と外層とを同時に押出成形して、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0051】
比較例1
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が10mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が20mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)を外層用のポリアミド樹脂組成物として用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0052】
比較例2
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が10mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が20mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部に、DBN2重量部を加え、二軸押出機を用いてコンパウンド化を行い、外層形成用のポリアミド樹脂組成物を得た。
このポリアミド樹脂組成物を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0053】
比較例3
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が20mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が10mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)を外層用のポリアミド樹脂組成物として用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0054】
比較例4
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が20mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が10mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部に、相対粘度が1.6、末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の比率が1:1であるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)30重量部、及びDBN2重量部を加え、二軸押出機を用いてコンパウンド化を行い、外層形成用のポリアミド樹脂組成物を得た。
このポリアミド樹脂組成物を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0055】
比較例5
相対粘度が2.5、アミノ末端基濃度が10mmol/kg、カルボキシル末端基濃度が20mmol/kgであるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部に、相対粘度が1.6で、両末端がアミノ基であるポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)30重量部、及びDBN2重量部を加え、二軸押出機を用いてコンパウンド化を行い、外層形成用のポリアミド樹脂組成物を得た。
このポリアミド樹脂組成物を用いた点以外は実施例1と同様の操作を行い、2層構造の多層チューブ(外径8mm、内径2mm)を作製した。
【0056】
評価試験
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各多層チューブを螺旋状に切断して10mm幅の試験片を作製した。この試験片を手による剥離試験(180°)に供し、外層と内層との界面で剥離するかどうかを調べ、下記の基準で両層の接着性を評価した。結果を表1に示す。
○:剥離しなかった。
×:剥離した。
【0057】
(オーバーリアクションの有無)
実施例及び比較例で得られた各多層チューブを切り開き、外層と内層の界面及び内層の表面を目視観察し、オーバーリアクションの有無等を調べた。結果を表1に示す。
○:オーバーリアクションは見られず、内層表面は平滑であった。
×:オーバーリアクションが見られ、内層表面に凹凸が観察された。
【表1】
Figure 0004527275

Claims (5)

  1. (A)カルボキシル末端基とアミノ末端基との比率が、前者/後者(モル比)>1.5であるポリアミドと、(B)ジアミノジフェニルメタン類と、(C)pKa(25℃)10以上の環状アミン又はその塩とを含有し、ポリアミド(A)100重量部に対して、ジアミノジフェニルメタン類(B)の使用量が0.1〜10重量部であり、且つ、環状アミン又はその塩(C)の使用量が0.1〜20重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド(A)の相対粘度(0.5重量%m−クレゾール溶液;25℃)が1.9〜2.7である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ポリアミド(A)が、ポリアミド11、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1212及びポリアミド12から選択された少なくとも1種のポリアミドである請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. フッ素樹脂からなるフッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層に直接積層形成されたポリアミド樹脂からなるポリアミド樹脂層とで構成されたプラスチック多層体であって、前記ポリアミド樹脂層が、請求項1〜の何れかの項に記載のポリアミド樹脂組成物により形成されているプラスチック多層体。
  5. フッ素樹脂からなる内層と、該内層の外周面に直接積層形成されたポリアミド樹脂からなる外層とで構成された多層チューブであって、前記外層が、請求項1〜の何れかの項に記載のポリアミド樹脂組成物により形成されている多層チューブ。
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