JP4525189B2 - 駆動機構およびそれを用いた時計 - Google Patents

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Description

本発明は駆動機構に係り、特に、駆動体の回転運動に基づいて被動体を並進移動させることのできる駆動機構の構成に関する。
一般に、回転運動を並進運動に変換することのできる駆動機構としては、ラックアンドピニオン機構、クランク機構、スクリュウー機構などが知られている(例えば、以下の非特許文献1参照)。また、螺旋状の(helical)溝を備えたロータと、軸線方向には移動可能だが回転不能に前記ロータ内に設置され、上記と同様の螺旋状の溝を備えたシャフトとを有し、複数のボールが上記両溝に係合された状態で、ベアリングとして機能する螺旋スプリングで構成される案内部材によってガイドされるように構成した螺旋ボールギア機構が知られている(例えば、以下の特許文献1参照)。
「メカニズム」第5版、株式会社技報堂、昭和36年12月25日発行(特に、第11類;歯車装置、第24類:変速運動及び変速動力、第66類:ポンプ作用及び水揚装置など) 米国特許第4685344号公報
しかしながら、前述の駆動機構では、一般に、機械式腕時計などのような僅かな駆動トルクでは動作させることが難しく、比較的大きな駆動トルクが必要であるため、僅かな消費エネルギーで被動体の並進運動を実現することが難しいという問題点がある。また、上記特許文献1に記載の機構では、構造が複雑であるとともに、駆動機構がどのように動作しているのかを外部から視認することができないという問題点がある。したがって、従来の駆動機構では、僅かな消費エネルギーで長時間動作させることが難しく、また、通常の駆動機構では動作態様を外部から見ることができず、また、外部から見えるようにしてもきわめて一般的な動作機構であるので、からくり時計や可動構造を有するオブジェなどのようにその動作態様を鑑賞するための物品の駆動機構としては適していない。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、従来よりも僅かな駆動トルクで容易に動作するとともに、動作態様の鑑賞性にも優れた新規の駆動機構を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の駆動機構は、渦巻き状の駆動面を備えた駆動体と、該駆動体を回転駆動する回転駆動手段と、前記駆動面により駆動されて前記駆動体の半径方向に並進移動する被動体とを有することを特徴とする。この発明によれば、渦巻き状の駆動面を備えた駆動体を回転駆動手段によって駆動面の軸線周りに回転駆動することによって、駆動面がその渦巻き形状によって駆動体の半径方向に移動するため、駆動面によって被動体を半径方向に移動させることができる。ここで、渦巻き状の駆動面とは、平面上に描かれた渦巻き(平面スパイラル)に沿って伸びる面形状を備えたものを言い、螺旋状(ヘリカル状)の面形状を備えたものを含まない。また、半径方向に移動するとは、駆動体の半径に沿って並進移動することのみを言うのではなく、駆動体の回転によって被動体の位置が結果的に異なる半径位置に並進運動により移動することを言う。したがって、被動体の移動経路そのものは駆動体の半径と一致している必要はない。
本発明において、前記被動体をその並進移動方向に案内する案内手段を有することが好ましい。案内手段によって被動体をその並進移動方向に案内することにより、被動体を案内方向に安定して移動させることができる。特に、駆動体の軸線が水平方向に設定されていない場合や、駆動体の軸線が水平方向に設定されている場合でも被動体が駆動体の外周側の表面に構成された駆動面上に当接した状態で移動するように構成されている場合には、被動体を駆動面上において安定させるには案内手段が必要になる。
本発明において、前記被動体は前記駆動面上で転動しながら移動することが好ましい。駆動体が軸線周りに回転駆動される一方で被動体は移動するため、駆動面上で被動体が転動しない場合には必ず被動体と駆動面との間の摺動抵抗が駆動負荷を増大させる。本発明のように駆動面上で被動体が転動することによって被動体と駆動面との間の摩擦抵抗を低減することができ、駆動トルクをさらに低減することが可能になる。
本発明において、前記被動体は、前記駆動面上に配置された、前記駆動面の軸線方向と平行な軸線を備えた前記円柱体若しくは円筒体又は球体を被動部として有することが好ましい。これによって、被動体と駆動面との摩擦抵抗(被動体が転動しない場合には摺動抵抗、被動体が転動する場合にはころがり抵抗)を低減することができ、駆動負荷をさらに低減できる。
本発明において、前記駆動体の軸線は水平に設置されていることが好ましい。駆動体の軸線が水平に設置されていることによって、被動体を上方へ持ち上げるように移動させることができる。この場合には、案内手段により被動体を駆動体の軸芯を通過する垂直面上に保持した状態で移動させることができる。また、案内手段により被動体を駆動面の頂点位置若しくは最低位置に保持した状態で移動させることもできる。このときには、被動体が水平面を接面とする駆動面上の位置に保持されているため、被動体と案内手段との間に生ずる応力が小さくなり、案内手段による案内抵抗を最も小さくすることができるため、さらに駆動負荷を低減できる。
本発明において、前記駆動体は、前記駆動面を表面に備えた側面視渦巻き状の帯材を有することが好ましい。これによれば、駆動面を表面に備えた側面視渦巻き状の帯材を用いることにより、帯材の表面によって被動体を安定的に支持し、駆動することが可能になる。
本発明において、前記駆動体は、前記駆動面を端縁に備えた平面視渦巻き状の板状材を有することが好ましい。これによれば、駆動面が板状材の端縁に設けられるので、板状材の平面形状によって駆動面の渦巻き形状を自由かつ容易に形成することができるとともに、駆動面の形状精度を高めることができる。例えば、プレスの打ち抜き加工やエッチング加工などによって平面形状を高精度かつ簡単に製造できる。また、板状材の端縁に駆動面が構成されるので、駆動面の変形に関する剛性を高くすることができるため、渦巻き形状を保つための支持構造が不要になるか、或いは、当該支持構造を簡易に構成することができるとともに、駆動体の経時的な形状変化を低減することができ、耐久性を高めることができる。
本発明において、前記駆動体は、前記被動体の幅よりも小さな間隔で前記駆動面の軸線方向に配列された一対の前記板状体を有することが好ましい。これによれば、駆動面の幅が狭い場合でも、被動体を駆動面のみで支持し、駆動することが可能になる。
次に、より具体的な本発明の駆動機構は、渦巻き状の駆動面を備えた駆動体と、該駆動体を回転駆動する回転駆動手段と、前記駆動面により駆動されて前記駆動体の半径方向に並進移動する被動体とを具備し、前記駆動体は、その軸線方向に並列する一対の渦巻き状帯材を有し、該一対の渦巻き状帯材の軸線方向両側に設置され、前記被動体を保持する保持枠と、前記一対の渦巻き状帯材の間に配置され、前記渦巻き状帯材の半径方向に伸びる案内縁部を有する案内部材とをさらに具備することを特徴とする。これによれば、一対の渦巻き状帯材によって駆動される被動体は、軸線方向両側に配置された保持枠によって保持されるとともに、一対の渦巻き状帯材の間に配置された案内部材の案内縁部によって案内される。このように構成すると、個々の部品形状を複雑化することなく、しかも簡単な部品構成で容易に駆動体を構成できる。この場合には、被動体は円柱体若しくは円筒体又は球体で構成されることが好ましく、その半径は渦巻き状帯材の幅よりも大きく、案内部材を挟んで配置された一対の渦巻き状帯材が占有する軸線方向の距離以下であることが好ましい。また、保持枠には、被動体を導入する導入口と、被動体を導出する導出口とを設けることが望ましい。
また、本発明の別の駆動機構は、渦巻き状の駆動面を備えた駆動体と、該駆動体を回転駆動する回転駆動手段と、前記駆動面により駆動されて前記駆動体の半径方向に並進移動する被動体とを具備し、前記駆動体は、その軸線方向に並列する、前記駆動面を端縁に備えた平面視渦巻き状の一対の板状材を有し、該一対の板状材の軸線方向両側に設置され、前記被動体を保持する保持枠と、前記一対の板状材の間に配置され、前記板状材の半径方向に伸びる案内縁部を有する案内部材とをさらに具備することを特徴とする。これによれば、一対の板状材の端縁に設けられた駆動面で駆動される被動体は、軸線方向両側に配置された保持枠によって保持されるとともに、一対の板状材の間に配置された案内部材の案内縁部によって案内される。このように構成すると、個々の部品形状を複雑化することなく、しかも簡単な部品構成で容易に駆動体を構成できる。また、板状材の端縁に駆動面が構成されることにより、板状材の平面形状によって渦巻き形状を自由かつ容易に形成することができるとともに、駆動面の形状精度を高めることができる。また、板状材の端縁に駆動面が構成されるので、駆動面の変形に関する剛性を高くすることができるため、渦巻き形状を保つための支持構造が不要になるか、或いは、当該支持構造を簡易に構成することができるとともに、駆動体の経時的な形状変化を低減することができ、耐久性を高めることができる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図4乃至図8を参照して、本発明に係る駆動機構の原理について説明する。本発明の駆動機構において、図4(a)に示す駆動体10は、渦巻き状の駆動部11を有し、この駆動部の内面及び外面が駆動面11a,11bとなっている。駆動面11aは駆動部11の内面であり、駆動面11bは駆動部11の外面である。駆動体10の軸芯10Pは、渦巻きの中心点(中心軸)である。渦巻き(平面スパイラル)としては、種々のものがあるが、例えば、アルキメデスのスパイラル、双曲スパイラル、対数スパイラル(等角スパイラル)などが挙げられる。
アルキメデスのスパイラルは、中心点からの直線距離をr、角度をθとした平面極座標系において、r=aθ=(P/2π)・θで表される。ここで、a=v/ω(定数、vは中心から一定の速さで遠ざかる速度、ωは角速度)、P=2πaはピッチ距離である。この場合には、渦巻きのピッチが等間隔になるので、本発明の渦巻き形状としては最も好ましい。
双曲スパイラルは、同じ平面極座標系においてr=a/θで表される。ここで、aは定数である。この場合には、θが大きくなるとrは小さくなり、中心点が漸近点となる。この渦巻き形状では、中心に近づくに従って急激に間隔が狭くなる。
対数スパイラルはr=aexp[K・θ]で表される。ここで、a、Kは定数である。この渦巻き形状は動径と接線のなす角が一定である曲線であり、したがって、中心点から半径方向に移動したとき、常に接線方向が等しい方向を向いていることになる。接線方向の傾きφ=cot−1Kである。この場合には、外側へ進むほど渦巻きのピッチ間隔が少しずつ広くなっていく。
次に、図4(a)に示すように、上記の駆動体10を用いて被動体15を駆動する。被動体15を駆動するには、駆動体10をその軸芯10Pを中心として回転させ、駆動体10の駆動部11に設けられた駆動面11a又は11bによって被動体15を半径方向に移動させる。ここで、被動体15は図4(a)では駆動体10の半径に沿って(軸芯10Pを通過する直線の伸びる方向に沿って)並進移動(直線移動)するように設定されている。ただし、本発明では、被動体15の移動経路そのものは駆動体の半径と一致していなくてもよく、駆動体10の渦巻き方向と異なってさえいれば、任意の直線状若しくは曲線状の経路を採るように構成されていてもよい。
図4(a)に示すように、被動体15を駆動体10の半径方向に沿って直線移動させるときには、案内部材12の案内縁12aを駆動体10の半径に沿って配置し、被動体15が案内縁12aに案内されることにより駆動面上の位置S1〜S6に保持された状態で移動していくように設定する。
例えば、軸芯10Pを水平方向に設定し、駆動体10を回転させると、被動体15は上下方向(垂直方向)に直線移動することになる。ここで、図4(a)に示すように図示時計周りに駆動体10をその軸芯10Pを中心として回転させる場合、図示実線のように被動体15を駆動面11b上に当接させた状態とすれば、被動体15は上方に移動していく。また、図4(a)に点線で示すように被動体15を駆動面11a上に当接させた状態とすれば、下方に移動していく。これらの移動方向は、駆動体10の回転方向が逆になれば逆方向となる。
ところで、案内手段(図4(a)に示す案内部材12)は常に必要になるとは限らない。例えば、図4(b)に示す駆動体10′では、被動体15は、駆動部11′の駆動面11a′及び11b′のうち内側の駆動面11a′上の最下点である位置S1〜S5に配置されている。そして、駆動体10′を反時計回りに回転させると、被動体15は自重により駆動面11a上の最下点である位置S1〜S5或いはその近傍に保持された状態で図示矢印のように上昇していく。この場合には、被動体15は駆動面の最下点若しくはその近傍の位置に自重により保持されるので、上記案内手段12に相当する案内手段を必ずしも設ける必要はない。なお、図4(b)に示す上記駆動体10′において、その駆動面11a′上の最下点は、駆動体10′の軸芯10P′を通過する垂線(図示一点鎖線)よりもやや右側に位置する。
図5は、上記のように駆動体10の軸芯10Pを通過する垂直面上に被動体15を保持したときの被動体15の動作態様を示す。ここで、被動体15は、軸芯10Pと平行な軸線を有する円柱体若しくは円筒体、或いは、球体であり、並進移動とともに駆動面11b上において転動可能に構成されていることを前提とする。被動体15は、自身の質量に応じた引力Wを下方に受けるとともに、この引力Wと、駆動面11bの傾斜角ψ(より正確には駆動面の接面の傾斜角)に応じた力Fを案内部材12の案内縁12aから受ける。そして、被動体15が駆動面11b上で転動するとき、被動体15と案内部材12との摩擦力μF(μは動摩擦係数)はこの力Fによってほぼ決定される。
ここで、駆動体10の渦巻き形状がアルキメデスのスパイラルであると仮定すると、軸芯10Pを通過する垂直面上における駆動面11bの傾斜角ψ(駆動面の接面の傾斜角)は、ψ=2/π−tan−1θとなる。例えば、θ=1.5πのときψ=11.98°、θ=2πのときψ=9.04°、θ=3.5πのときψ=5.20°、θ=4πのときψ=4.55°、θ=5.5πのときψ=3.31°、θ=6πのときψ=3.04°、θ=7.5πのときψ=2.43°、θ=8πのときψ=2.28°となる。なお、この場合においては、被動体15の移動経路が半径に一致しているため、上記の計算では、駆動面11bと所定の半径方向の接線(接面)とのなす角度を算出していることになる。
次に、上記力Fは、傾斜角ψと引力Wとによって決定され、F=Wtanψとなる。ここで、駆動体10の回転によって被動体15が転動し、被動体15は案内部材12の案内縁12aに対して摺動することとすると、この摺動によって生ずる摩擦力は、μF=μWtanψである。上述のように、θが大きくなるほど傾斜角ψは小さくなるので、Fも小さくなり、したがって、摩擦力も小さくなるから、θの小さい領域は使用しないほうが摩擦損失は低減される。ただし、この場合には、被動体の移動ストロークを確保しようとすれば、駆動体10はその分大型化する。
この被動体15の摩擦力μFに起因する駆動体10の駆動負荷、すなわち摩擦損失をMとする。ここで、駆動体10の軸芯10Pと案内縁12a(或いはその延長線)の距離は、高々被動体15の半径dから直径以内である。このため、例えば、当該距離が図5に示す半径dと等しい場合には、駆動体の負荷となる摩擦損失MはμFdとなる。
また、駆動体10は、その自重Wと、被動体15の重量Wとによって軸損失Mを生ずるが、これは、駆動体10の軸支部の半径をe、軸支部の動摩擦係数をμとすると、M=μ(W+W)eとなる。
上記の結果を総合すると、M=μFd(dは被動体の半径)を転動による摩擦損失とすれば、全損失MTOTAL=M+M=μFd+μ(W+W)e=μWdtanψ+μ(W+W)eとなる。ここで、μ=0.2、μ=0.1、W=5g、W=50g、tanψは上記の平均値を用いるとすれば、全損失は約2g・cm程度となる。したがって、時計のムーブメントなどの僅かな駆動トルクでも容易に駆動することができる。
なお、以上の結果は、いずれも単一の被動体15を駆動する場合を示すものであり、被動体15が同時に複数駆動される場合(例えば、図4(a)に示す位置S1〜S6のうちの複数箇所に被動体15が配置される場合)には、摩擦損失Mでは損失全体に被動体15の数を乗算し、軸損失Mでは式中のWに被動体15の数を乗算すればよい。ここで、例えば、被動体15を移動させるスパイラルのピッチを15mmとし、3つの被動体15を同時に順次異なる周回位置にて上昇させるように構成するためには、被動体15を導入して導出するために4ピッチ分の半径の大きさ、15mm×4=6cmをもつ駆動体10が必要となる。そして、軸損失MではWの代わりに3Wを用い、摩擦損失Mは全体を3倍すればよい。
従来の方法として、被動体を駆動体の外周部に保持して、被動体が駆動体の軸芯と等しい高さにある状態から軸芯の真上に配置される状態まで駆動体を回動させることによって被動体を持ち上げることができる。しかし、この場合には、駆動体が必要とする最大トルクは、外周円弧上を移動しはじめる時に生ずる。最大トルクは、被動体の重さWと、駆動体の軸芯から被動体までの距離(半径)Rとの積となるから、例えば、被動体の重さWが5g、半径Rが6cmであれば、必要な駆動トルクは30g・cmとなる。もちろん、この場合にも、被動体の数が増えれば、最大トルクも増大する。また、この場合でも全損失を求めるには上述と同様の軸損失がさらに加算される。したがって、本実施形態の全損失は従来の駆動機構の全損失に較べてきわめて小さい値となる。
次に、図6には、図4(a)に示すものと同様の駆動体10、被動体15を用いた駆動機構であるが、被動体15の駆動面11b上における保持される位置が異なる例を示してある。この例では、被動体15を軸芯10Pを通過する垂直面上ではなく、図7に示すように、駆動面11bの頂点位置11bp上に設定してある。また、駆動面11bの頂点位置11bp上では、被動体15は安定しないので、両側に案内部材12A,12Bを配置し、それらの案内縁部12Aa,12Baによって被動体15を上下方向(垂直方向)に案内している。
この場合には、被動体15がほぼ頂点位置11bp上に配置されているので、その接線(接面)はほぼ水平であり、したがって、案内縁部12Aa,12Baから被動体15が受ける応力F′は上記力Fに較べて小さく(理想的には0に)なる。したがって、上述の摩擦損失Mがほとんどなくなるため、全損失も低減されるから、駆動負荷がさらに低減される。
図8(a)及び(b)には、被動体15を頂点位置11bp上よりもさらに駆動体の回転の向きと逆側にずらして配置した場合の被動体の近傍の様子を示す。この場合には、図7に示す場合に較べて、被動体15の図示左側にある案内縁12Baの位置を被動体15の位置とともに図示左側にずらして配置してある。この案内縁12Baとは反対側にある案内縁12Aaは図7に示す場合と同じ位置にある。この状態で、駆動面11bが図示時計周りに速度v1で回転したとすると、被動体15もまた周速度v1で転動することとなるが、実際には、駆動面11b及びその上の被動体15は、駆動面11bが渦巻き状に構成されているために速度v2で上方に移動する。ここで、v1とv2の関係は、渦巻きが上述の(図4を参照した説明にて記述した)アルキメデスのスパイラルであれば、a=v2/ω、v1=r・ωであるから、v2/v1=1/θとなり、θが大きくなるほど、v2/v1は小さくなる。したがって、θ=1.5π〜8π程度を考えると、v1>>v2となる。
ここで、被動体15の回転状態を調べて見る。駆動体10の時計周りの回転により被動体15自体の回転は反時計周りに転動する。このとき、駆動体10の回転によって被動体15は多少でも図の右側へ移動させようとする力f′を受けることになるため、被動体15と案内縁12Baとの間に生ずる力F″は、図5に示す力F=Wtanψに相当するf=Wtanψ′から上記のf′を引いた値になり、その結果、ψとψ′とが大きく異ならなければ、力F″は常にFよりも小さな値となる。したがって、この力F″に起因する摩擦力μF″も図5に示す場合よりも小さくなる。
このとき、案内縁12Baと被動体15との間に生ずる摩擦力μF″の方向は、v1>>v2であるため、図示上方向となる。ここで、案内部材12Bは固定されているため、案内縁12Baを基準としてみると、図8(b)に示すように、或る時点t1と、その後の時点t2とで比較すると、時点t1では被動体15は、案内縁12Baの下部位置に接していても、時点t2ではそれよりも上部位置に接することになる。すなわち、固定された案内縁12Baと被動体15との間のすべり速度はv1−v2となる。したがって、被動体15の転動によって生ずる摩擦損失は、図5及び図7に示す案内縁12Aaに対するものに較べて軽減されることになる。
なお、上記とは逆に、駆動面11aの最低位置上に被動体15を保持して駆動する場合でも、上記と同様に転動による案内部材との摩擦に起因する摩擦損失を低減することができる。この場合には、被動体15を引力によって駆動面11aの最低位置に保持することが可能であるため、回転速度が一定かつ充分に遅ければ、案内部材を必要としない。ただし、実用的には上記と同様に被動体15の両側を保持するための案内手段を設けることが望ましい。
[第1実施例]
次に、上述の原理を踏まえて、本発明に係る駆動機構の第1実施例について説明する。図1は駆動機構100の斜め上方から見た様子を示す斜視図、図2は駆動機構100の正面図(a)、平面図(b)及び右側面図(c)、図3は、駆動機構100に被動体の導入部及び導出部を設置した場合の斜視図である。この駆動機構100は、図示のように内側から外側へ半時計周りの渦巻き状の駆動面が構成された駆動体110を有し、球状に構成された被動体(図示せず)を駆動体110の軸芯よりやや上方の下方位置にて駆動体110の駆動面上に供給したとき、駆動体110が(図示例では時計回りに)回転することによって被動体が徐々に上昇し、やがて上方位置に被動体が達したときに被動体を取り出すように構成したものである。
この駆動体110においては、軸線方向から見た側面視が渦巻き状に構成されてなる一対の渦巻き状帯材111A,111Bが図示前後方向(すなわち駆動体110の軸線方向)に並列に配置されている。渦巻き状帯材111A,111Bの内面及び外面の延長形状はそれぞれ渦巻き状に構成され、当該内面及び外面が上述の駆動面を構成している。一対の渦巻き状帯材111A,111Bの前後両側には板状の保持枠113A,113Bが配置されている。保持枠113A,113Bは、渦巻き状帯材111A,111Bの渦巻き形状に構成された駆動面上に配置される被動体が駆動面上から脱落しないように保持するためのものである。前面側に配置される保持枠113Aには、駆動体110の軸芯の近傍(中心側)にて前方に開口した導入口113Axが形成され、また、駆動体110の外周部において前方に開口した導出口113Ayが形成されている。上記の一対の渦巻き状帯材111A,111B及び保持枠113A,113Bは、支持部材114A,114Bによって一体に構成され、後述するハブに固定されている。
駆動体110の背後には、図2(b)及び(c)に示すように駆動源120が配置され、この駆動源120の駆動軸121はハブ122に接続されている。駆動源120としては適宜の駆動モータなどの回転駆動手段を用いることができるが、本実施形態では、時計駆動機構(ムーブメント)によって構成している。ハブ122は、上記の駆動体110の中心部に固定され、駆動源120の駆動力により駆動体110とともに回転するようになっている。
一方、基台101の前後位置にはそれぞれ支持枠102A,102Bが固定され、これらの支持枠102A,102Bは、上記ハブ122を介して駆動体110を回転自在に軸支している。後方の支持枠102Bには上方に延長された支持延長部102Bxが設けられ、この支持延長部102Bxは案内部材112の上部を支持固定している。この案内部材112は、上記一対の渦巻き状帯材111A,111Bの間を挿通して上下方向に伸びるように配置されている。案内部材112の下部は基台101に固定されている。
図1又は図3において、案内部材112は固定されており、駆動体110が回転しても常に一定位置(図示例では駆動体110の軸芯の上下に亘る位置)に配置されている。案内部材112は、図示上下方向に伸びる一対の案内部112A、112Bを有している。一対の案内部112A,112Bは駆動体110の軸芯の上方においてそれぞれほぼ上下方向に伸びるように配置されている。案内部112A,112Bには、それぞれ相互に対向配置された案内縁部122Aa,112Baが軸芯の上方に上下に伸びるように形成されている。より具体的には、駆動体110の回転方向(時計回り)側に形成された一方の案内部112Aは軸芯の上方をやや上記の回転方向側に傾斜した姿勢で上方に伸びている。また、駆動体110の回転方向とは逆側に形成された他方の案内部112Bは軸芯の上方のやや回転方向とは逆側をほぼ垂直に上方へ向けて伸びている。
図3に示すように、この駆動機構100では、上記の保持枠113Aに設けられた導入口113Axが駆動体110の軸芯の真上位置にきたときに図示しない被動体を導入口113Axを通して渦巻き状帯材111A,111Bの外面上に導入する導入ガイド132と、上記の保持枠113Aに設けられた図1に示す導出口113Ayが駆動体110の軸芯の真上位置にきたときに、駆動体110の回転によって案内部材112によって案内されながら上昇してきた図示しない被動体を導出口113Ayを通して導出する導出ガイド133とが設けられている。これらの導入ガイド132及び導出ガイド133は支持体131によって駆動体110の前方に支持固定されている。導入ガイド132及び導出ガイド133は、図示のように、被動体を転動させて導入若しくは導出させることができる樋状に構成されている。
この実施形態では、導入ガイド132から供給される被動体は、駆動体110の回転に伴って導入ガイド132の出口に導入口113Axが現れると、この導入口113Axを通して保持枠113Aの内側に導入され、渦巻き状帯材111A,111Bの面上に配置される。このとき、導入された被動体は案内部材112の対向する案内縁112Aa,112Baの間に配置され、これらの案内縁112Aa,112Baによってその回転方向の位置が規制される。その後、駆動体110の回転に伴って被動体は徐々に上方へ持ち上げられ、やがて、被動体が配置されている位置に導出口113Ayが現れると、この導出口113Ayを通して導出ガイド133へ被動体が排出される。実際には、上記のような手順で導入ガイド132から供給される複数の被動体がそれぞれ順次に持ち上げられ、導出ガイド133から順次に排出されるように構成されている。
上記のように構成された本実施形態では、駆動体110の或る所定位置に設けられた導入口113Axでのみ被動体が導入され、駆動体110の他の所定位置に設けられた導出口113Ayでのみ被動体が導出される。これらの導入口113Ax及び導出口113Ayはそれぞれ一つずつ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。いずれにしても、常に一定の位置で被動体が導入され、他の一定の位置で被動体が導出されるので、被動体の移動範囲(移動距離)は常に一定になる。
次に、図9を参照して上記実施例の導出口の構造を詳細に説明する。渦巻き状帯材111A,111Bは、基本的には案内部材112を挟んで両側に並列に設置されているので、渦巻き状帯材111Aの表面と、111Bの表面とは同じ角度位置では基本的に同じ高さとなっている。しかし、上記の導出口113Ayにおいては、導出口113Ayの設けられた側に存在する渦巻き状帯材111Aの排出部111Ayが低く、導出口113Ayの設けられた側とは反対側に存在する渦巻き状帯材111Bの排出部111Byが高くなっている。これによって、案内部材112により角度位置が保持された被動体115の前方位置に導出口113Ayが到達すると、被動体115は渦巻き状帯材111Bの排出部111Byから渦巻き状帯材111Aの排出部111Ayに移動し、導出口113Ayから重力に応じて自然に導出ガイド133上へ排出されるように構成できる。このような構成では、渦巻き状帯材111Aと111Bとを導出口113Ayに対して角度位置が接近するに従って徐々に高低差がつくように構成することが好ましい。これによって、被動体115は導出口113Ayが接近してくるに従って徐々に導出口113Ay側に移動し、導出口113Ayが現れたときには直ちに排出される。
図10には、上記の導出口113Ayの近傍の異なる構成を示す。この構成例では、導出口113Ayの設けられている位置では、渦巻き状帯材111A及び111Bに、導出口113Ay側に傾斜した傾斜部111Ay′及び111By′が形成されている。また、傾斜部111Ay′の導出口113Ayとは反対側の端部は、傾斜部111By′の導出口113Ay側の端部と同じか、それよりも低くなっている。このように構成することによって、被動体115を傾斜部111By′及び111Ay′によって導出口113Ayに導くことができるので、被動体115をよりスムーズかつ確実に排出することが可能になる。なお、この場合には、渦巻き状帯材111A及び111Bを、導出口113Ayに対して角度位置が接近するに従って徐々に傾斜角が大きくなっていくように構成することが好ましい。これによって被動体115をさらに円滑に導出口113Ayから排出できる。
図11は、駆動体110の導入口113Axの近傍の構造を示すものである。渦巻き状帯材111A,111Bは、導入口113Axの角度位置において、導入口113Ax側に存在する導入部111Axの方が反対側の導入部111Bxよりも高く形成されている。これによって、導入ガイド132から導入される被動体115が導入部111Ax,111Bx上に配置されたとき、勢い余って再び導入口113Axから外部へ飛び出ないように構成できる。この場合、渦巻き状帯材111A,111Bは、導入口113Axから角度位置が遠ざかるに従って徐々に高低差が低減されるように構成されていることが被動体115を円滑に駆動する上で好ましい。また、図10とは逆に、導入部111Ax,111Bxを導入口113Axとは反対側に下方に向けて傾斜させるようにしてもよい。この場合には、導入部111Axの導入口113Axとは反対側の端部は、導入部111Bxの導入口113Ax側の端部と同じ高さか、或いは、より高いことが望ましい。これによってさらにスムーズに被動体115を導入できる。
[第2実施例]
次に、図12乃至図16を参照して第2実施例について説明する。図12は第2実施例の駆動機構100′を保持枠を省略して示す概略正面図、図13(a)及び(b)は駆動機構100′の駆動体を構成する一対の板状材の平面形状を示す図、図14は駆動機構100′の案内部材と支持部材とを駆動面形状とともに重ねて示す図、図15(a)及び(b)は駆動機構100′の保持枠を板状材の概形とともに示す図、図16は駆動機構100′の中心部近傍の縦断面図である。
この実施例の駆動機構100′は、図12に示すように、基台101′、支持枠102A′、支持延長部102Bx′を備えた102B′、案内部112A′及び112B′を備えた案内部材112′、支持部材114A′及び114B′、ハブ122′、並びに、駆動源120′は、上記第1実施例と同様に構成されているので、それらの説明は省略する。
本実施例では、駆動体110′を構成する駆動部材として、上記の渦巻き状帯材の代わりに、軸線方向に見た平面視が渦巻き状の板状材111A′、111B′が用いられている。ここで、板状材111A′、111B′は、駆動体110′の軸線方向の厚さよりも当該軸線方向と直交する平面上の幅を大きくすることもできる。この板状材111A′、111B′は、図13(a)及び(b)に示すように渦巻き状の平面形状を有し、その平面形状の端縁が駆動面111Ax′、111Ay′、111Bx′、111By′となっている。なお、本実施例では、板状材の外周側の端縁(外端縁)111Ax′、111Bx′が駆動面として用いられる例について以下説明するが、板状材の内周側の端縁(内端縁)111Ay′、111By′を駆動面として用いてもよい。
本実施例では、案内部材112′の軸線方向両側に一対の板状材111A′、111B′が配置され、図16に示すように、この板状材111A′、111B′が連結ピン116′を介して支持部材114A′、114B′に支持固定されている。また、図15に示す保持枠113A′、113B′は、板状材111A′、111B′の軸線方向両側に配置され、支持部材114A′、114B′によって支持固定されている。上記の板状材111A′、111B′、保持枠113A′、113B′及び支持部材114A′、114B′はハブ122′に接続固定された駆動体110′を構成し、上記駆動源120′によって一体に回転するように構成されている。ここで、駆動体110′の回転軸線は水平に設定されている。
図16に示すように、被動体115′は、板状材111A′の駆動面111Ax′と、板状材111B′の駆動面111Bx′とに跨るように支持され、案内部材112′の案内縁部によって案内された状態で、駆動体110′の半径方向に移動するように構成されている。このとき、保持枠113A′及び113B′は被動体115′を軸線方向両側から保持するように構成されている。実際には、基台101′が静置されていれば、被動体115′は一対の駆動面111Ax′と111Bx′とによって支持されているので、駆動体110′の半径方向に移動している間においては保持枠113A′、113B′に接触することはないが、後述するように被動体115′が駆動体110′に導入されるときや外部振動などを受けたときには被動体115′が動揺する場合があり、この場合においては保持枠113A′、113B′が被動体115′が駆動面上から外れることを防止する。
図13(a)に示す板状材111B′の駆動面111Bx′の外端部111Bz′は、図13(b)に示す板状材111A′の駆動面111Ax′の外端部111Az′よりも半径方向外側に配置されている。したがって、駆動面の外端部111Az′及び外端部111Bz′がハブ122′の直上位置に来たときには、外端部111Az′と外端部111Bz′との間には高低差が生じる。また、図15(b)に示す保持枠113A′には、駆動体110′の内周部に導入口113Ax′が設けられ、駆動体110′の外周部に導出口113Ay′が設けられている。そして、保持枠113A′の導出口113Ay′は、上記外端部111Az′及び111Bz′上の空間を軸線方向前方に開放するように構成されている。
これによって、被動体115′が導入口113Ax′から駆動体110′内に導入されると、駆動体110′の回転によって被動体115′は駆動面上に配置されたまま垂直上方へ徐々に持上げられ、やがて被動体115′が最外周部の駆動面上に配置されるようになると、駆動面の外端部111Az′及び外端部111Bz′がハブ122′の直上位置に来たときには、外端部111Az′及び外端部111Bz′上に被動体115′が配置されることになるので、被動体115′は上記の高低差により軸線方向前方に転がり落ち、上記導出口113Ay′を通して導出される。
本実施例では、駆動体110′に駆動面を端縁に有する平面視が渦巻き状の板状材111A′、111B′が設けられているので、渦巻き形状の駆動面を容易に、また、自由に、しかも高精度に形成することができる。すなわち、板状材の端縁が渦巻き状になるようにその平面形状を成形すればよいので、プレスの打ち抜き加工やエッチング加工、射出成形などの種々の製造方法で容易に製造できる。また、端縁形状によって駆動面の渦巻き形状が構成されるので、平面形状を適宜に設定するだけで渦巻き形状を自由に設計できる。特に、上記の一対の板状材111A′111B′の外端部111Az′、111Bz′のように、部分的に他と異なる形状を容易に形成できる。さらに、板状材の端縁形状は上記の製造方法などにより高精度に加工成形できるので、高精度の駆動面を形成することができる。しかも、端縁が駆動面となるように板状材を平面視渦巻き状に構成するので、駆動面の軸線方向の幅に較べて半径方向の厚さを大きくすることが容易であり、これにより駆動面の変形に対する剛性を高めることができることから、大きな駆動負荷にも耐えることができ、また、経時的に駆動面が変形することを防止することができるのでその耐久性を向上させることができる。
上記実施例においては、一対の板状材111A′及び111B′が渦巻き状の平面形状を有することから、駆動体110′の回転軸線周りの重量バランスが偏ったものになりやすい。駆動体110′の回転軸線周りの重量バランスが偏ると、駆動源120′の駆動負荷が大きくなり、また、駆動トルクが小さい場合には駆動体110′の回転ムラが生じやすくなるので、駆動体110′の回転軸線周りの重量バランスを均一化することが好ましい。図17には、駆動体110′の回転軸線周りの重量バランスを均一化するために、先の第1実施例や第2実施例の支持部材の代わりに用いることのできる、重量補償部114Cxを設けた支持部材114Cの形状を示す。この支持部材114Cは、上記第1実施例や第2実施例と同様にハブから放射状に延びた複数の支持アーム部を備えたものであるが、そのうちの隣接する一対の支持アーム部の外周部間を上記の重量補償部114Cxが連結するように構成されている。図示例では重量補償部114Cxは駆動体110′の回転軸線を中心とする円弧形状に形成されている。重量補償部114Cxは、渦巻き状の駆動面を構成する部材(帯材や板状材)の外端部から離れた角度位置に配置されることが重量バランスの偏りを低減する上で好ましい。なお、上記の重量補償部114Cxとしては、支持部材に限らず、保持枠や帯材若しくは板状材に直接設けても構わない。
[第3実施例]
最後に、図18を参照して上記実施例とは異なる別の第3実施例について説明する。図18は、駆動機構200の概略平面透視図(a)、縦断面図(b)及び変形例の縦断面図(c)である。この実施例の駆動機構200では、全体として円盤状の駆動体210が設けられている。この駆動体210には、表面に渦巻き状のリブ211が形成され、このリブ211に駆動面211a,211bが形成されている。ここで、駆動面211aは渦巻きの内面であり、駆動面211bは渦巻きの外面である。駆動体210は図18(b)に示す駆動モータ220の出力軸221に接続され、回転駆動されるように構成されている。
駆動体210の上方には案内部材212A,212Bが固定されている。案内部材212A,212Bの間には、案内部材212Aと212Bの対向する案内縁によって駆動体210の渦巻きの半径方向に伸びる案内路212Cが構成されている。そして、この案内路212Cに沿って移動可能な状態で被動体215が配置されている。被動体215の被動部215Aは、駆動体210の駆動面211a,211b(図示例では211b)に当接している。駆動面211aと211bの双方にほぼ当接するように被動部215Aを構成してもよい。被動部215Aは、駆動体210の渦巻きの軸芯と平行な軸線を有する円柱体若しくは円筒体、或いは、球体として構成されていることが好ましい。図示例では円柱体となっている。
また、被動体215には、上記被動部215Aの上方に設けられた従動部215Bを備えている。この従動部215Bは、案内部材212A,212Bの上面に摺接している。したがって、被動体215は、従動部215Bが案内部材212A,212Bに支持された状態で、上記案内路212Cに沿って駆動体210の半径方向に移動可能に構成されている。
この実施例では、駆動体210が回転駆動されると、被動体215は案内路212Cに沿って半径方向に並進移動する。このとき、駆動体210の回転駆動によって固定された案内部材212A,212Bに係合された被動体215が渦巻きの軸芯と平行な軸線周りに転動しながら案内路212Cに沿って移動するように構成することが好ましい。
図18(c)は、上記と同様の駆動体210、案内部材212A,212B、駆動モータ220、駆動軸221を備えた駆動機構において、異なる被動体215′を備えた駆動機構の構成例を示す。この被動体215′には、リブ211の駆動面211bに当接した被動部215A′と、従動部215B′とが設けられている。ここで、被動部215A′は上記の被動部215Aと同様に構成されている。また、従動部215B′も基本的に案内部材212A,212Bに摺接している点では上記と同様であるが、この従動部215B′には、図示のラックなどのような駆動力伝達手段が形成されている。この例では、駆動力伝達手段(ラック)によって歯車230が回転駆動されるように構成される。
尚、本発明の駆動機構は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の各図示例では主として渦巻き状に構成された駆動面としての渦巻きの外面によって被動体を駆動する例について示してあるが、これとは逆に、渦巻きの内面によって被動体を駆動するようにしても構わない。
実施例の駆動機構の主要部を示す斜視図。 駆動機構の主要部の正面図(a)、平面図(b)及び右側面図(c)。 駆動機構の斜視図。 駆動機構の原理図(a)及び(b)。 駆動機構の被動体の駆動部位の拡大説明図。 駆動機構の異なる状況を示す原理図。 駆動機構の異なる位置にある被動体の駆動部位の拡大説明図。 駆動機構のさらに異なる位置にある被動体の駆動部位の拡大説明図(b)及び(c)。 駆動機構の被動体の導出部分の説明図。 駆動機構の被動体の異なる導出部分の説明図。 駆動機構の被動体の導入部分の説明図。 第2実施例の駆動機構を保持枠を省略して示す概略正面図。 第2実施例の駆動機構の駆動体を構成する一対の板状材の平面形状を示す図(a)及び(b)。 第2実施例の駆動機構の案内部材と支持部材とを駆動面形状とともに重ねて示す図。 第2実施例の駆動機構の保持枠を板状材の概形とともに示す図。 第2実施例の駆動機構の中心部近傍の縦断面図(a)及び(b)。 第2実施例の支持部材の変形例を案内部材とともに重ねて示す図。 異なる駆動機構の平面透視図(a)、縦断面図(b)及び変形例の縦断面図(c)。
符号の説明
100,200…駆動機構、110…駆動体、111A,111B…渦巻き状帯材、112…案内部材、113A,113B…保持枠、15,115,215,215′…被動体

Claims (3)

  1. 被動体と、前記被動体を支持し、駆動させる駆動面を備えた駆動体と、前記駆動体を回転駆動する回転駆動手段とを有し、前記被動体は前記駆動面により駆動されて前記駆動体の半径方向に並進移動し、
    前記駆動体は、前記回転駆動の軸方向に並列する、前記回転駆動の軸に対し直交する面上で渦巻き状の帯材を一対有し、
    前記一対の渦巻き状の帯材の間に配置され、前記渦巻き状帯材の半径方向に伸びる案内縁部を有する案内部材と、前記一対の渦巻き状の帯材の両側に設置され、前記被動体を保持する保持枠と、をさらに具備することを特徴とする駆動機構。
  2. 被動体と、前記被動体を支持し、駆動させる駆動面を備えた駆動体と、前記駆動体を回転駆動する回転駆動手段とを有し、前記被動体は前記駆動面により駆動されて前記駆動体の半径方向に並進移動し、
    前記駆動体は、前記回転駆動の軸方向に並列する、前記駆動面を端縁に備えた前記回転駆動の軸に対し直交する面上で渦巻き状の一対の板状材を有し、
    前記一対の板状材の間に配置され、前記板状材の半径方向に伸びる案内縁部を有する案内部材と、前記一対の板状材の軸線方向両側に設置され、前記被動体を保持する保持枠と、をさらに具備することを特徴とする駆動機構。
  3. 請求項1または2のいずれか一項に記載の駆動機構を有する時計。
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