JP4524864B2 - 複数周波用アンテナ共用器 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体通信機器に用いられるアンテナ共用器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のアンテナ共用器は同軸共振器や分布定数型共振器で形成されるのが一般的であり、通過帯域幅や減衰量などの所望の電気的特性を得るために共振器の段数やその形状が決定されていた。
【０００３】
特に複数周波用アンテナ共用器としては従来のアンテナ共用器を複数用いることから図１３のごとく、送信フィルタ２５ａ，２５ｂ、受信フィルタ２６ａ，２６ｂを各々同軸共振器で構成してなる複数周波用アンテナ共用器や、スイッチ切替が可能なＴＤＭＡ（Ｔｉｍｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：時分割多重）方式のシステムについては図１４に示すように分波器２３で通過周波数を大きく分け、ＳＰＤＴ（Ｓｉｎｇｌｅ Ｐｏｌｅ Ｄｏｕｂｌｅ Ｔｈｒｏｗ）スイッチ２７ａ，２７ｂで送信受信を切り替える複数周波用アンテナ共用器が提案されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記複数周波用アンテナ共用器において問題となるのは、共振器の形状にフィルタ特性が大きく依存するため小型化が困難なことにある。特にスイッチ切替が出来ないＣＤＭＡ（Ｃｏｄｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：符号分割多重）方式については、共振器の本数が多数必要になり形状が増大することを避けることが出来ない。また例えば８００ＭHzと１．８ＧHzといった、通過帯域周波数が大きく異なる複数周波用アンテナ共用器を分布定数型共振器で構成するような場合には、分布定数型共振器に用いる基板材料等の電気的特性が周波数に依存するためその最適化が困難となる。
【０００５】
本発明は、このような複数周波用アンテナ共用器において小型化を図ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の複数周波用アンテナ共用器は周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に前記アンテナ共用器は複数に実装されるとともに、各アンテナ共用器の通過帯域は全て異なり、複数の前記送信用弾性波フィルタは同一の第１の圧電性基板に形成されると共に、複数の受信用弾性波フィルタは同一の第２の圧電性基板に形成され、各々の受信用弾性波フィルタとアンテナ端子との間に接続されると共に各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板が、前記第１の圧電性基板と前記第２の圧電性基板との間に実装されたことを特徴とするものである。
【０００７】
これにより複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【０００８】
また、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ、小型化が実現できるのである。
【０００９】
また、大きく異なる通過帯域周波数を持つ複数のアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化することが可能になるのである。
【００１０】
ここで上記複数周波用アンテナ共用器において、２つの通過帯域周波数に対応する２周波用アンテナ共用器については、各アンテナ共用器のアンテナ端子にアンテナ共用器と同一パッケージ内に実装した分波器を接続することでアンテナ出力端子を１つにすることができ、より小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００１１】
さらに上記複数周波用アンテナ共用器に用いている位相基板や分波器をパッケージ内部に形成することでより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００１２】
また、上記複数周波用アンテナ共用器において、通過帯域周波数や所望のフィルタ特性によって弾性表面波フィルタとバルク波フィルタの両方を使い分けることにより、より性能の良い複数周波用アンテナ共用器が小型に実現できるのである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に前記アンテナ共用器は複数に実装されるとともに、各アンテナ共用器の通過帯域は全て異なり、複数の前記送信用弾性波フィルタは同一の第１の圧電性基板に形成されると共に、複数の受信用弾性波フィルタは同一の第２の圧電性基板に形成され、各々の受信用弾性波フィルタとアンテナ端子との間に接続されると共に各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板が、前記第１の圧電性基板と前記第２の圧電性基板との間に実装されたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、複数周波用アンテナ共用器が小型化が実現できる作用を有する。
【００１４】
また、本発明は、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ小型化が実現できる作用を有する。
【００１５】
さらに、本発明は、大きく異なる通過帯域周波数を持つ複数のアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化が実現できる作用を有する。
【００１６】
さらにまた、本発明は、位相基板と送信用、受信用弾性波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できるのである。
【００１７】
また、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器を複数個実装するとともに、各アンテナ共用器の通過帯域を全て異ならせたことを特徴とした複数周波用アンテナ共用器であり、通過帯域周波数とフィルタ特性によって２種類のフィルタを使い分けることによって、性能を維持しつつ小型化が実現できるのである。
【００１８】
さらに、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相回路も含めた形で小型化が実現できるのである。
【００１９】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、位相基板をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相基板と送信用、受信用フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できるのである。
【００２０】
また、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、アンテナ端子に外付け部品を使用することなく接続でき、小型化できる作用を有する。
【００２１】
さらに、本発明の他の実施形態は、２つの送信用弾性表面波フィルタを形成した第１の圧電性基板と、２つの受信用弾性表面波フィルタを形成した第２の圧電性基板と、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ小型化が実現できる作用を有する。
【００２２】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、２つの周波数の異なる通過帯域を有する送信用弾性表面波フィルタと受信用弾性表面波フィルタを各々１つの圧電性基板上で構成し、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、大きく異なる通過帯域周波数を持つ２つのアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化が実現できる作用を有する。
【００２３】
また、本発明の他の実施形態は、位相基板と分波器をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、位相基板、分波器と送信用、受信用弾性表面波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できる作用を有する。
【００２４】
さらに、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、アンテナ端子に外付け部品を使用することなく接続でき、小型化できる作用を有する。
【００２５】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相回路も含めた形で小型化が実現できるのである。
【００２６】
また、本発明の他の実施形態は、位相基板と分波器をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相基板、分波器と送信用、受信用弾性表面波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できる作用を有する。
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１から図１２を用いて説明する。
【００２８】
尚、図１から図１２の中で同一の構成要素には同一の番号を付加している。
【００２９】
（実施の形態１）
図１は本発明の第１の実施の形態の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図、図２はその回路図、図３はその周波数特性である。
【００３０】
図１における複数周波用アンテナ共用器は圧電性基板上に形成された送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂと、位相基板１３ａ，１３ｂとパッケージ１４からなり、パッケージ１４の外部にはアンテナ端子１５ａ，１５ｂ、送信端子１６ａ，１６ｂ、受信端子１７ａ，１７ｂと接地端子（明記せず）を、内部には接続パット１８ａ〜１８ｆを有し、接続パット１８ａ，１８ｂはそれぞれ送信端子１６ａ，１６ｂに、接続パット１８ｃ，１８ｄはそれぞれ受信端子１７ａ，１７ｂに、接続パット１８ｅ，１８ｆはそれぞれアンテナ端子１５ａ，１５ｂにパッケージ内で接続されている。
【００３１】
また送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂ、位相基板１３ａ，１３ｂはそれぞれ２つの接続端子を有し、送信用弾性表面波フィルタ１１ａの一方の端子と接続パット１８ａがボンディングワイヤ１９ｂで、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂの一方の端子と接続パット１８ｂがボンディングワイヤ１９ａで接続され、送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂの他方の端子と接続パット１８ｅ，１８ｆがそれぞれボンディングワイヤ１９ｃ，１９ｅで接続され、受信用弾性表面波フィルタ１２ａの一方の端子と接続パット１８ｃがボンディングワイヤ１９ｉで、受信用弾性表面波フィルタ１２ｂの一方の端子と接続パット１８ｄがボンディングワイヤ１９ｊで接続され、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂの他方の端子と位相基板１３ａ，１３ｂの一方の端子がそれぞれボンディングワイヤ１９ｇ，１９ｈで接続され、位相基板１３ａ，１３ｂの他方の端子と接続パット１８ｅ，１８ｆがそれぞれボンディングワイヤ１９ｄ，１９ｆで接続されている。
【００３２】
図２は図１における複数周波用アンテナ共用器の回路図である。
【００３３】
図３は図１における複数周波用アンテナ共用器の周波数特性例であり、ここで送信用弾性表面波フィルタ１１ａ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ、位相基板１３ａで構成されるアンテナ共用器はそれぞれ通過帯域３３ａ，３４ａ、減衰帯域３５ａ，３６ａを有する通過特性３１ａ，３２ａで表され、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ｂ、位相基板１３ｂで構成されるアンテナ共用器はそれぞれ通過帯域３３ｂ，３４ｂ、減衰帯域３５ｂ，３６ｂを有する通過特性３１ｂ，３２ｂで表されるものである。
【００３４】
上記構成によれば送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂ、位相基板１３ａ，１３ｂが同一パッケージ１４内に実装できるため、複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【００３５】
また、複数のアンテナ共用器の通過周波数帯域が近い場合には、図４のごとく送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂを同一の圧電基板上に形成した送信用弾性表面波フィルタ１１ｃ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂを同一圧電基板上に形成した受信用弾性表面波フィルタ１２ｃ、複数の位相基板１３ａ，１３ｂを形成した位相基板１３ｃとすることでパッケージ内部の実装面積を削減することができ、さらなる小型化が図れるのである。これは弾性表面波フィルタを形成する際の圧電基板上の金属薄膜の厚みが、周波数で規格化された値の８から１０％程度の特性が良いことから、圧電基板に複数の弾性表面波フィルタを形成して同一プロセスで作製できるためである。
【００３６】
図５は図４における複数周波用アンテナ共用器の回路図であり、図６は図４の複数周波用アンテナ共用器の携帯電話システムへの適用例である。
【００３７】
図６では米国ＰＣＳ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍ）を例にとっており、送信用弾性表面波フィルタの通過帯域は３３ａ，３３ｂはそれぞれ１８５０ＭHzから１８８５ＭHz、１８８５ＭHzから１９１０ＭHzであり、受信用弾性表面波フィルタの通過帯域３４ａ，３４ｂはそれぞれ１９３０ＭHzから１９６５ＭHz、１９６５ＭHzから１９９０ＭHzである。
【００３８】
図４から図６とは逆に複数のアンテナ共用器の通過周波数帯域が大きく異なる場合には、前述の圧電基板上の金属薄膜の厚みが複数のアンテナ共用器間で大きく異なるため、その最適化が困難である。そのため図７のごとく、１つのアンテナ共用器の送信用弾性表面波フィルタ１１ａと受信用弾性表面波フィルタ１２ａを同一圧電基板２０ａ上に、もう一つを圧電基板２０ｂ上に形成することでアンテナ共用器の特性を劣化することなく小型化が実現できるのである。
【００３９】
図８は図７における複数周波用アンテナ共用器の回路図であり、図９は図７の複数周波用アンテナ共用器の携帯電話システムへの適用例である。
【００４０】
図９では欧州ＧＳＭ（Ｇｌｏｂａｌ Ｓｙｓｔｅｍ ｆｏｒ Ｍｏｂｉｌｅ ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ）／ＤＣＳ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｃｅｌｌｕｌａｒ Ｓｙｓｔｅｍ）のデュアルバンドシステムを例にとっており、送信用弾性表面波フィルタの通過帯域３３ａ，３３ｂはそれぞれ８８０ＭHzから９１５ＭHz、１７１０ＭHzから１７８５ＭHzであり、受信用弾性表面波フィルタの通過帯域３４ａ，３４ｂはそれぞれ９２５ＭHzから９６０ＭHz、１８０５ＭHzから１８８０ＭHzである。
【００４１】
また、より小型な複数周波用アンテナ共用器を実現するために図１０のごとく、位相基板１３ａ，１３ｂをパッケージ１４内に内層してもよい。ここでは受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂの各々の一方の端子がパッケージ１４内の接続パット１８ｇ，１８ｈへワイヤボンディング１９ｇ，１９ｈを介して接続され、接続パット１８ｇ，１８ｈと位相線路２１ａ，２１ｂの一方の端面をそれぞれスルーホール２２ａ，２２ｃを介して接続し、接続パット１８ｅ，１８ｆと位相線路２１ａ，２１ｂの他方の端面をそれぞれスルーホール２２ｂ，２２ｄを介して接続している。
【００４２】
この構成により回路図としては図５と等しくなり、位相線路がパッケージ内に内層されるためパッケージ内部の位相基板の実装面積が削減でき、結果としてより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００４３】
なお、今回は２つの通過帯域を持つ複数周波用アンテナ共用器について実施の形態を説明したが、３つ以上の場合でも同様である。またパッケージ内への弾性表面波フィルタ、位相基板の実装形態についてはワイヤボンディングではなくフリップチップ実装を行うとさらに小型化が実現できる。
【００４４】
（実施の形態２）
図１１は本発明の第２の実施の形態の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図、図１２はその回路図である。
【００４５】
図１１における複数周波用アンテナ共用器は実施の形態１で説明した図７と同一の構成要素には同一の番号を付加している。ここでは分波器２３がパッケージ１４内に実装されており、送信用弾性表面波フィルタ１１ａの一方の端子と分波器２３の一方の端子とがそれぞれ一方のアンテナ共用器における位相基板１３ａにワイヤボンディング１９ｃ，１９ｄを介して接続され、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂの一方の端子と分波器２３の他方の端子とがそれぞれ他方のアンテナ共用器における位相基板１３ｂにワイヤボンディング１９ｅ，１９ｆを介して接続されており、図１２に示す回路図となる。
【００４６】
上記構成とすれば実施の形態１で説明したＧＳＭ／ＤＣＳのようなデュアルバンドシステムに対応し、かつアンテナ端子を１つにすることができるため、外部素子を接続することなくアンテナに接続できるため、結果として機器の小型化が実現できるのである。
【００４７】
なお、分波器２３を図１０の位相線路２１ａ，２１ｂのごとくパッケージ１４内に内層することでさらなる小型化を実現することができる。
【００４８】
また、実施の形態１及び２において、通過帯域周波数が極端に低い場合や、所望のフィルタ特性によっては弾性表面波フィルタ以外にバルク波フィルタを用いてもよい。バルク波フィルタは圧電性基板そのものが機械振動をおこして共振器を成すもので、その実装は弾性表面波フィルタと異なり、圧電性基板を中空構造にして実装しなければならないが、パッケージの形状を変更することで容易に対応できるのである。
【００４９】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器を複数に実装するとともに、各アンテナ共用器の通過帯域を全て異ならせたことを特徴とした複数周波用アンテナ共用器とすることで、複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【００５０】
また、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器とすることで、複数周波用アンテナ共用器自体の小型化が実現できると同時にアンテナ端子に対して外部に素子を付加する必要がなくなるので、結果として機器の小型化が実現できるのである。
【００５１】
さらに、上記位相基板や、分波器をパッケージ内部に内層することでパッケージ内の素子の実装面積を小さくすることができより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００５２】
また、上記送信用、受信用フィルタにおいて、通過帯域周波数や所望のフィルタ特性によってバルク波フィルタを用いることで、より性能が良く小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００５３】
以上の構成とすれば、容易に複数周波用アンテナ共用器の小型化を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態による複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図２】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図３】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図４】 本発明の第１の実施の形態による他の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図５】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図６】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図７】 本発明の第１の実施の形態による他の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図８】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図９】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図１０】 本発明の第１の実施の形態による位相基板を内層した複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１１】 本発明の第２の実施の形態による複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１２】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図１３】 従来の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１４】 従来の複数周波用アンテナ共用器をスイッチで構成した場合の回路図
【符号の説明】
１１ａ〜１１ｃ 送信用弾性表面波フィルタ
１２ａ〜１２ｃ 受信用弾性表面波フィルタ
１３ａ〜１３ｄ 位相基板
１４ パッケージ
１５ａ〜１５ｃ アンテナ端子
１６ａ，１６ｂ 送信端子
１７ａ，１７ｂ 受信端子
１８ａ〜１８ｈ 接続パット
１９ａ〜１９ｋ ボンディングワイヤ
２０ａ，２０ｂ 圧電基板
２１ａ，２１ｂ パッケージに内層された位相線路
２２ａ〜２２ｄ スルーホール
２３ 分波器
２４ 基板
２５ａ，２５ｂ 送信用同軸フィルタ
２６ａ，２６ｂ 受信用同軸フィルタ
２７ａ，２７ｂ ＳＰＤＴスイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体通信機器に用いられるアンテナ共用器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のアンテナ共用器は同軸共振器や分布定数型共振器で形成されるのが一般的であり、通過帯域幅や減衰量などの所望の電気的特性を得るために共振器の段数やその形状が決定されていた。
【０００３】
特に複数周波用アンテナ共用器としては従来のアンテナ共用器を複数用いることから図１３のごとく、送信フィルタ２５ａ，２５ｂ、受信フィルタ２６ａ，２６ｂを各々同軸共振器で構成してなる複数周波用アンテナ共用器や、スイッチ切替が可能なＴＤＭＡ（Ｔｉｍｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：時分割多重）方式のシステムについては図１４に示すように分波器２３で通過周波数を大きく分け、ＳＰＤＴ（Ｓｉｎｇｌｅ Ｐｏｌｅ Ｄｏｕｂｌｅ Ｔｈｒｏｗ）スイッチ２７ａ，２７ｂで送信受信を切り替える複数周波用アンテナ共用器が提案されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記複数周波用アンテナ共用器において問題となるのは、共振器の形状にフィルタ特性が大きく依存するため小型化が困難なことにある。特にスイッチ切替が出来ないＣＤＭＡ（Ｃｏｄｅ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ Ｍｕｌｔｉｐｌｅ Ａｃｃｅｓｓ：符号分割多重）方式については、共振器の本数が多数必要になり形状が増大することを避けることが出来ない。また例えば８００ＭHzと１．８ＧHzといった、通過帯域周波数が大きく異なる複数周波用アンテナ共用器を分布定数型共振器で構成するような場合には、分布定数型共振器に用いる基板材料等の電気的特性が周波数に依存するためその最適化が困難となる。
【０００５】
本発明は、このような複数周波用アンテナ共用器において小型化を図ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の複数周波用アンテナ共用器は周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に前記アンテナ共用器は複数に実装されるとともに、各アンテナ共用器の通過帯域は全て異なり、複数の前記送信用弾性波フィルタは同一の第１の圧電性基板に形成されると共に、複数の受信用弾性波フィルタは同一の第２の圧電性基板に形成され、各々の受信用弾性波フィルタとアンテナ端子との間に接続されると共に各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板が、前記第１の圧電性基板と前記第２の圧電性基板との間に実装されたことを特徴とするものである。
【０００７】
これにより複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【０００８】
また、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ、小型化が実現できるのである。
【０００９】
また、大きく異なる通過帯域周波数を持つ複数のアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化することが可能になるのである。
【００１０】
ここで上記複数周波用アンテナ共用器において、２つの通過帯域周波数に対応する２周波用アンテナ共用器については、各アンテナ共用器のアンテナ端子にアンテナ共用器と同一パッケージ内に実装した分波器を接続することでアンテナ出力端子を１つにすることができ、より小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００１１】
さらに上記複数周波用アンテナ共用器に用いている位相基板や分波器をパッケージ内部に形成することでより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００１２】
また、上記複数周波用アンテナ共用器において、通過帯域周波数や所望のフィルタ特性によって弾性表面波フィルタとバルク波フィルタの両方を使い分けることにより、より性能の良い複数周波用アンテナ共用器が小型に実現できるのである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に前記アンテナ共用器は複数に実装されるとともに、各アンテナ共用器の通過帯域は全て異なり、複数の前記送信用弾性波フィルタは同一の第１の圧電性基板に形成されると共に、複数の受信用弾性波フィルタは同一の第２の圧電性基板に形成され、各々の受信用弾性波フィルタとアンテナ端子との間に接続されると共に各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板が、前記第１の圧電性基板と前記第２の圧電性基板との間に実装されたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、複数周波用アンテナ共用器が小型化が実現できる作用を有する。
【００１４】
また、本発明は、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ小型化が実現できる作用を有する。
【００１５】
さらに、本発明は、大きく異なる通過帯域周波数を持つ複数のアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化が実現できる作用を有する。
【００１６】
さらにまた、本発明は、位相基板と送信用、受信用弾性波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できるのである。
【００１７】
また、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器を複数個実装するとともに、各アンテナ共用器の通過帯域を全て異ならせたことを特徴とした複数周波用アンテナ共用器であり、通過帯域周波数とフィルタ特性によって２種類のフィルタを使い分けることによって、性能を維持しつつ小型化が実現できるのである。
【００１８】
さらに、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相回路も含めた形で小型化が実現できるのである。
【００１９】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、位相基板をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相基板と送信用、受信用フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できるのである。
【００２０】
また、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、アンテナ端子に外付け部品を使用することなく接続でき、小型化できる作用を有する。
【００２１】
さらに、本発明の他の実施形態は、２つの送信用弾性表面波フィルタを形成した第１の圧電性基板と、２つの受信用弾性表面波フィルタを形成した第２の圧電性基板と、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、送信受信間の信号漏洩を押さえ、アイソレーションを確保しつつ小型化が実現できる作用を有する。
【００２２】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、２つの周波数の異なる通過帯域を有する送信用弾性表面波フィルタと受信用弾性表面波フィルタを各々１つの圧電性基板上で構成し、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、大きく異なる通過帯域周波数を持つ２つのアンテナ共用器を各々特性劣化させることなく小型化が実現できる作用を有する。
【００２３】
また、本発明の他の実施形態は、位相基板と分波器をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であり、位相基板、分波器と送信用、受信用弾性表面波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できる作用を有する。
【００２４】
さらに、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、アンテナ端子に外付け部品を使用することなく接続でき、小型化できる作用を有する。
【００２５】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つのフィルタで構成され、少なくともいずれか１つのフィルタがバルク波フィルタで、それ以外は弾性表面波フィルタで形成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、少なくとも各々の受信用弾性表面波フィルタにおいて、各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板と、分波器を同一パッケージ内に実装したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相回路も含めた形で小型化が実現できるのである。
【００２６】
また、本発明の他の実施形態は、位相基板と分波器をパッケージ内部に形成したことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器であって、位相基板、分波器と送信用、受信用弾性表面波フィルタを立体的に配置させることができ、さらなる小型化が実現できる作用を有する。
【００２７】
以下、本発明の実施の形態について、図１から図１２を用いて説明する。
【００２８】
尚、図１から図１２の中で同一の構成要素には同一の番号を付加している。
【００２９】
（実施の形態１）
図１は本発明の第１の実施の形態の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図、図２はその回路図、図３はその周波数特性である。
【００３０】
図１における複数周波用アンテナ共用器は圧電性基板上に形成された送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂと、位相基板１３ａ，１３ｂとパッケージ１４からなり、パッケージ１４の外部にはアンテナ端子１５ａ，１５ｂ、送信端子１６ａ，１６ｂ、受信端子１７ａ，１７ｂと接地端子（明記せず）を、内部には接続パット１８ａ〜１８ｆを有し、接続パット１８ａ，１８ｂはそれぞれ送信端子１６ａ，１６ｂに、接続パット１８ｃ，１８ｄはそれぞれ受信端子１７ａ，１７ｂに、接続パット１８ｅ，１８ｆはそれぞれアンテナ端子１５ａ，１５ｂにパッケージ内で接続されている。
【００３１】
また送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂ、位相基板１３ａ，１３ｂはそれぞれ２つの接続端子を有し、送信用弾性表面波フィルタ１１ａの一方の端子と接続パット１８ａがボンディングワイヤ１９ｂで、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂの一方の端子と接続パット１８ｂがボンディングワイヤ１９ａで接続され、送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂの他方の端子と接続パット１８ｅ，１８ｆがそれぞれボンディングワイヤ１９ｃ，１９ｅで接続され、受信用弾性表面波フィルタ１２ａの一方の端子と接続パット１８ｃがボンディングワイヤ１９ｉで、受信用弾性表面波フィルタ１２ｂの一方の端子と接続パット１８ｄがボンディングワイヤ１９ｊで接続され、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂの他方の端子と位相基板１３ａ，１３ｂの一方の端子がそれぞれボンディングワイヤ１９ｇ，１９ｈで接続され、位相基板１３ａ，１３ｂの他方の端子と接続パット１８ｅ，１８ｆがそれぞれボンディングワイヤ１９ｄ，１９ｆで接続されている。
【００３２】
図２は図１における複数周波用アンテナ共用器の回路図である。
【００３３】
図３は図１における複数周波用アンテナ共用器の周波数特性例であり、ここで送信用弾性表面波フィルタ１１ａ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ、位相基板１３ａで構成されるアンテナ共用器はそれぞれ通過帯域３３ａ，３４ａ、減衰帯域３５ａ，３６ａを有する通過特性３１ａ，３２ａで表され、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ｂ、位相基板１３ｂで構成されるアンテナ共用器はそれぞれ通過帯域３３ｂ，３４ｂ、減衰帯域３５ｂ，３６ｂを有する通過特性３１ｂ，３２ｂで表されるものである。
【００３４】
上記構成によれば送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂ、位相基板１３ａ，１３ｂが同一パッケージ１４内に実装できるため、複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【００３５】
また、複数のアンテナ共用器の通過周波数帯域が近い場合には、図４のごとく送信用弾性表面波フィルタ１１ａ，１１ｂを同一の圧電基板上に形成した送信用弾性表面波フィルタ１１ｃ、受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂを同一圧電基板上に形成した受信用弾性表面波フィルタ１２ｃ、複数の位相基板１３ａ，１３ｂを形成した位相基板１３ｃとすることでパッケージ内部の実装面積を削減することができ、さらなる小型化が図れるのである。これは弾性表面波フィルタを形成する際の圧電基板上の金属薄膜の厚みが、周波数で規格化された値の８から１０％程度の特性が良いことから、圧電基板に複数の弾性表面波フィルタを形成して同一プロセスで作製できるためである。
【００３６】
図５は図４における複数周波用アンテナ共用器の回路図であり、図６は図４の複数周波用アンテナ共用器の携帯電話システムへの適用例である。
【００３７】
図６では米国ＰＣＳ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍ）を例にとっており、送信用弾性表面波フィルタの通過帯域は３３ａ，３３ｂはそれぞれ１８５０ＭHzから１８８５ＭHz、１８８５ＭHzから１９１０ＭHzであり、受信用弾性表面波フィルタの通過帯域３４ａ，３４ｂはそれぞれ１９３０ＭHzから１９６５ＭHz、１９６５ＭHzから１９９０ＭHzである。
【００３８】
図４から図６とは逆に複数のアンテナ共用器の通過周波数帯域が大きく異なる場合には、前述の圧電基板上の金属薄膜の厚みが複数のアンテナ共用器間で大きく異なるため、その最適化が困難である。そのため図７のごとく、１つのアンテナ共用器の送信用弾性表面波フィルタ１１ａと受信用弾性表面波フィルタ１２ａを同一圧電基板２０ａ上に、もう一つを圧電基板２０ｂ上に形成することでアンテナ共用器の特性を劣化することなく小型化が実現できるのである。
【００３９】
図８は図７における複数周波用アンテナ共用器の回路図であり、図９は図７の複数周波用アンテナ共用器の携帯電話システムへの適用例である。
【００４０】
図９では欧州ＧＳＭ（Ｇｌｏｂａｌ Ｓｙｓｔｅｍ ｆｏｒ Ｍｏｂｉｌｅ ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ）／ＤＣＳ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｃｅｌｌｕｌａｒ Ｓｙｓｔｅｍ）のデュアルバンドシステムを例にとっており、送信用弾性表面波フィルタの通過帯域３３ａ，３３ｂはそれぞれ８８０ＭHzから９１５ＭHz、１７１０ＭHzから１７８５ＭHzであり、受信用弾性表面波フィルタの通過帯域３４ａ，３４ｂはそれぞれ９２５ＭHzから９６０ＭHz、１８０５ＭHzから１８８０ＭHzである。
【００４１】
また、より小型な複数周波用アンテナ共用器を実現するために図１０のごとく、位相基板１３ａ，１３ｂをパッケージ１４内に内層してもよい。ここでは受信用弾性表面波フィルタ１２ａ，１２ｂの各々の一方の端子がパッケージ１４内の接続パット１８ｇ，１８ｈへワイヤボンディング１９ｇ，１９ｈを介して接続され、接続パット１８ｇ，１８ｈと位相線路２１ａ，２１ｂの一方の端面をそれぞれスルーホール２２ａ，２２ｃを介して接続し、接続パット１８ｅ，１８ｆと位相線路２１ａ，２１ｂの他方の端面をそれぞれスルーホール２２ｂ，２２ｄを介して接続している。
【００４２】
この構成により回路図としては図５と等しくなり、位相線路がパッケージ内に内層されるためパッケージ内部の位相基板の実装面積が削減でき、結果としてより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００４３】
なお、今回は２つの通過帯域を持つ複数周波用アンテナ共用器について実施の形態を説明したが、３つ以上の場合でも同様である。またパッケージ内への弾性表面波フィルタ、位相基板の実装形態についてはワイヤボンディングではなくフリップチップ実装を行うとさらに小型化が実現できる。
【００４４】
（実施の形態２）
図１１は本発明の第２の実施の形態の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図、図１２はその回路図である。
【００４５】
図１１における複数周波用アンテナ共用器は実施の形態１で説明した図７と同一の構成要素には同一の番号を付加している。ここでは分波器２３がパッケージ１４内に実装されており、送信用弾性表面波フィルタ１１ａの一方の端子と分波器２３の一方の端子とがそれぞれ一方のアンテナ共用器における位相基板１３ａにワイヤボンディング１９ｃ，１９ｄを介して接続され、送信用弾性表面波フィルタ１１ｂの一方の端子と分波器２３の他方の端子とがそれぞれ他方のアンテナ共用器における位相基板１３ｂにワイヤボンディング１９ｅ，１９ｆを介して接続されており、図１２に示す回路図となる。
【００４６】
上記構成とすれば実施の形態１で説明したＧＳＭ／ＤＣＳのようなデュアルバンドシステムに対応し、かつアンテナ端子を１つにすることができるため、外部素子を接続することなくアンテナに接続できるため、結果として機器の小型化が実現できるのである。
【００４７】
なお、分波器２３を図１０の位相線路２１ａ，２１ｂのごとくパッケージ１４内に内層することでさらなる小型化を実現することができる。
【００４８】
また、実施の形態１及び２において、通過帯域周波数が極端に低い場合や、所望のフィルタ特性によっては弾性表面波フィルタ以外にバルク波フィルタを用いてもよい。バルク波フィルタは圧電性基板そのものが機械振動をおこして共振器を成すもので、その実装は弾性表面波フィルタと異なり、圧電性基板を中空構造にして実装しなければならないが、パッケージの形状を変更することで容易に対応できるのである。
【００４９】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器を複数に実装するとともに、各アンテナ共用器の通過帯域を全て異ならせたことを特徴とした複数周波用アンテナ共用器とすることで、複数周波用アンテナ共用器の小型化が実現できるのである。
【００５０】
また、周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性表面波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を２個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に上記アンテナ共用器２つと分波器を実装し、２つのアンテナ共用器において、各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器とすることで、複数周波用アンテナ共用器自体の小型化が実現できると同時にアンテナ端子に対して外部に素子を付加する必要がなくなるので、結果として機器の小型化が実現できるのである。
【００５１】
さらに、上記位相基板や、分波器をパッケージ内部に内層することでパッケージ内の素子の実装面積を小さくすることができより小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００５２】
また、上記送信用、受信用フィルタにおいて、通過帯域周波数や所望のフィルタ特性によってバルク波フィルタを用いることで、より性能が良く小型な複数周波用アンテナ共用器が実現できるのである。
【００５３】
以上の構成とすれば、容易に複数周波用アンテナ共用器の小型化を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１の実施の形態による複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図２】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図３】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図４】 本発明の第１の実施の形態による他の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図５】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図６】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図７】 本発明の第１の実施の形態による他の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図８】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図９】 同複数周波用アンテナ共用器の周波数特性図
【図１０】 本発明の第１の実施の形態による位相基板を内層した複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１１】 本発明の第２の実施の形態による複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１２】 同複数周波用アンテナ共用器の回路図
【図１３】 従来の複数周波用アンテナ共用器の構成を示す斜視図
【図１４】 従来の複数周波用アンテナ共用器をスイッチで構成した場合の回路図
【符号の説明】
１１ａ〜１１ｃ 送信用弾性表面波フィルタ
１２ａ〜１２ｃ 受信用弾性表面波フィルタ
１３ａ〜１３ｄ 位相基板
１４ パッケージ
１５ａ〜１５ｃ アンテナ端子
１６ａ，１６ｂ 送信端子
１７ａ，１７ｂ 受信端子
１８ａ〜１８ｈ 接続パット
１９ａ〜１９ｋ ボンディングワイヤ
２０ａ，２０ｂ 圧電基板
２１ａ，２１ｂ パッケージに内層された位相線路
２２ａ〜２２ｄ スルーホール
２３ 分波器
２４ 基板
２５ａ，２５ｂ 送信用同軸フィルタ
２６ａ，２６ｂ 受信用同軸フィルタ
２７ａ，２７ｂ ＳＰＤＴスイッチ
Claims (4)
- 周波数の異なる通過帯域を持つ送信用、受信用の２つの弾性波フィルタで構成され、お互い他方の通過帯域を減衰させるアンテナ共用器を複数個用いた複数周波用アンテナ共用器であって、同一パッケージ内に前記アンテナ共用器は複数に実装されるとともに、各アンテナ共用器の通過帯域は全て異なり、
複数の前記送信用弾性波フィルタは同一の第１の圧電性基板に形成されると共に、複数の前記受信用弾性波フィルタは同一の第２の圧電性基板に形成され、
各々の前記受信用弾性波フィルタとアンテナ端子との間に接続されると共に各々の送信帯域の位相を回転させる機能を有する位相基板が、前記第１の圧電性基板と前記第２の圧電性基板との間に実装されたことを特徴とする複数周波用アンテナ共用器。 - 前記送信用、受信用の弾性波フィルタのうち、一方のフィルタがバルク波フィルタで、他方は弾性表面波フィルタで形成された請求項１記載の複数周波用アンテナ共用器。
- 前記複数個のアンテナ共用器の各々のアンテナ端子を分波器を用いて接続し、パッケージのアンテナ出力端子を１つとしたことを特徴とする請求項１記載の複数周波用アンテナ共用器。
- 前記分波器をパッケージ内の基板に内層したことを特徴とする請求項３記載の複数周波用アンテナ共用器。
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