JP4522688B2 - 磁性基材および積層体とその製造方法 - Google Patents

磁性基材および積層体とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なケイ素鋼板を含む磁性基材、積層体およびその製造方法に関する。
電力をはじめとするエネルギーの節減という世界的な動向の中、電気機器についても、その高効率化が強く望まれている。また、電気機器の小型化という観点から、特に鉄心の小型化に対する要望も高まっている。
このような電気機器に用いられる電磁トランス、インダクタ、モータなど、あるいは、電力用送受電トランスのコア材料に、鉄にケイ素を含有したケイ素鋼板が広く使用されている。近年、ケイ素鋼板においては、鉄損の低減化をめざし鋼板を薄板化する傾向にある。しかしながら、鋼板の薄板化は、例えば、モ−タなどの積層体においては薄板化に伴うかしめ部位の増加による積層体強度の劣化、占積率が低下するという問題点があった。また、打抜、剪断、曲げなどの機械的な加工歪により磁気特性も劣化するので、この歪をとり、本来の性質を回復させるために歪取焼鈍が必要であった。
小型化、軽量化を図るため、ケイ素鋼板を薄くすると、鋼板の機械的強度や表面部分がもろくなることあった。このため、薄いケイ素鋼板を使用するためには、樹脂を複合化されることが望まれるが、通常、ケイ素鋼の歪み取り焼鈍、600〜800℃の高温で行われるため、ケイ素鋼板を樹脂と複合化しようとすると、焼鈍工程以後に行わなければならなかった。しかしながら、一旦焼鈍工程を経たものを使用して複合しようとすると、複合時に応力がかかり、ひずみが発生し、磁気的特性が低下してしまうことがあった。
また、焼鈍工程以後に樹脂と複合したものでは、接着性も充分ではないので打ち抜き性が不充分であり、クラックが発生したり、歩留まりが悪いなどの問題点があった。またモ−タ用の積層体においては、かしめ部位の増加による積層体強度の劣化、占積率が低下することがあった。
このような情況のもと、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の加熱条件で熱処理を施すことにより、焼鈍されたケイ素鋼板と樹脂とからなる磁性基材および積層体が得られることを見出した。なお、従来よりケイ素鋼板表面に有機樹脂層を設けることは行われてきたが、これは、絶縁性被膜であり、電磁鋼板として使用される際に除去されている。本発明では、ケイ素鋼板と耐熱性樹脂、特に熱可塑性耐熱樹脂が一体化された磁性基材により、積層体の機械的強度に優れ、歪み取り焼鈍が可能な、磁性基材および積層体とその製造方法を開発した。
本発明に係る磁性基材は、ケイ素鋼板の片面または両面の少なくとも一部分に耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体が付与されてなり、
ケイ素鋼板中に含まれるケイ素量が0.5〜7.5重量%の範囲にあり、
耐熱性樹脂および/またはその前駆体の厚さが全厚さの1/2以下であることを特徴とす
る。
前記磁性基材は、
180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分) を満たす条件で熱
処理をされてなることが好ましい;(Taは熱処理温度(℃)、tは熱処理時間(分)である)。
前記耐熱性樹脂が、熱可塑性樹脂が挙げられる。この耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリエーテルーテルケトン、ポリエ−テルサルホンが挙げられる。
本発明に係る積層体は、前記記載の磁性基材を2枚以上積層してなることを特徴としている。また本発明に係る積層体は、前記磁性基材または磁性基材の積層体を打ち抜き、これらが積層一体化されてなることを特徴としている。さらに本発明に係る積層体は、前記磁性基材または磁性基材の積層体を打ち抜き、かしめにより積層一体化されてなることを特徴としている。
前記積層体が、180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分) を
満たす条件で加熱接着および熱処理をされてなることが好ましい;(Taは熱処理温度(℃)、tは熱処理時間(分)である)。
本発明に係る磁性基材の製造方法としては、
ケイ素鋼板の片面または両面の少なくとも一部分に耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体を付与したのち、
必要に応じて得られた磁性基材を積層し、打ち抜き、
ついで、 180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分) を満た
す条件で熱処理することを特徴とする;(Taは熱処理温度(℃)、tは熱処理時間(分)である)。
前記製造方法において、加圧下において、熱処理を行うことが好ましい。
このような条件で加熱接着および熱処理をすることにより、機械的歪が緩和され、積層一体化によりコア強度が高く、占積率の高い、磁気特性の優れた積層体が得られる。また、加圧下において、熱処理を行うことによりこの効果はより向上する。
本発明では、ケイ素鋼板に耐熱性樹脂が付与された磁性基材および磁性積層体により、積層体の強度が高く、占積率の高い、また、磁気特性の優れる積層体が短時間で、量産性よく作製可能となるとともに、打ち抜き時のクラックの低減や、金型寿命の向上が得られる。
以下、本発明の磁性基材およびその製造方法についてさらに詳細に説明する。
(磁性基材)
本発明に係る磁性基基材は、ケイ素鋼板の片面または両面の少なくとも一部分に耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体が付与されている。
ケイ素鋼板
本発明に用いるケイ素鋼板は、通常、市販されている鋼板の表面に無機質の絶縁被膜が付与されているものでもよいし、ケイ素鋼板の製造工程の過程で得られる、表面に無機質の絶縁被膜が付与されないものでもよい。
ケイ素鋼板としては、含まれるケイ素量が0.5〜7.5重量%、好適には1.0〜7重量%、さらに好適には3〜6.5重量%の範囲で含まれている。
Siは、鋼の電気抵抗を増大し鉄損を改善するのに有用な元素であり、上記範囲で含まれていると、充分な鉄損改善効果を示す。またこの範囲にあれば加工性が高く冷間圧延が容易となる。
本発明で使用されるケイ素鋼板の組成は特に限定されることはなく、従来公知のものいずれもが適合する。
たとえば、好適な組成範囲を例示すると次のとおりである。
炭素(C)は、基本的に少ない方がよく0.10重量%以下の範囲にあることが望ましい。
Mnは2重量%以下の範囲にあることが望ましい。Mnは、熱間脆化を防止する効果がある
ものの、2重量%以上になると冷間圧延性の劣化を誘発する。そのため、2重量%以下にする必要がある。
また、ケイ素鋼板にはインヒビタ成分が含まれていてもよい。インヒビタ成分とは、MnSeやMnS,AlN等のいわゆる主インヒビタと呼ばれる分散析出物の形成に用いられる、SeやS,Mn,Al,N等のことである。、インヒビタ成分としては、上記したS, Se, Alの他、Cu, Sn, Sb, Mo, Te及びBi等も有利に作用するのでそれぞれ少量併せて含有させることもできる。これらの各インヒビタ成分についても、単独使用及び複合使用のいずれもが可能である。
鋼板の製造方法については、特に限定されることはなく、従来公知の製造条件で行えばよい。すなわち、含ケイ素鋼スラブを、熱間圧延した後、1回または中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を施して最終板厚とし、ついで脱炭焼鈍後、鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、2次再結晶焼鈍および純化焼鈍を施せばよい。
このようなケイ素鋼板の厚さは、目的とする用途に応じて適宜選択されるが、通常、25〜400μm程度であればよい。
また、通常、市販されているケイ素鋼板は、表面には無機系の絶縁被膜が付与されているが、本発明においては、ケイ素鋼板の表面にある無機系絶縁被膜があっても、また、なくても、本発明の耐熱樹脂を付与された磁性基材として十分に得られる。必要に応じてエッチングなどの手段によって無機系絶縁被膜を除去してもよい。
耐熱性樹脂
本発明において耐熱性樹脂とは、窒素雰囲気下300℃、2時間の熱履歴を経た際の熱分解による重量減少率が5重量%以下のものである。
さらに、以下の特性を1つ以上有していることが好ましい。
(1)窒素雰囲気下350℃、2時間の熱履歴を経た後の引っ張り強度が30MPa以上であること、
(2)ガラス転移温度が120℃〜250℃であること、
(3)融粘度が1000Pa・sである温度が、250℃以上400℃以下であること
(4)400℃から120℃まで0.5℃/分の一定速度で降温した後、樹脂中の結晶物による融解熱が10J/g以下であることを特徴とする。
このような耐熱性樹脂として、熱可塑性樹脂が使用される。
具体的な樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ケイ素含有樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、液晶ポリマー,ニトリル系樹脂,チオエ−テル系樹脂,ポリエステル系樹脂,アリレ−ト系樹脂,サルホン系樹脂,イミド系樹脂,アミドイミド系樹脂を挙げることができる。これらのうちポリイミド系樹脂、(PI),ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエ-テルサルホン(PES)を用いることが好ましい。PI、PEEK、PESは高耐熱性の
熱可塑性樹脂でかつケイ素鋼板との良好な接着性を有するので好適である。また、これらの樹脂を二種類以上複合化したものでもよい。また、これらの樹脂は前駆体であってもよい。前駆体としてはポリイミド前駆体のポリアミド酸溶液などが挙げられる。
このような耐熱性樹脂の厚さとしては、耐熱性樹脂および/またはその前駆体から形成される層の厚さが基材全厚さの1/2以下とする。この範囲の厚さであれば、基材として充
分な強度を保持できる。
また、下限としては少しでも耐熱性樹脂層が設けられていればよく、基材の前厚さの1/1000以上であればよい。
このような磁性基材は以下に示すような特定の熱処理がされたものが好ましい。
(磁性基材の製造)
本発明に係る磁性基材の製造方法は、ケイ素鋼板に耐熱性樹脂を付与した磁性材料基材が、この基材を打ち抜いた後に高温の歪取り焼鈍が可能であることを特徴としている。
ケイ素鋼板に、耐熱性樹脂(またはその前駆体)を付与する。耐熱性樹脂は、必要に応じて、溶媒に分散・または溶解させて使用することも可能である。溶媒としては、耐熱性樹脂を溶解・分散可能なものであって、低温で容易に揮散するものであれば特に制限されない。
耐熱性樹脂の付与方法としては、特に制限されるものではなく、含浸法、コーティング法、スプレー噴霧法など、公知の方法が採用される。溶媒が使用されている場合、脱溶媒処理(溶媒沸点での加熱乾燥、または減圧乾燥、風乾など)を施して行うことがよい。また耐熱性樹脂の前駆体を耐熱性樹脂に変化させてもよい。
耐熱性樹脂は、ケイ素鋼板の片面に設けられていても、また両面に設けられていてもよい。耐熱性樹脂は、ケイ素鋼板表面の全面に設けられていてもよく、また、部分的に設けられていてもよい。たとえば、スプレーで散布した場合、散在するように耐熱性樹脂を付与してもよい。部分的に設けられていても、加熱処理時の熱や加圧によって広げられるので、全面を被覆することが可能となる。
また、前駆体を反応させる際に、後述する加熱処理によって、ケイ素鋼板を焼鈍させるとともに、耐熱性樹脂を生成させてもよい。
こうして耐熱性樹脂層が形成されたケイ素鋼板を、必要な枚数積み上げて積層体を形成してもよい。さらに積層体を打ち抜いてもよく、積層体を打ち抜き、さらにかしめてもよい。さらに積層体を積み上げて新たな積層体として形成してもよい。
打ち抜きはプレス加工など、公知の手段を制限なく採用することが可能である。また、打ち抜く際にかしめ加工すれば基板・積層体をかしめることも可能となる。
また、耐熱性樹脂の前駆体を用いる場合は、耐熱性樹脂の形成と同時に積層体の形成を行うことも可能である。
加熱接着および熱処理を行う場合、本発明における加熱処理条件は、
180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分)
を満たす条件である。
この範囲であれば加熱処理によって、ケイ素鋼板同士の接着や、モータ用コアの加工歪を緩和する切断などの歪取を十分に行うことができる。さらに、歪取の熱処理後の積層体(モータコア)の強度を高く保つことができるとともに、耐熱性樹脂が変性することもない。
Ta×tの下限としては、歪取り焼鈍が可能であり、耐熱性樹脂が変性しない条件であれば特に制限されるものではないが、高温短時間である、1000℃で1分の場合のTa×t
=1000(℃・分)が下限として選ばれ。上限値は、低温長時間が望ましいが、熱処理時間は生産性を考慮すると24時間以下が望ましく、180℃で24時間の場合であり、Ta×t=260000とする。本発明では、ケイ素鋼板に耐熱性樹脂が付与された磁性基材およびこれを
用いた積層体の磁気特性と強度を両立させる場合、この範囲で加熱接着または熱処理することで十分な効果が得られる。
(熱処理方法)
熱処理方法としては、特に制限されるものではないが、高周波誘導加熱法、赤外線集光加熱法、レ−ザ加熱法、熱風加熱法、高温体接触加熱法、抵抗過熱法などが採用される。
本発明に係る製造方法では、以下のような素工程を考えることができる。本発明の磁性基材の製造は、これらの1種類またはいくつかの組み合わせにより製造される。
(1)工程A:ケイ素鋼板に耐熱性樹脂の前駆体を付与し、前駆体を反応させて所望の樹脂が形成したのち、加熱処理を行う。
(2)工程B;積層工程であり、磁性基材の樹脂を溶融させて、別の磁性基材のケイ素鋼板に融着させてもよい。いずれの状態も、ケイ素鋼板の間には耐熱性樹脂が存在しており,積層体とはこのような状態を指すものである。
(3)工程C;工程B同様に、積層工程であり、磁性基材のケイ素鋼板に付与されている樹脂同士を溶融させて融着させてより強固に一体化することができる。
工程Bと工程Cは,通常,熱プレス等により,同時に行われる。
その具体的には、以下に代表される組み合わせ方法がある。上記素工程は複数の工程を同時に行っても良く、例えば、
(i)加熱処理を行っていない磁性基材を積み重ねた後に熱融着により積層体を形成した
のち、上記加熱処理を行う方法。(工程Bと工程Cを同時に行う)
(ii)加熱処理を行った磁性基材を積み重ねた後に熱融着により積層体を形成する方法。(工程Bと工程Cを同時に行う)
(iii)耐熱性樹脂の前駆体を用い、該前駆体を、加熱処理を行っていない磁性基材を積
み重ねた後に耐熱性樹脂の形成と同時に積層体を形成したのち、加熱処理を行う方法。(工程Bと工程Cを同時に行う)
(iv)耐熱性樹脂の前駆体を用い、該前駆体を、加熱処理を行った磁性基材を積み重ねた後に耐熱性樹脂の形成と同時に積層体を形成する方法。(工程Bと工程Cを同時に行う)(v)耐熱性樹脂または耐熱性樹脂の前駆体が付与された磁性基材を積み重ねた後、加熱
処理を行うと同時に積層接着する方法。
積層体を作成する場合に、単層のものを必要な枚数積み上げて積層体を形成してもよいし、積層体を積み上げて積層体として形成してもよい。また、耐熱性樹脂の前駆体を用いる場合は、耐熱性樹脂の形成と同時に積層体の形成を行うことも可能である。
積層体は用途に応じて、適当な層数のものが用いられる。積層体の各層は、同一種類の磁性基材であってもよいし、異なる種類の磁性基材であってもよい。
(加圧熱処理方法)
本発明においては、ケイ素鋼板の片面または両面に何らかの方法で樹脂を付与した後に、加圧して磁気特性を向上させるための熱処理することが特徴である。
加圧熱処理は、通常、0.01〜500MPaの圧力下、180〜1000℃の温度で
行なわれる。処理は、1度に行ってもよいし複数回に分けて行ってもよい。複数回に分けて行う場合には、異なる条件を用いてもよい。
以上のように、本発明によれば、ケイ素鋼板と耐熱性樹脂とからなる新規な磁性基材が得られる。このような磁性基材は、積層体としての機械的強度が向上され、しかも、歪み取りの熱処理による残存応力の低減により優れた磁気特性を得ることができる。さらには、生産性に優れ、極めて短時間で、量産性よく作製可能となる。このような磁性基材および積層体は製造が容易であり、連続的に製造できるので、量産化に適しモ−タ用、トランス用などの複雑な形状に制約をうけない。
実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定的に解釈されるものではない。
(実施例1〜6、比較例1および2)
Si量約3%を含有した、板厚約150μmのケイ素鋼板に、以下に示すようにして種々の耐
熱接着樹脂の樹脂層を約3μm付与させた磁性基材(片面)からモ−タ用のステ−タ形状にプレスにより打ち抜いた磁性基材を320枚重ね、高さ約5cm、直径10cmのステ−タ積層体を作製し、JIS C0041に準拠した耐衝撃試験を行った。ステ−タ積層体は、加熱接着、かしめ+加熱接着、そして従来のかしめ法により固定し積層一体化したものを用いた。
実施例1、2および4の積層体は、ケイ素鋼板にポリアミック酸のワニス(樹脂分18%)をグラビアコ−タでコ−テング、実施例3はスプレ−コ−ト後(部分的な霧状)熱風乾燥して平均厚さ3μmになるように磁性基材を形成し、汎用のプレス加工により、ステ−タ形状に打ち抜き積層した。
実施例2、3は抜きかしめ加工して、かしめた。
実施例1〜4では、得られた積層体を、270℃で10分加熱し積層体を固定化接着し、続
けて、打ち抜き加工歪みを緩和するため、350℃で4時間熱処理した。
なお、実施例4に用いたケイ素鋼板は、表面の無機質層をエッチングにより取り除いた
ものを使用した。
実施例5はDMAcの溶剤に溶解させたワニス(PES重量30%)をケイ素鋼板の表面に塗布し熱風乾燥させて形成し、280℃で30分加熱し積層体を固定化接着し実施例2と同
様の方法で積層体を作製し、これを350℃で4時間熱処理した。
実施例6の液晶ポリマ−は溶融させた樹脂をケイ素鋼板の表面に付与した後、実施例2と同様の方法で積層体を作製しこれを350℃で4時間熱処理した。
比較例1および2は、低粘度のエポキシ、アクリル接着材を、ケイ素鋼板の表面に付与し熱風乾燥させて樹脂層を形成した。得られた磁性基材を実施例2、3と同様にして抜きかしめ加工してかしめ、350℃、4時間で歪み取りの熱処理を行った。
比較例3は、ケイ素鋼板をそのまま積層し、接着のための熱処理を行うことなく、実施例2、3と同様にして抜きかしめ加工してかしめ、350℃、4時間で歪み取りの熱処理を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0004522688
表1より明らかなように、比較例3の従来のかしめでは、積層端面に一部剥離が見られるが、本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリエーテルサルホン、溶融型液晶ポリマーの積層体では試験前と同様に積層体に劣化は認められなかった。また、エポキシ、アクリルなどの耐熱性の低い樹脂を付与した磁性基材を用いたステ−タ形状の積層体では、350℃、4時間程度の歪みとりの熱処理において、樹脂の劣化が生じてしまい、積層体の強度は、かしめ法のみと変わらない結果となった。
(実施例7、比較例4) 積層体の歪み取り熱処理の効果
実施例7では、ケイ素鋼板にポリアミック酸のワニス(樹脂分18%)をグラビアコ−タでコ−テング、平均厚さ3μmになるように熱可塑性ポリイミド樹脂を形成した磁性基材から汎用のプレス機で、リング状(外形28mm、内径20mm)に打ち抜いたものを7枚積
層し、これを、270℃、30分で積層一体化したトロイダル状の積層体を作製した。
比較例4は、ポリアミック酸ワニスの代わりにアクリル樹脂ワニスを用いて、同様にしてトロイダル状の積層体を作製した。
得られた積層体について磁気特性の評価および形状(目視)について調べた。磁気特性は、鉄損値を交流BHアナライザ−(岩通電子製)を用いて、周波数f=1kHz、最大
磁束密度Bm=1.0T(磁束sin波)の条件で求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0004522688
表2に示されるように、熱可塑性ポリイミドを付与した積層体では、400℃においても形状寸法はほとんど変形がなく、磁気特性の歪み取り効果(15%程度低減)が得られた。一方、比較例にみるアクリル樹脂の積層体では、300℃で外形寸法および高さの寸法が約0.7%変形した。400℃では、端面より炭化物が発生し、磁気特性は大幅(22%程度)劣化し
、寸法は3%以上(高さ)変形した。

Claims (10)

  1. ケイ素鋼板の片面または両面の少なくとも一部分に耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体が付与されてなり、
    ケイ素鋼板中に含まれるケイ素量が0.5〜7.5重量%の範囲にあり、
    (i)耐熱性樹脂が、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ−テルサルホン、液晶ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、
    (ii)耐熱性樹脂および/またはその前駆体の厚さが全厚さの1/2以下であり、
    (iii)180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分) を満たす条件で熱処理をされてなることを特徴とする磁性基材;
    (Taは熱処理温度(℃)、tは熱処理時間(分)である)。
  2. 請求項1に記載の磁性基材を2枚以上積層してなることを特徴とする磁性基材の積層体。
  3. 請求項1に記載の磁性基材または磁性基材の積層体を打ち抜き、これらが積層一体化されてなることを特徴とする積層体。
  4. 請求項1に記載の磁性基材または磁性基材の積層体を打ち抜き、かしめにより積層一体化されてなることを特徴とする積層体。
  5. ケイ素含量が0.5〜7.5重量%のケイ素鋼板の片面または両面の少なくとも一部分に、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ−テルサルホン、液晶ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体を厚さが全厚さの1/2以下で付与したのち、
    ついで、 180℃≦Ta≦1000℃、かつ、1000≦Ta×t≦260000(℃・分) を満たす条件で熱処理することを特徴とする磁性基材の製造方法;(Taは熱処理温度(℃)、tは熱処理時間(分)である)。
  6. 加熱処理を、270〜400℃の範囲で行うことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 加圧下において、熱処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の磁性基材の製造方法。
  8. 加圧処理を、0.01〜500MPaの圧力下で行うことを特徴する請求項7に記載の製造方法。
  9. 耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体が付与されたケイ素鋼板を積層したのち、打ち抜き、熱処理することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の磁性基材の製造方法。
  10. 耐熱性樹脂および/または耐熱性樹脂の前駆体付与されたケイ素鋼板を積層し、打ち抜き、かしめたのち熱処理することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の磁性基材の製造方法。
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