JP4520775B2 - 非隠蔽性塗料の色合わせ方法、塗装物の製造方法、非隠蔽性塗料の色合わせ装置、塗装物製造装置、及びそのプログラム - Google Patents

非隠蔽性塗料の色合わせ方法、塗装物の製造方法、非隠蔽性塗料の色合わせ装置、塗装物製造装置、及びそのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料を下地材に塗布した状態で、色見本とほぼ同じ色となるように、非隠蔽性塗料における透明被膜成分と各基本色材色の配合比を決定する装非隠蔽性塗料の色合わせ方法、塗装物の製造方法、色合わせ装置、塗装物製造装置、及びそのコンピュータプログラムに関する。
従来より、下地材を隠蔽するエナメル系塗料について、所望の色の着色塗料を配合するための色材の配合比を求める場合、クベルカムンクの式による光学濃度(K/S)を用いるコンピュータカラーマッチング(以下、CCMという)により、色材の配合比を求めることで、十分な精度の色合わせが可能となっている。
たとえば、特許文献1では、色見本の色に対し、予め記憶してある色の中から色差の小さな色を検索し、この色をさらに修正(補正)することによって、色見本により近い色を呈する色材について、その中の基本色の色材の配合率を得るものが記載されている。
特公平5−27813号公報
しかしながら、たとえば下地材として木質材を用いる場合には、下地が透けて見える非隠蔽性の塗料を用いることが多い。この場合には、塗装物の色には、下地材(たとえば木質材)の持つ素材色の影響が含まれているため、上述のような隠蔽性塗料についてのCCMを適用しても、見本物の色(目標とする色)によっては、基本色材の配合比が算出できなかったり、算出できても適切な色合わせとならない場合があるなど、適切な色材の配合比が得られないことがある。
また、クベルカムンクの式を用いるカラーマッチングでは、基本色材の光学濃度を用いるものであり、その性質上、非隠蔽性塗料に適用する場合には、非隠蔽塗料に配合される基本色材の合計割合(合計配合比)を固定して、基本色材の配合比を調整することとなる。つまり、色見本に或る程度近似した色の塗料の配合比が得られた場合に、さらに、色を近づけるに当たって、この手法では、塗料における基本色材の合計配合比を固定し、各基本色材の配合比を調整するしかなかった。
これに対し、発明者は、色見本に或る程度近似した色の塗料が得られた場合には、塗料にさらに透明皮膜成分を加えて色を薄くするなど、得られた塗料における基本色材の合計配合比を変化させることで、容易に色合わせができる場合があることを見いだした。
さらに、非隠蔽性塗料を塗布した塗装物においては、この塗装物の明度L*と、下地材に非隠蔽性塗料から基本色材を除いた無色透明の塗料(基本色材を含まず透明皮膜成分のみを含む塗料)を塗布して製作した塗装物の明度L*0と、用いた非隠蔽性塗料における合計配合比Dとの間に、一定の関係が存在することを見いだした。
本発明は、かかる問題点及び知見に鑑みてなされたものであって、透明被膜成分と各基本色材の少なくともいずれかとからなる非隠蔽性塗料について、透明被膜成分と各基本色材の適切な配合比を算出あるいは指示できる色合わせ方法、塗装物の製造方法、色合わせ装置、、塗装物製造装置、及びコンピュータを色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラムを提供することを目的とする。
その解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色塗装物の近似色塗装物データであって、この近似色塗装物に塗布した非隠蔽性の近似色塗料の透明被膜成分と各基本色材の配合比を含む近似色塗装物データを取得する近似色データ取得ステップと、上記明度L*0及びL*STと上記近似色塗装物データから得た上記近似色塗装物の明度L*と上記近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ方法である。
本発明の色合わせ方法では、各ステップで得た下地材の種類に対応して与えられる明度L*0(以下、下地材の明度L*0ともいう。)及び、色見本に関する明度L*ST(以下、見本の明度L*STともいう。)、近似色塗装物データから得た近似色塗装物の明度L*、及び近似色塗装物に塗布した近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
かくして、この方法により、従来とは異なり、参照した近似色塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、しかも、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
なお、推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップにおいて用いる近似色塗装物の明度L*としては、近似色塗装物データに含まれる色データ中の明度の値、あるいはこの色データから算出した明度の値を採用することができる。あるいは、近似色塗装物データを用いて実際に実測用の近似色塗料を作成し、これを下地材に塗布して実測用の近似色塗装物を作成し、このものについて、明度L*を実測しても良い。
また、下地材明度取得ステップでは、下地材の明度L*0を取得する。具体的には、例えば、予め下地材の種類毎に記憶されていた下地材の明度L*0の中から、指定された下地材の種類に対応する下地材の明度L*0を選択するものが挙げられる。また、下地材の明度L*0を実測することもできる。具体的には、各基本色材を含まずベース(透明皮膜成分)を含む無色透明の塗料を指定された下地材に塗布して、下地材の明度実測用の近似色塗装物を別途作成し、これを用いて下地材の明度L*0を実測することができる。
その他、所望する塗装物が、非隠蔽性塗料を塗布した後にさらに無色透明のクリア塗料を1または複数回塗布して完成させる塗装物である場合には、下地材に非隠蔽性塗料を塗布せずに、クリア塗料を所定回塗布して下地材の明度実測用の塗装物を製作し、この明度を計測して下地材の明度としても良い。
さらに、この場合には、L*実測用の近似色塗装物の一部に、非隠蔽性塗料の未塗布部分を形成しておき、その後、この未塗布部分を含む全体にクリア塗料を所定回塗布して近似色塗装物を製作し、この実測用の近似色塗装物の明度L*を実測するのと相前後して、このうちの非隠蔽性塗料未塗布部分の明度を実測し、これを下地材の明度L*0としても良い。
下地材の明度L*0として予め記憶しておいたデータ上の値を用いるのか実測した値を用いるかは、予め下地材の種類を指定して記憶させておく下地材の明度L*0に対し、実際に用いる下地材の明度L*0のバラツキの大きさを勘案して決めると良い。
また、本明細書における色合わせ方法としては、透明被膜成分と各基本色材の適切な配合比(推薦配合比)を算出あるいは指示できればよく、たとえば、透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を作業者等に提示できればよい。また、さらに別途用意したディスペンサ等に、得られた推薦配合比に従って透明被膜成分及び各基本色材の吐出量を指示するデータを出力することまで含めることもできる。さらには、ディスペンサを用い、算出された推薦配合比に従って、ディスペンサから透明被膜成分及び各基本色材を吐出させ、混合して調色を行った塗料を製造することをも含めることもできる。
また、下地材とは、非隠蔽性塗料が塗布される下地となる物を指し、たとえば、木質板などの木質材、金属材、プラスチック材、紙材その他が挙げられる。
下地材の種類としては、木質材、金属材、プラスチック材、紙材というような材質を区別する種類が挙げられる。また、例えば、木質材で言えば、ぶな、かば、ならなどの木質材(突き板)の材質の違いが挙げられる。木質材によっては、例えば、明るいなら、暗いならというように、同じ材質の木質材でも、色調が異なる場合があり、このような場合には、この差異の区別も種類に含めることができる。また、材質によっては、仕上げの程度の違いなどの区別による種類が挙げられる。
透明被膜成分とは、透明な被膜を形成しうる成分であり、たとえば透明な樹脂や単量体などが挙げられる。
基本色材とは、塗料に含有させる有色成分であり、たとえば、白、黒、赤、黄などを呈する顔料ペースト等が挙げられる。
また、見本色データを取得する見本色データ取得ステップとしては、分光光度計などによって、直接、色見本とする見本物の分光反射率を計測するほか、計測した見本色データをインターフェースを通じて取得する手法が挙げられる。このほか、別途、作成あるいは測定しておいた分光反射率データ、CIELAB等のデータを、インターネットなどの通信や、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて見本色データとして取得しても良い。
なお、見本物を用いて見本色データを得る場合、見本物としては、色見本とするもので有ればいずれのものでも良い。たとえば、本発明の色合わせ装置によって同色の塗装物を再現しようとする現品など、下地材に未知または既知の非隠蔽の塗料を塗布してなる見本塗装物が挙げられる。
また、近似色データ取得ステップとしては、例えば、近似色塗装物データとして、複数のサンプル塗装物データの中から見本に近い色の近似色サンプル塗装物データを選択する方法や、既知の配合を有する塗料とこれを塗布した見本に近い色を呈する出発塗装物のデータを取得する方法が挙げられる。
また、近似色塗装物データとしては、近似色塗装物の色を表すことができるデータであり、明度L*などそのCIELAB(L*,a*,b*)を含むか、これを得ることができるデータで、このデータと見本色データとを用いて、色差の算出や光学濃度の比較などが可能で、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、サンプル塗装物や出発塗装物のCIELAB(L*,a*,b*)のほか、分光反射率、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データとしても、色見本の色を表すことができるデータであり、明度L*STなどそのCIELAB(L*,a*,b*)を含むか、これを得ることができるデータで有ればよい。たとえば、色見本のCIELAB(L*,a*,b*)、分光反射率、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また請求項2に記載の解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、上記下地材に予め非隠蔽のサンプル塗料を塗布したサンプル塗装物に関するサンプル塗装物データであって、塗布したサンプル塗料における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データ及びこのサンプル塗装物の色データを有する複数のサンプル塗装物データの中から、上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択するサンプル選択ステップと、上記明度L*0及びL*STと上記近似色サンプル塗装物データから得た上記近似色サンプル塗装物の明度L*と近似色サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ方法である。
本発明の色合わせ方法では、各ステップで得た下地材に関する明度L*0及び、見本に関する明度L*ST、近似色サンプル塗装物データから得た近似色サンプル塗装物の明度L*、及び近似色サンプル塗装物に塗布した近似色サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
かくして、この方法により、従来とは異なり、参照した近似色サンプル塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、しかも、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
なお、推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップにおいて用いる近似色サンプル塗装物の明度L*としては、サンプル塗装物データに含まれる色データ中の明度の値、あるいはこの色データから算出した明度の値を採用することができる。あるいは、近似色サンプル塗装物データを用いて実際に実測用の近似色サンプル塗料を作成し、これを下地材に塗布して実測用の近似色サンプル塗装物を作成し、このものについて、明度L*を実測しても良い。
また、下地材明度取得ステップでは、下地材の明度L*0を取得する。具体的には、予め下地の種類毎に記憶されていた下地材の明度L*0の中から、指定された下地材の種類に応じて下地材の明度L*0を選択するものが挙げられる。また、下地材の明度を実測することもできる。非隠蔽性塗料から各基本色材を除いたベース(透明皮膜成分)からなる無色透明の塗料、つまり、基本色材を含まず透明皮膜成分を含む塗料を下地材に塗布し、下地材の明度実測用のサンプル塗装物を別途作成し、これを用いて下地材の明度L*0を実測することができる。
その他、塗装物が、非隠蔽性塗料を塗布した後にさらに無色透明のクリア塗料を1または複数回塗布して完成させる塗装物である場合には、下地材に非隠蔽性塗料を塗布せずに、クリア塗料を所定回塗布して下地材の明度実測用のサンプル塗装物を製作し、この明度を計測して下地材の明度としても良い。さらに、この場合には、実測用の近似色サンプル塗装物の一部に、非隠蔽性塗料の未塗布部分を形成しておき、その後、この未塗布部分を含む全体にクリア塗料を所定回塗布して近似色サンプル塗装物を製作し、この実測用の近似色サンプル塗装物の明度L*を実測するのと相前後して、このうちの非隠蔽性塗料未塗布部分の明度を実測し、これを下地材の明度L*0としても良い。
下地材の明度L*0として予め記憶したデータ上の値を用いるのか実測した値を用いるかは、予め下地材の種類を指定して記憶させておく下地材の明度L*0に対し、実測した下地材の明度L*0のバラツキの大きさを勘案して決めると良い。
また、サンプル塗装物の色データとしては、サンプル塗装物の色を表すことができるデータであり、その明度L*を含むか、これを得ることができるデータで、このデータと見本色データとを用いて、色差の算出や光学濃度の比較などが可能で、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、サンプル塗装物の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データとしては、その明度L*STを含み、この見本色データと、サンプル塗装物の色データとを用いて、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、色見本の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データを取得する見本色データ取得ステップとしては、分光光度計などによって、直接、色見本とする見本物の分光反射率を計測するほか、計測した見本色データをインターフェースを通じて取得する手法が挙げられる。このほか、別途、作成あるいは測定しておいた分光反射率データ、CIELAB等のデータを、インターネットなどの通信や、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて見本色データとして取得しても良い。
なお、見本物を用いて見本色データを得る場合、見本物としては、色見本とするもので有ればいずれでも良い。たとえば、本発明の色合わせ装置によって同色の塗装物を再現しようとする現品など、下地材に未知または既知の非隠蔽の塗料を塗布してなる見本塗装物が挙げられる。
また、本発明の色合わせ方法において、サンプル選択ステップは、CIELAB(L*,a*,b*)を用いて、前記見本色データと近似色サンプル塗装物データ中の色データとの色差(△E=√(△L*2+△a*2+△b*2))を算出し、この色差が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データを選択する最小色差サンプル選択ステップである非隠蔽性塗料の色合わせ方法とするのが好ましい。このようにすると、色差(△E)を用いることで、容易に近似色サンプル塗装物データの選択ができるようになる。
さらに、上述の色合わせ方法において、サンプル選択ステップは、前記色差が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データが複数存在するときは、彩度差△C(=√(△a*2+△b*2)が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データを選択する最小彩度差サンプル選択ステップを含む非隠蔽性塗料の色合わせ方法とするのが好ましい。木質材などの下地材に非隠蔽性塗料を塗布した塗装物においては、同じ色差(△E)であっても、明度の差異△L*が小さい場合よりも、a*−b*平面における彩度差△Cの小さい方が、色が似通って見える傾向にあり、このようにすることで、より適切な近似色サンプル塗装物データの選択ができるようになる。
また、請求項3に記載の解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データが既知で非隠蔽性の既知配合塗料であって、この既知配合塗料を上記下地材に塗布した出発塗装物が上記色見本と近似した色を呈する既知配合塗料について、上記配合比データを取得する既知塗料データ取得ステップと、上記下地材に上記既知配合塗料を塗布した出発塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含む出発塗装物データを取得する出発塗装物データ取得ステップと、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、上記明度L*0及びL*STと上記出発塗装物の明度L*と上記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ方法である。
本発明の色合わせ方法では、各ステップで得た下地材の明度L*0及び、見本の明度L*ST、出発塗装物に関する明度L*、及び出発塗装物に塗布した既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
かくして、この方法により、従来とは異なり、参照した既知配合塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、しかも、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
また、この色合わせ方法では、配合が既知の塗料(既知配合塗料)を用いた出発塗装物の色データ(明度L*)を用いるので、別途、サンプル塗装物のデータを記憶しておくサンプル塗装物データベースが不要であり、この中から近似色サンプル塗装物のデータを選択するサンプル選択ステップも不要であるので、処理が簡単である。
なお、推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップにおいて用いる出発塗装物の明度L*としては、既知配合塗料を下地材に塗布した出発塗装物について、直接、明度L*を実測することができるほか、出発塗装物の測色データを取得し、これから明度L*を算出しても良い。
また、出発塗装物の色データとしては、出発塗装物の色を表すことができるデータであり、その明度L*を含むか、これを得ることができるデータで、このデータと見本色データとを用いて、色差の算出や光学濃度の比較などが可能で、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、出発塗装物の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データとしては、その明度L*STを含み、この見本色データと、サンプル塗装物の色データとを用いて、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、色見本の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データを取得する見本色データ取得ステップとしては、分光光度計などによって、直接、色見本とする見本物の分光反射率を計測するほか、計測した見本色データをインターフェースを通じて取得する手法が挙げられる。このほか、別途、作成あるいは測定しておいた分光反射率データ、CIELAB等のデータを、インターネットなどの通信や、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて見本色データとして取得しても良い。
なお、見本物を用いて見本色データを得る場合、見本物としては、色見本とするもので有ればいずれでも良い。たとえば、本発明の色合わせ装置によって同色の塗装物を再現しようとする現品など、下地材に未知または既知の非隠蔽の塗料を塗布してなる見本塗装物が挙げられる。
さらに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップは、前記明度L*、L*0、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定ステップと、前記明度L*ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、推薦塗料の合計配合比DREを下記式(1)に従って決定する合計配合比決定ステップと、を含む
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(1)
非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
発明者は、様々な色の非隠蔽性塗料について、基本色材同士の配合割合を一定としつつ、塗料に対する基本色材の合計配合比を変化させた非隠蔽性塗料について調査した結果、下地材の明度L*0及び塗布後の塗装物の明度L*と、塗布した塗料における合計配合比Dとの間に、一般的に、式(2):L*0−L*ST=K・Dnの関係が成立することを発見した。なお、K、nは定数であり、指数nは、一般にn=0.4となる場合が多く、指数nを仮にn=0.4としてKを算出した場合に、Kが小さくなる塗料では、nを大きくすると上記式(2)の関係が維持されることも発見した。具体的には、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、K≧30となるような色(つまり各基本色材の配合割合)を持つ塗料では、n=0.4としておけば良い。一方、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、20≦K<30となる色を持つ塗料では、n=0.6としてKを式(2)を用いて再計算すると良いことが判った。また、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、0<K<20となる色を持つ塗料では、n=0.8としてKを式(2)を用いて再計算すると良いことが判った。
この知見より、下地材の明度L*0と、色見本に近似した色を有する近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物などの基礎塗装物の明度L*と、その基礎塗装物に用いた基礎塗料(近似色塗料、近似色サンプル塗料、または既知配合塗料)における合計配合比Dと、が判れば、定数K、指数nを決定することができることが判る。さらに、目標となるべき見本の明度L*STが判れば、基礎塗装物の明度L*を、見本の明度L*STに等しくするには、基礎塗料における合計配合比Dを幾つに修正すればよいか、すなわち、推薦塗料の合計配合比DREを幾つとすればよいかが判る。このようにして得た推薦塗料は、基礎塗料と同じ基本色材同士の配合割合である一方、この基礎塗料とは異なる各基本色材の合計配合比を持つ(つまり色の薄さが異なる)ものとなっている。従って、この推薦塗料を塗布した塗装物は、基本となった基礎塗装物が、色見本(見本物)の色に近似した色を有しており、さらに、その明度を見本の明度L*STにほぼ等しい明度に近づけたものであるから、色見本とよくカラーマッチングした塗装物とすることができる。かくして、この色合わせ方法によれば、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
さらに、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記見本色データと前記近似色塗装物、前記近似色サンプル塗装物または前記出発塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する初期差異判断ステップを備え、上記初期差異判断ステップにおいて、色に関する差異が所定範囲内でないと判断された場合には、前記推薦配合比算出ステップに進み、色に関する差異が所定範囲内であると判断された場合には、上記近似色塗料、前記近似色サンプル塗料または前記既知配合塗料における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比を、前記推薦塗料の推薦配合比とする非隠蔽性塗料の色合わせ方法とするのが好ましい。
この色合わせ方法では、初期差異判断ステップで、見本色データと、当初に選択した近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物の色データとを比較する。ここで、色に関する差異が小さくない(所定範囲外の)場合には、推薦配合比算出ステップに進んで推薦配合比を得る。
一方、色に関する差異が十分小さく所定範囲内である場合には、そのまま、近似色塗料、近似色サンプル塗料または既知配合塗料における配合比を推薦配合比とする。これにより、たまたま近似色塗装物や近似色サンプル塗装物、出発塗装物が見本色と近い色の場合には、直ちに、推薦配合比を得ることができる。
なお、見本色と近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物との、色に関する差異としては、2つの対比される色の差異を示す各種パラメータで評価することができ、例えば、色差(△E)、彩度差(△C)、明度差(△L)などを用いる場合が挙げられる。
さらに、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法によって前記透明被膜成分及び各基本色材の前記推薦配合比を得る第1色合わせステップと、上記推薦配合比に従って前記推薦塗料を調合する試作調合ステップと、前記下地材に、上記推薦塗料を塗布して、試験塗装物を作製する試験塗装ステップと、上記試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得する試作色データ取得ステップと、前記見本色データと上記試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する差異判断ステップと、を備え、上記差異判断ステップにおいて、上記色に関する差異が所定範囲内でないと判断した場合には、前記推薦配合比算出ステップに戻り、前記明度L*に代えて、上記明度L*TRを用い、前記近似色塗料、前記近似色サンプル塗料、または上記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dに代えて、上記推薦塗料における各基本色材の合計配合比DREを用い、前記近似色塗装物データ、前記近似色サンプル塗装物データ、または前記出発塗装物データと前記既知配合塗料の配合比とに代えて、上記試験塗装物の色データ及び上記推薦塗料にかかる推薦配合比を用いて、再度新たに、推薦塗料の推薦配合比を算出し、色に関する差異が所定範囲内であると判断した場合には色合わせを終了する非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法では、推薦配合比を得た後、これに従って推薦塗料を調合し、これを下地材に塗装して試験塗装物を作製する。更に、試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得し、見本色データと試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異を判断する。この差異が所定範囲内でない場合には、明度L*に代えてL*TRを、合計配合比Dに代えてDREを用い、推薦塗料の推薦配合比を用いて、再度新たに推薦塗料の推薦配合比を算出する。一方、差異が小さく所定範囲内の場合には、色合わせを終了する。
このように、一旦算出した推薦配合比に従って、実際に推薦塗料を調合し、試験塗装物を作製し、その色と見本色データとを比較し、差異が大きい場合には再度、推薦配合比を得る。これにより、適切な色を呈する推薦塗料の推薦配合比を適切に得ることができる。
さらに、請求項5に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法を用いて、前記色に関する差異が所定範囲内であると判断された前記推薦塗料にかかる前記透明被膜成分及び各基本色材の前記推薦配合比を得る色合わせ遂行ステップと、前記下地材に、上記推薦配合比に従って調合された非隠蔽性の推薦塗料を塗布する塗装ステップと、を備える塗装物の製造方法とすると良い。
本発明の塗装物の製造方法では、前述のようにして、推薦塗料の推薦配合比を得、この推薦配合比に従って調合された推薦塗料を下地材に塗装する。従って、適切に色合わせされた塗装物を製造することができる。
また請求項7に記載の他の解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色塗装物の近似色塗装物データであって、この近似色塗装物に塗布した近似色塗料の透明被膜成分と各基本色材の配合比を含む近似色塗装物データを取得する近似色データ取得手段と、上記明度L*0及びL*STと上記近似色塗装物データから得た上記近似色塗装物の明度L*と近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ装置である。
本発明の色合わせ装置では、下地材明度取得手段で得た下地材の明度L*0と、見本色データ取得手段で得た見本の明度L*STと、近似色塗装物の明度L*と、近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、推薦配合比算出手段において、近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
このため、この色合わせ装置では、従来とは異なり、参照した近似色塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、かつ、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
また、本明細書における色合わせ装置としては、透明被膜成分と各基本色材の適切な配合比(推薦配合比)を算出あるいは指示できる装置で有ればよく、たとえば、透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比をディスプレイやプリンタなどを通じて作業者等に提示する装置が含まれる。またさらに、別途用意したディスペンサ等に、算出した推薦配合比に従って、透明被膜成分及び各基本色材の吐出量を指示するデータを出力することまで行う装置を含む。さらには、ディスペンサを含み、算出された推薦配合比に従って、ディスペンサから透明被膜成分及び各基本色材を吐出させ、混合して調色を行った塗料を製造する装置をも含む。
なお、本発明において、近似色データ取得手段としては、予め蓄えていた複数のサンプル塗装物データの中から見本に近い色の近似色サンプル塗装物データを選択する手段や、見本に近い色を呈する出発塗装物及びこれに塗布した既知の配合を有する塗料のデータを取得する手段が挙げられる。
請求項8に記載の他の解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる均一な非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、下地材に予め非隠蔽のサンプル塗料を塗布したサンプル塗装物に関するサンプル塗装物データであって、塗布したサンプル塗料における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データ、及びこのサンプル塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含むサンプル塗装物データを格納したサンプル塗装物データベースと、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、上記サンプル塗装物データベース中のサンプル塗装物データから、上記見本色データで表される色に最も近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択するサンプル選択手段と、上記明度L*0及びL*STと上記近似色サンプル塗装物データから得た上記近似色サンプル塗装物の明度L*と上記サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DRE が異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ装置である。
本発明の色合わせ装置では、下地材明度取得手段で得た下地材の明度L*0と、見本色データ取得手段で得た見本の明度L*STと、近似色サンプル塗装物データから得た近似色サンプル塗装物の明度L*と、近似色サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、推薦配合比算出手段において、近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
このため、この色合わせ装置では、従来とは異なり、参照した近似色サンプル塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、かつ、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
なお、本発明の色合わせ装置において、サンプル選択手段は、CIELAB(L*,a*,b*)を用いて、前記見本色データと近似色サンプル塗装物データ中の色データとの色差(△E=√(△L*2+△a*2+△b*2))を算出し、この色差が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データを選択する非隠蔽性塗料の色合わせ装置とするのが好ましい。このようにすると、色差(△E)を用いることで、容易に近似色サンプル塗装物データの選択ができるようになる。
さらに、上述の色合わせ装置において、サンプル選択手段は、前記色差が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データが複数存在するときは、彩度差△C(=√(△a*2+△b*2)が最小となる色データを有する近似色サンプル塗装物データを選択する非隠蔽性塗料の色合わせ装置とするのが好ましい。木質材などの下地材に非隠蔽性塗料を塗布した塗装物においては、同じ色差(△E)であっても、明度の差異△L*が小さい場合よりも、a*−b*平面における彩度差△C(=√(△a*2+△b*2)が小さい方が、色が似通って見える傾向にあり、このようにすることで、より適切な近似色サンプル塗装物データの選択ができるようになる。
また、請求項8に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記サンプル塗装物データベースに格納されたサンプル塗装物データは、それぞれ下地材の種類を示す種類データを含み、上記下地材の種類を指定する下地材種類指定手段を有し、前記サンプル選択手段は、上記サンプル塗装物データベースから、指定された下地材の種類データを含み、見本色データで表される色に最も近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択する非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置によれば、サンプル塗装物データは、それぞれ下地材の種類を示す種類データを含み、サンプル選択手段では、下地材種類指定手段で指定された下地材の種類を含むサンプル塗装物データの中から最も近似した色の近似色サンプル塗装物データを選択する。このため、本発明の色合わせ装置では、その下地材の種類に応じて、適切に色合わせができる。
なお、前述したように、下地材の種類としては、木質材、金属材、プラスチック材、紙材などの別、さらには、たとえば、木質材であれば、木質材の表面材(突板)の種類として、なら、かば、ぶな等の別が挙げられる。さらに詳細に、明るいなら、暗いなら、普通のならというように、同じ材質でも明度の違いによってさらに細かく種類分けをすることもできる。また本発明の色合わせ装置では、下地材に塗布する非隠蔽性塗料に関するものであることから、塗装物の色調は、下地材の表面の色調、仕上げ等の影響を受ける。従って、塗装物の色調に影響を及ぼす限りにおいて、下地材自身の材質のみならず、下地材の表面の色調、仕上げ、あるいは下地材表面にすでに塗布した塗料などに応じた種類分けが必要となる場合もある。
また、下地材種類指定手段は、サンプル塗装物データベースから、指定された種類の下地材に関するサンプル塗装物データの中から近似色サンプル塗装物データを選択するため、下地材の種類を特定できるようにする手段で有ればよい。従って、たとえば、キーボードから下地材の種類を入力したり、表示画面上でマウスなどのポインティングデバイスで複数表示された下地材の種類から適切なものを選択して指示することもできる。また、外部から通信によって下地材の種類を指定可能とすることもできる。
請求項10に記載の他の解決手段は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データが既知で非隠蔽性の既知配合塗料であって、この既知配合塗料を上記下地材に塗布した出発塗装物が上記色見本と近似した色を呈する既知配合塗料について、上記配合比データを取得する既知塗料データ取得手段と、上記下地材に上記既知配合塗料を塗布した出発塗装物に関し、この出発塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含む出発塗装物データを取得する出発塗装物データ取得手段と、上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、上記明度L*0及びL*STと上記出発塗装物の明度L*と既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ装置である。
本発明の色合わせ装置では、下地材明度取得手段で得た下地材の明度L*0と、見本色データ取得手段で得た見本の明度L*STと、出発塗装物の明度L*と、既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、推薦配合比算出手段において、既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる推薦塗料の推薦配合比を得る。
このため、この色合わせ装置では、従来とは異なり、参照した既知配合塗料とは各基本色材の合計配合比DREを異ならせ、かつ、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
また、この色合わせ装置では、配合が既知の塗料(既知配合塗料)を用いた出発塗装物の色データ(明度L*)を用いるので、別途、サンプル塗装物のデータを記憶しておくサンプル塗装物データベースが不要であり、この中から近似色サンプル塗装物のデータを選択するサンプル選択手段も不要であるので、構成が簡単である。
なお、推薦配合比を得る推薦配合比算出手段において用いる出発塗装物の明度L*としては、既知配合塗料を下地材に塗布した出発塗装物について、直接実測した明度L*を用いるほか、出発塗装物の測色データを取得し、これから算出した明度L*を用いても良い。
また、下地材の明度L*0も、下地材明度取得手段において、予め下地の種類毎に記憶されていた下地材の明度L*0の中から、指定された下地材の種類に応じて下地材の明度L*0を選択することができる。また、非隠蔽性塗料(既知配合塗料)から各基本色材を除いたベースからなる無色透明の塗料を下地材に塗布し、下地材の明度実測用の塗装物を別途作成し、これを用いて下地材の明度L*0を実測して取得することもできる。
また、出発塗装物の色データとしては、出発塗装物の色を表すことができるデータであり、その明度L*を含むか、これを得ることができるデータで、このデータと見本色データとを用いて、色差の算出や光学濃度の比較などが可能で、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、出発塗装物の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データとしては、その明度L*STを含み、この見本色データと、サンプル塗装物の色データとを用いて、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、色見本の分光反射率、CIELAB(L*a*b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本色データを取得する見本色データ取得手段としては、分光光度計などによって、直接、色見本とする見本物の分光反射率を計測するほか、計測した見本色データをインターフェースを通じて取得するものが挙げられる。このほか、別途、作成あるいは測定しておいた分光反射率データ、CIELAB等のデータを、インターネットなどの通信や、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて見本色データとして取得しても良い。
なお、見本物を用いて見本色データを得る場合、見本物としては、色見本とするもので有ればいずれでも良い。たとえば、本発明の色合わせ装置によって同色の塗装物を再現しようとする現品など、下地材に未知または既知の非隠蔽の塗料を塗布してなる見本塗装物が挙げられる。
また、請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記推薦配合比算出手段は、前記明度L*、L*0、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定するKn決定手段と、前記明度L*ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、推薦塗料の合計配合比DREを下記式(1)に従って決定する合計配合比決定手段と、を含む
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(1)
非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
この色合わせ装置では、推薦配合比算出手段に、Kn決定手段と合計配合比決定手段とを含んでおり、このようにして得た推薦塗料は、基本色材同士の配合割合は近似色塗料、近似色サンプル塗料、または既知配合塗料と同じとしつつ、各基本色材の合計配合比は変化させて得たものとなっている。この推薦塗料を塗布した塗装物は、基本となった近似色塗装物、近似色サンプル塗装物、または出発塗装物が、色見本(見本物)の色に近似した色を有しており、さらに、その明度を見本の明度L*STにほぼ等しい明度に近づけたものであるから、色見本とよくカラーマッチングした塗装物とすることができる。かくして、この色合わせ装置によれば、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
さらに、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記見本色データと前記近似色塗装物、前記近似色サンプル塗装物または前記出発塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する初期差異判断手段を備え、上記初期差異判断手段において、色に関する差異が所定範囲内でないと判断した場合には、前記推薦配合比算出手段で前記推薦配合比を取得し、色に関する差異が所定範囲内であると判断した場合には、上記近似色サンプル塗装物または上記出発塗装物における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比を、前記推薦塗料の推薦配合比とするように構成されてなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置とするのが好ましい。
この色合わせ装置では、初期差異判断手段で、見本色データと当初に選択した近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物の色データとを比較する。さらに、ここで、色に関する差異が小さくない(所定範囲外の)場合には、推薦配合比算出手段で推薦配合比を得るように構成されている。一方、色に関する差異が十分小さく所定範囲内である場合には、そのまま、近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物における配合比を推薦配合比とする。
これにより、たまたま近似色塗装物や近似色サンプル塗装物、出発塗装物が見本色と近い色の場合には、直ちに、推薦配合比を得ることができる。
なお、見本色と近似色塗装物、近似色サンプル塗装物または出発塗装物との、色に関する差異としては、2つの対比される色の差異を示す各種パラメータで評価することができ、例えば、色差(△E)、彩度差(△C)、明度差(△L)などを用いる場合が挙げられる。
さらに、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記推薦配合比に従って調合した推薦塗料を前記下地材に塗布して作成した試験塗装物に関し、この試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得する試作色データ取得手段、及び、前記見本色データと上記試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する差異判断手段、を備え、上記差異判断手段において、上記色に関する差異が所定範囲内でないと判断した場合には、前記明度L*に代えて、上記明度L*TRを用い、前記近似色塗料、前記近似色サンプル塗料、または上記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dに代えて、上記推薦塗料における各基本色材の合計配合比DREを用い、前記近似色塗装物データ、前記近似色サンプル塗装物データ、または前記出発塗装物データと前記既知配合塗料の配合比とに代えて、上記試験塗装物の色データ及び上記推薦塗料にかかる推薦配合比を用いて、前記推薦配合比算出手段により、再度、推薦塗料の推薦配合比を算出し、色に関する差異が所定範囲内であると判断した場合には色合わせを終了するように構成されてなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、推薦配合比に従って推薦塗料を調合し、これを下地材に塗装して試験塗装物について、試作色データ取得手段で試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得する。さらに、差異判断手段で、見本色データと試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異を判断する。この差異が所定範囲内でない場合には、明度L*に代えてL*TRを、合計配合比Dに代えてDREを用い、現在の推薦塗料の推薦配合比を用いて、推薦配合比算出手段によって、再度新たに推薦塗料の推薦配合比を算出する。一方、差異が小さく所定範囲内の場合には、色合わせを終了する。
このように、一旦算出した推薦配合比に従って、実際に推薦塗料を調合し、試験塗装物を作製し、その色と見本色データとを比較し、差異が大きい場合には再度、推薦配合比を得る。これにより、適切な色を呈する推薦塗料の推薦配合比を適切に得ることができる。
さらに、請求項12に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦配合比に従って配合した非隠蔽性の推薦塗料を塗布する塗装手段と、を備える塗装物製造装置とすると良い。
本発明の塗装物製造装置では、色合わせ装置と下地材に非隠蔽性の推薦塗料を塗布する塗装手段とを備えている。従って、推薦配合比に従って配合された色合わせされた塗料を適切に下地材に塗布することができる。
さらに、コンピュータを、請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラムとすると良い。
本発明のプログラムによれば、コンピュータを各手段として機能させることにより、安価かつ容易に非隠蔽性塗料の色合わせ装置を実現できる。
本発明にかかる3種の色合わせ装置及び塗装物製造装置、色合わせ方法、塗装物の製造方法を、以下の3つの実施例に従って説明する。
実施例1にかかる色合わせ装置300は、図1にその概要を示すように、コンピュータ10、分光光度計20,ディスペンサ30,及び攪拌装置40を含んでいる。この色合わせ装置300は、コンピュータ10にインストールされたプログラムにより制御される。このコンピュータ10は、公知の構成を有しており、ハードディスク等の記憶媒体にインストールされたプログラムに従って、各種の機能を実現する手段となる。このコンピュータ10内のハードディスク等の記憶媒体には、後述するサンプル塗装物データが格納されるサンプル塗装物データベース11が構築されている。このコンピュータ10は、キーボード15あるいはマウス16を用いて、作業者が適宜必要な指示あるいはデータ入力を行うことができるようになっている。
分光光度計20は、見本物MHの色に関する色データを得るための機器であり、たとえば、HunterLab.社製、MiniScan(商標名)を用いることができる。この分光光度計20によって、色見本である見本物MHを測色し、分光反射率を計測し、そのデータをコンピュータ10に入力するようになっている。
また、ディスペンサ30は、塗料タンクに蓄えられた塗料成分を、たとえばギアポンプやシリンダーポンプを用いて所定量だけ吐出ノズルから吐出することができるように構成されており、複数の塗料成分について、それぞれ吐出量を調整することができるようになっている。本実施例のディスペンサ30では、透明皮膜成分となるベース、及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの4種の基本色材の合計5つの塗料成分を、コンピュータ10からの指示に従って、それぞれ吐出量を調整しつつ吐出できるようにされている。このため、後述するように、これらの塗料成分の配合比が推薦配合比となるように、それぞれの塗料成分を調合することができる。
さらに、攪拌装置40は、ディスペンサ30から所定量ずつ吐出された塗料成分を攪拌混練して、均一な非隠蔽性塗料とする。
出来上がった非隠蔽性塗料は、塗装装置50に供給され、所望の下地材に塗布される。具体的には、ロールコータ、リバース掻き取りロール、スプレーコータ、カーテンコータ、及びUV照射装置、熱風乾燥機等からなる。
本例では、ロールコータよって下地材に塗布された非隠蔽性塗料(ステイン)は、リバース掻き取りロールによって、下地材表面の化粧板(突板)の導管内に注入塗布されるとともに、表面の非隠蔽性塗料が掻き取られ、乾燥される。その後、無色透明のUVクリア塗料をロールコータで下塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を中塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を上塗りし、UV乾燥することで、塗装物52ができあがる。かくして、塗装物製造装置1300により、下地材に色合わせされた塗料が塗布された塗装物52が製造される。
なお、非隠蔽性塗料の色合わせを行うには、出来上がった試験塗装物51が見本物MHと同様な色に仕上がっているかを確認し、色合わせが不適切な場合には、さらにベースや基本色材の配合比を微調整して、より近い色となるようにする必要がある。そこで、塗装装置50で塗装された試験塗装物51をも、分光光度計20で測色し、色の適否の判断や更なる調整の要否判断を行うようにしている。
ついで、コンピュータ10内に構築されるサンプル塗装物データベースに格納されるサンプル塗装物データの例について、図2を参照して説明する。本実施例におけるサンプル塗装物データは、それぞれ、下地材の種類、ベース、及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの4種の基本色材の合計5つの塗料成分の配合比(千分率)、4種の基本色材を合計した色材の合計配合比(千分率)、400nm〜700nmの範囲における分光反射率データ、サンプル塗装物のL*、a*、b*を含んでいる。
図2に例示するサンプル塗装物データでは、下地材の種類として、木質材(化粧材,突板)として、なら、かば、ぶなの3種を含んでいる。また、これらのサンプル塗装物データは、4種の基本色材相互の配合比のみならず、ベースの配合比、及び4種の基本色材の合計配合比が判るようにされている。
なお、図2に例示するサンプル塗装物データを見れば判るように、これらのデータは、下地材の種類や色、ベースの配合比(基本色材の合計配合比)などが区々のデータとなっている。このような多数のデータを保持することで、後述するように、多くの場合に、より近い色を有する近似色サンプル塗装物データを得ることができるようになる。従って、新たな塗装物を製造した場合に、そのデータをこのサンプル塗装物データとして蓄積することで、その後に、より適切な色合わせができるようになる。
また、図2に例示するサンプル塗装物データでは、分光反射率のほかに、それぞれL*、a*、b*を含んでいる例を示したが、サンプル塗装物データには、L*、a*、b*を含まず、分光反射率のみを含むだけとすることもできる。この場合には、後述するステップS331で色差を算出したり、ステップS342でKを算出するに当たり、予めL*、a*、b*を算出してからこれらのステップに進む。
本実施例1で色合わせを行うのは、透明皮膜成分と1または複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料である。この非隠蔽性塗料及びその塗装物の色を見本に合わせるに当たっては、その手法の1つとして、クベルカムンクの式を用いて、基本色材の合計配合比を固定した状態で、基本色材同士の配合比を調整して、サンプル塗装物の色を色見本に近づける手法が考えられる。
一方、基本色材同士の配合比を固定したまま、基本色材の合計配合比を変化させて、サンプル塗装物の色を色見本に近づける手法が、本実施例によるものである。
ついで、本実施例1にかかる色合わせ装置300及び色合わせ方法における色合わせ手順について、図3〜図5を参照して説明する。まず、予め入手した見本物MHの分光反射率などの見本色データを分光光度計20(図1参照)を用いて取得する(ステップS11)。得られた分光反射率は、ステップS301で示すように、見本色データ取得手段として機能するコンピュータ10に入力され、見本のCIELAB(L*ST,a*ST,b*ST)が算出される。
なお、分光反射率やL*ST,a*ST,b*STなどの見本色データは、分光光度計で見本物MHを測色して得るほか、LAN,インターネットなどのネットワークシステムを通じて、取得することもできる。
ついで、ステップS21において、作業者がキーボード15から下地材の種類を入力することによって、使用する下地材の種類が指定される(ステップS302)。なお、ディスプレイ10aに示された下地材の種類を示す表示を、マウス16あるいはキーボード15から指定することで、下地材の種類を指定することもできる。また、上述のように、見本色データを送信するとともに、下地材の種類をも通信によって送信、指定することもできる。
本実施例では、コンピュータ10の図示しない記憶媒体には、下地材の種類に対応した下地材の明度L*0が記憶されている。このため、下地材の種類を指定することで、下地材の明度L*0も設定される。
なお、下地材の明度L*0には、所定の方法(材質、明るさ、その他)で分類された下地材の種類に応じて、多数の測定値の平均値など、その典型的な下地材の明度L*0が記憶されている。この下地材の明度L*0は、下地材に非隠蔽性塗料から各基本色材を除いた無色透明のベースからなる塗料をステインとして用い、さらに無色透明のクリア塗料を下塗り、中塗り、及び上塗りして製作した塗装物(下地材の明度測定用サンプル)を測色して得ている。なお、下地材に非隠蔽性塗料(ステイン)を塗布することなく、無色透明のクリア塗料の下塗り、中塗り及び上塗りのみを施して製作した塗装物(測定用サンプル)を測色して、下地材の明度L*0としても良い。
また、下地材の明度L*0は、下地材の種類とともに、キーボード等からあるいは通信によって指定することもできる。
ついで、サンプル塗装物データベース11に格納されたデータ(図2参照)を用いて、ステップS303に示すサブルーチンにより、近似色サンプル塗装物データを選択する。具体的には、図4に示すように、ステップS331において、まず、前述したステップS301で取得した見本物MHに関するL*ST,a*ST,b*STと、サンプル塗装物データベース11に格納された各々のサンプル塗装物データに含まれるL*,a*,b*とを用いて、両者の色差(△E)を算出する。なお、この際、サンプル塗装物データとして、指定された下地材の種類にかかるサンプル塗装物データのみを用いる。具体的には、例えば、ステップS2において、下地材の種類として、「なら」が指定された場合には、サンプル塗装物データベース11に格納された各々のサンプル塗装物データ(図2参照)のうち、下地材の種類が「なら」であるサンプル番号1〜64(N=64)のサンプルデータに各々含まれるL*,a*,b*と、見本物MHに関するL*ST,a*ST,b*STとを用いて、合計N=64ヶの色差をそれぞれ算出する。
なお、色差△Eは、△E=√(△L*2+△a*2+△b*2)で与えられる。
ここで、△L*=L*ST−L*、△a*=a*ST−a*、△b*=b*ST−b*である。
ついで、ステップS332以降で、Nヶのサンプル塗装物データのうち、色差△Eが最も小さなサンプル塗装物データを選択する。ただし、色差△Eが等しいデータが複数存在する場合がある。そこで、まずステップS332において、Nヶの色差△Eのうち、最小の色差を有するサンプル塗装物データの数をチェックする。
ここで、その数が1ヶの場合には、ステップS334に進み、そのような最小の色差を有するサンプル塗装物データ(1点)を、近似色サンプル塗装物データとする。
一方、その数が複数の場合には、ステップS333に進み、さらに、この複数のサンプル塗装物データについて、彩度差△Cを算出し、評価する。彩度差△Cは、△C=√(△a*2+△b*2)で与えられる値である。
木質材などの下地材に非隠蔽性塗料を塗布した塗装物においては、同じ色差(△E)であっても、明度の差異△L*が小さい場合よりも、a*−b*平面における彩度差△Cが小さい方が、色が似通って見える傾向にある。従って、同じ色差△Eで有れば、彩度差△Cの小さいサンプル塗装物データを選択する方が、より適切であるからである。
そこで、ステップS334において、最小の色差△Eを有する複数のサンプル塗装物データの中から、最も小さな彩度差△Cを有するもの1点を、選択して近似色サンプル塗装物データとする。
かくして、サンプル塗装物データベース11に格納されたデータの中から、1点の近似色サンプル塗装物データを選択する。
ついで、ステップS335に進み、以下の評価式を満足するか否かを判断する。この評価式は、(L*0−L*)・(L*0−L*ST)>0である。この評価式は、下地材の明度L*0と近似色サンプル塗装物の明度L*との差の符号(+または−)と、下地材の明度L*0と見本の明度L*STとの差の符号とが、異なるか否かを評価するものである。
本実施例は、各基本色材同士の配合割合については近似色サンプル塗装物データと同じとする一方、近似色サンプル塗装物データとは異なる各基本色材の合計配合比DREを有する推薦塗料の推薦配合比を得るものである。従って、下地材の明度L*0と近似色サンプル塗装物の明度L*との差の符号が、下地材の明度L*0と見本の明度L*STとの差の符号と同じである必要がある。以下の例で説明する。下地材の明度L*0と見本の明度L*STとの差の符号が「+」であると仮定する。この場合には、下地材の明度L*0に対して見本の明度L*STが小さいこと、つまり、色見本(つまり目標とする物)においては、下地材に塗料を塗布することで、明度が低下することを示している。つまり、色見本においては、塗布した塗料は、下地材よりも暗い色であることが判る。これに対して、もし下地材の明度L*0と近似色サンプル塗装物の明度L*との差の符号が「−」となったとする。この場合には、下地材に近似色サンプル塗料を塗布したことで、明度が上昇したことを示している。つまり、このような近似色サンプル塗料は下地材よりも明るい色であることが判る。従って、このような明るい色の近似色サンプル塗料について、その各基本色材同士の配合割合を維持しつつ(つまり色の傾向を変えないで)、各基本色材の合計配合比(つまりベースと各基本色材との割合)のみを変更したとしても、下地材よりも暗い色の推薦塗料となることはないと考えられる。従って、このような符号の組み合わせとなる近似色サンプル塗装物データが選択された場合には、これを排除する必要があるのである。色見本とサンプル塗装物とが逆となった場合も同様である。
そこで、2つの差の符号が一致した場合(Yes)には、ステップS334で選択した近似色サンプル塗装物データを維持して、メインルーチンに戻る。
一方、2つの差の符号が一致しない場合(No)には、ステップS336に進む。このステップS336では、ステップS334で選択した近似色サンプル塗装物データを放棄し、ステップS332に戻ることで、再度ステップS332〜S334に従って、他のサンプル塗装物データを近似色サンプル塗装物データとして選択可能(Yes)であるか否かを判断する。ここで、Yesと判断された場合には、ステップS332に戻り、再度近似色サンプル塗装物データを選択する。一方、Noと判断された場合には、ステップS337に進み、合計配合比の変更によっては、色合わせ不可という判断をして、この処置手順を終了させる。
なお、下地材の種類(下地材の明度L*0)を変更する(例えば「暗いナラ」から「明るいナラ」に変更する)ことで、適切な近似色サンプル塗装物データを選択できる場合もありうるので、必要に応じて、破線で示すようにステップS302まで戻るようにすることもできる。
ついで、ステップS304のサブルーチンに進み、推薦配合比を算出する。具体的には、図5に示すように、ステップS303で選択し、サンプル塗装物データベース11に格納されている近似色サンプル塗装物データから、ステップS341において、4つの基本色材の合計配合比D等のデータを取得する。例えば、図2に示すサンプル塗装物データのうち、近似色サンプル塗装物データとして、サンプルNo13のデータが選択された場合には、合計配合比DとしてD=50/1000=0.05(=5.0%)の値を取得する。
ついで、ステップS342において、近似色サンプル塗装物の明度L*、ステップS301で得た下地材の明度L*0、及び合計配合比Dを用い、指数n=0.4と仮定して、下記式(3)に従って、定数Kを算出する。
K=(L*o−L*)/Dn …式(3)
さらに、ステップS343に進み、Kの値を評価する。前述したように、n=0.4と仮定して定数Kを求めたときに、定数Kの大きさが、小さい場合には、指数nを大きな値に代えて再計算するのがよいことが判っている。そこで、このステップS343において、K≧30のときは、Kの値ををそのままとして、ステップS346に進む。一方、20≦K<30のときは、ステップS344に進み、指数をn=0.6として、上記式(3)によって、定数Kを再計算してからステップS346に進む。する。また、0<K<20のときは、ステップS345に進み、指数をn=0.8として、上記式(3)によって、定数Kを再計算してからステップS346に進む。
その後、ステップS346では、下地材のL*0、得られた定数K、指数n、及びステップS301で得た見本の明度L*STを用いて、式(1)に従って推薦塗料の合計配合比DREを算出する。
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(1)
推薦塗料では、基本色材の合計配合比DREとする一方、各基本色材同士の配合割合については、近似色サンプル塗装物データと同じである。
そこで、ステップS347において、これらの関係を満足するようにして、ベース及び4種の基本色材の配合比を算出する。かくして、近似色サンプル塗装物データを用いて、近似色サンプル塗料の配合比を、見本色データに基づいて補正し、これに近づけ色あわせを行った塗料(推薦塗料)を得ることができた。
その後、メインルーチンに戻り、前述したように、ステップ305において、得られたこの推薦配合比に従い、ディスペンサ30及び攪拌装置40を用いて非隠蔽性塗料(推薦塗料、試作塗料)を調合し、塗装装置50を用いて指定された下地材に塗布して試験塗装物51を試作する。
ついで、ステップS306において、この試験塗装物51の色を確認する。具体的には、目視による評価のほか、分光光度計20で測色してその分光反射率、L*TR、a*TR、b*TR等を得、評価が良好で、試験塗装物51の色が満足できるもので有れば、色合わせは完了する。
一方、不十分の場合(色差が大きい場合)には、ステップS304に戻る。具体的には、図5において破線で示すように、近似色サンプル塗装物データに代えて、ステップS306で得た試験塗装物の明度L*TRなどのデータを用いて、ステップS341以降の処理を行い、前回の推薦配合比を補正して、新たな推薦配合比を算出する。
さらに具体的には、図3に示すように、ステップS307において、DREをDに代入し、新たな推薦配合比を得るにあたり、前回推薦配合比を得るためにステップS304(ステップS342)で用いた既知配合塗料の合計配合比Dに代えて、前回得た推薦塗料の合計配合比DREを用いる。また同様に、L*TRをL*に代入し、新たな推薦配合比を得るにあたり、前回推薦配合比を得るためにステップS304(ステップS342)で用いた近似色サンプル塗装物の明度L*に代えて、試作塗装物51の明度*LTRを用いるようにする。これにより、前回の推薦塗料の推薦配合比と試験塗装物51の結果を反映させて、新たな推薦塗料の推薦配合比を得ることができるため、見本物(色見本)との色差が十分小さな試験塗装物51及び推薦塗料を早期に得ることができる。
以上において、コンピュータ10は、ステップS301において、見本色データ取得手段として機能し、ステップS302において、下地材種類指定手段及び下地材明度取得手段として機能し、ステップS303において、近似色サンプル塗装物データを選択するサンプル選択手段あるいは近似色データ取得手段として機能し、ステップ304において、推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段として機能していることが判る。また、ステップS342〜S345において、Kn決定手段として機能し、ステップS346において、合計配合比決定手段として機能していることが判る。また、ステップS306において試作色データ取得手段及び差異判断手段として機能している。
本実施例1では、コンピュータ10を各手段として用いて得た推薦塗料の推薦配合比に従って、ディスペンサ30から吐出した塗料成分を攪拌装置40で攪拌して推薦塗料を調合する。その後、塗装装置50によって、これに供給された推薦塗料を下地材へ塗装する。具体的には、本例では、前述したように、ロールコータよって下地材に塗布された推薦塗料(ステイン)を、リバース掻き取りロールによって、下地材表面の化粧板(突板)の導管内に注入塗布した後、乾燥する。その後、無色透明のUVクリア塗料をロールコータで下塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を中塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を上塗りし、UV乾燥することで、塗装物52を製造する。このように、色合わせ装置300と塗装装置50とを備えることで、色合わせされた塗装物52の製造装置1300となっている。
ついで、本実施例1の色合わせ装置300を用いて色合わせを行った具体例(2例)について説明する。
(具体例1)
図6に第1の具体例を示す。本例では、見本物MHは、下地材に「なら」を用い、ベース及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの基本色材の配合比を、975.0,12.5,5.0,5.0,2.5(いずれも千分率)とした非隠蔽性塗料を塗布してなる。なお、この配合比は、あくまでも参考データであり、実際の色合わせにおいては、この配合比は使用しないので、未知(不明)であってもよい。この見本物MHについて測色したところ、見本色データとして、L*ST=51.56,a*ST=10.33,b*ST=24.48が得られた。なお、図6では、各波長における分光反射率については具体的数値を示さないこととする。
ついで、本実施例1の色合わせ装置による色合わせについて説明する。本実施例1では、ステップS303で選択した近似色サンプル塗装物データを用いる。本例では、図2に示すデータのうち、サンプルNo13のサンプル塗装物データが近似色サンプル塗装物データに選択されたとする。この近似色サンプル塗装物データは、L*=48.22,a*=9.95,b*=23.36であり、見本色データとの差異は、△L*=3.34,△a*=0.38,△b*=1.12であり、色差△E=3.54である。また、下地材(なら)の明度L*0は、L*0=62.70とした。
そこで、ステップS342〜S345で、定数K及び指数nを算出したところ(式(3)参照)、K=47.99,n=0.4となった。そこで、ステップS346で式(1)を用いて推薦塗料の合計配合比DREを算出したところ、DRE=26/1000=0.026となった。図6における推薦配合割合の欄は、近似色サンプル塗料の配合比と各基本色材の数値を同じとして、ベースの値のみを大きくし、全体として合計配合比DRE=26/1000となるように調整した場合の各値を示す。また、推薦配合比の欄では、ベース及び基本色材の配合比を千分率で示す。
この実施例1の装置及び方法で得た具体例1にかかる推薦配合比の推薦塗料を塗布した試作塗装物を測色したところ、L*RE=51.14,a*RE=10.11,b*RE=23.97であった。見本色データとの差異は、△L*=0.42,△a*=0.22,△b*=0.51であり、色差△E=0.70であり、色差△E≦1.0の十分近似した色となった。このことから、推薦塗料の色あわせが適切に行えたことが判る。
(具体例2)
ついで、図7に第2の具体例を示す。本例の見本物MHは、下地材に「なら」を用い、ベース及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの基本色材の配合比を、950.0,37.5,1.5,5.0,6.0(いずれも千分率)とした非隠蔽性塗料を塗布してなる。この見本物MHについて測色したところ、見本色データとして、L*ST=56.69,a*ST=8.71,b*ST=22.15が得られた。なお、図7では、各波長における分光反射率については具体的数値を示さないこととする。
一方、本実施例1の色合わせ装置による色合わせについて説明する。本実施例1では、ステップS303で選択した近似色サンプル塗装物データを用いる。本例では、図2に示すデータのうち、サンプルNo38のサンプル塗装物データが近似色サンプル塗装物データに選択されたとする。この近似色サンプル塗装物データは、L*=53.80,a*=8.63,b*=21.61であり、見本色データとの差異は、△L*=2.89,△a*=0.80,△b*=0.54であり、色差△E=2.94である。また、下地材(なら)の明度L*0は、具体例1と同じく、L*0=62.70とした。
そこで、ステップS342〜S345で、定数K及び指数nを算出したところ、ステップS342においてn=0.4として求めたKは、K=22.36であった。このため、ステップS344に進み、n=0.6としてKの再計算を行い、K=35.43を得た。
ついで、ステップS346で推薦塗料の合計配合比DREを算出したところ、DRE=52/1000=0.052となった。図7における推薦配合割合の欄は、近似色サンプル塗料の配合比と各基本色材の数値を同じとして、ベースの値のみを大きくし、全体として合計配合比DRE=52/1000となるように調整した場合の各値を示す。また、推薦配合比の欄では、ベース及び基本色材の配合比を千分率で示す。
この実施例1の装置及び方法で得た具体例2にかかる推薦配合比の推薦塗料を塗布した試作塗装物を測色したところ、L*RE=56.13,a*RE=8.59,b*RE=21.92であった。見本色データとの差異は、△L*=0.56,△a*=0.12,△b*=0.23であり、色差△E=0.62であり、色差△E≦1.0の十分近似した色となった。このことから、推薦塗料の色あわせが適切に行えたことが判る。
上記実施例1においては、近似色サンプル塗装物データに明度L*を含み、また、下地材の明度L*0も予め記憶されていた値を用いた。これに対し、本実施例2では、近似色サンプル塗装物データは用いるが、実測用の近似色サンプル塗料を作成し、下地材に塗布して、実測用近似色サンプル塗装物の明度L*、及び下地材の明度L*0を実測する点で異なり、他の部分は同様であるので、同様な部分の記載は省略あるいは簡略化する。
実施例2にかかる色合わせ装置400及び塗装物製造装置1400は、すでに説明した実施例1の色合わせ装置300及び塗装物製造装置1300と同様な構成を有しており、図1にその概要を示すように、コンピュータ10、分光光度計20,ディスペンサ30,及び攪拌装置40を含んでいる。
本実施例2にかかる色合わせ装置400の色合わせ手順は、実施例1のそれと、近似色サンプル選択のサブルーチンのうち、ステップS303(図4参照)において、破線で示す部分のみ異なる。即ち、ステップS334で近似色サンプル塗装物データを選択した後、本実施例2では、破線で示すステップS338において、近似色サンプル塗装物データに示された近似色サンプル塗料の配合比に従って、実測用のサンプル塗料を作成し、これを下地材に塗布し、実測用の近似色サンプル塗装物を制作する。そして、その明度L*を実測する。また、下地材に実測用のサンプル塗料を塗布する前に、下地材の明度L*0を測定しておく。なお、近似色サンプル塗装物の一部に、近似色サンプル塗料を塗布しない部分を確保しておき、近似色サンプル塗装物の明度L*と下地材の明度L*0とを相前後して測定できるようにしても良い。近似色サンプル塗装物の明度L*と下地材の明度L*0と実測した後は、これらの値を用いて、実施例1と同様にして、定数K、指数n、推薦塗料の合計配合比DRE及び推薦配合比を算出すればよい。
本実施例2のようにして、実測した近似色サンプル塗装物の明度L*と下地材の明度L*0を用いることで、実際に使用する下地材の色に適合した、より適切な色あわせを行うことができ、これによって色合わせされた塗装物52が製造される。
上記実施例1,2においては、サンプル塗装物データベース11に蓄積されたサンプル塗装物データから選択した近似色サンプル塗装物データを用いて、色合わせを行った。このようにすることで、様々な色調のサンプル塗装物データを蓄積しておけば、多様な色調の見本物に対しても、適切な色合わせをすることができる。しかも、色合わせを行ったデータを更にサンプル塗装物データとして蓄積することで、更に、適切な、また少ない回数での色合わせが可能となる。
上記実施例1,2では、データベース11に蓄積されたサンプル塗装物データの中から、色見本(見本物)の色に近い色の近似色サンプル塗装物データを選択し、これを用いて色合わせを行った。これに対し、本実施例3では、予め与えられた既知配合塗料と、これを塗布した出発塗装物とを用いて、塗料の色合わせを行う点で異なる。しかし他の部分は同様であるので、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化する。
実施例3にかかる色合わせ装置500及び塗装物製造装置1500は、すでに説明した実施例1の色合わせ装置300及び塗装物製造装置1300と同様な構成を有しており、図1にその概要を示すように、色合わせ装置500はコンピュータ10、分光光度計20,ディスペンサ30,及び攪拌装置40を、また塗装物製造装置1500は、さらに塗装装置50を含んでいる。但し、サンプル塗装物データベース11は含んでいない。
ついで、本実施例3にかかる色合わせ装置500における色合わせ手順について、図8及び図9を参照して説明する。まず、予め入手した見本物MHの分光反射率、CIELAB(L*ST,a*ST,b*ST)などの見本色データを取得する(ステップS401)。なお、見本色データを取得するステップS31としては、分光光度計20を用いて見本物MHを直接測色するほか、予め得ておいた見本色データを記録メディアあるいはネットワークを通じて取り込んでも良い。
また、下地材の種類(木質材(突板)の材質、仕上げ、明るさ、その他)も、見本物のデータからステップS402において取り込む。
ついで、予め与えられていた既知配合塗料データ(S41)を取得する(ステップS403)。さらに、ステップS404において、既知配合塗料データに従って塗料を調合して既知配合塗料を得、これをステップS402で指定された種類の下地材に塗布して見本物と近似した色の出発塗装物53を得る。具体的には、既知配合塗料をステインとして用い、更にクリア塗料を3回(下塗り、中塗り、上塗り)塗布と乾燥を繰り返して出発塗装物53を作製する。なお、この出発塗装物53の表面の一部には、既知配合塗料(ステイン)を塗布しないで、クリア塗料のみを塗布した領域を作ってある。
ついで、ステップS405において、出発塗装物53を分光光度計20によって測色し、L*,a*,b*等のデータを得る。また、この出発塗装物53のうち、既知配合塗料を塗布せず、クリア塗料のみを塗布した部分を測色し、下地材の明度L*0をはじめ、a*0,b*0等のデータを得る。
ついで、ステップS406に進み、出発塗装物53と見本物MHとの色を比較する。具体的には、Labを用いて両者間の色差△E(=√(△L*2+△a*2+△b*2))を算出し、この大きさが所定値以下(OK)であれば、以下の色合わせは不要であるとして、この色合わせを終了する。なお、既知配合塗料における基本色材の合計配合比Dを、推薦塗料における合計配合比DREとする(ステップS411)。
一方、色差△Eの大きさが所定値以上である場合(NG)には、ステップS407のサブルーチンに進み、推薦配合比を算出する。具体的には、図9に示すように、ステップS403及びS405で取得した出発塗装物及び既知配合塗料のデータから、まず、ステップS471において、既知配合塗料における4つの基本色材の合計配合比D等のデータを取得する。例えば、図10に示す既知配合塗料について言えば、合計配合比DとしてD=50/1000(=(25+10+10+5)/1000=0.050=5.0%)の値を取得する。
以降は、前述した実施例1と同じく、ステップS342〜S347に従って、推薦塗料の合計配合比DREを得、さらに推薦配合比を得る。なお、下地材の明度L*oにはステップS405において得た値を、見本物の明度L*ST にはステップS401で得た値を用いる。
かくして、出発塗装物データを用いて、既知配合塗料の配合比を、見本色データに基づいて補正し、これに近づけ色あわせを行った塗料(推薦塗料)を得ることができた。
その後、メインルーチンに戻り、ステップS408において、得られた推薦配合比に従って調合された推薦塗料を作製し、これをステップS402で指定された下地材に塗布して試験塗装物51を製作する。具体的には、前述した出発塗装物53と同じく、推薦塗料をステインとして用い、クリア塗料を塗布して試験塗装物51を作製する。
ついで、ステップS409において、試験塗装物51を分光光度計20によって測色し、試験塗装物の明度L*TRをはじめ、a*TR,b*TR等のデータを得る。
ついで、ステップS410に進み、試験塗装物51と見本物MHとの色を比較する。具体的には、両者間の色差△Eを算出し、この大きさが所定値以下(OK)であれば、再度の色合わせは不要であるとして、この色合わせを終了する。
一方、色差△Eの大きさが所定値以上である場合(NG)には、再度、推薦配合比を算出するため、ステップS407に戻る。
なお、この際、ステップS412において、DREをDに代入し、新たな推薦配合比を得るにあたり、前回推薦配合比を得るためにステップS407(ステップS342)で用いた既知配合塗料の合計配合比Dに代えて、前回得た推薦塗料の合計配合比DREを用いる。また同様に、L*TRをL*に代入し、新たな推薦配合比を得るにあたり、今回の推薦配合比を得るためにステップS407(ステップS342)で用いた出発塗装物53の明度L*に代えて、試作塗装物51の明度L*TRを用いるようにする。これにより、図5において破線で示すように、ステップS407及びS409で得た、今回の推薦塗料の推薦配合比と試験塗装物51の結果を反映させて、新たな推薦塗料の推薦配合比を得ることができるため、見本物(色見本)との色差が十分小さな試験塗装物51及び推薦塗料を早期に得ることができる。
さらに、本実施例3では、色差△Eを十分小さくできる推薦塗料を得たら、この推薦配合比に従って、ディスペンサ30及び攪拌装置40を用いて推薦塗料を調合する。その後、塗装装置50によって、指定された種類の下地材に推薦塗料(ステイン)を塗布し、掻き取り乾燥後、さらに、クリア塗料を3回塗布及び乾燥を繰り返して、塗装物52を製造する。このようにして、色合わせされた塗装物52を製造装置1500によって製造することができる。
ついで、本実施例3の色合わせ装置500を用いて色合わせを行った具体例3(1例)について説明する。
(具体例3)
図10に具体例3を示す。本例では、見本物MHのデータとして、下地材に「なら」を用いること、そのLabが、L*ST=48.22,a*ST=9.95,b*ST=23.36であることが示されたとする。なお、見本物に塗装されている塗料におけるベース及び各基本色材の配合比は不明である。
ついで、本実施例3に色合わせ装置500による色合わせについて説明する。本実施例3では、ステップS403において、既知配合塗料のデータが与えられる。そのデータは、ベース及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの基本色材の配合比であり、具体的には、これらが順に、950.0,25.0,10.0,10.0,5.0(いずれも千分率)で与えられた。
そこで、この既知配合塗料の配合比に従って、ディスペンサ30及び攪拌装置40を用いて推薦塗料を調合し、「なら」の下地材に塗布し測色したところ、L*=47.47,a*=10.34,b*=22.59が得られた。見本物と出発塗装物との色差△Eは、△E=1.18となり、所定値△E≦1.0よりもわずかに色差が大きいと判断された。また、下地材(なら)の明度L*0等を測定したところ、L*0=61.84,a*0=8.93,b*0=28.18が得られた。
そこで、ステップS407(ステップS342〜S345)で定数K及び指数nを算出したところ(式(3)参照)と、K=46.63(=(61.48−47.41)/(0.05)0.4)となったため、指数n=0.4を維持する。ついで、ステップS346に従い、式(1)により、DRE=0.043(=((61.48−48.22)/46.63)1/0.4)を得た。
図10における推薦配合割合の欄は、近似色サンプル塗料の配合比と各基本色材の数値を同じとして、ベースの値のみを大きくし、全体として合計配合比DRE=43/1000となるように調整した場合の各値を示す。また、推薦配合比の欄では、ベース及び基本色材の配合比を千分率で示す。
この実施例3の装置及び方法で得た具体例3にかかる推薦配合比の推薦塗料を塗布した試作塗装物を測色したところ、 L*RE=48.06,a*RE=10.11,b*RE=22.97であった。見本色データとの色差△Eは、△E=0.45であり、色差△E≦1.0の十分近似した色となった。このことから、推薦塗料の色あわせが適切に行えたことが判る。
以上において、コンピュータ10は、ステップS401において見本色データ取得手段として機能し、ステップS402において下地材種類指定手段として機能し、ステップS403において既知塗料データ取得手段として機能し、ステップS405において出発塗装物データ取得手段及び下地材明度取得手段として機能し、ステップS407において推薦配合比算出手段として機能していることが判る。ステップ403及びS405において近似色データ取得手段としても機能している。
また、ステップS342〜S345においてKn決定手段として機能し、ステップS346において合計配合比決定手段として機能していることが判る。さらに、ステップS409において試作色データ取得手段として機能し、ステップS410において差異判断手段として機能していることが判る。また、ステップS406において初期差異判断手段として機能している。
また本実施例3でも、コンピュータ10を各手段として用いて得た推薦塗料の推薦配合比に従って、ディスペンサ30から吐出した塗料成分を攪拌装置40で攪拌して推薦塗料を調合する。その後、塗装装置50によって、これに供給された推薦塗料を下地材へ塗装する。具体的には、前述したように、ロールコータよって下地材に塗布された推薦塗料(ステイン)を、下地材表面の化粧板(突板)に塗布し掻き取り後、乾燥する。その後、無色透明のUVクリア塗料の塗布と乾燥を3回繰り返して、塗装物52を製造する。このように、色合わせ装置500と塗装装置50とを備えることで、色合わせされた塗装物52の製造装置1500となっている。
以上において、本発明を実施例1,2,3に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、図1に示す色合わせ装置300においては、ディスペンサ30、攪拌装置40をも色合わせ装置300に含めて説明した。しかしながら、図1において破線で示すように、コンピュータ10で算出した推薦配合比を記載した用紙をプリンタ18から打ち出させたり、ディスプレイ10aに表示する、あるいは、インターネットやLANなど、図示しない通信回線を用いて別の場所のコンピュータに推薦配合比の値を伝送するだけの色合わせ装置とすることもできる。この場合には、別途、推薦配合比に従って、作業者がベースや各基本色材の塗料を秤量して調合することで、色合わせされた非隠蔽性塗料を得ることとなる。
また、図1に示す色合わせ装置300においては、分光光度計20を用いて、見本物MHの測色を行って、見本色データをコンピュータ10に入力した。しかしながら、コンピュータ10が見本色データを取得できればよいから、図示しない通信回線を通じて見本色データを取得するようにしても良い。なお、コンピュータ10が取得する見本色データは、見本物を測色した実測データでなく、何らかの手法で作成した見本色データでも良い。
また、実施例3では、既知配合塗料のデータ(配合比)を得た後に、これを実際に調合して、下地材に塗布し出発塗装物を実際に作製し、出発塗装物の明度L*等を実測したが、出発塗装物の明度L*等のデータが別途与えられる場合でも、同様に推薦塗料の推薦配合比を得ることができる。
実施例1〜3にかかる色合わせ装置の概要を示す説明図である。 色合わせ装置内のサンプル塗装物データベースに格納されているサンプル塗装物データの内容を説明する図表である。 実施例1及び2の色合わせ装置による色合わせの各工程の流れを示すフローチャートである。 実施例1及び2に係る近似色サンプル選択のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 実施例1及び2に係る推薦配合比算出のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 具体的な見本物の色合わせを、実施例1にかかる色合わせ装置を用いて行った具体例1の結果を示す図表である。 具体的な見本物の色合わせを、実施例1にかかる色合わせ装置を用いて行った具体例2の結果を示す図表である。 実施例3の色合わせ装置による色合わせの各工程の流れを示すフローチャートである。 実施例3に係る推薦配合比算出のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 具体的な見本物の色合わせを、実施例3にかかる色合わせ装置を用いて行った具体例3の結果を示す図表である。
符号の説明
300,400,500 色合わせ装置
1300,1400,1500 塗装物製造装置
10 コンピュータ
11 サンプル塗装物データベース
15 キーボード
16 マウス
18 プリンタ
20 分光光度計
30 ディスペンサ
40 攪拌装置
50 塗装装置
51 試験塗装物
52 塗装物
53 出発塗装物
MH 見本物(色見本)

Claims (14)

  1. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、
    上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色塗装物の近似色塗装物データであって、この近似色塗装物に塗布した非隠蔽性の近似色塗料の透明被膜成分と各基本色材の配合比を含む近似色塗装物データを取得する近似色データ取得ステップと、
    上記明度L*0及びL*STと上記近似色塗装物データから得た上記近似色塗装物の明度 L*と上記近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  2. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、
    上記下地材に予め非隠蔽のサンプル塗料を塗布したサンプル塗装物に関するサンプル塗装物データであって、塗布したサンプル塗料における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データ及びこのサンプル塗装物の色データを有する複数のサンプル塗装物データの中から、上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択するサンプル選択ステップと、
    上記明度L*0及びL*STと上記近似色サンプル塗装物データから得た上記近似色サンプル塗装物の明度L*と近似色サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  3. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、
    透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データが既知で非隠蔽性の既知配合塗料であって、この既知配合塗料を上記下地材に塗布した出発塗装物が上記色見本と近似した色を呈する既知配合塗料について、上記配合比データを取得する既知塗料データ取得ステップと、
    上記下地材に上記既知配合塗料を塗布した出発塗装物に関し、この出発塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含む出発塗装物データを取得する出発塗装物データ取得ステップと、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得ステップと、
    上記明度L*0及びL*STと上記出発塗装物の明度L*と上記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップと、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記推薦配合比を得る推薦配合比算出ステップは、
    前記明度L*、L*0、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定ステップと、
    前記明度L*ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、推薦塗料の合計配合比DREを下記式(1)に従って決定する合計配合比決定ステップと、を含む
    REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(1)
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法によって前記透明被膜成分及び各基本色材の前記推薦配合比を得る第1色合わせステップと、
    上記推薦配合比に従って前記推薦塗料を調合する試作調合ステップと、
    前記下地材に、上記推薦塗料を塗布して、試験塗装物を作製する試験塗装ステップと、
    上記試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得する試作色データ取得ステップと、
    前記見本色データと上記試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する差異判断ステップと、を備え、
    上記差異判断ステップにおいて、
    上記色に関する差異が所定範囲内でないと判断した場合には、前記推薦配合比算出ステップに戻り、
    前記明度L*に代えて、上記明度L*TRを用い、
    前記近似色塗料、前記近似色サンプル塗料、または前記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dに代えて、上記推薦塗料における各基本色材の合計配合比DREを用い、
    前記近似色塗装物データ、前記近似色サンプル塗装物データ、または前記出発塗装物データと前記既知配合塗料の配合比とに代えて、上記試験塗装物の色データ及び上記推薦塗料にかかる推薦配合比を用いて、
    再度新たに、推薦塗料の推薦配合比を算出し、
    色に関する差異が所定範囲内であると判断した場合には、色合わせを終了する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  6. 請求項5に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法を用いて、前記色に関する差異が所定範囲内であると判断された前記推薦塗料にかかる前記透明被膜成分及び各基本色材の前記推薦配合比を得る色合わせ遂行ステップと、
    前記下地材に、上記推薦配合比に従って調合された非隠蔽性の推薦塗料を塗布する塗装ステップと、を備える
    塗装物の製造方法。
  7. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなり下地材に塗布する均一な非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、
    上記見本色データで表される色に近似した色を有する近似色塗装物の近似色塗装物データであって、この近似色塗装物に塗布した近似色塗料の透明被膜成分と各基本色材の配合比を含む近似色塗装物データを取得する近似色データ取得手段と、
    上記明度L*0及びL*STと上記近似色塗装物データから得た上記近似色塗装物の明度L*と近似色塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  8. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる均一な非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    下地材に予め非隠蔽のサンプル塗料を塗布したサンプル塗装物に関するサンプル塗装物データであって、塗布したサンプル塗料における透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データ、及びこのサンプル塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含むサンプル塗装物データを格納したサンプル塗装物データベースと、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、
    上記サンプル塗装物データベース中のサンプル塗装物データから、上記見本色データで表される色に最も近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択するサンプル選択手段と、
    上記明度L*0及びL*STと上記近似色サンプル塗装物データから得た上記近似色サンプル塗装物の明度L*と近似色サンプル塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記近似色サンプル塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比DREが異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  9. 請求項8に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記サンプル塗装物データベースに格納されたサンプル塗装物データは、それぞれ下地材の種類を示す種類データを含み、
    上記下地材の種類を指定する下地材種類指定手段を有し、
    前記サンプル選択手段は、
    上記サンプル塗装物データベースから、指定された下地材の種類データを含み、見本色データで表される色に最も近似した色を有する近似色サンプル塗装物の近似色サンプル塗装物データを選択するように構成されてなる
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  10. 透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる均一な非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    色見本に関し、明度L*STを含む見本色データを取得する見本色データ取得手段と、
    透明皮膜成分及び各基本色材の配合比データが既知で非隠蔽性の既知配合塗料であって、この既知配合塗料を上記下地材に塗布した出発塗装物が上記色見本と近似した色を呈する既知配合塗料について、上記配合比データを取得する既知塗料データ取得手段と、
    上記下地材に上記既知配合塗料を塗布した出発塗装物に関し、この出発塗装物の明度L*を含む色データまたは上記明度L*を算出可能な色データを含む出発塗装物データを取得する出発塗装物データ取得手段と、
    上記下地材の明度L*0を取得する下地材明度取得手段と、
    上記明度L*0及びL*STと上記出発塗装物の明度L*と既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dとを用いて、上記既知配合塗料とは、各基本色材同士の配合割合が同じで、各基本色材の合計配合比が異なる、上記非隠蔽性塗料に対する推薦塗料の推薦配合比を得る推薦配合比算出手段と、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  11. 請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記推薦配合比算出手段は、
    前記明度L*、L*0、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定するKn決定手段と、
    前記明度L*ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、推薦塗料の合計配合比DREを下記式(1)に従って決定する合計配合比決定手段と、を含む
    REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(1)
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  12. 請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記推薦配合比に従って調合した推薦塗料を前記下地材に塗布して作成した試験塗装物に関し、この試験塗装物の明度L*TRを含む色データを取得する試作色データ取得手段、及び、
    前記見本色データと上記試験塗装物の色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する差異判断手段、を備え、
    上記差異判断手段において、
    上記色に関する差異が所定範囲内でないと判断した場合には、
    前記明度L*に代えて、上記明度L*TRを用い、
    前記近似色塗料、前記近似色サンプル塗料、または前記既知配合塗料における各基本色材の合計配合比Dに代えて、上記推薦塗料における各基本色材の合計配合比DREを用い、
    前記近似色塗装物データ、前記近似色サンプル塗装物データ、または前記出発塗装物データと前記既知配合塗料の配合比とに代えて、上記試験塗装物の色データ及び上記推薦塗料にかかる推薦配合比を用いて、
    前記推薦配合比算出手段により、再度、推薦塗料の推薦配合比を算出し、
    色に関する差異が所定範囲内であると判断した場合には色合わせを終了するように構成されてなる
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  13. 請求項12に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、
    前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦配合比に従って配合した非隠蔽性の推薦塗料を塗布する塗装手段と、を備える
    塗装物製造装置。
  14. コンピュータを、請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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