JP4518936B2 - セルロース系交織織物 - Google Patents

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Description

本発明は、家庭水洗い洗濯可能で着用快適性に優れたセルロース系交織織物に関する。
セルロース繊維からなる織物は、発色性の高さ、独特の風合い、吸湿性や制電性能の高さ、滑り性の良さなど数多くの特徴を持つが、反面、洗濯時に収縮したりシワに成り易く、また、強度面でも劣るといった欠点がある。これらを改善するために後加工により樹脂架橋を施して防縮性や防シワ性を向上させる技術が種々検討されてきたが、高混率セルロース繊維に於いては本発明者らの知る限り家庭で水洗い洗濯(以下、単に水洗いと記する。)が可能な技術レベルに到達したものは存在しない。一方、合成繊維からなる織物はセルロース繊維の特徴は持たないが、強度・収縮面での物性は優れる。近年、セルロース繊維と合成繊維の夫々の長所を付与させる目的で、エアー加工や仮撚加工等による複合混繊糸の開発が進められている。しかしながら、複合混繊糸を製造するのにコストがかかりすぎること、また、セルロース繊維独特の風合いが出せないこと等から汎用性の高い用途には使われていない。
一方、経糸及び/又は緯糸のいずれかにセルロース繊維と合繊繊維を用いた交織織物は両者の特徴を活かした織物として、例えば特許文献1に開示され公知である。これらの織物の場合、家庭水洗い対応可能な織物は得られるが、セルロース繊維の混率が50%前後となるため風合いや吸湿性・制電性の観点から充分満足のいく織物とは云い難いものである。
交織織物に於いてセルロース繊維の混率を高める方法としては、特許文献2に経糸に化繊フィラメントおよび合繊フィラメントを一本交互使いで用い、且つ、セルロース繊維側に太い繊度の糸を用いる方法が開示されている。実施例によれば緯糸側も一本交互か混繊糸使いの例が開示されている。セルロース繊維の混率は、計算上54.7%〜71.4%で良好な品位と風合いを有し、洗濯収縮率が経緯ともに0%、耐磨耗性が5級の織物が開示されている。洗濯シワ等の水洗い性能の具体的な記載は無いが水洗いが可能なレベルにあるものと推測される。しかしながら、実施例の工程性量、特に経密度変化、から見る限り緯方向のストレッチ性は殆んど無いことは明確であり、着用快適性に関しては低いことは明らかである。また、該特許文献の記載に依れば、織物の風合い及び物性は、経糸の影響をより強く受けることから、緯糸にのみ化繊フィラメントと合繊フィラメントを一本づつ交互に配列して用いても化繊と合繊の長所を充分に引き出すことはできないとのことであり、該発明では経糸は一本交互使いが必須となっている。また、経糸一本交互織物は、経糸準備が煩雑であることは基より、製織工程時に化繊フィラメントと合繊フィラメントとの湿潤・乾燥特性の違いから局所的に経筋が発生し易いなどの欠点を有しており汎用性があるとはいえない。
特開平6−25937号公報 特開平7−42044号公報
上述したように先行技術に於いては、セルロース繊維の特徴を維持したまま家庭で水洗いが可能で、かつ、着用快適性に優れたセルロース系交織織物はこれまでに無かったのが実態であった。それらを加味し本発明では、家庭でも安心して水洗いができ、しかも、緯方向に適度なストレッチを付与することで着用快適性を高めたセルロース系交織織物を提供することを目的としている。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、製織時にセルロース繊維に少量の合成繊維を導入し、かつ、染色仕上げ加工時に適度な幅入れ処理とエポキシ変性シ
リコーン処理を行うことでセルロ−ス繊維の風合いや物性を損ねることなく緯伸びとイージーケア性を付与できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の構成は以下の通りからなる。
〔1〕経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、緯糸のセルロース繊維対合成繊維の比率が1:3〜3:1の範囲であり、該交織織物が樹脂加工時にエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物であって、かつ、下記(1)〜(3)の特性を満たすセルロース系交織織物からなることを特徴とするセルロース系交織裏地
(1)W&W性が3.5級以上
(2)緯方向のストレッチ率が5%以上
(3)吸湿性が7.5%以上
〔2〕前記セルロース繊維が再生セルロース繊維であることを特徴とする上記〔1〕のセルロース系交織裏地
〔3〕前記合成繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕記載のセルロース系交織裏地
〔4〕ポリエステル系繊維がポリトリメチレンテレフタレートの加工糸であることを特徴とする上記〔3〕記載のセルロース系交織裏地
〔5〕セルロース繊維の混率が70〜95%であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロース系交織裏地
本発明のセルロース系交織織物は、適度なストレッチ性を有するので着用時の運動追従性が高く、滑脱等の耐久性にも優れる。また、セルロース混率が高い織物である為吸湿性や制電性能にも優れる。更にW&W性に優れており、家庭で充分水洗いが可能なイージーケア性を有するセルロース繊維が高混率な交織織物、特に裏地適性を有するセルロース系交織裏地を提供することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の構成上の第一の特徴は、経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、かかる織物が樹脂加工時にエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物から構成されている点にある。
セルロース系交織織物において、経糸か緯糸のいずれか一方にセルロース繊維を用い他方に合成繊維を用いた織物が一般的に知られており、例えば、プレーンな織物裏地用途では大半がこの単純交織品が使われている。この単純交織品の場合、セルロース繊維の混率は40〜60%が一般的である。この交織品はセルロース繊維の強度面を補う点と色合いがシャンブレーになる点が特徴になっているが、反面、風合いが合繊タッチになったり、吸湿性も半減するため摩擦帯電圧が高くなると言った欠点を持ち、必ずしも着用快適性に優れたものではなかった。
これらの欠点をクリアするためにはセルロース繊維混率を高めることが必要になってくるが、そうすると逆に本発明の目的の1つである水洗い性能(洗濯シワが付き易くなる)が低下する。従って、これまでの概念では、例えば経糸か緯糸のいずれか一方にセルロース繊維を、他方にセルロース繊維と合繊繊維から構成され、セルロース繊維混率が約70%以上のセルロース系交織織物裏地の場合では、セルロース繊維の長所と水洗い性能を兼ね備えさせることは困難と考えられていたのが実状であった。
しかるに、前述したように本発明では、織物を仕上げ樹脂加工する際にエポキシ変性シリコーンを併用することにより、洗濯シワが付き難く風合い変化も少ないと言った水洗い性能が格段に向上することを発見し、困難な課題を克服するに至ったものである。本発明の最大の特徴はこのエポキシ変性シリコーンを併用処理し、水洗い性能と風合い耐久性を高めた点にある。
本発明の織物におけるセルロース繊維の混率は、70%以上であることが好ましく、より好ましくは72%以上、特に好ましくは80%以上である。上限は特に限定されないが、95%以下であることが好ましく、より好ましくは90%以下である。
本発明において樹脂加工時に用いるエポキシ変性シリコーンとは、数平均分子量が10000から200000のポリマーであり、セルロースの水酸基と直接反応する官能基であるエポキシ基を持つジメチルシリコーン誘導体を意味する。エポキシ基にはグリシジルタイプのものと脂環式タイプのものとがあるがいずれのタイプでも構わない。これらは単独でも混合系で使用しても構わない。
使用濃度は、他の樹脂加工剤との兼ね合いもあるが、通常0.3〜10重量%が望ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%の範囲で用いられる。0.3重量%以下の場合は、水洗い洗濯時にシワが発生し易く所望の水洗い性能を得ることができない。一方、10重量%以上の場合は性能的には充分満たすが、過剰の未反応エポキシ変性シリコーンを除去する必要があり、手間や剤コスト的に無駄になるので望ましくない。
エポキシ変性シリコーンの触媒としては、後述するノンホル型グリオキザール樹脂の触媒をそのまま使用することができる。これらはエポキシ変性シリコーンに対し10〜30重量%の割合で使用すればよい。また、アミノシランカップリング剤等のバイダーを使用しても良く、他の柔軟剤を併用して使用しても構わない。エポキシ変性度(エポキシ当量)はセルロースとの反応効率を考えて選択すべきであるが、一般に市販されている数百から数千のエポキシ当量のもので充分である。
このエポキシ変性シリコーンの風合い硬化や洗濯シワの抑制効果は、エポキシ変性のシリコーンの分子量が大きいためセルロース繊維の内部まで浸透できず繊維表面の水酸基と直接反応し、強固に固定されるため繊維表面間の摩擦抵抗が低減して発現したものと推察される。また、1分子当たり多数個のエポキシ基を持つため、そのうち2個以上が反応すれば架橋的な役割を果たし、形態安定性が向上したものと推察される。この架橋作用が洗濯を繰り返しても風合い硬化が起こり難かったり、シワの付き難さに反映されているものと推測される。そのため本発明を構成する交織織物に該エポキシ変性シリコーン処理を施さない場合は、W&W性が3.5級以下になり、しかも、風合いが洗濯することで変化して硬くなるといった問題が発現する。
本発明の織物の経糸および緯糸に用いられるセルロース繊維としては、キュプラアンモニウムレーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維、アセテート鹸化繊維、リヨセルに代表される精製セルロース系繊維、および、それら短繊維の紡績糸が含まれる。また、綿、麻に代表される天然繊維も包含する。好ましくは再生セルロース長繊維である。必要に応じて撚糸したり、混紡して用いても構わない。単糸繊度としては0.5〜5.5dtex、フィラメント数20〜100本、トータル繊度は30〜167dtex程度のものが好ましく用いられる。紡績糸の場合は20番から80番のものを用いることができる。場合によっては吸湿性の高い絹やウールをセルロース繊維に混紡して用いても構わない。
本発明の織物の緯糸に用いる合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アセテート繊維、ポリウレタン包含糸、および、前述の合成樹脂の共重合体からなる繊維等が挙げられる。これら繊維の総繊度は33〜167dtex、好ましくは33〜110dtexの範囲であり、単糸繊度は0.5〜10dtex、好ましくは1〜5dtexの範囲である。これらの繊維は、必要に応じて、仮撚り加工されたり、撚糸されたり、混繊やカバリング等の複合糸の形で用いることができる。勿論、サイドバイサイド型のコンジュゲート糸も包含する。緯糸がセルロース繊維と合成繊維とからなる糸構成としては、一本交互使いが好ましいが、糸構成(繊度)によってはセルロース繊維対合成繊維の比率が3:1〜1:3の範囲でも良い。
本発明の交織織物を製造するに当たっては、通常の製織条件(製織機、織密度など)で製織することができる。本発明に適用される織物組織としては、平組織、綾組織、朱子組織およびその変形組織が挙げられる。織密度に関しては、経糸密度90〜160本/吋、緯糸密度70〜120本/吋の範囲であり、使用する糸の素材、繊度に応じて適宜選定すればよい。織物の目付けは、特に制限はないが40〜120g/m2の範囲であれば特に問題はない。裏地として40〜90g/m2の範囲が特に好ましい。本発明の交織織物を製織する方法としては、普通織機、レピア織機、エアージェットルーム、ウオータージェットルーム、グリッパー織機、多相織機等が代表的に挙げられるが、単にこれらに限定さ
れるものではない。
本発明の織物は、製織された生機を常法の精錬、染色、仕上げ加工で処理することで得ることができる。例えば、精錬はオープンソーパー型連続精錬機、ソフサー精錬機、液流型染色機、浴中懸垂型連続精錬機などを用いて行うことができる。また、染色加工は、コールドパッドバッチ法、パッドスチーム法、パッドロール法、ジッガー法、液流染色法、ウインス法、ビーム法など織物構成に合わせて染料と共に適宜選択すればよい。
引き続く樹脂加工は、通常のセルロース系繊維の収縮や湿摩擦堅牢度を損ねない程度の加工を施せばよく、特に限定されない。本発明では樹脂加工時に前述したエポキシ変性シリコーンを所望の濃度で併用して調合し、通常の処方で仕上げればよい。樹脂加工剤以外に必要に応じて、帯電防止剤、撥水剤、柔軟剤、スリップ防止剤、吸汗剤、紫外線吸収剤、光触媒等を付与してもかまわない。また、織物表面の光沢、平滑性、風合い等を改善するために、カレンダー処理を施しても構わない。
本発明に使用できるエポキシ変性シリコーン以外の樹脂加工剤としては、グリオキザール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、ポリカルボン酸系樹脂が挙げられる。触媒は樹脂との組み合わせで適宜決めればよく、グリオキザール系樹脂用の触媒である酸性触媒や潜在酸性触媒を使用すればよい。例えば、酸性触媒としては、塩酸、硫酸などの無機酸、有機酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸などのオキシ酸、アミン塩酸塩等が挙げられ、潜在酸性触媒としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、塩化マグネシウム、ホウフッ化マグネシウムなどの無機金属塩等が挙げられる。
本発明の構成上の第二の特徴は、織物を構成するセルロース繊維の混率が72%以上のセルロース系交織織物において、そのW&W性が3.5級以上、吸湿性が7.5%以上、緯方向のストレッチ率が5%以上の条件を全て満たす点にある。
これらの条件をすべて充足することによって初めて家庭水洗いが可能で着用快適性に優れた織物となるが、本発明者らの知る限り、これらの構成要件のうち2つは満たすものは存在するが、これら全てを満たす織物は存在しない。
先ず、W&W性であるが、洗濯後の布帛を見てアイロン掛け等のケアをしなくてもそのまま着用可能と判断できるレベルが3.5級であり、3.5級以下ではアイロン掛けをしないと着用する気になれないレベルであると一般的には判断される。本発明では緯糸に合成繊維を少し挿入してセルロース繊維の柔かさ・変形のし易さを補強すると共に、エポキシ変性シリコーン付与に伴う滑性向上により洗濯時に受ける変形を緩和させることで3.5級以上のW&W性を発現せし得たものと推察する。緯糸に合成繊維を全く挿入しないでエポキシ変性シリコーンの処理を行った場合のW&W性は3.0級、同様に合成繊維を全く挿入しないでエポキシ変性シリコーンの処理を行わなかった場合のW&W性は2.25級、合成繊維を挿入してもエポキシ変性シリコーン処理を行わなかった場合のW&W性は3.2級であり、いずれも本発明の3.5級を充足させることはできないことを確認している。すなわち、本発明では前述した交織織物の糸構成とエポキシ変性シリコーンの処理が必須要件となっており、これらが後述する吸湿性の高さやストレッチ性の発現にも寄与している。
次に、セルロース繊維の特徴として吸湿性が挙げられる。ここで吸湿性とは、20℃で65%RHの環境下での公定水分率を意味する。この吸湿性はセルロース繊維にとって非常に大事で環境に応じて湿気を吸ったり吐いたりする特性(吸放湿性)に繋がり、ひいては着用快適性を高める武器となる。例えば、通常セルロース繊維は20℃で65%RHの雰囲気下では12%程度の気体の水分を取り込んでいるが、環境が90%RHのような多湿環境下に変化すると25%前後の気体の水分を取り込むことができる。従って、全く吸放湿性の無い合成繊維に較べて衣服内の環境、特に衣服内の湿度を下げることができるので着用感が快適となる。これらの特性を充分活かすには吸湿性としては7.5%以上が必要と考えられる。また、冬場のスカートの纏わり付きは静電気によって発現するが、ここでも吸湿性が重要な因子となる。低湿度環境下になるとセルロース繊維自体の吸湿性も低下するが、着用時の体から蒸散される気体の水分を取り込むことができるので織物の吸湿性としては7.5%以上あれば充分と考えられる。経験上、吸湿性が7.5%以下になると梅雨時や夏場の着用快適性が劣るばかりか制電性能も低下するので好ましくない。一方、吸湿性の上限はセルロース繊維100%の織物でも特殊な化学加工を施さない限り12%前後が最大であり、本発明の織物についても基本的には12%を上限と考えて差し支えない。但し、盛夏や梅雨用に限っては、吸湿性を高めるような化学加工を施しても何らかまわない。
本発明の次の特徴は、緯方向のストレッチ率が5%以上である点が挙げられる。近年の一般的な衣料の表地のストレッチ率を調査すると8〜10%の範囲のものが多いことが判っている。これは人間の動作時の皮膚の伸びが結構大きく、ゆとりを考慮しても生地に8〜10%程度のストレッチ率がないと着用快適性を損ねる恐れがあるからと推察されている。これに対し裏地のストレチ率は半分程度で充分であることが経験的に判っている。この理由はキセや縫い目が表地のストレッチに対応し、かつ、表地の保型性にも関係しているものと思われる。ストレッチに関しては、表地の場合、スパン使いが故にこの程度ストレッチは可能であるが、フィラメント使いの場合は難しく、本発明者らの知る限り国際公開第99/31309号パンフレットの記述しか知らない。ただ、この特許文献でも家庭での水洗い洗濯対応に至る織物の糸使いやエポキシ変性シリコーンの使用を示唆するものはない。
以下に、本発明を実施例などを用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。尚本発明における、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
(1)緯ストレッチ率の評価
カトーテック(株)製のKES−FB1を用いて、20cm×20cmの織物を引張り速度0.2mm/秒で緯方向に伸長し、500g/cmの応力下での伸びE(%)を次式により算出した。
E(%)=(ΔL/L)×100
ここでΔLは500g/cm荷重下で伸びた長さ(cm)、Lは織物の把持長で5cmである。
(2)W&W性の評価
JIS−L−1096:A法で平干し後のシワの状態を官能評価した。3人の評価者がn=3のサンプルについて観察し、AATCC評価版をもとに1級から5級に格付け評価して平均値を出して級付けした。
(3)吸湿性の評価
JIS−L−1096に準拠して評価した。公定水分率で%表示している。
(4)寸法変化率
JIS−L−1096に準拠して評価した。マイナス表示は収縮を意味し、%表示している。
(5)縫目滑脱
JIS−L−1096に準拠して評価した(B法縫目ずれ)。単位はmm。
〔実施例1〕
経糸にキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン56dtex/45fとポリトリメチレンテレフタレート(以後「PTT」と呼称)56dtex/24f加工糸(Z加撚)逆追撚S900t/mした糸を用いて一本交互に緯打ちした。織り上がった生機の経糸密度は137本/吋、緯糸密度は96本/吋であった。この生機をオープンソーパータイプの精練機で精練した後、ハイジガー染色機でPTTを染色しシリンダー乾燥させた。しかる後、キュプラアンモニウムレーヨン側をパッドバッチ染色し、ソーピング乾燥させた。引き続く樹脂加工はノンホル型グリオキザール樹脂4重量%、その触媒1.5重量%、エポキシ変性シリコーンとしてDIC社製「DICシリコーンソフナー Y−8」を1重量%、柔軟剤1.5重量%、帯電防止剤0.5重量%、フィックス剤1.8重量%等を含む浴を用いて生地を浸
漬し、絞った後、テンターを用いて硬化させた。しかる後、水パッドし乾燥させ、最後にコールドペーパー処理を行い風合い調整を行った。
得られた織物の経糸密度は150本/吋、緯糸密度96本/吋であった。この織物のセルロース混率は80%、緯伸びは7%、摩擦帯電圧240V(公定水分率9.1%)、寸法変化率−0.1/−1.3、縫目滑脱1.4/1.5、且つ、W&W性も3.9級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
〔比較例1〕
実施例1の生機を用い、実施例1の精練・染色処方に準拠して染め上がり品を作成した。引き続く樹脂加工はエポキシ変性シリコーンを用いない以外は実施例1の処方に準拠して実施し、その後の工程は実施例1と同じ処理を行った。得られた織物の緯伸びは6.7%と本発明の特性を満たすが、W&W性が3.2級と家庭水洗い洗濯対応裏地としては不充分なレベルであった。また、寸法変化率は−0.2/−1.3、縫目滑脱は1.6/1.5、公定水分率は9.2%であった。
〔実施例2〕
経糸にキュプラアンモニウムレーヨンフィラメント56dtex/30fを用い、緯糸にキュプラアンモニウムレーヨン56dtex/45fとPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸40dtex/24fを用いて一本交互に緯打ちした。織り上がった生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は105本/吋であった。この生機をオープンソーパータイプの精練機で精練した後、ハイジガー染色機でPTTを染色しシリンダー乾燥させた。しかる後、キュプラアンモニウムレーヨン側をパッドバッチ染色し、ソーピング乾燥させた。引き続く樹脂加工はノンホル型グリオキザール樹脂4重量%、その触媒1.5重量%、実施例1と同じエポキシ変性シリコーン1重量%、柔軟剤1.5重量%、帯電防止剤0.5重量%、フィックス剤1.8重量%等を含む浴を用いて生地を浸漬し、絞った後、テンターを用いて硬化させた。しかる後、水パッドし乾燥させ、最後にコールドペーパー処理を行い風合い調整を行った。
得られた織物の経糸密度は155本/吋、緯糸密度97本/吋であった。また、セルロース混率は85%、緯伸びは8.1%、摩擦帯電圧210V(公定水分率9.5%)、寸法変化率−0.5/−0.8、縫目滑脱1.6/0.7、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
〔実施例3〕
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりにPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸加工糸56dtex/24fを用い、エポキシ変性シリコーンの濃度を0.5重量%に変更した以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は97本/吋であった。得られた織物の経糸密度は165本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は81%、緯伸びは16.2%、摩擦帯電圧200V(公定水分率9.2%)、寸法変化率−0.4/−1.0、縫目滑脱1.3/0.7、且つ、W&W性も3.8級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
〔実施例4〕
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりにW型断面形状のポリエチレンテレフタレート56dtex/30fを用いた以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は96本/吋であった。得られた織物の経糸密度は149本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は80%、緯伸びは6.4%、摩擦帯電圧205V(公定水分率9.1%)、寸法変化率―0.3/−0.5、縫目滑脱1.0/1.4、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
〔実施例5〕
実施例2のPTT/PTT2成分系コンジュゲート糸原糸の替わりに丸断面形状のポリエチレンテレフタレート加工糸56dtex/30fを用いた以外は実施例2と同様の方法で裏地を作成した。生機の経糸密度は135本/吋、緯糸密度は97本/吋であった。
得られた織物の経糸密度は152本/吋、緯糸密度100本/吋であった。また、セルロース混率は80%、緯伸びは5.9%、摩擦帯電圧260V(公定水分率9.1%)、寸法変化率―0.1/−0.8、縫目滑脱1.6/1.1、且つ、W&W性も3.6級で着用快適性と家庭水洗い洗濯対応に優れていることが判った。
本発明のセルロース系交織織物は、適度なストレッチ性を有するので着用時の運動追従性が高く、滑脱等の耐久性にも優れる。また、セルロース混率が高い織物である為、吸湿性や制電性能にも優れる。更にはW&W性に優れており、家庭で充分水洗い洗濯が可能なイージーケア性を有する交織織物を提供することができる。特に裏地に好適である。

Claims (5)

  1. 経糸がセルロース繊維、緯糸がセルロース繊維と合成繊維から構成される交織織物において、緯糸のセルロース繊維対合成繊維の比率が1:3〜3:1の範囲であり、該交織織物が樹脂加工時に数平均分子量が10000から200000のポリマーでセルロースの水酸基と直接反応する官能基であるエポキシ基を持つジメチルシリコーン誘導体であるエポキシ変性シリコーンで処理されてなる織物であって、かつ、下記(1)〜(3)の特性を満たすセルロース系交織織物からなることを特徴とするセルロース系交織裏地
    (1)W&W性が3.5級以上
    (2)緯方向のストレッチ率が5%以上
    (3)吸湿性が7.5%以上
  2. 前記セルロース繊維が再生セルロース繊維であることを特徴とする請求項1記載のセルロース系交織裏地
  3. 前記合成繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース系交織裏地
  4. ポリエステル系繊維がポリトリメチレンテレフタレートの加工糸であることを特徴とする請求項3記載のセルロース系交織裏地
  5. セルロース繊維の混率が70〜95%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース系交織裏地
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