JP4514877B2 - ガスタービン・バケット及び上部シュラウド用冷却回路 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明はガスタービン圧縮機からの空気を使用する、ガスタービン・バケット及び上部シュラウド冷却回路に関する。
【０００２】
【発明の背景】
ガスタービン・バケット上部シュラウドは、高温及び遠心作用によって生じる曲げ応力の組み合わせによるクリープ破損を受ける。米国特許第５４８２４３５号には、ガスタービン・バケットタービンのシュラウドを冷却する思想が記載されているが、その冷却設計は、そのシュラウドを冷却する為に専ら用いる空気に依存している。バケット翼、或いは、固定ノズルを冷却する他の冷却装置が米国特許第５４８０２８１号及び第５３９１０５２号及び第５３５０２７７号に開示されている。
【０００３】
【発明の概要】
本発明では、併設されるバケットの上部シュラウドを冷却するのに翼自身から排出される用済み冷却空気を用いる。具体的には、バケット翼及びシュラウドに必要な冷却流を最小にしながら、ガスタービン上部シュラウドのクリープ破損が生じる可能性を減少させようというものである。従って、本発明は、バケット翼を冷却するのに既に用いた空気がタービン流路内のガスよりも依然低温であり、かかる空気を上部シュラウドを冷却するのに使用することを提案するものである。この冷却空気の一層効率的な使用は、性能の劣化を最小にして上部シュラウドを冷却する二重の利点がある。
【０００４】
本発明の一実施例では、冷却通路の前縁側及び後縁側の群が動翼或いは翼内で半径方向に延在している。各群の孔は上部シュラウド内の共通の部室或いはプリナムと連通している。従って、半径方向冷却通路からの使用済み冷却空気は、上部シュラウドへ流れ、それから、プリナムからの通路を通して高温ガス路へ出て行く。プリナムは、全体に前から後ろ、横から横まで、実質的にシュラウド面内に在って、上部シュラウドに亘って延在する。上部シュラウドのプリナムから周縁に延在する通路を介して冷却空気は高温ガス路へ出ていく。冷却空気のいくらかは、上部シュラウドの上面内の一つ以上の調量孔を通っても排出することができる。
【０００５】
第２の実施例では、２つの個別のプリナムが上部シュラウドに設けられ、一つのプリナムが一群或いは一組の前縁冷却孔及び一群或いは一組の後縁冷却孔のそれぞれの群に対して設けられる。各プリナムに対して、上部シュラウドの上面を覆って延在するカバーが設けられる。ここでも、冷却空気は、上部シュラウドの周縁へプリナムから延在する通路を通って排出し、任意であるが、カバーにある一個以上の調量孔を通って排出する。
【０００６】
従って、より広い観点からすると、本発明は、ガスタービン翼及びそれに付設した上部シュラウド用開冷却回路であって、該回路が、翼の内部で、全体に翼の前縁に沿って半径方向外方向に延在する第１群の冷却孔、翼の内部で、全体に翼の後縁に沿って半径方向外方向に延在する第２群の冷却孔、第１群及び第２群の冷却孔と直接連通する上部シュラウド内の共通のプリナム、及び上部シュラウドを貫通し、且つ上部シュラウドの周縁に沿って開口してプリナムから延在する複数の排出孔、を含む開冷却回路に関する。
【０００７】
別の観点からすると、本発明は、ガスタービン翼及びそれに付設した上部シュラウド用開冷却回路であって、該回路が、翼の内部で、全体に翼の前縁に沿って半径方向外方向に延在する第１群の冷却孔、翼の内部で、全体に翼の後縁に沿って半径方向外方向に延在する第２群の冷却孔、それぞれが第１群及び第２群の冷却孔の一方の群と連通する上部シュラウド内の一対のプリナム、及び上部シュラウドを貫通し、且つ上部シュラウドの周縁に沿って開口して、一対のプリナムから延在する複数の排出孔、を含む開冷却回路に関する。
【０００８】
更に別の観点からすると、本発明は、ガスタービン翼及びそれに付設した上部シュラウドを冷却する方法であって、該冷却方法が、ａ）前記翼内に半径方向孔を設け、該半径方向孔に冷却空気を供給し、ｂ）上部シュラウド内のプリナムに前記冷却空気を通し、ｃ）前記プリナムから、上部シュラウドを貫通して冷却空気を通過させる、冷却方法に関する。
【０００９】
本発明の他の目的及び利点は、次の詳細な記載から明らかになる。
【００１０】
【発明の詳細】
図１に、例示的なガスタービンのタービン部分１０が部分的に示されている。
【００１１】
ガスタービンのタービン部分１０はタービン圧縮機１１の下流にあり、全体にＲで示すロータを含み、ロータ軸集合体に装着され、ロータ軸集合体の一部を形成してそれと共に回転するタービン羽根車１２，１４，１６及び１８を有する連続する４つの段を含む。各羽根車はバケットＢ１，Ｂ２，Ｂ３及びＢ４の列を支持し、その動翼はタービンの高温燃焼ガス路中に半径方向外方向に突出している。バケットは固定ノズルＮ１，Ｎ２，Ｎ３及びＮ４の間に、交互に配列される。代わりに、前部から後部まで、タービン羽根車の間にスペーサ２０，２２及び２４がそれぞれ各ノズルの内側半径方向に配置される。従来のガスタービンの構成のように、羽根車及びスペーサは、複数の円周方向に間隔を置かれ軸方向に延在するボルト２６（一つを示す）によって互いに固定される。
【００１２】
図２乃至図５に、タービン動翼又は翼３０が、それに付設した半径方向外側上部シュラウド３２と共に図示されている。翼部分３０は、全体に３４で示す内部の半径方向に延在する第１組の冷却孔を有し、これら冷却孔は翼の前縁３８の近くでそれに沿って配列されている。同時に、全体に３６で示す内部の半径方向に延在する第２組の冷却孔が翼の後縁４０の近くでそれに沿って配列されている。冷却孔の両組とも半径方向外方向上部シュラウド３２中に延在し、詳細には、共通の比較的大きいが浅い部室或いはプリナム４４まで延在している。プリナム４４は、上部シュラウドに亘って、略前部から後部まで、横から横までシュラウドの面内に延在している。プリナムは、上部シュラウド内にセラミック中子によって造られ、インベストメント鋳造処理中に形成される。中子は上部シュラウドの縁から延び出る一つ以上のタブにより適所に保持される。鋳造処理の一部でこれらのタブを除去したときに、これらタブによって残された開口４６，４８及び５０を通って冷却空気は高温ガス路に排出する。
【００１３】
カバー５２，５４（図３では省略しているが、図４及び図５に図示されている）は、プリナムをシールするために取り付けられ、適切な流れを維持するために一つ以上の調量孔５６，５８をプリナム４４からそれぞれのカバーを貫通して高温ガス路に通してもよい。冷却空気排出孔の数及び直径は設計要件及び製造能力に依存する。例えば、別な排出孔が６０の所にある。この構成では翼からの使用済み冷却空気を用いてシュラウドの効果的なフィルム及び対流冷却をもたらす。
【００１４】
プリナム４４がかなり大きな区域ならば、構造的一体性及び／又は上部シュラウドの冷却にピン・フィン或いは脚柱が必要になるかもしれない。図４にそのような４個のピン・フィン６２，６４，６６，６８が図示されている。そのようなピンの実際の数も設計要件に依る。更に、翼部分内の半径方向孔の数及び直径も又設計要件及び製造能力に依存する。例えば、図２は各群３４，３６に４個の孔を図示しているが、図３では各群に５個のそのような孔が図示されている。
【００１５】
次に、図６乃至図９に本発明の第２の実施例が図示されているが、便宜上図２乃至図５で用いた同じ参照番号に「１」を前に付して対応する素子を示すのに用いている。従って、タービン動翼１３０は、上部シュラウド１３２、動翼の前縁１３８の近くに配置され、翼を貫通して半径方向外方向に延在する第１組の内部冷却孔１３４、及び、後縁１４０の近くで動翼を貫通して半径方向外方向に延在する第２組の内部冷却孔１３６を有している。
【００１６】
この実施例では、上部シュラウド内に単一のプリナムを形成するというより、上部シュラウド・レール或いはシール６８の各側に一つのプリナムで、一対のプリナム１４２及び１４４を形成する。ここで、プリナムとなる凹みは、バケットのろう鋳型内に造りインベストメント鋳造処理中に形成するか、或いは、仕上げ鋳物中に機械加工する。カバー１５２及び１５４がそれぞれのプリナム１４２及び１４４をシールするために取り付けられる。図７において、明瞭にするためカバーは省略してあるが、図８及び図９では見られる。冷却孔１４６，１４８，１５０及び１６０がプリナムから上部シュラウドを貫通してガス路に通じている。カバー上部にある調量孔１５６，１５８を通って冷却空気のいくらかは排出されるが、排出及び調量孔の数及び直径は、必要によって変えられる。
【００１７】
この実施例において、長円形のパッド７０がプリナム１４２の中に図示されている。前述したこのようなパッド或いは脚柱の一個以上が、カバーの適切な整合及び取付に必要とされるであろう。
【００１８】
以上、本発明の最適実施例と考えられるものについて説明したが、本発明は開示した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で様々な改変と対等構成が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図１】陸上ガスタービンのタービン部分を示す部分断面図である。
【図２】本発明の第１の実施例によるタービン翼及び上部シュラウドにある冷却通路を全体に簡略した形式の、部分側面図である。
【図３】本発明の第１の実施例による上部シュラウドを９０度回転して示す上部平面図である。
【図４】図３と同様な図であるが、プリナムのカバーを配置したものである。
【図５】図４の線Ａ−Ａに沿ってとった断面図である。
【図６】本発明の第２の実施例によるタービン翼及び上部シュラウドにある冷却通路を全体に簡略した形式の、部分側面図である。
【図７】図４の上部シュラウドを９０度回転して示す上部平面図である。
【図８】図７と同様な図であるが、プリナムのカバーを配置したものである。
【図９】図８の線Ａ−Ａに沿ってとった断面図である。
【符号の説明】
３０，１３０ 翼；３２，１３２ 上部シュラウド；３４，１３４ 第１群の冷却孔；３６，１３６ 第２群の冷却孔；４４，１４２，１４４ プリナム；４６，４８，５０，６０，１４６，１４８，１５０，１６０ 排出孔；５２，５４，１５２，１５４ カバー

Claims (3)

1. ガスタービン翼（３０）及び該翼の半径方向の最も外側に設けられた上部シュラウド（３２）のための開冷却回路であって、該回路が、
   前記翼の内部で、全体に該翼の前縁に沿って半径方向外方向に延在する第１群の冷却孔（３４）、
   前記翼の内部で、全体に該翼の後縁に沿って半径方向外方向に延在する第２群の冷却孔（３６）、
   前記第１群の冷却孔（３４）及び第２群の冷却孔（３６）と直接連通する前記上部シュラウド（３２）内の共通のプリナム（４４）であって、プリナム（４４）が上部シュラウド（３２）の面内にあって上部シュラウド全体に延在しているとともに、前記第１群及び第２群の冷却孔（３４，３６）の上を覆って配置された一対のカバー（５２，５４）によってシールされており、カバー（５２，５４）に調量孔（５６，５８）が設けられているプリナム（４４）、及び
   前記上部シュラウド（３２）を貫通し、且つ、前記上部シュラウド（３２）の周縁に沿って開口して前記プリナム（４４）から延在する複数の排出孔（４６，４８，５０，６０）、を含む開冷却回路。
2. 前記プリナム（４４）が構造的一体性のため半径方向に延在する脚柱（６２，６４，６６，６８）を含む、請求項１記載の冷却回路。
3. ガスタービン翼（１３０）及び該翼の半径方向の最も外側に設けられた上部シュラウド（１３２）のための開冷却回路であって、該回路が、
   前記翼の内部で、全体に該翼の前縁に沿って半径方向外方向に延在する第１群の冷却孔（１３４）、
   前記翼の内部で、全体に該翼の後縁に沿って半径方向外方向に延在する第２群の冷却孔（１３６）、
   それぞれが前記第１群の冷却孔（１３４）及び第２群の冷却孔（１３６）の一方の群と直接連通する前記上部シュラウド（１３２）内の一対のプリナム（１４２，１４４）であって、該一対のプリナム（１４２，１４４）が上部シュラウド（１３２）の面内にあって上部シュラウド・レール（６８）の両側に設けられているとともに、前記第１群及び第２群の冷却孔（１３４，１３６）の上を覆って配置された一対のカバー（１５２，１５４）によってシールされており、カバー（１５２，１５４）に調量孔（１５６，１５８）が設けられているプリナム（１４２，１４４）、及び
   前記上部シュラウド（１３２）を貫通し、且つ、前記上部シュラウド（１３２）の周縁に沿って開口して前記一対のプリナム（１４２，１４４）から延在する複数の排出孔（１４６，１４８，１５０，１６０）、を含む開冷却回路。

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