JP3188105B2 - ガスタービンの動翼 - Google Patents

ガスタービンの動翼

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JP3188105B2 JP15855094A JP15855094A JP3188105B2 JP 3188105 B2 JP3188105 B2 JP 3188105B2 JP 15855094 A JP15855094 A JP 15855094A JP 15855094 A JP15855094 A JP 15855094A JP 3188105 B2 JP3188105 B2 JP 3188105B2
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康意 富田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電などに適用さ
れガスタービンの動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は火力発電などに使用されている従
来のガスタービンの動翼の説明図である。図において、
本ガスタービンの動翼はインテグラルシュラウドブレー
ドと称され、それぞれの動翼11の先端にシュラウド1
2が一体に形成されており、シュラウド12は動翼11
の先端から漏洩するガスを減少させるとともに、シュラ
ウド12の端面を隣接するシュラウド12の端面に圧接
して連続したシュラウド12を形成することにより動翼
11の耐振動強度を向上させるようになっている。動翼
11にはロータの軸方向と円周方向との両方向の振動が
発生するが、シュラウド12の端面を斜めに形成するこ
とにより両方向の振動が抑制される。また、シュラウド
12には動翼11の先端から漏洩するガスを減少させる
ためと、ケーシング側との接触に備えてフィン13が突
設されている。
【0003】また、ガスタービンの動翼には高温のガス
に対応するために冷却が施されており、入口温度が10
00〜1200℃の場合には一般に動翼11を長さ方向
に貫通する多孔14による対流冷却方式が採用されてい
る。矢印はその冷却空気の流れを示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
ガスタービンの動翼においては動翼11を長さ方向に貫
通する多孔14による対流冷却が行われており、動翼1
1内部を冷却して昇温した冷却空気は動翼11頂部も冷
却して多孔14先端から流出するが、動翼11頂部の冷
却効果は極めて低い。動翼11頂部のシュラウド12は
熱容量が小さく、冷却が不足するとシュラウド12の温
度は高温のガス温度に相当するまで昇温する。このた
め、動翼11に対するシュラウド12の付け根部に高遠
心力に加えて高温度によりクリープ変形が発生し、動翼
11頂部がケーシング側に接触して焼損することがあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るガスタービ
ンの動翼は上記課題の解決を目的にしており、長さ方向
に貫通する多孔を介して対流冷却されるガスタービンの
動翼において、上記多孔からシュラウドに沿って分岐し
て設けられ上記多孔を介して対流冷却を行った冷却気
体を通して動翼頂部を冷却する複数の溝を有している。
【0006】そして上記複数の溝は上記シュラウドの表
面に設けた窪み内に刻設され、同窪みには上記溝の両端
に対応する部位に切込穴が穿設されたプラグ板を嵌込ん
で蝋付けした構成を特徴とする。
【0007】
【作用】即ち、本発明に係るガスタービンの動翼におい
ては、長さ方向に貫通する多孔を介して対流冷却される
ガスタービンの動翼における多孔からシュラウドに沿っ
て分岐して設けられた複数の溝に多孔を介して対流冷却
を行った冷却気体を通して動翼頂部を冷却するようにな
っており、多孔から複数の溝をシュラウドに沿って分岐
して設けたことにより動翼頂部における冷却空気の通過
面積が増加し冷却空気がシュラウドに沿って流れて熱交
換を行う距離が長くなり動翼頂部の冷却が十分に行われ
る。
【0008】そしてこれら複数の溝はシュラウドの表面
に設けた窪み内に刻設され、かつ同窪みには上記溝の両
端に対応する部位に切込穴が穿設されたプラグ板を嵌
んで蝋付けしており、多孔から複数の溝をシュラウドに
沿って分岐して設けたことにより動翼頂部における冷却
空気の通過面積が増加し冷却空気がシュラウドに沿って
流れて熱交換を行う距離が長くなり動翼頂部の冷却が十
分に行われる。しかも、これら複数の溝はシュラウド表
面の窪み内に刻設して窪みにプラグ板を嵌込んで蝋付け
することにより特に高度な加工技術を要することなく容
易に製作できて製作費に対する影響も少ない。
【0009】
【実施例】図1および図2は本発明の一実施例に係るガ
スタービンの動翼の説明図である。図において、本実施
例に係るガスタービンの動翼は火力発電などに使用され
るガスタービンのもので、インテグラルシュラウドブレ
ードと称され、それぞれの動翼3の先端にシュラウド1
が一体に形成されており、シュラウド1は動翼3の先端
から漏洩するガスを減少させるとともに、シュラウド1
の端面を隣接するシュラウド1の端面に圧接して連続し
たシュラウド1を形成することにより動翼3の耐振動強
度を向上させるようになっている。動翼3にはロータの
軸方向と円周方向との両方向の振動が発生するが、シュ
ラウド1の端面を斜めに形成することにより両方向の振
動が抑制される。また、シュラウド1には動翼3の先端
から漏洩するガスを減少させるためと、ケーシング側と
の接触に備えてフィン4が突設されている。
【0010】また、本ガスタービンの動翼には入口温度
が1000〜1200℃と高温のガスに対応するために
冷却が施されており、図1に示すように動翼3を長さ方
向に貫通する多孔5による対流冷却方式が採用されてい
る。矢印はその冷却空気の流れを示す。また、本ガスタ
ービン動翼においては図2に示すようにシュラウド1に
長方形或いは方形の窪みaが設けられており、窪みa内
には回転方向に複数条の冷却空気用の溝bが刻設されて
いる。窪みaにはプラグ板2が嵌込まれており、このプ
ラグ板2には冷却空気の溝bの両端に対応する部位にそ
れぞれ溝幅と同等幅の切込みcが設けられている。プラ
グ板2は窪みaに嵌込まれて窪みa周辺に当接する全周
辺を蝋付けして固定されている。
【0011】冷却空気は動翼3を貫通している多孔5内
を流れて動翼3を冷却してシュラウド1に至り、プラグ
板2によって両方向に流れの方向を変え、窪みa内の溝
bを通ってシュラウド1を冷却し、矢印で示すようにラ
ジアル方向に流出する。動翼1を長さ方向に貫通する多
孔5により動翼3頂部を対流冷却しようとしても、動翼
3の形状に制限されて孔数を増やして冷却空気量を増や
すことは殆ど不可能に近く、また冷却空気は多孔5内を
直線的に流出するので熱交換を行う距離が非常に短い
が、上述のように長方形、或いは方形の窪みaに冷却空
気用の溝bを刻設して溝bに対応する部位に切込みcを
有するプラグ板2を嵌込んで蝋付けして固定することに
より冷却空気の通過面積が大幅に増加して冷却空気量も
大幅に増加する。また、プラグ板2を介して冷却空気が
両側の切込みcから流出するので、冷却空気がシュラウ
ド1に沿って流れる距離も長くなって熱交換を行う距離
も長くなり冷却効果が向上する。
【0012】従来のガスタービンの動翼においては動翼
を長さ方向に貫通する多孔による対流冷却が行われてお
り、動翼内部を冷却して昇温した冷却空気は動翼頂部も
冷却して多孔先端から流出するが、動翼頂部の冷却効果
は極めて低い。動翼頂部のシュラウドは熱容量が小さ
く、冷却が不足するとシュラウドの温度は高温のガス温
度に相当するまで昇温する。このため、動翼に対するシ
ュラウドの付け根部に高遠心力に加えて高温度によりク
リープ変形が発生し、動翼頂部がケーシング側に接触し
て焼損することがあるが、本ガスタービンの動翼はこの
問題点を解消するためにシュラウド1に長方形或いは方
形の窪みaを加工し、この窪みa内にロータの回転方向
に複数条の冷却空気用の溝bを刻設するとともに窪みa
に嵌め込むプラグ板2の冷却空気用の溝b終端に対応す
る部位に溝幅と同等幅の切込みcを設け、このプラグ板
2を窪みaに嵌込み、嵌込んだプラグ板2の全周縁を窪
みaに蝋付けして固定しており、このようなシュラウド
1の冷却構造によってシュラウド1および動翼3頂部の
冷却が十分に行われ、動翼3に対するシュラウド1の付
け根部に高遠心力と高温度によって惹き起こされるクリ
ープ変形を防止することができる。なお、窪みaは必ず
しも長方形または方形である必要はなく、シュラウド1
の形状や冷却の必要な場所の状態などに応じて変えても
よい。また、溝bは必ずしも回転方向に刻設する必要は
なく、ロータの軸方向や斜め、或いは曲がって刻設され
ていてもよい。また、シュラウド1における窪みaの加
工、冷却空気用の溝bの加工、切込みcの加工、プラグ
板2の蝋付けも特に高度な技術を必要とするものではな
く容易で、製作費への影響も少ない。
【0013】
【発明の効果】本発明に係るガスタービンの動翼は前記
のように構成されており、動翼頂部の冷却が十分に行わ
れるので、動翼に対するシュラウドの付け根部に高遠心
力と高温度により発生するクリープ変形が防止される。
しかも、これら複数の溝はシュラウド表面の窪み内に刻
設して窪みにプラグ板を嵌込んで蝋付けすることにより
特に高度な加工技術を要することなく容易に製作できて
製作費に対する影響も少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の一実施例に係るガスター
ビンの動翼の斜視図、動図(b)は断面図である。
【図2】図2は分解図である。
【図3】図3は(a)は従来のガスタービンの動翼の斜
視図、同図(b)は断面図、同図(c)はその多孔の斜
視図である。
【符号の説明】
1 シュラウド 2 プラグ板 3 動翼 4 フィン 5 多孔 a 窪み b 冷却空気用の溝 c 切込み
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01D 5/18 F02C 7/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さ方向に貫通する多孔を介して対流冷
    却されるガスタービンの動翼において、上記多孔からシ
    ュラウドに沿って分岐して設けられ上記多孔を介して
    対流冷却を行った冷却気体を通して動翼頂部を冷却する
    複数の溝を有し、同溝は上記シュラウドの表面に設けた
    窪み内に刻設され、同窪みには上記溝の両端に対応する
    部位に切込穴が穿設されたプラグ板を嵌込んで蝋付けし
    ことを特徴とするガスタービンの動翼。
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