JP4513195B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板や金属リードフレームの片面に半導体素子を搭載し、その搭載面側の実質的に片面のみを樹脂封止されたいわゆるエリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、又、半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。
エリア実装型半導体装置としてはBGA(ボールグリッドアレイ)或いは更に小型化を追求したCSP(チップスケールパッケージ)等が代表的であるが、これらは従来QFP、SOPに代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、BT樹脂/銅箔回路基板(ビスマレイミド・トリアジン樹脂/ガラスクロス基板)に代表される硬質回路基板、或いはポリイミド樹脂フィルム/銅箔回路基板に代表されるフレキシブル回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その半導体素子搭載面、即ち基板の片面のみがエポキシ樹脂組成物等で成形・封止されている。又、基板の半導体素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。更に、半導体素子を搭載する基板としては、上記の有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も開発されている。
【0003】
これらエリア実装型半導体装置の構造は、基板の半導体素子搭載面のみをエポキシ樹脂組成物で封止し、半田ボール形成面側は封止しないという片面封止の形態をとっている。リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、半導体素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため、有機基板や金属基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合、或いはエポキシ樹脂組成物の成形硬化時の硬化収縮による影響で、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。
更に、これらの半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、200℃以上の加熱工程を経るが、この際にも半導体装置の反りが発生し、多数の半田ボールが平坦とならず、半導体装置を実装する回路基板から浮き上がってしまい、電気的接合の信頼性が低下する問題が起こる。
【0004】
又、赤外線リフロー、ベーパーフェイズソルダリング、半田浸漬等の手段での半田処理による半田接合を行う場合、エポキシ樹脂組成物の硬化物並びに有機基板からの吸湿により半導体装置内部に存在する水分が高温で急激に気化することによる応力で半導体装置にクラックが発生したり、有機基板の半導体素子搭載面とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生することもあり、エポキシ樹脂組成物の低応力化・低吸湿化とともに、有機基板との接着性も求められる。
更に、有機基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱膨張の不整合により、信頼性テストの代表例である温度サイクル試験でも、有機基板/エポキシ樹脂組成物の硬化物の界面の剥離やクラックが発生する。
従来のQFPやSOP等の表面実装型半導体装置では、半田実装時のクラックや各素材界面での剥離の防止のために、ビフェニル型エポキシ樹脂に代表されるような結晶性エポキシ樹脂と、可撓性骨格を有するフェノール樹脂とを組み合わせて用い、かつ無機充填材の配合量を増加することにより、ガラス転移温度(以下、Tgという)の低下、及び低吸湿化を行う対策がとられてきた。しかし、この手法では、片面封止パッケージにおける反りの問題は解決できないのが現状であった。
【0005】
基板上の実質的に片面のみをエポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置において、反りを低減するには、基板の熱膨張係数とエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数とを近づけること、及びエポキシ樹脂組成物の硬化物の硬化収縮量を小さくすることの二つの方法が重要である。
基板としては、有機基板ではBT樹脂やポリイミド樹脂のような高いTgを有する樹脂が広く用いられており、これらはエポキシ樹脂組成物の成形温度である170℃近辺よりも高いTgを有する。従って、成形温度から室温までの冷却過程では有機基板の線膨張係数(以下、α1という)の領域のみで収縮する。従って、エポキシ樹脂組成物の硬化物も、Tgが高くかつα1が有機基板と同じで、更に硬化収縮量がゼロであれば、反りはほぼゼロであると考えられる。このため、多官能型エポキシ樹脂と多官能型フェノール樹脂との組み合わせによりTgを高くし、無機充填材の配合量でα1を合わせる手法が既に提案されている。
【0006】
ところが、一分子中に3個以上のエポキシ基を有する多官能型エポキシ樹脂と、一分子中に3個以上のフェノール性水酸基を有する多官能型フェノール樹脂とを組み合わせた系は、吸湿率が大きいこと、各々の樹脂の粘度が高いため無機充填材を高充填することができず低吸湿化が困難なこと、半田処理温度でも高弾性を示し発生応力が高いこと等から、半田処理時のパッケージクラックの発生や界面剥離の発生が解決されていない。中でも、金メッキとエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面、又はソルダーレジストとエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生しており、金メッキやソルダーレジストとの密着性を高めたエポキシ樹脂組成物の開発が急務である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形後や半田処理時の反りが小さく、又、金メッキやソルダーレジストとの密着性に特に優れるため、耐半田性や耐温度サイクル性に優れ、エリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、(A)一般式(1)〜(5)で示され、かつ融点が50〜150℃のエポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂中に30重量%以上含むエポキシ樹脂、(B)一般式(6)で示されるフェノール樹脂を総フェノール樹脂中に30重量%以上含むフェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)一般式(7)〜(9)で示される化合物から選択される1種以上の化合物、及び(E)溶融シリカを必須成分とし、かつ総エポキシ樹脂組成物中に前記溶融シリカを80〜90重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが前記のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とする半導体装置である。
【化7】
Figure 0004513195
(一般式(1)〜(4)中のR1は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0009】
【化8】
Figure 0004513195
(式中、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。lは平均値であり、1〜7の正の数、aは0もしくは1〜4の整数、bは0もしくは1〜3の整数、cは0もしくは1〜2の整数である。)
【0010】
【化9】
Figure 0004513195
(式中、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。lは平均値であり、1〜10の正の数、aは0もしくは1〜4の整数、bは0もしくは1〜3の整数である。)
【0011】
【化10】
Figure 0004513195
(式中、R3は炭素数1〜10のアルコキシ基、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は水素原子、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル基、又はアミノ基である。kは平均値で1〜5の正数。mは1〜5の整数。nは1〜3の整数。)
【0012】
【化11】
Figure 0004513195
(式中、R6は炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
【0013】
【化12】
Figure 0004513195
(式中、R7は炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるエポキシ樹脂のうち、一般式(1)〜(5)で示され、かつ融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂は、融点未満の温度では固体であるが、融点以上の温度では低粘度の液状物質となる。このため融点が50℃未満だと、エポキシ樹脂組成物の製造工程において融着を起こしやすく、作業性が著しく低下するので好ましくない。又、融点が150℃を越えると、エポキシ樹脂組成物を加熱混練する製造工程で充分に溶融しないため、材料の均一性に劣るといった問題点を生じるので好ましくない。これらは単独でも混合して用いても良い。これらの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化13】
Figure 0004513195
【0015】
【化14】
Figure 0004513195
【0016】
【化15】
Figure 0004513195
【0017】
【化16】
Figure 0004513195
【0018】
【化17】
Figure 0004513195
本発明におけるエポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量計[セイコー電子(株)製・SSC/5200]を用いて、吸熱ピーク温度(昇温速度5℃/分)から求めた。
【0019】
本発明に用いられる結晶性エポキシ樹脂は、フェノールノボラック樹脂や可撓性骨格を導入したフェノール樹脂硬化剤との組み合わせでは架橋密度が低く、耐熱性の低い硬化物しか得られない。しかし構造として剛直な平面ないし棒状の骨格を有しており、かつ結晶化する性質、即ち分子同士が配向しやすいという特徴を有するため、一般式(6)で示される多官能型フェノール樹脂硬化剤を併用した場合、硬化後の多官能型フェノール樹脂による架橋構造の架橋密度は低下させても、Tg等の耐熱性は低下させない特徴がある。
通常の2官能非結晶性エポキシ樹脂では、多官能型フェノール樹脂と組み合わせても、架橋密度が低下すると共に、Tgの大幅な低下も起こってしまう。
更に、本発明に用いられる結晶性エポキシ樹脂と多官能型フェノール樹脂とを組み合わせた場合、一旦Tgを越えた温度領域では、低官能基数化合物の特徴である低弾性率を示すため、半田処理温度での低応力化に効果的である。このため、半田処理での半導体装置のクラックの発生や、基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の剥離の発生を防止する効果がある。
又、本発明に用いられる結晶性エポキシ樹脂は、溶融状態では低粘度を示すため、成形時にエポキシ樹脂組成物の流動性が高くなり、薄型半導体装置への充填性に優れる。
更に、本発明に用いられる結晶性エポキシ樹脂は低粘度であるため、溶融シリカを高充填することが可能で、線膨張係数を小さくできるため、半導体装置の反りを低減できる。
【0020】
本発明の一般式(1)〜(5)で示され、かつ融点50〜150℃のエポキシ樹脂は、他のエポキシ樹脂と併用しても良い。併用できるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂は単独でも混合して用いても良い。
本発明の一般式(1)〜(5)で示され、かつ融点50〜150℃のエポキシ樹脂は、総エポキシ樹脂中に30重量%以上含まれることが必要である。30重量%未満だと、熱時の低弾性化や低粘度化の効果が得難く、従って基板との高密着性が発現せず、好ましくない。
【0021】
本発明に用いられるフェノール樹脂硬化剤は、一般式(6)で示されるフェノール樹脂で、いわゆるトリフェノールメタン型フェノール樹脂と呼ばれるものである。具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化18】
Figure 0004513195
一般式(6)で示されるフェノール樹脂を使用すると、硬化物の架橋密度が高くなり、Tgの高い硬化物が得られる。一般式(6)で示されるフェノール樹脂は、Tgの点から、総フェノール樹脂中に30重量%以上含まれることが必要である。30重量%未満だと、Tgが低下し、又、硬化収縮率も大きくなり、成形後の半導体装置の反り量が大きくなるので好ましくない。
一般式(6)で示されるフェノール樹脂は、他のフェノール樹脂と併用しても良い。併用できるフェノール樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0022】
本発明に用いられる硬化促進剤としては、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤との架橋反応の触媒となり得るものを指し、具体的には、トリブチルアミン等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は、単独でも混合して用いても良い。
【0023】
本発明に用いられるシランカップリング剤は、一般式(7)〜(9)で示される化合物から選択される1種以上の化合物である。
一般式(7)で示されるシランカップリング剤は、ポリエチレンイミン変性部分を含んでおり、このポリエチレンイミン変性部分を含んでいることにより樹脂成分との反応性が高くなると同時に、溶融シリカや各種基材表面の水酸基と反応することにより、接着強度が高まり、耐半田性を向上させることができる。一般式(7)中のnは、アルコキシ基が溶融シリカや各種基材との接着強度を向上させることから、n=3が最も好ましい。又、アルコキシ基の炭素数を調整することにより、該シランカップリング剤と樹脂成分や溶融シリカとの反応性を調整することができる。又、m=3が、入手し易さの点から好ましい。又、kが大きくなるに従い、該シランカップリング剤の粘度が上昇し、エポキシ樹脂組成物中での均一混合が困難となる。このようなシランカップリング剤を用いる場合は、アルコール等に溶解させ粘度を調整して用いてもよい。
【0024】
一般式(8)で示されるシランカップリング剤は、イソシアヌネート環を含んでおり、このイソシアヌネート環を含んでいることにより樹脂成分との濡れ性が向上すると同時に、極性構造のため各種基材との接着強度を向上させることができる。又、アルコキシ基の炭素数を調整することにより、該シランカップリング剤と樹脂成分や溶融シリカとの反応性を調整することができる。
【0025】
一般式(9)で示されるシランカップリング剤は、分子中に4つの硫黄原子が結合したスルフィド結合を有し、この結合によって金属、特に他のシランカップリング剤では高い接着力が得られにくい、金、銀、ニッケル等の金属表面との接着性を向上させる効果がある。又、アルコキシ基の炭素数を調整することにより、該シランカップリング剤と樹脂成分や無機充填材との反応性を調整することができる。
【0026】
本発明の一般式(7)〜(9)で示されるシランカップリング剤は、他のシランカップリング剤と併用しても良い。併用できるシランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、1分子中にアルコキシシリル基と、エポキシ基等の有機官能基を有するシラン化合物全般を指し、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0027】
一般式(7)〜(9)で示されるシランカップリング剤は、予めアルコキシ基の一部又は全部を加水分解した加水分解物として添加してもよい。この場合、予めアルコキシ基が加水分解されているため、無機充填材や各種基材表面の水酸基と容易に水素結合或いは共有結合を形成し、耐半田性を向上させることができる。
【0028】
通常、シランカップリング剤は、エポキシ樹脂組成物中にインテグラルブレンドにより混合されるが、本発明の一般式(7)〜(9)で示されるシランカップリング剤の全部又は一部を、予めエポキシ樹脂やフェノール樹脂の全部又は一部に加熱混合してもよい。シランカップリング剤は、半導体装置の内部に存在する各種基材とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の親和性向上や化学結合の形成による界面接着強度の向上にも効果がある。この場合は、配合されたシランカップリング剤が、エポキシ樹脂組成物の成形時に各種基材との界面に効率的に移行し易いことが必要になる。このために有効な手法が、シランカップリング剤を予め樹脂成分に加熱混合させる方法である。
【0029】
一方、シランカップリング剤は、無機充填材表面に存在することにより、無機充填材とエポキシ樹脂組成物中の有機成分を化学的に結合させ、界面の接着性の向上に有効であると考えられる。このように無機充填材と有機成分の界面の接着性を向上させるためには、シランカップリング剤が無機充填材表面に存在することが必要で、このために本発明の一般式(7)〜(9)で示されるシランカップリング剤で、溶融シリカ表面を処理することが、界面接着強度の向上により、熱時強度や耐半田性の向上に効果がある。溶融シリカの表面にシランカップリング剤を処理する方法としては、攪拌されている溶融シリカにシランカップリング剤或いはアルコール等に溶解した溶液を噴霧し、更に攪拌を行った後に室温に放置したり、或いは加熱することにより表面処理溶融シリカを得る方法等が挙げられる。更に、表面処理した溶融シリカの他に、シランカップリング剤をインテグラルブレンド又は樹脂成分と予め加熱混合する手法と併用してもよい。
【0030】
本発明に用いられる溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、かつエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状溶融シリカを主に用いる方が好ましい。更に球状溶融シリカの配合量を高めるためには、球状溶融シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。
本発明の溶融シリカは、総エポキシ樹脂組成物中に80〜90重量%含まれることが必要である。80重量%未満だと、成形温度から室温までの冷却課程での熱収縮量が基板の熱収縮量よりも大きくなり過ぎ、室温における半導体装置の反り量が大きくなってしまい、又、半導体装置の吸湿量も大きくなるため、吸湿後の半田処理時に半導体装置のクラックや基板/エポキシ樹脂組成物の界面での剥離の発生が起こり易くなるので好ましくない。90重量%を越えると、エポキシ樹脂組成物の成形時の粘度が高過ぎるため金線変形が起こり易くなるので好ましくない。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、押出機等の混練機で加熱混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エリア実装型半導体装置用に適している。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。配合割合は重量部とする。
《実施例1》
式(10)で示される構造を主成分とするビフェニル型エポキシ樹脂[融点105℃、エポキシ当量195] 8.00重量部
【化19】
Figure 0004513195
【0033】
Figure 0004513195
【化20】
Figure 0004513195
【0034】
トリフェニルホスフィン 0.20重量部
式(12)で示されるシランカップリング剤 0.50重量部
【化21】
Figure 0004513195
球状溶融シリカ 86.70重量部
カルナバワックス 0.30重量部
カーボンブラック 0.30重量部
をミキサーで混合した後、表面温度が90℃と45℃の2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0035】
《評価方法》
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。
・熱時弾性率:240℃での曲げ弾性率をJIS K 6911に準じて測定した。
・ガラス転移温度(Tg)、及び線膨張係数(α1):金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間120秒でトランスファー成形したテストピースを、更に175℃、8時間で後硬化し、熱機械分析装置[セイコー電子(株)・製TMA−120、昇温速度5℃/分)を用いて測定した。
・パッケージ反り量:225ピンBGAパッケージ(基板は0.36mm厚のBT樹脂基板、パッケージサイズは24×24mm、厚み1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚み0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている)を金型温度180℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間120秒でトランスファー成形し、更に175℃、8時間で後硬化した。室温に冷却後、パッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変異差の最も大きい値を反り量とした。
・耐半田性:パッケージ反り量測定に用いた225ピンBGAパッケージを85℃、相対湿度60%の環境下で168時間放置し、その後、最高温度240℃で10秒通るIRリフロー炉に3回連続で通した。超音波探傷機を用いて観察し、内部クラック数、金メッキ部−エポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の剥離数、及びソルダーレジスト−エポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の剥離数を、それぞれ(不良発生パッケージ数)/(全パッケージ数)で%表示した。
・金線変形率:パッケージ反り量の測定に用いた225ピンBGAパッケージを軟X線透視装置で観察し、金線変形率を(流れ量)/(金線長)で%表示した。
【0036】
《実施例2〜46、比較例1〜16》
表1〜表8の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1〜表8に示す。
実施例及び比較例で使用した式(13)〜(17)で示されるエポキシ樹脂、式(18)で示されるフェノール樹脂、式(19)で示されるシランカップリング剤の構造及び性状を以下に示す。
【化22】
Figure 0004513195
【0037】
【化23】
Figure 0004513195
【0038】
【化24】
Figure 0004513195
・式(13)で示される構造を主成分とするエポキシ樹脂:融点144℃、エポキシ当量175、
・式(14)で示される構造を主成分とするエポキシ樹脂:融点52℃、エポキシ当量225、
・式(15)で示される構造を主成分とするエポキシ樹脂:融点82℃、エポキシ当量190、
・式(16)で示されるエポキシ樹脂:融点133℃、エポキシ当量182、
・式(17)で示されるエポキシ樹脂:軟化点65℃、エポキシ当量200、
・式(18)で示されるフェノール樹脂:軟化点80℃、水酸基当量104
【0039】
【表1】
Figure 0004513195
【0040】
【表2】
Figure 0004513195
【0041】
【表3】
Figure 0004513195
【0042】
【表4】
Figure 0004513195
【0043】
【表5】
Figure 0004513195
【0044】
【表6】
Figure 0004513195
【0045】
【表7】
Figure 0004513195
【0046】
【表8】
Figure 0004513195
【0047】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、金メッキやソルダーレジストとの密着性に優れており、又、これを用いたエリア実装型半導体装置は、室温及び半田付け工程での反りが小さく、耐半田性や耐温度サイクル性等の信頼性に優れるものである。

Claims (2)

  1. 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみを封止する際に用いる半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、(A)一般式(1)〜(5)で示され、かつ融点が50〜150℃のエポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上のエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂中に30重量%以上含むエポキシ樹脂、(B)一般式(6)で示されるフェノール樹脂を総フェノール樹脂中に30重量%以上含むフェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)一般式(7)〜()で示される化合物から選択される1種以上の化合物、及び(E)溶融シリカを必須成分とし、かつ総エポキシ樹脂組成物中に前記溶融シリカを80〜90重量%含むことを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004513195
    (一般式(1)〜(4)中のR1は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0004513195
    (式中、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。lは平均値であり、1〜7の正の数、aは0もしくは1〜4の整数、bは0もしくは1〜3の整数、cは0もしくは1〜2の整数である。)
    Figure 0004513195
    (式中、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。lは平均値であり、1〜10の正の数、aは0もしくは1〜4の整数、bは0もしくは1〜3の整数である。)
    Figure 0004513195
    (式中、R3は炭素数1〜10のアルコキシ基、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は水素原子、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル基、又はアミノ基である。kは平均値で1〜5の正数。mは1〜5の整数。nは1〜3の整数。)
    Figure 0004513195
    (式中、R6は炭素数1〜10のアルコキシ基である。)
  2. 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とするエリア実装型半導体装置。
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