JP4508075B2 - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、特に、圧縮効率の向上対策に係るものである。
従来より、例えば特許文献1に開示されているような回転式圧縮機が知られている。この回転式圧縮機は、シリンダと偏心回転するピストン部材とを備えている。シリンダとピストン部材は、閉空間となる圧縮室を形成している。また、シリンダとピストン部材のそれぞれには、端壁が形成されている。シリンダの端壁とピストン部材の端壁とは、圧縮室を挟んで向かい合っている。そして、この回転式圧縮機は、ピストン部材を偏心回転させることで、圧縮室へ吸入した流体を圧縮する。
この回転式圧縮機では、シリンダの端壁とピストン部材の端壁とのそれぞれに圧縮室の内圧が作用する。圧縮室内の流体が圧縮されると、圧縮室の内圧が上昇する。このため、何の対策も講じなければ、シリンダとピストン部材は、それぞれの端壁に作用する圧力(離反力)によって互いに離反する方向へ移動してしまい、その結果、圧縮室の気密を充分に保持できなくなって圧縮効率の低下を招いてしまう。
そこで、上記特許文献1に開示された回転式圧縮機では、ピストン部材の端壁に押し付け力を作用させ、ピストン部材とシリンダのクリアランスが拡大するのを回避して圧縮室の気密を確保するようにしている。これにより、圧縮効率の低下を防止している。
特開平6−288358号公報
しかしながら、ピストンが1回転する間において、該ピストンに作用する押し付け力が圧縮室の内圧に対して過剰となり、シリンダとピストンとの摩擦力が増大するという問題があった。この圧縮機は、ピストンが1回転する間に圧縮室の内圧が大きく変動するのに対して、ピストンに作用する押し付け力は常に一定である。つまり、この押し付け力が圧縮室の内圧に依存する最大離反力に基づいて設計されているため、ピストンの回転角度によっては押し付け力が過剰となる場合がある。この結果、シリンダとピストンとの摩擦力が増大し、機械損失の増大を招くという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機械損失を増大させることなく、高い圧縮効率を確保することである。
第1〜第14の発明は、シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機を前提としている。そして、上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成している。一方、本発明は、上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)とを備えているものである。
上記の発明では、シリンダ(40)とピストン(50)に囲まれたシリンダ室(60,65)が、高圧室(61,66)と低圧室(62,67)に仕切られる。このシリンダ(40)とピストン(50)が相対的に偏心回転すると、高圧室(61,66)と低圧室(62,67)の容積が変化する。低圧室(62,67)の容積が拡大する過程では低圧室(62,67)へ流体が吸入され、高圧室(61,66)の容積が縮小する過程では高圧室(61,66)内の流体が圧縮される。高圧室(61,66)内の流体圧は、離反力としてシリンダ(40)の鏡板部(41)とピストン(50)の鏡板部(51)のそれぞれに対し、両者を互いに引き離す方向へ作用する。
一方、この発明の回転式圧縮機には、押し付け機構(70)が設けられている。この押し付け機構(70)は、シリンダ(40)とピストン(50)の何れか一方に対して押し付け力を作用させる。この発明では、シリンダ(40)とピストン(50)のうち、押し付け機構(70)から押し付け力を受ける方を押し側部材とし、残りを受け側部材としている。シリンダ(40)が押し側部材となってピストン(50)が受け側部材となる場合、押し付け機構(70)は、押し側部材であるシリンダ(40)に対して、受け側部材であるピストン(50)の鏡板部(51)へ向かう方向の押し付け力を作用させる。逆に、ピストン(50)が押し側部材となってシリンダ(40)が受け側部材となる場合、押し付け機構(70)は、押し側部材であるピストン(50)に対して、受け側部材であるシリンダ(40)の鏡板部(41)へ向かう方向の押し付け力を作用させる。この押し付け機構(70)の押し付け力により、シリンダ(40)とピストン(50)は、その一方が他方の鏡板部へ向かって押し付けられる。
ここで、この押し付け機構(70)に相当するものだけを備える従来の回転式圧縮機(10)において、押し側部材に作用する荷重のうち、受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさは、押し側部材の鏡板部が高圧室(61,66)内の流体から受ける力と押し付け機構(70)から受ける力の合力となる。そして、押し側部材が押し付け機構(70)から受ける力が高圧室(61,66)内の流体から受ける力に比べて過大になると、押し側部材と受け側部材の間に作用する摩擦力が大きくなり、それに起因する動力の損失(即ち摩擦損失)が増大してしまう。
そこで、この発明では、回転式圧縮機に調節機構(80)を設けている。この調節機構(80)は、押し側部材に作用する荷重のうち、受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを調節する。その際、調節機構(80)は、この荷重の大きさを、シリンダ室(60,65)の1偏心回転中の内圧の変動に応じて調節する。これにより、シリンダ(40)の内圧に応じて受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさが適切に設定される。
また、第1〜第14の発明は、上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成されている。そして、上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備えている。さらに、上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画されているものである。
上記の発明では、図2に示すように、シリンダ(40)により形成されるシリンダ室(60,65)は、その横断面(即ち、シリンダ(40)の軸方向と直交する断面)が環状となっている。このシリンダ室(60,65)は、環状のピストン(50)によって外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)に仕切られる。ピストン(50)の外側に位置する外側シリンダ室(60)は、ブレード(45)によって高圧室(61)と低圧室(62)に仕切られる。また、ピストン(50)の内側に位置する内側シリンダ室(65)も、ブレード(45)によって高圧室(66)と低圧室(67)に仕切られる。ピストン(50)とシリンダ(40)が相対的に偏心回転すると、これら高圧室(61,66)と低圧室(62,67)の容積が変化し、低圧室(62,67)への流体の吸入と、高圧室(61,66)での流体の圧縮とが行われる。
また、第1および第2の発明は、上記調節機構(80)は、上記押し付け機構(70)の押し付け力の大きさを変更することによって上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更するものである。
上記の発明では、調節機構(80)が、押し側部材が押し付け機構(70)から受ける押し付け力の大きさ自体を変更する。そして、押し付け機構(70)の押し付け力の大きさを調節機構(80)が変更すると、それに伴って、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部向きの荷重の大きさが変化する。
また、第の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。一方、上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させている。そして、上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の背面に開口する連通溝(81,82)を備え、該連通溝(81,82)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記大径シールリング(71)を跨いで該大径シールリング(71)の外側部分と該大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分とを連通させるように構成されているものである。
上記の発明では、支持部材(35)と押し側部材の鏡板部との間に背面側隙間(75)が形成される。この背面側隙間(75)は、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)によって3つの部分に仕切られている。具体的に、背面側隙間(75)は、小径シールリング(72)の内側部分と、小径シールリング(72)および大径シールリング(71)の間の部分と、大径シールリング(71)の外側部分とに区画されている。背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)の内側部分が吐出流体の圧力と略同一になり、大径シールリング(71)の外側部分が吸入流体の圧力と略同一になる。
また、この状態において、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分は、吐出流体の圧力と吸入流体の圧力の中間の値となる。つまり、大径シールリング(71)や小径シールリング(72)が流体の漏れを完全に阻止する訳ではないため、背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)の内側の圧力と大径シールリング(71)の外側の圧力の中間の値となる。
上記押し側部材の鏡板部の背面には、図3および図5に示すように、調節機構(80)の連通溝(81,82)が設けられている。この連通溝(81,82)は、押し側部材の偏心回転運動に伴って移動し、大径シールリング(71)を跨ぐと、該大径シールリング(71)の外側部分と大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分とを連通させる。これにより、大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分が吸入流体の圧力と略同一になる。つまり、押し側部材の鏡板部の背面のうち、中間圧力が作用していた部分の面積が吸入流体の圧力が作用する部分の面積として増大するので、押し付け機構(70)によって押し側部材の鏡板部の背面全体に作用する押し付け力が減少する。したがって、1偏心回転のうちシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が低くなる回転角度のときに、連通溝(81,82)が大径シールリング(71)を跨ぐように設定すれば、押し側部材と受け側部材との摩擦による損失が低減される。
また、第の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。一方、上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させている。そして、上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の背面に開口する連通溝(81,82)を備え、該連通溝(81,82)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記小径シールリング(72)を跨いで該小径シールリング(72)の内側部分と該小径シールリング(72)および大径シールリング(71)の間の部分とを連通させるように構成されているものである。
上記の発明では、支持部材(35)と押し側部材の鏡板部との間に背面側隙間(75)が形成される。この背面側隙間(75)は、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)によって3つの部分に仕切られている。具体的に、背面側隙間(75)は、小径シールリング(72)の内側部分と、小径シールリング(72)および大径シールリング(71)の間の部分と、大径シールリング(71)の外側部分とに区画されている。背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)の内側部分が吐出流体の圧力と略同一になり、大径シールリング(71)の外側部分が吸入流体の圧力と略同一になる。
また、この状態において、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分は、吐出流体の圧力と吸入流体の圧力の中間の値となる。つまり、大径シールリング(71)や小径シールリング(72)が流体の漏れを完全に阻止する訳ではないため、背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)の内側の圧力と大径シールリング(71)の外側の圧力の中間の値となる。
上記押し側部材の鏡板部の背面には、図7に示すように、調節機構(80)の連通溝(81,82)が設けられている。この連通溝(81,82)は、押し側部材の偏心回転運動に伴って移動し、小径シールリング(72)を跨ぐと、該小径シールリング(72)の内側部分と該小径シールリング(72)および大径シールリング(71)の間の部分とを連通させる。これにより、大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分が吐出流体の圧力と略同一になる。つまり、押し側部材の鏡板部の背面のうち、中間圧力が作用していた部分の面積が吐出流体の圧力が作用する部分の面積として増大するので、押し付け機構(70)によって押し側部材の鏡板部の背面全体に作用する押し付け力が増大する。したがって、1偏心回転のうちシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が大きくなる回転角度のときに、連通溝(81,82)が小径シールリング(72)を跨ぐように設定すれば、押し側部材と受け側部材との摩擦による損失が低減される。
また、第の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)の流体圧によって上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付けるように構成されている。一方、上記背面側隙間(75)には、互いに直径の異なるリング状に形成された大径シールリング(71)および小径シールリング(72)が配置されている。そして、上記調節機構(80)は、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分における流体圧を変更することによって、上記押し付け機構(70)が上記押し側部材へ作用させる押し付け力の大きさを変化させるものである。
上記の発明では、押し側部材の鏡板部と支持部材(35)との間に背面側隙間(75)が形成される。押し付け機構(70)は、背面側隙間(75)に存在する流体の圧力を押し側部材の鏡板部の背面に作用させることで、押し側部材に押し付け力を作用させている。一方、調節機構(80)は、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分における流体圧を調節できるように構成される。この部分の流体圧が変化すると、押し側部材が背面側隙間(75)内の流体から受ける力が変化し、その結果、押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさが変化する。
また、第の発明は、上記大径シールリング(71)の中心が、上記シリンダ(40)または上記ピストン(50)の回転中心よりも上記高圧室(61,66)寄りに位置しているものである。
上記の発明では、図21に示すように、大径シールリング(71)はその中心位置が高圧室(61,66)側に偏るように配置されている。また、この発明において、小径シールリング(72)は、例えば、その中心位置がシリンダ(40)やピストン(50)回転中心に位置するように配置されている。ここで、ピストン(50)やシリンダ(40)の鏡板部に作用する流体圧は、低圧室(62,67)側よりも高圧室(61,66)側の方が大きくなる。このため、ピストン(50)またはシリンダ(40)である押し側部材の鏡板部へ押し付け力を平均的に作用させるだけでは、ピストン(50)やシリンダ(40)を傾けようとするモーメントが残ってしまう。これに対し、大径シールリング(71)を高圧室(61,66)寄りに配置すると、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)に挟まれた部分の内圧によって押し側部材の鏡板部に作用する押し付け力は、その作用点が高圧室(61,66)寄りの位置となる。このため、押し側部材を傾けようとするモーメントが低減される。
また、第4〜第9の発明は、上記調節機構(80)は、上記押し側部材が上記受け側部材の鏡板部から離れる方向の押し返し力を生じさせると共に、該押し返し力の大きさを変更することによって上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更するものである。
上記の発明では、調節機構(80)は、押し付け機構(70)からの押し付け力とは逆向きの押し返し力を生じさせ、この押し返し力の大きさを変更する。押し付け機構(70)による押し付け力は調節機構(80)の押し返し力と打ち消し合うため、調節機構(80)が押し返し力の大きさを変更すると、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部向きの荷重の大きさが変化する。
また、第5〜第7の発明は、上記調節機構(80)は、上記受け側部材の鏡板部の前面と摺接する上記押し側部材の先端面に開口する凹溝(83)を備え、該凹溝(83)の内圧を変更することによって上記押し返し力の大きさを変更するものである。
上記の発明では、押し側部材の先端面に凹溝(83)が開口している。この凹溝(83)の内圧は、受け側部材の鏡板部の前面に作用する。つまり、凹溝(83)の内圧が受け側部材に作用すると反力が生じ、その反力が押し側部材の鏡板部を受け側部材から引き離す押し返し力となる。調節機構(80)は、凹溝(83)の内圧を変更することで、押し側部材へ作用する押し返し力の大きさを変化させる。
また、第の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。一方、上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)に配置されたシールリング(73)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記シールリング(73)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記シールリング(73)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させている。そして、上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記押し側部材の鏡板部の背面に開口し、該開口端が偏心回転に伴って上記シールリング(73)の外側部分および内側部分を行き来する連通路(84)を備えているものである。
上記の発明では、支持部材(35)と押し側部材の鏡板部との間に背面側隙間(75)が形成される。この背面側隙間(75)は、シールリング(73)によって2つの部分に仕切られている。そして、背面側隙間(75)では、シールリング(73)の内側部分が吐出流体の圧力と略同一になり、外側部分が吸入流体の圧力と略同一になる。
上記押し側部材は、図14に示すように、一端が凹溝(83)に接続され、他端が鏡板部の背面に開口する連通路(84)が設けられている。この連通路(84)の他端である開口端は、押し側部材の偏心回転運動に伴って移動し、シールリング(73)の外側部分と内側部分を行き来する。連通路(84)の開口端がシールリング(73)の内側部分に移動すると、凹溝(83)が吐出流体の圧力と略同一となり、押し返し力が大きくなる。また、連通路(84)の開口端がシールリング(73)の外側部分に移動すると、凹溝(83)が吸入流体の圧力と略同一となり、押し返し力が小さくなる。したがって、シリンダ室(60,65)の内圧による離反力が大きくなる回転角度のときに押し返し力を小さくし、シリンダ室(60,65)の内圧による離反力が小さくなる回転角度のときに押し返し力を大きくするように設定すれば、1偏心回転に亘って押し側部材が受け側部材から離れようとする力がほぼ均一となる。これにより、押し付け機構(70)の押し付け力が過大となるのを緩和できる。
また、第の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。一方、上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)に配置されたシールリング(73)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記シールリング(73)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記シールリング(73)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させている。また、上記押し側部材および受け側部材を貫通するクランク軸(25)は、その主軸部(26)より偏心し且つ大径に形成されて押し側部材に嵌合する偏心部(27)を有している。そして、上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記偏心部(27)との嵌合面に開口する連通路(84)と、上記偏心部(27)の外縁部に形成されて上記背面側隙間(75)のうちシールリング(73)の内側部分に開口する切欠き溝(85)とを備え、上記連通路(84)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記切欠き溝(85)と連通するように構成されているものである。
上記の発明では、支持部材(35)と押し側部材の鏡板部との間に背面側隙間(75)が形成される。この背面側隙間(75)は、シールリング(73)によって2つの部分に仕切られている。そして、背面側隙間(75)では、シールリング(73)の内側部分が吐出流体の圧力と略同一になり、外側部分が吸入流体の圧力と略同一になる。
図9および図10に示すように、上記押し側部材は、クランク軸(25)の偏心部(27)が回転すると、受け側部材に対して偏心回転運動を行う。上記押し側部材は、一端が凹溝(83)に接続され、他端が偏心部(27)との嵌合面に開口する連通路(84)が設けられている。一方、偏心部(27)の外縁部には、回転角度に関係なく常に背面側隙間(75)のうちシールリング(73)の内側部分に連通する切欠き溝(85)が設けられている。つまり、切欠き溝(85)内が常に吐出流体の圧力と略同一となる。そして、連通路(84)が切欠き溝(85)と連通すると、凹溝(83)の内圧が吐出流体の圧力と略同一となり、押し返し力が大きくなる。したがって、シリンダ室(60,65)の内圧による離反力が大きくなる回転角度のときには連通路(84)と切欠き溝(85)とを遮断し、逆にシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が小さくなる回転角度のときには連通路(84)と切欠き溝(85)とを連通させて押し返し力を大きくするように設定すれば、1偏心回転に亘って押し側部材が受け側部材から離れようとする力がほぼ均一となる。これにより、押し付け機構(70)の押し付け力が過大となるのを緩和できる。
また、第8および第9の発明は、上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の前面と摺接する上記受け側部材の先端面に開口する凹溝(83)を備え、該凹溝(83)の内圧を変更することによって上記押し返し力の大きさを変更するものである。
上記の発明では、受け側部材の先端面に凹溝(83)が開口している。この凹溝(83)の内圧は、押し側部材の鏡板部の前面に作用する。つまり、凹溝(83)の内圧によって押し側部材に作用する力の向きは、押し側部材の鏡板部を受け側部材から引き離す方向となる。調節機構(80)は、凹溝(83)の内圧を変更することで、押し側部材へ作用する押し返し力の大きさを変化させる。
また、第の発明は、上記押し側部材および受け側部材を貫通するクランク軸(25)が、その主軸部(26)より偏心し且つ大径に形成されて押し側部材に嵌合する偏心部(27)を有している。一方、上記偏心部(27)の端面と上記受け側部材の鏡板部の前面との間には、常に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力が作用する端面側隙間が設けられている。そして、上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記クランク軸(25)の主軸部(26)との貫通面に開口する連通路(84)と、上記主軸部(26)の外周面に形成されて上記端面側隙間に開口する切欠き溝(85)とを備え、上記連通路(84)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記切欠き溝(85)と連通するように構成されているものである。
上記の発明では、クランク軸(25)の偏心部(27)の端面と受け側部材の鏡板部の前面との間に設けられる端面側隙間は、常に吐出流体の圧力と略同一となる。なお、この端面側隙間は、例えば、偏心部(27)の端面と受け側部材の鏡板部の前面とが摺動するために高圧の潤滑油が供給される。
上記受け側部材は、図12および図13に示すように、一端が凹溝(83)に接続され、他端がクランク軸(25)の主軸部(26)との貫通面に開口する連通路(84)が設けられている。一方、連通路(84)の開口端に対応する主軸部(26)の外周面には、常に端面側隙間に連通する切欠き溝(85)が設けられている。つまり、切欠き溝(85)内が常に吐出流体の圧力と略同一となる。そして、連通路(84)が切欠き溝(85)と連通すると、凹溝(83)の内圧が吐出流体の圧力と略同一となり、押し側部材の鏡板部を受け側部材から引き離す押し返し力が大きくなる。したがって、シリンダ室(60,65)の内圧による離反力が大きくなる回転角度のときには連通路(84)と切欠き溝(85)とを遮断し、逆にシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が小さくなる回転角度のときには連通路(84)と切欠き溝(85)とを連通させて押し返し力を大きくするように設定すれば、1偏心回転に亘って押し側部材が受け側部材から離れようとする力がほぼ均一となる。これにより、押し付け機構(70)の押し付け力が過大となるのを緩和できる。
また、第10〜第14の発明は、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体と上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体との圧力差に応じて変更する補助調節機構(90)を備えているものである。
上記の発明では、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさが、1偏心回転におけるシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて調節されるのに加えて、吸入流体と吐出流体の圧力差に応じても調節される。これにより、回転式圧縮機の運転条件の変動に伴って吸入圧力や吐出圧力が変動しても、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさが適切に設定される。
また、第10および第11の発明は、上記押し付け機構(70)が、上記押し側部材の鏡板部の背面の一部分に上記吐出流体の圧力を、残りの部分に上記吸入流体の圧力をそれぞれ作用させるように構成されている。そして、上記補助調節機構(90)は、上記押し側部材の鏡板部の背面のうち上記吐出流体の圧力が作用する部分の面積を変更して上記押し付け機構(70)が上記押し側部材へ作用させる押し付け力の大きさを変更することによって、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更しているものである。
上記の発明では、押し付け機構(70)が押し側部材の鏡板部の背面に吐出流体や吸入流体の圧力を作用させることで、押し側部材に押し付け力を作用させている。また、補助調節機構(90)は、押し側部材の鏡板部の背面のうち吐出流体の圧力を受ける部分の面積を変更する。吐出流体の圧力が同じ場合について比較すると、押し側部材の鏡板部の背面のうち吐出流体の圧力を受ける部分の面積が広いほど、押し側部材に作用する押し付け力は大きくなる。つまり、補助調節機構(90)は、押し側部材が押し付け機構(70)から受ける押し付け力の大きさ自体を変更することで、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部向きの荷重の大きさが変化する。
また、第10および第11の発明は、上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられている。一方、上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側の部分に上記吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側の部分に上記吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させている。そして、上記補助調節機構(90)は、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分を上記吐出流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を下回ると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以上になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えているものである。
上記の発明では、支持部材(35)と押し側部材の鏡板部との間に背面側隙間(75)が形成される。この背面側隙間(75)は、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)によって3つの部分に仕切られている。具体的に、背面側隙間(75)は、小径シールリング(72)の内側部分と、小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分と、大径シールリング(71)の外側部分とに区画されている。背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)の内側部分が吐出流体の圧力と略同一になり、大径シールリング(71)の外側部分が吸入流体の圧力と略同一になる。
この発明において、図19に示すように、補助調節機構(90)には連通路(91)と開閉弁(92)とが設けられる。吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値を下回る状態では、開閉弁(92)が連通路(91)を開く。この状態において、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分には、吐出流体の圧力が導入される。つまり、背面側隙間(75)では、大径シールリング(71)の内側全体が吐出流体の圧力となり、大径シールリング(71)の外側だけが吸入流体の圧力となる。押し側部材の鏡板部のうち吐出流体の圧力を作用させる部分の面積が固定されていると、吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的小さい状態では、押し側部材に作用する押し付け力が不足するおそれがある。そこで、補助調節機構(90)は、背面側隙間(75)のうち大径シールリング(71)の内側全体を吐出流体の圧力とし、押し側部材に作用する押し付け力を確保する。
逆に、吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値以上になった状態では、開閉弁(92)が連通路(91)を閉じる。この状態において、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分は、吐出流体の圧力と吸入流体の圧力の中間の値となる。つまり、大径シールリング(71)や小径シールリング(72)が流体の漏れを完全に阻止する訳ではないため、背面側隙間(75)では、小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の圧力が、小径シールリング(72)の内側の圧力と大径シールリング(71)の外側の圧力の中間の値となる。押し側部材の鏡板部のうち吐出流体の圧力を作用させる部分の面積が固定されていると、吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的大きい状態では、押し側部材に作用する押し付け力が過剰になるおそれがある。そこで、調節機構(80)は、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分の圧力を吐出流体の圧力よりも低くし、押し側部材に作用する押し付け力を削減する。
また、第11の発明は、上記大径シールリング(71)および上記小径シールリング(72)は、それぞれの中心が上記シリンダ(40)または上記ピストン(50)の回転中心よりも上記高圧室(61,66)寄りに位置すると共に、上記小径シールリング(72)の中心が上記大径シールリング(71)の中心よりも上記ブレード(45)寄りに位置しているものである。
上記の発明では、例えば、図20に示すように、大径シールリング(71)および小径シールリング(72)は、それぞれの中心位置が高圧室(61,66)側に偏るように配置されている。ここで、ピストン(50)やシリンダ(40)の鏡板部に作用する流体圧は、低圧室(62,67)側よりも高圧室(61,66)側の方が大きくなる。このため、ピストン(50)またはシリンダ(40)である押し側部材の鏡板部へ押し付け力を平均的に作用させるだけでは、ピストン(50)やシリンダ(40)を傾けようとするモーメントが残ってしまう。これに対し、大径シールリング(71)や小径シールリング(72)を高圧室(61,66)寄りに配置すると、押し側部材の鏡板部では、高圧室(61,66)寄りの部分に作用する押し付け力が低圧室(62,67)寄りの部分に比べて大きくなる。このため、押し側部材を傾けようとするモーメントが低減される。
また、この発明では、大径シールリング(71)の偏心方向と小径シールリング(72)の偏心方向とが相違している。このため、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)の内側だけが吐出流体の圧力になる状態と、大径シールリング(71)の内側全体が吐出流体の圧力になる状態とでは、押し側部材の鏡板部に作用する押し付け力の作用中心の位置が変化する。つまり、吐出流体と吸入流体の圧力差によって、押し側部材の鏡板部に作用する押し付け力の作用中心の位置が変化することになる。
また、第12〜第14の発明は、上記補助調節機構(90)は、上記押し側部材の鏡板部の前面と摺接する上記受け側部材の先端面に開口する凹溝(98)を備える一方、上記押し側部材に上記受け側部材の鏡板部から離れる方向の押し返し力を作用させると共に、上記凹溝(98)の内圧を変更して上記押し返し力の大きさを変更することによって上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更しているものである。
上記の発明では、受け側部材の先端面に凹溝(98)が開口している。この凹溝(98)の内圧は、押し側部材の鏡板部の前面に作用する。つまり、凹溝(98)の内圧によって押し側部材に作用する力の向きは、押し側部材の鏡板部を受け側部材から引き離す方向となる。補助調節機構(90)は、押し付け機構(70)からの押し付け力とは逆向きの押し返し力として凹溝(98)の内圧を押し側部材へ作用させ、この凹溝(98)の内圧を変更することで、押し側部材へ作用させる押し返し力の大きさを変化させる。押し付け機構(70)による押し付け力は補助調節機構(90)の押し返し力と打ち消し合うため、補助調節機構(90)が押し返し力の大きさを変更すると、押し側部材に作用する受け側部材の鏡板部向きの荷重の大きさが変化する。
また、第13の発明は、上記補助調節機構(90)の凹溝(98)が上記受け側部材の先端面のうち上記低圧室(62,67)寄りの部分に開口している。上記補助調節機構(90)は、上記凹溝(98)を上記吐出流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を超えると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以下になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えているものである。
上記の発明では、図17および図18に示すように、凹溝(98)は、受け側部材の先端面における低圧室(62,67)寄りの部分に開口している。吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値以上となる状態では、開閉弁(92)によって連通路(91)が開かれる。この状態では、吐出流体の圧力が連通路(91)を通じて凹溝(98)へ導入される。吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的大きい状態では、凹溝(98)の内圧を吐出流体の圧力に設定し、押し付け機構(70)の押し付け力と逆向きの押し返し力を大きくする。逆に、吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値を下回る状態では、開閉弁(92)によって連通路(91)が閉じられる。この状態では、低圧室(62,67)内や高圧室(61,66)内の流体圧の影響を受けて凹溝(98)の内圧が吐出流体の圧力よりも低くなる。吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的小さい状態では、凹溝(98)の内圧を吐出流体の圧力よりも低くし、押し付け機構(70)の押し付け力と逆向きの押し返し力を小さくする。
上述したように、ピストン(50)またはシリンダ(40)である押し側部材の鏡板部の前面に作用する流体圧は、高圧室(61,66)側よりも低圧室(62,67)側の方が小さくなる。これに対し、この発明では、受け側部材の先端面のうち低圧室(62,67)寄りの部分に凹溝(98)を開口させている。そして、この凹溝(98)へ連通路(91)を通じて吐出流体の圧力が導入されると、押し側部材の鏡板部のうち低圧室(62,67)側の部分に作用する押し返し力が比較的大きくなり、押し側部材を傾けようとするモーメントが小さくなる。
また、第14の発明は、上記補助調節機構(90)の凹溝(98)が上記受け側部材の先端面のうち上記高圧室(61,66)寄りの部分に開口している。上記補助調節機構(90)は、上記凹溝(98)を上記吸入流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を下回ると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以上になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えているものである。
上記の発明では、図15および図16に示すように、凹溝(98)は、受け側部材の先端面における高圧室(61,66)寄りの部分に開口している。吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値以下となる状態では、開閉弁(92)によって連通路(91)が開かれる。この状態では、吸入流体の圧力が連通路(91)を通じて凹溝(98)へ導入される。吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的小さい状態では、凹溝(98)の内圧を吸入流体の圧力に設定し、押し付け機構(70)の押し付け力と逆向きの押し返し力を小さくする。逆に、吐出流体と吸入流体の圧力差が所定値を上回る状態では、開閉弁(92)によって連通路(91)が閉じられる。この状態では、高圧室(61,66)で圧縮されつつある流体が凹溝(98)へ僅かに漏れ込むため、凹溝(98)の内圧が吸入流体の圧力よりも高くなる。吐出流体と吸入流体の圧力差が比較的大きい状態では、凹溝(98)の内圧を吐出流体の圧力よりも高くし、押し付け機構(70)の押し付け力と逆向きの押し返し力を大きくする。
上述したように、ピストン(50)またはシリンダ(40)である押し側部材の鏡板部の前面に作用する流体圧は、低圧室(62,67)側よりも高圧室(61,66)側の方が大きくなる。これに対し、この発明では、受け側部材の先端面のうち高圧室(61,66)寄りの部分に凹溝(98)を開口させている。そして、この凹溝(98)へ連通路(91)を通じて吸入流体の圧力が導入されると、押し側部材の鏡板部のうち高圧室(61,66)側の部分に作用する押し返し力が比較的小さくなり、押し側部材を傾けようとするモーメントが小さくなる。
したがって、第1〜第14の発明によれば、シリンダ(40)またはピストン(50)の一方である押し側部材に押し付け機構(70)が押し付け力を作用させているため、シリンダ室(60,65)の内圧がシリンダ(40)やピストン(50)の鏡板部に作用しても、シリンダ(40)とピストン(50)のクリアランスが拡大することはなく、高圧室(61,66)からの流体の漏れを抑制して圧縮効率を向上させることができる。
また、押し側部材に作用する荷重の大きさは、調節機構(80)が1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて調節するようにしたため、シリンダ室(60,65)の内圧の大小に応じてシリンダ(40)に作用する軸方向荷重の大きさを適切に設定することができる。したがって、シリンダ(40)と下部ハウジング(50)の間での摩擦による動力損失を低減することができる。この結果、回転式圧縮機(10)の圧縮効率を高めると共に、その運転中における機械的な損失を低減することができ、回転式圧縮機(10)の性能向上を図ることができる。
また、上記第〜第の発明によれば、押し付け機構(70)による押し付け力自体の大きさを調節機構(80)が調節するようにしたため、押し側部材に作用する荷重の大きさを的確に調節することができる。
また、上記第〜第の発明によれば、押し付け機構(70)による押し付け力とは逆向きに作用する押し返し力の大きさを調節機構(80)が調節するようにしたため、押し側部材に作用する荷重の大きさを的確に調節することができる。
また、上記第10〜第14の発明によれば、押し側部材に作用する荷重の大きさを、補助調節機構(90)が吐出圧力と吸入圧力の差に応じて調節するようにしたため、回転式圧縮機(10)の運転条件が変化して吐出圧力や吸入圧力が変動しても、押し側部材に作用する荷重のうち受け側部材の鏡板へ向かう方向の荷重の大きさを適切に設定することができる。したがって、押し側部材および受け側部材の間での摩擦による損失を確実に低減することができ、回転式圧縮機(10)の性能向上を確実に図ることができる。
また、上記第10および第11の発明によれば、押し付け機構(70)による押し付け力自体の大きさを補助調節機構(90)が調節するようにしたため、押し側部材に作用する荷重の大きさを回転式圧縮機(10)の運転条件に応じて的確に調節することができる。特に、上記第11の発明によれば、回転式圧縮機(10)の運転状態が変化して吐出流体と吸入流体の圧力差が変化しても、シリンダ(40)またはピストン(50)の一方である押し側部材を傾けようとするモーメントの大きさを確実に削減することができ、押し側部材が傾くことに起因する圧縮効率の低下や偏摩耗などの問題を回避することができる。
また、上記第12〜第14の発明によれば、押し付け機構(70)による押し付け力とは逆向きに作用する押し返し力の大きさを補助調節機構(90)が調節するようにしたため、押し側部材に作用する荷重の大きさを回転式圧縮機(10)の運転条件に応じて的確に調節することができる。特に、第13および第14の発明によれば、押し側部材を傾けようとするモーメントの大きさを低減することができ、押し側部材が傾くことに起因する圧縮効率の低下や偏摩耗などの問題を回避することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態の回転式圧縮機(10)は、例えば冷凍機の冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮するために利用される。
図1に示すように、本実施形態の回転式圧縮機(10)は、いわゆる全密閉型に構成されている。この回転式圧縮機(10)は、縦長の密閉容器状に形成されたケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、縦長の円筒状に形成された円筒部(12)と、椀状に形成されて円筒部(12)の両端を塞ぐ一対の端板部(13)とによって構成されている。そして、上側の端板部(13)には貫通する吐出管(14)が設けられ、円筒部(12)には貫通する吸入管(15)が設けられている。
ケーシング(11)の内部には、下から上へ向かって順に、圧縮機構(30)と電動機(20)とが配置されている。また、ケーシング(11)の内部には、上下方向に延びるクランク軸(25)が設けられている。そして、上記圧縮機構(30)と電動機(20)は、クランク軸(25)を介して連結されている。本実施形態の回転式圧縮機(10)は、いわゆる高圧ドーム型となっている。つまり、圧縮機構(30)で圧縮された冷媒は、ケーシング(11)の内部空間へ吐出され、その後に吐出管(14)を通ってケーシング(11)から送り出される。
クランク軸(25)は、主軸部(26)と偏心部(27)とを備えている。偏心部(27)は、クランク軸(25)の下端寄りの位置に設けられ、主軸部(26)よりも大径の円柱状に形成されている。この偏心部(27)は、軸心が主軸部(26)の軸心から所定量だけ偏心している。クランク軸(25)の内部には、図示しないが、クランク軸(25)の下端から上方へ延びる給油通路が形成されている。この給油通路の下端部は、いわゆる遠心ポンプを構成している。ケーシング(11)の底に溜まった潤滑油は、この給油通路を通って圧縮機構(30)の各摺動部へ供給される。
電動機(20)は、ステータ(21)とロータ(22)とを備えている。ステータ(21)は、ケーシング(11)の円筒部(12)の内壁に固定されている。ロータ(22)は、ステータ(21)の内側に配置されてクランク軸(25)の主軸部(26)と連結されている。
圧縮機構(30)は、第1ハウジング(35)と、第2ハウジング(50)と、シリンダ(40)とを備えている。この圧縮機構(30)では、第1ハウジング(35)と第2ハウジング(50)が上下に重なって設けられ、第1ハウジング(35)と第2ハウジング(50)で囲まれた空間にシリンダ(40)が収容されている。
第1ハウジング(35)は、平板部(36)と周縁部(38)と軸受部(37)とを備え、支持部材を構成している。平板部(36)は、厚肉の円板状に形成されており、外径がケーシング(11)の内径とほぼ等しくなっている。この平板部(36)は、溶接等によってケーシング(11)の円筒部(12)に固定されている。また、クランク軸(25)の主軸部(26)は、平板部(36)の中央部を貫通している。周縁部(38)は、平板部(36)の周縁付近に連続する短い円筒状に形成されており、平板部(36)の前面(図1における下面)から下方へ突設されている。周縁部(38)には該周縁部(38)を径方向へ貫通する吸入ポート(39)が形成されており、この吸入ポート(39)に吸入管(15)が挿入されている。軸受部(37)は、主軸部(26)に沿って延びる円筒状に形成され、平板部(36)の背面(図1における上面)から上方へ突設されている。この軸受部(37)は、主軸部(26)を支持する滑り軸受を構成している。
第2ハウジング(50)は、鏡板部(51)とピストン本体(52)とを備えてピストンを構成している。鏡板部(51)は、厚肉の円板状に形成されており、外径がケーシング(11)の内径よりもやや小さくなっている。この鏡板部(51)は、第1ハウジング(35)にボルト等で連結されており、その前面(図1における上面)に第1ハウジング(35)の周縁部(38)が当接している。また、クランク軸(25)の主軸部(26)が鏡板部(51)の中央部を貫通しており、この鏡板部(51)は、主軸部(26)を支持する滑り軸受を構成している。ピストン本体(52)は、鏡板部(51)と一体に形成されており、鏡板部(51)の前面から突出している。このピストン本体(52)は、比較的短い円筒の一部分を切除したような形状となっており、平面視でCの字形状となっている。ピストン本体(52)の詳細については後述する。
シリンダ(40)は、鏡板部(41)と外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)とを備え、第1ハウジング(35)の周縁部(38)の内側に形成された空間に配置されている。この周縁部(38)の内周面とシリンダ(40)の外周面との間には空間が形成されている。この空間は、吸入ポート(39)と連通しており、吸入空間(57)を構成している。鏡板部(41)は、径方向の幅がやや広いドーナツ型で厚肉の平板状に形成されている。鏡板部(41)は、図1において、下面が前面となり、上面が背面となっている。
図2に示すように、外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)は、それぞれがやや厚肉で比較的短い円筒状に形成されている。外側シリンダ部(42)は、鏡板部(41)の前面の外周部分に突設されており、その外周面が鏡板部(41)の外周面に連続している。内側シリンダ部(43)は、鏡板部(41)の前面の内周部分に突設されており、その内周面が鏡板部(41)の内周面に連続している。外側シリンダ部(42)の内径は内側シリンダ部(43)の外径よりも大きくなっており、外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)の間にシリンダ室(60,65)が形成されている。このシリンダ室(60,65)は、横断面(即ち、シリンダ(40)の軸方向と直交する断面、あるいはシリンダ(40)の鏡板部(41)と平行な断面)の形状が環状となっている。鏡板部(41)の前面は、このシリンダ室(60,65)に面している。また、外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)の先端面(図1における下端面)は、共に 第2ハウジング(50)の鏡板部(51)と摺接している。
クランク軸(25)の偏心部(27)は、シリンダ(40)を貫通して嵌合している。偏心部(27)の外周面は、鏡板部(41)および内側シリンダ部(43)の内周面と摺接している。偏心部(27)に係合するシリンダ(40)は、クランク軸(25)の回転に伴って第2ハウジング(50)に対して偏心回転運動を行う。
ブレード(45)は、シリンダ(40)と一体に形成され、シリンダ室(60,65)をその径方向へ横断するように配置されている。具体的に、ブレード(45)は、外側シリンダ部(42)の内周面から内側シリンダ部(43)の外周面に亘ってシリンダ(40)の径方向へ延びる平板状に形成され、外側シリンダ部(42)および内側シリンダ部(43)と一体になっている。また、ブレード(45)は、鏡板部(41)の前面から突出した状態となっており、鏡板部(41)とも一体になっている。
上述したように、ピストン本体(52)は、平面視でCの字形状となっている(図2を参照)。ピストン本体(52)は、外径が外側シリンダ部(42)の内径よりも小さく、内径が内側シリンダ部(43)の外径よりも大きくなっている。このピストン本体(52)は、外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)の間に形成されたシリンダ室(60,65)へ図1の下方から挿入された状態となっている。シリンダ室(60,65)は、ピストン本体(52)の外側と内側に区画されており、ピストン本体(52)の外側が外側シリンダ室(60)となり、ピストン本体(52)の内側が内側シリンダ室(65)となっている。
ピストン本体(52)は、軸心がクランク軸(25)の主軸部(26)の軸心と一致するように配置されている。このピストン本体(52)は、外周面が外側シリンダ部(42)の内周面と1箇所で摺接すると共に、内周面が内側シリンダ部(43)の外周面と1箇所で摺接している。ピストン本体(52)と外側シリンダ部(42)の摺接箇所は、ピストン本体(52)と内側シリンダ部(43)の摺接箇所に対し、ピストン本体(52)の軸心を挟んだ反対側、即ち位相が180°ずれた箇所に位置している。
また、ピストン本体(52)は、その分断された箇所をブレード(45)が貫通するように配置されている(図2を参照)。外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)は、ブレード(45)によってそれぞれが高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画されている。
ピストン本体(52)の分断箇所と、ブレード(45)の側面(図2における左右の側面)との隙間には、一対の揺動ブッシュ(56)が挿入されている。つまり、揺動ブッシュ(56)は、図2におけるブレード(45)の左右に1つずつ配置されている。各揺動ブッシュ(56)は、外側面が円弧面に形成され、内側面が平面に形成された小片である。ピストン本体(52)の分断箇所の端面は、円弧面となっていて揺動ブッシュ(56)の外側面と摺動する。また、揺動ブッシュ(56)の内側面は、ブレード(45)の側面と摺動する。この揺動ブッシュ(56)によって、ブレード(45)は、ピストン本体(52)に対して回動自在に且つ進退自在に支持される。
外側シリンダ部(42)には、貫通孔(44)が形成されている。貫通孔(44)は、図2におけるブレード(45)の右側近傍に形成され、外側シリンダ部(42)を径方向へ貫通している。この貫通孔(44)は、外側シリンダ室(60)の低圧室(62)を吸入空間(57)と連通させている。また、ピストン本体(52)には、貫通孔(53)が形成されている。貫通孔(53)は、図2におけるブレード(45)の右側近傍に形成され、ピストン本体(52)を径方向へ貫通している。この貫通孔(53)は、内側シリンダ室(65)の低圧室(67)を外側シリンダ室(60)の低圧室(62)と連通させている。
第2ハウジング(50)の鏡板部(51)には、外側吐出ポート(54)および内側吐出ポート(55)が形成されている。外側吐出ポート(54)と内側吐出ポート(55)は、それぞれが鏡板部(51)を厚み方向へ貫通している。鏡板部(51)の前面において、外側吐出ポート(54)は、ピストン本体(52)の外周寄りの位置で且つ図2におけるブレード(45)の左側に隣接する位置に開口している。また、内側吐出ポート(55)は、ピストン本体(52)の内周寄りの位置で且つ図2におけるブレード(45)の左側に隣接する位置に開口している。そして、外側吐出ポート(54)は外側シリンダ室(60)の高圧室(61)に連通し、内側吐出ポート(55)は内側シリンダ室(65)の高圧室(66)に連通している。また、外側吐出ポート(54)および内側吐出ポート(55)は、吐出弁(図示せず)によって開閉される。
第2ハウジング(50)の下側には、マフラー(31)が取り付けられている。このマフラー(31)は、第2ハウジング(50)を下側から覆うように設けられ、第2ハウジング(50)との間に吐出空間(32)を形成している。また、第1ハウジング(35)と第2ハウジング(50)との外縁部には、吐出空間(32)を第1ハウジング(35)よりも上側の空間に接続する接続通路(33)が形成されている。
図3にも示すように、圧縮機構(30)では、第1ハウジング(35)の平板部(36)に大径シールリング(71)と小径シールリング(72)とが取り付けられている。大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれが平板部(36)の前面(図3における下面)に開口した凹溝に嵌め込まれている。大径シールリング(71)は、小径シールリング(72)の外側を囲むように設けられている。また、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれがシリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に当接している。
第1ハウジング(35)の平板部(36)の前面とシリンダ(40)の鏡板部(41)の背面との間には僅かな隙間が形成されており、この隙間が背面側隙間(75)となっている(図3を参照)。この背面側隙間(75)は、小径シールリング(72)よりも内側の内側隙間(76)と、小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の中間隙間(77)と、大径シールリング(71)よりも外側の外側隙間(78)とに区画されている。
外側隙間(78)は吸入空間(57)と連通しているため、外側隙間(78)の内圧は圧縮機構(30)へ吸入される冷媒の圧力(吸入圧力)とほぼ同じになる。また、内側隙間(76)はクランク軸(25)の給油通路を通じて供給された潤滑油で満たされているため、内側隙間(76)の内圧は圧縮機構(30)から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力)とほぼ同じになる。一方、中間隙間(77)は、大径シールリング(71)および小径シールリング(72)が完全に流体の漏れを阻止できるわけではないため、その内圧が吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力とほぼ同じになる。シリンダ(40)は、内側隙間(76)、中間隙間(77)および外側隙間(78)の内圧を受けて図3における下方へ押し付けられる。
大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、シリンダ(40)に押し付け力を作用させる押し付け機構(70)を構成している。また、本実施形態では、シリンダ(40)が押し側部材となり、ピストンとしての第2ハウジング(50)が受け側部材となる。
図5にも示すように、圧縮機構(30)には、調節機構(80)が設けられている。この調節機構(80)は、2つの連通溝(81,82)により構成されている。
第1連通溝(81)および第2連通溝(82)は、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に開口している。各連通溝(81,82)は、シリンダ(40)の軸心を中心とする同一円上に位置すると共に、互いにシリンダ(40)の軸心を挟んで位相が180°ずれた箇所に設けられている。各連通溝(81,82)は、それぞれがシリンダ(40)の径方向に沿って延びる細長い楕円状に形成されている。第1連通溝(81)は、図5における外側吐出ポート(54)のほぼ左側であって、外側シリンダ部(42)と内側シリンダ部(43)の間に対応する位置に設けられ、第2連通溝(82)は、第1連通溝(81)に対してシリンダ(40)の軸心を挟んだ反対側に設けられている。
そして、調節機構(80)は、シリンダ(40)が1偏心回転する間において、それぞれの連通溝(81,82)が1回ずつ別々のタイミングで大径シールリング(71)を跨ぐように構成されている。具体的に、第1連通溝(81)はシリンダ(40)の回転角135°付近で大径シールリング(71)を跨ぎ(図5(B1)参照)、第2連通溝(82)はシリンダ(40)の回転角315°付近で大径シールリング(71)を跨ぐ(図5(D1)参照)。つまり、第1連通溝(81)は、回転角135°付近以外では大径シールリング(71)の内周面より外側に位置し、第2連通溝(82)は、回転角315°付近以外では大径シールリング(71)の内周面より外側に位置する。
各連通溝(81,82)が大径シールリング(71)を跨ぐと、背面側隙間(75)のうち中間隙間(77)と外側隙間(78)とが連通溝(81,82)を介して連通し、中間隙間(77)および外側隙間(78)の内圧が吸入流体の圧力とほぼ同一となる。すなわち、調節機構(80)は、シリンダ(40)の回転角135°および315°付近において、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に作用する押し付け力が減少するように調節する。この回転角135°および315°は、1回転中にシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が低くなるピーク時である。このように、本実施形態では、シリンダ(40)に対する押し付け力がシリンダ室(60,65)の内圧による離反力の最大値に基づいて設定され、その押し付け力が調節機構(80)によってシリンダ室(60,65)の内圧による離反力が低くなるピーク時に合わせて低減される。
なお、本実施形態では、調節機構(80)として2つの連通溝(81,82)で構成するようにしたが、第1連通溝(81)および第2連通溝(82)の何れか一方で構成するようにしてもよい。例えば、第1連通溝(81)のみを設けた場合、1回転中にシリンダ(40)の回転角135°付近のピーク時に押し付け力が低減される。
−運転動作−
上述したように、上記回転式圧縮機(10)は、冷凍機の冷媒回路に設けられている。そして、この回転式圧縮機(10)は、蒸発器で蒸発した冷媒を吸入して圧縮し、圧縮されて高圧となったガス冷媒を凝縮器へ向けて吐出する。
ここでは、回転式圧縮機(10)が冷媒を圧縮する動作について、図4を参照しながら説明する。電動機(20)へ通電すると、クランク軸(25)によってシリンダ(40)が駆動される。シリンダ(40)は、図4における右回りへ公転する。
先ず、内側シリンダ室(65)へ冷媒を吸入して圧縮する工程について説明する。
図4(A)の状態からシリンダ(40)が僅かに移動すると、内側シリンダ室(65)の低圧室(67)へ冷媒が吸入され始める。吸入ポート(39)へ流入した冷媒は、吸入空間(57)、外側シリンダ部(42)の貫通孔(44)、外側シリンダ室(60)、ピストン本体(52)の貫通孔(53)を順に通過して低圧室(67)へ流入する。そして、シリンダ(40)が公転するにつれて低圧室(67)の容積が拡大してゆき(同図の(B)(C)(D)を参照)、同図(A)の状態に戻ると内側シリンダ室(65)への冷媒の吸入が終了する。
シリンダ(40)が更に公転し、内側シリンダ部(43)とピストン本体(52)の摺接箇所がピストン本体(52)の貫通孔(53)を過ぎると、内側シリンダ室(65)の高圧室(66)内で冷媒が圧縮され始める。そして、シリンダ(40)が公転するにつれて高圧室(66)の容積が縮小してゆき(同図の(B)(C)(D)を参照)、高圧室(66)内の冷媒が圧縮されてゆく。その過程で高圧室(66)の内圧がある程度高くなると、吐出弁が開いて内側吐出ポート(55)が開口状態となり、高圧室(66)の冷媒が内側吐出ポート(55)を通って吐出空間(32)へ吐出されてゆく。同図(A)の状態に戻ると、高圧室(66)からの冷媒の吐出が終了する。
次に、外側シリンダ室(60)へ冷媒を吸入して圧縮する工程について説明する。
図4(C)の状態からシリンダ(40)が僅かに移動すると、外側シリンダ室(60)の低圧室(62)へ冷媒が吸入され始める。吸入ポート(39)へ流入した冷媒は、吸入空間(57)、外側シリンダ部(42)の貫通孔(44)を順に通過して低圧室(62)へ流入する。そして、シリンダ(40)が公転するにつれて低圧室(62)の容積が拡大してゆき(同図の(D)(A)(B)を参照)、同図(C)の状態に戻ると外側シリンダ室(60)への冷媒の吸入が終了する。
シリンダ(40)が更に公転し、外側シリンダ部(42)とピストン本体(52)の摺接箇所がピストン本体(52)の貫通孔(53)を過ぎると、外側シリンダ室(60)の高圧室(61)内で冷媒が圧縮され始める。そして、シリンダ(40)が公転するにつれて高圧室(61)の容積が縮小してゆき(同図の(D)(A)(B)を参照)、高圧室(61)内の冷媒が圧縮されてゆく。その過程で高圧室(61)の内圧がある程度高くなると、吐出弁が開いて外側吐出ポート(54)が開口状態となり、高圧室(61)の冷媒が外側吐出ポート(54)を通って吐出空間(32)へ吐出されてゆく。同図(C)の状態に戻ると、高圧室(66)からの冷媒の吐出が終了する。
次に、1回転中のシリンダ室(60,65)の内圧、すなわちピストン本体(52)からシリンダ(40)の鏡板部(41)を離そうとするガス力(離反力)について説明する。
この回転式圧縮機(10)において、1回転中のシリンダ室(60,65)内で発生するガス力(離反力)は、図6に示すように、シリンダ(40)の回転角に応じて変動する。具体的に、ガス力は、シリンダ(40)の回転角約45°と約225°のときにプラス側ピークとなり、回転角約135°と約315°のときにマイナス側ピークとなる。ここで、従来では、押し付け機構(70)の押し付け力がガス力の最大値に基づいて設定され、シリンダ(40)の回転角に関係なく常に一定となる(図6(A)参照)。したがって、何も対策を講じなければ、特に2回のマイナス側ピーク時で押し付け力が過大となり、シリンダ(40)に対して過剰なスラスト力(クランク軸(25)の軸心方向荷重)が生じてシリンダ(40)とピストン本体(52)との摩擦が増大する。なお、本実施形態では、図4(A)および図5(A)の状態をシリンダ(40)の回転角0°とする。
ところが、本実施形態では、調節機構(80)によって1回転中における押し付け力が調節される。図5に示すように、シリンダ(40)は、同図(A)、(A1)、(B)の順に回転する間は何れの連通溝(81,82)も大径シールリング(71)を跨がないが、同図(B1)即ち回転角135°付近で第1連通溝(81)が大径シールリング(71)を跨ぐ。その後、シリンダ(40)は、図5(C)、(C1)、(D)の順に回転する間は何れの連通溝(81,82)も大径シールリング(71)を跨がないが、同図(D1)即ち回転角315°付近で第2連通溝(82)が大径シールリング(71)を跨ぐ。
このように、連通溝(81,82)が大径シールリング(71)を跨ぐと、中間隙間(77)と外側隙間(78)が連通するので、内側隙間(76)が吐出冷媒の圧力で固定されたまま、中間隙間(77)が吐出冷媒の圧力と吸入冷媒の圧力の中間圧力から吸入冷媒の圧力に変化する。つまり、図6(B)において「押し付け力1」から「押し付け力2」に変化するように、シリンダ(40)に作用する押し付け力がガス力のマイナス側ピークに合わせて減少するため、その押し付け力とガス力との差が小さくなり、シリンダ(40)の鏡板部(41)とピストン本体(52)との摩擦が減少する。すなわち、本実施形態では、ガス力の変動に応じてシリンダ(40)の押し付け力を適切に変化させることができる。
−実施形態1の効果−
本実施形態では、シリンダ(40)に対して下向きの押し付け力を作用させ、シリンダ室(60,65)内の内圧(冷媒圧)を受けて浮き上がろうとするシリンダ(40)を押し付け力によって押し下げている。このため、回転式圧縮機(10)の運転中も、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)の軸方向のクリアランスが拡大することはなく、高圧室(61,66)からの流体の漏れを抑制して圧縮効率を向上させることができる。
また、押し側部材としてのシリンダ(40)に作用する軸方向(上下方向)、すなわち受け側部材としての第2ハウジング(50)の鏡板部(51)へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中におけるシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて調節するようにしたので、シリンダ室(60,65)の内圧の大小に応じてシリンダ(40)に作用する軸方向荷重の大きさを適切に設定することができる。したがって、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)の間での摩擦による機械損失を低減することができる。
このように、本実施形態によれば、回転式圧縮機(10)の圧縮効率を高めると共に、その運転中における機械的な損失を低減することができ、回転式圧縮機(10)の性能向上を図ることができる。
さらに、本実施形態によれば、シリンダ(40)に作用する押し付け力を調節することによってシリンダ(40)に作用する軸方向荷重の大きさを調節するようにしたため、この軸方向荷重の大きさを確実に適切な値とすることができる。
また、押し付け力の調節方法として、シリンダ(40)の背面側に2重のシールリング(71,72)を設けて大中小の3種類の圧力がそれぞれ作用する3つの隙間を形成するようにし、その各作用面積を変化させることによって行うようにしたため、確実に押し付け力を調節することができる。
また、1回転中におけるシリンダ室(60,65)の内圧が低下するピーク時に合わせて押し付け力を減少させるようにしたので、確実に且つ効果的に押し付け力が過大となるのを抑制することができ、機械的な損失を低減することができる。しかも、本実施形態の場合、位相が180°ずれた2つのシリンダ室(60,65)で冷媒の吸入および圧縮を行う形式であるため、シリンダ室(60,65)の内圧が低下するピークが1回転中に2回生じるが、その2回のピーク時に合わせて押し付け力を減少させるようにした。したがって、この種の回転式圧縮機(10)においても、機械損失を増大させることなく、高い圧縮効率を確保することができる。
また、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に設けた連通溝(81,82)が大径シールリング(71)を跨いで該大径シールリング(71)の内外部分を連通させることにより、押し付け力を低減するようにしたので、圧力自体を調節する必要がなく、簡易な構成でシリンダ(40)と第2ハウジング(50)との摩擦を抑制することができる。
さらに、連通溝(81,82)がシリンダ室(60,65)の内圧が低下する2回のピーク時に合わせて大径シールリング(71)を跨ぐように、その連通溝(81,82)の配置設定を行うようにしたので、煩雑な制御を行うことなく押し付け力を調節することができる。
−実施形態1の変形例−
本変形例は、図7に示すように、上記実施形態1における調節機構(80)の連通溝(81,82)の配置を変更し、該連通溝(81,82)が1回転中に小径シールリング(72)を跨ぐようにしたものである。なお、本図では、同図(A)の状態がシリンダ(40)の回転角0°を示し、(A1)(B)(B1)・・・(D1)の順に回転角45°毎の状態を示している。
具体的に、調節機構(80)は、実施形態1と同様に、第1連通溝(81)および第2連通溝(82)を備えている。各連通溝(81,82)は、シリンダ(40)の軸心を中心とする同一円上に位置すると共に、互いにシリンダ(40)の軸心を挟んで位相が180°ずれた箇所に設けられている。各連通溝(81,82)は、それぞれがシリンダ(40)の径方向に沿って延びる細長い楕円状に形成されている。第1連通溝(81)は、図7におけるピストン本体(52)の貫通孔(53)のほぼ下側であって、内側シリンダ部(43)に対応する位置に設けられ、第2連通溝(82)は、第1連通溝(81)に対してシリンダ(40)の軸心を挟んだ反対側に設けられている。
調節機構(80)は、シリンダ(40)が1偏心回転する間において、それぞれの連通溝(81,82)が1回ずつ別々のタイミングで小径シールリング(72)を跨ぐように構成されている。具体的に、第1連通溝(81)はシリンダ(40)の回転角45°付近で小径シールリング(72)を跨ぎ、第2連通溝(82)はシリンダ(40)の回転角225°付近で小径シールリング(72)を跨ぐ。つまり、第1連通溝(81)は、回転角45°付近以外では小径シールリング(72)の外周面より内側に位置し、第2連通溝(82)は、回転角225°付近以外では小径シールリング(72)の外周面より内側に位置する。
各連通溝(81,82)が小径シールリング(72)を跨ぐと、背面側隙間(75)のうち内側隙間(76)と中間隙間(77)とが連通溝(81,82)を介して連通し、内側隙間(76)および中間隙間(77)の内圧が吐出流体の圧力とほぼ同一となる。すなわち、外側隙間(78)が吸入冷媒の圧力で固定されたまま、中間隙間(77)が吐出冷媒の圧力と吸入冷媒の圧力の中間圧力から吐出冷媒の圧力に変化するので、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面全体に作用する押し付け力が増大する。この回転角45°および225°は、1回転中にシリンダ室(60,65)の内圧が高くなるピーク時である。このように、本変形例では、シリンダ(40)に対する押し付け力がシリンダ室(60,65)の内圧のほぼ最低値に基づいて設定され、その押し付け力が調節機構(80)によってシリンダ室(60,65)の内圧が高くなるピーク時に合わせて増大する。
上述した構成では、調節機構(80)がシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じてシリンダ(40)に対する押し付け力を調節する。したがって、シリンダ(40)に作用する軸方向荷重の大きさを適切に設定することができる。また、シリンダ室(60,65)の内圧の増大と共にシリンダ(40)に対する押し付け力が増大するので、ガス力(離反力)によってシリンダ(40)が第2ハウジング(50)から離反するのを確実に防止することができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
《発明の参考形態
図8に示すように、本参考形態の回転式圧縮機(10)は、上記実施形態1における調節機構(80)の構成を変更したものである。つまり、本参考形態の調節機構(80)は、連通溝(81,82)の代わりに連通孔(87)を備えている。
具体的に、調節機構(80)の連通孔(87)は、シリンダ(40)の鏡板部(41)をその軸心方向に直線的に貫通している。連通孔(87)の一端(図8における上端)は、背面側隙間(75)のうち大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分に連通するようにシリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に開口している。連通孔(87)の他端(図8における下端)は、シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面におけるピストン本体(52)の先端面が摺接する部分に開口している。
また、連通孔(87)は、図示しないが、シリンダ(40)の鏡板部(41)における高圧室(61,66)寄りの部分(例えば、図2における左上部分)に形成されている。このように、シリンダ(40)が1偏心回転する間、常に、背面側隙間(75)の中間隙間(77)が、連通孔(87)を通じてシリンダ(40)の鏡板部(41)の前面とピストン本体(52)の先端面との間の微小隙間に連通している。
シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面とピストン本体(52)の先端面との間の微小隙間は、冷媒の漏れが完全に阻止される訳ではないため、外側シリンダ室(60)の内圧と内側シリンダ室(65)の内圧の中間の値となる。このことから、背面側隙間(75)の中間隙間(77)は、連通孔(87)により、常に外側シリンダ室(60)の内圧と内側シリンダ室(65)の内圧の中間値で維持される。
これにより、背面側隙間(75)のうち内側隙間(76)および外側隙間(78)は1偏心回転に亘ってそれぞれ吐出冷媒の圧力および吸入冷媒の圧力で固定されたままであるが、中間隙間(77)は1偏心回転における各シリンダ室(60,65)の内圧の変動に伴って変動する。具体的に、両シリンダ室(60,65)の内圧の中間値、すなわちガス力(離反力)が低くなると、中間隙間(77)の圧力も同様に低下するため、シリンダ(40)に対する押し付け力が小さくなる。また、両シリンダ室(60,65)の内圧の中間値、すなわちガス力(離反力)が高くなると、中間隙間(77)の圧力も同様に増大するため、シリンダ(40)に対する押し付け力が大きくなる。
上述した構成によれば、調節機構(80)がシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じてシリンダ(40)に対する押し付け力を調節する。したがって、シリンダ(40)に作用する軸方向荷重の大きさを適切に設定することができる。この結果、シリンダ(40)の鏡板部(41)とピストン本体(52)との摩擦を過大にすることなく、シリンダ(40)が第2ハウジング(50)から離反するのを確実に防止することができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
《発明の実施形態
図9および図10に示すように、本実施形態の回転式圧縮機(10)は、上記実施形態1における押し付け機構(70)および調節機構(80)の構成を変更したものである。なお、図9では、同図(A)の状態がシリンダ(40)の回転角0°を示し、(A1)(B)(B1)・・・(D1)の順に回転角45°毎の状態を示している。
本実施形態の押し付け機構(70)は、実施形態1が2つのシールリング(71,72)により構成したのに代えて、1つのシールリング(73)で構成するようにしたものである。シールリング(73)は、第1ハウジング(35)の平板部(36)の前面(図9における下面)に開口した凹溝に嵌め込まれ、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面に当接している。背面側隙間(75)は、シールリング(73)の内側の内側隙間(76)と、外側の外側隙間(78)とに区画されている。そして、外側隙間(78)の内圧は低圧室(62,67)へ吸入される冷媒の圧力(吸入圧力)とほぼ同じであり、内側隙間(76)の圧力は高圧室(61,66)から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力)とほぼ同じである。したがって、シリンダ(40)は、内側隙間(76)および外側隙間(78)の内圧を受けて図9における下方へ押し付けられる。なお、本実施形態においても、シリンダ(40)が押し側部材となり、ピストンとしての第2ハウジング(50)が受け側部材となる。
本実施形態の調節機構(80)は、凹溝(83)、連通路(84)および2つの切欠き溝(85,86)を備えている。凹溝(83)および連通路(84)は、シリンダ(40)に形成されている。具体的に、凹溝(83)は、シリンダ(40)の外側シリンダ部(42)の先端面(図9における下端面)に開口する細長い溝であって、その先端面の形状に沿って環状に形成されている。つまり、凹溝(83)は、外側シリンダ部(42)のうち第2ハウジング(50)の鏡板部(51)と摺動する面に開口している。
連通路(84)は、一端が凹溝(83)に接続され、他端がクランク軸(25)の偏心部(27)が嵌合する面に開口している。具体的に、連通路(84)は、凹溝(83)の一部から鏡板部(41)まで上下方向(シリンダ(40)の軸心方向)に延び、その後鏡板部(41)内を水平方向(シリンダ(40)の軸心方向に対して直角方向)に延びて偏心部(27)の外周面に向かって開口している。
2つの切欠き溝(85,86)は、クランク軸(25)の偏心部(27)に形成されいている。この第1切欠き溝(85)および第2切欠き溝(86)は、偏心部(27)の背面側隙間(75)側の外縁部の一部が切り欠かれて、常に背面側隙間(75)の内側隙間(76)と連通している。図10に示すように、第1切欠き溝(85)および第2切欠き溝(86)は、偏心部(27)の軸心を挟んで位相が180°ずれた箇所に位置している。各切欠き溝(85,86)は、それぞれが偏心部(27)の周方向に沿って細長く延びている。
調節機構(80)は、シリンダ(40)が1偏心回転する間において、それぞれの切欠き溝(85,86)が1回ずつ別々のタイミングで連通路(84)の他端と連通するように構成されている。具体的に、第2切欠き溝(86)はシリンダ(40)の回転角135°付近で連通路(84)と連通し(図10(B1)参照)、第1切欠き溝(85)はシリンダ(40)の回転角315°付近で連通路(84)と連通する(図10(D1)参照)。
各切欠き溝(85,86)が連通路(84)と連通すると、背面側隙間(75)の内側隙間(76)が各切欠き溝(85)および連通路(84)を介して凹溝(83)に連通し、凹溝(83)の内圧が吐出流体の圧力とほぼ同一となる。そして、この凹溝(83)の内圧が第2ハウジング(50)の鏡板部(51)の前面(図9における上面)に作用することで、シリンダ(40)に対して該シリンダ(40)がピストン本体(52)から離れる方向に圧力が作用することになる。つまり、調節機構(80)は、シリンダ(40)の回転角が135°および315°付近で、シリンダ(40)が第2ハウジング(50)の鏡板部(51)から離れる方向の押し返し力を生じさせる。
以上のことから、図11において「ガス力1(離反力1)」から「ガス力2(離反力2)」へ変化するように、調節機構(80)により、シリンダ室(60,65)のガス力が、見かけ上、回転角135°および315°付近で増大することになる。したがって、シリンダ(40)に対する押し付け力と押し返し力との差が小さくなり、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)との摩擦力が減少する。すなわち、本実施形態では、ガス力(離反力)の変動に応じてシリンダ(40)に対する押し返し力を適切に変化させることができる。なお、本実施形態において、調節機構(80)の第1切欠き溝(85)および第2切欠き溝(86)は、何れか一方のみを設けるようにしてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
−実施形態の変形例1−
本変形例1は、図12および図13に示すように、上記実施形態における調節機構(80)の凹溝(83)、連通路(84)および切欠き溝(85,86)の配置を変更したものである。具体的に、本変形例の凹溝(83)および連通路(84)は、第2ハウジング(50)に形成されている。凹溝(83)は、第2ハウジング(50)のピストン本体(52)の先端面(図12における上端面)に開口する細長い溝であって、揺動ブッシュ(56)部で分断されたCの字状に形成されている。つまり、凹溝(83)は、ピストン本体(52)のうちシリンダ(40)の鏡板部(41)と摺動する面に開口している。
連通路(84)は、一端が凹溝(83)に接続され、他端がクランク軸(25)の主軸部(26)が貫通する面に開口している。つまり、連通路(84)は、凹溝(83)の一部から鏡板部(51)まで上下方向(シリンダ(40)の軸心方向)に延び、その後鏡板部(51)の前面付近を水平方向(シリンダ(40)の軸心方向に対して直角方向)に延びて主軸部(26)の外周面に向かって開口している。
2つの切欠き溝(85,86)は、クランク軸(25)の主軸部(26)における偏心部(27)との接続部に形成されいている。この第1切欠き溝(85)および第2切欠き溝(86)は、主軸部(26)の外周部の一部が切り欠かれて、常に偏心部(27)の下端面と第2ハウジング(50)の鏡板部(51)との隙間に連通している。この隙間の内圧は、クランク軸(25)の給油通路を通じて供給された潤滑油で満たされているため、圧縮機構(30)から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力)とほぼ同じになる。
図13に示すように、第1切欠き溝(85)および第2切欠き溝(86)は、主軸部(26)の軸心を挟んで位相が180°ずれた箇所に位置している。各切欠き溝(85,86)は、それぞれが主軸部(26)の周方向に沿って細長く延びている。そして、調節機構(80)は、実施形態2と同様に、シリンダ(40)の回転角135°付近で第2切欠き溝(86)が連通路(84)と連通し、シリンダ(40)の回転角315°付近で第1切欠き溝(85)が連通路(84)と連通するように構成されている。
各切欠き溝(85,86)が連通路(84)と連通すると、凹溝(83)の内圧が吐出圧力とほぼ同一となる。そして、この凹溝(83)の内圧がシリンダ(40)の鏡板部(41)の前面(図13における下面)に作用することで、シリンダ(40)がピストン本体(52)から離れる方向の押し返し力が生じる。したがって、実施形態と同様に、ガス力(離反力)の変動に応じてシリンダ(40)に対する押し返し力を適切に変化させることができ、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)との摩擦力を減少させることができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
−実施形態の変形例2−
本変形例2は、図14に示すように、上記実施形態における調節機構(80)の構成を変更したものである。具体的に、調節機構(80)は、シリンダ(40)に形成された凹溝(83)および連通路(84)を備えている。
凹溝(83)は、実施形態と同様に、シリンダ(40)の外側シリンダ部(42)の先端面(図14における下端)に沿って環状に形成されている。連通路(84)は、2つ設けられ、それぞれの一端が凹溝(83)に接続され、他端がシリンダ(40)の鏡板部(41)の背面(図14における上端)に開口している。そして、一方の連通路(84)の他端は、シリンダ(40)の回転角135°付近で背面側隙間(75)の内側隙間(76)に連通し(図14(B)参照)、回転角135°付近以外では外側隙間(78)に連通する(図14(A)参照)。また、他方の連通路(84)の他端は、シリンダ(40)の回転角315°付近で背面側隙間(75)の内側隙間(76)に連通し、回転角315°付近以外では外側隙間(78)に連通する。なお、連通路(84)は1つだけ設けるようにしてもよい。
各連通路(84)が内側隙間(76)に連通すると、凹溝(83)の内圧が吐出流体の圧力とほぼ同一となる。これにより、実施形態と同様に、ガス力(離反力)の変動に応じてシリンダ(40)に対する押し返し力を適切に変化させることができるので、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)との摩擦力を減少させることができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
《発明の実施形態
図15および図16に示すように、本実施形態の回転式圧縮機(10)は、上記実施形態1の圧縮機構(30)に補助調節機構(90)を追加で設けるようにしたものである。補助調節機構(90)は、連通路(91)と開閉弁である差圧弁(92)と凹溝(98)とによって構成されている。なお、ここでは、実施形態1と異なる点、主として補助調節機構(90)の構成および動作について説明する。
凹溝(98)は、第2ハウジング(50)のピストン本体(52)に形成されている。具体的に、凹溝(98)は、ピストン本体(52)における高圧室(61,66)寄りの部分(図16における概ね左半分)に形成されている。この凹溝(98)は、ピストン本体(52)の先端面(図16における上端)に開口する細長い溝であって、ピストン本体(52)の伸長方向に沿って円弧状に延びている。つまり、凹溝(98)は、ピストン本体(52)のうちシリンダ(40)の鏡板部(41)と摺動する面に開口している。
連通路(91)は、第1ハウジング(35)の周縁部(38)と第2ハウジング(50)の両方に亘って形成された細径の通路である。この連通路(91)は、一端が周縁部(38)の内周面に開口して吸入空間(57)と連通し、他端がピストン本体(52)に形成された凹溝(98)の底面に開口している。つまり、連通路(91)は、凹溝(98)を吸入空間(57)に接続している。
差圧弁(92)は、弁体(93)とバネ(95)と蓋部材(96)とを備え、第2ハウジング(50)に埋設されている。具体的に、第2ハウジング(50)の鏡板部(51)では、その背面から上方へ延びる有底の埋設穴(97)が連通路(91)を横断するように形成されており、この埋設穴(97)に弁体(93)とバネ(95)と蓋部材(96)とが収容されている。弁体(93)は、概ね円柱状に形成されており、埋設穴(97)の軸方向へ進退自在となっている。また、弁体(93)の上端寄りには、その外周面に開口する外周溝(94)が形成されている。バネ(95)は、埋設穴(97)の底と弁体(93)の間に配置されており、弁体(93)を下方へ付勢している。埋設穴(97)における弁体(93)よりも上の空間は、吸入空間(57)と連通している。蓋部材(96)は、埋設穴(97)の下端を塞ぐように設けられる。また、蓋部材(96)には、小径の孔が形成されている。埋設穴(97)における弁体(93)よりも下の空間は、蓋部材(96)の孔を介して吐出ガスで満たされた吐出空間(32)と連通している。
差圧弁(92)の弁体(93)では、その下面に吐出圧力が作用し、その上面に吸入圧力とバネ(95)の付勢力が作用する。弁体(93)は、吐出圧力と吸入圧力の差に応じて上下に移動する。そして、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置まで下がると、連通路(91)が開いた状態となる(図15(A)参照)。また、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置からずれると、連通路(91)が閉じた状態となる(図15(B)参照)。
−運転動作−
本実施形態の補助調節機構(90)は、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重の大きさを、吐出圧力と吸入圧力の差に応じて調節する。その際、この補助調節機構(90)は、シリンダ(40)に対して上向きに作用する押し返し力の大きさを変更することによって、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重の大きさ変化させる。
先ず、図15(A)に示すように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さい運転状態では、差圧弁(92)の弁体(93)がバネ(95)の付勢力によって下方へ押し下げられ、連通路(91)が開いた状態となる。この状態では、連通路(91)を介して凹溝(98)と吸入空間(57)が連通し、凹溝(98)の圧力が吸入圧力となる。つまり、この状態において、シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面のうち凹溝(98)に面する部分には、高圧室(61,66)内の流体圧ではなく、吸入圧力が作用する。このため、シリンダ(40)を上方へ押し上げようとする押し返し力の大きさが小さくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重が大きくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が不足しがちな運転状態では、凹溝(98)へ吸入圧力を導入することでシリンダ(40)に作用する上向きの押し返し力を削減し、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重を確保している。
一方、図15(B)に示すように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きい運転状態では、差圧弁(92)の弁体(93)がバネ(95)の付勢力に打ち勝って上方へ押し上げられ、連通路(91)が閉じた状態となる。この状態では、凹溝が吸入空間(57)から遮断され、凹溝(98)へは高圧室(61,66)内の流体が徐々に漏れ込んでくる。そして、凹溝(98)の圧力は、連通路(91)が開いている状態に比べて高くなる。このため、シリンダ(40)を上方へ押し上げようとする押し返し力の大きさが大きくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重が小さくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が過剰になりがちな運転状態では、凹溝(98)の圧力を吸入圧力よりも高くすることでシリンダ(40)に作用する上向きの押し返し力を増大させ、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重を削減している。
本実施形態の圧縮機構(30)において、シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面に作用するガス圧は、低圧室(62,67)側よりも高圧室(61,66)側の方が大きくなる。これに対し、本実施形態では、このモーメントを低減するための対策が講じられている。ピストン本体(52)の先端面のうち高圧室(61,66)寄りの部分に凹溝(98)を開口させている。そして、この凹溝(98)へ連通路(91)を通じて吸入圧力が導入されると、シリンダ(40)の鏡板部(41)のうち高圧室(61,66)側の部分に作用する押し返し力が比較的小さくなり、シリンダ(40)を傾けようとするモーメントが小さくなる。
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態では、押し側部材としてのシリンダ(40)に作用する軸方向(上下方向)の荷重の大きさは、補助調節機構(90)が吐出圧力と吸入圧力との差に応じて調節している。このため、回転式圧縮機(10)の運転条件が変化した場合でも、シリンダ(40)に作用する軸方向の荷重の大きさを適切に設定することができる。したがって、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)の間での摩擦による動力損失を一層低減することができる。この結果、圧縮効率をより高めると共に、運転中における機械的な損失を低減でき、機器の性能向上を図ることができる。
また、ピストン本体(52)の先端面のうち高圧室(61,66)寄りの部分に凹溝(98)を開口させているため、シリンダ(40)を傾けようとするモーメントを低減することができる。したがって、シリンダ(40)の傾きに起因する圧縮効率の低下や偏摩耗などの問題を回避することができる。その他の作用および効果は実施形態1と同様である。
−実施形態の変形例−
本変形例は、図17および図18に示すように、上記実施形態の補助調節機構(90)の構成を変更したものである。
本変形例の補助調節機構(90)は、凹溝(98)がピストン本体(52)における低圧室(62,67)寄りの部分(図18における概ね右半分)に形成されている。この凹溝(98)は、ピストン本体(52)の先端面(図17における上端)に開口する細長い溝であって、ピストン本体(52)の伸長方向に沿って円弧状に延びている。
補助調節機構(90)の連通路(91)は、第2ハウジング(50)に形成され、一端が鏡板部(51)の背面(図17における下面)に開口して吐出空間(32)と連通し、他端がピストン本体(52)の凹溝(98)の底面に開口している。つまり、この連通路(91)は、凹溝(98)を吐出空間(32)に接続している。
補助調節機構(90)の差圧弁(92)は、第2ハウジング(50)に埋設されている。第2ハウジング(50)の鏡板部(51)には、その背面から上方へ延びる有底の埋設穴(97)が連通路(91)を横断して形成され、この埋設穴(97)に弁体(93)とバネ(95)と蓋部材(96)とが収容されている。弁体(93)は、実施形態4と同様に、埋設穴(97)の軸方向へ進退自在となっており、バネ(95)が埋設穴(97)の底と弁体(93)の間に配置されて弁体(93)を下方へ付勢している。埋設穴(97)における弁体(93)の上の空間は、吸入ポート(39)と連通している。蓋部材(96)は、小径の孔が形成され、埋設穴(97)の下端を塞ぐように設けられる。埋設穴(97)における弁体(93)の下の空間は、蓋部材(96)の孔を通じて吐出ガスで満たされた吐出空間(32)と連通している。
差圧弁(92)の弁体(93)では、下面に吐出圧力が作用し、上面に吸入圧力とバネ(95)の付勢力が作用する。弁体(93)は、吐出圧力と吸入圧力の差に応じて上下に移動する。そして、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置まで下がると、連通路(91)が開いた状態となる。また、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置からずれると、連通路(91)が閉じた状態となる。なお、図17では、弁体(93)が連通路(91)を開いた状態となっている。
補助調節機構(90)は、上記実施形態と同様に、シリンダ(40)に対して上向きに作用する押し返し力の大きさを変更することによって、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重の大きさ変化させる。
先ず、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きい運転状態では、差圧弁(92)の弁体(93)がバネ(95)の付勢力に打ち勝って上方へ押し上げられ、連通路(91)が開いた状態となる。この状態では、凹溝(98)と吐出空間(32)が連通され、凹溝(98)の圧力が吐出圧力となる。つまり、この状態において、シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面のうち凹溝(98)に面する部分には、低圧室(62,67)内の流体圧ではなく、吐出圧力が作用する。このため、シリンダ(40)を上方へ押し上げようとする押し返し力の大きさが大きくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重が小さくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が過剰になりがちな運転状態では、凹溝(98)の圧力を吐出圧力にすることでシリンダ(40)に作用する上向きの押し返し力を増大させ、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重を削減している。
一方、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さい運転状態では、差圧弁(92)の弁体(93)がバネ(95)の付勢力によって下方へ押し下げられ、連通路(91)が閉じた状態となる。この状態では、凹溝が吐出空間(32)から遮断され、凹溝(98)内のガス冷媒が低圧室(62,67)へ徐々に漏れ出してゆく。そして、凹溝(98)の圧力は、連通路(91)が開いている状態に比べて低くなる。このため、シリンダ(40)を上方へ押し上げようとする押し返し力の大きさが小さくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重が大きくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が不足しがちな運転状態では、凹溝(98)の内圧を吐出圧力よりも低くすることでシリンダ(40)に作用する上向きの押し返し力を削減し、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重を確保している。
本実施形態の圧縮機構(30)において、シリンダ(40)の鏡板部(41)の前面に作用する流体圧は、高圧室(61,66)側よりも低圧室(62,67)側の方が小さくなる。これに対し、本実施形態では、ピストン本体(52)の先端面のうち低圧室(62,67)寄りの部分に凹溝(98)を開口させている。そして、この凹溝(98)へ連通路(91)を通じて吐出圧力が導入されると、シリンダ(40)の鏡板部(41)のうち低圧室(62,67)側の部分に作用する押し返し力が比較的大きくなり、シリンダ(40)を傾けようとするモーメントが小さくなる。
《発明の実施形態
図19に示すように、本実施形態の回転式圧縮機(10)は、上記実施形態の変形例1において押し付け機構(70)の構成を変更し、さらに補助調節機構(90)を追加で設けるようにしたものである。ここでは、実施形態の変形例1と異なる点、主として押し付け機構(70)および補助調節機構(90)について説明する。
本実施形態の押し付け機構(70)は、実施形態1における押し付け機構と同様に、大径シールリング(71)および小径シールリング(72)によって構成されている。つまり、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面側隙間(75)が、吐出圧力とほぼ同一圧力の内側隙間(76)と、吸入圧力とほぼ同一圧力の外側隙間(78)と、吐出圧力と吸入圧力の中間の圧力とほぼ同一圧力の中間隙間(77)とに区画されている。
また、図20に示すように、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれの中心がピストン本体(52)の軸心(即ち主軸部(26)の軸心)からずれている。大径シールリング(71)の中心Oと小径シールリング(72)の中心Oは、共にピストン本体(52)の軸心よりも高圧室(61,66)寄りにオフセットしている。更に、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれの中心の位置が互いに相違している。小径シールリング(72)の中心Oは、大径シールリング(71)の中心Oよりもブレード(45)寄りとなっている。
本実施形態の補助調節機構(90)は、実施形態のものとほぼ同様であり、凹溝(98)を除く、連通路(91)および差圧弁(92)によって構成されている。これら連通路(91)および差圧弁(92)は、共に第1ハウジング(35)に設けられている。
連通路(91)は、一端が背面側隙間(75)の中間隙間(77)に開口し、他端が第1ハウジング(35)の平板部(36)の背面(図19における上面)に開口している。第1ハウジング(35)の平板部(36)には、その背面から下方へ延びる有底の埋設穴(97)が連通路(91)を横断して形成され、この埋設穴(97)に差圧弁(92)の弁体(93)とバネ(95)と蓋部材(96)とが収容されている。弁体(93)は、実施形態と同様に、埋設穴(97)の軸方向へ進退自在となっている。バネ(95)は、弁体(93)と埋設穴(97)の底との間に配置されて弁体(93)を上方へ付勢している。埋設穴(97)における弁体(93)の下の空間は、吸入ポート(39)と連通している。蓋部材(96)は、埋設穴(97)の上端を塞ぐように設けられる。また、蓋部材(96)には、小径の孔が形成されている。埋設穴(97)における弁体(93)よりも上の空間は、蓋部材(96)の孔を介して吐出ガスで満たされたケーシング(11)の内部空間と連通している。
差圧弁(92)の弁体(93)では、上面に吐出圧力が作用し、下面に吸入圧力とバネ(95)の付勢力が作用する。弁体(93)は、吐出圧力と吸入圧力の差に応じて上下に移動する。そして、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置に達すると、連通路(91)が開いた状態となり、弁体(93)の外周溝(94)の高さが連通路(91)の位置からずれると、連通路(91)が閉じた状態となる。なお、図19では、弁体(93)が連通路(91)を開いた状態となっている。
本実施形態において、補助調節機構(90)は、シリンダ(40)に作用する下向きの荷重の大きさを、吐出圧力と吸入圧力の差に応じて調節する。吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さい運転状態では、弁体(93)がバネ(95)の付勢力によって上方へ押し上げられ、連通路(91)が開いた状態となる。この状態では、ケーシング(11)の内部空間が連通路(91)を介して中間隙間(77)に連通し、中間隙間(77)の圧力が吐出圧力となる。つまり、この状態では、内側隙間(76)と中間隙間(77)の両方が吐出圧力となり、残りの外側隙間(78)だけが吸入圧力となる。このため、シリンダ(40)の背面のうち吐出圧力の作用する部分の面積が大きくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの押し付け力は、内側隙間(76)だけが吐出圧力となる状態に比べて大きくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的小さくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が不足しがちな運転状態では、中間隙間(77)へ吐出圧力を導入することでシリンダ(40)へ作用する下向きの荷重を確保している。
一方、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きい運転状態では、弁体(93)がバネ(95)の付勢力に打ち勝って下方へ押し下げられ、連通路(91)が閉じた状態となる。この状態では、中間隙間(77)とケーシング(11)の内部空間とが遮断され、中間隙間(77)の圧力が吐出圧力と吸入圧力の中間の値となる。このため、シリンダ(40)の背面のうち吐出圧力の作用する部分の面積が小さくなり、シリンダ(40)に作用する下向きの押し付け力は、内側隙間(76)と中間隙間(77)の両方が吐出圧力となる状態に比べて小さくなる。
このように、吐出圧力と吸入圧力の差が比較的大きくてシリンダ(40)に作用する押し付け力が過剰になりがちな運転状態では、中間隙間(77)の圧力を吐出圧力と吸入圧力の中間圧にすることでシリンダ(40)へ作用する下向きの荷重を削減している。
ここで、上記回転式圧縮機(10)において、シリンダ(40)の鏡板部(41)に作用するガス圧は、低圧室(62,67)側よりも高圧室(61,66)側の方が大きくなる。このため、シリンダ(40)の鏡板部(41)の背面へ押し付け力を平均的に作用させるだけでは、シリンダ(40)を傾けようとするモーメントが残ってしまう。
本実施形態の回転式圧縮機(10)では、このモーメントを低減するための対策が講じられている。つまり、上述したように、この回転式圧縮機(10)において、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれの中心位置が高圧室(61,66)寄りにオフセットされている。大径シールリング(71)や小径シールリング(72)を高圧室(61,66)寄りに配置すると、シリンダ(40)の鏡板部(41)では、高圧室(61,66)寄りの部分に作用する押し付け力が低圧室(62,67)寄りの部分に比べて大きくなる。このため、シリンダ(40)を傾けようとするモーメントを低減することができる。
また、上記回転式圧縮機(10)において、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)は、それぞれの中心が異なる位置となるように配置されている。このため、小径シールリング(72)の内側だけ(即ち内側隙間(76)だけ)が吐出圧力になった状態でシリンダ(40)に作用する押し付け力の作用中心と、大径シールリング(71)の内側全体(即ち内側隙間(76)と中間隙間(77)の両方)が吐出圧力になった状態でシリンダ(40)に作用する押し付け力の作用中心とは、それぞれの位置が互いに異なることになる。つまり、吐出圧力と吸入圧力の差によって、シリンダ(40)の鏡板部(41)に作用する押し付け力の作用中心の位置が変化することになる。
以上のように、本実施形態でも、補助調節機構(90)が吐出圧力と吸入圧力の差に応じて押し側部材としてのシリンダ(40)に作用する軸方向(上下方向)の荷重を調節している。このため、回転式圧縮機(10)の運転条件が変化した場合でも、シリンダ(40)に作用する軸方向の荷重の大きさを適切に設定することが可能となり、シリンダ(40)と第2ハウジング(50)の間での摩擦による動力損失を低減することができる。
また、本実施形態によれば、回転式圧縮機(10)の運転状態が変化して吐出流体と吸入流体の圧力差が変化しても、押し側部材としてのシリンダ(40)を傾けようとするモーメントの大きさを確実に削減することができ、シリンダ(40)が傾くことに起因する圧縮効率の低下や偏摩耗などの問題を回避することができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
《その他の実施形態および参考形態
−変形例1−
上記実施形態の圧縮機構(30)では、大径シールリング(71)の中心と小径シールリング(72)の中心の両方を主軸部(26)の軸心からオフセットさせているが、これに代えて、図21に示すように、大径シールリング(71)の中心Oだけを主軸部(26)の軸心からオフセットさせ、小径シールリング(72)の中心Oを主軸部(26)の軸心上に配置するようにしてもよい。
このように大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を配置すると、大径シールリング(71)と小径シールリング(72)の間に形成される中間隙間(77)は、高圧室(61,66)寄りに位置する部分の面積が大きくなる。そして、シリンダ(40)の鏡板部(41)では、中間隙間(77)の内圧によって受ける力(即ち、押し付け力)の作用点が高圧室(61,66)寄りとなり、その結果、より小さな押し付け力によってシリンダ(40)を傾けようとするモーメントを確実に削減することが可能となる。したがって、シリンダ(40)に作用する押し付け力に起因する摺動損失を低く抑えつつ、シリンダ(40)の傾きを抑制することができる。
−変形例2−
上記参考形態の圧縮機構(30)において、背面側隙間(75)のうち大径シールリング(71)よりも外側の部分(即ち、外側隙間(78))の圧力が吐出圧力となるように構成されてもよい。ここでは、本変形例について、上記参考形態と異なる点を説明する。
図22に示すように、本変形例の圧縮機構(30)では、吸入ポート(39)が第2ハウジング(50)に形成されている。吸入ポート(39)の終端は、第2ハウジング(50)の上面におけるピストン本体(52)の内周側と外周側のそれぞれに開口している。
上記圧縮機構(30)では、第2ハウジング(50)に吐出圧導入路(59)が形成されている。この吐出圧導入路(59)は、第1ハウジング(35)の周縁部(38)の内周面とシリンダ(40)の外周面との間に形成された空間を、吐出空間(32)と連通させている。そして、第1ハウジング(35)の周縁部(38)とシリンダ(40)との間の空間は、その内圧が吐出圧力となっており、吐出圧空間(58)を構成している。なお、本変形例において、大径シールリング(71)の中心は、上述した変形例1と同様に、主軸部(26)の軸心からオフセットされている。
本変形例では、背面側隙間(75)のうち内側隙間(76)および外側隙間(78)の内圧は何れも1偏心回転に亘って吐出圧力で固定されたままであるが、中間隙間(77)の内圧は1偏心回転における各シリンダ室(60,65)の内圧の変動に伴って変動する。つまり、両シリンダ室(60,65)の内圧の中間値、すなわちガス力(離反力)が低くなると、中間隙間(77)の圧力も同様に低下するため、シリンダ(40)に対する押し付け力が小さくなる。また、両シリンダ室(60,65)の内圧の中間値、すなわちガス力(離反力)が高くなると、中間隙間(77)の圧力も同様に増大するため、シリンダ(40)に対する押し付け力が大きくなる。
このように、シリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて中間隙間(77)の内圧が調節され、シリンダ(40)に対する押し付け力が調節される。したがって、シリンダ(40)の鏡板部(41)とピストン本体(52)との摩擦を過大にすることなく、シリンダ(40)が第2ハウジング(50)から離反するのを確実に防止することができる。る。
−変形例3−
上記の各実施形態および参考形態の回転式圧縮機(10)では、図23に示すように、圧縮機構(30)を電動機(20)の上方に配置してもよい。ここでは、上記参考形態に本変形例を適用した場合について説明する。
本変形例の回転式圧縮機(10)では、ケーシング(11)の内部空間が圧縮機構(30)によって上下に仕切られており、圧縮機構(30)の上方の空間が上側空間(16)を、その下方の空間が下側空間(17)をそれぞれ構成している。上側空間(16)には吐出管(14)が、下側空間(17)には吸入管(15)がそれぞれ接続されている。
本変形例の圧縮機構(30)では、第1ハウジング(35)が下方(即ち電動機(20)寄り)に配置され、第2ハウジング(50)が上方に配置されている。第1ハウジング(35)には、吸入ポート(39)が形成されている。この吸入ポート(39)は、吸入空間(57)を下側空間(17)と連通させている。第2ハウジング(50)には、外側シリンダ室(60)用の外側吐出ポート(54)と、内側シリンダ室(65)用の内側吐出ポート(55)とが形成されている。これら吐出ポート(54,55)は、リード弁で構成された吐出弁(34)によって開閉される。圧縮機構(30)で圧縮された冷媒は、これら吐出ポート(63,68)を通ってマフラー(31)内の吐出空間(32)へ吐出され、その後に上側空間(16)へ流入する。
上記回転式圧縮機(10)では、クランク軸(25)の下端に給油ポンプ(28)が取り付けられている。この給油ポンプ(28)は、容積型のポンプによって構成されており、ケーシング(11)の底部に溜まった冷凍機油を吸い込んで圧縮機構(30)へ供給する。
上記圧縮機構(30)において、背面側隙間(75)のうち小径シールリング(72)よりも内側の部分(即ち、内側隙間(76))の内圧は、圧縮機構(30)へ供給された冷凍機油の圧力となっている。つまり、内側隙間(76)の内圧は、下側空間(17)の内圧である吸入圧力と概ね等しくなっている。また、背面側隙間(75)のうち大径シールリング(71)よりも外側の部分(即ち、外側隙間(78))の圧力は、吸入空間(57)の内圧、即ち吸入圧力と等しくなっている。そして、中間隙間(77)の圧力は、上述した変形例2と同様に、1偏心回転における各シリンダ室(60,65)の内圧の変動に伴って変動する。
したがって、シリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて中間隙間(77)の内圧が調節されるので、シリンダ(40)に対する押し付け力が適切に調節される。この結果、シリンダ(40)の鏡板部(41)とピストン本体(52)との摩擦を過大にすることなく、シリンダ(40)が第2ハウジング(50)から離反するのを確実に防止することができる。
−変形例4−
参考形態の変形例として、図24に示す圧縮機構(30)は、シリンダ(40)と、該シリンダ(40)内に配置されたピストン本体(52)とを備え、シリンダ(40)とピストン本体(52)の間が図示しないブレードによって高圧室(61)と低圧室(62)とに区画されている。さらに、上記ピストン本体(52)の下端部には鏡板部(51)が形成され、該鏡板部(51)がシリンダ(40)の鏡板部(41)の内面と対向している。これら鏡板部(41,51)同士の隙間に大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を設け、図示しないがピストン(50)側の鏡板部(51)の面に実施形態1と同様の連通溝を設けることにより、シリンダ(40)の内圧の大小に応じてピストン(50)に作用する軸方向荷重の大きさを適切に設定することができる。したがって、シリンダ(40)とピストン本体(52)の間での摩擦によって生じる機械損失を低減することができる。
−変形例5−
上述した各実施形態の圧縮機構(30)では、ピストン本体(52)を備えた第2ハウジング(50)を固定してシリンダ(40)を偏心回転させる構成を採っているが、これとは逆に、シリンダ(40)を固定してピストン本体(52)を備えた第2ハウジング(50)を偏心回転させる構成を採ってもよい。この場合、押し付け機構(70)は、ピストン本体(52)を備える第2ハウジング(50)へ押し付け力を作用させることになる。つまり、この場合には、第2ハウジング(50)が押し側部材となり、シリンダ(40)が受け側部材となる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、シリンダとピストンを相対的に偏心回転させることにより流体を圧縮する回転式圧縮機として有用である。
実施形態1に係る回転式圧縮機を示す縦断面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 圧縮機構の動作を示す横断面図である。 実施形態1に係る圧縮機構の動作をシリンダの背面側から見て示す横断面図である。 回転角に対するガス力および押し付け力を示すグラフであって、(A)は調節機構を設けていない場合を示し、(B)は実施形態1に係る調節機構を設けた場合を示すものである。 実施形態1の変形例に係る圧縮機構の動作をシリンダの背面側から見て示す横断面図である。 参考形態に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 実施形態に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 実施形態に係る圧縮機構の動作を示す横断面図である。 実施形態に係る調節機構を設けた場合の回転角に対するガス力および押し付け力を示すグラフでる。 実施形態の変形例1に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 実施形態の変形例1に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 実施形態の変形例2に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図であって、(A)は連通路が外側隙間に連通する状態を示す図であり、(B)は連通路が内側隙間に連通する状態を示す図である。 実施形態に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図であって、(A)は連通路が開いた状態を示す図であり、(B)は連通路が閉じた状態を示す図である。 実施形態に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 実施形態の変形例に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 実施形態の変形例に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 実施形態に係る圧縮機構の要部を示す縦断面図である。 実施形態に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 その他の実施形態の変形例に係る圧縮機構の要部を示す横断面図である。 その他の参考形態の変形例に係る回転式圧縮機を示す縦断面図である。 その他の実施形態の変形例に係る回転式圧縮機を示す縦断面図である。 その他の参考形態の変形例に係る圧縮機構の要部を示す概略縦断面図である。
10 回転式圧縮機
25 クランク軸
26 主軸部
27 偏心部
35 上部ハウジング(支持部材)
40 シリンダ
45 ブレード
50 下部ハウジング(ピストン)
41,51 鏡板部
52 ピストン本体
60 外側シリンダ室(シリンダ室)
65 内側シリンダ室(シリンダ室)
61,66 高圧室
62,67 低圧室
70 押し付け機構
71 大径シールリング
72 小径シールリング
75 背面側隙間
80 調節機構
81,82 連通溝
83 凹溝
84 連通路
85 切欠き溝
87 連通孔
90 補助調節機構
91 連通路
92 差圧弁(開閉弁)
98 凹溝

Claims (14)

  1. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し付け機構(70)の押し付け力の大きさを変更することによって、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)とを備え
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられる一方、
    上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させ、
    上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の背面に開口する連通溝(81,82)を備え、該連通溝(81,82)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記大径シールリング(71)を跨いで該大径シールリング(71)の外側部分と該大径シールリング(71)および小径シールリング(72)の間の部分とを連通させるように構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し付け機構(70)の押し付け力の大きさを変更することによって、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)とを備え
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられる一方、
    上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させ、
    上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の背面に開口する連通溝(81,82)を備え、該連通溝(81,82)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記小径シールリング(72)を跨いで該小径シールリング(72)の内側部分と該小径シールリング(72)および大径シールリング(71)の間の部分とを連通させるように構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  3. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)とを備え
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられ、
    上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)の流体圧によって上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付けるように構成される一方、
    上記背面側隙間(75)には、互いに直径の異なるリング状に形成された大径シールリング(71)および小径シールリング(72)が配置されており、上記大径シールリング(71)の中心が上記シリンダ(40)または上記ピストン(50)の回転中心よりも上記高圧室(61,66)寄りに位置しており、
    上記調節機構(80)は、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分における流体圧を変更することによって、上記押し付け機構(70)が上記押し側部材へ作用させる押し付け力の大きさを変化させる
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  4. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し側部材が上記受け側部材の鏡板部から離れる方向の押し返し力を生じさせると共に、該押し返し力の大きさを変更することによって、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)とを備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  5. 請求項において、
    上記調節機構(80)は、上記受け側部材の鏡板部の前面と摺接する上記押し側部材の先端面に開口する凹溝(83)を備え、該凹溝(83)の内圧を変更することによって上記押し返し力の大きさを変更する
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  6. 請求項において、
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられる一方、
    上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)に配置されたシールリング(73)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記シールリング(73)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記シールリング(73)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させ、
    上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記押し側部材の鏡板部の背面に開口し、該開口端が偏心回転に伴って上記シールリング(73)の外側部分および内側部分を行き来する連通路(84)を備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  7. 請求項において、
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられる一方、
    上記押し付け機構(70)は、上記背面側隙間(75)に配置されたシールリング(73)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記シールリング(73)の内側部分に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力を、上記シールリング(73)の外側部分に上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させ、
    上記押し側部材および受け側部材を貫通するクランク軸(25)は、その主軸部(26)より偏心し且つ大径に形成されて押し側部材に嵌合する偏心部(27)を有し、
    上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記偏心部(27)との嵌合面に開口する連通路(84)と、上記偏心部(27)の外縁部に形成されて上記背面側隙間(75)のうちシールリング(73)の内側部分に開口する切欠き溝(85)とを備え、上記連通路(84)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記切欠き溝(85)と連通するように構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  8. 請求項において、
    上記調節機構(80)は、上記押し側部材の鏡板部の前面と摺接する上記受け側部材の先端面に開口する凹溝(83)を備え、該凹溝(83)の内圧を変更することによって上記押し返し力の大きさを変更する
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  9. 請求項において、
    上記押し側部材および受け側部材を貫通するクランク軸(25)は、その主軸部(26)より偏心し且つ大径に形成されて押し側部材に嵌合する偏心部(27)を有する一方、
    上記偏心部(27)の端面と上記受け側部材の鏡板部の前面との間には、常に上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体の圧力が作用する端面側隙間が設けられ、
    上記調節機構(80)は、上記凹溝(83)に接続されると共に上記クランク軸(25)の主軸部(26)との貫通面に開口する連通路(84)と、上記主軸部(26)の外周面に形成されて上記端面側隙間に開口する切欠き溝(85)とを備え、上記連通路(84)が1偏心回転中の所定の回転角度のときに上記切欠き溝(85)と連通するように構成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  10. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)と
    上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体と上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体との圧力差に応じて変更する補助調節機構(90)とを備え、
    上記押し付け機構(70)は、上記押し側部材の鏡板部の背面の一部分に上記吐出流体の圧力を、残りの部分に上記吸入流体の圧力をそれぞれ作用させるように構成され、
    上記補助調節機構(90)は、上記押し側部材の鏡板部の背面のうち上記吐出流体の圧力が作用する部分の面積を変更して上記押し付け機構(70)が上記押し側部材へ作用させる押し付け力の大きさを変更することによって、上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更し、
    上記押し側部材の鏡板部の背面に沿って配置されて該鏡板部の背面全体との間に背面側隙間(75)を形成する支持部材(35)が設けられる一方、
    上記押し付け機構(70)は、互いに直径の異なるリング状に形成されて上記背面側隙間(75)に配置される大径シールリング(71)および小径シールリング(72)を備え、上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)の内側の部分に上記吐出流体の圧力を、上記大径シールリング(71)の外側の部分に上記吸入流体の圧力をそれぞれ常に作用させ、
    上記補助調節機構(90)は、
    上記背面側隙間(75)のうち上記小径シールリング(72)と大径シールリング(71)の間の部分を上記吐出流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、
    上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を下回ると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以上になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  11. 請求項10において、
    上記大径シールリング(71)および上記小径シールリング(72)は、それぞれの中心が上記シリンダ(40)または上記ピストン(50)の回転中心よりも上記高圧室(61,66)寄りに位置すると共に、上記小径シールリング(72)の中心が上記大径シールリング(71)の中心よりも上記ブレード(45)寄りに位置している
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  12. シリンダ(40)とピストン(50)とが相対的に偏心回転することによって高圧室(61,66)および低圧室(62,67)の容積が変化する回転式圧縮機であって、
    上記シリンダ(40)の基端側および上記ピストン(50)の基端側にはシリンダ室(60,65)を形成する鏡板部(41,51)がそれぞれ設けられ、
    上記シリンダ(40)は、上記シリンダ室(60,65)の横断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(50)は、環状に形成されて上記シリンダ室(60,65)を該ピストン(50)の外側の外側シリンダ室(60)と該ピストン(50)の内側の内側シリンダ室(65)とに区画するピストン本体(52)を備え、
    上記外側シリンダ室(60)と内側シリンダ室(65)のそれぞれがブレード(45)によって高圧室(61,66)と低圧室(62,67)とに区画され、
    上記シリンダ(40)および上記ピストン(50)の一方が押し側部材を、他方が受け側部材をそれぞれ構成する一方、
    上記押し側部材を上記受け側部材の鏡板部へ向かって押し付ける押し付け機構(70)と、
    上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、1偏心回転中のシリンダ室(60,65)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(80)と
    上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを、上記低圧室(62,67)へ吸入される吸入流体と上記高圧室(61,66)から吐出された吐出流体との圧力差に応じて変更する補助調節機構(90)とを備え、
    上記補助調節機構(90)は、上記押し側部材の鏡板部の前面と摺接する上記受け側部材の先端面に開口する凹溝(98)を備える一方、上記押し側部材に上記受け側部材の鏡板部から離れる方向の押し返し力を作用させると共に、上記凹溝(98)の内圧を変更して上記押し返し力の大きさを変更することによって上記押し側部材に作用する上記受け側部材の鏡板部へ向かう方向の荷重の大きさを変更している
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  13. 請求項12において、
    上記補助調節機構(90)の凹溝(98)は、上記受け側部材の先端面のうち上記低圧室(62,67)寄りの部分に開口しており、
    上記補助調節機構(90)は、
    上記凹溝(98)を上記吐出流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、
    上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を超えると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以下になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  14. 請求項12において、
    上記補助調節機構(90)の凹溝(98)は、上記受け側部材の先端面のうち上記高圧室(61,66)寄りの部分に開口しており、
    上記補助調節機構(90)は、
    上記凹溝(98)を上記吸入流体が存在する空間に接続する連通路(91)と、
    上記吐出流体と上記吸入流体の圧力差が所定値を下回ると上記連通路(91)を開いて該圧力差が所定値以上になると上記連通路(91)を閉じる開閉弁(92)とを備えている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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