JP4505936B2 - プロピオール酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピオール酸エステルの製造方法に関し、詳しくは、工業的に有利な上記の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロピオール酸エステルの製造方法としてプロピオール酸と低級アルコールを酸触媒下に反応させる方法が知られている。そして、触媒としては、硫酸、BF3、固体酸触媒などの不揮発性触媒が使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のエステル化反応は平衡反応であるため、反応原料を100%目的物に転化することは出来ず、従って、反応後には何らかの精製工程が必要となる。しかしながら、プロピオール酸エステルは、低級アルコール及び水と共沸するため蒸留での分離が非常に困難である。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、工業的に有利なプロピオール酸エステルの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、エステル化反応工程のモル比を所定の範囲とすることにより、その後の濃縮工程で回収される留出側成分における低級アルコール濃度を制限するならば、飽和無機塩水を使用した洗浄処理により、プロピオール酸エステル、低級アルコール及び水が含まれた上記の留出側成分から、容易にプロピオール酸エステルを回収し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、不揮発性の酸触媒の存在下にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを1:0.9〜1.2モル比の条件下に反応させてプロピオール酸エステルを得る反応工程と、当該反応工程で得られた反応液を濃縮して未反応のプロピオール酸の留出開始前に回収された留出成分(A)と釜残成分(B)とに分離する濃縮工程と、当該濃縮工程で得られた留出成分(A)と飽和無機塩水とを混合した後、プロピオール酸エステル含有層(C)と、無機塩、低級アルコール及び水含有層(D)とに静置分離する洗浄工程と、上記の濃縮工程で得られた釜残成分(B)にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを添加して両者のモル比調整を行なった後に前記の反応工程を繰り返すリサイクル工程とを包含することを特徴とするプロピオール酸エステルの製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るプロピオール酸エステルの製造方法は、反応工程、濃縮工程、洗浄工程、リサイクル工程とを包含する。
【0008】
反応工程においては、不揮発性の酸触媒の存在下にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを1:0.9〜1.2モル比の条件下に反応させてプロピオール酸エステルを得る。低級アルコールとしては、水溶性アルコールが使用され、特にメタノール又はエタノールが好適である。何れにしても、本発明は共沸が存在する系に好適である。
【0009】
プロピオール酸と低級アルコールとの使用割合は1:0.9〜1.2モル比でなければならない。低級アルコールの使用割合が上記の範囲より少ない場合は、プロピオール酸エステルの生成量が低く工業的に不利である。また、低級アルコールの使用割合が上記の範囲より多い場合は、次工程の濃縮工程において工業的有利な濃縮を行なった際、留出側成分に多量の低級アルコールが含まれ、その結果、更に次工程の洗浄工程において層分離が困難となる。
【0010】
因みに、原料アルコールとしてメタノール、触媒として硫酸を使用し、上記のモル比で得られた反応液の組成の一例は、プロピオール酸メチルエステル(メチルプロピオレート):55重量%、プロピオール酸20重量%、メタノール:9重量%、水:12重量%、硫酸4重量%である。
【0011】
エステル化反応の他の条件は、従来公知の条件と同様に選択される。酸触媒としては、硫酸、BF3、固体酸触媒などが挙げられる。これらの中では硫酸が好適に使用される。酸触媒の使用量は、プロピオール酸に対し、通常0.01〜0.5モル%とされる。反応は一般的には常圧条件下に行われ、反応温度は、通常50℃から還流条件下、反応時間は、通常1〜5時間の範囲から選択される。
【0012】
濃縮工程においては、反応工程で得られた反応液を濃縮して未反応のプロピオール酸の留出開始前に回収された留出成分(A)と釜残成分(B)とに分離する。共沸が存在する場合、例えば、メチルプロピオレートはメタノール及び水と共沸するため、段数の多い蒸留塔を使用しても意味がなく、濃縮工程においては設備費の安価な単蒸留装置が好適に使用される。そして、濃縮工程(単蒸留操作)は、次第に減圧にしつつ昇温することにより行なわれる。この操作により、プロピオール酸エステル、低級アルコール及び水が留出する。
【0013】
本発明においては、未反応のプロピオール酸の留出開始前に留出成分(A)を回収する。具体的には、例えば、約100Torrで50℃の条件までの留出成分(A)を回収する。これにより、未反応のプロピオール酸を損失することなく、後述のリサイクル工程を経て再利用することが出来る。しかも、前記の特定のモル比でプロピオール酸と低級アルコールとを反応させた結果として、(すなわち、反応液が多量の低級アルコールを含有していない結果として)反応で生成したプロピオール酸エステルの大部分が留出成分(A)に回収される。更に、釜残成分(B)中にも反応副生物などが生じないために後述のリサイクル工程が良好に行なわれる。
【0014】
洗浄工程においては、上記の濃縮工程で得られた留出成分(A)と飽和無機塩水とを混合した後、プロピオール酸エステル含有層(C)と、無機塩、低級アルコール及び水含有層(D)とに静置分離する。無機塩としては食塩が好適に使用されるが、これに限定されない。留出成分(A)と飽和無機塩水との使用割合は、通常1:0.3〜3重量比、好ましくは1:0.5〜1.5重量比の範囲から選択される。斯かる洗浄工程は、複数回繰り返して行い、プロピオール酸エステルの純度を高めるのが好ましい。本発明においては、その後、芒硝などの脱水剤により処理してプロピオール酸エステルの純度を更に高めてもよい。
【0015】
本発明においては、前記の特定のモル比でプロピオール酸と低級アルコールとを反応させた結果として、上記の様な比較的少ない使用割合の飽和無機塩水により、プロピオール酸エステル含有層(C)と、無機塩、低級アルコール及び水含有層(D)とに静置分離し、プロピオール酸エステルを精製することが出来る。すなわち、濃縮工程で得られた留出成分(A)中に未反応の低級アルコール量(及び副生した水の量)が多く含まれている場合は、多量の飽和無機塩水が必要となり、プロピオール酸エステルの回収率が悪くなり、しかも、無機塩の析出も生じる。
【0016】
リサイクル工程においては、上記の濃縮工程で得られた釜残成分(B)にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを添加して両者のモル比調整を行なった後に前記の反応工程を繰り返す。なお、モル比は、前記の反応工程と同様のモル比に調整される。触媒は不揮発性であるため、釜残成分(B)として残るものをそのままま使用すれば足りる。斯かるリサイクル工程により、プロピオール酸から略定量的にプロピオール酸エステルを製造することが出来る。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
先ず、1リットルの反応蒸留装置に、プロピオール酸280g(4.0モル)、メタノール134g(4.2モル)、98%硫酸20g(0.2モル)を投入し、常圧下、反応液温度60℃で3時間反応した。少量発生する蒸気は冷却管で凝縮させた。
【0019】
次いで、30℃まで反応液を冷却後、反応系を100torrまで減圧して昇温することにより濃縮を開始した。液温40℃で留出が開始した。そして、圧力83torr、液温52℃まで濃縮して留出成分(メチルプロピオレート、メタノール、水の共沸留分)332gを得た。
【0020】
次いで、300gの飽和食塩水で上記の留出成分332gを3回洗浄することによりメタノールを除去し、260gのメチルプロオレート粗溶液を得た。この溶液に芒硝13g添加し一時間撹拌した後に濾過し、254gメチルプロピオレートを得た。収率は75.5%であった。
【0021】
次いで、前記の濃縮にて回収された釜残成分102g(プロピオール酸51g、メチルプロピオレート23g、硫酸20g、水8g)には副反応成分が殆ど含有されていないため、次バッチに使用した。
【0022】
すなわち、上記の釜残成分にプロピオール酸229gとメタノール134gを投入して、前記1回目の操作と同様に、反応、濃縮、洗浄を行なった。その結果、上記と同様、約75.5%の収率でメチルプロピオレートが得られた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、反応工程における原料のモル比を制限したことにより、濃縮工程においては損失なくプロピオール酸エステルを回収することが出来、洗浄工程においては比較的少ない使用割合の飽和無機塩水でプロピオール酸エステルを精製できる。
Claims (2)
- 不揮発性の酸触媒の存在下にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを1:0.9〜1.2モル比の条件下に反応させてプロピオール酸エステルを得る反応工程と、当該反応工程で得られた反応液を濃縮して未反応のプロピオール酸の留出開始前に回収された留出成分(A)と釜残成分(B)とに分離する濃縮工程と、当該濃縮工程で得られた留出成分(A)と飽和無機塩水とを混合した後、プロピオール酸エステル含有層(C)と、無機塩、低級アルコール及び水含有層(D)とに静置分離する洗浄工程と、上記の濃縮工程で得られた釜残成分(B)にプロピオール酸と炭素数5以下の低級アルコールとを添加して両者のモル比調整を行なった後に前記の反応工程を繰り返すリサイクル工程とを包含することを特徴とするプロピオール酸エステルの製造方法。
- 低級アルコールがメタノール又はエタノールである請求項1に記載の製造方法。
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