JP4505152B2 - 防振マウント装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防振マウント装置に関し、特には3方向の振動特性の異なる建設車両等の運転室の防振に適した防振マウント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建設機械等の運転室を車体に防振支持して取り付けるために液体封入式マウントが多く使用されており、例えば特開平8−254241号公報に記載された液体封入サスペンション(以下、液体封入式マウントと呼ぶ)が知られている。図13は、上記公報に記載された液体封入式マウントの一構成例の側面断面図である。
【0003】
図13において、液体封入室80は容器70と、容器70の上部開口部に取り付けた円筒形状のマウントゴム73と、ゴムストッパ79とからなる空間にて構成され、この液体封入室80を構成する各部材は一体になるように固着されている。また、液体封入室80の内部には、減衰液83、コイルスプリングからなるばね部材82、及びガイドシャフト72と一体のダンパプレート81が封入されている。ガイドシャフト72は、円筒状に構成されたマウントゴム73に対して軸方向に摺動自在に嵌合されている。このマウントゴム73は、ガイドシャフト72に摺動自在に嵌挿されたスリーブ74の外側に、複数の円筒形プレート75a,75b,75cを介して複数の積層ゴム76a,76b,76c,76dが同心状にして環状に積層された積層構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、ブルドーザ等の建設機械においては、不整地を走行することが多いために、運転室の防振により作業時の安定性及び居住性を確保して作業性を向上することが重要な課題となっている。例えば図14の側面図に示すように、ブルドーザ90においては、運転室91を搭載したフロアフレーム92が前部左右の液体封入式マウント93,93及び後部左右の液体封入式マウント94,94を介して車体フレームに防振支持されて取付けられている。液体封入式マウント93,94は前記図13で示したような液体封入式マウントからなり、マウントゴム73の軸心方向を上下方向に向けて取付けられている。フロアフレーム92は側面視で略S字形状を成しており、前部の低床部と後部の高床部とを有している。このため、車体フレームがピッチング(前後方向の揺動)により振動したときに、そのピッチングを防振できないという問題がある。例えば簡単のため、運転室91の高床部が低床部の液体封入式マウント93を略中心にして図14の矢印pで示すようなピッチング動作を行ったときについて説明する。
【0005】
図15は、前方支持点P1を中心としてピッチングしたと考えた時の後方支持点P2の挙動を示す図である。図15において、後方支持点P2が前方支持点P1を中心にL0の半径で動くとする。高さを距離L3だけ変化させると、後方支持点P2は点P2'に達し、水平方向に距離L4だけ変化する。ここで、L0,L1,L2は前方支持点P1と後方支持点P2との間の直線距離、水平距離、垂直距離をそれぞれ表す。仮に、L1=1100,L2=650,L3=10とすれば、L4=6.5(単位はそれぞれmm)となる。
【0006】
後方支持点P2は液体封入式マウント94の縦変位L3と横変位L4を同時に実現しなければならないので、点P2から点P2’への変位に伴い弾性体を変形させるのに必要なエネルギーE1は、式E1=(Kv ×L3 +Kh ×L4 )/2により求められ、E1=2.61×10 となる。一方、バウンシングのような上下揺れのみを考えた場合の弾性体を変形させるのに必要なエネルギーE2は、式E2=Kv ×L3 /2により求められ、E2=0.50×10 となる。すなわち、ピッチング剛性は上下揺れの剛性とは異なり前後方向の剛性の影響を大きく受け、前後方向の剛性が大きい場合には上下揺れの剛性は非常に大きくなる。
【0007】
ところが、高床部の液体封入式マウント94は、図13に示すマウントゴム73の軸心方向に直交する方向の積層ゴム76a,76b,76c,76dによる剛性が軸方向に比して非常に高い(つまり硬い)ので、車両前後方向のマウントゴム73の変位が拘束され、ピッチング(矢印p方向の揺動)に対して高い剛性を示すことになる。従って、図14に示すような液体封入式マウントの取付構造においては、従来の液体封入式マウントはピッチングを充分に防振できない。
【0008】
これを解決する手段として、積層ゴム76a,76b,76c,76dの弾性係数を小さくして剛性を小さくすることが考えられるが、この場合前後方向と共に左右方向の剛性も小さくなるため、左右方向の横揺れが大きくなり、3方向共に好適な防振効果が得られないと言う問題がある。
【0009】
また、例えば特開平2−38729号公報には、上下方向、前後方向、左右方向の3方向からの振動を内筒と外筒との間に加硫接着された弾性体により受け、弾性体の軸心を挟んで前後部に高粘性の液体(シリコーンオイル等)が封入された2つの液室が形成され、2つの液室はそれぞれ制限流路で連通した上液室と下液室とからなり、前後方向の振動に対して前記制限流路、上液室及び下液室内のそれぞれを水平方向に液体が流れ、このときの粘性抵抗により広い周波数で減衰が得られるようにした防振装置が記載されている。しかしながら、このような防振装置を前記ブルドーザ90の運転室防振用に用いた場合、上下方向の剛性と前後方向又は左右方向の剛性(弾性係数)とが略等しいので、3方向の内いずれか一方向の振動特性に合わせてその剛性を設定すると、他の二方向の振動特性に適合しないことがある。このため、3方向共に適切な剛性に設定できないので、充分な防振効果が得られないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、装着部位での異なる3方向の振動特性にそれぞれ適合した剛性を有する防振マウント装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係る防振マウント装置の第1発明は、シャフトと、シャフトの外周部に軸方向に摺動自在に嵌挿された内筒部材の外周面に固着された弾性体と、一端側が開口し、かつ他端側に底面を有する筒状を成し、前記一端側の開口部に前記弾性体及びシャフトを装着し、前記弾性体とシャフトと前記底面とで形成される液体封入室内に減衰液を封入した容器と、減衰液に浸かる状態でシャフトの端部に取付けられたダンパ部材と、ダンパ部材及び容器の底面の間に装着されたばね部材とを備えた防振マウント装置において、前記シャフトと直交し、かつ互いに交差する少なくとも2方向の前記弾性体の剛性が互いに異なるように、弾性体の軸方向高さ、径方向厚さ及び材質の少なくともいずれかをシャフトの周方向に変化させて構成し、前記弾性体の軸方向高さは、前記前後方向に位置する部分が前記左右方向に位置する部分よりも短く、前記弾性体と前記ダンパ部材との間には空気封入室が形成され、前記空気封入室の大きさは、前記前後方向に位置する部分が前記左右方向に位置する部分よりも大きく構成している。
【0012】
第1発明によると、シャフトと直交する少なくとも2方向に位置する弾性体の剛性を互いに異なるように構成しているので、例えば小さい剛性となる方が車両の前後方向に、大きい剛性となる他方が左右方向に向くように本防振マウント装置を取り付けることにより、ピッチングの揺動による前後方向の振動を比較的小さい前後方向剛性により吸収でき、且つピッチングの揺動による上下方向の振動をさらに小さい剛性(弾性係数)のばね部材と減衰液により防振できる。さらに、運転室等の被支持体の荷重はばね部材で常時支持され、かつ走行時に最も大きな上下方向振動はばね部材の小さい剛性と減衰液の高減衰特性で抑制され、効果的に防振できる。一方、左右方向の振動に対しては、小さい剛性で支持すると振動(加速度)は抑制されるが揺れ(振幅)が大きくなるため、走行しながら微妙な作業機操作を必要とするブルドーザ等には好ましくない。また、横揺れが大きいと船酔いが発生し易いので、左右方向剛性は大きい方がよい。これらの結果、3方向の振動特性に適合した剛性を一つの防振マウント装置で設定できるので、優れた防振特性を有する防振マウント装置をコンパクトに構成できる。
【0013】
第2発明は、第1発明に基づいて、前記弾性体は、仕切プレートおよび層状弾性体を有した積層構造であることを特徴とする
【0014】
第3発明は、第1発明または第2発明に基づいて、剛性が異なる方向は互いに交差する3方向であるとともに、前記互いに交差する3方向は車両の上下、前後、左右方向であり、この3方向のそれぞれの剛性の大きさが上下<前後<左右となるように構成されて、車両の運転室を防振支持したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
先ず、図1,2により第1実施形態を説明する。図1,2はそれぞれ本実施形態に係る防振マウント装置の側面断面図及び平面図であり、図1は図2のA−A断面図を示している。
上方に開口した容器10の上部には円筒状の弾性体20が取付けられ、弾性体20の中央部にはシャフト11が上下方向に摺動自在に嵌挿されている。容器10とシャフト11と弾性体20とで液体封入室30を形成している。この液体封入室30内には、シリコーンオイル等の減衰液17と、シャフト11の下端部に取付手段16で取付られたダンパ部材14と、スプリングコイル等で構成されたばね部材15とが封入されている。尚、取付手段16はボルトによる固定や溶接等からなる。ダンパ部材14は下方に開口したカップ形状を成しており、ダンパ部材14の内側上面と容器10の底面との間に前記ばね部材15が装着されている。
【0019】
円筒状の内筒部材21の外周面には同心状の複数の仕切プレート22a,22b,22cを介して多層状に弾性体23a,23b,23cが加硫接着等の接着手段により固着されており、内筒部材21の内周面下部に嵌挿されているブッシュ24によりシャフト11の外周面を軸方向に摺動自在とされている。前記内筒部材21の内周面上部には、オイルシール25とダストシール26とが装着されている。また、容器10の上端面で、弾性体20とダンパ部材14との間には、中央部に孔を有し、かつこの孔及び下面部に亘って中部弾性体29を固着(例えば加硫接着)したプレート28が設けられている。中部弾性体29は、シャフト11の上下動に伴うダンパ部材14の上限でのストッパとなり、上限位置でシャフト11の動きを拘束すると共に、シャフト11の左右、前後方向の動きに伴う内筒部材21でのストッパともなり、シャフト11の左右、前後方向の動きを拘束する。尚、プレート28の前記中央部の孔をシャフト11及び内筒部材21が貫通している。
【0020】
プレート28の外周部と弾性体20の前記仕切プレート22cの外周部と容器10の上端部とは周方向に固着されて一体化されており、フランジ部27を形成している。このフランジ部27の4隅には本防振マウント装置を車体フレーム95に取り付けるための取付孔19がそれぞれ形成されている。
また、シャフト11の上端面には、運転室91(図14参照)等に固定するためのネジ孔13が形成されており、また取付時の位置決め用のピン12が設けられている。
【0021】
ダンパ部材14の内面と容器10の下部内面との間、ダンパ部材14と中部弾性体29との間、及び中部弾性体29と弾性体20との間に、それぞれ下部液体封入室30a、上部液体封入室30b及び空気封入室30cが形成されている。下部液体封入室30aと上部液体封入室30bとの間は、ダンパ部材14の外周面下部と容器10の内周面とで挟まれた流路隙間H1、及びダンパ部材14の外周面上部と中部弾性体29とで挟まれた流路隙間H2により連通し、また上部液体封入室30bと空気封入室30cとの間は、中部弾性体29と内筒部材21とで挟まれた流路隙間H3により連通している。
【0022】
そして、各層の弾性体23a,23b,23cの径方向厚さは等しいが、前後方向に位置する弾性体20の上下方向長さD1が左右方向に位置する弾性体20の上下方向長さD2よりも短く形成してある。図2では、斜線部を施した範囲が前後方向の上下方向長さD1の弾性体20を表しており、それぞれの範囲の角度θ1、θ2(θ1、θ2は等しくても異なっていてもよい)は約90度としているが、この角度範囲に限定されない。これにより、前後方向の弾性体20の弾性係数即ち剛性が左右方向よりも小さく設定されている。さらに、ばね部材15の弾性係数を弾性体20の前後方向の弾性係数より小さく設定して、上下方向の剛性を前後方向よりも小さく設定している。従って、上下方向の振動が最も良く防振され、左右方向の振動に対してはある程度の剛性を維持し、かつ前後方向の振動は左右方向よりも防振されるようになっている。
【0023】
本出願人は、いくつかのテストを行なったが、例えば図14に示したブルドーザ90の運転室91の後部支持に適用した例では、前後方向と左右方向との剛性の比率を約1/3に設定し、非常に良いピッチング防振効果を得ている。また、上下方向と前後方向との剛性の比率を約1/20に設定し、通常大きな上下方向の振動に対して優れた防振効果を得ている。
【0024】
本実施形態によると、ばね部材15の弾性係数と、シャフト11の軸方向に直交し、かつ異なる少なくとも2方向の弾性体20の弾性係数とをそれぞれ異ならせることにより、上下方向、前後方向及び左右方向の異なる3方向に対してそれぞれ剛性が異なるように設定可能となっている。従って、3方向の振動特性に応じて適切な剛性を有する液体封入式マウントを簡単に構成できる。本実施形態では、少なくとも2方向の弾性体20の弾性係数を異ならせる手段として、シャフト11の周方向に沿って所定角度範囲で弾性体20の軸方向高さを異ならせる構成により実現しているので、簡単な構成で実現できる。これにより、例えば図14に示すブルドーザ90の運転室91の高床部での防振支持に適用する場合に、上下方向の振動と共にピッチング時の前後方向の揺動も確実に防振でき、かつ左右方向の振動に対しては適切に抑制できる。この結果、運転室等の異なる3方向の振動を充分に低減でき、操縦時の安定性及び居住性を向上できる。
【0025】
また、ばね部材15により、上下方向の大きな荷重を支持することができると共に、建設機械等の車両で通常最も頻繁に、かつ大きく発生する上下方向の振動に対しては、剛性を他の2方向(前後及び左右)よりも小さく設定しているので、最も効果的に防振できる。また、シリコーンオイル等の減衰液17が流路隙間H1、流路隙間H2及び流路隙間H3を経由して下部液体封入室30a、上部液体封入室30b及び空気封入室30cの間を流れる時の粘性抵抗によって、大きな減衰特性が得られ、上下振動を短時間で減衰させることができる。
【0026】
尚、本実施形態では、シャフト11に直交する2方向(前後と左右方向)の剛性を異ならせる構成を示したが、これに限定されず、本防振マウント装置の装着部位の振動特性に適合するように所定の3方向以上の剛性をそれぞれ異ならせるように構成してもよい。これにより、被支持体の振動特性に最も適合した防振マウント装置を設けることができる。
【0027】
ここで、本実施形態の他の実施態様を図3により説明する。
図3に示すように、前後方向に位置する上下方向長さの短い方の弾性体20を、仕切プレート22a,22b,22cの下部に設けている。他の構成は、上記実施形態と同様である。
これにより、上記実施形態と同様の効果が得られ、即ち前後方向の弾性体20の弾性係数即ち剛性が左右方向よりも小さく設定されるから、従って左右方向の振動に対してはある程度の剛性を維持し、かつ前後方向の振動に対しては左右方向よりも減衰させることができる。さらに、本実施態様においては、弾性体20の下部に形成されている空気封入室30cの大きさが上記実施形態よりも小さくなっているから、シリコーンオイル等の減衰液17の充填率が両者で同じ(通常、充填率80%であるから、空気が20%入っている)場合には、上下加振が大きいとき空気を巻き込む面積がより少ないので、この分だけより安定した振動減衰効果が得られる。
【0028】
次に、図4により第2実施形態を説明する。図4は本実施形態の防振マウント装置の平面図を示しており、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では第1実施形態と異なる構成についてのみ説明を行ない、以後も同様とする。
内筒部材21の外周面に加硫接着された弾性体20aには、左右方向に位置する角度θ3、θ4の範囲にのみ仕切プレート22d,22eが埋設されており、最外側にある略円筒状の仕切プレート22cはプレート28と容器10(図1参照)の上端部と周方向に固着されて一体化されている。図4では、角度θ3、θ4は共に約90度に設定しているが、この角度に限定されず、また両角度θ3、θ4に所定角度以内の差があってもよい。
【0029】
本実施形態によると、前後方向の弾性体20aの径方向厚さが左右方向の径方向厚さよりも厚いので、前後方向の弾性体20aの剛性(弾性係数)が左右方向よりも小さく設定されることになる。仕切プレート22d,22eの径方向厚さにより、左右方向の剛性の大きさを設定できる。また、上下方向の剛性はばね部材15により、第1実施形態と同様に前後方向の弾性体20aの剛性よりも小さく設定している。従って、本実施形態により、各3方向の剛性をそれぞれ上下方向<前後方向<左右方向の関係を満たすように任意に設定することができる。この結果、前記同様に、ブルドーザ等の建設車両の運転室をその振動特性に適合させて防振支持することができる。
【0030】
次に、第2実施形態の他の幾つかの実施態様例を説明する。
図5、図6において、左右方向に位置する角度θ3、θ4の範囲には、第2実施形態と同様に仕切プレート22d,22eとこの仕切プレート22d,22e間に多層状に設けた弾性体23a,23b,23cからなる弾性体20fとが配設されている。また、前記角度θ3、θ4の範囲以外の前後方向には、仕切プレートや弾性体の無い空気室31が設けてあり、この空気室31の上方は弾性体等からなるカバー32で覆われている。
このように、弾性体20fを有する左右方向と、空気室31を有する前後方向とで弾性係数を異ならせているので、上記実施形態と同様に左右方向の振動に対してはある程度の剛性を維持し、かつ前後方向の振動は左右方向よりも大きな防振効果を得ることができる。
【0031】
また、図7に示すように、左右方向に位置する角度θ3、θ4の範囲には弾性体20gのみを設けて仕切プレートを省き、他の範囲即ち前後方向には図6で示したのと同様に上方が弾性体カバー32で覆われた空気室31を設けてもよい。これにより、より簡単な構成で前述と同様の作用効果が得られる。
【0032】
図8及び図9は、第2実施形態の他の実施態様例を示している。
図8に示すように、弾性体20bは平面視で矩形状をなし、シャフト11に上下方向に摺動自在に嵌挿された円筒状の内筒部材21の外周面に加硫接着されている。減衰液、ダンパ部材及びばね部材を封入する容器10bの開口部の上端部は弾性体20bの四角形状に略合うように形成されている。また、弾性体20bには、左右方向に位置する範囲にのみ仕切プレート22f,22gが埋設されており、最外側にある略四角筒状の仕切プレート22c1は、外形が四角形状をなすプレート(図1のプレート28に相当)と容器10bの上端部と周方向に固着されて一体化されている。
上記のような弾性体20bにおいても、前後方向の剛性が左右方向よりも小さくなるので、上記第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0033】
また、図9に示すように、弾性体20cは、図8に示した弾性体20bを平面視で長手方向を前後方向に向けた長方形に形成してもよい。尚、図9では弾性体20cの内部には埋設された仕切プレート(図8の仕切プレート22f,22gに相当)を有していないが、有していてもよい。このような構成により、弾性体20cの前後方向の径方向厚さが左右方向よりも厚いので、前後方向の剛性を左右方向よりも小さくでき、上記第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0034】
次に、図10により第3実施形態を説明する。図10において、弾性体20dは、内筒部材21の外周面に円環状の仕切プレート22hを介して加硫接着された2層の弾性体23d,23eを有している。前後方向に位置する仕切プレート22hの径方向厚さt3,t4は、左右方向の径方向厚さt1,t2よりも薄く設定していて、これにより前後方向に位置する弾性体20dの径方向厚さは左右方向よりも厚くなっている。尚、前後方向の弾性体20dの厚い範囲の角度θ1,θ2は約90度に設定してあるが、この角度に限定されず、また前後の角度θ1,θ2を互いに異ならせても構わない。
【0035】
本実施形態によると、第2実施形態と同様に、前後方向の剛性を左右方向よりも小さくできるので、上下、前後及び左右の3方向でそれぞれ剛性を適切に設定できる。従って、ブルドーザ等の建設車両の振動特性に応じて適合した3方向の異なる剛性を有する液体封入式マウントを構成できる。尚、本実施形態では1個の仕切プレート22hを介して2層の弾性体23d,23eを設けた例を示したが、これに限定されず、複数の仕切プレートを介して3層以上の弾性体を設けてもよい。
【0036】
図11は、第3実施形態の他の実施態様を示している。図11において、仕切プレート22iの前後方向の径方向厚さt3,t4の範囲と、左右方向の径方向厚さt1,t2の範囲との間は、なだらかな曲面で接続されている。従って、鋼板等の仕切プレート22iとゴム等の弾性体23d,23eとの加硫接着部の接合力が大きくなると共に、加硫接着部に応力集中が発生することがないので、耐久性を向上できる。他の作用効果は、第3実施形態と同様であり省略する。
【0037】
図12により、第4実施形態を説明する。図12において、弾性体20eは、内筒部材21の外周面に楕円形状の仕切プレート22jを介して加硫接着された2層の弾性体23f,23gを有している。仕切プレート22jは長軸方向を左右方向に向けて設けられており、その内側の高硬度弾性体23fの弾性係数は外側の低硬度弾性体23gよりも大きく設定されている。従って、左右方向に位置する弾性体20eは高硬度弾性体23fの径方向厚さが前後方向よりも厚く、低硬度弾性体23gの径方向厚さが前後方向よりも薄くなるから、全体として左右方向に位置する弾性体20eの弾性係数は前後方向よりも大きく設定されている。
【0038】
上記第4実施形態によると、前後方向に位置する弾性体20eは、低硬度弾性体23gの厚さを左右方向よりも厚くし、高硬度弾性体23fの厚さを左右方向よりも薄くしているので、前後方向の剛性が左右方向よりも小さくなる。これにより、前記実施形態と同様に、上下、前後及び左右の3方向でそれぞれ剛性を適切に設定できる。
【0039】
尚、複数の楕円形状の仕切プレートを介して弾性係数のそれぞれ異なる3層以上の弾性体層を設けてもよい。また、楕円形状の長軸を前後方向に向けて仕切プレートを設け、弾性係数の小さな弾性体23gをこの仕切プレートの内側に、大きな弾性体を23fを外側に設けるようにしても同じ効果が得られる。
【0040】
また本発明においては、弾性体の剛性(弾性係数)をシャフトの周方向に変化させる手段として、これまでの各実施形態で述べたような弾性体のシャフトの軸方向高さ、径方向厚さ及び材質をそれぞれ異ならせる構成の外に、これらの構成を組み合わせてもよいことは言うまでもない。さらに、少なくとも3方向の内の一方向の剛性は、シャフトの軸方向の荷重を受けるスプリングコイル等のばね部材及び減衰液により実現しているが、この構成に限定されず、他の弾性部材(ゴム等)で実現してもよい。
【0041】
以上説明したように、本発明によると、1つの防振マウント装置内において、交差する少なくとも3方向の剛性を異ならせることにより、装着部位の振動特性に最も適合した防振マウント装置をコンパクトに構成でき、優れた防振効果が得られる。特に、建設機械等の車両の運転室を防振支持する場合には、少なくとも上下、前後及び左右の3方向における振動特性が大きく異なっており、例えばブルドーザの後部高床部では上下、前後及び左右の各振動の大きさは上下>前後>左右の関係になっている。従って、この振動特性に応じて、各方向の剛性の大きさを上下<前後<左右となるように設定することにより、ブルドーザの運転室を最適に防振支持でき、操縦時の安定性及び居住性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の防振マウント装置の側面断面図である。
【図2】第1実施形態の防振マウント装置の平面図である。
【図3】第1実施形態の他の実施態様を示す防振マウント装置の側面断面図である。
【図4】第2実施形態の防振マウント装置の平面図である。
【図5】第2実施形態の他の実施態様を示す防振マウント装置の平面図である。
【図6】第2実施形態の他の実施態様を示す防振マウント装置の側面断面図である。
【図7】第2実施形態の防振マウント装置の他の実施態様例である。
【図8】第2実施形態の防振マウント装置の他の実施態様例である。
【図9】第2実施形態の防振マウント装置の他の実施態様例である。
【図10】第3実施形態の防振マウント装置の平面図である。
【図11】第3実施形態の防振マウント装置の他の実施態様例である。
【図12】第4実施形態の防振マウント装置の平面図である。
【図13】従来技術の防振マウント装置の側面断面図である。
【図14】ブルドーザの側面図である。
【図15】従来技術のピッチング時の後方支持点の挙動説明図である。
【符号の説明】
10,10b…容器、11…シャフト、14…ダンパ部材、15…ばね部材、17…減衰液、20,20a,20b,20c,20d,20e…弾性体、21…内筒部材、22a,22b,22c,22c1,22c2,22d,22e,22f,22g,22h,22i,22j…仕切プレート、23a,23b,23c、23d,23e,23f,23g…弾性体、28…プレート、29…中部弾性体、30…液体封入室、30a…下部液体封入室、30b…上部液体封入室、30c…空気封入室、31…空気室、32…カバー、70…容器、72…ガイドシャフト、73…マウントゴム、75a,75b,75c…円筒形プレート、76a,76b,76c,76d…積層ゴム、79…ゴムストッパ、80…液体封入室、82…ばね部材、83…減衰液、90…ブルドーザ、91…運転室、93,94…液体封入式マウント、。

Claims (3)

  1. シャフト(11)と、シャフト(11)の外周部に軸方向に摺動自在に嵌挿された内筒部材(21)の外周面に固着された弾性体(20,20a〜20g)と、一端側が開口し、かつ他端側に底面を有する筒状を成し、前記一端側の開口部に前記弾性体(20,20a〜20g)及びシャフト(11)を装着し、前記弾性体(20,20a〜20g)とシャフト(11)と前記底面とで形成される液体封入室(30)内に減衰液(17)を封入した容器(10,10b)と、減衰液(17)に浸かる状態でシャフト(11)の端部に取付けられたダンパ部材(14)と、ダンパ部材(14)及び容器(10,10b)の底面の間に装着されたばね部材(15)とを備えた防振マウント装置において、
    前記シャフト(11)と直交し、かつ互いに交差する少なくとも2方向の前記弾性体(20,20a〜20g)の剛性が互いに異なるように、弾性体(20,20a〜20g)の軸方向高さ、径方向厚さ及び材質の少なくともいずれかをシャフト(11)の周方向に変化させて構成し
    前記弾性体(20)の軸方向高さは、前記前後方向に位置する部分が前記左右方向に位置する部分よりも短く、
    前記弾性体(20)と前記ダンパ部材(14)との間には空気封入室(30c)が形成され、
    前記空気封入室(30c)の大きさは、前記前後方向に位置する部分が前記左右方向に位置する部分よりも大きい
    ことを特徴とする防振マウント装置。
  2. 請求項1に記載の防振マウント装置において、
    前記弾性体(20,20a,20b,20d,20e,20f)は、仕切プレート(22a〜22j)および層状弾性体(23a〜23g)を有した積層構造である
    ことを特徴とする防振マウント装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の防振マウント装置において、
    剛性が異なる方向は互いに交差する3方向であるとともに、
    前記互いに交差する3方向は車両(90)の上下、前後、左右方向であり、
    この3方向のそれぞれの剛性の大きさが上下<前後<左右となるように構成されて、車両(90)の運転室(91)を防振支持した
    ことを特徴とする防振マウント装置。
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