図1は、本発明の前提となる実施の第1形態であるクリーニングブレード1の構成を簡略化して示す断面図である。図2は、図1に示すクリーニングブレード1の側面図である。図3(a)は図1に示すクリーニングブレード1の正面図であり、図3(b)は図1に示すクリーニングブレード1の背面図であり、図3(c)は図1に示すクリーニングブレード1の平面図である。図1は、クリーニングブレード1の長手方向に垂直な仮想平面であって、図3(a)に示すクリーニングブレード1の切断面線I−Iを含む仮想平面における断面図に相当する。図2は、クリーニングブレード1の右側面図に相当する。図1〜図3では、理解を容易にするために、一部分の厚みを省略して示す。本実施形態のクリーニングブレード1は、体積平均粒径がたとえば10μm以下程度と小さい小粒径トナーが用いられる場合に特に好適である。
クリーニングブレード1は、大略的に、ブレード部材2と、ブレード部材2を支持するブレード支持部材であるブレードホルダ3と、規定部材であるスペーサ4とを含んで構成される。
ブレード部材2は、帯状の平板形状であり、厚み方向に垂直な仮想平面における断面形状が長方形状である。後述する図4に示すカートリッジ10においてブレード部材2は、長手方向が像担持体である円柱状の感光体ドラム11の軸線方向に平行になるように配置される。ブレード部材2は、たとえば、熱硬化型ポリウレタンなどのウレタンゴムまたはシリコーンゴムなどの弾性材料で形成される。ブレード部材2は、たとえば接着剤によってブレードホルダ3に貼付けられる。接着剤としては、ポリウレタン(略称PUR)系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体(略称EVA)系接着剤、ポリアミド(略称PA)系接着剤などのホットメルト接着剤などが挙げられる。これらの中でも、PUR系接着剤が好ましい。
本実施形態においてブレード部材2は、後述する図4に示すように、ブレードホルダ3を基準として感光体ドラム11と反対側に設けられ、ブレードホルダ3よりも感光体ドラム11の回転方向上流側に配置される。このように配置される場合、ブレード部材2は、ブレードホルダ3を基準として感光体ドラム11と同じ側に設けられ、ブレードホルダ3よりも感光体ドラム11の回転方向下流側に配置される場合に比べ、感光体ドラム11との当接によってブレードホルダ3から剥離しやすい。したがってブレード部材2とブレードホルダ3との接着力を高める必要がある。前述のように接着剤としてPUR系接着剤を用いることによって、ブレード部材2のブレードホルダ3からの剥離を抑え、クリーニングブレード1の耐久性を向上させることができる。
またブレードホルダ3のブレード部材2が貼付けられる側の表面部は、プライマ処理されていることが好ましい。プライマ処理を施すことによって、ブレードホルダ3と接着剤との接着力を向上させることができるので、ブレード部材2のブレードホルダ3からの剥離をより確実に抑えることができる。ブレードホルダ3のプライマ処理は、たとえばブレードホルダ3のブレード部材2が貼付けられる側の表面部にプライマを塗布することによって行なわれる。プライマの塗布方法としては、たとえば、プライマが貯留されたタンクにブレードホルダ3を浸漬してプライマを塗布するディッピングなどが挙げられる。プライマはディッピングに限定されず、たとえば刷毛またはスプレイなどによってブレードホルダ3に塗布されてもよい。プライマとしては、たとえばフェノール系プライマおよびシランカップリング剤系プライマなどが挙げられる。
ブレードホルダ3は、平板形状である。ブレードホルダ3は、ブレード部材2の長手方向に延びて設けられ、厚み方向一方側の表面部にブレード部材2を支持する。ブレードホルダ3の長手方向における両端部寄りの部分には、カートリッジ10のブレード取付部29にねじ止めするための後述する取付用ねじ30が挿通されるホルダ側ねじ孔3aが形成されている。ブレードホルダ3は、短手方向におけるブレード部材2を支持する側と反対側の端部が屈曲され、屈曲部7を形成している。屈曲部7は、カートリッジ10のハウジング15の形状に対応するように形成される。本実施形態では、屈曲部7は略90°に屈曲して形成されており、ブレードホルダ3はL字形状である。ブレードホルダ3は、たとえば、表面処理鋼板、ステンレス鋼板、鉄板または銅板などの剛性材料からなる板によって実現される。
本実施形態では、ブレードホルダ3の長手方向両端部は切欠かれ、切欠き部8が形成されている。切欠き部8aは、後述するスペーサ4の係合部9が係合される第1切欠き部8aと、ブレードホルダ3の短手方向におけるブレード部材2が貼付けられる側と反対側の端部に形成される第2切欠き部8bとを含む。第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bは、カートリッジ10のハウジング15に設けられる位置決め用の突起部分の形状に対応するように、ブレードホルダ3の短手方向に延びて形成される。より詳細には、第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bは、それぞれブレードホルダ3の短手方向における幅寸法である切欠き幅が、ハウジング15に設けられる位置決め用の突起部分の幅寸法よりも大きく形成される。第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bは、ブレードホルダ3の長手方向への移動を防止し、短手方向への移動を許容する。ハウジング15に設けられる位置決め用の突起部分は、第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bに挿通される。
ブレードホルダ3を短手方向に移動させ、ブレードホルダ3を短手方向であるブレード取付部29の基準面に平行な方向における位置を調整して固定することによって、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2のブレードエッジ部2aの位置を調整し、ブレード部材2の感光体ドラム11に対する進入量を調整することができる。これによって、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードエッジ部2aの位置をより容易に調整することができる。このようにして、第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8は、ブレード取付部29の基準面に平行な方向であって、ブレード部材2のブレードホルダ3に取付けられる側の端部から感光体ドラム11に当接される側の端部に向かう方向、すなわちブレードホルダ3の短手方向における位置を規定する。第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bは平行位置規定手段を構成する。
スペーサ4は、ブレードホルダ3の厚み方向一方側の表面部に設けられる。より詳細には、スペーサ4は、ブレードホルダ3の長手方向両端部に設けられる。スペーサ4は、平板形状である。本実施形態では、スペーサ4は一様な厚みに形成され、ブレード取付部29に取付けられる側の表面とブレードホルダ3に支持される側の表面とは平行になっている。スペーサ4の厚み寸法は、たとえば2mmである。スペーサ4には、ホルダ側ねじ孔3aに連通するように、ブレード取付部29にねじ止めするためのねじが挿通されるスペーサ側ねじ孔4aが形成されている。
スペーサ4は、ブレードホルダ3の切欠き部8に対応するように切り欠かれている。スペーサ4は、ブレードホルダ4の第1切欠き部8aに係合されるように、ブレードホルダ4に支持される側に突出する一対の係合部9を有する。係合部9は、長尺部9aを遊端部に有し、厚み方向に垂直な方向における幅寸法が長尺部9aよりも短い段差部9bを基端部に有する。段差部9bの長さ寸法は、ブレードホルダ3の厚み寸法よりもわずかに大きい。たとえば、ブレードホルダ3の厚み寸法が1.2mm程度である場合、段差部9bの長さ寸法は1.25mm程度である。
一対の段差部9bは、ブレードホルダ3の第1切欠き部8aに接する表面間の距離が、ブレードホルダ3の短手方向における第1切欠き部8bの切欠き幅に略等しくなるように形成される。一対の長尺部9aは、段差部9bの第1切欠き部8aに接する表面に連なる表面間の距離が、第1切欠き部8aの前記切欠き幅よりも大きくなるように形成される。スペーサ4は、係合部9がブレードホルダ3の第1切欠き部8aに挿通され、長尺部9aがブレードホルダ3の厚み方向他方側に突出して係合されることによってブレードホルダ3に固定される。
スペーサ4は、後述する取付用ねじ30でブレード取付部29にねじ止めしたときに変形しない程度の弾性を有する材料で形成される。スペーサ4を形成する材料としては、たとえばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(Acrylonitrile-butadiene-
styrene;略称ABS)およびポリスチレン樹脂などの樹脂、ならびに表面処理鋼板、アルミニウム板もしくはステンレス鋼板などの金属板などが挙げられる。たとえば樹脂で形成される場合、スペーサ4は、射出成形などによって形成することができる。また金属板によって形成される場合、スペーサ4は、たとえば打抜き加工などによって形成することができる。
クリーニングブレード1は、たとえば、ブレードホルダ3のブレード取付部29に臨むべく予め定められる側の表面部に、ブレード部材2を貼付けた後、ブレードホルダ3のブレード部材2が貼付けられた側の表面部に、突出するようにスペーサ4を設けることによって製造される。
図4は、本発明の前提となる実施の第2形態であるカートリッジ10の構成を簡略化して示す断面図である。図4では、理解を容易にするために、トナーを拡大して示す。カートリッジ10は、像担持体である感光体ドラム11と、前述のクリーニングブレード1を含むクリーニング装置12と、感光体ドラム11を帯電させる帯電手段である帯電装置13と、感光体ドラム11に形成される静電潜像を現像する現像手段である現像装置14と、感光体ドラム11、クリーニング装置12、帯電装置13および現像装置14を収容するハウジング15とを含んで構成される。クリーニング装置12、帯電装置13および現像装置14は、この順に感光体ドラム11の回転方向上流側から下流側に向かって配置される。本実施形態においてカートリッジ10は、繰返し画像形成に使用された後に、感光体ドラムおよびクリーニングブレードなどの劣化した部品が取外されてハウジング15が洗浄され、洗浄されたハウジング15に、新しい感光体ドラム11およびクリーニングブレード1などの各部品が取付けられたカートリッジである。より詳細には、本実施形態のカートリッジ10は、前述の図24に示す金型一体成形タイプのクリーニングブレード130が、実施の第1形態のクリーニングブレード1に交換されたカートリッジである。
感光体ドラム11は、円柱形状である。感光体ドラム11は、たとえば円柱状の導電性支持体の外周面部に光導電性材料を結着剤で結着してなる感光層を設けることによって形成される。本実施形態において感光体ドラム11は、軸部材11bを介して軸線11aまわりに回転可能にハウジング15に支持され、矢符16で示される方向に時計まわりに回転駆動される。
カートリッジ10は、画像形成装置に装着されていない状態において感光体ドラム11を覆い、保護するドラムシャッタ17をさらに備える。ドラムシャッタ17は、カートリッジ10が画像形成装置に装着されている状態では図4に示すように感光体ドラム11を露出させ、カートリッジ10が画像形成装置に装着されていない状態では感光体ドラム11を覆うように、角変位駆動される。
帯電装置13は、本実施形態では帯電ローラ13であり、感光体ドラム11に接触した状態で感光体ドラム11を帯電させる。帯電ローラ13は、円柱形状であり、軸線まわりに回転可能に支持され、矢符18で示される反時計まわり方向に回転駆動される。
現像装置14は、本実施形態ではトナーから成る1成分現像剤によって静電潜像を現像する。現像装置14は、トナーを収容する収容容器であるトナーホッパ19と、トナーホッパ19に収容されるトナーを撹拌する撹拌手段であるアジテータ20と、感光体ドラム11に1成分現像剤であるトナーを供給する現像ローラ21と、現像ローラ21にトナーを搬送するトナー搬送ローラ22とを含んで構成される。現像ローラ21は、円柱形状であり、軸線まわりに回転可能に支持され、矢符23で示される反時計回り方向に回転駆動される。現像ローラ21は、感光体ドラム11に当接するように配置される。また現像装置14は、現像ローラ21に当接するように設けられ、感光体ドラム11へのトナーの搬送量を規制する規制ブレード24を備える。規制ブレード24は支持板25を介してハウジング15に支持される。またハウジング15の開口部には、現像ローラ21との隙間からのトナーの漏れを防止するためのシールブレード26が設けられている。
クリーニング装置12は、前述のクリーニングブレード1と、クリーニングブレード1によって感光体ドラム11から除去されたトナーを収容する収容容器である廃棄トナーボックス27とを含む。ハウジング15の開口部には、廃棄トナーボックス27に回収されたトナーの感光体ドラム11への再付着を防止するためのリカバリーブレード28が設けられている。クリーニングブレード1は、ハウジング15に設けられるブレード取付部29に、ビスねじなどの取付用ねじ30によって固定される。ブレード取付部29は、ハウジング15から着脱可能に構成される。
クリーニングブレード1の短手方向一端部であるブレードホルダ3の屈曲部7とハウジング15との間には、クッション部材32が介在される。これによってクリーニングブレード1は、ブレード取付部29の後述する基準面に平行な方向への移動が許容される。クッション部材32は、たとえばポリウレタンフォームなどによって形成される。ブレード部材2は、ブレードホルダ3を基準として、感光体ドラム11と反対側に設けられる。ブレード部材2は、ブレードホルダ3に支持されていない遊端部の感光体ドラム11に近い側の端部であるエッジ部(以後、ブレードエッジ部とも称する)2aが、感光体ドラム11の外周面部に弾発的に当接される。
クリーニング装置12は、クリーニングブレード1のブレード部材2を感光体ドラム11に当接させることによって、図示しない転写装置によるトナー像の記録媒体への転写後に感光体ドラム11に残留するトナーを除去し、廃棄トナーボックス27に回収する。これによって感光体ドラム11が清掃され、繰返し使用可能な状態になる。感光体ドラム11は、矢符16方向の回転駆動に伴ってクリーニングブレード1によって繰返し清掃され、これによって繰返し連続的に使用が可能になる。
クリーニングブレード1は、感光体ドラム11のハウジング15への取付けに先立ってハウジング15に取付けられる。クリーニングブレード1を取付けるときには、感光体ドラム11が取付けられたときに、ブレード部材2のエッジ部2aが感光体ドラム11の外周面部の予め定める位置90に当接し、かつブレード部材2のブレードホルダ3に支持される側の表面と感光体ドラム11のエッジ部2aが当接する位置90における接線90aとの成す角度(以後、ブレード部材と感光体ドラムとの当接角と称する)θ1が予め定める角度になるように、ブレード部材2の位置および姿勢が調整される。
クリーニングブレード1は、スペーサ4がブレード取付部29に接するように取付けられる。これによってスペーサ4が、ブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在される。ブレード取付部29は、交換前に取付けられていた前述の図24に示す金型一体成形タイプのクリーニングブレード130が、取付用ねじ30によるねじ止めによって適切な位置および姿勢に配置されるように形成されている。スペーサ4がブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在されない場合、ブレードホルダ3がブレード取付部29に接するように取付けられるので、ブレード部材2は、スペーサ4が介在される場合に比べて、感光体ドラム11から遠ざかることになる。この状態では、ブレード部材2が感光体ドラム11に当接することができず、感光体ドラム11からトナーを除去することができない。
本実施形態では、スペーサ4がブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在されるので、スペーサ4の厚みを調整することによって、ブレード取付部29のクリーニングブレード1が取付けられるべき表面(以後、基準面と称する)に垂直な方向におけるブレード部材2の位置を調整することができる。これによって、スペーサ4がブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在されない場合に比べて、ブレード部材2のエッジ部2aを予め定める設定当接位置90により容易に配置することができる。
このときのブレード部材2の感光体ドラム11に対する姿勢は、ブレード部材2と感光体ドラム11との当接角θ1で表される。当接角θ1は、スペーサ4のブレードホルダ3に支持される側の表面(以後、ホルダ側表面と称する)のブレード取付部29に取付けられる側の表面(以後、取付側表面)に対する傾斜角度θ2によって調整することができる。スペーサ4のホルダ側表面の取付側表面に対する傾斜角度θ2は、当接角θ1がブレード部材2によるトナーの除去に適した値として予め定められる設定当接角度になるように選択される。設定当接角度は、感光体ドラム11の外周面部を形成する材料、ブレード部材2の材料などによって異なるので、予め試験などによって求められる。たとえば、当接角θ1を変化させてクリーニングブレード1を取付け、各当接角θ1でクリーニングブレード1が取付けられたカートリッジ10をそれぞれ画像形成装置に搭載し、サンプル画像を記録用紙に連続的に形成させる実写試験を行なう。この実写試験において形成された画像の品質、感光体ドラム11の膜減り量および感光体ドラム11の外周面部への傷の発生の有無などに基づいてトナーの除去性能を評価し、たとえば形成された画像に掃きむらなどの画像欠陥が少なく、また感光体ドラム11の膜減り量が少なく、感光体ドラム11の外周面部への傷の発生が少ないときの当接角θ1を設定当接角度として求める。
本実施形態のスペーサ4は、一様な厚みに形成され、ホルダ側表面の取付側表面に対する傾斜角度θ2は略0°である。このような一様な厚みのスペーサ4を介在させてクリーニングブレード1を取付けたときに当接角θ1が設定当接角度にならない場合、一様な厚みのスペーサ4に代えて、図5に示すように、取付側表面がホルダ側表面に対して傾斜するスペーサ31を用いればよい。取付側表面がホルダ側表面に対して傾斜するスペーサ31、より詳細には取付側表面が、ブレード部材2に近づくにつれてブレードホルダ3から離反またはブレードホルダ3に近接するように形成されるスペーサを用いることによって、当接角θ1を容易に設定当接角度に調整することができる。図5では、取付側表面が、ブレード部材2に近づくにつれてブレードホルダ3から離反するように形成されるスペーサ31を示す。
クリーニングブレード1は、より詳細には、たとえば以下のようにして取付けられる。厚みおよびホルダ側表面の取付側表面に対する傾斜角度θ2が異なる複数のスペーサ4を準備する。これら複数のスペーサ4の中から、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の位置が予め定める位置になるとともに、当接角θ1が設定当接角度になるようにスペーサ4を選択する。本実施形態では、ブレード部材2のエッジ部2aが設定当接位置90に位置するときのブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の位置が、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の予め定める位置に相当する。次いで、選択されたスペーサ4をブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在させてクリーニングブレード1をブレード取付部29に取付ける。このように、ブレード取付部29とブレードホルダ3との間にスペーサを介在させることによって、スペーサ4がブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在されない場合に比べて、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置および姿勢により確実に配置することができる。したがって、クリーニングブレード1を精度良く取付けることができる。
本実施形態においてクリーニングブレード1は、平行位置規定手段である第1切欠き部8aおよび第2切欠き部8bを有するので、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2の位置を調整することができる。したがってクリーニングブレード1は、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2の位置が予め定める位置になるように調整された後に、ブレード取付部29に固定される。本実施形態では、ブレード部材2のエッジ部2aが設定当接位置90に位置するときのブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2の位置が、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2の予め定める位置に相当する。
以上のように本実施形態では、ブレード取付部29とブレードホルダ3との間にはスペーサ4が介在され、ブレードホルダ3の姿勢およびブレードホルダ3とブレード取付部29との間隔のうちの少なくともいずれか一方を規定するので、ブレード部材2の感光体ドラム11に対する位置および姿勢を規定することができる。このとき、前述の図25に示すクリーニングブレード140のようにブレードホルダ141に段差部143を形成する必要がないので、段差部143の寸法誤差によってブレード部材2の取付位置が設定当接位置90からずれることを防ぐことができる。またブレード部材2は、ブレードホルダ3のブレード取付部29に臨む側の表面部に設けられるので、ブレードホルダ3に平行度および厚み寸法の誤差が生じても、ブレード部材2の取付位置には影響しない。またブレード部材2は、ブレードホルダ3を基準にして感光体ドラム11と反対側になるようにブレード取付部29に取付けられているので、ブレード部材2の厚み寸法に誤差が生じても、ブレード部材2の取付位置には影響しない。
このように本実施形態では、前述の図25に示すようにブレードホルダ141に形成された段差部143にブレード部材142が貼付けられた従来のクリーニングブレード140に比べて、ブレード部材2の取付位置に対する誤差の影響が少ない。したがって、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置により精度良く取付けることができる。このように本実施形態ではブレード部材2を精度良く取付けることができるので、体積平均粒径が10μmを超えるような大粒径トナーが用いられる場合だけでなく、小粒径トナーが用いられる場合であっても、トナーすり抜け現象を防止し、画質の低下を防ぐことができる。このように本実施形態のクリーニングブレード1は、特に小粒径トナーが用いられる場合にトナーすり抜け現象を防止し、画質の低下を防ぐことができるので、好適である。また誤差の影響が少ないことによって、取付けるときの調整も容易になるので、本実施形態のクリーニングブレード1は容易に取付けることができる。
また本実施形態では、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2の位置を調整することができるので、ブレード部材2のエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に配置することができ、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置に一層精度良く取付けることができる。
ブレード取付部29に取付けられるとき、クリーニングブレード1は、たとえば図6に示す位置決め装置40によって位置決めされる。図6は、本発明の前提となる実施の第3形態である位置決め装置40の構成を簡略化して示す概略図である。位置決め装置40は、取付調整部41と検査部42とを含んで構成される。取付調整部41は、大略的に、第1撮像部43と、第2撮像部44と、クリーニングブレード1の位置決めの基準となる位置を示す原器45と、後述する図7〜9に示す搬送部46とを含む。第1撮像部43は、第1位置検出手段である第1カメラ47と、第2位置検出手段である第2カメラ48とを含む。第2撮像部44は、もう一つの第1位置検出手段である第3カメラ49と、もう一つの第2位置検出手段である第4カメラ50とを含む。第1撮像部43および第2撮像部44は、クリーニングブレード1および原器45を撮像する。本実施形態において第1〜第4カメラ47〜50は、多階調、たとえば256階調で撮像可能に構成される。
クリーニングブレード1および原器45は、搬送部46によって矢符51で示されるクリーニングブレード1の長手方向の一方に搬送される。クリーニングブレード1および原器45が搬送されていない静止状態において、第1撮像部43はクリーニングブレード1の長手方向他端部Aに臨むように設けられ、第2撮像部44はクリーニングブレード1の長手方向一端部Cに臨むように設けられる。クリーニングブレード1の長手方向他端部Aは第1撮像部43によって撮像され、クリーニングブレード1の長手方向一端部Cは第2撮像部44によって撮像される。クリーニングブレード1の長手方向の両端部A,C間の中間部は、クリーニングブレード1が長手方向一方51に搬送される間に第2撮像部44によって撮像される。
検査部42は、取付調整部41の第1撮像部43および第2撮像部44で撮像された画像の情報が入力される処理部52と、処理部52に入力される画像情報に基づいて、画像を表示する出力手段である表示部53と、処理部52および表示部53が載置される検査台54とを含む。処理部52は、中央処理装置(Central Processing Unit;略称CPU)によって実現される。処理部52は、取付調整部41および表示部53の動作を制御する。本実施形態において表示部53は、多階調、たとえば256階調で画像を表示可能に構成される。表示部53は、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイによって実現される。
第1撮像部43および第2撮像部44で撮像されたクリーニングブレード1および原器45の画像は表示部53に表示される。表示部53は、たとえば表示画面を第1撮像部43および第2撮像部44に備わるカメラの数と同数に分割し、第1撮像部43および第2撮像部44によって撮像された画像を一画面に表示する。本実施形態では第1撮像部43および第2撮像部44はそれぞれ2つのカメラを備えるので、表示部53の表示画面は4分割され、4つの画像が一画面に表示される。
図7は位置決め装置40に備わる取付調整部41の構成を示す側面図であり、図8は取付調整部41の構成を示す正面図であり、図9は取付調整部41の構成を示す平面図である。図9では、図7および図8に示す第1撮像部43の第2カメラ48および第2支持手段58、ならびに第2撮像部44の第3カメラ49および第3支持手段59は、図面が錯綜して理解が困難になるので、記載を省略する。前述の図6に示すクリーニングブレード1の移動方向51は、図9に示すシャフト66の長手方向の一方に相当する。図9に示すシャフト66の長手方向をX方向と定義し、基台56の厚み方向をZ方向と定義し、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向と定義する。本実施形態では、Z方向は鉛直方向に一致する方向である。各図において、これらX、Y、Z方向を矢符X、Y、Zで表す。図7は、取付調整部41をX方向の他方側から見た側面図に相当する。取付調整部41は、第1撮像部43、第2撮像部44、原器45、支持部55、搬送部46、基台56および間隔調整手段72を含んで構成される。図8では、図7および図9に示す間隔調整手段72は、図面が錯綜して理解が困難になるので、記載は省略する。第1撮像部43と第2撮像部44とは、一対になっており、左右対称に構成される。
第1撮像部43は、第1カメラ47と、第2カメラ48と、第1カメラ47を支持する第1支持手段57と、第2カメラ48を支持する第2支持手段58とを含む。第1カメラ47は、撮像中心であるレンズの光軸が延びる方向(以後、光軸方向とも称する)に移動可能に第1支持手段57に支持される。第1カメラ47は、レンズの光軸方向に移動させることによって、焦点合わせを行なうことができる。第1カメラ47の焦点合わせは、たとえば、第1カメラ47によってクリーニングブレード1を撮像させ、撮像された画像を前述の図6に示す表示部53に多階調たとえば256階調で表示させ、表示部53に表示された画像が鮮明になるように第1カメラ47をレンズの光軸方向に移動させることによって行なうことができる。本実施形態では、第1カメラ47のレンズの光軸方向は、X方向に一致する。
第2カメラ48は、第1カメラ47と同様に、レンズの光軸方向に移動可能に第2支持手段58に支持され、レンズの光軸方向の移動によって焦点合わせを行なうことができる。第2支持手段58は支持部55に支持される。本実施形態では、第2支持手段58が支持される支持部55の支持面はテーパ状に形成される。これによって、第2支持手段58はY方向に対して傾斜して支持されるので、第2カメラ48の撮像中心であるレンズの光軸はZ方向に対して傾斜する。
第2撮像部44は、第3カメラ49と、第4カメラ50と、第3カメラ49を支持する第3支持手段59と、第4カメラ50を支持する第4支持手段60とを含む。第3カメラ49は、第1カメラ47と同様に、レンズの光軸方向に移動可能に第3支持手段59に支持され、レンズの光軸方向の移動によって焦点合わせを行なうことができる。第4カメラ50は、第2カメラ48と同様に、レンズの光軸方向に移動可能に第4支持手段60に支持され、レンズの光軸方向の移動によって焦点合わせを行なうことができる。第4支持手段60は、第2支持手段58と同様に支持部55に支持される。本実施形態において第4支持手段60は、第2支持手段58と同様に、支持部55のテーパ状の支持面に支持されるので、第4カメラ50の撮像中心であるレンズの光軸はZ方向に対して傾斜する。
第1〜第4カメラ47〜50は、たとえば、電荷結合素子(Charge Coupled Device;略称CCD)を備えるCCDカメラによって実現される。第1〜第4カメラ47〜50は、移動台61に設けられる保持手段65に保持されるクリーニングブレード1のブレード部材2および原器45に備わる第1ナイフ81および第2ナイフ82を撮像し、撮像した画像に基づく画像信号を生成する。第1〜第4カメラ47〜50が生成した画像信号は、前述の図6に示す処理部52に与えられる。処理部52は、与えられた画像信号に基づいて画像が表示されるように表示部53を駆動する。表示部53は、処理部52からの指令に基づいて、第1〜第4カメラ47〜50で撮像された画像を表示する。
より詳細には、処理部52は、以下のように位置決め装置40を制御する。処理部52による処理は、ブレード取付部29とブレード取付部29に仮固定されたクリーニングブレード1とが、取付調整部41の移動台61に設けられる保持手段65に保持され、たとえば操作者によって図示しない検査開始ボタンが押下されることによって開始される。処理部52は、クリーニングブレード1のブレード部材2および原器45を撮像するように、第1撮像部43および第2撮像部44を制御する。第1撮像部43および第2撮像部44は、処理部52からの指令に基づいて、ブレード部材2および原器45を撮像し、撮像した画像に基づく画像信号を生成し、処理部52に出力する。処理部52は、生成された画像情報に基づいて画像を表示するように表示部53を制御する。表示部53は、処理部52からの指令に基づいて第1撮像部43および第2撮像部44で撮像された画像を表示する。
搬送部46は、移動台61、移動台駆動部62、伝達部63、案内手段64および保持手段65を含んで構成される。移動台61は、板状であって、略直方体を成す。保持手段65は、移動台61の厚み方向一方側の表面部に設けられる。保持手段65は、たとえば図示しない把持手段を有し、把持手段で把持することによって前述の図4に示すカートリッジ10のブレード取付部29および原器45を保持する。クリーニングブレード1は、ブレード取付部29を介して保持手段65に保持される。
移動台駆動部62は、移動台61を駆動して、X方向に移動させる。移動台駆動部62は、たとえばステッピングモータによって実現される。伝達部63は、移動台駆動部62からの駆動力を、移動台61に伝達する。伝達部63は、X方向に延び、らせん状にねじ溝が刻設されるシャフト66およびシャフト66のねじ溝に嵌合される図示しないボールナットからなる、いわゆるボールねじと、シャフト66の長手方向両端部を支持する一対の軸受け67とを含んで構成される。伝達部63のシャフト66の長手方向一端部は移動台駆動部62に連結され、シャフト66のねじ溝に嵌合されるボールナットは移動台61に連結される。
案内手段64は、移動台61を支持する移動台支持部68と、移動台支持部68を案内するガイドレール69と、ガイドレール69を支持するレール支持部70とを含む。移動台支持部68は、ガイドレール69に嵌合可能に構成される。本実施形態においてガイドレール69は、X方向に延びて設けられるスライドガイドレールである。レール支持部70は、基台56の厚み方向一方側の表面部に設けられる。
移動台駆動部62からの駆動力でシャフト66が回転することによって、シャフト66のねじ溝に嵌合されたボールナットがX方向に移動し、移動台61が案内手段64に案内されてX方向に移動する。この移動台61のX方向の移動に伴って、クリーニングブレード1、ブレード取付部29および原器45は、X方向に移動する。このようにして搬送部46は、シャフト66の長手方向であるX方向にクリーニングブレード1、ブレード取付部29および原器45を搬送する。
間隔調整手段72は、クリーニングブレード1を移動させることによって、後述する図11に示すブレード部材2の第1方向84における位置と第1基準位置84aとの間隔である第1間隔D1、およびブレード部材2の第2方向85における位置と第2基準位置85aとの間隔である第2間隔D2を調整する。本実施形態においてブレード部材2の第1方向84における位置は、第1方向84におけるブレード部材2のエッジ部2aの位置であり、ブレード部材2の第2方向85における位置は、第2方向85におけるブレード部材2のエッジ部2aの位置である。
間隔調整手段72は、保持手段65に保持されるクリーニングブレード1を、ブレード取付部29の基準面に平行な方向に移動可能に構成される。本実施形態において間隔調整手段72は、マイクロメータヘッド72aと、マイクロメータヘッド72aを保持する図示しない保持部材とを含んで構成される。本実施形態では、マイクロメータヘッド72aは操作者によって操作される。マイクロメータヘッド72aは、処理部52に制御される駆動手段によって駆動されてもよい。マイクロメータヘッド72aを用いることによって、クリーニングブレード1の移動量を小さくすることができるので、第1間隔D1および第2間隔D2をより容易に調整することができる。
間隔調整手段72は、本実施形態では2つが設けられる。2つの間隔調整手段72のうち、一方は、静止状態においてクリーニングブレード1の長手方向の一端部に接するように設けられ、他方は、静止状態においてクリーニングブレード1の長手方向の他端部に接するように設けられる。このように2つの間隔調整手段72を設け、クリーニングブレード1を両端部で移動させて第1間隔D1および第2間隔D2を調整することによって、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2を調整することができる。
基台56は、板状であって、略直方体を成す。第1撮像部43、第2撮像部44、支持部55、搬送部46および案内手段64は、基台56の厚み方向一方側の表面部に設けられる。基台56の厚み方向他方側の表面部には脚部71が設けられる。基台56は、脚部71を介して作業場に設置される。
図10は、図7に示す位置決め装置40に備わる原器45の構成を簡略化して示す正面図である。図10は、原器45をY方向他方側から見た図に相当する。図10には、クリーニングブレード1を合わせて示す。図11は、図7に示す原器45の第1ナイフ81および第2ナイフ82の部分を拡大して示す拡大側面図である。図11では、クリーニングブレード1は、ブレード部材2のみを記載する。原器45は、第1ナイフ81と、第2ナイフ82と、第1ナイフ81および第2ナイフ82を保持するナイフ保持部材83とを含む。第1ナイフ81および第2ナイフ82は、たとえば接着剤によってナイフ保持部材83に貼付けられる。
第1ナイフ81および第2ナイフ82は、平板形状であり、厚み方向に垂直な仮想平面における断面形状が矩形状である。第1ナイフ81は、長手方向がX方向に一致するようにX方向に延びて設けられる。図10に示すように、第1ナイフ81は、長手方向における長さ寸法が、クリーニングブレード1の長手方向における長さ寸法よりも小さく形成されており、クリーニングブレード1の長手方向における両端部A,C間の中間部に臨むように設けられる。また第1ナイフ81は、長手方向における両端部間の中間部であって、クリーニングブレード1の長手方向における両端部A,C間の中央部Bに臨む部分が切り欠かれ、切欠き部81aが形成されている。
第2ナイフ82は、本実施形態では3つが設けられる。3つの第2ナイフ82は、クリーニングブレード1の長手方向における両端部A,Cおよび両端部A,C間の中央部Bに臨むようにそれぞれ設けられる。第2ナイフ82のうち、クリーニングブレード1の長手方向他端部Aに臨むように設けられる他端部用第2ナイフ82a、およびクリーニングブレード1の長手方向一端部Cに臨むように設けられる一端部用第2ナイフ82cは、Y方向他方側から見たときに、第1ナイフ81が設けられていない部分において露出している。第2ナイフ82のうち、クリーニングブレード1の長手方向における両端部間の中央部Bに臨むように設けられる中央部用第2ナイフ82bは、Y方向他方側から見たときに、第1ナイフ81の切欠き部分81aを介して露出している。
クリーニングブレード1および原器45がX方向一方に搬送されていない静止状態において、前述の図6に示す第1撮像部43の第1カメラ47は、より詳細には、第1ナイフ81の長手方向他端部に臨むように設けられ、クリーニングブレード1の長手方向他端部A寄りの部分および第1ナイフ81の長手方向他端部を撮像する。第2カメラ48は、他端部用第2ナイフ82aを臨むように設けられ、クリーニングブレード1の長手方向他端部Aおよび他端部用第2ナイフ82aを撮像する。
第2撮像部44の第3カメラ49は、第1ナイフ81の長手方向一端部に臨むように設けられ、クリーニングブレード1の長手方向一端部C寄りの部分および第1ナイフ81の長手方向一端部を撮像する。第4カメラ50は、一端部用第2ナイフ82cを臨むように設けられ、クリーニングブレード1の長手方向一端部Cおよび一端部用第2ナイフ82cを撮像する。
またクリーニングブレード1および原器45は、X方向一方に搬送される間に、第3カメラ49および第4カメラ50によって撮像される。より詳細には、第3カメラ49は、第1ナイフ81の長手方向における切欠き部分81aを除く部分およびその部分に臨むクリーニングブレード1を撮像する。第4カメラ50は、クリーニングブレード1および原器45の長手方向における中央部が第4カメラ50に臨む位置に搬送されてきたときに、第1ナイフ81の切欠き部分81aにおいて露出する中央部用第2ナイフ82bおよび中央部用第2ナイフ82bに臨むクリーニングブレード1を撮像する。これによってクリーニングブレード1を長手方向全体にわたって撮像することができる。
図11に示すように、第1ナイフ81は、予め定める第1方向84において、前述の設定当接位置90から間隔D10を空けて設けられる。第2ナイフ81は、第1方向84に略垂直な第2方向85において、設定当接位置90から間隔D20を空けて設けられる。「第1方向と第2方向とが略垂直である」とは、第1方向84と第2方向85との成す角度θ12が、70°以上90°以下であることを意味する。本実施形態では、第1方向84と第2方向85との成す角度θ12は、約74°である。また第1方向84はZ方向に一致する方向であり、第2方向85はブレード取付部29の基準面に平行な方向に一致する方向である。
第1ナイフ81の遊端部である第1ナイフエッジ部81bは、クリーニングブレード1の第1方向84における位置決めの基準となる第1基準位置84aを示す。第2ナイフ82の遊端部である第2ナイフエッジ部82dは、クリーニングブレード1の第2方向85における位置決めの基準となる第2基準位置85aを示す。
原器45は、第1ナイフ81が第1方向84において設定当接位置90から間隔D10を空けて配置され、第2ナイフ82が第2方向85において設定当接位置90から間隔D20を空けて配置されるように、図示しない原器保持手段によって保持されている。第1方向84における第1基準位置84aと設定当接位置90との間隔D10は、たとえば0.5mm以上0.6mm以下に設定される。第2方向85における第2基準位置85aと設定当接位置90との間隔D20は、たとえば0.7mm以上0.8mm以下に設定される。
第1位置検出手段である第1撮像部43の第1カメラ47は、レンズの光軸47aが第1方向84に垂直になるように配置される。第1カメラ47は、ブレード部材2および第1ナイフ81を撮像することによって、ブレード部材2の第1方向84における位置および第1基準位置84aを検出する。第2位置検出手段である第1撮像部43の第2カメラ48は、レンズの光軸48aが第2方向85に垂直になるように配置される。第2カメラ48は、ブレード部材2および第2ナイフ82を撮像することによって、ブレード部材2の第2方向85における位置および第2基準位置85aを検出する。
第1カメラ47および第2カメラ48によって撮像された画像は、前述の図6に示す表示部53に表示される。処理部52は、第1カメラ47および第2カメラ48によって撮像された多階調の画像をそれぞれ2値化処理し、2値化画像として表示部53に表示させる。本実施形態において処理部52は、第1カメラ47によって撮像された画像の画像情報から、第1方向84におけるブレード部材2と第1基準位置84aとの間隔である第1間隔D1を求め、撮像された画像とともに表示部53に表示させる。また処理部52は、第2カメラ48によって撮像された画像の画像情報から、第2方向85におけるブレード部材2と第2基準位置85aとの間隔である第2間隔D2を求め、撮像された画像とともに表示部53に表示させる。
本実施形態では、操作者が、表示部53に表示される画像に基づいて間隔調整手段72を操作することによってクリーニングブレード1が移動され、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるクリーニングブレード1の位置が調整される。より詳細には、クリーニングブレード1は、第1カメラ47によって撮像された画像において第1間隔D1が予め規定される範囲内に含まれ、第2カメラ48によって撮像される画像において第2間隔D2が予め規定される範囲内に含まれるように、間隔調整手段72によって移動され、位置決めされる。このように第1間隔D1および第2間隔D2がいずれも予め規定される範囲内に含まれる状態にクリーニングブレード1を位置決めすることによって、ブレードエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に位置させることができる。
第1間隔D1が含まれるべき予め規定される範囲は、第1方向84における第1基準位置84aと設定当接位置90との間隔D10を基準として予め定められる許容範囲を含む範囲に選ばれる。前述のように前記間隔D10が0.5mm以上0.6mm以下である場合、前記間隔D10を基準として±50μmの範囲が許容範囲であり、第1間隔D1が含まれるべき予め規定される範囲は、(D10−50)μm以上(D10+50)μm以下の範囲に選ばれる。第2間隔D2が含まれるべき予め規定される範囲は、第2方向85における第2基準位置85aと設定当接位置90との間隔D20を基準として予め定められる許容範囲を含む範囲に選ばれる。前述のように前記間隔D20が0.7mm以上0.8mm以下である場合、前記間隔D20を基準として±50μmの範囲が許容範囲であり、第2間隔D2が含まれるべき予め規定される範囲は、(D20−50)μm以上(D20+50)μm以下の範囲に選ばれる。
このように本実施形態では、ブレードエッジ部2aを二方向から観察して、第1方向84および第2方向85の双方において、ブレードエッジ部2aと基準位置84a,85aとの間隔D1,D2が予め規定される範囲内に含まれるように、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるクリーニングブレード1の位置を調整する。これによって、クリーニングブレード1をより確実にブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置した状態に位置決めすることができる。
図12は、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるクリーニングブレード1の位置を調整する様子を模式的に示す図である。図12では、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置するときのブレード部材2を二点鎖線で示し、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90からずれているときのブレード部材2’を実線で示す。第1方向84におけるブレード部材2と第1基準位置84aとの間隔である第1間隔D1のみに基づいて、第1間隔D1が予め規定される範囲内に含まれるようにクリーニングブレード1の位置を調整して位置決めすると、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置しないことがある。たとえば実線で示されるようにブレードエッジ部2aが設定当接位置90からずれている場合、第2方向85におけるブレード部材2’と第2基準位置85aとの間隔D2’が予め規定される範囲内に含まれていなくても、第1方向84におけるブレード部材2’と第1基準位置84aとの間隔D1’は、予め規定される範囲内に含まれることがある。したがって、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置していなくても、設定当接位置90に位置していると判断され、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置していない状態で位置決めされるおそれがある。
このようにクリーニングブレード1を一方向におけるブレード部材2の位置と基準位置との間隔のみに基づいて位置決めすると、ブレードエッジ部2aが設定当接位置90に位置していない状態で位置決めされ、クリーニングブレード1がブレード取付部29に取付けられるおそれがある。
本実施形態では、前述のようにクリーニングブレード1を二方向におけるブレード部材2の位置と基準位置との間隔に基づいて位置決めするので、一方向におけるブレード部材2の位置と基準位置との間隔のみに基づいて位置決めする場合に比べて、ブレードエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に配置することができ、クリーニングブレード1を精度良く位置決めして取付けることができる。
第2撮像部44も第1撮像部43と同様に構成される。より詳細には、もう一つの第1位置検出手段である第2撮像部44の第3カメラ49は、第1カメラ47と同様に、レンズの光軸が第1方向84に垂直になるように配置される。もう一つの第2位置検出手段である第2撮像部44の第4カメラ50は、第2カメラ48と同様に、レンズの光軸が第2方向85に垂直になるように配置される。第3カメラ49および第4カメラ50によって撮像された画像も第1カメラ47および第2カメラ48によって撮像された画像と同様に2値化画像として前述の図6に示す表示部53に表示される。また表示部53には、処理部52によって求められる第1間隔D1および第2間隔D2がそれぞれ表示される。これによって第2撮像部44が設けられるクリーニングブレード1の長手方向一端部C付近においても、二方向におけるブレード部材2の位置と基準位置との間隔に基づいて、クリーニングブレード1を位置決めすることができる。
このように本実施形態では、第1撮像部43および第2撮像部44が設けられる長手方向両端部A,B付近においてクリーニングブレード1を位置決めするので、ブレードエッジ部2aをブレード部材2aの長手方向全体にわたってより容易に設定当接位置90に配置させて位置決めすることができる。
また本実施形態では、位置決め装置40は、搬送部46によってクリーニングブレード1および原器45をX方向一方に搬送させながら、第2撮像部44によってクリーニングブレード1および原器45を撮像させる。より詳細には、第2撮像部44の第3カメラ49が第1ナイフ81の長手方向における切欠き部分81aを除く部分およびその部分に臨むクリーニングブレード1を撮像し、第4カメラ50が第1ナイフ81の切欠き部分81aにおいて露出する中央部用第2ナイフ82bおよび中央部用第2ナイフ82bに臨むクリーニングブレード1を撮像する。このようにして撮像された画像から、処理部52がクリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2を求め、表示部53に表示させる。
これによって操作者は、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2が予め規定される範囲内に含まれるか否かを判断し、第1間隔D1および第2間隔D2を予め規定される範囲内に含まれるように調整することができる。したがって、ブレード部材2の長手方向全体にわたってブレードエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に配置させて位置決めすることができるので、クリーニングブレード1の取付精度を向上させることができる。
このように本実施形態において搬送部46および第2撮像部44は、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって、ブレード部材2の第1方向84における位置と第1基準位置84との間隔である第1間隔D1、およびブレード部材2の第2方向85における位置と第2基準位置85との間隔である第2間隔D2を検出する間隔検出手段を構成する。間隔検出手段を備えることによって、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2を検出することができるので、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2を規定される範囲内に調整し、ブレードエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に配置させてクリーニングブレード1を位置決めすることができる。
クリーニングブレード1のブレード取付部29への取付けは、より詳細には本発明の前提となる実施の第4形態であるクリーニングブレードの取付方法によって実行される。図13は、本発明の前提となる実施の第4形態であるクリーニングブレード1の取付方法の手順を示すフローチャートである。クリーニングブレード1の取付は、ステップs0で開始される。ステップs1では、前述の図1に示すスペーサ4および図5に示すスペーサ31のように、厚みおよび傾斜角度θ2の異なる複数のスペーサを準備する。準備したスペーサから、ブレード部材2と感光体ドラム11との当接角θ1が設定当接角度になるとともに、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の位置が予め定める位置になるように、スペーサを選択する。
スペーサの選択は、たとえば、各スペーサが固定されたクリーニングブレード1をカートリッジ10に取付けて画像形成装置に搭載し、サンプル画像を記録用紙に連続的に形成させる実写試験によって行なうことができる。この実写試験において、形成された画像に掃きむらなどの画像欠陥が少なく、また感光体ドラム11の膜減り量が少なく、感光体ドラム11の外周面部への傷の発生が少ないときに取付けられていたスペーサが、当接角θ1が設定当接角度になるとともにブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の位置が予め定める位置になるスペーサとして選択される。
このようにして選択されたスペーサをブレード取付部29とブレードホルダ3との間に介在させてクリーニングブレード1をブレード取付部29に仮固定する。これによってブレードホルダ3の姿勢およびブレードホルダ3とブレード取付部29との間隔が規定される。このときクリーニングブレード1は、ブレード取付部29に完全には固定されず、ブレード取付部29の基準面に平行な方向に移動可能な状態で固定される。このようにしてクリーニングブレード1を仮固定し、ステップs2に進む。
ステップs2〜s5は、前述の図6〜図9に示す位置決め装置40によって実行される。ステップs2では、前述の第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれるか否かが判断される。本実施形態では第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれるか否かの判断は、位置決め装置40の表示部53に表示される画像に基づいて操作者によって行なわれる。位置決め装置40では、クリーニングブレード1が静止されている状態において、位置決め装置40の第1〜第4カメラ47〜50によってクリーニングブレード1の両端部A,C付近が撮像される。操作者は、表示部53に表示される画像から、第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれるか否かを判断する。
ステップs2において、第1間隔D1および第2間隔D2が、いずれも規定される範囲内に含まれると判断されると、ステップs3に進み、第1間隔D1および第2間隔D2の少なくともいずれか一方が規定される範囲内に含まれないと判断されると、ステップs4に進む。ステップs4では、間隔調整手段72でクリーニングブレード1を移動させることによって、第1間隔D1および第2間隔D2を調整し、ステップs2に戻る。
ステップs3では、クリーニングブレード1の長手方向全体にわたって第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれるか否かが判断される。本実施形態では、まず位置決め装置40において、搬送部46によってクリーニングブレード1および原器45をX方向一方に搬送させ、クリーニングブレード1の長手方向における両端部A,C間の中間部において一定間隔毎に第1間隔D1を求めるとともに、クリーニングブレード1の長手方向における両端部間の中央部Bにおいて第2間隔D2を求める。第1間隔D1を求める間隔は、たとえば搬送部46による搬送速度および第2撮像部44による撮像間隔とによって調整することができる。求められた全ての第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれると判断されると、ステップs6に進み、いずれかが規定される範囲内にないと判断されると、ステップs5に進む。
ステップs5では、前述のステップs2と同様に、間隔調整手段72でクリーニングブレード1を移動させることによって、第1間隔D1および第2間隔D2を調整し、ステップs3に戻る。以上のステップs2〜5における操作によって、ブレード取付部29の基準面に平行な方向であってブレード部材2のブレードホルダ3に取付けられる側の端部から感光体ドラム11に当接される側の端部に向かう方向であるブレード部材2の短手方向における位置が予め定める位置になるように、より詳細にはブレード部材2の短手方向におけるブレードエッジ部2aの位置が設定当接位置90になるように調整され、前述の切欠き部8によってブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードホルダ3の位置が規定される。
ステップs3において求められた全ての第1間隔D1および第2間隔D2が規定される範囲内に含まれると判断され、ステップs6に進むと、ステップs6では、クリーニングブレード1を取付用ねじ30によってブレード取付部29に固定し、ステップs9に進む。ステップs9にて、クリーニングブレード1の取付が終了する。
このように本実施形態では、規定部材であるスペーサの厚みおよび傾斜角度θ2によって、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレードエッジ部2aの位置および姿勢を調整し、さらに平行位置調整手段である切欠き部8によってブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードエッジ部2aの位置を調整してクリーニングブレード1をブレード取付部29に取付けるので、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置である設定当接位置90に精度良く取付けることができる。
以上に述べたように、実施の第1形態のクリーニングブレード1は、平行位置調整手段として切欠き部8を有するが、平行位置調整手段はこれに限定されず、たとえば図14に示すクリーニングブレード100のように、長孔であるホルダ側位置決め孔102であってもよい。図14は、本発明の前提となる実施の第5形態であるクリーニングブレード100の構成を簡略化して示す正面図である。本実施形態のクリーニングブレード100は、実施の第1形態のクリーニングブレード1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
本実施形態のクリーニングブレード100において注目すべきは、ブレード支持部材であるブレードホルダ101に、扁平で長円形状の長孔であるホルダ側位置決め孔102が形成されていることである。ブレードホルダ101は、ホルダ側ねじ孔3aに代えて、ホルダ側位置決め孔102が形成されていること以外は、実施の第1形態におけるブレードホルダ3と同様の構成を有する。ホルダ側位置決め孔102は、ブレードホルダ101の短手方向に延びて形成される。ホルダ側位置決め孔102は、ブレードホルダ101の長手方向への移動を防止し、短手方向への移動を許容する。スペーサ103には、ホルダ側位置決め孔102に対応して、扁平で長円形状の長孔であるスペーサ側位置決め孔104が形成されている。スペーサ103は、スペーサ側ねじ孔4aに代えて、スペーサ側位置決め孔104が形成されていること以外は、実施の第1形態におけるスペーサ4と同様の構成を有する。
ブレードホルダ101は、ホルダ側位置決め孔102およびスペーサ側位置決め孔104に挿通されるビスねじなどの取付用ねじ30によってブレード取付部29に固定される。ブレードホルダ101を短手方向に移動させ、ブレードホルダ101を短手方向であるブレード取付部29の基準面に平行な方向における位置を調整して固定することによって、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレード部材2のブレードエッジ部2aの位置を調整し、ブレード部材2の感光体ドラム11に対する進入量を調整することができる。このようにして、ホルダ側位置決め孔102は、ブレード取付部29の基準面に平行な方向であって、ブレード部材2のブレードホルダ101に取付けられる側の端部から感光体ドラム11に当接される側の端部に向かう方向、すなわちブレードホルダ101の短手方向における位置を規定する。ホルダ側位置決め孔102は平行位置規定手段を構成する。
平行位置規定手段としてホルダ側位置決め孔102を用いる場合、切欠き部8を用いる場合と同様にして、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードホルダ3の位置を調整することができる。ホルダ側位置決め孔102を用いることによって、切欠き部8を用いる場合に比べて、ブレードホルダ101を短手方向においてより広範囲に移動させることができるので、ブレードエッジ部2aをより確実に設定当接位置90に配置することができる。本実施形態のクリーニングブレード100は、実施の第1形態と同様の切欠き部8を有するが、本実施形態では、切欠き部8は、ハウジング15に設けられる位置決め用の突起部分が挿通可能であり、ホルダ側位置決め孔102によって許容されるブレードホルダ101の短手方向の移動を阻害しないような形状および寸法に形成される。
図15は、本発明の実施の形態に用いることができるクリーニングブレード110の構成を簡略化して示す断面図である。図16は、図15に示すクリーニングブレード110の側面図である。図17(a)は図15に示すクリーニングブレード110の正面図であり、図17(b)は図15に示すクリーニングブレード110の背面図であり、図17(c)は図15に示すクリーニングブレード110の平面図である。図15は、クリーニングブレード110の長手方向に垂直な仮想平面であって、図17(a)に示すクリーニングブレード110の切断面線I−Iを含む仮想平面における断面図に相当する。図16は、クリーニングブレード110の右側面図に相当する。図15〜図17では、理解を容易にするために、一部分の厚みを省略して示す。
なお、本実施形態のクリーニングブレード110は、前述の図1〜図14の実施の第1〜第5形態に記載したクリーニングブレード1,100に代えて用いることができる。
本実施形態のクリーニングブレード110は、実施の第1形態のクリーニングブレード1と類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態のクリーニングブレード110において注目すべきは、スペーサ4に代えて、規定部材として突起部分111が、ブレード支持部材であるブレードホルダ112に形成されていることである。
突起部分111は、ブレードホルダ112となる板状部材に厚み方向一方側に突出するように穿孔することによってブレードホルダ112と一体的に形成される。本実施形態では、突起部分111は、円筒状に形成される。突起部分111は、たとえばバーリング加工によって形成される。バーリング加工によって突起部分111を形成する場合、たとえば、ブレードホルダ112となる板状部材に下孔を形成しておき、下孔の開口端部の板状部材を厚み方向一方側に屈曲させることによって突起部分111を形成することができる。
ブレードホルダ112は、さらに第1切欠き部114および第2切欠き部8bを有する。第1切欠き部114は、突起部分111と同様に、たとえばバーリング加工によって形成される。第1切欠き部114は、前述の実施の第1形態における第1切欠き部8aと同様に形成される。またブレードホルダ112は、第1切欠き部114に連通して、短手方向に延びる長孔115を有する。第1切欠き部114、第2切欠き部8bおよび長孔115は、平行位置規定手段を構成し、実施の第1形態における切欠き部8と同様にブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードホルダ112の位置を規定する。
クリーニングブレード110は、さらにシール部材113を備える。シール部材113は、突起部分111を囲繞するように、ブレードホルダ112の突起部分111が形成される表面部に設けられる。シール部材113を設けることによって、後述する図18に示すカートリッジ116において、ブレード取付部29とブレードホルダ112との間にトナーが入り込むことを防ぐことができる。
クリーニングブレード110は、たとえば以下のようにして製造される。ブレードホルダ112となる板状部材をバーリング加工などによって厚み方向一方側に突出するように穿孔することによって突起部分111を形成し、さらに第1切欠き部114および第2切欠き部8bを形成してブレードホルダ112を作製する。次いで、ブレードホルダ112の突起部分112が形成された側の表面部にブレード部材2を貼付け、ブレードホルダ112の突起部分111を囲繞するようにシール部材113を設ける。これによってクリーニングブレード110が得られる。
このように規定部材が突起部分111としてブレードホルダ112と一体的に形成されるクリーニングブレード110は、実施の第1形態のクリーニングブレード1のようにスペーサ4をブレードホルダ3に係合させる必要がないので、ブレードホルダ3にスペーサ4が係合される場合に比べ、ハウジング15に対してより容易に取付けることができる。また突起部分111は、バーリング加工などによって容易に形成することができるので、クリーニングブレード110の製造原価を低減することができる。
図18は、本発明の参考となる実施の形態であるカートリッジ116の構成を簡略化して示す断面図である。本実施形態のカートリッジ116は、実施の第2形態のカートリッジ10と類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。カートリッジ116は、前述の図15〜図17に示す突起部分111を有するクリーニングブレード110を含むクリーニング装置117を備える以外は、実施の第2形態のカートリッジ10と同一の構成を有する。
突起部分111を有するクリーニングブレード110は、実施の第1形態のクリーニングブレード1と同様に、突起部分111がブレード取付部29とブレードホルダ112との間に介在されるように取付けられる。突起部分111によって、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2のブレードエッジ部2aの位置および当接角θ1を調整することができる。
本実施形態では、突起部分111の開口端部は、ブレードホルダ112のブレード部材2を支持する表面部分を含む仮想平面に平行になっているが、図19に示す突起部分118のように、ブレードホルダ112のブレード部材2を支持する表面部分を含む仮想平面に対して傾斜するように形成されてもよい。このように突起部分118の開口端部をブレードホルダ112のブレード部材2を支持する表面部分を含む仮想平面に対して傾斜させることによって、より詳細には突起部分118の開口端部を、ブレード部材2に近づくにつれてブレードホルダ3から離反またはブレードホルダ3に近接するように形成することによって、前述の図5に示す傾斜したスペーサ31を用いる場合と同様に、当接角θ1を容易に設定当接角度に調整することができる。より詳細には、当接角θ1は、ブレードホルダ112のブレード部材2を支持する表面部分を含む仮想平面に対する突起部分118の開口端部の傾斜角度θ3によって調整することができる。図19では、突起部分118の開口端部がブレード部材2に近づくにつれてブレードホルダ112から離反するように形成される場合を示す。
開口端部が傾斜している突起部分118は、たとえば、前述の図15に示す突起部分111と同様にブレードホルダ112となる板状部材に形成された下孔に、板状部材の厚み方向他方側からパンチを挿入して板状部材を厚み方向一方側に屈曲させた後、形成された突起部分の開口端部に、先にパンチを挿入した側と反対側すなわち板状部材の厚み方向一方側から、傾斜したパンチを押し当てることによって形成することができる。
本実施形態のクリーニングブレード110は、実施の第1形態のクリーニングブレード1と同様にしてブレード取付部29に取付けられる。クリーニングブレード110の取付けは、前述の図13に示す実施の第4形態によるクリーニングブレードの取付けと同様にして行なわれる。本実施形態では、図13に示すステップs1において、複数のスペーサに代えて、前述の図15に示す突起部分111および図19に示す突起部分118のように、突起部分の高さおよび、突起部分の端面とブレードホルダ110のブレード部材2を支持する表面部分を含む仮想平面との成す角度である傾斜角度θ3の異なる複数のクリーニングブレードを準備する。準備したクリーニングブレードから、スペーサの選択と同様にして、ブレード部材2と感光体ドラム11との当接角θ1が設定当接角度になるとともに、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレード部材2の位置が予め定める位置になるように、クリーニングブレードを選択する。選択されたクリーニングブレードをブレード取付部29に仮固定し、ステップs2に進む。ステップs2以降のステップは、前述の実施の第4形態によるクリーニングブレード1の取付けと同様に行なわれる。
このように本実施形態では、突起部分の高さおよび傾斜角度θ3によって、ブレード取付部29の基準面に垂直な方向におけるブレードエッジ部2aの位置および姿勢を調整し、さらに第1切欠き部114、第2切欠き部8bおよび長孔115を用いてブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードエッジ部2aの位置を調整してクリーニングブレードをカートリッジに取付けるので、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置である設定当接位置90に精度良く取付けることができる。
本実施形態では、第1切欠き部114、第2切欠き部8bおよび長孔115を用いてブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードエッジ部2aの位置を調整するが、調整方法はこれに限定されない。たとえば、前述の図14に示すクリーニングブレード14のように、長孔であるホルダ側位置決め孔102を形成し、ブレードホルダを短手方向に移動させ、ブレード取付部29の基準面に平行な方向における位置を調整して固定することによって調整してもよい。これによって、ブレード取付部29の基準面に平行な方向におけるブレードエッジ部2aの位置をより容易に調整することができる。
図20は、本発明の参考となる他の実施の形態であるクリーニングブレード120の構成を簡略化して示す断面図である。本実施形態のクリーニングブレード120は、実施の第1形態のクリーニングブレード1と類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。図20では、クリーニングブレード120をブレード取付部29に取付用ねじ30で取付けた状態を示す。また図20では、図1に示すスペーサ4の係合部9は、図面が錯綜して理解が困難になるので記載を省略する。
本実施形態のクリーニングブレード120において注目すべきは、2つの傾き調整用ねじ孔121と、2つの傾き調整用ねじ122とを有することである。傾き調整用ねじ孔121および傾き調整用ねじ122は、姿勢調整手段125を構成する。
傾き調整用ねじ孔121は、ブレードホルダ3の短手方向におけるホルダ側ねじ孔3aの開口端部の両側に形成される第1傾き調整用ねじ孔121aおよび第2傾き調整用ねじ孔121bを含む。傾き調整用ねじ孔121は、ブレードホルダ3に設けられる調整用ホルダねじ孔124とナット部123とによって形成される。ナット部123は、たとえばタップ加工などによってブレードホルダ3に設けられる。傾き調整用ねじ122は、たとえばビスねじである。
姿勢調整手段125は、第1傾き調整用ねじ孔121aに螺合される第1傾き調整用ねじ122aのブレードホルダ3からブレード取付部29側に突出する部分の長さ(以後、「第1ねじ突出長さ」と称する)d1、および第2傾き調整用ねじ孔121bに螺合される第2傾き調整用ねじ122bのブレードホルダ3からブレード取付部29側に突出する部分の長さ(以後、「第2ねじ突出長さ」と称する)d2をそれぞれ調整することによって、ブレードホルダ3の姿勢を調整することができる。たとえば、図20に示すように第1ねじ突出長さd1と第2ねじ突出長さd2とが略等しく、ブレードホルダ3の厚み方向一方側の表面がブレード取付部29の基準面に略平行である状態から、第2傾き調整用ねじ122bをねじ込み、第1ねじ突出長さd1よりも第2ねじ突出長さd2を長くすると、ブレードホルダ3が矢符126方向に弾性変形するので、ブレードホルダ3の厚み方向一方側の表面をブレード取付部29の基準面に対して傾斜させることができる。これによって、ブレード部材2と感光体ドラム11との当接角θ1を調整することができる。
このように本実施形態では、姿勢調整手段125によってブレードホルダ3を矢符126方向に弾性変形させ、ブレードホルダ3の姿勢を調整することができるので、ブレード部材2と感光体ドラム11との当接角θ1をより確実に設定当接角度に調整することができる。したがって、姿勢調整手段125を有しない場合に比べて、ブレード部材2を感光体ドラム11からトナーを除去して清掃するのに適した位置である設定当接位置90により精度良く取付けることができる。
本実施形態では、スペーサは、一様な厚みに形成されるスペーサ4であるけれども、これに限定されず、前述の図5に示すように取付側表面がホルダ側表面に対して傾斜するスペーサ31であってもよい。このように取付側表面がホルダ側表面に対して傾斜するスペーサ31を用いる場合に、さらに姿勢調整手段125を備えることによって、当接角θ1を一層確実に設定当接角度に調整することができるので、ブレード部材2の取付精度を一層向上させることができる。