JP4504037B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子に関し、特に、多数の三次元セルの集合により複素振幅型空間光変調器を構成するのに適し、ホログラムとして立体像を記録するのに適した光学素子に関する。
立体像を媒体上に記録し、これを再生する方法として、ホログラフィーの技術が古くから知られており、この方法で作成されたホログラムは、観賞用アートや偽造防止用シールなど、様々な分野で利用されている。光学的にホログラムを作成する方法としては、物体から発せられる物体光と参照光との干渉縞を感光性媒体に記録する方法が一般的である。物体光および参照光の光源としては、通常、可干渉性に優れたレーザ光が利用される。一般に、光などの電磁波の挙動は、振幅と位相とをもった波面の伝播として捉えることができ、ホログラムは、このような波面を再生する機能をもった光学素子と言うことができる。したがって、ホログラムの記録媒体には、空間のそれぞれの位置における物体光の位相と振幅とを正確に再現するための情報を記録しておく必要がある。感光性媒体上に、物体光と参照光とによって生じる干渉縞を記録すれば、物体光の位相と振幅との双方を含んだ情報を記録することができ、この媒体に参照光と同等の照明再生光を照射することにより、この照明再生光の一部が物体光と等価な波面をもった光として観測できる。
このように、レーザ光などを用いた光学的な方法でホログラムを作成する場合、物体光の位相と振幅は、参照光との干渉縞としてしか記録することはできない。これは、ホログラムを記録する感光性媒体が、光の強度に応じて感光する特性があるためである。これに対して、最近、コンピュータを用いた演算により、ホログラムを作成する手法も実用化されつつある。この手法は、計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )と呼ばれており、コンピュータを利用して物体光の波面を計算し、その位相と振幅とを何らかの方法で物理的な媒体上に記録することにより、ホログラムの作成が行われる。この計算機ホログラムの手法を用いれば、もちろん、物体光と参照光との干渉縞として像の記録を行うことも可能であるが、参照光を用いずに、物体光の位相と振幅に関する情報を直接記録面に記録することも可能になる。
たとえば、下記の特許文献1には、複数の三次元セルの集合からなる光学素子が開示されている。この光学素子は、複素振幅型空間光変調器として機能し、この技術を利用すれば、三次元セルの集合によってホログラムを構成し、立体像を記録することが可能になる。この特許文献1に開示された光学素子の個々の三次元セルには、それぞれ特定の振幅および特定の位相が定義されており、個々のセルに所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて、入射光の振幅および位相を変化させた射出光が得られる。いわば、個々のセルがそれぞれ固有の光学的特性を有し、特定の振幅とともに特定の位相を記録した素子(複素振幅型空間光変調素子)として機能する。
特開2002−72837号公報
前掲の特許文献1には、振幅と位相の双方を記録する機能をもった具体的な三次元セルとして、特定振幅に応じた面積をもった部分を、特定位相に応じた深さだけ掘り下げることにより形成された溝部を有するセルや、特定振幅に応じた面積をもった部分を、特定位相に応じた高さだけ***させることにより形成された突起部を有するセルが実施例として開示されている。このような特有の形状をもった三次元セルの集合からなる光学素子は、電子線描画装置などを用いた製造プロセスで製造することができ、量産化に適するという利点を有する。
しかしながら、前掲の特許文献1に実施例として開示されている三次元セルを用いた光学素子には、再生時にノイズ成分が混入するため、必ずしも鮮明な再生結果を得ることができないという問題がある。これは、再生時に照明光として与えた入射光の一部もしくはその反射光の一部が、0次回折光として観察されるためである。このような0次回折光を生じる光学素子は、特に、レンズと組み合わせて用いると、0次回折光がレンズの焦点位置に集光することになり、実用上無視できない問題を呈する。
そこで本発明は、0次回折光の発生ができるだけ少ない複素振幅型空間光変調素子として機能する光学素子を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、遮光層を形成し、
個々のセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルのそれぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝を形成し、この溝の底面は反射面となるようにし、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、
個々のセルの上方から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上方に得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、個々のセルの下面には、光反射層を形成し、
個々のセルの上面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、個々のセルの上面の第1の領域には、光反射層を形成し、
個々のセルの下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの下面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、遮光層を形成し、
個々のセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルのそれぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部を形成し、この突起部の上面は反射面となるようにし、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、
個々のセルの上方から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上方に得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、個々のセルの下面には、光反射層を形成し、
個々のセルの上面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、複数の三次元セルの集合からなる光学素子において、
個々のセルを、透光性材料から構成し、それぞれについて特定振幅および特定位相を定義し、
個々のセルを上方から観察したときに、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とを定義し、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部を形成し、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層を形成し、個々のセルの上面の第1の領域には、光反射層を形成し、
個々のセルの下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの下面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有しているようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る光学素子において、
個々のセルが、第1の直方体形状を有する基体の上面に、第1の直方体形状よりも小さい第2の直方体形状を有する溝もしくは突起部を形成することにより構成されているようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る光学素子において、
個々のセルを、それぞれ上面を上方に向けた状態で、二次元マトリックス状に配列するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第1〜第10の態様に係る光学素子において、
所定の視点位置から観測したときに物体像が再生されるように、当該物体像からの物体光の複素振幅分布を記録し、ホログラムとして利用することができるようにしたものである。
本発明に係る光学素子によれば、複素振幅型空間光変調素子として機能する個々の三次元セルにおいて、再生光の発生に関与しない部分に遮光層や吸光層を形成するようにしたため、0次回折光の発生を低減させることが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。なお、本発明は、前掲の特許文献1に開示された発明(以下、基礎発明という)の改良発明に相当するものであるので、以下の§1〜§5において、まず、基礎発明の説明を行い、§6および§7において、本発明の改良部分についての説明を行うことにする。
<<< §1.基礎発明の基本原理 >>>
図1は、参照光を利用して、光学的に干渉縞として物体像を記録する一般的なホログラフィーの手法を示す斜視図である。物体10の立体像を記録媒体20上に記録する場合、物体10を参照光Rと同一波長の光(通常は、レーザ光)で照らし、物体10からの物体光と参照光Rとによって記録媒体20上に形成される干渉縞を記録することになる。ここでは、記録媒体20上にXY座標系を定義し、座標(x,y)に位置する任意の点P(x,y)に着目すると、この点P(x,y)には、物体10上の各点O(1),O(2),…,O(k),…,O(K)からの各物体光と参照光Rとの干渉による合成波の振幅強度が記録されることになる。記録媒体20上の別な点P(x′,y′)にも、同様に、各点からの物体光と参照光Rとの干渉による合成波の振幅強度が記録されるが、光の伝播距離が異なるため、点P(x,y)に記録される振幅強度と点P(x′,y′)に記録される振幅強度とは異なる。このようにして、記録媒体20上には、振幅強度分布が記録されることになり、この振幅強度分布によって、物体光の振幅と位相とが表現されていることになる。再生時には、参照光Rと同一波長の再生照明光を参照光Rと同一方向(もしくは、記録媒体20に関して面対称となる方向)から照射することにより、物体10の立体再生像が得られる。
光学的な方法により、記録媒体20上に干渉縞を記録するには、記録媒体20として感光性材料を用いることになり、干渉縞は記録媒体20上の濃淡パターンとして記録されることになる。一方、計算機ホログラムの手法を利用する場合には、この図1に示す光学系で生じる現象を、コンピュータ上でシミュレーションすればよい。具体的には、現実の物体10や記録媒体20の代わりに、コンピュータ上の仮想三次元空間内において、物体像10および記録面20を定義し、物体像10上に多数の点光源O(1),O(2),…,O(k),…,O(K)を定義する。そして、各点光源について、所定の波長、振幅、位相をもった物体光(球面波)を定義し、更に、この物体光と同一波長をもった参照光を定義する。一方、記録面20上に、多数の代表点P(x,y)を定義し、個々の代表点の位置に到達する物体光と参照光との合成波の振幅強度を演算によって求める。こうして、記録面20上には、演算によって振幅強度分布(干渉縞)が求まることになるので、この振幅強度分布を物理的な記録媒体上に、濃淡分布あるいは凹凸分布として記録すれば、物理的なホログラム記録媒体を作成することができる。
もっとも、計算機ホログラムの手法を用いれば、必ずしも参照光Rを用いて干渉縞として記録を行う必要はなく、物体像10からの物体光そのものを記録面20に直接記録することも可能である。すなわち、光学的にホログラムを作成する場合には、感光性材料からなる記録媒体20上に、感光に必要な一定時間にわたって干渉波を発生させ、これを干渉縞として記録しなければならない。このため、参照光を利用して定在波となる干渉波を発生させる必要がある。ところが、計算機ホログラムの手法を利用すれば、記録面20上に存在するある瞬間の波の状態を、あたかも時間を静止させて観測することができ、これを記録することができる。別言すれば、所定の基準時刻における記録面20上の各代表点位置における物体光の振幅および位相を演算によって求めることができる。前掲の特許文献1に開示された基礎発明の実施形態では、このような計算機ホログラムの利点を生かし、物体光を参照光との干渉縞として記録する手法を採らずに、物体光の振幅と位相とを直接記録する手法を採っている。
いま、たとえば、図2の斜視図に示すように、点光源Oと記録面20とが定義されている場合に、記録面20上の代表点P(x,y)に到達した物体光の振幅と位相がどのように計算されるかを考えてみよう。一般に、振幅と位相とを考慮した波動は、
Acosθ + i Asinθ
なる複素関数で表現される(iは虚数単位)。ここで、Aが振幅を示すパラメータであり、θが位相を示すパラメータである。そこで、点光源Oから発せられる物体光を、上記複素関数で定義すれば、代表点P(x,y)の位置における物体光は、
A/r・cos(θ+2πr/λ)
+ i A/r・sin(θ+2πr/λ)
なる複素関数で表される。ここで、rは、点光源Oと代表点P(x,y)との距離であり、λは物体光の波長である。物体光の振幅は距離rが大きくなるにしたがって減衰し、位相は距離rと波長λとの関係で決定される。この複素関数には、時間を示す変数が入っていないが、これは、前述したように、所定の基準時刻において時間を静止させたときに観測される波の瞬間状態を示す式だからである。
結局、物体像10の情報を記録面20上に記録するには、図3の斜視図に示されているように、物体像10上に多数の点光源O(1),O(2),…,O(k),…,O(K)を定義し、記録面20上の各代表点位置において、各点光源から発せられる物体光の合成波の振幅および位相を演算によって求め、これを何らかの方法で記録すればよい。いま、物体像10上に合計K個の点光源が定義され、第k番目の点光源O(k)から発せられる物体光が、図3に示すように、
Ak cosθk + i Ak sinθk
なる複素関数で表現されたとしよう。物体像10が、それぞれ所定の階調値(濃度値)をもった画素の集合から構成されていたとすれば、振幅を示すパラメータAkは、当該点光源O(k)の位置に存在する画素の階調値に対応して定められる。位相θkは、一般的には、θk=0なる設定でかまわないが、必要に応じて、物体像10の各部から異なる位相の物体光を発せられているような設定を行うことも可能である。全K個の点光源について、それぞれ上記複素関数で表現される物体光が定義できたら、記録面20上の任意の代表点P(x,y)の位置における全K個の物体光の合成波は、図3に示すように、
Σ k=1〜K (Ak/rk cos(θk+2πrk/λ)
+i Ak/rk sin(θk+2πrk/λ))
なる複素関数で表現されることになる。ここで、rkは第k番目の点光源O(k)と代表点P(x,y)との距離である。なお、上述の式は、物体像10を記録媒体の奥に再生させる場合の式に相当する。物体像10を記録媒体の手前側に浮き出すように再生させる場合には、
Σ k=1〜K (Ak/rk cos(θk−2πrk/λ)
+i Ak/rk sin(θk−2πrk/λ))
なる式により複素関数を計算すればよい(位相の項の符号が負になっている)。したがって、両方の場合を考慮した複素関数は、
Σ k=1〜K (Ak/rk cos(θk±2πrk/λ)
+i Ak/rk sin(θk±2πrk/λ))
となる。この関数の実数部をRxy,虚数部をIxyとして、Rxy+iIxyなる形にすれば、この合成波の代表点P(x,y)の位置における複素振幅(位相を考慮した振幅)は、図4に示すように、複素座標平面上における座標点Qで示されることになる。結局、代表点P(x,y)における物体光合成波の振幅は、図4に示す座標平面における原点Oと座標点Qとの距離A(x,y)で与えられ、位相はベクトルOQと実数軸とのなす角度θ(x,y)で与えられることになる。
かくして、記録面20上に定義された任意の代表点P(x,y)位置における物体光合成波の振幅A(x,y)と位相θ(x,y)とが、計算によって求められることになる。したがって、記録面20上には、物体像10から発せられる物体光の複素振幅分布(物体光合成波の振幅および位相の分布)が得られる。こうして得られた複素振幅分布を、何らかの形で物理的な記録媒体上に記録し、所定の再生照明光を与えたときに、物体光の波面が再生されるようにすれば、物体像10をホログラムとして記録できることになる。
基礎発明では、記録面20上に物体像10から発せられる物体光の複素振幅分布を記録するために、三次元セルを用いることになる。三次元セルを用いて複素振幅分布を記録し、物体像10をホログラムとして記録するには、次のような手順を行えばよい。まず、たとえば、図5に示すように、記録面20の位置に、三次元仮想セル集合30を定義する。この三次元仮想セル集合30は、所定寸法をもったブロック状の仮想セルを縦横に並べることにより、セルを二次元的に配列したものである。そして、個々の仮想セルについて、それぞれ代表点を定義する。代表点の位置は、セル内の任意の1点でかまわないが、ここでは、セル前面(物体像10に向かい合った面)の中心点位置に当該セルの代表点を定義することにする。たとえば、三次元仮想セル集合30の前面(物体像10に向かい合った面)にXY座標系を定義し、この座標系における座標(x,y)の位置にある代表点P(x,y)をもつ仮想セルを、仮想セルC(x,y)と呼ぶことにすれば、この仮想セルC(x,y)の前面の中心点に代表点P(x,y)がくることになる。
一方、物体像10を点光源の集合として定義する。図5に示す例では、物体像10は、K個の点光源O(1),O(2),…,O(k),…,O(K)の集合として定義されている。これら各点光源からは、それぞれ所定の振幅および位相をもった物体光が発せられ、代表点P(x,y)には、これら物体光の合成波が到達することになる。この合成波の複素振幅は、前述した式により計算することができ、図4に示す複素座標平面における座標点Qとして示され、この座標点Qに基づいて、振幅A(x,y)と位相θ(x,y)が得られることは既に述べたとおりである。ここでは、代表点P(x,y)について得られた振幅A(x,y)および位相θ(x,y)を、当該代表点P(x,y)を含む仮想セルC(x,y)についての特定振幅A(x,y)および特定位相θ(x,y)と呼ぶことにする。
以上の手順は、実際にはコンピュータを用いた演算処理として実行されることになる。結局、この演算処理により、三次元仮想セル集合30を構成するすべての仮想セルについて、それぞれ特定振幅と特定位相とを求めることができる。そこで、これら個々の仮想セルをそれぞれ実体のある物理セルに置き換えれば、三次元物理セルの集合からなる光学素子(物体像10が記録されたホログラム記録媒体)が作成できる。ここで、仮想セルに取って代わる物理セルは、仮想セルに定義されている特定振幅および特定位相に応じて、入射光の振幅および位相を変調することができるような光学的特性を有している必要がある。別言すれば、置き換えられた個々の物理セルは、所定の入射光を与えたときに、置換前の仮想セルに定義されていた特定振幅および特定位相に応じて、この入射光の振幅および位相を変化させることにより射出光を生み出す機能をもった特定の光学的特性を有している必要がある。
このような特定の光学的特性をもった物理セルの集合からなる光学素子に対して、所定の再生用照明光(理想的には、上記演算処理において用いた物体光波長λと同じ波長をもった単色光平面波)を照射すれば、個々の物理セルでは、再生用照明光が特定振幅および特定位相によって変調されるので、もとの物体光の波面が再生されることになる。かくして、この光学素子に記録されていたホログラムが再生されることになる。
<<< §2.物理セルの具体的な構成 >>>
続いて、基礎発明に用いられている物理セルの具体的な構成について述べる。基礎発明に用いる物理セルは、理論的には、三次元の立体セルであって、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、個々のセルに所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた射出光が得られるような特定の光学的特性を有していれば、どのような構成のセルでもかまわない。たとえば、図6に示すような三次元セルC(x,y)について、振幅A(x,y)および位相θ(x,y)が記録されていたとし、このセルに振幅Ain、位相θinなる入射光Linが与えられた場合には、振幅Aout =Ain・A(x,y)、位相θout =θin±θ(x,y)なる射出光Lout が得られるようにすればよい。入射光の振幅Ainは、セルに記録されていた特定振幅A(x,y)による変調を受けて振幅Aout に変化し、入射光の位相θinは、セルに記録されていた特定位相θ(x,y)による変調を受けて位相θout に変化したことになる。
三次元セル内において振幅を変調する一つの方法は、セル内に特定振幅に応じた透過率をもった振幅変調部を設けておく方法である(セル全体を振幅変調部として用いてもよいし、セルの一部分に振幅変調部を設けるようにしてもよい)。たとえば、透過率がZ%の振幅変調部をもったセルは、A(x,y)=Z/100なる特定振幅が記録されているセルとして機能し、振幅Ainをもった入射光がこのセルを通ると、Aout =Ain・Z/100なる振幅をもった射出光に振幅変調されることになる。個々の三次元セルの透過率を任意の値に設定するには、たとえば、着色剤の含有率をそれぞれ変えることにより対応することができる。
三次元セル内において振幅を変調する別な方法は、セル内に特定振幅に応じた反射率をもった振幅変調部を設けておく方法である。たとえば、反射率がZ%の振幅変調部をもったセルは、A(x,y)=Z/100なる特定振幅が記録されているセルとして機能し、振幅Ainをもった入射光がこの振幅変調部で反射して射出したとすれば、Aout =Ain・Z/100なる振幅をもった射出光に振幅変調されることになる。個々の三次元セルの反射率を任意の値に設定するには、たとえば、セル内に反射面を用意しておき(この反射面が振幅変調部として機能することになる)、この反射面の反射率を任意の値に設定すればよい。具体的には、たとえば、反射面の表面粗さを変えることにより、反射光と散乱光との割合を調節することができるので、この表面粗さを調節することにより、任意の反射率をもったセルを用意することが可能になる。
三次元セル内において振幅を変調する更に別な方法は、セル内に特定振幅に応じた有効面積をもった振幅変調部を設けておく方法である。たとえば、入射光の全入射領域の面積を100%としたときに、このうちのZ%の有効面積をもった部分に入射した入射光だけから物体像の再生に有効な射出光が得られるような構造からなる振幅変調部をもったセルは、A(x,y)=Z/100なる特定振幅が記録されているセルとして機能する。すなわち、振幅Ainをもった入射光がこの振幅変調部に入射光しても、そのうちのZ%の光だけが有効な射出光として出て行くことになるので、Aout =Ain・Z/100なる振幅をもった射出光に振幅変調されたことになる。このような特定の有効面積をもった領域部分のみから有効な射出光を得るには、物理的な凹凸構造をもったセルを用いればよい。本発明も、このような構造をもった三次元セルを利用した光学素子に係るものであり、その具体例については、§3において説明する。
一方、三次元セル内において位相を変調する一つの方法は、セル内に特定位相に応じた屈折率をもった位相変調部を設けておく方法である(セル全体を位相変調部として用いてもよいし、セルの一部分に位相変調部を設けるようにしてもよい)。たとえば、屈折率がn1の材料からなる位相変調部をもったセルと、屈折率がn2の材料からなる位相変調部をもったセルとでは、同一位相をもった入射光を与えても、それぞれ射出光の位相に差が生じることになる。したがって、屈折率の異なる種々の材料からセルを構成するようにすれば、入射光に対して任意の位相変調を施すことが可能になる。
三次元セル内において位相を変調する別な方法は、セル内に特定位相に応じた光路長をもった位相変調部を設けておく方法である(セル全体を位相変調部として用いてもよいし、セルの一部分に位相変調部を設けるようにしてもよい)。たとえば、屈折率nをもった同一材料からなる位相変調部をもったセルであっても、この位相変調部の光路長が異なれば、同一位相をもった入射光を与えても、それぞれ射出光の位相に差が生じることになる。たとえば、第1のセルに設けられた位相変調部の光路長がL、第2のセルに設けられた位相変調部の光路長が2Lであったとすると、同一位相をもった入射光が与えられたとしても、第1のセルからの射出光に比べて、第2のセルからの射出光は、屈折率nをもった材料中を進んだ距離が2倍になるので、それだけ大きな位相差が生じていることになる。任意の光路長をもった位相変調部を実現するには、やはり物理的な凹凸構造をもったセルを用いればよい。その具体例については、§3において説明する。
このように、特定振幅に基づく振幅変調機能をもった三次元セルや、特定位相に基づく位相変調機能をもった三次元セルは、いくつかの方法によって実現可能であり、上述したいくつかの振幅変調方法および位相変調方法のうちから、任意の方法を選択することにより、基礎発明に係る光学素子を実現することができる。たとえば、振幅変調方法として、セル内に特定振幅に応じた透過率をもった振幅変調部を設けておく方法を採り、位相変調方法として、セル内に特定位相に応じた屈折率をもった位相変調部を設けておく方法を採り、セル全体を振幅変調部および位相変調部として用いるのであれば、図7の表に示されているような16通りの物理セルを選択的に配列することにより、光学素子を形成することができる。この表の横軸は振幅A、縦軸は位相θに対応しており、振幅Aおよび位相θともに、4つのレンジに分けられている。
ここで、振幅Aが「0〜25%」に対応するレンジに描かれたセル(表の第1列目のセル)は、透過率が非常に低い材料からなるセルであり、振幅Aが「25〜50%」に対応するレンジに描かれたセル(表の第2列目のセル)は、透過率がやや低い材料からなるセルであり、振幅Aが「50〜75%」に対応するレンジに描かれたセル(表の第3列目のセル)は、透過率がやや高い材料からなるセルであり、振幅Aが「75〜100%」に対応するレンジに描かれたセル(表の第4列目のセル)は、透過率が非常に高い材料からなるセルである。一方、位相θが「0〜π/2」に対応するレンジに描かれたセル(表の第1行目のセル)は、空気に非常に近い屈折率n1をもつ材料からなるセルであり、位相θが「π/2〜π」に対応するレンジに描かれたセル(表の第2行目のセル)は、空気よりやや大きい屈折率n2をもつ材料からなるセルであり、位相θが「π〜3π/2」に対応するレンジに描かれたセル(表の第3行目のセル)は、空気よりかなり大きい屈折率n3をもつ材料からなるセルであり、位相θが「3π/2〜2π」に対応するレンジに描かれたセル(表の第4行目のセル)は、空気より非常に大きい屈折率n4をもつ材料からなるセルである。
このように、図7に示す例では、4通りの透過率、4通りの屈折率をもった合計16個のセルが用意されているが、より高い精度で振幅と位相をセルに記録するには、透過率および屈折率のステップを更に細かく設定し、より多数種類のセルを用意すればよい。このような16通りの物理セルを用いて仮想セルを置き換えるには、個々の仮想セルに定義された特定振幅および特定位相による変調を行うために必要とされる光学的特性に最も近い光学的特性を有する物理セルを選択すればよい。
<<< §3.物理セルの実用的な構成 >>>
既に述べたように、基礎発明に用いる物理セルは、原理的には、特定振幅および特定位相に応じて入射光を変調する機能をもったセルであれば、どのような構成で実現してもかまわない。図7には、特定振幅に応じた変調を透過率により制御し、特定位相に応じた変調を屈折率により制御する例が示されている。このように、理論的には、振幅や位相を変調する方法は、何通りも存在するが、工業的に量産することを考慮すると、必ずしもすべての方法が実用的であるとは言えない。基礎発明の原理に基づく光学素子を用いて、ある程度の解像度をもった物体像を再生するためには、個々の三次元セルの寸法をある程度以下に制限せざるを得ない(大まかに言って、セル寸法が100μm以上になると、視認性の良い物体像の再生は困難である)。したがって、図7に示す16通りの物理セルを組み合わせて光学素子を作成する場合、微小なセルを部品として二次元的に配列する作業が必要になり、しかも、特定の位置には、16通りのセルのうちの特定のセルを配置する必要がある。このような作業を考えれば、図7に示すような物理セルを用いて光学素子を構成する方法は、工業的な量産には適していないことがわかる。
そこで、前掲の特許文献1には、1つの物理セルに振幅と位相の情報をもたせることができ、かつ、そのような物理セルの集合により、工業的量産に適した光学素子を構成する方法として、個々の物理セルに凹凸構造をもたせ、この凹凸構造部分の面積として振幅の情報を記録し、凹凸構造部分の段差長(凹部の深さ、もしくは凸部の高さ)として位相の情報を記録する方法が提案されている。
図8は、この基礎発明に利用するのに最適と考えられる物理セルC(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。図示のとおり、この三次元物理セルは、直方体のブロック形状を有する基体の上面に、この直方体形状よりも小さい別の直方体形状を有する溝G(x,y)を形成することにより構成されている。後述するように、溝G(x,y)の代わりに、直方体形状を有する突起部B(x,y)を設けるようにしても、同等の機能をもった物理セルを構成することが可能である。
この例では、物理セルC(x,y)の寸法は、図において、C1=0.6μm、C2=0.25μm、C3=0.25μmであり、溝G(x,y)の寸法は、G1=0.2μm、G2=0.05μm、G3=C3=0.25μmである。このような構造をもった物理セルC(x,y)を用いれば、振幅の情報は、溝G(x,y)の横方向の幅G1の値として記録することができ、位相の情報は、溝G(x,y)の深さG2の値として記録することができる。別言すれば、特定振幅および特定位相が定義された仮想セルを、このような構造をもった物理セルで置き換える際には、特定振幅に応じた寸法G1を有し、特定位相に応じた寸法G2を有する物理セルによる置き換えが行われることになる。
この図8に示す物理セルにおいて、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を、図9の正面図を参照して説明しよう。いま、この物理セルC(x,y)が屈折率n2をもった物質から構成されており、この物理セルC(x,y)の外側が屈折率n1をもった物質(たとえば、空気)から構成されているものとする。このとき、溝G(x,y)の内部の面S1に垂直に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2に垂直に入射した光L2とについて、屈折率n2の媒質中を通過する光路長を比較すると、光L1の光路長の方が、光L2の光路長よりも、溝G(x,y)の深さG2の分だけ短くなることがわかる。したがって、屈折率n1,n2が異なっていれば、物理セルC(x,y)から透過光として射出される光L1と光L2との間には、所定の位相差が生じることになる。
一方、図10は、物理セルC(x,y)からの反射光として射出光が得られる場合を示す正面図である。この例では、物理セルC(x,y)の上面、すなわち、面S1およびS2が反射面となっており、溝G(x,y)の内部の面S1にほぼ垂直に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2にほぼ垂直に入射した光L2とが、それぞれ各面にほぼ垂直に反射して射出することになる。このとき、入射および反射の経路に沿った全光路長を比較すると、光L1の光路長の方が、光L2の光路長よりも、溝G(x,y)の深さG2の2倍に相当する分だけ長くなることがわかる。したがって、物理セルC(x,y)から反射光として射出される光L1と光L2との間には、所定の位相差が生じることになる。
このように、物理セルC(x,y)が透過型のセルであっても、反射型のセルであっても、溝G(x,y)の内部の面S1に入射した光L1と、溝G(x,y)の外部の面S2に入射した光L2との間には、所定の位相差が生じることになり、この位相差は溝G(x,y)の深さG2に応じて決まることになる。そこで、物理セルC(x,y)の上面に入射した光のうち、溝G(x,y)の内部の面S1への入射光に基づいて得られる射出光のみを、物体像10の再生に有効な射出光として取り扱うことにすれば(別言すれば、図9または図10において、光L1のみを像の再生に有効な射出光として取り扱うようにすれば)、像の再生に有効な射出光L1は、この物理セルC(x,y)において、溝G(x,y)の深さG2に対応した特定位相による位相変調を受けたことになる。かくして、物体光の位相の情報は、溝G(x,y)の深さG2として記録することができる。
また、上述のように、溝G(x,y)の内部の面S1への入射光に基づいて得られる射出光のみを、物体像10の再生に有効な射出光として取り扱うことにすれば、物体光の振幅の情報を、溝G(x,y)の幅G1として記録することができる。なぜなら、溝G(x,y)の幅G1が大きくなればなるほど、溝G(x,y)の内部の面S1の面積も大きくなり、物体像10の再生に有効な射出光の割合が増えるためである。すなわち、図9または図10に示す射出光L2には、何ら意味のある位相成分が含まれていないため、再生時に視点位置においてこれら射出光L2が観測されたとしても、いわゆるバックグラウンドのノイズ成分として観測されるだけであり、意味のある像を再生する有効な光としては認識されないことになる。これに対し、射出光L1には、意味のある位相成分が含まれているため、像の再生に有効な信号成分として観測されることになる。結局、溝G(x,y)の幅G1は、当該物理セルC(x,y)から射出される光のうちの信号成分として観測される光L1の割合を決定する要素ということになり、信号波の振幅の情報を与えるパラメータになる。
もっとも、一般的には、振幅の情報は、溝G(x,y)の幅G1によって表現されているわけではなく、溝G(x,y)の内部の面S1の面積によって表現されることになる。図8に示す実施形態の場合は、たまたま、溝G(x,y)の奥行き寸法G3が、物理セルC(x,y)の奥行き寸法C3に常に等しくなるように設定しているため、溝G(x,y)の内部の面S1の面積が、幅G1の長さに比例することになっているが、溝G(x,y)の奥行き寸法G3は必ずしも一定にする必要はなく、幅寸法と奥行き寸法との両者を変化させて、溝G(x,y)の内部の面S1の面積にバリエーションをもたせるようにしてもかまわない。
このように、ブロック状の物理セルの上面のうち、特定振幅に応じた面積をもった部分(図8の面S1に相当する部分)を、特定位相に応じた深さ(図8の寸法G2に相当する深さ)だけ掘り下げることにより、凹部(溝G(x,y))を形成するようにすれば、このような構造をもった物理セルによって、再生用照明光に対して、特定振幅に応じた振幅変調および特定位相に応じた位相変調を施すことが可能になる。もっとも、ブロック状の物理セルに凹部を形成する代わりに、凸部を形成しても、同様の変調処理が可能である。すなわち、図8に示す物理ブロックにおいて、寸法G2を負の値に設定し、溝の代わりに突起部を形成するようにしても、この突起部の高さに応じた光路差を生じさせることができ、位相差を生じさせることができる。別言すれば、ブロック状の物理セルの上面のうち、特定振幅に応じた面積をもった部分を、特定位相に応じた高さだけ***させることにより、凸部を形成するようにすれば、このような構造をもった物理セルによっても、再生用照明光に対して、特定振幅に応じた振幅変調および特定位相に応じた位相変調を施すことが可能になる。
図8に示すような溝G(x,y)をもった物理セルC(x,y)では、溝の幅G1および深さG2は連続的に変化させることができるので、理論的には、無限種類の物理セルを用意することが可能である。このような無限種類の物理セルを用いれば、仮想セルに定義された特定振幅に応じた正確な溝幅G1をもち、特定位相に応じた正確な深さG2をもった物理セルによって、当該仮想セルを置き換えることが可能である。しかしながら、実用上は、a通りの溝幅、b通りの深さを予め定め、合計a×b通りの物理セルを用意しておき、これらの物理セルの中から必要とされる光学的特性が最も近い物理セルを選択するのが好ましい。図11は、7通りの溝幅と、4通りの深さとを定め、合計28通りの物理セルを用意した例を示す斜視図である。この28通りの物理セルは、いずれも図8に示す形態をしたブロック状の物理セルであり、図11には、これらの物理セルを4行7列の行列状に配置した状態が示されている。
この図11に示された行列の7つの列は、振幅Aのバリエーションを示し、4つの行は、位相θのバリエーションを示している。たとえば、列W1に位置するセルは、振幅Aの最小値に対応するセルであり、溝幅G1=0、すなわち、溝Gが全く形成されていないセルになっている。列W2〜W7へと右側へ移動するにしたがって、より大きな振幅Aに対応するセルとなっており、溝幅G1は徐々に広がっている。列W7に位置するセルは、振幅Aの最大値に対応するセルであり、溝幅G1=セル幅C1、すなわち、全面が掘られたセルになっている。また、この図11に示された行列の行に着目すると、たとえば、行V1に位置するセルは、位相θの最小値に対応するセルであり、溝の深さG2=0、すなわち、溝Gが全く形成されていないセルになっている。行V2〜V4へと下側へ移動するにしたがって、より大きな位相θに対応するセルとなっており、溝の深さG2は徐々に大きくなっている。
<<< §4.実用的な物理セルを用いた光学素子の作成方法 >>>
ここでは、図11に示すような28通りの物理セルを利用して、物体像10が記録された光学素子(ホログラム記録媒体)を作成する具体的な方法を述べる。まず、コンピュータを利用して、図5に示すように、点光源の集合からなる物体像10と、三次元仮想セル集合30を定義する。ここで、三次元仮想セル集合30を構成する個々の仮想セルは、図8に示すようなブロック状のセル(この時点では、まだ溝は形成されていない)であり、このセルを縦横に等ピッチで二次元配列することにより、三次元仮想セル集合30を形成する。1つの仮想セルの寸法は、たとえば、C1=0.6μm、C2=0.25μm、C3=0.25μm程度とすればよく、この場合、セルの横方向のピッチを、0.6μm、縦方向のピッチを、0.25μmとすれば、セルを隙間なく配置することができる。もちろん、ここに紹介した各セルの寸法値は一例であり、実際には、必要に応じて任意の寸法に設定することができる。ただ、セル寸法が大きくなればなるほど、物体の再生像が得られる視野角が狭くなり、物体の解像度も低下することになる。逆に、セル寸法が小さくなればなるほど、物理セルの凹凸構造を形成するための加工が技術的に困難になってくる。なお、セル配置は、必ずしも等ピッチで行う必要はないが、演算処理や物理セルの加工作業の便宜を考慮すると、縦および横にそれぞれ所定の等ピッチでセルを配置するのが好ましい。また、セル配置は、必ずしもXY直交座標系上に配列する必要はなく、rθ極座標系上に配列することも可能である。
こうして、物体像10および三次元仮想セル集合30の定義が完了したら、各仮想セル内に代表点を定義し、§2で述べたように、各代表点位置に到達した各物体光の合成波の複素振幅を計算し、個々の仮想セルについて特定振幅および特定位相を定義する。続いて、各仮想セルを、図11に示す28通りの物理セルのいずれかに置き換え(個々の仮想セルに定義されている特定振幅および特定位相に応じた変調を行うために必要とされる光学的特性が最も近い物理セルに置き換える)、物理セルの集合としての光学素子を作成する。このとき、各物理セルの溝形成面(図8や図11に示されている物理セルの場合には上面)が、図5に示す三次元仮想セル集合30の前面(物体像10に向かい合った面)側を向くようにする。
もっとも、実際には、仮想セルを物理セルに置き換える作業は、光学素子となるべき媒体表面に、所定の凹凸構造を形成する処理として行われる。上述したように、図5に示す三次元仮想セル集合30の個々の仮想セルを物理セルに置き換える際には、溝が前面側を向くように物理セルが配置されることになるので、最終的に作成される光学素子は、表面に多数の溝からなる凹凸構造が形成された媒体となる。したがって、仮想セルを物理セルに置き換える作業は、各仮想セルの情報(各仮想セルに定義された特定振幅および特定位相を示す情報)を記憶しているコンピュータから、凹凸パターンに関するデータを描画装置に与え、この描画装置により、物理的な媒体表面に凹凸パターンを描画する処理として行われることになる。微細な凹凸パターンを描画する処理は、たとえば、電子線描画装置などを用いたパターニング技術を利用して行うことができる。また、同一の光学素子を量産する場合には、電子線描画装置などを用いた描画処理により、所望の凹凸構造が形成された原版を作成し、この原版を用いたスタンプ工程により、凹凸構造を多数の媒体上に転写するようにすればよい。
なお、基礎発明に係る光学素子は、基本的には、図8に示すような物理セルを二次元的に配列することにより得られる本体層によって構成されるが、必要に応じて、この本体層の表面に保護層を形成するようにしてもよい。この保護層は、本体層の表面に形成された凹凸面を覆う役目を果たす。本体層と保護層とは、互いに異なる材質から構成されるようにする。
各物理セルに与えられた入射光が、本体層および保護層を通過することにより射出光となるような透過型の光学素子の場合、本体層と保護層とは、互いに異なる屈折率をもった透光性材料で構成しておく必要がある。ここでは、このような本体層と保護層との二層構造からなる透過型の光学素子(透過型の物理セル)を作成する場合の溝Gの深さと位相との具体的な関係を検討してみる。
いま、図12の上段の断面図に示すような構造をもった透過型セルC(x,y)の場合を考える。このセルは、深さd(x,y)の溝Gが形成されている本体層Caと、その上面に溝Gを埋めるようにして形成された保護層Cbと、の二層構造をもったセルである。ここで、保護層Cbを形成する材料の屈折率(別言すれば、凹部に充填された物質もしくは凸部を構成する物質の屈折率)をn1とし、本体層Caを形成する材料の屈折率をn2とすれば、溝Gの最大深さ(凹部の最大深さもしくは凸部の最大高さ)dmax を、dmax =λ/|n1−n2|に設定すると、波長λの光に対して、0〜2πまでの範囲内の位相変調を施すことができる物理セルが実現できる。たとえば、波長λ=400nmとし、屈折率の差|n1−n2|=2であったとすれば、dmax =200nm(0.2μm)に設定すればよいことになる。
この場合、特定位相θ(x,y)に応じた深さd(x,y)は、図12に示すように、n1>n2の場合には、
d(x,y)=λ・θ(x,y)/2(n1−n2)π
なる式により求まり、n1<n2の場合には、
d(x,y)=dmax −λ・θ(x,y)/2(n2−n1)π
なる式により求まることになる。したがって、ある1つの仮想セルC(x,y)についての特定振幅および特定位相が、それぞれA(x,y)およびθ(x,y)と求まったら、上述の式に特定位相θ(x,y)を代入して、対応する深さd(x,y)を計算によって求め、図11に示す28通りの物理セルの中から、計算によって求めた深さd(x,y)に最も近い深さを有し、特定振幅A(x,y)に応じた寸法に最も近い横幅を有する物理セルを選択し、当該仮想セルC(x,y)を選択した物理セルに置き換える作業を行えばよい。なお、保護層Cbを設けなかった場合には、保護層の屈折率n1として空気の屈折率(ほぼ1)を用いればよい。
一方、図13の上段の断面図に示すような構造をもった反射型セルC(x,y)の場合を考えてみよう。このセルは、深さd(x,y)の溝Gが形成されている本体層Cαと、その上面に溝Gを埋めるようにして形成された保護層Cβと、の二層構造をもったセルであるが、本体層Cαと保護層Cβとの境界が反射面となっており、図の上方から下方に向かって保護層Cβに入ってきた入射光は、この反射面で反射して図の上方へ向けて射出することになる。ここで、保護層Cβを形成する材料の屈折率(別言すれば、凹部に充填された物質もしくは凸部を構成する物質の屈折率)をnとすれば、溝Gの最大深さ(凹部の最大深さもしくは凸部の最大高さ)dmax を、dmax =λ/2nに設定すると、波長λの光に対して、0〜2πまでの範囲内の位相変調を施すことができる物理セルが実現できる。たとえば、波長λ=400nmとし、屈折率n=2であったとすれば、dmax =100nm(0.1μm)に設定すればよいことになる。
この場合、特定位相θ(x,y)に応じた深さd(x,y)は、図13に示すように、
d(x,y)=λ・θ(x,y)/4nπ
なる式により求まる。保護層Cβを設けなかった場合には、保護層の屈折率nとして空気の屈折率(ほぼ1)を用いればよいので、溝Gの最大深さ:dmax =λ/2と設定し、特定位相θ(x,y)に応じた深さd(x,y)は、
d(x,y)=λ・θ(x,y)/4π
とすればよい。
<<< §5.再生環境の便宜を考慮した変形例 >>>
ここでは、これまで述べてきた方法によって作成された光学素子に再生用照明光を当て、ホログラムとして記録されている物体像10を再生する環境を考えてみる。図14は、このような再生を行う場合の光学素子40(物理セルを用いたホログラム記録媒体)と、再生用照明光LtまたはLrと、視点Eとの関係を示す側面図である。光学素子40が、透過型セルを用いた透過型タイプの場合、図示のとおり、視点Eとは反対側の面に再生用照明光Ltを照射し、光学素子40を透過してきた光を視点Eにおいて観察することになり、光学素子40が、反射型セルを用いた反射型タイプの場合、図示のとおり、視点Eと同じ側の面に再生用照明光Lrを照射し、光学素子40から反射してきた光を視点Eにおいて観察することになる。いずれにせよ、これまで述べてきた方法で光学素子40を作成した場合は、再生用照明光LtまたはLrを単色光の平面波として与え、図14に示されているように、光学素子40の記録面(物理セルが配列されている二次元配列面)の法線方向から再生用照明光LtまたはLrを照射し(別言すれば、波面が光学素子40の記録面に平行になるように再生用照明光を照射し)、記録面の法線方向から像の観察を行うと、最も良好な再生像が得られることになる。
しかしながら、ホログラムとして物体像10が記録されている光学素子40の実際の再生環境は、必ずしも図14に示すような理想的な環境にはならない。特に、反射型タイプの場合、視点Eの位置には観測者の頭が位置するため、図14に示す方向から再生用照明光Lrを照射しても、光学素子40には観測者の影ができてしまい、良好な再生を行うことができない。したがって、実際の再生環境は、図15に示すように、光学素子40の記録面に対して斜め方向から再生用照明光LtもしくはLrを照射し、法線方向に位置する視点Eにおいて再生像を観察するか、図16に示すように、光学素子40の記録面の法線方向から再生用照明光LtもしくはLrを照射し、斜め方向に位置する視点Eにおいて再生像を観察するか、あるいは、再生用照明光Lt,Lrの照射方向も、視点Eからの観察方向も、いずれも斜め方向に設定する、という形式になるのが一般的である。
このような実際の再生環境において、良好な再生像が得られるような光学素子40を作成するためには、再生時に照射される照明光の向きおよび再生時の視点位置を考慮して、各仮想セルについて定義された特定位相に修正を加える位相修正処理を行うようにすればよい。
たとえば、図17に示すように、斜め方向から再生用照明光L1〜L4を照射し、光学素子40を透過することにより振幅および位相の変調を受けた光LL1〜LL4(物体像10からの物体光の波面を再現した光)を、法線方向に位置する視点Eにおいて観察する場合を考えてみよう。再生用照明光L1〜L4が波長λをもった単色平面波であるとし、このような再生用照明光を斜め方向から光学素子40に照射したとすると、光学素子40上の各点P1〜P4に到達した時点で、既に光路差が生じており、各点P1〜P4における入射光自体が既に位相差を生じていることになる。たとえば、点P2,P3,P4の位置への入射光は、点P1の位置への入射光に比べて、光路長がd2,d3,d4だけ長くなっているため、この光路差の分だけ入射光自体が既に位相差を生じていることになる。そこで、「この図17に示すような再生環境において良好な再生像が得られる光学素子40を作成する」という前提であれば、各仮想セルについて、これまで述べた方法によって特定位相を求めた後に、これら各特定位相をセル位置に応じて修正する処理を行えばよい。たとえば、図17の点P1の位置にあるセルについては修正不要であるが、点P2の位置にあるセルについては、光路差d2によって生じる位相差を相殺することができるように、特定位相に修正を加えることになる。このように、特定位相に対する修正を行って光学素子40を作成すれば、視点Eの方向に射出される光LL1〜LL4によって、良好な再生像が与えられることになる。
このような特定位相に対する修正処理は、図18に示すように、法線方向から再生用照明光L1〜L4を照射し、光学素子40を透過することにより振幅および位相の変調を受けた光LL1〜LL4(物体像10からの物体光の波面を再現した光)を、斜め方向に位置する視点Eにおいて観察する場合についても同様である。すなわち、再生用照明光L1〜L4が波長λをもった単色平面波であるとし、このような再生用照明光を法線方向から光学素子40に照射したとすると、光学素子40上の各点P1〜P4に到達した時点では、何ら光路差は生じておらず、各点P1〜P4における入射光の位相は揃っている。しかしながら、各点P1〜P4の位置から発せられる射出光が視点Eに到達するまでの光路長にはそれぞれ差が生じており、視点Eにおいて観察した時点で位相差が生じてしまうことになる。たとえば、点P2,P3,P4の位置からの射出光は、点P1の位置からの射出光に比べて、光路長がd2,d3,d4だけ長くなっているため、この光路差の分だけ視点Eの位置では位相差が生じてしまうことになる。そこで、「この図18に示すような再生環境において良好な再生像が得られる光学素子40を作成する」という前提であれば、各仮想セルについて、これまで述べた方法によって特定位相を求めた後に、これら各特定位相をセル位置に応じて修正する処理を行えばよい。たとえば、図18の点P1の位置にあるセルについては修正不要であるが、点P2の位置にあるセルについては、光路差d2によって生じる位相差を相殺することができるように、特定位相に修正を加えることになる。このように、特定位相に対する修正を行って光学素子40を作成すれば、視点Eの方向に射出される光LL1〜LL4によって、良好な再生像が与えられることになる。
以上、特定位相に対する修正処理を、透過型の光学素子40について説明したが、反射型の光学素子40であっても、その修正処理の原理は全く同じである。
一方、再生用照明光の波長について検討すると、実際の再生環境では、波長λの単色光を再生用照明光として利用できるケースは極めて稀であり、通常は、白色に近い再生用照明光のもとで再生が行われるケースが一般的であると考えてよい。このように、複数の波長成分を含んだ再生用照明光を用いて再生を行うと、各波長の光ごとに異なる位相変調が行われることになるので、良好な再生像が得られなくなる。具体的には、種々の色をもった像が少しずつずれて重なったような再生像が観察されることになる。
そこで、白色の再生用照明光を用いた再生環境でも、ある程度良好な再生像が得られるようにするためには、物体光の複素振幅分布を計算する際に、図19に示すような工夫を行うようにすればよい。この図19に示す系は、図5に示す系と同様に、コンピュータ上で物体像10および三次元仮想セル集合30を定義し、物体像10から発せられる各物体光の合計複素振幅の分布を、三次元仮想セル集合30上に求める演算を行うためのものである。ここで、三次元仮想セル集合30は、仮想セルを水平方向および垂直方向に並べることにより構成され、二次元マトリックス上に配列された仮想セルからなるセル集合である。各仮想セルには、それぞれ代表点が定義されている。
ここで述べる手法を用いる場合、各代表点位置における合計複素振幅の計算は、次のような方法によって行われる。まず、物体像10上に、それぞれが水平方向に伸び、互いに垂直方向に配置された複数M個の点光源列を定義する。図示の例では、M=3として、3本の点光源列m1,m2,m3が定義されている。各点光源列には、それぞれ水平方向に並んだ複数の点光源が含まれている。たとえば、点光源列m1には、j個の点光源O(m1,1),O(m1,2),…,O(m1,j)が含まれている。一方、三次元仮想セル集合30側においては、二次元マトリックスにおいて垂直方向に隣接する複数行に所属する仮想セル群を1グループとすることにより合計M個のグループを定義する。図示の例では、M=3として、合計3個のグループが定義されている。すなわち、第1のグループg1は、第1行〜第3行に所属する仮想セル群からなり、第2のグループg2は、第4行〜第6行に所属する仮想セル群からなり、第3のグループg3は、第7行〜第9行に所属する仮想セル群からなる。
このように、物体像10側にM個の点光源列を定義し、三次元仮想セル集合30側にM個のグループを定義したら、M個の点光源列とM個のグループとを垂直方向に関する配置順に応じて対応させる。すなわち、図示の例の場合、一番上の点光源列m1を一番上のグループg1に対応させ、中央の点光源列m2を中央のグループg2に対応させ、一番下の点光源列m3を一番下のグループg3に対応させることになる。そして、第m番目(m=1〜M)の点光源列内の点光源から発せられた物体光が、第m番目のグループに所属する仮想セルにのみ到達するものとして、各代表点位置における合計複素振幅の計算を行うのである。たとえば、図19における点光源列m1に所属する点光源O(m1,1),O(m1,2),…,O(m1,j)から発せられた物体光は、グループg1に所属する仮想セル(第1行〜第3行に配列されている仮想セル)にのみ到達するものとし、グループg2やg3に所属する仮想セルには到達しないものとして、合計複素振幅の計算を行うようにする。換言すれば、グループg1に所属する仮想セルの代表点位置における合計複素振幅の計算は、点光源列m1に所属する点光源O(m1,1),O(m1,2),…,O(m1,j)から発せられた物体光のみを考慮し、点光源列m2,m3に所属する点光源から発せられた物体光は考慮しないことになる。
実は、このような条件で物体像10の記録を行うと、本来のホログラムとしての記録は行われなくなる。そもそもホログラムの基本原理は、記録面のどの位置にも、物体像10のすべての情報が記録されているようにすることにあり、そのような記録を行うことにより、立体像の再生が行われるのである。上述した条件で物体像10の記録を行うと、グループg1の領域には、点光源列m1の部分(すなわち、物体像10の上部の一部分)の情報しか記録されないことになるので、本来のホログラムとしての立体再生像は得られなくなる。具体的には、水平方向に関する立体視は可能になるが、垂直方向に関する立体視が不十分になる。しかしながら、このような条件で物体像10の記録を行うと、白色の再生用照明光を用いた再生環境においては、より良好な再生像(垂直方向に関する立体視は不十分であるものの、より鮮明な再生像)が得られるようになる。これは、垂直方向に関して、物体像10を部分ごとに分けて記録したことにより、再生時の垂直方向に関する再生光の波長分散を抑制する効果が得られるためである。
<<< §6.本発明に係る光学素子の改良点 >>>
これまで、前掲の特許文献1に基礎発明として開示されている三次元セルを用いた具体的な光学素子の構成例を述べたが、この光学素子には、再生時にノイズ成分が混入するため、必ずしも鮮明な再生結果を得ることができないという問題がある。これは、再生時に照明光として与えた入射光の一部もしくはその反射光の一部が、0次回折光として観察されるためである。そこで、まず、この0次回折光が観察される原因を簡単に説明しよう。
図9に示す透過型の三次元セルC(x,y)において、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由は、既に述べたとおり、溝G(x,y)の内部の面S1に入射した光L1が、透過光として観察されることを考えた場合、この透過光の強度は、面S1の面積(すなわち、溝G(x,y)の幅G1)に依存し、この透過光の位相は、屈折率n2の媒質中を通過する光路長(すなわち、溝G(x,y)の深さG2)に依存するためである。これに対して、溝G(x,y)の外部の面S2に入射した光L2は、溝G(x,y)による変調を受けることがない。そのため、射出光L2には、何ら意味のある位相成分が含まれておらず、再生時に視点位置においてこれら射出光L2が観測されたとしても、いわゆるバックグラウンドのノイズ成分として観測されるだけであり、意味のある像を再生する有効な光としては認識されない。
これは、図10に示す反射型の三次元セルC(x,y)においても同様である。溝G(x,y)の内部の面S1に入射した光L1が、反射光として観察されることを考えた場合、この反射光の強度は、面S1の面積(すなわち、溝G(x,y)の幅G1)に依存し、この反射光の位相は、屈折率n1の媒質中を通過する光路長(すなわち、溝G(x,y)の深さG2)に依存する。このため、視点位置において観測される反射光L1には、溝G(x,y)の幅G1として記録されている振幅の情報と、溝G(x,y)の深さG2として記録されている位相の情報とが含まれていることになる。これに対して、溝G(x,y)の外部の面S2に入射した光L2は、溝G(x,y)による変調を受けることがない。そのため、反射光L2には、何ら意味のある位相成分が含まれておらず、再生時に視点位置においてこれら反射光L2が観測されたとしても、いわゆるバックグラウンドのノイズ成分として観測されるだけであり、意味のある像を再生する有効な光としては認識されない。
図9に示す例における射出光L2および図10に示す例における反射光L2が、正に、0次回折光に相当する成分である。溝G(x,y)による変調を受けた光L1が信号成分として観測される光であるのに対し、溝G(x,y)による変調を受けていない光L2(0次回折光)はノイズ成分として観測される光ということになる。このノイズ成分の光は、意味のある情報を含んでいないため、観察者に対しては、単なるバックグラウンドのノイズとして認識されることになるが、ノイズ成分の少ない鮮明な再生像を得る上では、除外するのが好ましい。本発明の目的は、このノイズ成分として観測される光L2(0次回折光)の発生をできるだけ抑制することにある。以下、その具体的な方法を、いくつかの実施形態に基づいて説明する。
(1) 溝型の第1の実施形態
図21は、本発明の溝型の第1の実施形態に係る物理セルC1(x,y)の構造の一例を示す斜視図であり、図22は、当該物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。ここに示す物理セルC1(x,y)は、図8に示す物理セルC(x,y)とほぼ同様の構造を有するが、上面の溝G(x,y)を除く部分に、遮光層F1,F2が形成されている点が異なる。この例では、遮光層F1,F2は、クロムからなる膜であり、その厚みC4は、0.2μm程度である。もちろん、十分な遮光機能を有する層であれば、遮光層F1,F2の材質や厚みは不問である。
遮光層F1,F2の機能は、図22の断面図を見れば明らかである。この物理セルC1(x,y)は、図9に示す物理セルC(x,y)と同様に透過型のセルであり、溝G(x,y)の内部を透過した光L1は、変調を受けた光として観測されることになる。ところが、溝G(x,y)の外部に照射された光L2は、遮光層F1,F2に阻まれて、セル内部への進行が阻止される。遮光層F1,F2としては、光反射膜を用いてもよいし、吸光膜を用いてもよい。上方から遮光層F1,F2に照射された光L2は、前者の場合は上方へと反射してしまうことになり、後者の場合は吸収されてしまうことになる。いずれにしても、光L2がセル内へと進行することはない。もちろん、光反射膜と吸光膜との双方の性質をもった膜によって遮光層F1,F2を形成してもかまわない。実用上は、たとえば、クロム膜によって遮光層F1,F2を形成することができる。
なお、逆に、図の下方から光を照射し、これを上方から観察する場合も同様である。溝G(x,y)の内部を透過した光は上方において観測されるが、溝G(x,y)の外部の光は、遮光層F1,F2によって遮断されることになる。
結局、この図21および図22に示す物理セルC1(x,y)は、透光性材料からなり、特定振幅および特定位相が定義されており、セルの上面には、このセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域(光L1が透過する溝内部の領域)と、それ以外の部分からなる第2の領域(光L2が照射される溝外部の領域)とが定義されており、第1の領域は、このセルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝G(x,y)の底面によって形成されており、第2の領域には、遮光層F1,F2が形成されていることになる。そして、このセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、セル自身が特定の光学的特性を有していることになる。
このように、遮光層F1,F2を設けるようにすれば、ノイズ成分として観測される光L2(0次回折光)を遮光することができ、観測点には、信号成分として観測される光L1のみを選択的に導くことが可能になる。したがって、ノイズ成分の少ない鮮明な再生像を得ることができる。
なお、この図21および図22に示す物理セルC1(x,y)は、遮光層F1,F2を吸光層によって構成するとともに、溝G(x,y)の底面が反射面を形成するようにしておけば、図10に示す原理に基づく反射式のセル(上方から照明再生光を照射し、上方から観測するタイプのセル)としても利用することができる。すなわち、溝G(x,y)の底面によって反射した光L1は、信号成分の光として観測されるが、溝G(x,y)の外部に照射された光L2は、吸光層F1,F2によって吸収されてしまうため、ノイズ成分としての光L2が観測されることを抑制することができる。
(2) 溝型の第2の実施形態
図23は、本発明の溝型の第2の実施形態に係る物理セルC2(x,y)の構造の一例を示す斜視図であり、図24は、当該物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。ここに示す物理セルC2(x,y)は、図8に示す物理セルC(x,y)とほぼ同様の構造を有するが、上面の溝G(x,y)を除く部分に、吸光層F3,F4が形成され、下面に光反射層F5が形成されている点が異なる。この例では、吸光層F3,F4は、クロムからなる膜であり、その厚みC4は、0.2μm程度である。また、光反射層F5は、アルミニウムからなる膜であり、その厚みC5は、0.2μm程度である。もちろん、十分な吸光機能や反射機能を有する層であれば、吸光層F3,F4や光反射層F5の材質や厚みは不問である。
吸光層F3,F4および光反射層F5の機能は、図24の断面図を見れば明らかである。この物理セルC2(x,y)は、反射型のセルであり、溝G(x,y)の内部を透過した光L1は、セル内を進行して光反射層F5で反射して上方へと向かい、変調を受けた光として観測されることになる。ところが、溝G(x,y)の外部に照射された光L2は、吸光層F3,F4に吸収されてしまう。
結局、この図23および図24に示す物理セルC2(x,y)は、透光性材料からなり、特定振幅および特定位相が定義されており、セルの上面には、このセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域(光L1が透過する溝内部の領域)と、それ以外の部分からなる第2の領域(光L2が照射される溝外部の領域)とが定義されており、第1の領域は、このセルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝G(x,y)の底面によって形成されており、第2の領域には、吸光層F3,F4が形成され、セルの下面には光反射層が形成されていることになる。そして、このセルの上面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上面から得られるように、セル自身が特定の光学的特性を有していることになる。
このように、吸光層F3,F4を設けるようにすれば、ノイズ成分として観測される光L2(0次回折光)を遮光することができ、観測点には、信号成分として観測される光L1のみを選択的に導くことが可能になる。したがって、ノイズ成分の少ない鮮明な再生像を得ることができる。
(3) 溝型の第3の実施形態
図25は、本発明の溝型の第3の実施形態に係る物理セルC3(x,y)の構造の一例を示す斜視図であり、図26は、当該物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。ここに示す物理セルC3(x,y)は、図23,図24に示す物理セルC2(x,y)と同様に、上面の溝G(x,y)を除く部分に、吸光層F3,F4が形成されている。ただ、物理セルC2(x,y)では、光反射層F5がセルの下面に形成されていたが、この物理セルC3(x,y)では、光反射層F6が溝G(x,y)の底面に形成されている点が異なる。やはりこの例でも、吸光層F3,F4は、クロムからなる膜であり、その厚みC4は、0.2μm程度である。また、光反射層F6は、アルミニウムからなる膜であり、その厚みC5は、0.2μm程度である。もちろん、十分な吸光機能や反射機能を有する層であれば、吸光層F3,F4や光反射層F6の材質や厚みは不問である。
吸光層F3,F4および光反射層F6の機能は、図26の断面図を見れば明らかである。この物理セルC3(x,y)は、反射型のセルであり、下方から照射された光L1は、セル内を進行して溝G(x,y)の底部の光反射層F6で反射して下方へと向かい、変調を受けた光として下方の観測点において観測されることになる。ところが、下方から、溝G(x,y)の外部に向かって照射された光L2は、セル内を進行して吸光層F3,F4に吸収されてしまう。
結局、この図25および図26に示す物理セルC3(x,y)は、透光性材料からなり、特定振幅および特定位相が定義されており、セルの上面には、このセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域(光L1が到達する溝内部の領域)と、それ以外の部分からなる第2の領域(光L2が到達する溝外部の領域)とが定義されており、第1の領域は、このセルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝G(x,y)の底面によって形成されており、第2の領域には、吸光層F3,F4が形成され、第1の領域には、光反射層F6が形成されていることになる。そして、このセルの下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの下面から得られるように、セル自身が特定の光学的特性を有していることになる。
このように、吸光層F3,F4を設けるようにすれば、ノイズ成分として観測される光L2(0次回折光)を遮光することができ、観測点には、信号成分として観測される光L1のみを選択的に導くことが可能になる。したがって、ノイズ成分の少ない鮮明な再生像を得ることができる。
なお、図25,図26に示す例では、光反射層F6を、溝G(x,y)の底部近傍にのみ形成しているが、光反射層F6の厚みに制限はない。たとえば、図27に示す物理セルC4(x,y)では、溝G(x,y)の内部全体を埋めるのに適した厚みをもった光反射層F7を形成している。また、図28に示す物理セルC5(x,y)は、更に厚い光反射層F8を形成した例である。この光反射層F8は、吸光層F3,F4の上面までを厚みC6で覆うだけの構造を有している。
(4) 溝型の第4の実施形態
図29は、本発明の溝型の第4の実施形態に係る物理セルCC(x,y)の構造の一例を示す斜視図であり、図30は、当該物理セルの断面図である。ここに示す物理セルCC(x,y)は、図21,図22に示す物理セルC1(x,y)と同様に、透過型のセルであり、上面の溝GG(x,y)を除く部分に、吸光層F9が形成されている。ただ、これまでの溝G(x,y)は、セル本体の前後を突き抜けるような構造を有していたのに対し、ここに示す実施形態の溝GG(x,y)は、セル本体の中央部を掘り込んだ構造を有し、溝GG(x,y)は四方をセル本体によって囲まれている。図示の例の場合、溝GG(x,y)は、一辺がG1の正方形の開口部を有している。
このように、図29に示す物理セルCC(x,y)は、図21に示す物理セルC1(x,y)に比べて、若干形状が異なっているものの、その本質的な機能は全く同じである。すなわち、セルの上面には、このセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域(一辺がG1の正方形の開口部を有する溝GG(x,y)の底面)と、それ以外の部分(開口部を取り囲む「ロ」の字状部分)からなる第2の領域とが定義されており、この第2の領域には、遮光層F9が形成されている。また、このセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることになる。すなわち、溝GG(x,y)の内部を透過した光は、特定振幅および特定位相に応じた変調を受け、透過射出光として観測点へと届くことになるが、溝GG(x,y)の外部に照射された光は、遮光層F9によって遮光され、ノイズ成分として観測されることが抑制される。
なお、ここでは透過型の物理セルのみを示したが、図29に示すような溝GG(x,y)を有する反射型の物理セルも実現可能である。
(5) 突起型の実施形態
これまで、セル本体部に溝を掘ることにより物理セルを構成する例を述べたが、本発明を実施する上では、溝の代わりに突起部を設けることも可能である。図31は、本発明の突起型の第1の実施形態に係る物理セルC6(x,y)の構造の一例を示す斜視図であり、図32は、当該物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。ここに示す物理セルC6(x,y)は、図21に示す物理セルC1(x,y)とほぼ同様の構造を有するが、溝G(x,y)の代わりに、突起部B(x,y)が形成されている点が異なる。突起部B(x,y)は、図示のとおり、幅B1、高さB2、奥行きB3をもった直方体状の構造体である。ここで、面積B1×B3は、このセルに定義された特定振幅に応じた値になるように設定され、高さB2は、このセルに定義された特定位相に応じた値になるように設定される。セル上面の突起部B(x,y)以外の部分に、遮光層F1,F2が形成されている点は、図21に示す物理セルC1(x,y)と同様である。図32に示すように、突起部B(x,y)の内部を透過した光L1は、信号成分として観測されることになるが、突起部B(x,y)の外部に照射された光L2は、遮光層F1,F2で遮光されてしまうため、ノイズ成分として観測されることはない。
また、この図31および図32に示す物理セルC6(x,y)も、図10に示す原理に基づく反射式のセル(上方から照明再生光を照射し、上方から観測するタイプのセル)として利用可能である。すなわち、遮光層F1,F2を吸光層によって構成するとともに、突起部B(x,y)の上面が反射面となるようにしておけば、突起部B(x,y)の上面によって反射した光L1は、信号成分の光として観測されるが、突起部B(x,y)の外部に照射された光は、遮光層F1,F2によって吸収されてしまうため、ノイズ成分としての光L2が観測されることを抑制することができる。
図33は、本発明の突起型の第2の実施形態に係る物理セルC7(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。この物理セルC7(x,y)は、図24に示す物理セルC2(x,y)とほぼ同様の構造を有するが、溝G(x,y)の代わりに、突起部B(x,y)が形成されている点が異なる。また、図34は、本発明の突起型の第3の実施形態に係る物理セルC8(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。この物理セルC8(x,y)は、図26に示す物理セルC3(x,y)とほぼ同様の構造を有するが、溝G(x,y)の代わりに、突起部B(x,y)が形成されている点が異なる。いずれも、溝G(x,y)と突起部B(x,y)との相違があるだけで、基本的な機能は同様である。
また、ここでは図示は省略するが、図29に示す物理セルCC(x,y)についても、溝GG(x,y)の代わりに、突起部を設ける突起型の実施形態が可能である。
<<< §7.本発明に係る光学素子の製造方法 >>>
最後に、本発明に係る光学素子の製造方法の一例を述べておく。既に、§6で述べたとおり、本発明に係る光学素子は、多数の三次元セルを配列することにより構成される。しかも、各セルには、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、この特定振幅および特定位相に応じた溝部あるいは突起部が形成され、この溝部あるいは突起部以外の上面には、遮光層、吸光層、光反射層などを形成する必要がある。
このような特徴をもった光学素子を工業的に量産するには、半導体の製造技術を利用するのが好ましい。半導体の製造技術は、微細な加工に適しており、しかも工業的な量産にも適している。ここでは、本発明に係る光学素子の製造方法の一例を、図35の断面図に示すモデルについて説明することにする。この図35に示すモデルは、4種類の三次元セルを一次元配列してなる単純な光学素子を示すものである。もちろん、実用上は、このような単純な光学素子は、本来の光学素子としての機能を果たすことはできないが、ここでは、説明の便宜上、このような単純なモデルに基づいて、その製造プロセスの一例を示すことにする。
図35に示す光学素子は、図21に示す透過型の物理セルC1(x,y)を4つ並べたものであり、4つのセルCL1〜CL4には、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されている。すなわち、特定振幅は、溝の開口部の面積に対応し、特定位相は、溝の深さに対応する。また、溝の周囲には、それぞれ遮光層F1,F2が形成されている。セルCL1には、幅a1、深さ0の溝が形成されている(実質的には、溝の形成はない)。また、セルCL2には、幅a2、深さdの溝が形成されており、セルCL3には、幅a3、深さ2dの溝が形成されており、セルCL4には、幅a4、深さ3dの溝が形成されている。ここでは、セル本体部は石英ガラス基板から構成されており、遮光層F1,F2はクロム層から構成されているものとする。
さて、このような光学素子を製造するプロセスの一例を、図36および図37の断面図に基づいて説明しよう。まず、図36(a) に示すように、セル本体部となるべき石英ガラス基板100を用意し、その上面全面に、クロム層200を形成する。クロム層200の形成は、スパッタ法や蒸着法などの一般的な方法を用いればよい。そして、このクロム層200の上面にレジスト層300を形成し、所定の露光マスクを用いて、深さ2dおよび3dの溝を掘る必要があるセルCL3,CL4についての溝形成領域のみを露光する。このレジスト層300を現像し、露光部を除去した後、残ったレジスト層300をマスクとして用い、クロム層200に対するエッチングを行う。図36(a) は、このようなエッチングが完了したときの状態を示している。レジスト層300およびクロム層200には、開口部H3,H4が形成されることになる。ここで、開口部H3は、セルCL3に形成すべき溝の位置に形成され、開口部H4は、セルCL4に形成すべき溝の位置に形成されることになる。なお、クロム層200に対するエッチングは、塩素系ガスによるドライエッチング法や、過塩素酸と硝酸第二セリウムアンモンによるウエットエッチング法など、一般的な方法を用いればよい。
次に、この図36(a) に示す状態において、石英ガラス基板100に対するエッチングを行い、開口部H3,H4の部分に深さ2dの溝を形成する。図36(b) は、このようなエッチングが完了したときの状態を示している。開口部H3,H4の部分に、いずれも深さ2dの溝が形成されている。このようなエッチングは、たとえば、CFなどの弗素系ガスを用いたドライエッチング工程で行うことができる。こうして、溝が形成できたら、ここで、一旦、レジスト層300を剥離除去する。図36(c) は、レジスト層300を剥離除去した後の状態を示している。
続いて、再び、基板の上面全面に、レジスト層400を形成する。図37(a) は、レジスト層400の形成直後の状態を示している。図示のとおり、これまでの工程で掘られた溝の内部にもレジスト層400が充填された状態となる。次に、このレジスト層400に対して所定の露光マスクを用いて、セルCL2,CL4についての溝形成領域のみを露光する。このレジスト層400を現像し、露光部を除去すると、図37(b) に示す状態になり、開口部H2,H4が形成されることになる。ここで、開口部H2は、セルCL2に形成すべき溝の位置に形成され、開口部H4は、セルCL4に形成すべき溝の位置に形成される。この後、クロム層200に対するエッチングを再び行えば、開口部H2内のクロム層200を除去することができる。そこで、開口部H2,H4の内部領域について、再び、石英ガラス基板100に対するエッチングを行い、開口部H2,H4の部分を深さdだけ掘り下げるようにする。図37(c) は、このようなエッチングが完了したときの状態を示している。開口部H2の部分には深さdの溝が形成され,開口部H4の部分は、もともとあった深さ2dの溝が更に深さdだけ掘り下げられた結果、深さ3dの溝が形成される。
最後に、レジスト層400のうちのセルCL1に形成すべき溝の位置を露光除去し、開口部H1を形成し、この開口部H1に相当するクロム層200の部分をエッチングで除去する。そして、最終的に、残っていたレジスト層400をすべて剥離除去すれば、図37(d) に示す構造体を得ることができる。この構造体は、図35に示す光学素子に他ならない。
このように、上述の製造プロセスによれば、クロム層200を、石英ガラス基板100に対するエッチング工程時のマスクとして利用することができ、しかも最終的に残ったクロム層200は、セル上面に形成する遮光層として利用することができるようになる。なお、レジスト層に対する露光工程は、かなり微細なパターンの露光工程になるので、実用上は、電子線描画装置を利用して行うようにするのが好ましい。また、上述の例では、4種類の深さ(0,d,2d,3d)をもったセルを形成する工程を示したが、より多種類の深さをもったセルを形成する場合は、必要に応じて、石英ガラス基板100に対するエッチング工程を更に繰り返し実施するようにすればよい。
本発明に係る光学素子では、個々の三次元セルが、振幅と位相の双方を記録する機能をもっているため、再生時には、個々セルに記録されている振幅と位相の双方を再現することができる。このため、本発明に係る光学素子は、立体像を再生するためのホログラムとしての用途の他、光学素子としての様々な用途に利用可能である。たとえば、この光学素子は、ビームシェーパー、光分岐素子、露光機用光学素子、加工用マスク、指向性拡散板、指向性反射板、画像投影素子、画像合成素子(眼鏡、うちわ、カメラ用フィルタなど)といった用途にも利用することが可能である。
参照光を利用して、光学的に干渉縞として物体像を記録する一般的なホログラフィーの手法を示す斜視図である。 点光源Oと記録面20とが定義されている場合に、記録面20上の代表点P(x,y)に到達した物体光の振幅と位相を示す斜視図である。 物体像10上の各点光源から発せられる物体光が、記録面20上の代表点P(x,y)に到達した場合の代表点P(x,y)の位置における物体光の複素振幅を示す斜視図である。 複素座標平面上の座標点Qで示される複素振幅に基づいて、振幅A(x,y)と位相θ(x,y)が求まることを示す図である。 物体像10を記録するために定義された三次元仮想セル集合30の一例を示す斜視図である。 本発明に用いる三次元セルC(x,y)の振幅変調および位相変調の機能を示す図である。 本発明に係る光学素子の構成要素となるべき、透過率および屈折率の異なる16通りの物理セルの一例を示す図である。 本発明に利用するのに最適と考えられる物理セルC(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図8に示す物理セルC(x,y)を透過型セルとして用いる場合において、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を説明する正面図である。 図8に示す物理セルC(x,y)を反射型セルとして用いる場合において、振幅の情報が溝G(x,y)の幅G1として記録され、位相の情報が溝G(x,y)の深さG2として記録される理由を説明する正面図である。 図8に示す物理セルC(x,y)の構造において、7通りの溝幅と、4通りの深さとを定め、合計28通りの物理セルを用意した例を示す斜視図である。 透過型セルC(x,y)について、各部の屈折率と溝の深さとの関係を示す図である。 反射型セルC(x,y)について、各部の屈折率と溝の深さとの関係を示す図である。 本発明の基礎になる光学素子に対して法線方向から再生用照明光を当て、ホログラムとして記録されている物体像を法線方向から観察する基本的な形態を示す側面図である。 本発明の基礎になる光学素子に対して斜め方向から再生用照明光を当て、ホログラムとして記録されている物体像を法線方向から観察する形態を示す側面図である。 本発明の基礎になる光学素子に対して法線方向から再生用照明光を当て、ホログラムとして記録されている物体像を斜め方向から観察する形態を示す側面図である。 図15に示す再生環境に対応した光学素子を作成するために、特定位相の修正処理を行う原理を示す側面図である。 図16に示す再生環境に対応した光学素子を作成するために、特定位相の修正処理を行う原理を示す側面図である。 白色の再生用照明光を用いた再生環境に対応した光学素子を作成するための手法を示す斜視図である 三次元セルを一次元マトリックス状に配列して三次元仮想セル集合30を構成した例を示す斜視図である。 本発明の溝型の第1の実施形態に係る物理セルC1(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図21に示す物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明の溝型の第2の実施形態に係る物理セルC2(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図23に示す物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明の溝型の第3の実施形態に係る物理セルC3(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図25に示す物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 図26に示す物理セルの変形例を示す断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 図26に示す物理セルの更に別な変形例を示す断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明の溝型の第4の実施形態に係る物理セルCC(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図29に示す物理セルの断面図である。 本発明の突起型の第1の実施形態に係る物理セルC6(x,y)の構造の一例を示す斜視図である。 図31に示す物理セルの断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明の突起型の第2の実施形態に係る物理セルC7(x,y)の構造の一例を示す断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明の突起型の第3の実施形態に係る物理セルC8(x,y)の構造の一例を示す断面図(セル本体部分のハッチングは省略)である。 本発明に係る光学素子の単純なモデルを示す断面図である。 図35に示すモデルの製造プロセスの前半段階を示す断面図である。 図35に示すモデルの製造プロセスの後半段階を示す断面図である。
符号の説明
10…物体像(物体)
20…記録面(記録媒体)
30…三次元仮想セル集合
40…光学素子
100…石英ガラス基板
200…クロム層
300…レジスト層
400…レジスト層
A,Ak,A(x,y)…振幅
Ain…入射光の振幅
Aout …射出光の振幅
a1〜a4…開口部の寸法
B(x,y)…セルに形成された突起部
C(x,y)…仮想セル/物理セル
C1(x,y)〜C8(x,y),CC(x,y)…本発明に係る物理セル
C(1),C(2),C(3)…細長いセル
B1,B2,B3…各部の寸法
C1,C2,C3,C4,C5,C6…各部の寸法
CL1〜CL4…個々の物理セル
Ca…本体層
Cb…保護層
Cα…本体層
Cβ…保護層
d(x,y)…溝Gの深さ
dmax …溝Gの最大深さ
d2,d3,d4…光路差
E…視点
F1,F2…遮光層
F3,F4…吸光層
F5〜F8…反射層
F9…遮光層
G,G(x,y),GG(x,y)…セルに形成された溝
G1,G2,G3…溝の寸法
g1,g2,g3…セルのグループ
H1〜H4…開口部
Ixy…複素振幅の虚数部
i…虚数単位
Lin…入射光
Lout …射出光
Lt…透過型光学素子についての再生用照明光
Lr…反射型光学素子についての再生用照明光
L1〜L4,LL1〜LL4…光
m1,m2,m3…点光源列
n,n1〜n4…屈折率
O,O(1),O(k),O(K)…点光源
O(m1,1),O(m1,j)…点光源列m1上の点光源
P(x,y),P(x′,y′)…代表点
P1〜P4…光学素子上の点
Q…座標点
R…参照光
Rxy…複素振幅の実数部
r,r1,rk,rK…点光源からの距離
S1…溝G(x,y)の内部の面
S2…溝G(x,y)の外部の面
V1〜V4…位相θに応じた行
W1〜W7…振幅Aに応じた列
θ,θk,θ(x,y)…位相
θin…入射光の位相
θout …射出光の位相
λ…光の波長

Claims (11)

  1. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、遮光層が形成されており、
    個々のセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  2. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルには、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝が形成されており、この溝の底面は反射面となっており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、
    個々のセルの上方から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上方に得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  3. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、個々のセルの下面には、光反射層が形成されており、
    個々のセルの上面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  4. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた深さをもった溝が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、個々のセルの上面の第1の領域には、光反射層が形成されており、
    個々のセルの下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの下面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  5. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、遮光層が形成されており、
    個々のセルの上面もしくは下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた透過射出光がセルの下面もしくは上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  6. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルには、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部が形成されており、この突起部の上面は反射面となっており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、
    個々のセルの上方から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上方に得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  7. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、個々のセルの下面には、光反射層が形成されており、
    個々のセルの上面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの上面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  8. 複数の三次元セルの集合からなる光学素子であって、
    個々のセルは、透光性材料からなり、それぞれ特定振幅および特定位相が定義されており、
    個々のセルを上方から観察すると、個々のセルについて定義された特定振幅に応じた面積をもった部分からなる第1の領域と、それ以外の部分からなる第2の領域とが定義されており、個々のセルの上面の第1の領域には、当該セルについて定義された特定位相に応じた高さをもった突起部が形成されており、個々のセルの上面の第2の領域には、吸光層が形成されており、個々のセルの上面の第1の領域には、光反射層が形成されており、
    個々のセルの下面から所定の入射光を与えると、当該セルに定義された特定振幅および特定位相に応じて前記入射光の振幅および位相を変化させた反射射出光がセルの下面から得られるように、個々のセルがそれぞれ特定の光学的特性を有していることを特徴とする光学素子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子において、
    個々のセルが、第1の直方体形状を有する基体の上面に、前記第1の直方体形状よりも小さい第2の直方体形状を有する溝もしくは突起部を形成することにより構成されていることを特徴とする光学素子。
  10. 請求項9に記載の光学素子において、
    個々のセルが、それぞれ上面を上方に向けた状態で、二次元マトリックス状に配列されていることを特徴とする光学素子。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の光学素子において、
    所定の視点位置から観測したときに物体像が再生されるように、当該物体像からの物体光の複素振幅分布が記録されており、ホログラムとして利用することができることを特徴とする光学素子。
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