JP4502539B2 - 車両のステアリングロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のステアリングロック装置に関し、特に、ステアリングシャフトを囲繞するステアリングコラムに固定されるハウジングと、ステアリングシャフトに係合する前方位置およびその係合を解除する後方位置間での直線的な往復移動を可能として前記ハウジングの前端部に支承されるロックピンと、該ロックピンの往復移動方向と同一方向での往復摺動を可能として前記ハウジングに支承されて前記ロックピンに連結されるスライダと、前記ハウジングに固定支持される電動モータと、回転運動を直線運動に変換することを可能として前記電動モータおよび前記スライダ間に介装される動力変換手段と、前記ハウジングに固定支持され、前記電動モータの作動を制御すべくこれに電気的に接続される電子制御ユニットとを備え、キーなしでロックおよびロック解除を切換え可能としたスマートエントリーシステムに好適に用いられるステアリングロック装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるステアリングロック装置では、電動モータおよびスライダ間に設けられる動力変換手段が、特公昭63−59903号公報等で開示されるように、たとえば電動モータの出力を減速するための遊星ギヤ機構と、該遊星ギヤ機構の最終ギヤおよびスライダー間に設けられるカム機構とで構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来のものでは、動力変換手段を構成するのに必要な部品点数が比較的多く、しかも動力変換手段がコンパクトとは言い難く、ハウジングひいてはステアリングロック装置のコンパクト化の障害となっている。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、動力変換手段を少ない備品点数で構成し得るようにして動力変換手段およびハウジングのコンパクト化を可能とした車両のステアリングロック装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ステアリングシャフトを囲繞するステアリングコラムに固定されるハウジングと、ステアリングシャフトに係合する前方位置およびその係合を解除する後方位置間での直線的な往復移動を可能として前記ハウジングの前端部に支承されるロックピンと、該ロックピンの往復移動方向と同一方向での往復摺動を可能として前記ハウジングに支承されて前記ロックピンに連結されるスライダと、前記ハウジングに固定支持される電動モータと、回転運動を直線運動に変換することを可能として前記電動モータおよび前記スライダ間に介装される動力変換手段と、前記ハウジングに固定支持され、前記電動モータの作動を制御すべくこれに電気的に接続される電子制御ユニットとを備える車両のステアリングロック装置において、前記電動モータは、前記ロックピンの往復移動方向と直角な方向に延びる出力軸を備えて前記ロックピンの後方に配置され、前記電子制御ユニットは、前記電動モータと前記ハウジングの前端部との間に配置され、前記動力変換手段は、前記電動モータの前記出力軸に固定されるウォームギヤと、前記ロックピンの往復移動方向に延びる軸線を有して該ウォームギヤに噛合するウォームホイールと、このウォームホイールの前方に位置して該ウォームホイールとともに回転するねじ軸と、軸線まわりの回転を規制されるとともに軸線方向の移動を許容されて前記ねじ軸に螺合するナットとで構成され、前記ナットに前記スライダが結合されることを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、ロックピンの往復移動方向と直角な方向に延びる電動モータの出力軸に固定されるウォームギヤ、およびロックピンの往復移動方向に延びる軸線を有するウォームホイールの噛合により電動モータの出力を減速し、このウォームホイールの前方に位置して該ウォームホイールとともに回転するねじ軸にナットを螺合させることで電動モータの回転運動を直線運動に変換するようにし、動力変換手段を4つの部品で構成することにより部品点数の削減を図るとともに、動力変換手段およびハウジングのコンパクト化を図ることが可能となり、ステアリングロック装置を車両に搭載する際の配置上の自由度を増大することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図6は本発明の一実施例を示すものであり、図1はステアリングロック装置の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3はステアリングロック装置の分解斜視図、図4は内挿ユニットをハウジングに挿入する前の状態での図3に対応した斜視図、図5は図3とは見る方向を異ならせて内挿ユニットの一部を示す分解斜視図、図 6は図1の6−6線拡大断面図である。
【0009】
先ず図1〜図3において、このステアリングロック装置は、たとえばスマートエントリーシステムにおいて、携帯送・受信器を携帯した車両ユーザが車両に乗り込むのに応じてステアリングシャフト11の回動を可能とすべくロック状態を解除し、前記携帯送・受信器を携帯した車両ユーザが車両から退出するのに応じてステアリングシャフト11の回動を阻止すべくロック状態となるように作動するものである。
【0010】
このステアリングロック装置は、前記ステアリングシャフト11を囲繞する円筒状のステアリングコラム12に固定されるハウジング13と、ステアリングシャフト11に係合する前方位置およびその係合を解除する後方位置間での直線的な往復移動を可能としてハウジング13の前端部に支承されるロックピン16と、該ロックピン16の往復移動方向と同一方向での往復摺動を可能としてハウジング13に支承されてロックピン16に連結されるスライダ17と、ロックピン16の後方でハウジング13に固定支持される電動モータ18と、回転運動を直線運動に変換することを可能として電動モータ18およびスライダ17間に介装される動力変換手段19と、スライダ17のロック側への作動開始タイミングを定めるソレノイド20と、ハウジング13に固定支持され、電動モータ18およびソレノイド20の作動を制御すべくこれらに電気的に接続される電子制御ユニット21とを備える。
【0011】
ハウジング13は後端側、即ちステアリングコラム12とは反対側を開放した有底筒状のハウジング主体14と、該ハウジング主体14の開放端を閉鎖するようにしてハウジング主体14に結合されるカバー板15とから成り、ハウジング主体14がステアリングコラム12に固定される。
【0012】
前端側、即ちステアリングコラム12側でハウジング主体14の端壁には、ステアリングコラム12の側壁に設けられた嵌合孔22に嵌合する突部14aが一体に突設されており、該突部14aを含む部分で前記端壁には、ロックピン16を摺動可能に嵌合させる摺動孔23が設けられ、ステアリングシャフト11の外周には前記ロックピン16を係合させ得る係合凹部24が設けられる。
【0013】
図4を併せて参照して、ハウジング13には内挿ユニット25が収容されており、この内挿ユニット25は、ハウジング主体14およびカバー板15間に挟持されて前記ハウジング13内に収容される挿入体26に、ロックピン16、スライダ17、電動モータ18、ソレノイド20、動力変換手段19、電子制御ユニット21およびバスバー組立体27が組付けられることで構成される。
【0014】
挿入体26は、第1および第2ケース部材28,29が結合されて成るケース30と、第2ケース部材29とは反対側で第1ケース部材28に一体に形成されたほぼ平坦な支持壁部31と、横断面四角形の筒状に形成されて前記支持壁部31に一体にかつ略直角に連設される収納壁部32とを有するものであり、挿入体26をハウジング13に収容したときに、前記支持壁部31とハウジング主体14との間には、該ハウジング主体14に設けられた摺動孔23に連なる作動孔33が前記ロックピン16およびスライダ17を摺動可能に嵌合せしめるようにして形成され、前記収納壁部32は支持壁部31を前記作動孔33との間に介在させる位置でハウジング13内に配置される。
【0015】
動力変換手段19は、ロックピン16の往復移動方向と直角な方向に延びる電動モータ18の出力軸18aに固定されるウォームギヤ36と、ロックピン16の往復移動方向に延びる軸線を有して該ウォームギヤ36に噛合するウォームホイール37と、このウォームホイール37の前方に位置して該ウォームホイール37とともに回転するねじ軸38と、軸線まわりの回転を規制されるとともに軸線方向の移動を許容されて前記ねじ軸38に螺合するナット39とで構成されるものであり、このような動力変換手段19および電動モータ18は、前記ケース30内に収納される。
【0016】
電動モータ18は、第1および第2ケース部材28,29の少なくとも一方に固定支持されてケース30内に収納されるものであり、この実施例では第1および第2ケース部材28,29間に挟持されることで電動モータ18が固定支持される。また電動モータ18の出力軸18aに一端が同軸に連なるウォームギヤ36の他端は第1および第2ケース部材28,29間に挟まれることで回転自在に支承される。
【0017】
ウォームギヤ36に噛合するウォームホイール37と、たとえば二条ねじが外周に刻設されるねじ軸38とは一体に形成されており、第1および第2ケース部材28,29は、一体であるウォームホイール37およびねじ軸38を軸方向両側から挟むようにして相互に結合される。
【0018】
図5を併せて参照して、第1ケース部材28には、横断面形状を直角四辺形とした有底筒状のガイド筒40が、前記ナット39をその軸線まわりの回転を阻止しつつ軸方向移動可能に収容するようにして一体に設けられており、該ガイド筒40の端壁および第2ケース部材29で両端が支承される支軸41で、前記ウォームホイール37およびねじ軸38が回転可能に支承される。
【0019】
前記ガイド筒40は、第1ケース部材28と一体である支持壁部31と、ハウジング主体14との間に形成された前記作動孔33内に配置されるものであり、該ガイド筒40の側壁には、前記ナット39の両側に配置される一対の連結孔42,42が、該ナット39の軸方向移動方向に沿って延びるようにして設けられる。一方、ナット39には、前記両連結孔42,42にそれぞれ臨む一対の連結部43,43が設けられる。
【0020】
スライダ17は、前記支持壁部31とは反対側を開放した箱形に形成されて前記作動孔33に収納されており、このスライダ17のステアリングコラム12側の端部には、ロックピン16に一体に設けられた略L字形のフック部16aを係合させる係止壁44が設けられる。而してスライダ17およびロックピン16がハウジング13外にあるときには、フック部16aの係止壁44への係合および係合解除は自在に操作し得るのであるが、フック部16aを係止壁44に係合させた状態のスライダ17およびロックピン16がハウジング13内に収納されると、図1で示すように、フック部16aがハウジング主体14の内面に摺接した状態となるので、フック部16aおよび係止壁44の係合状態を解除することは不可能である。
【0021】
またスライダ17には、該スライダ17およびロックピン16間に介装されるばね45が収容されるものであり、このばね45は、スライダ17の係止壁44にロックピン16のフック部16aを係合させる方向にロックピン16を付勢するばね力を発揮する。而してスライダ17がステアリングシャフト11側に近接移動したときには、前記ばね45のばね力によりロックピン16がステアリングシャフト11に係合する方向に移動し、またスライダ17がステアリングシャフト11から遠ざかる側に移動したときには、係止壁44でフック部16aが押されることによりロックピン16がステアリングシャフト11から遠ざかる方向に移動することになる。而してステアリングシャフト11の係合凹部24が、摺動孔23からずれた位置にあるときに、スライダ14がステアリングシャフト11側に近接移動したときには、ロックピン16が前記ばね45のばね力によってステアリングシャフト11の外周に弾発的に接触しており、係合凹部24を摺動孔23に対応させる位置にステアリングシャフト11が回動するのに応じて、ロックピン16が係合凹部24に係合することになる。
【0022】
前記ロックピン16とは反対側で前記スライダ17には、前記ガイド筒40を両側から挟むように配置される一対の連結腕部17a,17aが一体に設けられており、これらの連結腕部17a,17aの先端部内側には、前記ガイド筒40の連結孔42,42に臨むように配置されているナット39の連結部43,43に係脱可能に結合する略U字形の係合部46,46が設けられる。
【0023】
図6をさらに併せて参照して、前記収納壁部32には、ソレノイド20が収納されるものであり、該ソレノイド20に設けられたステー47がねじ部材48で収納壁部32に締結されることで、ソレノイド20の収納壁部32内の位置が固定される。
【0024】
ソレノイド20の中心部に対応する位置で支持壁部31には貫通孔49が設けられており、ソレノイド20が備えるロッド50が、前記貫通孔49に挿通される。一方、スライダ17には、ロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24から離脱させたロック解除位置にあるときに前記貫通孔49に対応する係合凹部51が設けられており、非通電状態に在るソレノイド20は貫通孔49から突出させたロッド50の先端を前記係合凹部51に係合させており、この状態では、ロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24に係合させる方向にスライダ17が移動することは阻止される。而してソレノイド20を通電状態とすると、ロッド50が前記係合凹部51から離脱する方向に作動し、これによりロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24に係合させる方向にスライダ17が移動することが可能となる。
【0025】
前記バスバー組立体27は、収納壁部32を囲むようにして略L字の断面形状を有するように形成される合成樹脂製の支持板55に複数の金属製のバスバー56…の大部分が埋設されて成るものであり、支持板55は前記支持壁部31に弾発係合される。而して支持板55を支持壁部31に弾発係合した状態で、前記各バスバー56…のうち必要なバスバー56…は電動モータ18に電気的に接続される。
【0026】
前記ソレノイド20のロッド50には、収納壁部32に設けられたスリット54を貫通して前記バスバー組立体27の支持板55側に突出する作動腕52の基端が固定されており、この作動腕52の先端を接触可能とした検出子53aを有するマイクロスイッチ53が、前記支持板55に固定される。而してマイクロスイッチ53は、ソレノイド20を通電状態としてロッド50が係合凹部51から離脱する方向に充分に作動したとき、すなわちロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24に係合させる方向にスライダ17が移動することが可能となったときに作動腕52を検出子53aで検出する位置で前記支持板55に固定される。
【0027】
前記バスバー組立体27の支持板55および収納壁部32間で支持壁部31には、スライダ17の作動方向と平行に延びるスリット58が設けられており、スライダ17に一体に設けられた作動腕59が該スリット58に挿通される。一方、バスバー組立体27の支持板55には、作動腕59の先端を接触可能とした検出子60a,61aを有するマイクロスイッチ60,61が固定されており、一方のマイクロスイッチ60は、ロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24に係合させる位置にスライダ17があるときに作動腕59を検出子60aで検出する位置で前記支持板55に固定され、他方のマイクロスイッチ61は、ロックピン16をステアリングシャフト11の係合凹部24から離脱させた位置にスライダ17があるときに作動腕59を検出子61aで検出する位置で前記支持板55に固定される。すなわち一対のマイクロスイッチ60,61で、スライダ17およびロックピン16が、ロック位置およびロック解除位置のいずれにあるかを判断することができる。
【0028】
電子制御ユニット21は、合成樹脂から成る基板62に図示しないマイクロチップ等の電気部品が装着されるとともに各電気部品間を結ぶプリント配線が施されて成るものであり、バスバー組立体27の支持板55および収納壁部32を覆うように配置される基板62に、前記支持板55が備える結合ボス55a、ならびに前記収納壁部32が備える結合ボス32a…が弾発的に嵌合されることにより、バスバー組立体27のバスバー56…のいくつかに接続されるようにして、且つハウジング13に収納したときに該電子制御ユニット21が電動モータ18とハウジング13の前端部との間に配置されるようにして、電子制御ユニット21が挿入体26に組付られる。
【0029】
しかも電子制御ユニット21の基板には、コネクタ63が一体に設けられており、ハウジング13におけるハウジング主体14の開口端側端部には、内挿ユニット25をハウジング13に収納したときに前記コネクタ63を臨ませる開口部64が設けられている。
【0030】
次にこの実施例の作用について説明すると、回転運動を直線運動に変換することを可能として電動モータ18およびスライダ17間に介装される動力変換手段19は、ロックピン16の往復移動方向と直角な方向に延びる電動モータ18の出力軸18aに固定されるウォームギヤ36と、ロックピン16の往復移動方向に延びる軸線を有して該ウォームギヤ36に噛合するウォームホイール37と、このウォームホイール37の前方に位置して該ウォームホイール37とともに回転するねじ軸38と、軸線まわりの回転を規制されるとともに軸線方向の移動を許容されてねじ軸38に螺合するナット39とで構成されており、ナット39にスライダ17が結合されている。
【0031】
このような動力変換手段19では、ウォームギヤ36およびウォームホイール37の噛合により電動モータ18の出力を減速し、ウォームホイール37とともに回転するねじ軸38にナット39を螺合させることで電動モータ18の回転運動をスライダ17の直線運動に変換するようにしており、動力変換手段19を、4つの部品すなわちウォームギヤ36、ウォームホイール37、ねじ軸38およびナット39で構成することにより、部品点数の削減を図ることが可能となるとともに、動力変換手段19およびハウジング13のコンパクト化を図ることが可能となり、ステアリングロック装置を車両に搭載する際の配置上の自由度を増大することができる。
【0032】
またねじ軸38およびウォームホイール37を一体に形成する場合には、動力変換手段19を構成する部品の点数をさらに低減することができるとともに、ねじ軸38およびウォームホイール37の連結剛性を高めることができる。
【0033】
ところで、ハウジング13内には、相互に結合される第1および第2ケース部材28,29から成るケース30が収納されるものであり、電動モータ18および前記動力変換手段19は、第1および第2ケース部材28,29の少なくとも一方、この実施例では両方で電動モータ18を固定支持されるとともに、動力変換手段19の構成部品であるウォームギヤ36、ウォームホイール37、ねじ軸38およびナット39が第1および第2ケース部材28,29の少なくとも一方で作動可能に支持されるようにしてケース30内に収納され、第1ケース部材28には、スライダ17の動力変換手段19への連結を可能とした一対の連結孔42,42が設けられている。
【0034】
したがって電動モータ18および動力変換手段19を予め収納したケース30をハウジング13内に組み付けることで、動力変換手段19およびスライダ17を連結しつつ電動モータ18および動力変換手段19のハウジング13への組付けが完了することになり、組立性を向上することができる。しかも電動モータ18および動力変換手段19の作動音は、ケース30およびハウジング13で二重に遮蔽されるので、優れた消音性を得ることができる。
【0035】
また動力変換手段19を収納するケース30を構成する第1および第2ケース部材28,29は、ウォームホイール37およびねじ軸38を軸方向両側から挟むものであり、第1ケース部材28には、ナット39をその軸線まわりの回転を阻止しつつ軸方向移動可能に収容する有底筒状のガイド筒40が一体に設けられ、該ガイド筒40の端壁および第2ケース部材29で両端が支承される支軸41で前記ウォームホイール37およびねじ軸38が回転可能に支承されるので、動力変換手段19の構成部品の支持構造を簡略化することができる。
【0036】
しかもナット39に設けられた一対の連結部43,43を臨ませる一対の連結孔42,42がガイド筒40に設けられており、両連結部43,43にスライダ17が係脱可能に結合されるので、ナット39およびスライダ17を容易に連結することができる。
【0037】
ところで、ハウジング13は、ステアリングコラム12とは反対側を開放した形状を有してステアリングコラム12に固定されるハウジング主体14と、該ハウジング主体14の開放端を閉鎖してハウジング主体14に結合されるカバー板15とから成るものであり、開放状態にあるハウジング主体14には、内挿ユニット25が挿入され、この挿入ユニット25は、ハウジング主体14にカバー板15を結合したときにハウジング13に収容されることになる。
【0038】
而して前記内挿ユニット25は、ハウジング主体14およびカバー板15間に挟持されてハウジング13内に収容される挿入体26に、ロックピン16、スライダ17、電動モータ18、ソレノイド20、動力変換手段19、電子制御ユニット21およびバスバー組立体27が組付けられることで構成されるものであり、ロックピン16、スライダ17、電動モータ18、ソレノイド20、動力変換手段19、電子制御ユニット21およびバスバー組立体27をハウジング13外で挿入体26に組み付ければよいので、ロックピン16、スライダ17、電動モータ18、ソレノイド20、動力変換手段19、電子制御ユニット21およびバスバー組立体27をハウジング13に組み付ける際の組立性を向上することができる。
【0039】
しかも電子制御ユニット21および電動モータ18間を電気的に接続するバスバー組立体27も内挿ユニット25の一部を構成しており、電子制御ユニット21をハウジング13内に収容するようにしてステアリングロック装置をコンパクトに構成するようにした上で、電動モータ18および電子制御ユニット21の電気的接続作業をハウジング13外で容易に行なうことができるようにして組立性を一層向上することができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、ロックピンの往復移動方向と直角な方向に延びる電動モータの出力軸に固定されるウォームギヤ、およびロックピンの往復移動方向に延びる軸線を有するウォームホイールの噛合により電動モータの出力を減速し、このウォームホイールの前方に位置して該ウォームホイールとともに回転するねじ軸にナットを螺合させることで電動モータの回転運動を直線運動に変換するようにし、動力変換手段を4つの部品で構成することにより部品点数の削減を図るとともに、動力変換手段およびハウジングのコンパクト化を図ることが可能となり、ステアリングロック装置を車両に搭載する際の配置上の自由度を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステアリングロック装置の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図である。
【図2】 図1の2−2線断面図である。
【図3】 ステアリングロック装置の分解斜視図である。
【図4】 内挿ユニットをハウジングに挿入する前の状態での図3に対応した斜視図である。
【図5】 図3とは見る方向を異ならせて内挿ユニットの一部を示す分解斜視図である。
【図6】 図1の6−6線拡大断面図である。
【符号の説明】
11・・・ステアリングシャフト
12・・・ステアリングコラム
13・・・ハウジング
16・・・ロックピン
17・・・スライダ
18・・・電動モータ
18a・・・出力軸
19・・・動力変換手段
21・・・電子制御ユニット
36・・・ウォームギヤ
37・・・ウォームホイール
38・・・ねじ軸
39・・・ナット
Claims (1)
- ステアリングシャフト(11)を囲繞するステアリングコラム(12)に固定されるハウジング(13)と、ステアリングシャフト(11)に係合する前方位置およびその係合を解除する後方位置間での直線的な往復移動を可能として前記ハウジング(13)の前端部に支承されるロックピン(16)と、該ロックピン(16)の往復移動方向と同一方向での往復摺動を可能として前記ハウジング(13)に支承されて前記ロックピン(16)に連結されるスライダ(17)と、前記ハウジング(13)に固定支持される電動モータ(18)と、回転運動を直線運動に変換することを可能として前記電動モータ(18)および前記スライダ(17)間に介装される動力変換手段(19)と、前記ハウジング(13)に固定支持され、前記電動モータ(18)の作動を制御すべくこれに電気的に接続される電子制御ユニット(21)とを備える車両のステアリングロック装置において、
前記電動モータ(18)は、前記ロックピン(16)の往復移動方向と直角な方向に延びる出力軸(18a)を備えて前記ロックピン(16)の後方に配置され、
前記電子制御ユニット(21)は、前記電動モータ(18)と前記ハウジング(13)の前端部との間に配置され、
前記動力変換手段(19)は、前記電動モータ(18)の前記出力軸(18a)に固定されるウォームギヤ(36)と、前記ロックピン(16)の往復移動方向に延びる軸線を有して該ウォームギヤ(36)に噛合するウォームホイール(37)と、このウォームホイール(37)の前方に位置して該ウォームホイール(37)とともに回転するねじ軸(38)と、軸線まわりの回転を規制されるとともに軸線方向の移動を許容されて前記ねじ軸(38)に螺合するナット(39)とで構成され、前記ナット(39)に前記スライダ(17)が結合されることを特徴とする車両のステアリングロック装置。
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