JP4501371B2 - イオン伝導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基成分と酸成分の混合物からなるイオン伝導体に関するものであり、詳しくは、燃料電池、二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサなどに利用することができるイオン伝導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
イミダゾリウム塩は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられることがよく知られている。塩の多くは固体であるが、例えば、特開昭57−190018号公報(特許文献1)には、イミダゾール化合物の2−エチルヘキサン酸塩や酢酸塩が室温で液状のエポキシ樹脂硬化促進剤として開示されている。色材協会誌,50(1),2−7(1977)(非特許文献1)には、イミダゾール化合物のアルキルカルボン酸や燐酸の塩が室温で液状となり、その塩によるエポキシ樹脂の硬化が開示されている。特開昭48−5900号公報(特許文献2)には、イミダゾール化合物のスルホン酸塩を硬化剤または硬化促進剤として使用してなるエポキシ樹脂組成物が開示されている。また、USP3356645号公報(特許文献3)には、イミダゾール化合物のカルボン酸塩、乳酸塩、燐酸塩などが開示されているが、これらには、イオン伝導性については、何らの記載も示唆もない。
【0003】
一方、イミダゾリウム塩、ピリジウム塩などのアンモニウム塩のあるものは、100℃以下、特に室温付近で液体の溶融塩となり、水あるいは有機溶媒を用いなくても、200℃以下の比較的低温で高いイオン伝導性を示すことが知られている。これらは、不揮発性という特徴的な性質から、電池などの電解質としての応用が検討されている。イオン性液体として、N位に置換基が導入されたイミダゾール塩やピリジン塩の例が多く知られている。(イオン性液体−開発の最前線と未来− 大野弘幸監修、シーエムシー出版、2003年(非特許文献2))。
【0004】
渡邉らは、J. Phys. Chem. B., 107(17), 4024-4030 (2003)(非特許文献3)、Chem. Commun., 2003, 938-939(非特許文献4)、第43回電池討論会講演要旨集、102-103,平成14年(非特許文献5)、第43回電池討論会講演要旨集、604-605,平成14年(非特許文献6)に、プロトン性常温溶融塩を開示している。これらは、基本的に、N位以外の位置が無置換のアミン化合物を用いている。
【0005】
Kreuerらは、Electrochimica Acta, Vol.43, No.10-11, 1281-1288(1998)(非特許文献7)に、無置換のイミダゾールと硫酸からなるプロトン伝導体について開示している。また、特表2000−517462号公報(特許文献4)で、酸と非水性両性材料を含有してなるプロトン伝導体を開示しているが、イミダゾール環の1,3位以外の置換基についてはひとつ導入されたものが一般式として挙げられているだけである。また、置換基の位置の限定もなく、具体的に用いられているのは無置換体である。
【0006】
Armandらは、特表2000−508114号公報(特許文献5)で、窒素ベース物質の酸付加塩と窒素ベース物質の混合物からなる液体形態のプロトン伝導体を開示しているが、フッ素系の酸はコストおよび製造時の環境負荷の問題がある。また、塩基成分を過剰に用いれば、融点は下がるが耐熱性が低下するという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭57−190018号公報
【特許文献2】
特開昭48−5900号公報
【特許文献3】
USP3356645号公報
【特許文献4】
特表2000−517462号公報
【特許文献5】
特表2000−508114号公報
【非特許文献1】
色材協会誌,50(1),2−7(1977)
【非特許文献2】
イオン性液体−開発の最前線と未来− 大野弘幸監修、シーエムシー出版、2003年、28-31
【非特許文献3】
J. Phys. Chem. B., 107(17), 4024-4030 (2003)
【非特許文献4】
Chem. Commun., 2003, 938-939
【非特許文献5】
第43回電池討論会講演要旨集,102-103,平成14年
【非特許文献6】
第43回電池討論会講演要旨集,604-605,平成14年
【非特許文献7】
Electrochimica Acta, Vol.43, No.10-11, 1281-1288(1998)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、比較的低い融点を有する酸・塩基混合物からなる新規なイオン伝導体、または、プロトン伝導体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩基成分および酸成分、あるいは、どちらか一成分が、少なくとも2種類の化合物からなる混合物であって、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、
化学式(1)
【化3】
(1)
(式中、R1, R2およびR3は炭素数1〜20の炭化水素基、または、水素原子を表し、少なくともひとつは炭化水素基である。)
で表されることを特徴とするイオン伝導体に関する。
【0010】
また、本発明は、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、
化学式(2)
【化4】
(2)
(式中、R1, R2およびR3は炭素数1〜20の炭化水素基、または、水素原子を表し、R1と R3は同一ではない。)
で表されることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0011】
また、本発明は、融点が120℃以下である、または、実質的に融点を示さないことを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0012】
また、本発明は、塩基成分と酸成分の等モル混合物であることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0013】
また、本発明は、室温で液体であることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0014】
また、本発明は、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0015】
また、本発明は、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、4−メチルイミダゾールであることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0016】
また、本発明は、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、2−エチルイミダゾールであることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0017】
また、本発明は、酸成分のうちの少なくとも1種類が、その構造中にフッ素原子を含まない酸であることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0018】
また、本発明は、酸成分のうちの少なくとも1種類が、無機酸であることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0019】
また、本発明は、酸成分のうちの少なくとも1種類が、硫酸または燐酸であることを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0021】
また、本発明は、プロトン伝導性を示すことを特徴とする上記のイオン伝導体に関する。
【0022】
本発明のイオン伝導体は、塩基成分および酸成分、あるいは、どちらか一成分が、少なくとも2種類の化合物からなる混合物であって、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、
化学式(1)
【化5】
(1)
[式中、R1, R2およびR3は炭素数1〜20の炭化水素基、または、水素原子を表し、少なくともひとつは炭化水素基である。]で表される塩基である。
【0023】
あるいは、塩基成分のうちの少なくとも1種類が、
化学式(2)
【化6】
(2)
[式中、R1, R2およびR3は炭素数1〜20の炭化水素基、または、水素原子を表し、R1と R3は同一ではない。]で表される塩基である。
【0024】
炭素数1〜20の炭化水素基としては、直鎖または分岐アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジル基などを挙げることができる。
中でも、メチル基、エチル基などが好ましい。
【0025】
上記の化学式(1)または(2)で表される塩基としては、環構造のN位以外の位置に、アルキル基置換基を有しているイミダゾールが挙げられる。例えば、2−アルキルイミダゾール、4−アルキルイミダゾールなどのモノアルキルイミダゾールが挙げられる。また、2,4−ジアルキルイミダゾールも挙げられる。
【0026】
具体的な化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどの2−アルキルイミダゾールが挙げられる。
また、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾールなどの4−アルキルイミダゾールが挙げられる。
また、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−シクロヘキシル−4−メチルイミダゾール、2−オクチル−4−ヘキシルイミダゾール、2−エチル−4−フェニルイミダゾール、2−ブチル−4−アリルイミダゾールなどの2,4−ジアルキルイミダゾールが挙げられる。
【0027】
上記の中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾールなどが好ましい。
【0028】
上記の塩基は、酸成分が単独の場合は、二種以上の混合物で用いる。あるいは、酸成分が二種以上の混合物の場合は、塩基成分は単独で用いてもよく、また、二種以上の混合物で用いてもよい。また、塩基がニ種以上の混合物の場合、一つの塩基が無置換イミダゾールであってもよい。
【0029】
二種以上の塩基の組合せとしては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾールと4−メチルイミダゾールの混合物、2−エチル−4−メチルイミダゾールと2−エチルイミダゾールの混合物、2−エチル−4−メチルイミダゾールとイミダゾールの混合物、2−エチルイミダゾールと4-メチルイミダゾールの混合物などが好適に用いることができる。
【0030】
本発明の酸成分としては、例えば、スルホン酸、スルホン酸化合物、カルボン酸、無機酸などが挙げられる。具体的には、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機脂肪族および芳香族スルホン酸類、芳香族および脂肪族カルボン酸などが挙げられる。また好ましいものは、例えば硫酸、燐酸および過塩素酸等の無機鉱酸類が挙げられる。また、その構造中にフッ素原子を含まない酸であることが好ましい。酸として、例えば、硫酸、燐酸などはコストが低いメリットがあり、またメタンスルホン酸などは取り扱いやすいメリットがある。
【0031】
上記の酸は、上記の塩基成分が二種以上の混合物の場合は、単独で用いてもよく、また、二種以上の混合物で用いてもよい。
上記の塩基成分が単独の場合は、酸成分は二種以上の混合物で用いる。
【0032】
上記の酸成分と塩基成分の組合せとしては、例えば、以下のものが好適に挙げられる。2−エチル−4−メチルイミダゾール/4−メチルイミダゾール・硫酸(2E4MZ/4MI H2SO4)、2−エチル−4−メチルイミダゾール/2−エチルイミダゾール・硫酸(2E4MZ/2EI H2SO4)、2−エチル−4−メチルイミダゾール/イミダゾール・硫酸(2E4MZ/Im H2SO4)、2−エチルイミダゾール/4-メチルイミダゾール・硫酸(2EI/4MI H2SO4)などを好適に挙げることができる。
【0033】
上記の塩基成分と酸成分との混合割合は、99:1〜1:99の範囲が好ましく、95:1〜1:95の範囲がさらに好ましい。塩基成分または酸成分が上記の範囲を越えると耐熱性が低下するので好ましくない。1:1であってもよい。
【0034】
本発明において、例えば、120℃以下の融点を有する、あるいは融点を示さない液状の酸・塩基混合物を適宜得ることができる。
また、ガラス転移点が25℃以下の酸・塩基混合物を適宜得ることができる。
【0035】
本発明において、例えば、100℃において、10−4Scm−1以上のイオン伝導度を有するイオン伝導体を適宜得ることができる。また、本発明において、室温以下の低温域でのイオン伝導度を向上させることができる。
【0036】
本発明により、比較的低い融点を有する酸・塩基混合物からなる新規なイオン伝導体、または、プロトン伝導体を提供し、耐熱性に優れ、水あるいは溶媒がなくても高いイオン伝導性を示し、燃料電池、二次電池、電気二重層、キャパシタ、電解コンデンサなどに利用することができる。
また、溶液キャストにより得られる高分子複合膜や高分子微多孔質膜に含浸させて保持させた高分子電解質膜として上記の用途に用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例および比較例中に示した測定値は以下の方法で測定した。
【0038】
1)イオン伝導度の測定
サンプル瓶に乾燥した試料を入れ、縦2cm×横1.5cmの白金板を1cmの間隔で並行に試料に浸漬し、密閉して伝導度測定用のセルとした。恒温槽中、所定の温度下で、Princeton Applied Reseach社製FRD1025とPotentiostat/Galvanostat283を用いて、複素インピーダンス測定によりイオン伝導度を求めた。
【0039】
2)融点
パーキン−エルマー社製DSC−7または島津製作所製DSC−50を用いて、ヘリウム気流下、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0040】
3)熱重量分析
島津製作所製TGA−50を用いて、空気中、10℃/分の昇温速度で測定した
【0041】
(実施例1)2−エチル−4−メチルイミダゾール/4−メチルイミダゾール・硫酸(2E4MZ/4MI H2SO4)
2E4MZ 12.7gに、窒素雰囲気下、98%硫酸6mLを滴下しながら撹拌した。2時間撹拌後、比較例3で得られた4MI H2SO4 20.5gを添加し、室温にて一晩撹拌した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去して、モル比が1:1:2である2E4MZ/4MI H2SO4を得た。これは、少なくとも4ヶ月経過後も液状であった。DSC測定の結果、融点を示さず、Tgは、−54℃であった。
イオン伝導度の温度依存性を図1に示す。
【0042】
(実施例2)2−エチル−4−メチルイミダゾール/2−エチルイミダゾール・硫酸(2E4MZ/2EI H2SO4)
2E4MZ 15.7g、2−エチルイミダゾール(Aldrich)13.7gをフラスコに取り、100℃で2EIを融解して、均一な混合液とした。窒素雰囲気下、これに、98%硫酸15mLを滴下しながら撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去して、モル比が1:1:2である2E4MZ/2EI H2SO4を得た。これは、少なくとも5ヶ月経過後も液状であった。DSC測定の結果、融点を示さず、Tgは、−61℃であった。
イオン伝導度の温度依存性を図1に示す。塩基を混合系にした効果により、後述の比較例4より、低温域でのイオン伝導度が向上した。
【0043】
(実施例3)2−エチル−4−メチルイミダゾール/イミダゾール・硫酸(2E4MZ/Im H2SO4)
2E4MZ 5.17g、イミダゾール(SIGMA)3.20gをエタノール30mLに溶解した。氷浴で冷却し、窒素雰囲気下、98%硫酸5mLを滴下しながら撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌した。60℃で1時間、110℃で6時間減圧乾燥し、エタノールと水分を除去して、モル比が1:1:2である2E4MZ/Im H2SO4を得た。これは、室温での外観は固体であった。一方、DSC測定の結果、100℃で保温して一度融解させた後の−150℃までの冷却過程、さらに、−150℃から100℃までの加熱過程において、結晶化または融解のピークを示さず、Tgのみを示した。Tgは、−56℃であった。
【0044】
(実施例4)2−エチルイミダゾール/4-メチルイミダゾール・硫酸(2EI/4MI H2SO4)
2−エチルイミダゾール 4.51g、4-メチルイミダゾール 3.85gを100℃で融解し、窒素雰囲気下、98%硫酸5mLを滴下しながら撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去して、モル比が1:1:2である2EI/4MI H2SO4を得た。これは、少なくとも3ヶ月経過後も液状であった。
【0045】
(実施例5)2−エチル−4−メチルイミダゾール/4−メチルイミダゾール・硫酸1/1/1(2E4MZ/4MI H2SO4 1/1/1)
2E4MZ 10.5g、4−メチルイミダゾール(Aldrich)7.70gをフラスコに取り、70℃で4MIを融解して、均一な混合液とした。窒素雰囲気下、これに、98%硫酸5mLを滴下しながら撹拌した。しばらくすると粘性が高くなり、撹拌が困難になった。モル比が1:1:1である、この2E4MZ/4MI H2SO4は、1日後からゆっくりと凝固が進み、3ヶ月後には完全に凝固した。
【0046】
(比較例1)2−エチル−4−メチルイミダゾール・トリフルオロメタンスルホン酸(2E4MZ HTf)
2E4MZ 62.3gをエタノール50mLに溶解した。氷浴で冷却し、窒素雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸84.9gを滴下しながら、撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌を継続した。60℃で1時間、110℃で6時間減圧乾燥し、エタノールと水分を除去した。得られた2E4MZ HTfは、しばらくは液状であったが、数日後には凝固していた。DSC測定の結果、融点は6℃、Tgは、−91℃であった。
イオン伝導度の温度依存性を図1に示す。
【0047】
(比較例2)2−エチル−4−メチルイミダゾール・硫酸(2E4MZ H2SO4)
2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ;四国化成工業(株)製)10.3gに、窒素雰囲気下、98%ひ硫酸5mLを滴下しながら撹拌した。その後、室温にて、一晩撹拌した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去した。得られた2E4MZ H2SO4は、しばらくは液状であったが、徐々に凝固した。一方、DSC測定の結果、100℃で保温して一度融解させた後の−150℃までの冷却過程、さらに、−150℃から100℃までの加熱過程において、結晶化または融解のピークを示さず、Tgのみを示した。Tgは、−58℃であった。
【0048】
(比較例3)4−メチルイミダゾール・硫酸(4MI H2SO4)
4−メチルイミダゾール(Aldrich)23.1gを100℃で融解し、窒素雰囲気下、98%硫酸15mLを滴下しながら、撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌を継続した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去した。得られた4MI H2SO4は、少なくとも一週間は液状であった。DSC測定の結果、融点は29℃、Tgは、−62℃であった。
イオン伝導度の温度依存性を図1に示す。
【0049】
(比較例4)2−エチルイミダゾール・硫酸(2EI H2SO4)
2−エチルイミダゾール(Aldrich)27.1gを100℃で融解し、窒素雰囲気下、98%硫酸15mLを滴下しながら撹拌した。その後、室温にて一晩撹拌した。110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去した。得られた2EIH2SO4は、しばらくは液状であったが、数日後には凝固した。DSC測定の結果、融点は50℃、Tgは、−64℃であった。
イオン伝導度の温度依存性を図1に示す。
【0050】
(参考例1)イミダゾール/硫酸・燐酸 2/1/1(Im H2SO4/H3PO4 2/1/1)
イミダゾール(SIGMA)12.7gに85%燐酸水溶液10.85gを滴下し、混合した。これに、98%硫酸5mLを滴下し、一晩撹拌を継続した。80℃で1時間、110℃で6時間減圧乾燥し、水分を除去して、モル比が2:1:1であるIm H2SO4/H3PO4を得た。これは、一晩放置すると、凝固した。
【0051】
(参考例2)熱重量分析
実施例1、比較例2および比較例3の酸・塩基混合物の熱重量分析の結果を図2に示す。
【0052】
(参考例3)熱重量分析
実施例2、実施例3および比較例4の酸・塩基混合物の熱重量分析の結果を図3に示す。
【0053】
(発明の効果)
本発明によって、比較的低い融点を有する酸・塩基混合物からなる新規なイオン伝導体、または、プロトン伝導体を提供し、燃料電池、二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸・塩基混合物のイオン伝導度を示したものである。
【図2】実施例1、比較例2および比較例3の酸・塩基混合物の熱重量分析の結果を示したものである。
【図3】実施例2、実施例3および比較例4の酸・塩基混合物の熱重量分析の結果を示したものである。
Claims (12)
- 融点が120℃以下である、または、実質的に融点を示さないことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 塩基成分と酸成分の等モル混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 室温で液体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 塩基成分のうちの少なくとも1種類が、2−エチル−4−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 塩基成分のうちの少なくとも1種類が、4−メチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 塩基成分のうちの少なくとも1種類が、2−エチルイミダゾールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 酸成分のうちの少なくとも1種類が、その構造中にフッ素原子を含まない酸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 酸成分のうちの少なくとも1種類が、無機酸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のイオン伝導体。
- 酸成分のうちの少なくとも1種類が、硫酸または燐酸であることを特徴とする請求項10に記載のイオン伝導体。
- プロトン伝導性を示すことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のイオン伝導体。
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