JP4499855B2 - マイクロ波加熱殺菌方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理済みあるいは半調理済みの食品が所定の容器に装填されたいわゆる包装食品にマイクロ波を照射することによって容器内の食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリームシチューなどのスープやシチュー類、さらには筑前炊きなどの和風惣菜などを主に対象とする、調理済みあるいは半調理済みの食品を合成樹脂製の包装部材に装填したいわゆる包装食品は、必要に応じて加熱するだけで食事に供することができる他、調理の専門家の調製した味を賞味することができるなど、簡便さと美味しさとが兼ね備わっているため、現在では豊かな食生活を満喫する上で必須の商品となっている。
【0003】
かかる包装食品は、通常、所定の加熱調理を行った後に食品を所定の包装部材に装填されて密封されるが、出荷前に密封された包装部材ごと内部の食品を加熱して殺菌処理することが行われる。
【0004】
そして、大量の包装食品を対象とした殺菌処理には、従来、熱源として熱水やスチームなどが利用されていたが、近年、食品を迅速に加熱することができるマイクロ波照射による加熱殺菌が作業性、簡便性および効率性の点で優れており、徐々に包装食品の加熱殺菌処理にマイクロ波加熱が利用されつつある。
【0005】
ところで、一般的にpH(水素イオン濃度)値の高い調理済みあるいは半調理済みの包装食品を長期間に亘って保存可能にしようとすれば、包装部材内の食品を100℃以上に加熱する必要があるが、大気圧中で食品を100℃以上に加熱すると、食品中の水分が蒸発して包装部材内が1気圧以上に昇圧され、これによって包装部材が破袋してしまうという不都合が生じる。
【0006】
このような不都合を解消するために、包装食品を、その外形に対応した収容室を有する2体合わせのマイクロ波透過性を有する密着容器内に装填し、2体が離反しないようにロックした状態でマイクロ波を照射する方式(特公平7−114672号公報)や、包装食品の装填されたマイクロ波透過性の圧力容器内に高圧流体を導入した状態で包装食品にマイクロ波加熱を施す方式などが提案されている。
【0007】
密着容器を採用すると、食品が100℃以上に加熱されて包装部材内が1気圧以上に昇圧されても、膨張しようとする包装部材が収容室の内壁面に阻止されるため包装部材の破袋が防止される。また、圧力容器を採用して内部に高圧流体を導入すると、この高圧流体と包装部材内の昇圧された空気の圧力とがバランスして包装部材の破袋が防止される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、たとえ上記のような密着容器や圧力容器を採用しても、マイクロ波加熱にあっては、その特質上、被加熱物の端の部分にマイクロ波が集中してその部分のみが過加熱される、いわゆるエッジ効果が生じるため、これによって食品の温度分布にばらつきが生じ、均一で確実な殺菌処理が行い難くなるという問題点を有している。
【0009】
かかる問題点を解消するものとして、特開昭58−13372号公報に記載された、マイクロ波加熱における破袋防止方法を応用することが可能である。すなわち、この公報には、包装食品の装填された圧力容器の中に満杯になるまで水を注入した状態で圧力容器を密封し、この密封された圧力容器にマイクロ波を照射することにより、水を介して包装食品をマイクロ波加熱することが記載されている。こうすることで、密封容器内の包装食品は、周りの水の存在で破袋が防止されるのであるが、同時に水が過加熱された包装食品のエッジ部分の熱を伝熱吸収することによってエッジ効果が緩和され、包装部材内の食品の均一加熱が達成される。
【0010】
しかしながら、密封された圧力容器内には水が満杯に充填されているため、マイクロ波加熱で水の温度が上昇すると、熱膨張で水の体積が増加する。熱膨張による水の体積増加を抑えようとすれば、非常に大きな力が必要になるため、圧力容器を極めて頑丈なものにしなければならず、容器コストが嵩むという新たな問題点が提起される。
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、容器コストを低く抑えた上でエッジ効果による食品の温度分布の不均一を解消することが可能であり、包装食品を低コストで確実に殺菌処理することができるマイクロ波加熱殺菌方法および装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、包装食品より大きい内部収容空間を有する密閉容器内に収容された包装食品にマイクロ波を照射することにより包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法であって、上記容器の内部に包装食品を装填する食品装填工程と、容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を充填する液体充填工程と、容器を密閉する容器密閉工程と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入工程とを有するとともに、最終工程として容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程を実行することを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、食品装填工程において容器の内部に包装食品を装填し、液体充填工程において容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を充填し、容器密閉工程において容器を密閉し、空気圧入工程においてこの密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入することにより、内部に包装食品および液体が装填され、かつ、内部の圧力調整が行われた加熱処理直前の食品装填済み容器が得られる。そして最終工程であるマイクロ波照射工程で容器を介して包装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の包装食品は、容器を透過したマイクロ波により加熱されて殺菌処理が施される。
【0014】
そして、たとえ包装食品のエッジ部分が過加熱される、いわゆるエッジ効果が発生しても、エッジ部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによって温度が降下し、これによって従来起こっていた食品温度の不均一が抑制される。
【0015】
また、包装食品のエッジ部分が液没している場合には、エッジ部分はマイクロ波加熱の面からは周りに存在する液によって実質的にエッジ部分でなくなっているため、エッジ効果は生じない。
【0016】
また、容器の中には液体の他に空気も装填されているため、マイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨張しても、この熱膨張が空気の圧縮によって吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器コストが廉価になる。
【0017】
さらに、容器の内部空間は所定圧力の空気が圧入されるが、この所定圧力を水の飽和蒸気圧に見合う圧力に設定することにより、たとえ包装食品を100℃以上にまでマイクロ波加熱して殺菌効果を高めても、食品中の水の蒸発で起こる包装食品の膨張が抑えられ、これによって包装食品の破袋が防止される。
【0018】
このように、請求項1記載の発明にあっては、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイクロ波加熱による従来の殺菌処理に比較してより確実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処理コストの低減化に貢献する。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記液体は、誘電加熱されるものであることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、容器にマイクロ波が照射されると、容器内は包装食品の周りに存在する誘電加熱が可能な液体も含めて全体的にマイクロ波加熱されるため、液体が存在しないときに包装食品のエッジ部分が過加熱される、いわゆるエッジ効果が起こらなくなり、これによって包装食品の均一加熱が実現する。
【0021】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、上記液体は、予め誘電損失係数を所定の処理により調整されたものであることを特徴とするものである。この発明によれば、液体の誘電損失係数を種々変更することにより、包装食品のエッジ効果を防いだ上で、より効率的に、かつ、均一に包装食品に殺菌処理を施すことが可能になる。すなわち、誘電損失係数の大きな液体を使用すると、マイクロ波のエネルギーはより多くが熱エネルギーに変換されて液体の温度を高めるため、これによって包装食品の表面がこの高温の液体から伝熱加熱されることにより、一般に包装食品の表面が放熱により加熱され難いという不都合が解消される。
【0022】
また、誘電損失係数の小さい液体を使用すると、マイクロ波のエネルギーはその多くが熱エネルギーに変わることなく液体を透過するため、容器内に装填された液体は加熱されることなく冷たい状態が維持され、これによって液体をエッジ効果で過加熱される部分の冷却用に利用することが可能になる。
【0023】
液体を、加熱用に使用するか冷却用に使用するかについては、包装食品の種類によって決めることができる。すなわち、包装食品の形状が円形や楕円形状のプラスチックトレイの場合、また包装袋に食品を装填したタイプのいわゆるパウチ食品のようなものである場合には、エッジ効果は生じ難く、従って、より効率的な加熱処理を優先させることができることから、液体をも加熱用の材料として使用するべく、誘電損失係数を大きくする方が有利である。
【0024】
これに対し、包装食品が例えば角部を持つ長方形状のプラスチックトレイに装填されているような場合にはトレイの角部にエッジ効果が発生し易い。さらに、食品の塩分濃度が高い場合はよりエッジ効果が顕著となり、このような状態を解消するために誘電損失係数の低い液体が採用され、液体が冷却用に使用されるのである。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記液体を予め所定の温度に調節した状態で上記容器に注入することを特徴とするものである。
【0026】
この発明によれば、包装食品にマイクロ波が照射される時点で、液体はマイクロ波加熱されるまでもなくすでに包装食品より高い所定の温度に調節されているため、包装食品はこの所定温度の液体から伝熱で熱を受けて加熱され、マイクロ波加熱との相加作用でより迅速で確実な殺菌処理が行われる。逆に液体温度を包装食品より低い所定の温度に制御することにより、エッジ効果を抑制する冷却効果が増長される。
【0027】
なお、包装食品は、調理された後にそれ自体が60℃〜70℃に加熱された状態になっているため、液体がこれより高温度に設定されている場合は、液体を包装食品の補助加熱用として利用することができる一方、液体がこの温度より低温である場合は、液体をエッジ効果防止用として利用することができる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、包装食品へのマイクロ波照射中に上記容器を少なくとも1回上下反転させることを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、包装部材に装填された内部食品の温度分布の不均一が、容器を反転させることによる食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布の均一化が達成される。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、上記液体充填工程で充填される液体の量は、少なくとも上記内部空間の1/2以上であることを特徴とするものである。
【0031】
この発明によれば、包装食品の半分以上が液体に浸されるため、例えば包装食品が袋に食品の装填されたいわゆるパウチ食品の場合など、エッジ部分が液体に浸された状態になり、これによってエッジ効果が確実に回避される。
【0032】
請求項7記載の発明は、密閉容器内に収容された包装食品にマイクロ波を照射することにより包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌装置であって、上記容器の内部に1または複数の包装食品を装填するとともに包装食品が収容された内部空間を満たさない量の液体を注入して容器を密閉する包装食品装填機構と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入機構と、空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段とが備えられていることを特徴とするものである。
【0033】
この発明によれば、包装食品装填機構の駆動によって容器の内部に1または複数の包装食品が装填されるとともに、包装食品が収容された状態で容器の内部空間を満たさない量の誘電損失を有する液体が注入され、その後容器が密閉されることによって容器内への包装食品の装填が完了する。引き続き空気圧入機構の駆動で包装食品が装填され密閉された容器の内部空間に所定圧力の空気を圧入しながらマイクロ波照射手段の駆動で空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の包装食品はマイクロ波加熱されて昇温し、殺菌処理が施される。
【0034】
空気圧入機構による容器内への空気の圧入操作は、包装食品装填後の密閉容器内に液体および空気が同時に圧入されるか、あるいは包装食品と液体とが予め装填された密閉容器内に空気のみが圧入され、引き続きマイクロ波加熱処理が行われる。
【0035】
因みに、マイクロ波照射手段によるマイクロ波加熱で包装食品が100℃に到達するまでは空気の圧入操作を行わず、100℃を越えた時点から開始するとともに、その後は、昇温する包装食品の温度の上昇に従って内部空間の圧力を順次高めていき、内部空間を常に水の飽和蒸気圧と等しい圧力にしておくことが好ましい。
【0036】
こうすることによって、包装食品に含まれている水分が蒸発することにより到達する水蒸気による包装食品内の圧力と、容器の内部空間の空気圧力とが常に拮抗した状態になるため、包装食品を形成している包装部材の膨張による破袋が確実に防止される。
【0037】
そして、マイクロ波照射手段の駆動によるマイクロ波の照射で、包装食品にたとえエッジ効果が発生してエッジ部分が過加熱されても、エッジ部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによって温度が降下し、これによって従来起こっていた食品温度の不均一が抑制される。
【0038】
また、たとえマイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨張しても、この熱膨張が容器の中に導入された空気の圧縮で吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器コストが廉価になる。
【0039】
このように、請求項7記載の発明にあっては、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイクロ波加熱装置による従来の殺菌処理に比較してより確実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処理コストの低減化に貢献する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、上記液体の誘電損失係数を所定の処理により調節する水処理装置をさらに備えたことを特徴とするものである。この発明によれば、液体の誘電損失係数を種々変更することにより、包装食品のエッジ効果を防いだ上で、より効率的に、かつ、均一に包装食品に殺菌処理を施すことが可能になる。
【0040】
請求項9記載の発明は、請求項7または8に記載の発明において、複数個の上記容器を所定の移動路に沿って移動させる容器移動手段が設けられ、上記移動路に沿って上記包装食品装填手段と、上記マイクロ波照射手段とが配設されていることを特徴とするものである。
【0041】
この発明によれば、容器移動手段の駆動で複数個の容器を移動路に沿って移動させながら、包装食品装填手段およびマイクロ波照射手段を駆動することにより、包装食品に対して連続的に殺菌処理を施すことが可能になり、殺菌処理効率の向上が達成される。
【0042】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、上記マイクロ波照射手段の下流側に容器を介して包装食品を冷却する冷却機構と、冷却された包装食品を容器から取り出す食品取出し機構とがそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0043】
この発明によれば、マイクロ波加熱で加熱された包装食品が装填されている容器は、マイクロ波照射手段の下流側に設けられた冷却機構によって冷却されることにより、容器を介して内部の包装食品も冷却されるため、包装食品内で発生していた水蒸気が凝縮し、これによって包装食品内の圧力が低下する。従って、つぎの食品取出し機構の駆動で容器から包装食品を取り出しても、包装食品が破袋することはない。
【0044】
請求項11記載の発明は、請求項7乃至10のいずれかに記載の発明において、包装食品へのマイクロ波照射位置に上記容器を上下反転させる容器反転機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0045】
この発明によれば、マイクロ波加熱中の容器を容器反転機構の駆動で上下反転させることにより、包装部材に装填された内部食品の温度分布の不均一が、反転による食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布の均一化が達成される。
【0046】
請求項12記載の発明は、請求項7乃至11のいずれかに記載の発明において、上記容器は、底板と、天板と、これら底板および天板間に介設された環状の外壁部と、外壁部が底板および天板間に介設された状態をロックするロック手段とから構成され、上記底板および天板の少なくとも一方は金属材料で形成されているとともに、上記外壁部はマイクロ波が透過する材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0047】
この発明によれば、底板の上に環状の外壁部を載置した状態で、外壁部内に包装食品を装填する内部収容空間が形成された状態になる。この状態で内部収容空間に包装食品および所定量の水を装填し、その後天板で内部収容空間を閉止してからロック手段の操作で外壁部を介して天板を底板にロックすることにより、包装食品が容器に装填された状態になる。そして、外壁部はマイクロ波が透過する材料で形成されているため、容器に向けてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波は外壁部を透過して内部の包装食品に到達し、これによって包装食品はマイクロ波加熱される。
【0048】
また、容器は、底板、天板および環状の側壁部とで構成されているため、構造が簡単でありながら、これらの構成要素の厚み寸法を適切に設定することにより容易に圧力容器となり、容器の製造コストの低減化を図る上で有効である。
【0049】
さらに、容器は、底板および天板の少なくとも一方を金属材料で形成しているため、この金属材料を構造材として使用することにより、他の部分が金属材料でなくても、容器を全体的に耐圧構造にすることが可能になる。特にロック手段は、それを支持する部分を金属材料からなる底板または天板に設けることにより、構造的に安定したものになる。
【0050】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で適用される圧力容器について説明する。図1は、本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置に適用される圧力容器の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図2は、その組立て斜視図である。また、図3は、図2のA−A線断面図であり、(イ)は天板が開放された状態、(ロ)は天板が閉止された状態をそれぞれ示している。図1〜図3に示すように、圧力容器1は、金属製(例えばステンレススチール製)の底板11と、底板11と同一材料で形成された天板12と、これら底板11および天板12間に介設されるマイクロ波透過材料からなる容器本体13基本構成を備えている。容器本体13を底板11および天板12間に挟持して、後述するロック部材15によって締結することにより圧力容器1が形成されるようになっている。
【0051】
底板11は、平面視で長辺側の中央部が互いに反対方向に膨出した異形の矩形状を呈している。かかる底板11には、長尺方向の一側部に底板11と天板12とを互いに曲折自在に連結する蝶番部材14が設けられているとともに、他側部に、容器本体13を挟持した状態の底板11および天板12をロックして容器本体13内を密閉状態にするロック部材15が設けられている。
【0052】
上記蝶番部材14は、U字形状のブラケット14aと、このブラケット14aの側板間に挟持され支持軸14c回りに回動自在に軸支されたT字形状を呈するT字部材14bとからなっている。上記T字部材14bは、ねじ止めで天板12にに固定されるものであり、これによって天板12は底板11に対して支持軸14c回りに正逆回動し得るようになっている。
【0053】
上記ロック部材15は、蝶番部材14に対向して底板11の反対側の側部に設けられるものであり、上記蝶番部材14のブラケット14aと同一形状のブラケット15aと、このブラケット15aの側板間に支持軸15c回りに回動自在に軸支された、上記蝶番部材14のT字部材14bと略同一形状のT字部材15bと、このT字部材15bの頂面にねじ込み可能に螺着されたロックボルト15dとからなっている。上記ロックボルト15dは、容器本体13が底板11と天板12とで挟持された状態で天板12の後述する挿通孔12aに嵌め込んで締結するためのものである。
【0054】
上記天板12は、平面視の形状が底板11と略同一に形成され、蝶番部材14に対応する端部にねじ12cを挿通する2つの挿通孔12aが穿設されているとともに、ロック部材15に対応する端縁部に上記ロックボルト15dに対応したロック溝12bが凹設されている。そして、ねじ12cを挿通孔12aに挿通して蝶番部材14のT字部材14b頂面に螺着締結することにより、図2および図3に示すように、天板12が蝶番部材14を介して底板11に結合されるようになっている。
【0055】
上記ロック溝12bは、天板12の図1における右縁部中央位置から内側に向かって真っ直ぐに切り込まれた状態で形成されている。かかるロック溝12bは、溝幅寸法がロックボルト15dの本体部分を摺接状態で内嵌させ得るように寸法設定され、容器本体13が底板11および天板12間に挟持された状態でT字部材15bを図1に示す状態から支持軸15c回りに反時計方向に90°回動させることにより、ロックボルト15dの本体がロック溝12bに嵌まり込むように位置設定されている。そして、ボルト本体がロック溝12bに嵌まり込んだ状態で頭部を所定の工具で回して締め付けることにより、頭部がロック溝12bの縁部に当止して天板12がロック部材15に締結されるようになっている。
【0056】
上記容器本体13は、その内部(装填室130)に殺菌処理を施す包装食品Fを装填するものであり、本実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレン製のものが採用されて高圧に耐えるように非常に強靭につくられている。かかる容器本体13は、径寸法が蝶番部材14およびロック部材15間の距離より若干短く寸法設定された円形の底部13aと、この底部13aの周縁から上方に向けて延設された周壁13bとからなっている。
【0057】
周壁13bの上下寸法は、図3に示すように、T字部材14b,15bが立直姿勢に姿勢設定された状態でT字部材14b,15bの頂面と底板11の表面との間の寸法と略等しくなるように寸法設定されている。かかる周壁13bの上縁部には、外周縁の角部が全周に亘って径方向に切り込まれることによって形成した環状切欠き部13cと環状突起13d(図1)とが設けられている。
【0058】
そして、上記環状突起13dに、断面視でL字形状を呈した合成ゴム等の弾性部材からなるOリング16が嵌め込まれてOリング16の周方向外方の肉厚部分が環状切欠き部13cの上面に当接するとともに、同肉薄部分が環状突起13dの上面に当接し、これによって容器本体13の頂部がOリング16によって覆われた状態になるようにしている。
【0059】
また、容器本体13の外周面の適所には、外部から装填室130内に略3000ヘクトPaの高圧空気を導入するための圧空導入管17が設けられている。この圧空導入管17の先端部には、普段は閉弁されているが、他の管を差し込むことによって開弁するとともに他の管との接続が自動的に果たされる接続継手(クイックカプラー18)が取り付けられている。
【0060】
このような圧力容器1によれば、図3の(イ)に示す天板12が開放された状態で、装填室130内に包装食品Fおよび水Wを装填し、引き続き天板12を蝶番部材14回りに時計方向に回動して閉止した後、ロック部材15のT字部材15bを支持軸15c回りに反時計方向に回動すれば、ロックボルト15dが天板12のロック溝12bに嵌まり込み(図2参照)、これによって容器本体13が底板11および天板12間に挟持された状態になる。この状態で、ロックボルト15dを締め付けることにより、ロックボルト15dの頭部が天板12の上面を押圧し、図3の(ロ)に示すように、天板12がロック部材15によって容器本体13を介して底板11に締結された状態になる。
【0061】
ロック部材15により天板12が底板11に締結された状態では、天板12の下面がOリング16を押圧当接しているため、Oリング16は圧縮弾性変形し、これによって装填室130内の密封状態が維持されることになる。
【0062】
そして、本発明において容器本体13内に水Wが装填されるのは、その後のマイクロ波加熱で包装食品Fが加熱されるとき、包装食品Fの端の部分が過加熱される、いわゆるエッジ効果を防ぐためである。すなわち、通常、被加熱物にマイクロ波を照射すると、被加熱物の表面の尖った部分や周縁部等にマイクロ波が集中してその部分が他の部分に比べて過加熱される、いわゆるエッジ効果が発生するが、本発明のように、包装食品Fの端の部分を水中に沈めると、水が誘電物質であることから端の部分の周りに同じ誘電物質が存在してマイクロ波加熱的には今までの端の部分が端ではなくなり、その結果エッジ効果を回避することができるのである。なお、包装食品Fの端の部分がたとえ水中に没しなくても、その近傍に水Wが存在すると、伝熱によって端の部分の熱が水Wに吸収されるため、過加熱を抑えることが可能になる。
【0063】
また、装填室130内への水Wの装填量は、装填室130に包装食品Fが収容された状態で装填室130の残りの内部空間が満杯にならず、かつ、包装食品Fのエッジ部分が水中に没する程度の量とされる。このような水量が採用されるのは、その後のマイクロ波加熱で装填室130内の水Wが熱膨張したときに、その熱膨張を残された空間内の空気の圧縮で吸収するためである。
【0064】
また、本発明においては、装填室130内に包装食品Fおよび水Wが装填され、かつ、装填室130が天板12によって密閉された後に圧空導入管17を介して装填室130内に略3000ヘクトPaに圧力調節された圧縮空気が圧入される。このような圧縮空気が導入されるのは、その後のマイクロ波加熱で容器本体13内に装填されている包装食品F内の水分が100℃以上(本実施形態では130℃)に加熱されると、これによる水の飽和蒸気圧によって包装食品F内が高圧になり、これによって包装食品Fの包装袋が破袋する恐れがあるが、かかる不都合を予め防ぐためである。なお、包装食品F内の水分が130℃に加熱されると、その飽和蒸気圧は略3000ヘクトPaになる。
【0065】
因みに、装填室130内に高圧空気を導入しなくても、装填室130には水Wが装填されているため、この水Wの昇温によって容器本体13内は上昇した温度に見合う水の飽和蒸気圧に昇圧されているため、この圧力と包装食品F内の水分の蒸発による圧力とが平衡状態になり、包装食品Fの破袋は起こらないが、実際の操業においては、Oリング16のシール性が完全でなかったり、包装食品Fが水Wより先に加熱されてしまうなどの思わぬ事態に対応するために装填室130内に高圧空気を導入するようにしている。
【0066】
そして、本発明のマイクロ波加熱殺菌方法は、上記のような圧力容器1が採用されることによって成立するものである。以下図4を基に本発明方法について説明する。図4は、本発明方法の一実施形態を示す工程図である。この図に示すように、マイクロ波加熱殺菌は、圧力容器1の装填室130に包装食品Fを装填する食品装填工程P1と、装填室130に包装食品Fが収容された状態で、装填室130の内部空間を満たさない量の水Wを充填する水充填工程P2と、容器本体13の装填室130を密閉する容器密閉工程P3と、130内に高圧空気を導入して装填室130内を所定の高圧環境にする圧力設定工程P4と、圧力容器1を介して包装食品Fにマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程P5とを順次経て実行されるようにしている。
【0067】
また、マイクロ波照射工程P5で加熱殺菌処理が完了した後、冷却工程P6が実行されて包装食品Fが圧力容器1ごと冷却され、引き続き食品取出し工程P7で圧力容器1内の殺菌処理済みの包装食品Fが取出され、次工程に向けて送り出される。次工程でさらにシャワー水を直接散布する等の方法で包装食品Fをより低温に冷却してもよい。出された残りの圧力容器1は、食品装填工程P1に戻されて再度使用される。
【0068】
そして、上記水充填工程P2においては、通常、常温の水が容器本体13内に装填されるが、予め所定の温度(例えば90℃)に加熱された水Wが装填される場合もある。このようにするのは、マイクロ波を照射するまでの包装食品Fに予め加熱水からの熱を与えて予熱しておき、マイクロ波照射工程P5でのマイクロ波照射時間を短縮させ、これによって殺菌処理の迅速化を図るためである。
【0069】
また、上記水充填工程P2では、内部空間の少なくとも1/2以上になるように水Wが装填室130に装填される。このようにされるのは、内部空間の1/2以上が水で満たされると、包装食品Fが例えば包装袋に食品の充填されたパウチ食品である場合、図3に示すように、それを装填室130に装填すると、エッジ効果が起こりやすいエッジ部分が水Wに浸るからである。
【0070】
また、マイクロ波照射工程P5においては、圧力容器1を上下180°反転させる容器反転工程P51が実行されることもある。かかる容器反転工程P51が実行されるのは、包装食品Fを上下反転させることにより包装袋内の食品を逆転によって攪拌し、これによって包装食品Fの温度の均一化を図るためである。
【0071】
そして、マイクロ波照射工程P5においては、圧力容器1にマイクロ波が照射されることによって、マイクロ波は、その透過性を有する容器本体13の周壁13bを通って容器本体13内に侵入し、また、後述する図6に示す圧力容器の場合は、底板11の穴11a抜けたマイクロ波は、マイクロ波透過性を有する容器本体13の底部13aを通って容器本体13内に侵入し、装填室130内の水Wおよび包装食品Fをマイクロ波加熱する。
【0072】
このマイクロ波加熱によって包装食品Fが100℃以上に昇温され(本実施形態では130℃に昇温される)、包装食品F内の水分が蒸発することにより包装食品F内が130℃の水の飽和水蒸気圧である略3000ヘクトPaに昇圧されても、先の圧力設定工程P4において容器本体13内に略3000ヘクトPaの圧力の空気が封入されているため、包装食品Fの包装袋の内外で圧力が拮抗し、従って包装袋が破袋することはない。
【0073】
また、包装食品Fのエッジ部分は、水Wに浸かった状態になっているため、周りの水によってマイクロ波加熱の面からは実質的にエッジではなくなっており、従って、エッジ効果でこの部分が過加熱されるという不都合は回避される。
【0074】
このような殺菌処置工程を実行するために、図5に示すようなマイクロ波加熱殺菌装置が採用される。図5は、本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置の一実施形態を示す説明図である。この図に示すように、マイクロ波加熱殺菌装置2は、複数の圧力容器1を搬送する搬送手段3と、この搬送手段3に沿って下流側に向かって順次配設される食品装填機構4と、水装填機構5と、容器密閉機構6と、圧力設定機構7と、マイクロ波照射装置8と、冷却機構9と、食品取出し機構10とから構成されている。
【0075】
上記搬送手段3は、上流端および下流端に設けられたプーリ31間に張設される搬送ベルト32によって形成されている。この搬送ベルト32は、一方のプーリ31を回転駆動する駆動モータ33の駆動によってプーリ31間を周回移動し、上流端(図5の左方)に順次載置される圧力容器1を下流側に向けて搬送するようになっている。
【0076】
上記食品装填機構4は、搬送ベルト32上に載置された圧力容器1の装填室130(図3)内に包装食品Fを装填するものであり、搬送手段3の最上流位置に設けられている。かかる食品装填機構4は、天板12を開放する天板開放手段41および容器本体13の装填室130内に包装食品Fを装填する装填手段42を有し、包装食品Fは、天板開閉手段41によって開放された装填室130に装填手段42の駆動で装填されるようになっている。
【0077】
上記水装填機構5は、装填室130内に包装食品Fの装填された、天板12が開放状態の装填室130内に水を装填する工程であり食品装填機構4の直ぐ下流側に設けられている。この水装填機構5は、圧力容器1の装填室130内に水を注入する、制御バルブ51を有しているとともに、水道水を受け入れて貯水する貯水槽52および水処理装置53を有し、貯水槽52に一旦貯留された水道水は、水処理装置53で所定の処理が施された後に、制御バルブ51の開閉動作によって制御バルブ51直下に位置した圧力容器1の装填室130内に所定量(包装食品Fが装填された装填室130が水Wで満杯にならない量)が装填されるようになっている。
【0078】
水処理装置53は、水Wに所定の処理を施してその損失係数および温度を調節するものである。例えば、損失係数調節の混入剤として食塩が用いられる。食塩の混入率を大きくすると水Wの導電性が良好になるため、マイクロ波によって加熱され難くなる。また、純水を使用した場合は、一般の水道水に比べて損失係数が低く、加熱され難い。
【0079】
すなわち、マイクロ波で水Wを積極的に加熱し、水の有する熱を包装食品Fに伝熱することによってマイクロ波加熱で低温になりがちな包装食品Fの表面側を昇温させることを目的とする場合には、誘電損失係数の高い水が使用される(すなわち水W自身もマイクロ波加熱され易いようにされる)一方、包装食品Fのエッジ部分がエッジ効果で過加熱するのを水Wへの伝熱で抑えることを目的とするときは、水Wに食塩が添加され、損失係数を低くすることにより、マイクロ波が照射されても水Wの温度が上がり難くされ、これによって低温の水で包装食品Fのエッジ部分の熱を吸収するようになされる。
【0080】
また、包装食品は、調理された後にそれ自体が60℃〜70℃に加熱された状態になっているため、液体がこれより高温度に設定されている場合は、液体を包装食品Fの補助加熱用として利用することができる一方、液体がこの温度より低温である場合は、液体をエッジ効果防止用として利用することができる。
【0081】
また、水Wは、満杯にならない程度に装填室130内に装填される。従って、後のマイクロ波照射装置8でのマイクロ波加熱による水Wの熱膨張が装填室130内の空気の圧縮によって吸収され、水Wが圧力容器1から漏れ出す不都合が確実に防止される。
【0082】
上記容器密閉機構6は、装填室130内に包装食品Fおよび水Wの装填された圧力容器1の天板12を閉止して密閉する動作を行うものであり、天板閉止手段61を有し、この天板閉止手段61の動作で開放している天板12(図3の(イ))が閉止されるとともに、ロック部材15が操作されてロック溝12bに嵌まり込んでいるロックボルト15dが締結されることにより、図3の(ロ)に示すように、装填室130内が密閉される。
【0083】
上記圧力設定機構7は、密閉状態の圧力容器1内に高圧空気を導入して装填室130内を所定の高圧に設定するものであり、取り入れた空気を圧縮して排出する圧縮ポンプ71と、この圧縮ポンプ71からの圧縮空気を上記クイックカプラー18および圧空導入管17(図1)を介して装填室130内に導入する圧空配管72と、この圧空配管72をクイックカプラー18に対して接離させる接離手段73とからなっている。上記圧空配管72の先端部にはクイックカプラー18に対応した口金が設けられ、この口金が接離手段73の動作でクイックカプラー18に接続されることにより、駆動中の圧縮ポンプ71からの高圧空気が圧空配管72および圧空導入管17を通って装填室130内に導入されるようになっている。本実施形態では、圧縮ポンプ71で略3000ヘクトPaに昇圧された空気を装填室130内に導入するようにしている。
【0084】
上記マイクロ波照射装置8は、搬送手段3の近傍に設けられたマイクロ波発振機81と、容器密閉機構6の下流側に設けられた、搬送中の圧力容器1を覆うマイクロ波照射フード82と、このマイクロ波照射フード82と上記マイクロ波発振機81との間に介設された導波管83と、搬送中の圧力容器1を180°反転させる容器反転手段84とからなっている。マイクロ波発振機81で発生したマイクロ波は、導波管83を通ってマイクロ波照射フード82内に導波され、ここで搬送中の圧力容器1の容器本体13を透過して装填室130内に装填されている水Wおよび包装食品Fに照射され、これによるマイクロ波加熱で包装食品Fは殺菌処理される。
【0085】
そして、圧力容器1は、マイクロ波照射フード82内を搬送中に容器反転手段84によって上下180°反転されることにより、包装食品F内の食品が攪拌され、これによって包装食品Fの温度分布の均一化が達成される。上記圧力容器1の反転は、包装食品Fが目的温度に到達するまでの間に少なくとも1回行われるが、3〜4回行うのが望ましい。
【0086】
上記冷却機構9は、搬送ベルト32の直ぐ下流側にプーリ31に隣接して設けられている。この冷却機構9は、冷却水の装填された冷却水槽91と、この冷却水槽91の下流端に配設された、冷却済みの圧力容器1を引き上げる引上げベルト92とを備えている。そして、マイクロ波照射フード82から導出された圧力容器1は、搬送ベルト32の下流端から冷却水槽91内に順次落下し、水冷されつつ順次落下してくる後続の圧力容器1に押されて下流側に向かって移動し、引上げベルト92によって引き上げられて食品取出し機構10に供給されるようになっている。
【0087】
そして、冷却機構9では、圧力容器1内の包装食品Fが100℃以下まで冷却されて包装食品F内の圧力が略1000ヘクトPaにまで降圧され、これによって天板12を開放しても包装食品Fが破袋しないようにされる。
【0088】
上記食品取出し機構10は、ロック部材15による圧力容器1の閉止ロックを解除して天板12を開放するロック解除手段101と、このロック解除手段101によって開放された装填室130から包装食品Fを取り出して空の圧力容器1と包装食品Fとに分離する分離手段102とを備えている。
【0089】
そして、包装食品Fは、ロック解除手段101の動作で開放された装填室130から分離手段102の動作で取り出されて次工程に向けて送り出される一方、空になった圧力容器1は、搬送ベルト32の上流側に返送されて循環使用されるようになっている。なお、次工程に送り出されるまでの包装食品Fに対して第2次冷却処理を施し、これによって包装食品Fをさらに低温にまで冷却するようにしてもよい。
【0090】
このようなマイクロ波加熱殺菌装置2によれば、搬送手段3の上流端に空の圧力容器1を順次供給していくことにより、搬送ベルト32の周回移動で下流側に向けて順次搬送されながら、食品装填機構4で包装食品Fが圧力容器1の装填室130内に装填され、水装填機構5で所定量の水が装填室130内に供給され、容器密閉機構6で包装食品Fおよび水Wの装填された装填室130が天板12によって密閉され、圧力設定機構7で密閉状態の装填室130内に所定圧力の空気が導入され、圧力容器1がマイクロ波照射フード82内に入ると、マイクロ波発振機81から導波管83を通って導波されたマイクロ波が合成樹脂製の容器本体13を透過して装填室130内に侵入することにより包装食品Fがマイクロ波加熱で殺菌処理される。
【0091】
なお、圧力容器1の底板11および天板12のいずれか一方または双方にマイクロ波が透過する1または複数の孔を穿設しておけば、マイクロ波はこの孔を通って容器本体13内に侵入するため、包装食品Fに対するより均一で迅速なマイクロ波加熱が実現する。
【0092】
そして、内部の包装食品Fが殺菌処理された圧力容器1は、搬送ベルト32の下流端からつぎの冷却機構9に供給されて所定温度まで冷却され、食品取出し機構10で殺菌処理済みの包装食品Fが装填室130から取り出されてつぎの工程に送り出されるとともに、空の圧力容器1は搬送ベルト32の上流端に戻されて再使用される。
【0093】
このように、包装食品Fは、搬送手段3により上流端から下流端に向けて搬送されつつ各種の処理が施されるため、ほとんど人手を介することはなく自動的に殺菌処理を施すことが可能になり、大量の包装食品Fを対象に殺菌処理を効率的に行う上で有効である。
【0094】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0095】
(1)上記の実施形態においては、容器本体13の装填室130に水が装填されるようにしているが、本発明は、装填室130に装填される液体が水であることに限定されるものではなく、食塩水、酢酸溶液、アンモニア水、炭酸ソーダ溶液、重炭酸ソーダ溶液、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)、各種のオイル類等、誘電加熱され得る液体であればどのようなものでもよい。
【0096】
(2)上記の実施形態においては、容器密閉工程P3における圧力容器1の密閉処理が完了した後の圧力設定工程P4で圧力容器1の装填室130内に水の飽和蒸気圧に相当する圧力(すなわち水が130℃にまで加熱されるときは略3000ヘクトPa)の高圧空気を注入するようにしているが、本発明は、圧力設定工程P4で水の飽和蒸気圧と同一の圧力の高圧空気導入することに必ずしも限定されるものではなく、飽和蒸気圧以下の圧力の空気を導入してもよい。その理由は、圧力容器1にマイクロ波が照射されると、装填室130内の包装食品Fがマイクロ波加熱されると同時に装填室130内に充填されている水Wも同様にマイクロ波加熱され、装填室130内が確実に密閉状態になっている場合には装填室130内の圧力は包装食品F内の圧力と略同一になっているはずであり、包装食品F内外の圧力が拮抗していることにより包装食品Fが破袋することがないからである。
【0097】
しかしながら、装填室130内が完全な密閉状態になっていない場合や密閉状態になっているか否か不安要素があるとき、あるいは装填室130内にマイクロ波加熱され難い液を注入する場合には、上記実施形態で説明したとおり、装填室130内を所定の高圧に維持するための高圧空気を装填室130内に導入する必要がある。
【0098】
(3)上記の実施形態においては、圧力容器1内に1つの包装食品Fが装填された例について説明したが、本発明は、圧力容器1内に装填される包装食品Fが1つであることに限定されるものではなく、複数個であってもよい。但し、装填個数が多すぎると均一加熱が困難になるため、1〜5個の範囲内に留めておくことが好ましい。
【0099】
(4)上記の実施形態で説明した圧力容器1に代えて図6に示すような圧力容器1aを採用してもよい。この圧力容器1aは、食品が丼形包装容器F1に装填された包装食品F0を対象とするものであり、底板11と天板12と容器本体13とで構成されている点は先の実施形態と同様であるが、底板11の中央位置にマイクロ波を透過させるための穴11aが穿設されている点と、容器本体13の上端内周縁部に丼形包装容器F1のフランジ部F2を嵌め込む環状段差部13eが形成されている点とが先の実施形態のものと相違している。
【0100】
かかる圧力容器1aによれば、穴11aの存在によってマイクロ波がこの部分からも包装食品F0内に侵入することが可能になり、包装食品F0のより均一なマイクロは加熱をより迅速に行うことが可能になるとともに、フランジ部F2が天板12と容器本体13との間に押圧挟持された状態になるため、包装食品F0の圧力容器1内への装填状態を安定させることができる。さらに、天板12と包装食品F0とが密着しているため、冷却工程において包装食品F0を熱伝導率の高い金属製の天板12を通じて迅速に冷却することができる。
【0101】
(5)上記の実施形態においては、図5に示すように、圧力容器1を冷却水槽91に投入して圧力容器1ごと内部の包装食品Fを冷却するようにしているが、こうする代わりに装填室130内に冷却水を注入して包装食品Fを冷却水で直接冷却するようにしてもよい。
【0102】
【実施例】
(1)第1実施例
本発明の効果を確認するために、実施例として合成樹脂製のトレー内に流動性食品の装填された包装食品を圧力容器1(図1)の装填室130内に装填するとともに、装填室130内が満杯にならないように水を注入したのち圧力容器1を密閉し、この圧力容器1を介して装填室130内の流動性食品にマイクロ波を照射しながら圧力容器1内の包装食品の温度の経時変化を測定する効果確認試験を行った。
【0103】
また、比較例として装填室内に水を注入しない他は実施例と同一条件で同様に流動性食品の温度の経時変化を測定する比較試験を行った。
【0104】
試験条件は以下の通りであった。
【0105】
マイクロ波の周波数:2,450MHz
マイクロ波出力:480W
包装食品の重量:250g
流動性食品の粘度:400CP
トレー内への水の注入量:30ml(実施例のみ)
試験結果を図7に示す。因みに、図7は、包装食品の温度上昇の経時変化を示すグラフであり、(イ)は実施例のグラフ、(ロ)は比較例のグラフである。
【0106】
図7のグラフに示すように、実施例においては、包装食品の中心位置の温度はその上面および下面とも時間の経過とともに上に凸の2次曲線的カーブを描いていずれの時点でもほとんど温度差なく経時的に昇温しており、略120℃で温度が平衡状態に達している。また、包装食品のエッジ部分についても中心位置より若干低温ではあるが、同様の傾向で昇温しており、いずれの時点でもエッジ上面とエッジ下面との間でほとんど温度差が認められなかった。
【0107】
これに対し比較例の場合、包装食品の中心位置の経時的な温度上昇は略40℃に到達するまでは緩やかであり、その後は中心位置の上面の昇温速度が急に速くなっているのに対し、中心位置の下面の昇温速度は変化がなく、これによってマイクロ波加熱が終了した時点では包装食品の中心位置の上面と下面とで略25℃の温度差が生じていることが確認された。また、包装食品のエッジ部分の経時的な温度変化についても、急激に昇温速度が速くなる時点が中心位置の場合より早期に訪れる他は、中心位置の場合と同様の昇温傾向を示しており、マイクロ波加熱が終了した時点で上面および下面間に略10℃の温度差の存在することが確認された。
【0108】
また、比較例の場合は、マイクロ波加熱後の包装食品を開封して内部の流動性食品を点検したところ、エッジ部分に焦げ目が発生していることが確認された。これは、包装食品は中心部分よりエッジ部分の方が高温になり、かつ、この高温状態が長時間に亘って継続するためであると考えられる。
【0109】
これに対し、実施例の場合は、マイクロ波加熱が終了した時点で中央位置の方がエッジ部分よりも略10℃高温であり、かつ、エッジ部分は略100℃であるから、流動性食品に焦げ目が生じることはなく、中心温度およびエッジ温度ともに安定した状態で100℃以上で加熱処理することができた。
【0110】
以上より、圧力容器内に満杯にならないように水を注入する本発明は、非常にばらつきの少ない状態で均一に包装食品のマイクロ波加熱を行い得るものであることを実証することができた。
【0111】
(2)第2実施例
食品を装填する容器としてトレーの代わりに合成樹脂製のカップ(容量400ml)を用いるとともに、食品としてホワイトソースを採用し、第1実施例と同様の試験を実施した。試験結果は以下の通りである。
【0112】
【0113】
雑菌の存否 検出せず 検出
第2実施例からも、本発明が優れたものであることが判る。
【0114】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、容器の内部に包装食品を装填する食品装填工程と、容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を充填する液体充填工程と容器を密閉する容器密閉工程と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入工程とを有するとともに、最終工程として容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程を実行するようにしているため、食品装填工程において容器の内部に包装食品を装填し、液体充填工程において容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を充填し、空気圧入工程において密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入することにより、内部に包装食品および液体が装填され、かつ、内部の圧力調整が行われた加熱処理直前の食品装填済み容器をえることができる。そして最終工程であるマイクロ波照射工程で容器を介して包装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の包装食品に対し容器を透過したマイクロ波により加熱殺菌処理を施すことができる。
【0115】
そして、たとえ包装食品のエッジ部分が過加熱される、いわゆるエッジ効果が発生しても、エッジ部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによって温度が降下し、これによって従来起こっていた食品温度の不均一を抑制することができる。
【0116】
また、包装食品のエッジ部分が水没している場合には、エッジ部分はマイクロ波加熱の面からは実質的にエッジ部分でなくなっているため、エッジ効果を生じないようにすることができる。
【0117】
また、容器の中には液体の他に空気も装填されているため、マイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨張しても、この熱膨張が空気の圧縮によって吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器コストを廉価にすることができる。
【0118】
さらに、容器の内部空間は所定圧力の空気が圧入されるが、この所定圧力を水の飽和蒸気圧に見合う圧力に設定することにより、殺菌効果を高めるために包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱して食品中の水の蒸発で起こる包装食品の膨張が抑えられ、これによって包装食品の破袋を防止することができる。
【0119】
このように、請求項1記載の発明にあっては、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイクロ波加熱による従来の殺菌処理に比較してより確実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処理コストの低減化に貢献することができる。
【0120】
請求項2記載の発明によれば、容器内に装填する液体として誘電加熱されるものを採用したため、容器にマイクロ波が照射されると、容器内は包装食品の周りに存在する誘電加熱が可能な液体も含めて全体的にマイクロ波加熱されるため、液体が存在しないときに包装食品のエッジ部分が過加熱される、いわゆるエッジ効果が起こらなくなり、これによって包装食品の均一加熱を実現することができる。
【0121】
請求項3記載の発明によれば、液体は、予め誘電損失係数を所定の処理により調整されたものとしたため、液体の誘電損失係数が種々変更されることにより、目的に応じて、包装食品のエッジ効果を防いだ上で、より効率的に、かつ、均一に包装食品に殺菌処理を施すことが可能になる。
請求項4記載の発明によれば、液体を予め所定の温度に調節した状態で容器に注入するようにしたため、包装食品にマイクロ波が照射される時点で、液体はマイクロ波加熱されるまでもなくすでに所定の温度に調節されおり、包装食品はこの所定温度の液体から伝熱で熱を受けて加熱され、マイクロ波加熱との相加作用でより迅速な殺菌処理を行うことができる。
【0122】
請求項5記載の発明によれば、包装食品へのマイクロ波照射中に容器を少なくとも1回上下反転させるようにしたため、包装部材に装填された内部食品の温度分布の不均一が、容器を反転させることによる食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布の均一化を達成することができる。
【0123】
請求項6記載の発明によれば、液体充填工程で充填される液体の量は、少なくとも内部空間の1/2以上に設定したため、例えば包装食品が袋に食品の装填されたいわゆるパウチ食品の場合など、エッジ部分が液体に浸された状態になり、これによってエッジ効果を確実に回避することができる。
【0124】
請求項7記載の発明によれば、容器の内部に1または複数の包装食品を装填するとともに包装食品が収容された内部空間を満たさない量の液体を注入して容器を密閉する包装食品装填機構と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入機構と、空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段とを備えたため、包装食品装填機構の駆動によって容器の内部に1または複数の包装食品が装填されるとともに、包装食品が収容された状態で容器の内部空間を満たさない量の誘電性を有する液体が注入され、その後容器が密閉されることによって容器内への包装食品の装填を完了させることができる。引き続き空気圧入機構の駆動で包装食品が装填され密閉された容器の内部空間に所定圧力の空気を圧入しながらマイクロ波照射手段の駆動で空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射することにより、容器内の包装食品をマイクロ波加熱による昇温で殺菌処理することができる。
【0125】
そして、包装食品に含まれている水分が蒸発することによって到達する水蒸気による包装食品内の圧力と、容器の内部空間の空気圧力とが常に拮抗した状態になるため、包装食品を形成している包装部材の膨張による破袋が確実に防止される。
【0126】
また、マイクロ波照射手段の駆動によるマイクロ波の照射で、包装食品にたとえエッジ効果が発生してエッジ部分が過加熱されても、エッジ部分あるいはその近傍は容器内に充填された液体に接触しているため、過加熱された部分の熱が液体に伝熱されることによって温度が降下し、これによって従来起こっていた食品温度の不均一を抑制することができる。
【0127】
また、たとえマイクロ波加熱で昇温した液体が熱膨張しても、この熱膨張が容器の中に導入された空気の圧縮で吸収されるため、容器を液体の熱膨張に耐える程に頑丈なものにする必要がなく、その分容器のコストを安価にすることができる。
【0128】
このように、請求項7記載の発明にあっては、容器に装填された包装食品を100℃以上にマイクロ波加熱しても包装食品が破袋することがないため、破袋が起こらないように100℃以下で行われていたマイクロ波加熱装置による従来の殺菌処理に比較してより確実で迅速な殺菌処理が実現し、マイクロ波加熱による殺菌処理コストの低減化に貢献することができる。
【0129】
請求項8記載の発明によれば、液体の誘電損失係数を所定の処理により調節する水処理装置をさらに備えたこととしたため、液体の誘電損失係数を種々変更することにより、目的に応じて、包装食品のエッジ効果を防いだ上で、より効率的に、かつ、均一に包装食品に殺菌処理を施すことが可能になる。
請求項9記載の発明によれば、複数個の容器を所定の移動路に沿って移動させる容器移動手段を設け、移動路に沿って包装食品装填手段と、マイクロ波照射手段とを配設したため、容器移動手段の駆動で複数個の容器を移動路に沿って移動させながら、包装食品装填手段およびマイクロ波照射手段を駆動することにより包装食品に対して連続的に殺菌処理を施すことが可能になり、殺菌処理効率の向上を達成することができる。
【0130】
請求項10記載の発明によれば、マイクロ波照射手段の下流側に容器を介して包装食品を冷却する冷却機構と、冷却された包装食品を容器から取り出す食品取出し機構とをそれぞれ設けたため、マイクロ波加熱で加熱された包装食品が装填されている容器は、マイクロ波照射手段の下流側に設けられた冷却機構によって冷却されることにより、容器を介して内部の包装食品も冷却され、これによる包装食品内で発生していた水蒸気の凝縮で包装食品内の圧力を低下させることができる。従って、つぎの食品取出し機構の駆動で容器から包装食品を取り出すに際し、包装食品の破袋を防止することができる。
【0131】
請求項11記載の発明によれば、マイクロ波加熱中の容器を容器反転機構の駆動で上下反転させることにより、包装部材に装填された内部食品の温度分布の不均一が、反転による食品の攪拌効果で解消され、包装食品の温度分布の均一化を達成することができる。
【0132】
請求項12記載の発明によれば、容器を、底板と、天板と、これら底板および天板間に介設された環状の外壁部と、外壁部が底板および天板間に介設された状態をロックするロック手段とから構成したため、底板の上に環状の外壁部を載置した状態で、外壁部内に包装食品を装填する内部収容空間を形成することができる。この状態で内部収容空間に包装食品および所定量の水を装填し、その後天板で内部収容空間を閉止してからロック手段の操作で外壁部を介して天板を底板にロックすることにより、包装食品を容器に装填した状態にすることができる。そして、外壁部をマイクロ波が透過する材料で形成したため、容器に向けてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波は外壁部を透過して内部の包装食品に到達し、これによって包装食品をマイクロ波加熱することができる。
【0133】
また、容器は、底板、天板および環状の側壁部とで構成されているため、構造が簡単でありながら、これらの構成要素の厚み寸法を適切に設定することにより容易に圧力容器となり、容器の製造コストの低減化を図ることができる。
【0134】
さらに、容器は、底板および天板の少なくとも一方を金属材料で形成しているため、この金属材料を構造材として使用することにより、他の部分が金属材料でなくても、容器を全体的に耐圧構造にすることができる。特にロック手段は、それを支持する部分を金属材料からなる底板または天板に設けることにより、構造的に安定したものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置に適用される圧力容器の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
【図2】図1に示す圧力容器の組立て斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図であり、(イ)は天板が開放された状態、(ロ)は天板が閉止された状態をそれぞれ示している。
【図4】本発明方法の一実施形態を示す工程図である。
【図5】本発明に係るマイクロ波加熱殺菌装置の一実施形態を示す説明図である。
【図6】圧力容器の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】包装食品の温度上昇の経時変化を示すグラフであり、(イ)は実施例のグラフ、(ロ)は比較例のグラフである。
【符号の説明】
F 包装食品 1 圧力容器
11 底板 12 天板
12b ロック溝 13 容器本体
130 装填室 14 蝶番部材
15 ロック部材 15d ロックボルト
16 Oリング 17 圧空導入管
18 クイックカプラー
2 マイクロ波加熱殺菌装置
3 搬送手段 32 搬送ベルト
4 食品装填機構 41 天板開放手段
42 装填手段 5 水装填機構
51 制御バルブ 52 貯水槽
53 水処理装置 6 容器密閉機構
61 天板閉止手段 7 圧力設定機構
71 圧縮ポンプ 72 圧空配管
73 接離手段 8 マイクロ波照射装置
81 マイクロ波発振機
82 マイクロ波照射フード
83 導波管 84 容器反転手段
9 冷却機構 91 冷却水槽
92 引上げベルト 10 食品取出し機構
101 ロック解除手段
Claims (12)
- 包装食品より大きい内部収容空間を有する密閉容器内に収容された包装食品にマイクロ波を照射することにより包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌方法であって、上記容器の内部に包装食品を装填する食品装填工程と、容器に包装食品が収容された状態で内部空間を満たさない量の液体を充填する液体充填工程と、容器を密閉する容器密閉工程と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入工程とを有するとともに、最終工程として容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程を実行することを特徴とするマイクロ波加熱殺菌方法。
- 上記液体は、誘電加熱されるものであることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
- 上記液体は、予め誘電損失係数を所定の処理により調整されたものであることを特徴とする請求項2記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
- 上記液体を予め所定の温度に調節した状態で上記容器に注入することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
- 包装食品へのマイクロ波照射中に上記容器を少なくとも1回上下反転させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
- 上記液体充填工程で充填される液体の量は、少なくとも上記内部空間の1/2以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌方法。
- 密閉容器内に収容された包装食品にマイクロ波を照射することにより包装食品を加熱殺菌するマイクロ波加熱殺菌装置であって、上記容器の内部に1または複数の包装食品を装填するとともに包装食品が収容された内部空間を満たさない量の液体を注入して容器を密閉する包装食品装填機構と、この密閉された内部空間に所定圧力の空気を圧入する空気圧入機構と、空気の圧入された容器を介して包装食品にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段とが備えられていることを特徴とするマイクロ波加熱殺菌装置。
- 上記液体の誘電損失係数を所定の処理により調節する水処理装置をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
- 複数個の上記容器を所定の移動路に沿って移動させる容器移動手段が設けられ、上記移動路に沿って上記包装食品装填手段と、上記マイクロ波照射手段とが配設されていることを特徴とする請求項7または8に記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
- 上記マイクロ波照射手段の下流側に容器を介して包装食品を冷却する冷却機構と、冷却された包装食品を容器から取り出す食品取出し機構とがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項9記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
- 包装食品へのマイクロ波照射位置に上記容器を上下反転させる容器反転機構が設けられていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
- 上記容器は、底板と、天板と、これら底板および天板間に介設された環状の外壁部と、外壁部が底板および天板間に介設された状態をロックするロック手段とから構成され、上記底板および天板の少なくとも一方は金属材料で形成されているとともに、上記外壁部はマイクロ波が透過する材料で形成されていることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
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