JP4498824B2 - 皮革様シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伸縮性に優れた皮革様シートに関するものである。更に詳しくは、本発明は繰り返し伸長変形を行っても実質的に構造変形を生じない、すなわち伸縮性、形態保持性、形態安定性および形態回復性に優れ、かつ柔軟で充実感のある風合いを有している皮革様シート、特に、外観が良好で、風合い、伸縮性およびドレープ性に優れた立毛調皮革様シートに関するものである。また、本発明は上記皮革様シートの製造方法に関するものである。
織編物、不織布などの繊維布帛、あるいは内部に弾性重合体の発泡構造を有する繊維質基体の少なくとも片面に立毛を形成させた立毛シートは立毛の長さやキメの細かさなどによって表現される外観、風合いおよび触感が天然皮革のスエードやヌバックに似ていることから、スエード調またはヌバック調の立毛シートとして近年多量に生産されている。中でも特に、極細繊維束からなる絡合不織布とこれに含有された弾性重合体とからなる繊維質基体の表面に該極細繊維束からなる立毛を存在させたスエード調あるいはヌバック調などの公知の立毛調人工皮革は、立毛面の優美さ、ソフトなタッチ、充実感のある風合い、軽量でありながら優れたドレープ性、編織布基体に見られる切断面の糸のほつれが発生しないなどの優れた特徴を有し、構造面で天然皮革に類似するのみならず、品質面で天然皮革と同等以上の性能を有する素材である。
このような立毛調人工皮革の品質をさらに高めて、スエード感あるいはヌバック感等の外観、柔軟な手触り、優れた風合いおよびドレープ性等の美感、触感、着心地感に関わる特性をすべて満足する高品質のものを提供することが求められている。
例えば、伸縮性があり且つ風合いの優れた立毛調人工皮革を得るために、弾性ポリマーからなる繊維(弾性繊維)と非弾性ポリマーからなる繊維(非弾性繊維)を絡合して得られる不織布を、面積割合で10〜80%収縮させた、伸縮性に優れた絡合不織布が知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、提案された弾性繊維と非弾性繊維から得られる人工皮革は、弾性繊維が全てが繊維状態のままで存在しておりフレキシブルであるためにドレープ性には優れているが、非弾性繊維を保持するバインダー効果が少ないのでバフィング等による起毛工程の通過性が悪く、毛羽感がラフでスエードあるいはヌバックの外観にはほど遠いものであった。
また、融点の異なる2種以上の弾性繊維を発生させる複合繊維と極細非弾性繊維発生型繊維とを使用した、良好な機械的性能を併せもった人工皮革が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、上記人工皮革を構成する低融点の弾性繊維が溶融することによって低度のバインダー効果を付与しているだけで、バインダー効果は不十分であった。そしてこれらの方法ではスエード調の外観に優れた人工皮革を製造することはできなかった。
また、非弾性極細繊維を発生する海島型繊維のみからなる不織布にポリウレタンを含浸させ、溶剤抽出などで海成分を除去して非弾性極細繊維を発生させた後、染色処理することによって外観の優れた人工皮革が得られることが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。しかしながら、該不織布中に弾性繊維が含まれていないため、繰り返し伸長変形を行うと構造変化を生じる。また、含浸されたポリウレタン樹脂が不織布内部に発泡シート状に存在しているため、柔軟な手触り、風合いおよびドレープ性に優れた人工皮革は得られなかった。
特公平01−41742号公報 特公平03−16427号公報 特公平05−65627号公報
上記特許文献1および特許文献2に記載されているような方法では、伸縮性は得られるものの、優れた外観を有する繊維立毛面は得られなかった。また、特許文献3に記載の方法によると、優れた外観は得られるが、優れた伸縮性、風合いおよびドレープ性を得ることは困難であった。
本発明の目的は、弾性ポリマーからなる繊維と非弾性ポリマーからなる極細繊維が混在する繊維絡合不織布からなり、優れた伸縮性、風合い、ドレープ性を有する皮革様シートおよびその製造方法、さらには外観に優れた立毛調皮革様シートを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記目的は、部分的に多孔質状態である弾性繊維と非弾性極細繊維から絡合不織布を形成し、かつ、弾性繊維同士が部分的に融着した構造にすることにより達成されることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、弾性ポリマーからなる繊維と平均単繊維繊度0.1デシテックス以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維が混在した絡合不織布を有する皮革様シートにおいて、該弾性ポリマーからなる繊維が部分的に多孔質状態であり、さらに、該弾性ポリマーからなる繊維同士が部分的に融着していることを特徴とする皮革様シートに関する。
該弾性ポリマーからなる繊維同士は、部分的に融着して部分的に網目構造を形成していることが好ましく、非弾性ポリマーからなる極細繊維と弾性ポリマーからなる繊維が部分的に密着した構造を有することが好ましい。
さらに、本発明は、上記皮革様シートの少なくとも片面に、非弾性ポリマーからなる極細繊維を主体とする立毛が形成されている立毛調皮革様シートに関する。
また、本発明は、下記I〜IVの工程を順次行うことを特徴とする皮革様シートの製造方法に関する。
I.弾性ポリマーからなる繊維形成成分の一部が少なくとも表面の一部に露出している、弾性ポリマーからなる繊維を発生し得る繊維(A)と平均単繊維繊度が0.1dtex以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維を発生し得る繊維(B)からなる絡合不織布を製造する工程、
II.該絡合不織布に、該弾性ポリマーに対する良溶剤を少なくとも含む液を含浸させ、該繊維(A)中の弾性ポリマーを部分的に溶解させる工程、
III.該絡合不織布に、該弾性ポリマーに対する貧溶剤を少なくとも含む液を含浸させ、部分的に溶解した弾性ポリマーを部分的に多孔質状態の弾性ポリマーにする工程、及び
IV.該繊維(A)および該繊維(B)を、それぞれ、弾性ポリマーからなる繊維および平均単繊維繊度が0.1デシテックス以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維に変換する工程。
本発明の皮革様シートは、弾性繊維が部分的に多孔質状態であり、弾性繊維同士が部分的に融着しているため、繰り返し伸長変形を行っても実質的に構造変化を生じない。また、伸縮性、形態保持性、形態安定性および形態回復性に優れ、かつ柔軟で充実感のある風合いを有している。該皮革様シートを用いることにより、外観が良好で、風合い、伸縮性およびドレープ性に優れた立毛調皮革様シートを製造することができる。
次に本発明について詳細に説明する。
弾性ポリマーからなる繊維(弾性繊維)は、弾性ポリマー単独で溶融紡糸するか、または、弾性ポリマーと該弾性ポリマーとは化学的または物理的性質の異なる少なくとも1種類の可紡性ポリマーを組み合わせて溶融紡糸した多成分系繊維を分割するか、あるいは、該多成分系繊維から少なくとも1種類のポリマーを抽出除去することにより得られる。該多成分系繊維は、少なくともその表面の一部に弾性繊維形成成分が存在しており、分割、抽出操作などにより弾性繊維を発生し得る繊維(以下、単に繊維(A)と称する)である。繊維(A)としては、表面の一部に弾性ポリマーが存在するような構造を有する複合繊維であれば特に限定されないが、海島型繊維、分割型繊維等が好ましく挙げられる。中でも海島型繊維がより好ましく、海島型混合紡糸繊維が、該繊維の表面の一部に弾性ポリマーが島成分としてランダムに存在しやすい点でさらに好ましい。繊維(A)の表面において、弾性ポリマーが占める面積割合は、0.1〜95%が好ましく、より好ましくは、1〜70%である。0.1%以上であると、弾性繊維を部分的に多孔質状態にし易くなり、弾性繊維同士の部分的融着状態が得られ易い。また、95%以下であると、弾性ポリマーの性質に起因するカード通過性等の工程通過性の低下を防止することができる。
弾性ポリマーとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカ−ボネートポリオールなどの数平均分子量500〜3500のポリマーポリオールから選ばれた少なくとも1種と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ポリイソシアネートと、1,4−ブタンジオール、エチレンジアミンなどの活性水素原子を2個有する鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウレタン類;ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマーなどのポリエステルエラストマー類;ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマーなどのポリアミドエラストマー類;ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジエン系重合体;ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共役ジエン系重合体ブロックを分子中に有するブロック共重合体類;溶融紡糸可能なゴム弾性挙動を有するエラストマー類が挙げられる。中でも、高柔軟性、低反発性および高摩擦抵抗性で、非弾性極細繊維への密着効果が高いこと、更には耐熱性、耐久性に優れることなどの点でポリウレタン類が最も好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲にて、弾性ポリマーにはカーボンブラック等の顔料や樹脂の熱安定性向上剤等の添加剤を添加することができる。
多成分系繊維である繊維(A)の海成分ポリマー(抽出または分解除去されるポリマー)は、島成分ポリマーとは、溶剤に対する溶解性または分解剤に対する分解性が異なる必要がある。例えば、溶解性または分解性が島成分ポリマーより大きく、島成分ポリマーとの相溶性または親和性が小さく、かつ、溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度より小さく、あるいは、表面張力が島成分ポリマーの表面張力より小さいポリマーが海成分ポリマーとして好ましく使用される。このようなポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、変性ポリスチレン、エチレンプロピレン共重合体などの易溶解性のポリマーや、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコール等で変性(共重合)したポリエチレンテレフタレートなどの易分解性のポリマーなどの溶融紡糸可能なポリマーが挙げられる。
非弾性ポリマーからなる極細繊維(非弾性極細繊維)は、非弾性ポリマーと該非弾性ポリマーとは化学的または物理的性質の異なる少なくとも1種類の可紡性ポリマーからなる多成分系繊維を分割するか、あるいは、該多成分系繊維から少なくとも1種類のポリマーを抽出除去することにより得られる。該多成分系繊維は、分割、抽出操作などにより平均単繊維繊度が0.1dtex以下の非弾性極細繊維を発生し得る繊維(以下、単に繊維(B)と称することもある。)である。繊維(B)としては、平均単繊維繊度が0.1dtex以下の非弾性極細繊維を発生し得る複合繊維であれば特に限定されないが、海島型繊維、分割型繊維等が好ましく挙げられる。繊維(B)の非弾性ポリマーの含有量は、10〜90質量%であるのが好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
非弾性ポリマーとしては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、それらの共重合体などの溶融紡糸可能なポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートなどの溶融紡糸可能なポリエステル類;ポリプロピレン、その共重合体などの溶融紡糸可能なポリオレフィン類などが挙げられる。上記ポリマーは、単独または2種以上のポリマーを独立にもしくは混合して使用してもよい。
繊維(B)が海島型繊維の場合、島成分を構成する非弾性ポリマーは、発生する非弾性極細繊維同士を必要以上に融着させることなく分繊、ミクロファイバー化する必要がある。従って、上記繊維(A)および繊維(B)が共に海島型繊維の場合、海成分を抽出除去するための溶剤処理等によって、少なくとも非弾性極細繊維同士を融着させないような非弾性ポリマーを選択することが好ましい。具体的には海成分除去処理における溶剤膨潤率が10質量%以下であるポリマーが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲にて、非弾性ポリマーにはカーボンブラック等で代表される顔料や樹脂の熱安定性向上剤等の添加剤を添加することができる。
繊維(B)の海成分ポリマーは、繊維(A)の場合と基本的には同様であり、繊維(A)に関して記載したポリマーが使用できる。繊維(B)と繊維(A)の海成分は異なるポリマーであってもよいが、海成分除去を効率的に行う上で、同種のポリマーであることが好ましい。
溶融紡糸安定性の点から、非弾性ポリマー、繊維(A)および繊維(B)の海成分を構成するポリマーは、弾性ポリマーの溶融紡糸可能温度に適した融点を持つポリマーを選択することが好ましい。例えば、弾性ポリマーとしてポリウレタン類を用いる場合には、非弾性ポリマーおよび海成分を構成するポリマーの融点は230℃程度以下、弾性ポリマーにポリエステルエラストマー類やポリアミドエラストマー類を使用する場合には、非弾性ポリマーおよび海成分を構成するポリマーの融点は260℃程度以下のものを選択するのが好ましい。
繊維(A)および繊維(B)は、公知の紡糸方法で得ることができ、公知の方法で不織布にする。例えば、繊維(A)および繊維(B)を延伸後、捲縮、カット、油剤を付与し、所望の比率で混綿(混合)した後、それをカードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成する。この場合、繊維(A)と繊維(B)の混綿(混合)率は、弾性ポリマー:非弾性ポリマーが質量比で、20:80〜80:20になるようにするのが、皮革様シートの伸縮性と風合いが優れる点で好ましく、また、立毛調皮革様シートの立毛状態が良好である点で好ましい。弾性ポリマーの比率が20質量%以上であると、得られる皮革様シートの伸縮性が良好になり、80質量%以下であると、起毛処理の効果が発現しにくくなるのを避けることができ、さらに、ゴムライクで不十分な立毛状態になることを防止することができる。
次いで、得られたウェブを、所望の重さ、厚さに積層した後、ニードルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理して絡合不織布とする。該絡合不織布は、50〜150℃の範囲の温度で加熱処理、あるいは、50〜95℃の範囲の熱水で加熱処理し収縮させることが優れた伸縮性を得る点で好ましい。収縮率は、繊維の種類、弾性ポリマーと非弾性ポリマーの質量比率、繊維(A)と繊維(B)の紡糸条件および延伸条件などにより決まる。得られる皮革様シートの外観および伸縮性が良好になる点、さらに、繰り返し伸長変形を行っても皮革様シートが実質的に構造変化しにくい点で、該絡合不織布の面積収縮率を5〜50%の範囲とすることが好ましい。
また、必要に応じて該絡合不織布を、例えばポリビニルアルコール系樹脂などの水溶性糊剤等で代表される溶解除去可能な樹脂で仮固定してもよい。また、表面の平滑性を向上させ、さらに立毛調皮革様シートに優れたライティング効果を付与する点から、該絡合不織布の表面を公知の方法で熱プレス処理してもよい。
得られた絡合不織布の厚みは、皮革様シートの用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、1層の場合には、0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.20〜0.65g/cm3が好ましく、0.25〜0.55g/cm3がより好ましい。0.20g/cm3以上であると、繊維の立毛感が不足し、さらに機械物性が低下するのを避けることができる。0.65g/cm3以下であると得られる皮革様シートの風合いが硬くなるのを避けることができる。
次に、絡合不織布に、弾性ポリマーに対する溶剤を少なくとも含む処理液Aを含浸させ、繊維(A)の表面や端面に存在している弾性ポリマー(弾性繊維形成成分)を部分的に溶解させる。次いで、弾性ポリマーに対する非溶剤を少なくとも含む処理液Bを含浸させ、溶解した弾性ポリマーを多孔質状態に凝固させると同時に、繊維(A)同士を弾性ポリマーを介して部分的に融着させる。
弾性ポリマーに対する溶剤としては、例えば、弾性ポリマーがポリウレタンの場合には、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、アルコール類等のポリウレタンに対する良溶剤が挙げられ、中でもDMFが好ましい。処理液Aは、弾性ポリマーに対する良溶剤と貧溶剤の組み合わせであってもよく、弾性ポリマーを低濃度で含んでいてもよい。弾性ポリマーの濃度は、固形分で1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。30質量%以下であると、含浸量にも左右されるが、弾性繊維及び/又は非弾性極細繊維が弾性ポリマーによって固定され自由度を失い、得られる皮革様シートのドレープ性や伸縮性が低下するのを防ぐことができる。
処理液Aが弾性ポリマーを含む場合、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類の平均分子量500〜3000のポリマージオールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの芳香族系、脂環族系、脂肪族系の有機ポリイソシアネートから選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネートと、エチレングリコール、エチレンジアミン等の2個以上の活性水素原子を有する、少なくとも1種の低分子化合物とを所定のモル比で反応させて得たポリウレタンが弾性ポリマーとして好ましく用いられる。また、必要に応じて、ポリウレタンに合成ゴム、ポリエステルエラストマーなどの重合体を添加してもよい。弾性ポリマーを含む処理液Aには必要に応じて着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤等の添加剤を配合してもよい。
処理液Aが弾性ポリマーを含む場合、含浸させた処理液A中の弾性ポリマーと絡合不織布に含まれる弾性ポリマー総量との質量比は0.2/100〜30/100が好ましく、0.5/100〜10/100であることがより好ましい。該質量比が30質量%以下であると、得られる皮革様シートの伸縮性、風合い、ドレープ性が低下するのを防止することができる。
弾性ポリマーの非溶剤としては、弾性ポリマーがポリウレタンの場合、水等のポリウレタンに対する貧溶剤が挙げられる。処理液Aを絡合不織布に含浸させた後、処理液Bを含浸させることによって、一部溶解していた弾性ポリマーが多孔質状態で凝固する。凝固するときに、別の場所にそれぞれ存在する溶解した弾性ポリマー同士が一部互いに融着し、繊維(A)が部分的に融着される。繊維(A)の表面に存在する弾性繊維形成成分の存在比率を公知の紡糸方法で高めたり、処理液Aの含浸量を多くしたり、さらに処理液A中の弾性ポリマーに対する良溶剤の比率を高めたりすることによって、繊維(A)同士の融着箇所の数を調節し、部分的に網目構造を発生させることが好ましい。
ここで多孔質状態とは、弾性ポリマーを湿式凝固させたときに形成される微細なスポンジ状態をいう。繊維(A)から発生する弾性繊維が部分的に多孔質状態であると、得られる皮革様シートの風合いやドレープ性が優れる。
処理液Aを含浸させる方法としては、浸漬法、グラビア法、スプレー法等の公知の方法が挙げられる。中でも絡合不織布内部まで十分に含浸させることが可能であり、さらに、繊維(A)の表面に充分に付着させ易い点で浸漬法が好ましく用いられる。
絡合不織布に処理液Aを含浸させることにより、繊維(A)の表面や端面に露出している弾性繊維形成成分が部分的に溶解する。必要以上の溶解を避けるために、処理液Aによる処理は、10〜60℃で30秒〜4分間行うのが好ましい。処理後、直ちに、あるいは、過剰の処理液Aを除いた後、処理液Bを含浸させる。処理液Bは、処理液Aに関して述べた方法により含浸させることができる。処理液Bによる処理は、25〜50℃で10〜30分間行うのが好ましく、処理液Bの含浸量は、絡合不織布に含まれる弾性ポリマー総量100質量部に対して100質量部以上であることが弾性繊維形成成分の凝固安定性の点で好ましい。
絡合不織布を上記のようにして処理液Aおよび処理液Bで処理した後、乾燥し、次いで、繊維(A)および繊維(B)から弾性繊維および非弾性極細繊維を発生させる。繊維(A)および繊維(B)が海島型繊維の場合、浸漬などの方法により海成分を溶解または分解する液体で処理するのが好ましい。例えば、海成分がポリエチレンやポリスチレンである場合にはトルエンが使用され、また海成分が易アルカリ分解性ポリエステルである場合には苛性ソーダ水溶液が使用される。溶解または分解液の使用量は、海成分ポリマーの総量100質量部に対して100質量部以上であるのが好ましく、処理温度は5〜50℃、処理時間は5〜40分であるのが好ましい。
この処理により、繊維(A)および繊維(B)から海成分が除去される。繊維(A)は部分的に多孔質状態である弾性繊維に変換される。発生した弾性繊維は互いに部分的に融着し、網目構造を形成する。繊維(B)は非弾性極細繊維またはその繊維束にそれぞれ変成される。公知の紡糸技術により、繊維(A)および繊維(B)の海成分比率を減らしたり、島成分を表面に露出させたりすることにより、弾性繊維と非弾性極細繊維を部分的に密着させることも好ましい。繊維(A)から発生した弾性繊維の平均単繊維繊度は、0.01〜2dtexであるのが好ましく、0.01〜0.5dtexであるのがより好ましい。また、繊維(B)から発生させた非弾性極細繊維の平均単繊維繊度は、0.1dtex以下、好ましくは0.001〜0.05dtexである。平均単繊維繊度が0.1dtexを超えると、立毛の外観がラフな感じとなり、さらに天然皮革調のタッチおよび風合い等の高級感が得られない。
本発明において「弾性繊維が部分的に多孔質状態」であるとは、非弾性極細繊維を抽出または分解除去した後、皮革様シートの表面あるいは表面と平行なスライス面を走査型電子顕微鏡で観察したときに、弾性繊維表面の10〜100%が多孔質構造である状態をいう。
また、「弾性繊維の融着」とは、弾性ポリマーの溶融により弾性繊維同士が部分的に結合した状態をいう。弾性繊維の融着の程度は、融着箇所の密度により評価される。上記と同様にして走査型電子顕微鏡で観察したときに、融着箇所の密度が、1〜10箇所/2mm2であるのが好ましく、2〜8箇所/2mm2であるのがより好ましい。上記範囲であると、得られる皮革様シートを繰り返し伸長変形しても実質的に構造変化が生じにくく伸縮性に優れる。
また、「網目構造」とは、一本の弾性繊維に少なくとも一本の他の弾性繊維が、2次元的または3次元的に枝状に融着し、該少なくとも一本の他の弾性繊維が、さらに他の弾性繊維と融着あるいは接触した構造をいう。網目構造の存在割合は、その存在密度により評価される。上記と同様にして走査型電子顕微鏡で観察したときに、上記構造の存在密度が1〜50箇所/5mm2であるのが好ましく、2〜40箇所/5mm2であるのがさらに好ましい。上記範囲であると、得られる皮革様シートを繰り返し伸長変形しても実質的に構造変形を生じにくく伸縮性に優れる。
以下、弾性繊維の部分的多孔質状態、弾性繊維の部分的融着、および、部分的網目構造を図面を参照してさらに説明する。
図1は、非弾性極細繊維のみを除去した後の本発明の皮革様シート断面を示す図面代用電子顕微鏡写真である。図1中、参照符号2は弾性繊維を表し、参照符号1は弾性繊維の部分的多孔質状態を示す。参照符号3は弾性繊維の融着箇所を示す。図2は、非弾性極細繊維のみを除去した後の本発明の皮革様シート表面を示す図面代用電子顕微鏡写真である。図2の参照符号1〜3は、図1と同じ内容を表す。図1及び図2から、本発明の皮革様シートでは、弾性繊維が絡合不織布構造を構成していること、弾性繊維が部分的に多孔質状態であること、弾性繊維同士が部分的に融着していること、および、該部分的融着により網目構造が部分的に形成されていることが確認できる。
図3は、非弾性極細繊維のみからなる絡合不織布とこれに含浸させた弾性重合体からなる従来の皮革様シートから、非弾性極細繊維のみを除去した後の断面を示す図面代用電子顕微鏡写真である。図4は、前記従来の皮革様シートから、非弾性極細繊維のみを除去した後の表面を示す図面代用電子顕微鏡写真である。図3および図4から明らかなように、本発明の皮革様シートとは異なり、従来の皮革様シートでは、弾性ポリマーがシート状に存在し、かつ、弾性ポリマーシートは全体的に多孔質状態になっている。
絡合不織布を極細化することにより得られた皮革様シートは、必要により、主表面と平行な方向に複数枚にスライスしてもよい。皮革様シートの少なくとも一表面を起毛処理して主として極細繊維からなる立毛面を形成することにより立毛調皮革様シートが得られる。立毛面は、サンドペ―パ―などによるバフィング等の公知の方法により形成される。起毛処理前に弾性ポリマーの良溶剤、良溶剤と貧溶剤または公知のバインダー樹脂等を組み合わせた溶剤または溶液等をグラビア処理、スプレー処理、コーター処理などにより表面に塗布すること、熱プレス等によって表面に存在する弾性繊維を固定することにより、非弾性極細繊維を主体とする立毛の形成が容易になる。このような起毛処理前の処理は、ライティング性および表面タッチがより優れたものになるので好ましい。
このようにして得られた立毛調皮革様シートは、上記したように、弾性繊維が部分的に多孔質状態であること、弾性繊維同士が部分的に融着していること、弾性繊維同士の部分的融着により網目構造が部分的に形成されていること、非弾性極細繊維と弾性繊維が部分的に密着していることを特徴とする皮革様シートの少なくとも片面に、非弾性極細繊維を主体とする立毛が形成されているため、従来の皮革様シートにない良好な伸縮性、風合いおよびドレープ性を有し、表面タッチ、ライティング効果および外観に優れている。さらに、皮革様シートの片面に被覆層を形成することによって銀付調皮革様シートにすることもできる。本発明の皮革様シートは、衣料用、家具用、靴用、鞄用などの広い用途に適用できる。特に、本発明の皮革様シートは、高級銀付き商品の分野や高級スエード商品の分野に特に有用である。
次に、本発明の実施態様を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部および%は、ことわりのない限り質量に関するものである。また、平均単繊維繊度の測定および各評価は次のように行った。
(1)平均単繊維繊度
皮革様シートの表面又は断面を、電子顕微鏡にて500〜2000倍程度の倍率で観察して繊維径を実測し、その実測値から単繊維繊度(デシテックス)を求めた。
(2)立毛感、立毛の均一性、色斑、風合い
人工皮革の製造販売に携わる者(10人)が、下記の実施例または比較例で得られた染色した立毛調皮革様シートの立毛面を目視し、手で触れてみて評価した。天然皮革スエード調の滑らかな外観、タッチおよび風合いである場合をA、天然皮革スエードには若干劣るものの実用上問題ない場合をB、天然皮革スエードより劣り商品価値に乏しい場合をCとして評価した。
実施例1
平均分子量2000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートグリコール、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリエチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールをイソシアネートに基づく窒素%が4.3%になるように溶融重合してポリエステル系ポリウレタンを得た。溶融粘度は5000ポイズであった。水分率50ppm以下に乾燥した上記ポリエステル系ポリウレタンペレット50部(島成分弾性ポリマー)と低密度ポリエチレンペレット50部(海成分)を、スクリュー混練機で溶融混練し、230℃で溶融紡糸し繊度が14dtexの、ポリウレタンが一部表面に存在する海島型混合紡糸繊維(A0)を得た。また、ナイロン−6ペレット50部(島成分非弾性ポリマー)とポリエチレンペレット50部(海成分)を、スクリュー混練機で溶融混練し、280℃で溶融紡糸し、繊度が10dtexの海島型混合紡糸繊維(B0)を得た。繊維(A0)と繊維(B0)を、極細化後のポリエステル系ポリウレタン繊維とナイロン繊維の質量比率が40:60になるよう混糸(混合)して、2.5倍に共延伸し、捲縮し、切断して、繊維長がそれぞれ51mmである7dtexの繊維(A1)と4dtexの繊維(B1)が混綿(混合)したステープル繊維を得た。
次に、混綿繊維(混合繊維)をカードで解繊した後、クロスラップウェバーでウェブとし、1バーブのニードル針で1500パンチ/cm2処理することにより、目付800g/m2の絡合不織布(I)を得た。この絡合不織布(I)を95℃の熱水により面積率で30%収縮させ絡合不織布(II)を得た。続いて、ポリエーテル系ポリウレタン固形分濃度2%を含有する水系ポリウレタンエマルジョン組成物を含浸し(絡合不織布(II)に対するポリウレタン付与量1%)、熱処理を施した後、この絡合不織布(II)を乾燥しながら乾燥機中で熱処理し、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚み2.63mm、目付1040g/m2、密度0.395g/cm3の保形性の良好な絡合不織布(III)を得た。
次に、該絡合不織布(III)へポリカーボネート系ポリウレタンの4%DMF溶液を含浸し、40℃のDMFの30%水溶液中に投入し、さらに水洗して絡合不織布(III)中に存在するDMFを除去した(多孔質化処理)。次に90℃の熱トルエン浴中で繊維(A1)及び繊維(B1)中のポリエチレンを溶解除去し(極細繊維化処理)、乾燥後、厚さ約1.3mmの皮革様シート(I)を得た。
得られた皮革様シート(I)のナイロン極細繊維の平均単繊維繊度は0.01dtexであり、また表面および断面を電子顕微鏡により観察した結果、ポリウレタン繊維(弾性繊維)が部分的に多孔質状態であり、さらにポリウレタン繊維同士が部分的に融着して一部網目構造を形成していた。さらに、ポリウレタン繊維が一部のナイロン極細繊維(非弾性極細繊維)と密着した状態であった。
この皮革様シート(I)を主表面に沿って2分割して分割面をバフ機により研削し、厚さ0.50mmの皮革様シート(II)を得た。皮革様シート(II)の分割面の反対側の面を砥粒番手#400のサンドペーパーによって起毛処理し、未染色の立毛調皮革様シートを得た。次に該立毛調皮革様シートを次の条件にて染色した。
染色機 ウインス
染料 イルガランブラウン2RL(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)owf 4%
イルガランイエロー2GL(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) owf 1%
助剤 レベランNK−D(丸菱油化工業(株)製) 2g/L
浴比 1:20
染色時間 90℃で60分
茶色に染色した立毛調皮革様シートを揉み加工した後、ブラッシングロールで整毛すると、横方向に伸縮性がありドレープ性に優れた茶色の立毛調皮革様シートが得られた。得られた立毛調皮革様シートは、伸縮性に優れ、30%伸長を10回繰り返しても、構造変化が生じなかった。また、柔軟で充実感のある風合いと優れたドレープ性を保持していた。その他の評価結果を表1に示す。
比較例1
絡合不織布(III)を多孔質化処理しなかった以外は実施例1と同様の方法で厚さ約1.3mmの皮革様シート(I)を得た。得られた皮革様シート(I)の表面および断面を電子顕微鏡にて観察した結果、弾性繊維は無孔の状態であり、さらに該弾性繊維同士が融着しておらず、網目構造が形成されていなっかった。
皮革様シート(I)を主表面に沿って2分割して、分割面をバフ機にて研削して厚さ0.52mmの皮革様シート(II)を得た。該皮革様シート(II)の分割面の反対側の面を砥粒番手#400のサンドペーパーで起毛処理し、未染色の立毛調皮革様シートを得た。得られた立毛調皮革様シートは立毛状態が不安定で工程通過性も低いものであった。得られた立毛調皮革様シートを、実施例1と同じ条件で染色したところ、茶色に染色された、立毛感に乏しく外観がラフであり、立毛の不均一なベロアな立毛調皮革様シートを得た。得られた立毛調皮革様シートは、ドレープ性や伸縮性に優れるが、30%伸長を約10回繰り変えすと構造変化し、柔軟ではあるが充実感に欠けた風合いになった。その他の評価結果を表1に示す。
比較例2
4デシテックスの繊維(B0)のみからなる原綿をカードで解繊した後、クロスラップウェバーでウェブとし、次に1バーブのニードル針で1500パンチ/cm2処理することにより、目付800g/m2の絡合不織布(I)を得た。乾燥機で熱処理し、海成分のポリエチレンを軟化させて繊維間を部分接着させて厚み2.65mm、目付850g/m2、密度0.32g/cm3の絡合不織布(III)を得た。該絡合不織布(III)の内部にポリエーテル系ポリウレタンの13%DMF溶液を含浸し、DMF30%水溶液で凝固した後、DMFを水洗除去して乾燥するとナイロン6の極細繊維とポリウレタンの発泡シートからなる皮革様シート(I)を得た。得られた極細繊維の平均単繊維繊度は0.01デシテックスであり、また表面および断面を電子顕微鏡にて観察した結果、繊維には多孔質構造が無く、該繊維同士は部分的に融着しておらず、網目構造は認められなかった。
この皮革様シート(I)を主表面に沿って2分割し、分割面をバフ機を用いて研削して厚さ0.50mmの皮革様シート(II)を得た。該皮革様シート(II)の分割面の反対側の面を砥粒番手#400のサンドペーパー起毛処理し、未染色の立毛調皮革様シートを得た。該立毛調皮革様シートを実施例1と同じ条件で染色し、茶色の立毛調皮革様シートを得た。得られた立毛調皮革様シートは外観に優れるものの、伸縮性に劣り30%伸長を10回繰り変えした結果構造変化を生じた。その他の評価結果を表1に示す。
表1
厚さ 目付 密度 立毛感 立毛の均一性 色斑 風合い
mm g/m 2 g/cm 3
実施例1 0.50 218 0.43 A A A A
比較例1 0.52 218 0.42 C C A A
比較例2 0.50 190 0.38 A A B B
非弾性極細繊維のみを除去した後の本発明の皮革様シートの断面を示す図面代用電子顕微鏡写真。 非弾性極細繊維のみを除去した後の本発明の皮革様シートの表面を示す図面代用電子顕微鏡写真。 非弾性極細繊維のみからなる絡合不織布とこれに含浸させた弾性重合体からなる従来の皮革様シートから、非弾性極細繊維のみを除去した後の断面を示す図面代用電子顕微鏡写真。 非弾性極細繊維のみからなる絡合不織布とこれに含浸させた弾性重合体からなる従来の皮革様シートから、非弾性極細繊維のみを除去した後の表面を示す図面代用電子顕微鏡写真。
符号の説明
1 部分的に多孔質状態の弾性繊維
2 弾性繊維
3 弾性繊維同士の融着部分

Claims (5)

  1. 弾性ポリマーからなる繊維と平均単繊維繊度0.1デシテックス以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維が混在した絡合不織布を有する皮革様シートにおいて、該弾性ポリマーからなる繊維が部分的に多孔質状態であり、さらに、該弾性ポリマーからなる繊維同士が部分的に融着していることを特徴とする皮革様シート。
  2. 弾性ポリマーからなる繊維同士が部分的に融着して部分的に網目構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート。
  3. 非弾性ポリマーからなる極細繊維と弾性ポリマーからなる繊維が部分的に融着していることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革様シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮革様シートの少なくとも片面に、非弾性ポリマーからなる極細繊維を主体とする立毛が形成されていることを特徴とする立毛調皮革様シート。
  5. 下記I〜IVの工程を順次行うことを特徴とする皮革様シートの製造方法。
    I.弾性ポリマーからなる繊維形成成分の一部が少なくとも表面の一部に露出している、弾性ポリマーからなる繊維を発生し得る繊維(A)と平均単繊維繊度が0.1dtex以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維を発生し得る繊維(B)からなる絡合不織布を製造する工程、
    II.該絡合不織布に、該弾性ポリマーに対する良溶剤を少なくとも含む液を含浸させ、該繊維(A)中の弾性ポリマーを部分的に溶解させる工程、
    III.該絡合不織布に、該弾性ポリマーに対する貧溶剤を少なくとも含む液を含浸させ、部分的に溶解した弾性ポリマーを部分的に多孔質状態の弾性ポリマーにする工程、及び
    IV.該繊維(A)および該繊維(B)を、それぞれ、弾性ポリマーからなる繊維および平均単繊維繊度が0.1デシテックス以下の非弾性ポリマーからなる極細繊維に変換する工程。

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