JP4498680B2 - ハードコート塗料及びこれを用いた成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦傷性に優れた表面硬化塗膜を付与するハードコート塗料に関し、特に常温で無溶剤の塗料とすることができるハードコート塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガラス板の代替として、耐破壊性に優れた樹脂成形体が用いられることは広く知られている。しかしながら、樹脂成形体は、ガラス板に比較して表面硬度が低く、表面の擦傷、及び引っかき等により傷が付き易いという重大な欠点を有する。
【0003】
この樹脂成形体の耐擦傷性を改良するための試みは多数あり、最も一般的な方法は、分子中に複数の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を含有させた塗料を樹脂成形体に塗布し、熱又は紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性の優れた樹脂成形体を得る方法(例えば、特許文献1参照)である。しかし、このような塗料を用いる方法は、当該塗料が比較的安価で生産性に優れるという利点を有するが、硬化塗膜が有機物のみであることから、これを用いた樹脂成形体の耐擦傷性が十分ではないという問題がある。
【0004】
一方、より高い表面硬度を樹脂成形体に付与するため、アルコキシシラン化合物を塗料として樹脂成形体に塗布し、熱により硬化させる方法(例えば、特許文献2参照)、コロイダルシリカと樹脂の混合物を塗料とし樹脂成形体に塗布し、熱により硬化させる方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0005】
しかし、このような方法も、塗料中に有機溶剤が用いられるため、塗布した樹脂成形体を乾燥させるための設備が必要となり、製品のコストアップを招いてしまう。また、このように大量の有機溶剤を大気中に蒸発させることは、地球環境保護の観点からも非常に好ましくなく、これを回避するためには蒸発させた有機溶剤を回収する設備等が必要となり、さらなるコストアップを招いてしまう。また、このような塗料が塗布される樹脂成形体が比較的耐溶剤性のないものであった場合には、樹脂成形体の表面が有機溶剤により侵されてしまうため、塗布することが出来ないという問題も生じている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭53−102936号公報
【特許文献2】
特開昭48−26822号公報
【特許文献3】
特開昭56−106969号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、有機溶剤を使用することなく、塗膜化した際に優れた透明性と耐擦傷性の性能を付与するハードコート塗料を提供することを目的とする。また、本発明は、耐擦傷性に優れた硬化塗膜を有する樹脂成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決する本発明のハードコート塗料は、メチル(メタ)アクリレート、シリカ微粒子、及び数平均分子量が1000以上である脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のハードコート塗料は、前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシステアリン酸であることが好ましい。
【0010】
また、本発明のハードコート塗料は、前記高分子量顔料分散剤の数平均分子量が10000以下であることが好ましい。
【0011】
また、本発明のハードコート塗料は、前記高分子量顔料分散剤が、主鎖中に第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基から選ばれる官能基を複数有する高分子であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のハードコート塗料は、前記高分子量顔料分散剤が、主鎖の片末端に第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基から選ばれる官能基を有する直鎖状の高分子であることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のハードコート塗料中の全バインダー成分における前記メチル(メタ)アクリレートの含有量が、50重量%以上であること特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の成形体は、上記本発明のハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより、表面にハードコート性の塗膜を有することを特徴とするものである。
【0015】
なお、本発明でいう「シリカ微粒子」とは、乾式燃焼法により製造した非晶質合成シリカをいう。
【0016】
また、本発明でいう「高分子量顔料分散剤」とは、数平均分子量が1000以上のものをいう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハードコート塗料、及びこれを用いた成形体の実施の形態について詳述する。
【0018】
本発明のハードコート塗料は、バインダー成分としてメチル(メタ)アクリレート、分散する微粒子としてシリカ微粒子、及び前記シリカ微粒子を凝集することなく分散させるための分散剤として脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤を含むことを特徴とするものである。
【0019】
本発明においては、このようなバインダー成分、微粒子、分散剤を特定のものとすることにより、無溶剤のハードコート塗料とすることができ、また、塗膜化した際に優れた透明性と耐擦傷性の性能を付与するハードコート塗料とすることができる。
【0020】
また、本発明においては、このようなハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより表面にハードコート性の塗膜を有するため、耐擦傷性に優れた成形体が得られる。
【0021】
以下、このような本発明のハードコート塗料、及びこれを用いた成形体における各構成要素について詳述する。
【0022】
本発明のハードコート塗料のバインダー成分は、メチル(メタ)アクリレートである。ここでバインダー成分とは、分散剤を除くモノマー、及びポリマーをいう。バインダー成分をメチル(メタ)アクリレートとすることにより、塗膜化した際にハードコート性塗膜としての表面硬度を保つことができ、また、ハードコート塗料を無溶剤化することができる。塗料を無溶剤化するためには、シリカ微粒子をバインダー成分中に分散させなければならないため、当該シリカ微粒子と分散媒としてのバインダー成分との相性のよいもの、また塗料化した際に塗布しやすく取り扱い性のよいものという観点からバインダー主成分はメチル(メタ)アクリレートとする必要がある。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、またはメタクリレートを意味する。
【0023】
本発明のハードコート塗料は、メチル(メタ)アクリレート以外のバインダー成分を含有してもよい。そのようなバインダー成分としては特に限定されないが、塗料が無溶剤であることを考慮し、塗布しやすく取り扱い性の良い塗料とするため、常温(25℃程度)での粘度が14000mPa・s以下程度の流動性を持つものが好ましい。また、ハードコート塗料という観点から、塗膜化した際に表面硬度が高くなるものが好ましい。このようなバインダー成分としては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、 ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0024】
バインダー成分におけるメチル(メタ)アクリレートの含有量は、50重量%以上とすることが好ましい。メチル(メタ)アクリレートの含有量を50重量%以上とすることにより、シリカ微粒子の分散性を向上させ、また、塗膜化した際に塗膜の表面硬度を保つことができる。
【0025】
次に、シリカ微粒子は、上述したように乾式燃焼法により製造した非晶質合成シリカである。このようなシリカ微粒子を用いることにより、塗膜化した際に耐擦傷性に優れた塗膜とすることができる。ここで、塗膜の表面硬度は、バインダー成分に無機物を含有させることにより向上できることが一般に知られており、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機物質を熱硬化型樹脂、又は電離放射線硬化型樹脂に混入させ、ハードコート性塗膜とする技術もある。しかし、本発明においてはより透明性の高い塗膜とするため、表面硬度を向上させる無機物としてシリカ微粒子である必要がある。
【0026】
シリカ微粒子の大きさは、二次粒子径で5nm〜100nm程度が好ましく、さらに好ましくは、10nm〜50nm程度とすることが望ましい。5nm以上とすることにより、塗料化する際に粘度が上昇しすぎず分散不良となるのを抑制することができ、100nm以下とすることにより塗膜化した際に塗膜中の光の乱反射を防止し、透明性の低下を防止することができる。
【0027】
シリカ微粒子の含有量は、全バインダー成分100重量部に対し5重量部〜50重量部程度である。シリカ微粒子の含有量を5重量部以上とすることにより、塗膜化した際の塗膜の表面硬度を向上させることができる。また、50重量部以下とすることにより、塗料の流動性を制御し塗布しやすい塗料とすることができ、また上述したバインダー成分中におけるシリカ微粒子の分散性を向上させることができる。
【0028】
次に、分散剤は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤である必要がある。高分子量顔料分散剤が、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とすることにより、分散媒であるメチル(メタ)アクリレートに親和性を示し、上記シリカ微粒子を凝集することなく分散させることができる。このような脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分としては、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシナノデカン酸、ヒドロキシアラキジン酸が好ましく、なかでもヒドロキシステアリン酸が好ましい。
【0029】
このような高分子量顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜10000程度であることが好ましく、さらに好ましくは2000〜6000程度が望ましい。数平均分子量をこのような範囲とすることにより、シリカ微粒子の分散性、及び保存安定性を十分なものとすることができ、塗膜化した際に優れた透明性を有する塗膜とすることができる。
【0030】
このような高分子量顔料分散剤は、主鎖中に複数のシリカ微粒子親和性基を有する高分子であること、または、主鎖の片末端にシリカ微粒子親和性基を有する直鎖状の高分子であることが好ましい。
【0031】
ここで、上記シリカ微粒子親和性基とは、シリカ微粒子の表面に対して強い吸着力を有する官能基をいい、例えば、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等があげられる。
【0032】
上記主鎖中に複数のシリカ微粒子親和性基を有する高分子は、複数のシリカ微粒子親和性基が主鎖にそって配置されているものであり、例えば、シリカ微粒子親和性基が主鎖にペンダントした構造を有するもの(以下、「ペンダント構造」という)や、主鎖及び複数の側鎖にシリカ微粒子親和性基を有し、かつ、複数の側鎖に脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分を有する櫛形の構造を有するもの(以下、「櫛形構造」という)等があげられる。
【0033】
ペンダント構造の場合、シリカ微粒子親和性基は、1つ又は複数存在してペンダントされているため、効率良くシリカ微粒子表面に吸着することができる。
【0034】
また、櫛形構造の場合は、シリカ微粒子親和性基が主鎖中のみならず、側鎖の途中や末端にも複数存在するため、効率良くシリカ微粒子表面に吸着することができる。さらに、このようなシリカ微粒子親和性基を有する複数の側鎖とともに、分散媒であるメチル(メタ)アクリレートに親和性を示す脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分を有する複数の側鎖を主鎖に結合した櫛形の構造としているため、より分散性、及び保存安定性を高めることができる。
【0035】
このようなペンダント構造、及び櫛形構造の高分子におけるシリカ微粒子親和性基の数は特に限定されないが、1分子中に2個〜3000個程度存在するものが好ましく、さらに好ましくは25個〜1500個程度存在するものが望ましい。シリカ微粒子親和性基の数をこのような範囲とすることにより、シリカ微粒子の分散性、及び保存安定性を十分なものとすることができ、塗膜化した際に優れた透明性を有する塗膜が得られる。
【0036】
また、櫛形構造の高分子における脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分を有する側鎖の数は特に限定されないが、1分子中に2個〜1000個程度存在するものが好ましく、より好ましくは5個〜500個程度存在するものが望ましい。このような範囲とすることにより、シリカ微粒子の分散性、及び保存安定性を十分なものとすることができ、塗膜化した際に優れた透明性を有する塗膜が得られる。
【0037】
ペンダント構造の分散剤としては、例えば、ポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、並びに、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物(特開平4−210220号公報に開示)、ポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子(特開昭60−16631号公報、特開平2−612号公報、特開昭63−241018号公報に開示)、水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体(特開平1−279919号公報に開示)や、付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、上記官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位であり、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とスチレン基、及びヒドロキシル基とプロピレンオキシ基又はエチレンオキシ基との比率が、それぞれ、1:0.10〜26.1、1:0.28〜25.0、1:0.80〜66.1である両親媒性高分子(特開平6−100642号公報に開示)等をあげることができる。
【0038】
櫛形構造の分散剤としては、例えば、1個以上のポリ(カルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの(特開平5−177123号公報に開示)、ポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの(特開昭54−37082号公報に開示)等をあげることができる。
【0039】
また、本発明で用いられる高分子量顔料分散剤は、主鎖の片末端にシリカ微粒子親和性基を有する直鎖状の高分子であってもよい。このような高分子量顔料分散剤は、主鎖の片末端のみに1つ又は複数のシリカ微粒子親和性基を有するものであり、シリカ微粒子表面に十分に吸着することができる。
【0040】
このような構造の分散剤としては、例えば、一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子(特開昭46−7294号公報に開示)、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子(米国特許第4656226号明細書に開示)、片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子(米国特許第4032698号明細書に開示)、片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子(米国特許第4070388号明細書に開示)、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの(特開平1−204914号公報に開示)、12−ヒドロキシステアリン酸を加熱脱水することによって片末端に酸性官能基であるカルボキシル基を有するA−Bブロック型高分子(特公昭54−34009号公報に開示)等をあげることができる。
【0041】
このような主鎖の片末端にシリカ微粒子親和性基を有する直鎖状の構造の分散剤におけるシリカ微粒子親和性基の数は特に限定されないが、1分子中に2個〜3000個程度存在するものが好ましく、さらに好ましくは5個〜1500個程度存在するものが望ましい。シリカ微粒子親和性基の数をこのような範囲とすることにより、シリカ微粒子の分散性、及び保存安定性を十分なものとすることができ、塗膜化した際に優れた透明性の塗膜が得られる。
【0042】
以上のような本発明で用いられる高分子量顔料分散剤としては、一般に市販されているものを使用することもできる。市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000(ゼネカ社);ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190(ビックケミー社);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー152、ポリマー453(EFKAケミカル社);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB817、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPW911(味の素社);フローレンDOPA-158、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-17、フローレンTG-730W、フローレンG-700、フローレンTG-720W(共栄社化学社)等をあげることができる。
【0043】
以上のような高分子量顔料分散剤は、メチル(メタ)アクリレートにおけるシリカ微粒子の分散性を良好なものとすることができる。
【0044】
このようなハードコート塗料における高分子量顔料分散剤の含有量は、シリカ微粒子100重量部に対して1重量部〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは、5重量部〜15重量部が望ましい。1重量部以上とすることにより、シリカ微粒子の分散性が十分となり、20重量部以下とすることにより、塗膜化した際に耐擦傷性等の性能の優れた塗膜とすることができる。
【0045】
本発明のハードコート塗料には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて、滑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、貯蔵安定剤等の添加剤を添加してもよい。また、本発明のハードコート塗料を塗膜化する際に、熱硬化させる場合には、熱重合開始剤等の添加剤を用いることが好ましく、紫外線照射によって硬化させる場合には、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を用いることが好ましい。
【0046】
熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート等の有機過酸化物や、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキシルニトリル等のアゾニトリル化合物等があげられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0047】
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等があげられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0048】
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどがあげられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0049】
このような本発明のハードコート塗料は、上述のメチル(メタ)アクリレート、シリカ微粒子、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤、及び必要に応じて添加するその他のバインダー成分や添加剤を混合して公知の分散方法、例えば超音波分散機、ホモジナイザー、サンドミルなどを用いて分散しハードコート塗料とすることができる。
【0050】
このような本発明のハードコート塗料は、樹脂成形体などの被塗布部材に塗布し、熱硬化又は電離放射線を照射し硬化させることにより、樹脂成形体の表面にハードコート性の塗膜を形成することができる。
【0051】
次に、本発明の成形体は、上述の本発明のハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより表面にハードコート性の塗膜を有するものである。
【0052】
樹脂成形体としては、「フィルム」、「シート」、「プレート」等のいかなる厚みのものであっても良く、また例えば表面に凹凸を有していたり、立体的な形態のものであっても良い。
【0053】
樹脂成形体の樹脂の種類は、特に限定されないが、フィルムやシートの場合は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アセチルセルロース等の樹脂からなるものがあげられ、プレート等の場合は、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなるものがあげられる。このような樹脂成形体の中でも、上述の本発明のハードコート塗料が無溶剤であることから、耐溶剤性のないものでも使用することが可能である。
【0054】
樹脂成形体の表面には、本発明のハードコート塗料との接着性を向上する目的で易接着処理を施してもよく、また別途易接着層を設けてもよい。
【0055】
本発明の成形体は、このような樹脂成形体の表面に上述した本発明のハードコート塗料を塗布硬化させることにより得られるため、透明性、及び耐擦傷性に優れている。また、曲げ加工等の加熱成形後でも、塗膜の透明性、及び耐擦傷性が良好である。したがって、本発明の成形体は、透明性、耐擦傷性が必要な光学用部材などで使用することが好適であり、また、自動車用ヘッドランプケース、オートバイ用ヘルメットシールド、車輛用窓材、冷蔵または冷凍用ショーケース用窓材、樹脂製建材等の用途に用いることが可能である。
【0056】
本発明の成形体は、このような樹脂成形体に上記本発明のハードコート塗料を、従来公知のコーティング方法、例えば、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等によって、上述の樹脂成形体上に塗布した後、熱硬化又は電離放射線を照射し硬化させることによって得ることができる。
【0057】
電離放射線(紫外線若しくは電子線)を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等を用いて紫外線を照射したり、コックロフトワルトン型、バンデルグラフ型、共変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子加速器を用いて電子線を照射したりする方法が採用できる。
【0058】
このような塗膜の厚みは、特に限定されないが2μm〜500μm、好ましくは5μm〜300μm、更に好ましくは8μm〜200μm程度である。2μm以上とすることにより耐擦傷性の優れたものとすることができ、500μm以下とすることにより、硬化収縮による樹脂成形体の反りの強さを緩和し、またバインダー成分の未硬化による表面硬度の低下を防止することができる。
【0059】
以上のように本発明のハードコート塗料によれば、バインダー成分をメチル(メタ)アクリレート、分散する微粒子としてシリカ微粒子、及び分散剤として脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤を含有させることにより、無溶剤であっても前記シリカ微粒子が凝集することなくバインダー成分中に分散させることができ、また、塗膜化した際に優れた透明性と耐擦傷性を有するハードコート性の塗膜とすることができる。
【0060】
また、以上のような本発明のハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより、表面にハードコート性の塗膜を有するため耐擦傷性に優れた本発明の成形体が得られる。
【0061】
なお、本発明のハードコート塗料は、無溶剤として使用できるものであるが、必要であれば有機溶剤を含有させて使用することも可能である。この有機溶剤としては、メチル(メタ)アクリレート及び他のバインダー成分と均一に混合することが可能で、かつシリカ微粒子の分散性を阻害するものでなければ特に限定されないが、常圧での沸点が50〜200℃で、常温での粘度が10mPa・s以下のものが適当である。このような有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本実施例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
【0063】
[実施例1]
1.ハードコート塗料の作製
下記組成のハードコート塗料のうち熱重合開始剤を除いたものを混合し、サンドミル分散機(ナノミル:浅田鉄工社)を用いて分散した後、熱重合開始剤を添加して実施例1のハードコート塗料を作製した。なお、高分子量顔料分散剤aは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸としてヒドロキシステアリン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤であり、主鎖中に複数のシリカ微粒子親和性基を有するペンダント構造のものを用いた。
【0064】
<実施例1のハードコート塗料>
・メチルメタクリレート 100部
・シリカ微粒子(一次粒子径30nm) 20部
(アエロジル50:日本アエロジル社)
・高分子量顔料分散剤a(数平均分子量5500)2部
・熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド) 3部
【0065】
2.上記ハードコート塗料を用いた成形体の作製
厚み2mmのアクリル板を樹脂成形体として、このアクリル板の一方の面に実施例1のハードコート塗料をロールコーター法で塗布し、金属板でカバーした後60℃で2時間加温後、更に金属板を取り120℃で2時間加温して、厚み15μmのハードコート性塗膜を形成し、上記ハードコート塗料を用いた実施例1の成形体を作製した。
【0066】
[実施例2]
実施例1のハードコート塗料の代わりに、下記組成のハードコート塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。なお、高分子量顔料分散剤bは、主鎖及び複数の側鎖にシリカ微粒子親和性基を有し、かつ、複数の側鎖に脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分としてヒドロキシステアリン酸を有する櫛形構造のものを用いた。
【0067】
<実施例2のハードコート塗料>
・メチルメタクリレート 100部
・シリカ微粒子(一次粒子径30nm) 20部
(アエロジル50:日本アエロジル社)
・高分子量顔料分散剤b(数平均分子量5500)2部
・熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド) 3部
【0068】
[実施例3]
実施例1のハードコート塗料の代わりに、下記組成のハードコート塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。なお、高分子量顔料分散剤cは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸としてヒドロキシステアリン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤であり、主鎖の片末端にシリカ微粒子親和性基を有する直鎖状の構造のものを用いた。
【0069】
<実施例3のハードコート塗料>
・メチルメタクリレート 100部
・シリカ微粒子(一次粒子径30nm) 20部
(アエロジル50:日本アエロジル社)
・高分子量顔料分散剤c(数平均分子量4000)2部
・熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド) 3部
【0070】
[実施例4]
実施例1のハードコート塗料の代わりに、下記組成のハードコート塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0071】
<実施例4のハードコート塗料>
・メチルメタクリレート 70部
・1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 30部
・シリカ微粒子(一次粒子径30nm) 20部
(アエロジル50:日本アエロジル社)
・高分子量顔料分散剤a 2部
・熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド) 3部
【0072】
[実施例5]
実施例1のハードコート塗料で熱重合開始剤の代わりに、光重合開始剤(イルガキュア184:チバスペシャルティケミカルズ社)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5のハードコート塗料を作製した。
【0073】
次に、実施例5のハードコート塗料を実施例1と同様にしてアクリル板に塗布し、高圧水銀灯で紫外線を照射して厚み15μmのハードコート性塗膜を形成し、上記ハードコート塗料を用いた実施例5の成形体を作製した。
【0074】
[比較例1]
実施例1のハードコート塗料でメチルメタクリレートの代わりに、テトラエチレングリコールジメタクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0075】
[比較例2]
実施例1のハードコート塗料でシリカ微粒子の代わりに一次粒子径30nmのジルコニア微粒子(酸化ジルコニウムUEP:第一希元素化学工業社)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0076】
[比較例3]
実施例1のハードコート塗料で高分子量顔料分散剤aの代わりに、スルホコハク酸を構成成分とする分散剤(ジエチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、数平均分子量445、ペレックスOT-P:花王社)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0077】
[比較例4]
実施例1のハードコート塗料で高分子量顔料分散剤aの代わりに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする低分子量顔料分散剤(数平均分子量500)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0078】
[比較例5]
実施例1のハードコート塗料で、高分子量顔料分散剤aを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例5のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0079】
[比較例6]
実施例1のハードコート塗料でシリカ微粒子、及び高分子量顔料分散剤aを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例6のハードコート塗料とこれを用いた成形体を作製した。
【0080】
実施例、及び比較例で得られたハードコート塗料について、作製直後の液の分散性、及び7日後の液の保存安定性について評価した。また、実施例、及び比較例で得られた成形体について、透明性、及び表面硬度について評価した。評価結果を表1に示す。
【0081】
(1)ハードコート塗料の評価
実施例、及び比較例のハードコート塗料の分散性、及び保存安定性を評価するため、各ハードコート塗料の作製直後、及び7日後のシリカ微粒子の二次粒子径を粒度分析計(マイクロトラックUPA150:日機装社)を用いて測定した。評価は、二次粒子径が10nm〜50nmであったものを「○」、二次粒子径が100nm以上であったものを「×」とした。
【0082】
(2)各ハードコート塗料を用いた成形体の評価
(イ)透明性の評価
実施例及び比較例の成形体の透明性を評価するため、JIS-K7136:2000に基づいて実施例及び比較例の成形体のヘーズを、ヘーズメーター(NDH2000:日本電色社)を用いて測定した。評価は、測定値が1.0%未満であったものを「○」、1.0%以上であったものを「×」とした。なお、測定面は、塗膜面とした。
【0083】
(ロ)表面硬度の評価
実施例及び比較例の成形体の耐擦傷性を評価するため、実施例及び比較例の成形体を、#0000のスチールウールに1.5N/cm2の加重を負荷して表面を10往復擦った後、表面の傷が5本以下であったものを「○」、表面の傷が6本以上であったものを「×」とした。
【0084】
また、実施例及び比較例の成形体の鉛筆硬度を評価するため、JIS-K5400:1990の鉛筆引っかき値の試験機法に基づいてすり傷の測定を行った。評価は、測定値が2H以上であったものを「○」、H以下であったものを「×」とした。
【0085】
【表1】
Figure 0004498680
【0086】
表1から明らかなように、実施例のハードコート塗料は、バインダー主成分としてメチルメタクリレート、分散する微粒子としてシリカ微粒子、及び分散剤として脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤を含むため、分散性、及び保存安定性の優れたハードコート塗料であった。また、実施例のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性に優れたハードコート塗料を用いたため、透明性、及び表面硬度の優れたものとなった。
【0087】
一方、比較例1のハードコート塗料は、メチルメタクリレートの代わりに、テトラエチレングリコールジメタクリレートを用いた為、分散性の悪いハードコート塗料となった。また、比較例1のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性の悪いハードコート塗料を用いたため、実施例1のものと比べて透明性、及び表面硬度の劣るものとなった。
【0088】
次に、比較例2のハードコート塗料は、シリカ微粒子の代わりにジルコニア微粒子を用いたため、分散性の悪いハードコート塗料となった。また、比較例2のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性の悪いハードコート塗料を用いたため、実施例1のものと比べて透明性、及び表面硬度の劣るものとなった。
【0089】
次に、比較例3のハードコート塗料は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤aの代わりに、スルホコハク酸を構成成分とする分散剤を用いたため、分散性の悪いハードコート塗料となった。また、比較例3のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性の悪いハードコート塗料を用いたため、実施例1のものと比べて透明性、及び表面硬度の劣るものとなった。
【0090】
次に、比較例4のハードコート塗料は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤aの代わりに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする低分子量顔料分散剤を用いたため、分散性の悪いハードコート塗料となった。また、比較例4のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性の悪いハードコート塗料を用いたため、実施例1のものと比べて透明性、及び表面硬度の劣るものとなった。
【0091】
次に、比較例5のハードコート塗料は、分散剤を添加していないため、分散性の悪いハードコート塗料となった。また、比較例5のハードコート塗料を用いた成形体は、このようにシリカ微粒子の分散性の悪いハードコート塗料を用いたため、実施例1のものと比べて透明性、及び表面硬度の劣るものとなった
【0092】
次に、比較例6のハードコート塗料は、微粒子、分散剤を添加していないため、比較例6のハードコート塗料を用いた成形体は、実施例1のものと比べて表面硬度の劣るものとなった。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、メチル(メタ)アクリレート、シリカ微粒子、及び数平均分子量が1000以上である脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤を含むことにより、有機溶剤を使用することなく、塗膜化した際に優れた透明性と耐擦傷性の性能を付与するハードコート塗料が得られる。また、前記ハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより、表面にハードコート性の塗膜を有するため耐擦傷性に優れた成形体が得られる。

Claims (7)

  1. メチル(メタ)アクリレート、シリカ微粒子、及び数平均分子量が1000以上である脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤、を含むことを特徴とするハードコート塗料。
  2. 前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシステアリン酸であることを特徴とする請求項1記載のハードコート塗料。
  3. 前記高分子量顔料分散剤は、数平均分子量が10000以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のハードコート塗料。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1記載のハードコート塗料であって、前記高分子量顔料分散剤が、主鎖中に第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基から選ばれる官能基を複数有する高分子であることを特徴とするハードコート塗料。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1記載のハードコート塗料であって、前記高分子量顔料分散剤が、主鎖の片末端に第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基から選ばれる官能基を有する直鎖状の高分子であることを特徴とするハードコート塗料。
  6. 前記ハードコート塗料中の全バインダー成分における前記メチル(メタ)アクリレートの含有量が、50重量%以上であること特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載のハードコート塗料。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項記載のハードコート塗料を樹脂成形体の表面に塗布硬化させることにより、表面にハードコート性の塗膜を有することを特徴とする成形体。
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