JP4496632B2 - エンジンの排気ガス還流通路構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気系から吸気系へ排気ガスの一部を還流させる排気ガス還流通路の構造に関し、特にその排気ガス還流通路をシリンダヘッド内に形成したものに係る。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンの排気系から排気ガスの一部を吸気系に還流させることにより、燃焼に伴う窒素酸化物の生成を抑制するとともに、熱効率や機械効率を高めて、燃費の改善を図るという技術(Exhaust Gas Recirculation:以下、単にEGRともいう)が知られている。そして、排気ガスを還流させるための通路は、通常、排気マニホルドの集合部とサージタンク上流の吸気管とを連通する金属製配管により構成される。
【0003】
ところで、近年、自動車用エンジンとしては、吸気系と排気系とが左右両側に分かれたクロスフロータイプのものが主流になり、前記のように排気マニホルドの集合部から吸気管まで配管を設けるようにした場合、この配管がかなり長くなってしまい、エンジンの振動や排気マニホルドの熱変形等により疲労して、該配管及び排気マニホルドの接合部等にクラックを生じるという問題があった。
【0004】
そこで、例えば特開平10−122061号公報に開示されるものでは、エンジンのシリンダヘッドの内部に還流排気ガスを流通させるための通路を形成するとともに、この通路の上流端をシリンダヘッドの排気側側壁部に開口させ、この開口部と排気マニホルドの集合部との間を該排気マニホルドに設けた通路(排ガス導入管)により連通するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来例のものでは、排気ガスを還流させるための通路をシリンダヘッド内に形成していても、この通路の上流端まで排気ガスを導くための排ガス導入管は、各シリンダ毎の分岐管とは別に、排気マニホルドの集合部と取付フランジ部との間に架け渡すように設けられいるので、この排気導入管に関しては、依然としてクラックの問題が解消されていない。
【0006】
これに対し、前記排ガス導入管をいずれか一つの分岐管と一体的に設けるようにすることも考えられるが、このようにした場合、吸気系に還流させる排気ガスの冷却性が損なわれることは避けられない。
【0007】
特に、近年では、エンジンの燃焼状態を調節するために、アクチュエータにより制御される弁を用いて、排気ガスの還流量をエンジンの運転状態に応じてきめ細かく制御することが提案されており、このようにした場合、排気ガスの温度状態が高いと、前記制御弁の耐久性にも問題が生じる。
【0008】
また、エンジンの燃焼状態は、還流する排気ガスの量だけでなく、その温度状態によっても多大な影響を受けるものなので、エンジンの制御性という観点からは、還流させる排気ガスの温度状態はできるだけ安定していることが好ましい。
【0009】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの吸気系に排気ガスを還流させる通路の構造に工夫を凝らし、この通路を流通する排気ガスの放熱性を十分にかつ安定的に確保して、エンジンの良好な燃焼状態を維持しながら、排気ガス還流通路を構成する部品や制御弁の信頼性を高めることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、エンジンのシリンダヘッドにはウォータジャケットが形成されていて、その熱的安定性が高いことに着目し、排気ガス還流通路の上流端に排気ポートからの排気ガスの一部を導入する導入経路を、該シリンダヘッドの排気側側壁部に形成した。
【0011】
具体的に、請求項1の発明では、エンジンの排気系から吸気系へ排気ガスの一部を還流させるための排気ガス還流通路を、ウォータジャケットを有するシリンダヘッドの内部に設けた排気ガス還流通路構造を前提とする。そして、排気ポートの下流端が開口する前記シリンダヘッドの排気側側壁部に、前記排気ガス還流通路の上流端を隣接する排気ポートの下流端開口部に連通させるように、凹部を形成するとともに、該凹部を覆うように蓋部材を配設し、これらの凹部及び蓋部材により囲まれた容積室により、前記排気ポートからの排気の一部を前記排気ガス還流通路へ導くための導入空間部を構成し、この導入空間部として、排気ガスの流通断面積が排気ガス還流通路の上流端よりも広い大容量部と、該大容量部から前記排気ガス還流通路の上流端に向かって、排気ガスの流通断面積が徐々に減少する容量漸減部とを設けるものとする。
【0012】
前記の構成により、エンジンのシリンダヘッドの排気側側壁部において排気ガス還流通路の上流端に隣接する排気ポートから排出された排気ガスの一部は、該排気側側壁部に形成された凹部とこれを覆う蓋部材とにより囲まれた容積室、即ち導入空間部を通って、排気ガス還流通路に導かれるようになる。
【0013】
ここで、前記導入空間部を構成する容積室が主にシリンダヘッド内に形成されていて、このシリンダヘッドの温度状態が比較的低くかつ安定していることから、前記導入空間部を流通する排気ガスの放熱性が適切なものとなり、還流排気ガスの温度状態は十分に低くかつ安定したものになる。このことで、エンジンの良好な燃焼状態を維持しながら、排気ガス還流通路を構成する部品等の信頼性を高めることができる。
【0014】
詳しくは、排気ポートから還流される排気ガスは、導入空間部の大容量部においてウォータジャケットとの間で十分な熱交換を行い、その後、容量漸減部において徐々に絞られつつ、排気ガス還流通路の上流端に至る。すなわち、前記大容量部において還流排気ガスの放熱性を高めながら、容量漸減部においては還流排気ガスを壁面から剥離させることなくスムーズに流速を高めて、排気ガスの放熱性を向上しながら、良好な流通性を確保できる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明におけるシリンダヘッドの排気側側壁部には、排気マニホルドの取付フランジが接合される接合面が形成され、この接合面に対して前記取付フランジが複数の締結部材により締結固定されているものとする。このものにおいて、凹部を、前記接合面に開口するように形成し、蓋部材を、前記排気マニホルドの取付フランジに一体的に設けるとともに、前記締結部材のうちの1つを含む3つの締結部材により、前記接合面に対して略三角形状をなす3箇所において締結固定する。そして、前記凹部の開口端縁部を、前記蓋部材の各締結位置を結んだ略三角形状に沿うような形状とする。
【0016】
この構成では、蓋部材が排気マニホルドの取付フランジに一体的に設けられているので、その排気マニホルドをシリンダヘッドに取り付けることで、該シリンダヘッドの凹部との間に容積室を容易に形成することができる。また、前記蓋部材を三角形の頂点をなす3箇所においてシリンダヘッドの排気側側壁部に締結固定するとともに、前記凹部の開口端縁部を、前記3箇所の締結位置を結んだ三角形状に沿うような形状とすることで、該凹部と蓋部材との間のシール性を確実なものとすることができる。
【0017】
請求項3の発明では、凹部を、シリンダヘッドの排気側側壁部と一体に鋳造により形成した鋳造形成部と、この鋳造形成部を排気ガス還流通路の上流端と排気ポートの下流端開口部とにそれぞれ連通するように切削加工により形成した切削形成部とからなるものとする。
【0018】
このことで、凹部の中心となる部分をシリンダヘッドの鋳造時に一体に形成することで、コストの低減が図られるとともに、該鋳造形成部分の周辺を切削加工により形成することにより、凹部全体としてはその形状や寸法を型抜きの制限なしに決定することができ、これにより、排気ガス導入空間部の形状や寸法の最適化と製造コストの低減とを両立できる。
【0019】
請求項4の発明では、シリンダヘッドに、排気ガス還流通路における排気の流通量を調節する排気還流制御弁と、該排気還流制御弁の周囲にシリンダヘッドのウォータジャケットから冷却水を導く冷却水通路とを設けた。
【0020】
このことで、シリンダヘッドに配設した排気還流制御弁により、排気ガス還流通路を流通する排気ガスの還流量を調節することができる。また、その排気還流制御弁の周囲に冷却水通路により冷却水が導かれることで、高温の排気ガスによる排気還流制御弁の過熱を防止して、信頼性のさらなる向上が図られる。
【0021】
請求項5の発明では、エンジンを、少なくとも2つのシリンダを有するものとし、排気ガス還流通路は、前記シリンダの並ぶ方向についてのシリンダヘッドの両端部のうち、該シリンダヘッドの排気側側壁部においてその端縁部と該端縁部に最も近い排気ポート開口部との間隔が相対的に大きい方の端部に設けるものとする。
【0022】
このことで、排気ガスを排気ポートから排気ガス還流通路に導く導入空間部の容積を相対的に大きくすることが可能になり、これにより、該導入空間部における排気ガスの放熱を促進して、請求項1の発明の作用効果をさらに高めることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
(エンジン全体構成)
図2及び図3は、本発明の実施形態に係るエンジン1の外観を示し、このエンジン1は、4つのシリンダ(気筒)がクランク軸2の延びる方向に直線的に並ぶように設けられた直列4気筒ガソリンエンジンである。このエンジン1は、アルミ合金製のシリンダブロック3の上部に、同じくアルミ合金製のシリンダヘッド4が組み付けられて、エンジン本体が構成されており、該シリンダヘッド4の上面にシリンダヘッドカバー5が組み付けられる一方、シリンダブロック3の下面にはオイルパン6が組み付けられている。また、このエンジン1は、前記4つのシリンダの並ぶシリンダ列方向が図示しない車両の幅方向に概略一致するよう、該車両のエンジンルームに横置きに搭載されるものであり、前記図2における左側が車両の右側に、また図の右側が車両の左側にそれぞれ対応し、図3においては左側が車両の前側に、また右側が車両の後側にそれぞれ対応している。
【0024】
尚、この明細書では、前記シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の長手方向、即ちクランク軸2の延びる方向をエンジン前後方向とし、該クランク軸2の出力端側(図2の右側、図3の紙面手前側)をエンジン1の後側と呼ぶ一方、その反対側(図2の左側、図3の紙面奥側)をエンジン1の前側と呼ぶ。また、図3に示すようにエンジン1の後側から前側を見て、右側をエンジン1の右側と呼び、その反対側をエンジン1の左側と呼ぶものとする。
【0025】
前記エンジン1の本体左側面、即ち図2に示すように車両前方から見たときに正面に見える側には、各シリンダ内の燃焼室に空気を供給するための吸気マニホルド7が配設されている。また、このエンジン左側面におけるエンジン前側の部位には、図2にのみ示すが、それぞれVベルト8により駆動されるパワステポンプ9、ウォータポンプ10、空調装置用コンプレッサ11等の補機類が配置され、一方、エンジン後側の部位にはスタータモータ12やオイルフィルタ13が配置されている。
【0026】
尚、図2に示す符号15は、図示しないサーモスタットを収容するサーモスタットハウジングであり、このサーモスタットハウジング15の蓋部に一体的に設けられた冷却水導入管16には、図示しないウォータホースが接続されて、車両のラジエータから供給される冷却水をシリンダブロック3内に導入するようになっている。また、符号17は、シリンダヘッド4の後端部に設けられた冷却水導出部である。この冷却水導出部17の導出管17aには、図示しないウォータホースが接続されていて、シリンダヘッド4のウォータジャケットから排出される冷却水を前記ラジエータに戻すようになっている。さらに、符号18は、オイルパン6内に貯留されているエンジンオイルの量を点検するためのレベルゲージである。
【0027】
前記吸気マニホルド7は、軽量化や吸気温度低減のために、例えばポリアミド樹脂を主材料として射出成形により形成した複数の部材を互いに溶着して、一体としたものである。詳しくは、この吸気マニホルド7は、大きく湾曲する4本の分岐管20,20,…を有し、これらの分岐管20,20,…の各下流端部に亘るように設けられた取付フランジ部(図示せず)がシリンダヘッド4の吸気側側壁部4a(図4参照)に取り付けられる一方、該4本の分岐管20,20,…の各上流端部はサージタンク21に集合し、そこからエンジン後側の斜め上方に向かって、共通吸気管22が直線的に延びている。
【0028】
また、前記共通吸気管22の上流端部には、図外のエアフィルタを介して吸入される空気(吸気)の流通量を調整するためのスロットル弁23が配設されているとともに、該スロットル弁23の弁体23aをバイパスする吸気のバイパス流通量を調節するために、電磁弁からなるアイドルスピードコントロール弁24(以下、ISC弁という)が配設されている。また、この共通吸気管22には、ISC弁24の取付けられている部位の裏側でシリンダヘッド4の吸気側側壁部4aに支持される支持部25(図7参照)が設けられており、これにより、前記スロットル弁23やISC弁24等が確実に支持されるようになっている。
【0029】
さらに、前記吸気マニホルド7の分岐管20,20,…の上方に近接して、図3にのみ示すが、各分岐管20に略直交するようエンジン前後方向に延びるフューエルディスパイプ26が配設されている。このフューエルディスパイプ26のエンジン後側の端部には、図示しないが、燃料供給ホースが接続されていて、この燃料供給ホースにより燃料ポンプから送られてくる高圧の燃料がフューエルディスパイプ26を介して、各シリンダ毎のインジェクタに分配供給されるようになっている。また、このフューエルディスパイプ26内の燃料の圧力状態を検出するための燃圧センサ27と、設定圧以上となった高圧の燃料を逃がして、燃料タンクに戻すためのリリーフ弁28とが配設されている。
【0030】
一方、エンジン1の本体右側には、図1にのみ示すが、各シリンダ内の燃焼室から既燃ガスを排出させるように、排気マニホルド30が取付けられる。この排気マニホルド30は、互いに長さの等しいステンレス製の薄肉丸パイプをそれぞれ曲げ加工してなる4つの分岐管31,31,…と、プレス加工により形成され、前記各分岐管31の排気上流側の端部がそれぞれ溶接された取付フランジ部32と、前記分岐管31,31,…の排気下流側の端部が軸線方向を揃えて束ねられた状態で溶接された集合管33とからなる。
【0031】
また、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bには、図5にも示すように、エンジン1の前後方向に長い台状部が形成され、この台状部の端面に、前記排気マニホルド30の取付フランジ部32と接合される接合面34が形成されている。この接合面34には、エンジン前後方向に直線的に並ぶように、各シリンダと個別に連通する4つの排気ポート35,35,…の下流端がそれぞれ開口している。これらの4つの開口部のうち、エンジン後端部に最も近い第4シリンダの排気ポート35の開口部に隣接して、該開口部に連通しかつ接合面34に開口する異形の凹部36が形成されている。
【0032】
さらに、詳しくは後述するが、シリンダヘッド4の後端部には、前記第4シリンダの排気ポート35から排出される排気の一部を吸気マニホルド7に還流させるように、排気ガス還流通路37(以下、EGR通路という)が形成されている。このEGR通路37の上流端は、前記接合面34におけるエンジン後側の端部付近に開口しており、この開口端も前記凹部36と連通している。言い換えると、前記凹部36は、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bにおける接合面34に開口し、かつ前記EGR通路37の開口端を隣接する排気ポート35の下流端開口部に連通させるように、形成されている。
【0033】
そして、前記排気マニホルド30の取付フランジ部32がガスケット38を介してシリンダヘッド4の前記接合面34に重ね合わされた状態で、この取付フランジ部32がスタッドボルト(締結部材)39,39,…により、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bに対して締結固定されるようになっている。ここで、前記取付フランジ部32のエンジン後側の端部には、第4シリンダの排気ポート35の開口部に対応する位置よりもエンジン後側まで延びるように、延出部32a(蓋部材)が設けられていて、この延出部32aが、前記凹部36とEGR通路37の開口端とを覆うことで、該凹部36及び延出部32aにより、前記第4シリンダの排気ポート35の開口部とEGR通路37の上流端とを連通する容積室40(EGR導入空間部)が構成される。
【0034】
このように、排気マニホルド30の取付フランジ部32に延出部32aが一体形成されていることから、排気マニホルド30をシリンダヘッド4に取り付けるだけで、該延出部32aとシリンダヘッド4側の凹部36との間にEGR導入空間部40を容易に形成することができる。
【0035】
一方、前記排気マニホルド30の集合管35の下端部には、図示しないが、鉄製パイプ部材からなる排気管の上流端部が接続され、この排気管の下流端部が車両のフロア下まで延びていて、そこに排気浄化用触媒が接続されるようになっている。
【0036】
前記シリンダヘッド4ののエンジン後側の端壁部4cには、前記EGR通路37を通って吸気マニホルド7に還流される排気ガスの流通量を調節するための排気還流制御弁41(以下、EGR弁という)が配設されている。このEGR弁41は、図示しないステッピングモータにより弁体が作動されて、排気ガスの流通量を調節するものであり、上述の如く、シリンダヘッド4の後端壁部4cに設けられた冷却水導出部17に隣接し、かつこの冷却水導出部17の導出管17aに取り付けられるウォータホースに取り囲まれるように配置されている。また、前記冷却水導出部17の上方に近接するように、各シリンダ毎の点火プラグ42,42,…に高圧電流を供給する点火コイルユニット43が配置されている。このようにEGR弁41や点火コイルユニット43が冷却水導出部17に近接配置されていることで、該EGR弁41や点火コイルユニット43の過熱を抑制することができる。
【0037】
尚、前記図3における符号44は、エンジン1の動弁系における吸気側カム軸の回転位置を検出するためのカム角センサであり、また、符号45は、クランク軸2の出力端部に締結固定されるとともに、図外のオートマチックトランスミッションのトルクコンバータに締結固定されて、エンジン1の出力を該オートマチックトランスミッションに伝達するドライブプレートである。
【0038】
(排気ガス還流通路の構造)
本発明の特徴は、主に、前記EGR通路37とこのEGR通路37に対して排気ガスを導くようにシリンダヘッド4の排気側側壁部4bに設けたEGR導入空間部40との構造にある。以下、図4〜8に基づいて、まずシリンダヘッド4の概略構成から説明する。
【0039】
尚、図4は、動弁系、インジェクタ、補機類等を全て取り除いた状態で、エンジン左側から見たシリンダヘッド4の吸気側側壁部4aを示し、一方、図5は、エンジン右側から見たシリンダヘッド4の排気側側壁部4bを示す。また、図6は、シリンダ軸心に沿って見たときの前記図4ないし図5のVI-VI線における断面を示す。さらに、図7は、エンジン後側から見たときのシリンダヘッド4の後端壁部4c等を示し、図8は、そのシリンダヘッド後端壁部4cへのEGR弁41の取付け構造を示すものである。
【0040】
図4に示すように、シリンダヘッド4の吸気側側壁部4aには、上述した排気側側壁部4bと同様にエンジン前後方向に長い台状部が形成され、この台状部の端面に、吸気マニホルド7の取付フランジ部(図示せず)と接合される接合面48が形成されている。この接合面48には、エンジン1の各シリンダに個別に連通される吸気ポート49,49,…の上流端がエンジン前後方向に直線的に並ぶように開口しており、また、前記台状部の上面には、該各吸気ポート49,49,…にそれぞれ対応するようにインジェクタを収容する収容孔50、50,…が設けられている。
【0041】
また、前記吸気側側壁部4aにおけるエンジン後端側には、前記接合面48と同一面上に位置するように略円形の加工面51が形成されていて、この加工面51の略中央部に、EGR通路37の下流端が開口している。すなわち、詳しくは後述するが、この加工面51には、図7に示すように吸気マニホルド7の共通吸気管22に設けられた支持部25の端面が接合され、該支持部25内に形成された空洞部52により、前記EGR通路37の下流端開口部が吸気マニホルド7の共通吸気管22内に連通するようになっている。
【0042】
さらに、図示しないが、前記吸気マニホルド7の取付フランジ部は、該吸気マニホルド7の分岐管20,20,…の各下流端部から前記支持部25の端部にまで亘るように一体形成されており、この取付フランジ部が前記シリンダヘッド4の吸気側側壁部4aにおける接合面48から加工面51に亘るように重ね合わされた状態で、図示しない締結ボルトがボルト孔53,53,…に螺合締結されるようになっている。
【0043】
前記したように、エンジン1の吸気ポート49,49,…の上流端はシリンダヘッド4の吸気側に開口しており、この各吸気ポート49は、図6に示すように、エンジン1の内方に向かって、各シリンダの天井部まで延びるように設けられるとともに、途中で2つに分岐して、下流端がそれぞれ各シリンダ毎の天井部において燃焼室に向かって開口している。そして、吸気マニホルド7の各分岐管20から前記各吸気ポート49に流入した空気は、該各吸気ポート49内にインジェクタにより噴射供給された燃料と混合されて、この混合気が各シリンダ毎の燃焼室に吸入される。
【0044】
一方、前記各シリンダ毎の燃焼室の天井部には、前記各吸気ポート49の2つの下流端開口部と隣り合うように、排気ポート35の上流端が2つに分岐して独立に開口している。この各排気ポート35は、同図に示すように途中で合流し、その下流端部が上述の如くシリンダヘッド4の排気側側壁部4bにおける接合面34に開口している。そして、前記各シリンダ内燃焼室から各排気ポート35により排出される排気ガスは、排気マニホルド30の分岐管31,31,…と集合管33とを経て、図示しない排気管及び排気浄化用触媒に至り、この触媒により浄化された後に、大気中に排出される。
【0045】
前記図6に示すように、シリンダヘッド4の内部には、エンジン前後方向に亘って前記吸気及び排気ポート49,35の間を縫うように、ウォータジャケットwが形成されている。詳しくは、ウォータジャケットwは、シリンダヘッド4の内部において吸気側及び排気側に分割されて、それぞれ、エンジン前後方向の両端部間に亘るように形成されるとともに、その前後両端部において互いに連通されている。また、該ウォータジャケットwは、吸気側においては主に各吸気ポート49の周壁部よりも燃焼室に近い側を通るように形成され、排気側においては各排気ポート35の周壁部よりも燃焼室に近い側と遠い側との両方を通るように形成されている。
【0046】
さらに、前記ウォータジャケットwは、シリンダヘッド4のロアデッキに形成された複数の水孔55,55,…を通じて、シリンダブロック3のウォータジャケットに連通されている。そして、シリンダブロック3のエンジン左側面に配設されたウォータポンプ10により送り出される冷却水がシリンダブロック3のウォータジャケットを流通するとともに、前記水孔55,55,…を通じてシリンダヘッド4のウォータジャケットw内に流入し、このウォータジャケットw内においてエンジン前端部から後端部に向かって流れて、シリンダヘッド4の後端壁部4cに設けられた冷却水出口56から排出される。
【0047】
尚、前記図6において、符号57,57,…は、エンジン1の各シリンダ毎の吸気及び排気ポート49,35開口部に囲まれて、燃焼室の天井部に開口するように設けられたプラグホールである。また、符号58,58,…は、シリンダヘッド4からオイルパン6までオイルを流通させるオイル落とし穴であり、この各オイル落とし穴58は、クランクケースからのブローバイガスの通路としての機能も有する。さらに、符号59,59,…は、シリンダヘッド4をシリンダブロック3に対して締結するヘッドボルト(図示せず)の挿通されるヘッドボルト孔である。
【0048】
次に、EGR通路37の構造について、詳細に説明する。
【0049】
まず、前記図4〜7に示すように、EGR通路37は、エンジン1のシリンダヘッド4の後端部に設けられているが、このシリンダヘッド4の場合、排気側側壁部4bにおいてその後端縁部とそこから最も近い第4シリンダの排気ポート35開口部との間隔は、該排気側側壁部4bの前端縁部とそこから最も近い第1シリンダの排気ポート35開口部との間隔よりも長くなっている。言い換えると、EGR通路37は、シリンダヘッド4におけるシリンダ列方向両端部のうち、該シリンダヘッド4の排気側側壁部4bにおいてその端縁部と該端縁部に最も近い排気ポート35開口部との間隔が相対的に大きい方の端部に設けられている。
【0050】
また、前記EGR通路37は、前記第4排気ポート35から排出される排気ガスの一部をシリンダヘッド4の排気側からEGR弁41の設けられた部位にまで還流させる上流側の通路60と、該EGR弁41からシリンダヘッド4の吸気側まで排気ガスを還流させる下流側の通路61とからなる。すなわち、上述の如く、EGR通路37の上流端、即ち前記上流側通路60の上流端はシリンダヘッド4の排気側側壁部4bにおける接合面34に開口していて、該上流側通路60は、その開口位置からシリンダヘッド4の吸気側に向かってドリル等により穿孔されて、EGR弁41の配設位置の付近まで延びている。
【0051】
また、同様に、前記下流側通路61は、シリンダヘッド4の吸気側側壁部4aにおける加工面51の略中央部から排気側に向かってドリル等により穿孔され、EGR弁41の配設位置の付近まで延びている。
【0052】
さらに、図7に示すように、前記シリンダヘッド4の後端壁部4cには、前記EGR弁37の上流側及び下流側通路60,61に個別に連通するように、第1及び第2連通孔部62,63が設けられている。詳しくは、図8にも示すように、シリンダヘッド4の後端壁部4cには、EGR弁41を取付けるための台座部64が形成されていて、前記第1及び第2連通孔部62,63は、該台座部64上においてシリンダ軸心の延びる方向(図の上下方向)に並ぶように開口する一方、エンジン前後方向に互いに平行に延びて、それぞれ、前記上流側及び下流側通路60,61に連通している。尚、この台座部64や孔部62,63は、いずれもシリンダヘッド4の後端壁部4cの鋳造時に一体形成されたものである。
【0053】
そして、前記台座部64に対して、EGR弁41の取付フランジ部41aがガスケット65を介して重ね合わされた状態で、ボルト66,66がボルト孔67,67にそれぞれ螺合締結されることにより、EGR弁41がシリンダヘッド4の後端壁部4cに取付けられ、かつ前記上流側通路60及び下流側通路61に接続される。これにより、該上流側通路60から下流側通路61に流通する排気ガスの流量がEGR弁41により調節されるようになる。
【0054】
また、前記台座部64には、シリンダヘッド4のウォータジャケットwから冷却水を取り出して、EGR弁41のケーシングに導入する冷却水通路68が開口している。この冷却水通路68は、図7及び図9に示すように、シリンダヘッド4の後端壁部4cをエンジン前後方向に貫通していて、その一端がウォータジャケットwのエンジン後端部に臨むように開口する一方、該冷却水通路68の他端部は台座部64上に開口している。
【0055】
一方、EGR弁41のケーシングには、前記冷却水通路68により導かれる冷却水を受け入れる導入パイプ部41bが設けられており、この導入パイプ部41b内の通路の上流端がEGR弁41のフランジ部41aにおいて前記冷却水通路68の下流端開口に連通している。また、この導入パイプ部41bはEGR弁41の周囲を略半周するように設けられていて、その下流端部は、図示しない冷却水ホースに接続されるようになっている。
【0056】
このように、シリンダヘッド4のウォータジャケットwから冷却水通路68により、冷却水がEGR弁41の周囲を流れるように導かれることによって、EGR弁41の温度上昇が抑制されて、ボルト66,66の緩みの発生が防止され、また、EGR弁41の特にステッピングモータ等の過熱が防止されて、信頼性のさらなる向上が図られる。
【0057】
尚、図7及び図8に示すすように、シリンダへッド4の後端壁部4cには、冷却水導出部17の取り付けられる台座部69がEGR弁41の台座部64に隣接するように設けられ、この台座部69上に冷却水出口56が開口している。
【0058】
続いて、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bにおいてEGR通路37の上流端開口に排気ポート35からの排気ガスの一部を導くEGR導入空間部40の構造について、説明する。
【0059】
上述したように、前記シリンダブロック4の排気側側壁部4bにおける接合面34には、エンジン1の第1〜第4シリンダにそれぞれ個別に連通する4つの排気ポート35,35,…の各下流端開口部が並んで形成されるとともに、前記第4シリンダの排気ポート35の下流端開口部とEGR通路37の上流端開口部とを連通する凹部36が形成され、この凹部36が排気マニホルド30の取付フランジ部32における延出部32aにより覆われることで、EGR導入空間部40が構成されるようになっている。
【0060】
詳しくは、前記凹部36の略中央部は、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bと一体に鋳造により形成された鋳造形成部36aであり、この鋳造形成部36aのエンジン前側及び後側には、それぞれ排気ポート35の下流端開口部とEGR通路37の上流端とに連通するように、円形断面の第1及び第2切削形成部36b,36cが連設されている。すなわち、前記凹部36は、その中央部分をシリンダヘッド4の鋳造時に金型により一体形成しておいて、この部分の両側をエンドミル等により切削加工してなるものである。
【0061】
このように、凹部36の中央部分をシリンダヘッド4の鋳造時に一体に形成することで、コストの低減が図られるとともに、その鋳造による形成部分の周辺を切削加工により形成することで、凹部36全体としては、その形状や寸法を型抜きの制限なしに決定することができ、よって、EGR導入空間部40の形状や寸法を最適化することが可能になる。
【0062】
また、前記凹部36の鋳造形成部36aは、相対的に排気ポート35に近いエンジン前側の部分において残りの部分よりも容量が大きくなるように、開口幅や深さが相対的に大きく形成されており、一方、前記残りの部分、即ち相対的にEGR通路37に近いエンジン後側の部分では、鋳造形成部36aの深さや開口幅がエンジン後側ほど小さくなるような形状とされている。すなわち、EGR導入空間部40において、前記鋳造形成部36aのエンジン前側の半分に相当する部分が、EGR通路37に比べて排気ガスの流通断面積の広い大容量部となり、また、該鋳造形成部36aのエンジン後側の半分が、前記大容量部からEGR通路37の上流端に向かって、排気ガスの流通断面積が徐々に減少する容量漸減部となる。
【0063】
斯かる構成により、エンジン1の第4シリンダの排気ポート35から還流される排気ガスは、EGR導入空間部40の前記大容量部においてシリンダヘッド4のウォータジャケットwとの間で十分な熱交換を行い、その後、前記容量漸減部において徐々に絞られて流速を高めながら、スムーズにEGR通路37に流入するようになる。つまり、EGR導入空間部40における排気ガスの放熱性を十分に高めながら、良好な流通性を確保することができる。
【0064】
さらに、前記1及び図5に示すように、シリンダヘッド4の排気側側壁部4bの接合面34には、排気マニホルド30の取付フランジ部32を取り付けるための7つのスタッドボルト39,39,…が配設されているが、このスタッドボルト39,39,…のうち、エンジン前端側の1番目のものから順番に5番目のものまでは、それぞれ、排気ポート35,35,…の各開口部を挟むように千鳥状に配置されている。
【0065】
また、前記5番目のスタッドボルト39と残りの2本のスタッドボルト39,39とは、エンジン1を本体左側から見たときに、概略直角三角形の頂点に位置することになるように配置されていて、これら3本のスタッドボルト39,39,39により、排気マニホルド30の取付フランジ部32における延出部32aが締結固定されるようになっている。そして、それら3本のスタッドボルト39,39,39に囲まれるように、シリンダヘッド4の接合面34に凹部36が開口しており、この凹部36の開口端縁部が、前記3本のスタッドボルト39,39,39の位置を結んだ三角形状に沿うような形状とされている。このことで、該凹部36の周縁におけるシール性が確実なものとなる。
【0066】
最後に、前記EGR通路37の下流端、即ち下流側通路61の下流端において、該EGR通路37により還流される排気ガスが吸気マニホルド7の共通吸気管22内に向かって導出される部分の構造について、説明する。
【0067】
図7に示すように、吸気マニホルド7の共通吸気管22をシリンダヘッド4に対して支持する支持部25の内部には、EGR通路37の下流端開口部よりも大径の空洞部52が形成され、この空洞部52は、前記EGR通路37の開口部全体を取り囲んでいる。一方、前記EGR通路37の開口部には、シリンダヘッド4の加工面51に対して略直交するように耐熱性パイプ部材70が取り付けられ、この耐熱性パイプ部材70と空間部52の内壁との間には、所定量の間隔が空けられている。
【0068】
このような構成により、前記EGR通路37から空洞部52に導かれる高温の還流排気ガスは、耐熱性パイプ部材70の内部を流通する間に冷却されて、温度状態が低下した後に共通吸気管22内に放出されるようになる。また、該パイプ部材70と空間部52の内壁との間には所定量の間隙があり、熱が直接に伝わることはない。従って、吸気マニホルド7が樹脂製であっても、この吸気マニホルド7に対する高温の還流排気ガスからの熱的影響を十分に低くすることができ、吸気マニホルド7の信頼性向上が図られる。
【0069】
したがって、この実施形態に係るエンジンの排気ガス還流通路構造によれば、エンジン1のシリンダヘッド4において、第4シリンダの排気ポート35から排出される排気ガスの一部をEGR通路37に導くためのEGR導入空間部40を、主にシリンダヘッド4の排気側側壁部4b内に形成することで、このシリンダヘッド4の温度状態が比較的低くかつ安定していることから、該EGR導入空間部40を流通する排気ガスの温度状態を十分に低くかつ安定したものとすることができこれにより、エンジン1の良好な燃焼状態を維持しながら、EGR弁41等の構成部品の信頼性を高めることができる。
【0070】
特に、この実施形態では、前記EGR導入空間部40に、排気ガスの流通断面積の相対的に大きい大容量部と、この大容量部からEGR通路37の上流端に向かって排気ガスを徐々に絞る容量漸減部とが設けられているので、このEGR導入空間部40を流通する排気ガスは前記大容量部において十分に冷却され、その後、容量漸減部において徐々に流速を高めながら、スムーズにEGR通路37に導かれることになる。つまり、EGR導入空間部40における排気ガスの放熱性をさらに高めながら、良好な流通性を確保することができる。
【0071】
また、この実施形態では、EGR通路37を、シリンダヘッド4の前後両端部のうち、排気側側壁部4bにおいて排気ポート35開口部との間隔が相対的に大きい方の後端部に設けているので、EGR通路37をシリンダヘッド4のエンジン前端部に設ける場合に比べて、EGR導入空間部40の容積を相対的に大きくすることができ、このことによって、該EGR導入空間部40における排気ガスの放熱をさらに促進することができる。
【0072】
加えて、この実施形態では、本発明に斯かる排気ガス還流通路構造を、車両のエンジンルームに横置き搭載されるエンジン1に適用しており、このエンジン1は吸気系を車両前側に、また排気系を車両後側に向けるように搭載されている。このように排気系をエンジン本体の車両後側に位置づけたときには、一般的に、走行風による排気系の冷却効果が低くなるので、その分、排気マニホルドの温度状態が高くなりやすい。言い換えると、本願発明のような排気ガス還流通路構造を適用して、還流排気ガスの温度状態を低下させることができるという効果は、この実施形態のようなエンジン1の搭載状態において、特に有効なものとなる。
【0073】
但し、本願発明は、エンジン1を、排気系が車両前側に位置するように搭載する場合について適用することができ、或いは、エンジンを、クランク軸が車両前後方向に延びるように縦置きに搭載する場合についても適用可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明におけるエンジンの排気ガス還流通路構造によると、エンジンのシリンダヘッド内に排気ガス還流通路を設ける場合に、該シリンダヘッドの熱的安定性が比較的高いことに着目して、該排気ガス還流通路の上流端に連通する導入空間部を、シリンダヘッドの排気側側壁部に形成した凹部とこの凹部を覆う蓋部材とにより構成した。こうすることで、該導入空間部を流通する排気ガスの温度状態を十分に低くかつ安定したものとして、エンジンの良好な燃焼状態を維持しながら、排気ガス還流通路を構成する部品等の信頼性を高めることができる。
【0075】
また、排気ガスの導入空間部に大容量部と容量漸減部とを設けているので、排気ガスの放熱性を十分に高めながら、スムーズに流速を高めて、良好な流通性を確保することができる。
【0076】
請求項2の発明によると、凹部と協動して排気ガスの導入空間部を構成する蓋部材を、排気マニホルドの取付フランジに一体的に設けることで、その導入空間部を容易に形成することができる。また、前記蓋部材の締結位置と凹部の開口端縁部の形状とを適切に設定することで、該凹部と蓋部材との間のシール性を最小限の締結部材により確保できる。
【0077】
請求項3の発明によると、排気ガスの導入空間部を構成する凹部の中心となる部分を、シリンダヘッドの鋳造時に一体形成するとともに、この鋳造形成部分の周辺を切削加工により形成することで、排気ガス導入空間部の形状や寸法の最適化と製造コストの低減とを両立できる。
【0078】
請求項4の発明によると、シリンダヘッドに配設した排気還流制御弁により、排気ガス還流通路を流通する排気ガスの還流量を調節することができるとともに、この排気還流制御弁の周囲に冷却水を導いて、信頼性をさらに高めることができる。
【0079】
請求項5の発明によると、排気ガス還流通路を、シリンダヘッドのシリンダ列方向両端部のうち、該シリンダヘッドの排気側側壁部においてその端縁部と該端縁部に最も近い排気ポート開口部との間隔が相対的に大きい方の端部に設けることで、排気ガスの導入空間部の容積を相対的に大きくすることができ、よって、請求項1の発明の効果をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエンジンの排気ガス還流通路構造の特徴部分の構成を示す斜視図である。
【図2】 エンジンの外観を示す左側面図である。
【図3】 エンジンの外観を示す左側後方からの斜視図である。
【図4】 シリンダヘッド単体の吸気側側面図である。
【図5】 シリンダヘッド単体の排気側側面図である。
【図6】 シリンダヘッド単体の内部構造を示す、図4及び図5のVI-VI線における断面図である。
【図7】 シリンダヘッドのエンジン後側端面図である。
【図8】 シリンダヘッドへEGR弁を取付る構造を示す斜視図である。
【図9】 EGR弁への冷却水通路の構成を示す、図7のIX-IX線における断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
4b 排気側側壁部
7 吸気マニホルド
30 排気マニホルド
32 取付フランジ部
32a 延出部(蓋部材)
34 排気側の接合面
35 排気ポート
36 凹部
36a 鋳造形成部
36b、36c 切削形成部
37 EGR通路(排気ガス還流通路)
39 スタッドボルト(締結部材)
40 EGR導入空間部(容積室)
41 EGR弁(排気還流制御弁)
38 冷却水通路
w ウォータジャケット
Claims (5)
- エンジンの排気系から吸気系へ排気ガスの一部を還流させるための排気ガス還流通路を、ウォータジャケットを有するシリンダヘッドの内部に設けた排気ガス還流通路構造において、
排気ポートの下流端が開口する前記シリンダヘッドの排気側側壁部には、前記排気ガス還流通路の上流端を隣接する排気ポートの下流端開口部に連通させるように凹部が形成されるとともに、
前記凹部を覆うように蓋部材が配設され、
前記凹部及び蓋部材により囲まれた容積室により、前記排気ポートからの排気の一部を前記排気ガス還流通路へ導くための導入空間部が構成されていて、
該導入空間部には、
排気ガスの流通断面積が前記排気ガス還流通路の上流端よりも広い大容量部と、
前記大容量部から前記排気ガス還流通路の上流端に向かって、排気ガスの流通断面積が徐々に減少する容量漸減部とが設けられていることを特徴とするエンジンの排気ガス還流通路構造。 - 請求項1において、
シリンダヘッドの排気側側壁部には、排気マニホルドの取付フランジが接合される接合面が形成され、この接合面に対して前記取付フランジが複数の締結部材により締結固定されており、
凹部は、前記接合面に開口するように形成され、
蓋部材は、前記排気マニホルドの取付フランジに一体的に設けられるとともに、前記締結部材のうちの1つを含む3つの締結部材により、前記接合面に対して略三角形状をなす3箇所において締結固定され、
前記凹部の開口端縁部は、前記蓋部材の各締結位置を結んだ略三角形状に沿うような形状とされていることを特徴とするエンジンの排気ガス還流通路構造。 - 請求項1において、
凹部は、
シリンダヘッドの排気側側壁部と一体に鋳造により形成された鋳造形成部と、
前記鋳造形成部を排気ガス還流通路の上流端と排気ポートの下流端開口部とにそれぞれ連通するように切削加工により形成された切削形成部とからなることを特徴とするエンジンの排気ガス還流通路構造。 - 請求項1において、
シリンダヘッドには、
排気ガス還流通路における排気の流通量を調節する排気還流制御弁と、
前記排気還流制御弁の周囲にシリンダヘッドのウォータジャケットから冷却水を導く冷却水通路とが設けられていることを特徴とするエンジンの排気ガス還流通路構造。 - 請求項1において、
エンジンは、少なくとも2つのシリンダを有するものであり、
排気ガス還流通路は、前記シリンダの並ぶ方向についてのシリンダヘッドの両端部のうち、該シリンダヘッドの排気側側壁部においてその端縁部と該端縁部に最も近い排気ポート開口部との間隔が相対的に大きい方の端部に設けられていることを特徴とするエンジンの排気ガス還流通路構造。
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