JP4494161B2 - 高分子化合物、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
また、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と架橋剤とを含有するネガ型と、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤と含有するポジ型とがある。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸解離性溶解抑制基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]から誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(A0)
で示される構成単位(a0)と、ラクトン含有単環または多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]から誘導される構成単位(a2)と、を含む、質量平均分子量が2000〜50000である
高分子化合物であって、当該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、前記構成単位(a0)の割合が10〜50モル%であり、前記構成単位(a1)の割合が10〜80モル%であり、前記構成単位(a2)の割合が5〜60モル%であることを特徴とする高分子化合物である。
また、「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]」とは、メタクリル酸エステル等のα−低級アルキルアクリル酸エステルと、アクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。ここで、「α−低級アルキルアクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルのα炭素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されたものを意味する。「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]から誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
また、「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明の高分子化合物(以下、高分子化合物(A1)ということがある)は、上記一般式(A0)で表される構成単位(a0)と、酸解離性溶解抑制基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)とを有することを特徴とする。
式(A0)中、Rは水素原子または低級アルキル基を表す。Rの低級アルキル基は、炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。Rは、工業上入手しやすい点で、水素原子またはメチル基であることが好ましい。尚、Rの水素原子又は低級アルキル基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素原子数が1〜12であることが好ましく、炭素原子数が1〜5であることがより好ましい。炭素原子数が1〜5の直鎖または分岐のアルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素原子数が4〜12であることが好ましく、炭素原子数が5〜10であることがより好ましい。かかるアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基等が挙げられる。
R1〜R4としては、直鎖または分岐のアルキル基または水素原子がより好ましい。
なお、R1およびR2が同時にアルキル基である場合、すなわち酸で解離する場合は本発明には含まれない。
R5としては、低級アルキル基が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xは、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、=O等が挙げられる。
環式基としては、「脂肪族環式基」が挙げられる。ここで、本明細書および特許請求の範囲における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを意味する。脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基における置換基を除いた基本の環(基本環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であってもよく、また、炭化水素環を構成する炭素原子の一部が硫黄原子等のヘテロ原子で置換された複素環であってもよい。本発明の効果のためには、Xにおける基本環が、炭化水素環であることが好ましい。
炭化水素環の具体例としては、たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
Xとしては、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタン、ノルボルナンから水素原子を除いた基がより好ましい。
uは1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。uが1である場合、Xは2価、uが2である場合Xは3価、uが3である場合Xは4価となる。
または、以下の一般式(I)で示す様に、乾燥したテトラヒドロフラン(THF)に、二重結合を有する環式基にスルホン酸基を有する側鎖が結合してなる化合物を溶解して、0℃まで冷却した後、BH3−テトラヒドロフラン錯体のTHF溶液を滴下して撹拌することで、二重結合にB−H結合を付加させて、ついで、30質量%過酸化水素水と3モル水酸化ナトリウム水溶液からなるアルカリ性過酸化水素により酸化してアルコールとした後、(α−低級アルキル)アクリル酸クロリドと反応させることにより(α−低級アルキル)アクリル酸エステルとすることにより得られる。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのα−位の置換基としての低級アルキル基としては、上記構成単位(a0)におけるRの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
なお、前記アルキル基またはシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
また、環状または鎖状のアルコキシアルキルエステルとは、カルボキシ基の水素原子がアルコキシアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O―)の末端の酸素原子に前記アルコキシアルキル基が結合している構造を示す。このアルコキシアルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子とアルコキシアルキル基との間で結合が切断される。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。好ましくは多環式基である。
このような脂肪族環式基の具体例としては、例えば、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。
また、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えばシクロアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−アダマンチル基や、2−エチルアダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式で示す構成単位の様に、アダマンチル基の様な脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
R23はアルキル基又はシクロアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。R23が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R23が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R21及びR23がそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であってR23の末端とR21の末端とが結合していてもよい。
この場合、R21とR23と、R23が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR21が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
Y2は2価の脂肪族環式基である。
Y2は2価の脂肪族環式基であるから、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は、前記構成単位(a1)においての「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の構成単位(a1)においての「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−36)、(a1−1−38)、(a1−1−39)及び(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
高分子化合物(A1)は、前記構成単位(a0)および構成単位(a1)の他に、ラクトン含有単環または多環式基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
構成単位(a2)のラクトン含有単環または多環式基は、高分子化合物(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
ここで、ラクトン含有単環または多環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
これらの中でも、一般式(a2−1)〜(a2−5)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。具体的には、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
高分子化合物(A1)中の構成単位(a2)の割合は、高分子化合物(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
高分子化合物(A1)は、前記構成単位(a0)および(a1)に加えて、または前記構成単位(a0)、(a1)および(a2)に加えて、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有していてもよい。構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。ただし、本発明においては構成単位(a3)の役割を構成単位(a0)が担っていると推測され、構成単位(a3)を有していなくても、解像性を向上させることができる。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。この様な多環式基は、ArFエキシマレーザー用レジスト組成物用のポリマー(樹脂成分)において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
高分子化合物(A1)が構成単位(a3)を有する場合、高分子化合物(A1)中、構成単位(a3)の割合は、当該高分子化合物(A1)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜45モル%、最も好ましくは15〜35モル%がより好ましい。
高分子化合物(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a0)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
また、高分子化合物(A1)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という)とを含むポジ型レジスト組成物である。
かかるポジ型レジスト組成物においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が(A)成分の酸解離性溶解抑制基を解離させ、アルカリ可溶性を増大させる。そのため、レジストパターンの形成において、基板上に塗布されたレジスト組成物に対して選択的に露光すると、露光部のアルカリ可溶性が増大し、アルカリ現像することができる。
(A)成分は、上記本発明の高分子化合物(A1)を含有する必要がある。
高分子化合物(A1)は、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中、高分子化合物(A1)の割合は、本発明の効果のためには、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
かかる高分子化合物(A2)としては、従来、化学増幅型ポジ型レジスト用の樹脂成分として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
高分子化合物(A2−1)中、構成単位(a1)の割合は、高分子化合物(A2−1)の全構成単位の合計に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましい。また、構成単位(a2)の割合は、高分子化合物(A2−1)の全構成単位の合計に対して、5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましい。また、構成単位(a3)の割合は、高分子化合物(A2−1)の全構成単位の合計に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましい。
高分子化合物(A2−1)は、さらに前記構成単位(a4)を有していてもよい。
高分子化合物(A2−1)の質量平均分子量は5000〜30000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型ポジ型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が十分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
(C)成分としては、有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(C)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げらる。これらの中でも、第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましく、特にトリエタノールアミンまたはトリイソプロパノールアミンのような第3級アルカノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。本発明にかかるホトレジスト組成物は、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
本発明において、好適な新規化合物は、上記一般式(k−1)で表される。
式中のR3〜R4、R5、a、tは上記と同様である。
すなわち、これらの化合物は、上記一般式(I)で示される工程を経て、(α−低級アルキル)アクリル酸の水素原子と置換することにより、構成単位(a0)を誘導するモノマーとすることができる。
あるいは、これらの化合物は、エチレン性二重結合をその環骨格中に有するので、これを開裂させることにより重合し、高分子化合物とすることもできる。この様な構成単位を含む高分子化合物もレジストのベース樹脂として有用である。
そして、本発明の化合物を用いることにより、解像性の良好なレジスト組成物を提供することができる。
また、アルカリ現像液への親和性の向上により、ラインエッジラフネス(パターン側壁の凹凸)の低減、現像欠陥の低減も期待できる。
また、本発明の高分子化合物、これを用いたレジスト組成物、及び化合物は、環構造を必須とするので、エッチング耐性が良好であることが期待できる。
さらに、スルホン酸基を導入していることにより、耐熱性に優れるという効果も期待できる。さらに、透明性、密着性の向上も期待できる。解像性の向上には、これらの機能の向上がさらなる要因である可能性がある。
下記樹脂合成例1および比較樹脂合成例1で用いたモノマー成分(下記式(1)〜(4)で表される化合物(1)〜(4))の構造を以下に示す。
なお、化合物(4)は以下の様にして合成したものである。
すなわち、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートをTHFに溶解させ、塩基触媒として水素化ナトリウムを加え、CH3−SO2−Clを反応させることにより合成した。
5.0gの(1)、3.6gの(2)、および3.3gの(4)を100mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.44gを加えた。6時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂1とし、その構造式を下記に示す。樹脂1の分子量(Mw)は16900、分散度(Mw/Mn)は2.89であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、組成比はm1:n1:l1=45.1:35.1:19.8であった。
5.0gの(1)、3.6gの(2)、及び2.4gの(3)を100mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.44gを加えた。6時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を比較樹脂1とし、その構造式を下記に示す。比較樹脂1の質量平均分子量(Mw)は16800、分散度(Mw/Mn)は2.47であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比(モル比)はm:n:l=38.5:39.1:22.4であった。
100質量部の樹脂1と、3質量部のトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(TPS−PFBS)と、0.35質量部のトリエタノールアミンとを、1230質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解してポジ型レジスト組成物を得た。
<感度、解像性>
8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜用材料(ブリューワーサイエンス社製、商品名ARC−29)を塗布し、225℃で60秒間焼成して膜厚77nmの反射防止膜を形成して基板とした。
該基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて均一に塗布し、ホットプレート上で110℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚250nmのレジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置(波長193nm)NSR−S302(Nikon社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)を用い、6%ハーフトーンマスクを介して選択的に露光した。
そして、110℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にて現像液(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で60秒間パドル現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
このとき、130nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという)がパターンに忠実に形成されるときの感度(Eop)を測定した。
そして、当該感度(Eop)を用いた限界解像度を求めたところ、110nmのL/Sパターンが形成できた。
結果をまとめて表1に示した。
実施例1における樹脂1を比較樹脂1に変え、プレベーク、PEB処理の温度条件を130℃に変更した以外は実施例1と同様にしてポジ型レジスト組成物を調製し、同様の評価を行った。
その結果を表1に示す。
以下の様にして下記化学式(5)で表される化合物を製造した。
すなわち、ノルボルネンメタノール10gを300gのテトラヒドロフランに溶解し、0℃にて3.6gの水素化ナトリウムを加え10分攪拌し、11.4gのメタンスルホニルクロリドを加え室温にて5時間攪拌させた。反応終了後、水/酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、下記化学式(5)で表される化合物18.1g得た。赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。
IR(cm−1):2972、1356、1177
1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.94〜0.55(m、4H)、2.58〜1.78(m、1H)、3.01〜2.27(m、2H)、3.00(s、3H)、4.33〜3.78(m、2H)、6.25〜5.95(m、2H)
以下の様にして下記化学式(6)で表される化合物を製造した。
すなわち、テトラシクロドデセンメタノール10gを200gのテトラヒドロフランに溶解し、0℃にて2.4gの水素化ナトリウムを加え10分攪拌し、6.9gのメタンスルホニルクロリドを加え室温にて5時間攪拌させた。反応終了後、水/酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、下記化学式(6)で表される化合物15.0g得た。赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。
IR(cm−1):2958、1356、1176
1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:0.99〜0.52(m、2H)、1.79〜1.16(m、3H)、2.30〜1.88(m、4H)、3.00(s、3H)、3.97〜3.88(m、1H)、4.28〜4.20(m、1H)、6.03〜5.91(m、2H)
Claims (6)
- 酸解離性溶解抑制基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]から誘導される構成単位(a1)と、下記一般式(A0)
で示される構成単位(a0)と、ラクトン含有単環または多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル[低級アルキルとは、炭素数1〜5のアルキル基をいう。]から誘導される構成単位(a2)と、を含む、質量平均分子量が2000〜50000である高分子化合物であって、
当該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、前記構成単位(a0)の割合が10〜50モル%であり、前記構成単位(a1)の割合が10〜80モル%であり、前記構成単位(a2)の割合が5〜60モル%であることを特徴とする高分子化合物。 - 請求項1に記載の高分子化合物において、一般式(A0)中のsが0である高分子化合物。
- 請求項1または2に記載の高分子化合物において、一般式(A0)中のuが1である高分子化合物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物(A1)を含むことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- 請求項4に記載のポジ型レジスト組成物において、含窒素有機化合物(D)を含有するポジ型レジスト組成物。
- 請求項4または5に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、前記レジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
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