JP4489284B2 - シーム溶接装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーム溶接装置に係り、特に、シーム溶接される2枚のブランクの重ねられた端部同士のラップ量を検出する機能を備えたシーム溶接装置に関する。
【0002】
【背景技術】
2枚のブランクの重ねられた端部同士をシーム溶接するためのシーム溶接装置は、クランプされたこれらのブランクに対して前後進自在となったシーム溶接機を有し、このシーム溶接機が前後進することにより、2枚のブランクの端部同士がシーム溶接される。
【0003】
これらのブランクのシーム溶接によって生産された完成品について、シーム溶接強度を所定の大きさとするためには、シーム溶接前のブランクの端部同士を正確なラップ量で重ねることが重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、このラップ量の確認は作業者が行い、又はラップ量が確認されないまま2枚のブランクのシーム溶接が行われていた。このため、ラップ量を作業者が確認する場合には、それだけ多くの作業者が必要となり、また、ラップ量を確認しない場合には、所定のシーム溶接強度を有する完成品を得られないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、ブランクの端部同士のラップ量を自動検出してシーム溶接を行え、所定どおりのシーム溶接強度を有する完成品を生産できるようになるシーム溶接装置を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシーム溶接装置は、前後進自在であり、この前後進により2枚のブランクの端部同士をシーム溶接するシーム溶接機を有するシーム溶接装置において、前記2枚のブランクの端部同士がシーム溶接されるエリアに配置され、シーム溶接される前の前記2枚のブランクの重ねられた端部同士のラップ量を検出するための検出手段を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
このシーム溶接装置によると、シーム溶接前の2枚のブランクの端部同士のラップ量を検出手段で自動検出できることになる。このため、検出されたラップ量が許容範囲内の量であった場合には、シーム溶接装置を自動運転してシーム溶接作業を行え、これによって所定のシーム溶接強度となった完成品を生産でき、また、検出されたラップ量が許容値から外れる誤差を有するものである場合には、シーム溶接装置を停止させてラップ量を許容範囲内の値に変更する作業を行える。そして、ラップ量の検出作業は自動的に行われるため、シーム溶接作業に必要とされる作業者の数の削減を達成できる。
【0008】
このシーム溶接装置におけるラップ量の検出手段は、フィンガ等の接触部材がブランクに接触する接触式のものでもよいが、カメラ等による影像手段や静電容量等による電気手段を利用した非接触式のものとすることが好ましい。
【0009】
ラップ量の検出手段を非接触式のものにすると、検出手段の摩耗等の問題が発生するのをなくすことができる。
【0010】
検出手段をカメラとする場合には、2個のカメラを、2枚のブランクのシーム溶接される端部同士における前記シーム溶接機の走行方向前後側の両端縁に対向させて配置し、これらのカメラによりこの両端縁におけるラップ量を検出するようにしてもよい。
【0011】
これによると、2枚のブランクの直線的に延びている端部同士の全長に亘るラップ量が所定範囲内の量になっているか否かを2個のカメラで検出できることになる。
【0012】
また、このようにする場合には、2個のカメラを、2枚のブランクを載せた2個の治具部材の間の隙間に配置し、これによりラップ量を検出するようにしてもよい。これによると、2枚のブランクを載せた2個の治具部材の間の隙間をカメラの配置位置に有効利用してラップ量の検出作業を行える。2個の治具部材は2枚のブランクをシーム溶接するためのエリアに固定的に配置されていてもよく、このエリアに対して前後進する移送台に配置されていてもよい。
【0013】
また、検出手段をカメラとする場合には、このカメラを、ブランクに対して上側と下側の両方に配置された2個で一組をなすものとしてもよい。このカメラの組をシーム溶接機の走行方向に複数組設けることにより、ブランクの端部の延び方向の複数箇所において、ラップ量を検出できることになる。
【0014】
以上の本発明に係るシーム溶接装置において、ラップ量の検出手段は一定位置に固定的に配置してもよいが、シーム溶接されるブランクに対して進退自在とし、ラップ量を検出するときに前進させて検出作業を行うようにしてもよい。
【0015】
このようにすると、シーム溶接するためのエリアに2枚のブランクを送り込むときに、検出手段は後退しているため、検出手段が邪魔にならず、ブランク送り込み作業を容易に行える。
【0016】
以上において、シーム溶接機によるシーム溶接は、2枚のブランクの重ねられた端部同士を押しつぶすマッシュシーム溶接でもよく、押しつぶさない通常のシーム溶接でもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシーム溶接装置は、自動車の車体の一部となるべき板金製完成品を、複数のブランクをマッシュシーム溶接で接合することにより生産するためのものである。
【0018】
図1には、本実施形態に係るシーム溶接装置の全体構成を説明するために、このシーム溶接装置の各部分を形成するそれぞれのエリアの配置位置を示した概念平面図が示されている。複数のブランクをシーム溶接するための溶接エリアAの横に隣接して、これらのブランクを溶接エリアAに送り込むまで待機させておく待機エリアBが設けられている。この待機エリアBの前後の位置であって溶接エリアAの横の位置から外れた位置には、エリアCとDが設けられ、これらのうち、エリアCはブランク供給台車の前進エリアであり、エリアDは完成品払い出し台車の前進エリアである。ブランク供給台車の前進エリアCには、エリアCに対して互いに直角をなす位置関係でブランク供給台車の後退エリアE,Fが接続され、完成品払い出しエリアDにも、エリアDに対して互いに直角をなす位置関係で完成品払い出し台車の後退エリアG、Hが接続されている。
【0019】
待機エリアBは溶接エリアAの左右両側の2箇所に設けられ、これらの待機エリアBからシーム溶接される複数のブランクが交互に溶接エリアAに送り込まれるようになっている。また、エリアCとエリアDとエリアE,FとエリアG,Hのそれぞれも、溶接エリアAに対して互いに左右対称の位置関係をなす2箇所に配置されている。したがって、溶接エリアAを除くそれぞれのエリアB〜Hは2箇所ずつ設けられている。
【0020】
図2は、図1で示したそれぞれのエリアを有する本実施形態に係るシーム溶接装置全体の平面図であり、エリアB〜Hにおけるブランク及び完成品の移動手段は、溶接エリアAのそれぞれの片側に1組ずつ設けられているこれらのエリアB〜Hについて同じである。
【0021】
この移動手段を説明すると、エリアCとエリアE,Fとの間に2台のブランク供給台車10がレール11に案内されて往復自在に配置され、エリアE,Fにおいて、シーム溶接で接合されるべき2枚で1組をなすブランクW1,W2が互い離れて台車10に多数組み積載され、台車10がエリアCへ前進することにより、ブランクW1,W2は前進エリアCに供給される。台車10の構成は、図3及び図6に示されている。エリアCとエリアBとエリアDとの並び方向に搬送体30が往復自在に配置され、この搬送体30がエリアC側からエリアD側へ移動することにより、エリアCに達している台車10上のブランクW1,W2が待機エリアBに搬送されるとともに、エリアAでブランクW1,W2から生産されて待機エリアBに戻されている完成品Yは、エリアDへ搬送される。搬送体30の構成は、図3〜図5に示されている。エリアDとエリアG,Hとの間には2台の完成品払い出し台車20がレール21に案内されて往復自在に配置され、台車20がエリアDに前進することにより、搬送体30から台車20へ完成品Yが受け渡され、台車20がエリアG,Hに後退することにより、完成品Yは台車20から他の場所へ運び出される。台車20の構成は、図3及び図6に示されている。
【0022】
待機エリアBと溶接エリアAとの間には移送台70が水平に往復自在に配置され、移送台70が待機エリアBに達しているときに搬送体30から移送台70にブランクW1,W2が供給され、移送台70が溶接エリアAへ移動すると、これらのブランクW1,W2は、溶接エリアAに対して前後進自在となっているシーム溶接機130でシーム溶接され、特に、本実施形態ではマッシュシーム溶接される。これにより溶接部の厚さがブランクW1,W2の合計厚さよりも小さくなった完成品Yが生産される。また、移送台70がもとの待機エリアBに戻ると、完成品Yは溶接エリアAから待機エリアBに戻され、そして、完成品Yは搬送体30でエリアDへ搬送される。移送台70は図7で示されており、エリアBの個数と同じ2台ある。シーム溶接機130は図17、図18で示されている。
【0023】
図3は、シーム溶接装置の側面図であり、ブランク供給台車10及び完成品払い出し台車20は車輪12,22でレール11,21上を走行する。この走行は台車10,20に搭載されている駆動装置13でなされ、図6はこの駆動装置13を示す。駆動装置13は、サーボモーター14と、このサーボモーター14の駆動軸にスプロケット15、チェーン16、スプロケット17を介して接続されている回転軸18と、この回転軸18に固定されたピニオン19と、このピニオン19が噛合しているラック23とで構成されている。回転軸18は、台車10,20に連結部材24で連結された軸受け部材25に回転自在に保持され、台車10,20の走行方向に延びるラック23は、台車10,20の走行軌道位置から少し離れて複数立設された支柱26の上端に固定されているガイド部材27に取り付けられている。連結部材24にはガイド部材27の背面に当接するローラ28が回転自在に取り付けられ、このローラ28のガイド部材27への当接でピニオン19はラック23に確実に噛合する。このため、サーボモーター14の駆動によるピニオン19の回転によって台車10,20は走行する。
【0024】
図3、図4、図5には搬送体30が示されている。図4は図3のS4−S4線断面図であり、図5は搬送体30の側面図である。図3に示すとおり、エリアCからエリアDに亘って複数の支柱31で支持された水平梁32が架設され、この水平梁32は、図4で示すように搬送体30の左右両側に配置されている。搬送体30はこれらの水平梁32まで延びる横桁30Aを有しており、搬送体30の移動方向に複数設けられているこれらの横桁30Aの両端部に結合された縦桁30Bには、H型鋼からなる水平梁32の上面に固定されたガイドレール34を左右両側から挟むローラ35,36と、ガイドレール34の上面に載せられているローラ37と、水平梁32の上フランジの下面に当接しているローラ38とが回転自在に取り付けられている。搬送体30は、これらのローラ35〜38による位置決め作用と搬送体重量支持作用とを受けながらエリアCとエリアDとの間で往復自在となっている。
【0025】
図3に示す水平梁32の側面にはシリンダ39が水平に取り付けられ、このシリンダ39のピストンロッド39Aには連結部材40を介してラック41が結合されている。搬送体30の移動方向に延びているラック41は、図4でも示されているガイド部材42で水平に支持され、シリンダ39のピストンロッド39Aが伸縮動すると、ラック41も水平に往復動する。ラック41には、水平梁32に回転自在に取り付けられているピニオン43が噛合し、このピニオン43には連結軸44でピニオン45が連結され、これらのピニオン44,45は同期回転する。ピニオン45は、搬送体30の縦桁30Bの下面に搬送体30の移動方向に延びて取り付けられているラック46に噛合している。このため、シリンダ39のピストンロッド39Aの伸縮動によるピニオン44,45の回転により、搬送体30の水平梁32に沿った移動が行われる。
【0026】
図5に示すとおり、搬送体30は下向きのシリンダ49を備えており、このシリンダ49のピストンロッド49Aには大枠組み50が結合され、この大枠組み50は、シリンダ49のピストンロッド49Aの伸縮動によりガイドバー51Aが挿入されたガイド部材51で案内されながら上下動する。大枠組み50のエリアC側の端部近くには、複数の吸着具52が、搬送体30の移動方向とこの移動方向に対して直角の水平方向とに配置されている。これらの吸着具52は真空式吸着具であり、図示しない吸引装置による吸気作用でブランクW1,W2、完成品Yを吸着し、吸着解除する。また、大枠組み50のエリアD側の端部には下向きのシリンダ53が取り付けられ、このシリンダ53のピストンロッド53Aに小枠組み54が結合されている。この小枠組み54は、ピストンロッド53Aが伸縮動することにより、大枠組み50に対し、ガイドバー55Aが挿入されたガイド部材55で案内されながら上下動する。この小枠組み54にも、複数の吸着具56が、搬送体30の移動方向とこの移動方向に対して直角の水平方向とに配置されている。これらの吸着具56も真空式吸着具である。
【0027】
それぞれの吸着具52,56は、上端の係止部57Aで大枠組み50、小枠組み54に係止されて下降限が決められている上下動自在なロッド57の下端に設けられており、ロッド57に周囲にはコイルばね58が巻回されている。
【0028】
このため、シリンダ49のピストンロッド49Aが伸び作動して大枠組み50が下降すると、吸着具52,56は下降してブランクW1,W2、完成品Yにコイルばね58の弾発力で押し付けられる。これによりブランクW1,W2、完成品Yが吸着具52,56に吸着されるとともに、ロッド57が大枠組み50、小枠組み54に対して相対的に上昇することにより、ピストンロッド49Aの下降量と、ブランクW1,W2、完成品Yの高さ位置との差が吸収される。また、後述するように、吸着具52で吸着されるブランクW1,W2の高さ位置と、吸着具56で吸着される完成品Yの高さ位置とに大きな差があっても、シリンダ53のピストンロッド53Aが伸び作動し、これによって小枠組み54が大枠組み50に対して下降することにより、この差も吸収される。
【0029】
図3に示されているエリアD側の支柱31はエリアB側とエリアA側との2本あり、これら支柱31の間に架設されている水平部材31AにはエリアB側へ延びるアーム60の基端部が結合され、その先端に防錆油噴出ノズル61が下向きに取り付けられている。図4に示すとおり、このノズル61は、搬送体30の移動方向に対し直角の水平方向に並設されている小枠組み54における4個の吸着具56の中央位置に配置されている。このため、溶接エリアAにおいてブランクW1,W2の端部同士をシーム溶接で接合して完成品Yを生産し、この完成品YをエリアBにおいて搬送体30の吸着具56で吸着し、搬送体30をシリンダ39で移動させて完成品YをエリアDに搬送するとき、完成品Yのシーム溶接部にノズル61から噴出する防錆油を吹きかけながら、完成品YをエリアDに送ることができるようになっている。
【0030】
図7は、図2で示されている2台の移送台70を示す平面図である。これらの移送台70はガイドレール71上に往復自在に載せられ、ガイドレール71は、溶接エリアAを通り、かつこの溶接エリアAの両側に設けられている待機エリアBまで水平に連続して延設されている。したがって、ガイドレール71は2台の移送台70について共通のものとなっている。それぞれの移送台70には、ガイドレール71に取り付けられたシリンダ72のピストンロッド72Aが連結され、ピストンロッド72Aの伸縮動で移送台70はガイドレール71上を往復動する。一方の移送台70の往復動範囲は、一方の待機エリアBと溶接エリアAとの間であり、他方の移送台70の往復動範囲は他方の待機エリアBと溶接エリアAとの間である。
【0031】
2台の移送台70は同じ構造で構成されている。すなわち、それぞれの移送台70の外形状は外枠70Aで形成され、この外枠70Aの内側には、ブランクW1,W2を載せるための2個の板状の治具部材73,74が設けられ、これらの治具部材73,74は、支持部材75で水平に支持されている。一方の治具部材74はその水平姿勢で不動であるが、他方の治具部材73はヒンジ76を中心に上方へ回動自在である。また、これらの治具部材73,74の上面には、ブランクW1,W2を仮クランプするための仮クランプ装置80と、ブランクW1,W2を押し出すためのプッシュ装置90とがそれぞれ複数配置されている。仮クランプ装置80は図13で示され、プッシュ装置90は図14で示されている。
【0032】
図13の仮クランプ装置80は、シリンダ81と、このシリンダ81に基端部が連結されて前方へ延びる支点部材82と、この支点部材82の先端の支点軸82Aを中心に上下に回動自在な爪部材83と、シリンダ81のピストンロッド81Aと爪部材83とを回動自在に連結する軸84と、支点部材82に結合されている取付部材85とで構成されている。取付部材85をボルト86で治具部材73,74に結合することにより、仮クランプ装置80は治具部材73,74の上面に取り付けられる。また、爪部材83は、シリンダ81のピストンロッド81Aが伸縮動することにより支点軸82Aを中心に上下に回動し、ピストンロッド81Aが伸び作動したとき、爪部材83は、ブランクW1,W2を治具部材73,74に押し付けて仮クランプする。
【0033】
図14のプッシュ装置90は、シリンダ91と、シリンダ91のピストンロッド91Aに取り付けられたブラケット92と、ブラケット92に取り付けられたローラ93とからなる。シリンダ91をボルト94で治具部材73,74に結合することにより、プッシュ装置90は治具部材73,74に取り付けられる。また、シリンダ91のピストンロッド91Aが伸び作動することにより、ローラ93はブランクW1,W2の端面を押し、これによりブランクW1,W2は前方へ押し出される。
【0034】
また、それぞれの移送台70には、図7に示すように、ブランクW1,W2のシーム溶接されるべき端部同士を所定量重ねるためのラップ装置100が配置されている。このラップ装置100は、治具部材73,74の下側に配置された長寸の支持部材101,102に取り付けられている。
【0035】
図8は、ラップ装置100を示す図7のS8−S8線断面図である。ラップ装置100は、支持部材101にブラケット103で上向きに取り付けられた第1シリンダ104と、この第1シリンダ104のピストンロッド104Aの先端に結合され、ピストンロッド104Aの伸縮動によりガイドバー105Aが挿入されたガイド部材105で案内されながら上下動する昇降部材106と、この昇降部材106の先端にシム107を介してボルトで結合されたストップ部材108と、このストップ部材108よりも後側で昇降部材106に設けられた押し上げ部材109と、支持部材102にブラケット110で上向きに取り付けられた第2シリンダ111と、この第2シリンダ111のピストンロッド111Aの先端に結合され、ピストンロッド111Aの伸縮動によりガイドバー112Aが挿入されたガイド部材112で案内されながら上下動する昇降部材113と、この昇降部材113の先端にボルトで結合されたストップ部材114とからなる。互いに対面するストップ部材108,114は、治具部材73,74の間の隙間115の真下に配置されている。
【0036】
なお、図8に示すとおり、2枚のブランクW1,W2のうち、治具部材74に載せられているブランクW1は、厚さT1が大きい厚板であり、治具部材73に載せられているブランクW2は、厚さT2が小さい薄板である。
【0037】
図9〜図12は、ラップ装置100によってブランクW1の端部W1AとブランクW2の端部W2Aとを重ねる作業をその順番にしたがって示している。治具部材73,74の上面に間隔を開けてブランクW1,W2が載せられた後、これらのブランクW1,W2が仮クランプ装置80で仮クランプされる前に、先ず、図9に示すとおり、第2シリンダ111のピストンロッド111Aが伸び作動することにより、昇降部材113が上昇してストップ部材114が隙間115から治具部材73,74及びブランクW1,W2の上方に突出する。次いで図10のように、ブランクW2がプッシュ装置90でブランクW1側へ押されることにより、その端部W2Aがストップ部材114に突き当たる。そして図11に示すとおり、第1シリンダ104のピストンロッド104Aの伸び作動により、昇降部材106が上昇して押し上げ部材109によって治具部材73の端部が押し上げられ、これにより、治具部材73は図7で示したヒンジ76を中心に少し上方へ回動するとともに、ストップ部材108はブランクW2の端部W2Aを押し上げる。また、第2シリンダ111のピストンロッド111Aの縮み作動により、昇降部材113とストップ部材114は下降し、ブランクW1がプッシュ装置90でブランクW2側へ押されることにより、その端部W1Aがストップ部材108に突き当たる。
【0038】
この後、図12で示すとおり、第1シリンダ104のピストンロッド104Aが縮み作動することにより、昇降部材106、ストップ部材108、押し上げ部材109は下降し、この結果、治具部材73はもとの水平姿勢に戻るとともに、ブランクW2の端部W2AはブランクW1の端部W1Aの上に乗り、端部W1A、W2A同士は重なる。次いで、ブランクW1,W2は互いにこの位置関係を維持して仮クランプ装置80により仮クランプされる。
【0039】
なお、ブランクW1,W2の端部W1A,W2A同士のラップ量(重なり幅)は、ストップ部材108と114の間隔で決まる。このため、図8に示すとおり、昇降部材106とストップ部材108との間に介在させるシム107を厚さを異ならせて複数個用意し、これらのシムを交換することにより、端部W1A,W2A同士のラップ量を、シーム溶接するための適切な大きさにブランクW1,W2の厚さ等に応じて任意に設定することができる。
【0040】
図7に示すとおり、治具部材73,74のうち、不動である治具部材74の上面には電極ローラ乗り上げ部材120が配置されている。この電極ローラ乗り上げ部材120は、シーム溶接機130の上下の電極ローラがラップ装置100で重ねられたブランクW1,W2の端部W1A,W2Aをシーム溶接する前に、上側の電極ローラを、治具部材74の上面から端部W1A,W2Aの合計厚さと同じ又はほぼ同じ高さ位置まで乗り上げさせておくためのものである。この電極ローラ乗り上げ部材120は、上下の電極ローラの間で通電しても、発熱によるシーム溶接がなされない電気の良伝導性の材料で形成されている。
【0041】
図15は、図7における電極ローラ乗り上げ部材120の配置位置の拡大図であり、図16は、図15のS16−S16線断面図である。治具部材73との間の隙間115に臨む治具部材74の端部には平面L字状の位置決め部材121が固定され、この位置決め部材121に押し当てられた位置決め状態で電極ローラ乗り上げ部材120がボルト122により治具部材74の上面に取り付けられ、電極ローラ乗り上げ部材120の半分以上が隙間115に突出している。電極ローラ乗り上げ部材120が消耗したときは、ボルト122の取り外しにより、新たな電極ローラ乗り上げ部材120に交換自在である。
【0042】
図7で示された移送台70には、以上説明した仮クランプ装置80、プッシュ装置90、ラップ装置100、電極ローラ乗り上げ部材120が配置されており、2台ある移送台70のそれぞれは、ガイドレール71とシリンダ72とで構成される移動装置125により、溶接エリアAと待機エリアBとの間で水平に往復するようになっている。
【0043】
図17はシーム溶接機130の側面図であり、図18はシーム溶接機130の正面図である。溶接エリアAには、基台131と、この基台131の四隅に立設された支柱132と、前後2本の支柱132の上端の間にそれぞれ架設された左右2本の水平梁133とで構成された大きな強度のフレーム構造体134が設置されている。基台131には、シーム溶接機130の走行が案内されるガイドレール135が配置され、シーム溶接機130の基部である走行台136にはナット部材137が取り付けられている。このナット部材137には、基台131の先端に設置されたサーボモーター138で回転する送りねじ軸139が螺入しているため、サーボモーター138の正回転、逆回転により、シーム溶接機130はガイドレール135で案内されて溶接エリアAに対し前後進する。
【0044】
シーム溶接機130は、走行台136に設けられているガイド部材140で上下に案内される下側の軸受け装置141と、この軸受け装置141で支持された下側の電極ローラ142と、軸受け装置141及び電極ローラ142を昇降させる昇降装置143とを備えている。走行台136には、この走行台136の後端の支柱136Aに基端部が結合されて前方へ延びるアーム部材144が設けられ、このアーム部材144の先端にブラケット145を介して下向きのシリンダ146が結合されている。このシリンダ146の図18で示されたピストンロッド146Aには上側の軸受け装置147が取り付けられ、この軸受け装置147に、下側の電極ローラ142と上下に対向する上側の電極ローラ148が支持されている。シリンダ146のピストンロッド146Aが伸縮動することにより、軸受け装置147と電極ローラ148は、ブラケット145に設けられているガイド部材145Aで案内されて上下動する。
【0045】
シリンダ146のピストンロッド146Aが伸び作動すると、上側の電極ローラ148が下側へ押圧され、これにより上下の電極ローラ142,148でブランクW1,W2の重ねられた端部W1A,W2Aが加圧されるため、このシリンダ146は、上側の電極ローラ148をシーム溶接時に下向きに押圧するための押圧手段となっている。
【0046】
また、図17で示すように、走行台136には、電気ケーブルを有する可撓性部材149で上下の電極ローラ142,148にシーム溶接用電力を供給するための電源装置150が搭載されている。
【0047】
図18に示すとおり、フレーム構造体134のそれぞれの水平梁133には、基台131上のガイドレール135と平行に延びるガイドレール151が取り付けられ、これらのガイドレール151に、シーム溶接機150の上記ブラケット145に設けたガイド部材152が摺動自在に係合している。このため、シーム溶接機130は上下のガイドレール135,151に案内されて走行するとともに、ガイドレール151によってシリンダ146と上側の軸受け装置147と上側の電極ローラ148の重量が支持されている。
【0048】
図7で示した移送台70を案内するガイドレール71は、図17に示すように溶接エリアAの両側の待機エリアBに立設されている支柱160で支持されている。このため、これらのガイドレール71は、フレーム構造体134の基台131が設置された床161よりも高い位置に配置されている。また、フレーム構造体134の内部には、基台131に取り付けられた受け台162が配置され、図18に示すとおり、左右に2個設けられているこれらの受け台162のそれぞれの上面に受け板163が取り付けられている。
【0049】
フレーム構造体134を構成している左右の水平梁133のそれぞれには、水平梁133の長さ方向に一定間隔を開けて複数のブラケット170が垂下固定されており、これらのブラケット170には、本クランプ装置用のシリンダ171がピン172で下向きに連結されている。これらのシリンダ171のピストンロッド171Aには上アーム部材173の後端がピン174で接続され、溶接エリアA側へ延びているこの上アーム部材173の長さ方向中間部は、ブラケット170に軸175で上下揺動自在に支持されている。これらの上アーム部材173と上下に対向する位置において、それぞれの受け板163に下アーム部材176が固定されている。
【0050】
移送台70がガイドレール71上を走行して溶接エリアAに達して停止したとき、シリンダ171のピストンロッド171Aが縮み作動することにより上アーム部材173の先端は軸175を中心に下降するため、移送台70の治具部材73,74に載せられているブランクW1,W2は、治具部材73,74と共に上アーム部材173と下アーム部材176とでクランプされる。
【0051】
このため、シリンダ171と上アーム部材173と下アーム部材176とにより、移送台70においてブランクW1,W2を本クランプするための本クランプ装置180が構成されている。この本クランプ装置180は、シーム溶接機130の左右両側において、シーム溶接機130の走行方向に複数配置されている。
【0052】
また、図17及び図18に示すように、フレーム構造体134にはシリンダ181がブラケット182で斜めに取り付けられ、このシリンダ181の伸縮作動するピストンロッドの先端にはラップ量検出カメラ183が取り付けられている。これらのシリンダ181とカメラ183は、図17に示すとおり、溶接エリアAにおけるシーム溶接機130の走行方向前後の2箇所に設けられている。
【0053】
図19は、移送台70が待機エリアBから溶接エリアAに達したときにおける2個のカメラ183の作動を示している。移送台70が溶接エリアAまで移動して停止すると、それぞれのシリンダ181のピストンロッドが伸び作動し、これにより、2個のカメラ183は、移送台70におけるブランクW1,W2から外れている治具部材73,74同士の間の隙間115に斜めから侵入する。この結果、2個のカメラ183により、ブランクW1,W2の直線的に延びている端部W1A,W2Aにおけるシーム溶接機130の走行方向前後側の両端縁でのラップ状態が撮影され、この影像データは図示しない演算装置で演算処理されてそのラップ量L1,L2が算出され、この算出データが制御装置に送られることにより、シーム溶接装置全体の作動を制御するために利用される。
【0054】
このため、カメラ183は、このシーム溶接装置におけるブランクW1,W2の端部W1A,W2Aのラップ量L1,L2を検出するための検出手段になっており、この検出手段は、ブランクW1、W2に接触しない非接触式である。
【0055】
また図17及び図18に示すように、溶接エリアAのフレーム構造体134には、溶接エリアAに達して停止した移送台70に載せられている2枚のブランクW1,W2のうち、前述した薄板ブランクW2に突起を形成するための突起形成手段190が設けられている。この突起形成手段190は、下向きのシリンダ191のピストンロッドに取り付けられた上型192を有している。シリンダ191はフレーム構造体134の水平梁133の長さ方向に複数あり、それぞれのシリンダ191は、水平梁133の長さ方向に複数設けられているブラケット170における前述した上アーム部材173を支持している支持部170A同士の間に架設されている。図23は、上型192がブランクW2に突起W2Bを形成しているときを示し、移送台70のブランクW2を載せている治具部材73には、上型192と対応する下型193が設けられ、溶接エリアAに移送台70が達して停止したときに、この下型193は上型192の真下の位置に達し、また、下型193は、図17及び図18で示した受け板163の上面に取り付けられているバックアップ部材194の真上に達する。
【0056】
シリンダ191のピストンロッドが伸び作動すると、図23で示すように、ブランクW2には、上型192と、バックアップ部材194で受けられた下型193とによって突起W2Bが形成される。このため、シリンダ191、上型192、下型193、バックアップ部材194により、突起形成手段190が形成されている。
【0057】
図2及び図7で示したように、溶接エリアAには、この溶接エリアAの左右両側の待機エリアBから2台の移送台70が交互に走行して入り、これらの移送台70には2枚のブランクW1,W2が左右対称の位置関係で載せられているため、薄板ブランクW2に突起を生成するための突起形成手段190は、図18に示すように、フレーム構造体134の左右両側に設けられている。
【0058】
次ぎに、以上説明したシーム溶接装置によるブランクW1,W2のシーム溶接作業を説明する。なお、図6で示したブランク供給台車10と完成品払い出し台車20の駆動装置13用のサーボモーター14や、図3で示した搬送体30を移動させるためのシリンダ39、図7で示した移送台70を移動させるためのシリンダ72、図8で示したラップ装置100のシリンダ104,111、さらには図17で示したシーム溶接機130を走行させるためのサーボモーター138等のシーム溶接装置におけるそれぞれの駆動源は、コンピュータープログラムに基づいて作動し、これにより、シーム溶接装置に設けられている台車10,20、搬送体30、移送台70等の移動体を所定のタイミングで作動させるようになっている。
【0059】
また、溶接エリアAの左右両側に設けられているエリアB〜Hにおける移動体の作動は同じであるため、以下の説明は、先ず片側のエリアB〜Hについて行う。
【0060】
エリアE又はFに停止していた図3のブランク供給台車10がエリアCまで前進すると、エリアC側へ移動していた搬送体30の図5で示す大枠組み50が下降する。これにより、大枠組み50の吸着具52は台車10に載せられているブランクW1,W2に吸着し、大枠組み50の上昇でブランクW1,W2も上昇する。この後、搬送体30はエリアD側へ移動し、吸着具52に吸着されたブランクW1,W2が待機エリアBに達すると、大枠組み50が下降する。これにより、ブランクW1,W2は待機エリアBまで後退している図7の移送台70の治具部材73,74の上に載せられ、そして、吸着具52の吸着が解除される。この後、大枠組み50は上昇し、搬送体30はエリアC側へ後退する。
【0061】
移送台70の治具部材73,74の上にブランクW1,W2が載せられると、移送台70に設けられているラップ装置100とプッシュ装置90が作動する。これにより、ブランクW1,W2の端部W1A,W2A同士は、図9、図10、図11、図12の工程を経て重ねられる。この後、移送台70に配置されている仮クランプ装置80が作動することにより、ブランクW1,W2は、端部W1A,W2A同士が重ねられたこの位置関係を維持した状態で移送台70に仮クランプされる。
【0062】
次いで、移送台70は溶接エリアA側へ移動し、溶接エリアAで停止する。これにより、ブランクW1,W2は溶接エリアAに送り込まれる。この後、溶接エリアAのフレーム構造体134に取り付けられている図17、図18の本クランプ装置180が作動し、ブランクW1,W2は移送台70に本クランプされる。この後、仮クランプ装置80の仮クランプは解除される。
【0063】
本クランプ装置180がブランクW1,W2を本クランプすることとは、図18で示したシリンダ171のピストンロッド171Aが縮み作動して上アーム部材173の先端が軸175を中心に下降することであり、このときにはシリンダ171にはクランプ反力が生ずるが、このクランプ反力は大きな強度のフレーム構造体134によって支持される。
【0064】
この後、図17及び図18で示したシリンダ181のピストンロッドが伸び作動し、これにより、図19で示すようにそれぞれのラップ量検出カメラ183が移送台10における治具部材73,74の隙間115に斜めから侵入し、カメラ183は、ブランクW1,W2の端部W1A,W2A同士のラップ量L1、L2を検出した後、シリンダ181のピストンロッドの縮み作動で後退する。カメラ183で検出されたラップ量L1,L2が予め設定されている許容誤差内の値となっている場合には、シーム溶接装置は自動運転を継続するが、ラップ量L1,L2が許容誤差を越える誤差を有するものとなっている場合には、カメラ183からの影像データに基づくラップ量データを受けた制御装置からの信号により、本クランプ装置180の解除、仮クランプ装置80の再クランプ、移送台70の溶接エリアAから待機エリアBへの戻りが行われる。待機エリアBにおいて、作業者は、手作業で仮クランプ装置80を解除することにより、ブランクW1,W2の端部W1A,W2A同士のラップ量を適正値に変更する作業を行い、この作業後、仮クランプ装置80でブランクW1,W2を仮クランプする。
【0065】
次いで作業者が、制御装置にスタート信号を入力することにより、移送台70は待機エリアBから溶接エリアAへ移動し、溶接エリアAにおいて、本クランプ装置180によるブランクW1,W2の本クランプ、仮クランプ装置80の仮クランプの解除、及びラップ量検出カメラ183によるラップ量L1,L2の再検出がなされる。
【0066】
これで検出されたラップ量が許容誤差内の値になっていたときには、シーム溶接装置は自動運転を再開し、また、最初に検出されたラップ量が許容誤差内の値になっていたときには、シーム溶接装置は自動運転を継続し、これにより、後退限まで戻っているシーム溶接機130が溶接エリアA側への走行を始める。シーム溶接機130が溶接エリアA側へ走行すると、図17の昇降装置143とシリンダ146との作動で上下に間隔を開けているシーム溶接機130の上下の電極ローラ142,148が移送台70の外枠70Aを越えた後、これらの電極ローラ142,148は、図16に示すように、治具部材73,74の間の隙間115に治具部材74から突出している電極ローラ乗り上げ部材120の上下面に昇降装置143とシリンダ146の作動で当接する。そして、このように上側の電極ローラ148がこの乗り上げ部材120に乗り上げると、電極ローラ148はシリンダ146によって乗り上げ部材120に大きな力で押圧されるとともに、上下の電極ローラ142と148の間でのマッシュシーム溶接のための通電が開始される。
【0067】
シーム溶接機130はそのまま溶接エリアA内へ走行し、これにより上下の電極ローラ142,148は、電極ローラ乗り上げ部材120から図20に示すとおりブランクW1,W2の重ねられている端部W1A,W2Aへ乗り移り、これらの端部W1A,W2Aをシリンダ146の大きな加圧力で加圧してマッシュシーム溶接を始める。このマッシュシーム溶接は、上側の電極ローラ148が重ねられている端部W1A,W2Aに直接乗り上げることにより始まるのではなく、図21に示すように、端部W1A,W2Aの合計厚さと同じ又はほぼ同じの厚さになっている電極ローラ乗り上げ部材120に電極ローラ148が一旦乗り上げ、この後、上下の電極ローラ142,148が端部W1A,W2Aへ移行することによってこれらの端部W1A,W2Aの加圧を始めるため、端部W1A,W2Aにおける電極ローラ乗り上げ部材120側の縁部(端部W1A,W2Aの溶接始端)が押しつぶし変形されてしまうのを防止できる。
【0068】
なお、このような電極ローラ乗り上げ部材をシーム溶接機130の前進方向における端部W1A,W2Aの溶接終端に隣接した位置にも設け、端部W1A,W2Aの全長を溶接し終えたシーム溶接機130の電極ローラ148がこの電極ローラ乗り上げ部材にも乗るようにすることにより、端部W1A,W2Aの溶接終端が押しつぶし変形されるのを防止できるようになる。
【0069】
以上のように、ブランクW1,W2の重ねられた端部W1A,W2A同士のシーム溶接は、シリンダ146で上側の電極ローラ148が下向きに押圧されることにより行われ、この押圧時には、シリンダ146に押圧の反作用としての上向き反力が生ずる。この上向き反力は、図18で示したブラケット145、ガイド部材152を介してガイドレール151に作用し、そして、このガイドレール151が取り付けられている大きな強度のフレーム構造体134で受けられる。
【0070】
シーム溶接機130が溶接エリアA内で継続して走行することにより、端部W1A,W2Aの全長がマッシュシーム溶接され、これにより、ブランクW1,W2の接合によって完成品Yが出来上がる。電極ローラ142,148が端部W1A,W2Aの終端に達すると、電極ローラ142,148は昇降装置143とシリンダ146の作動で端部W1A,W2Aから上下に離れるとともに、これらの電極ローラ142,148の間での通電は停止され、そして、シーム溶接機130はもとの位置まで後退する。
【0071】
このようにシーム溶接機130が後退位置に戻る移動を行っているときに、図18で示したフレーム構造体134の左右両側に設けられている突起形成手段190のうち、薄板ブランクW2と対応する位置に設けられている突起形成手段190のシリンダ191のピストンロッドが伸び作動する。これにより、図23で示すように、上型192と下型193とで薄板ブランクW2に突起W2Bが形成され、次いで、シリンダ191のピストンロッドの縮み作動で上型192は上昇する。
【0072】
このようにブランクW2に突起W2Bを形成する作業は、ブランクW1,W2がシーム溶接機130で接合一体化された後であって、ブランクW1,W2が本クランプ装置180でクランプされているときに行われるため、ブランクW2の所定位置に確実に突起W2Bが形成されることになり、また、シーム溶接機130が後退位置へ戻る時間を有効に利用して突起W2Bを形成する作業が行われる。
【0073】
この後、本クランプ装置180による本クランプが解除され、これに代わって仮クランプ装置80が完成品Yを移送台70の治具部材73,74にクランプする。このように完成品Yが仮クランプ装置80でクランプされた後、移送台70が溶接エリアAからもとの待機エリアBに移動することにより、完成品Yは待機エリアBに戻される。
【0074】
なお、電極ローラ142,148によってブランクW1,W2の端部W1A,W2Aをマッシュシーム溶接するときに、仮クランプ装置80によるブランクW1,W2の仮クランプを行ったままとし、マッシュシーム溶接の終了後に本クランプ装置180による本クランプのみを解除し、これにより、完成品Yを移送台70に仮クランプ装置80でクランプしながら待機エリアBに戻すようにしてもよい。
【0075】
完成品Yが待機エリアBに達すると、図5の搬送体30の大枠組み50が下降し、これにより、大枠組み50の吸着具52がエリアCにおける台車10上の次ぎのブランクW1,W2に吸着し、また、大枠組み50に設けられている小枠組み54の吸着具56が移送台70の治具部材73,74に載せられている完成品Yに吸着する。このとき、台車10上のブランクW1,W2の高さ位置と移送台70上の完成品Yの高さ位置とに大きな差があるときは、大枠組み50に対して小枠組み54が下降することにより、この差を吸収する。吸着具56が完成品Yに吸着具すると、仮クランプ装置80のクランプが解除される。次いで大枠組み50は上昇し、小枠組み54が下降しているときは小枠組み54も上昇し、この後、搬送体30はエリアD側へ移動する。
【0076】
これにより、吸着具52に吸着されたブランクW1,W2は待機エリアBへ、吸着具56に吸着された完成品YはエリアDへそれぞれ搬送され、大枠組み50が下降することにより、ブランクW1,W2は移送台70の治具部材73,74の上に載せられ、完成品YはエリアDに達している完成品払い出し台車20の上に載せられ、吸着具52,56の吸着が解除される。
【0077】
このように完成品YをエリアDの台車20に搬送するために搬送体30がエリアD側へ移動しているときにおいて、吸着具56に吸着されている完成品Yには、図3、図4で示した防錆油噴出ノズル61から噴出する防錆油が吹きかけられる。この吹きかけ位置はマッシュシーム溶接された箇所であり、これにより、完成品Yのシーム溶接部には防錆油が塗布される。
【0078】
また、移送台70では、この移送台70の治具部材73,74に載せられたブランクW1,W2が、前述のブランクW1,W2の場合と同じく、ラップ装置100とプッシュ装置90によって端部W1A,W2A同士が重ねられた後に、仮クランプ装置80で仮クランプされる。次いで、ブランクW1,W2は、移送台70の移動によって溶接エリアAに送り込まれ、本クランプ装置180でこれらのブランクW1,W2が本クランプされてから、端部W1A,W2A同士のラップ量L1,L2がカメラ183で検出される。これらのラップ量L1,L2が許容誤差内の値であったときにはシーム溶接装置は自動運転を継続し、許容誤差を超える誤差を有していたときには、前述したように作業者によるラップ量変更作業が行われた後、自動運転が再開され、シーム溶接機130がブランクW1,W2の端部W1A,W2Aをマッシュシーム溶接する。
【0079】
前回のブランクW1,W2から生産された完成品Yについては、このマッシュシーム溶接の後に、突起形成手段190によって薄板ブランクW2に突起W2Bが形成されたが、今回のブランクW1,W2から生産された完成品Yについては、突起形成手段190で薄板ブランクW2に突起W2Bを形成する作業は行われない。
【0080】
搬送体30においては、大枠組み50が上昇し、この後、搬送体30はエリアC側へ戻る。これにより、台車10に載せられている次ぎのブランクW1,W2を吸着具52が吸着するための準備と、溶接エリアAでブランクW1,W2から生産されて移送台70により待機エリアBに戻されることになる次ぎの完成品Yを吸着具56が吸着するための準備とが整うことになる。
【0081】
そして以上の作業が繰り返され、これにより、エリアCの台車10から供給されるブランクW1,W2によって溶接エリアAで完成品Yが順次生産され、この完成品YはエリアDの台車20に載せられる。
【0082】
以上において、溶接エリアAで2枚のブランクW1,W2から生産された完成品Yの薄板ブランクW2に突起形成手段190で突起W2Bを形成する作業は、所定枚数の完成品Yが生産されるごと、例えば、2枚の完成品Yが生産されるごとに行われる。
【0083】
図24は、エリアDの台車20に多数積層されて載せられた完成品Yにおける突起W2Bの部分の拡大図である。図8で示すように、2枚のブランクW1,2Wの厚さT1,T2に相違があり、図12で示すように、薄板ブランクW2の端部W2Aが厚板ブランクW1の端部W1Aの上に載せられ、そしてこれらの端部W1A,W2Aがシーム溶接機130でマッシュシーム溶接されても、薄板ブランクW2には突起W2Bが形成されているため、それぞれの薄板ブランクW2の高さレベルがそれぞれ厚板ブランクW1の高さレベルと同じ又はほぼ同じになる。また、突起W2Bは所定枚数ごとの完成品Yに形成され、突起W2Bが形成されているブランクW2の間には突起W2Bが形成されていないブランクW2が介在しているため、突起W2BがブランクW2の同じ位置に形成されても、上下の突起W2Bの嵌合によってブランクW2の高さレベルが低下してしまうことはない。
【0084】
エリアCの台車10から全部のブランクW1,W2がなくなると、この台車10はエリアEとFのうちの一方へ走行し、他方のエリアからは多量のブランクW1,W2を載せたもう1台の台車10がエリアCに送られる。そして、ブランクW1,W2がなくなっている台車10に新たなブランクW1,W2を積載する作業が行われる。また、エリアDの台車20に所定数の完成品Yが載せられると、この台車20はエリアGとHのうちの一方へ走行し、他方のエリアからは何も積載していないもう1台の台車20がエリアDに送られる。そして、所定数の完成品Yが載せられている台車20から全部の完成品Yを降ろす作業が行われる。
【0085】
この台車20から積載された多数の完成品Yを順次降ろすために、最上部の完成品Yを図示しない搬送手段の吸着具で吸着して降ろす際、突起W2Bで厚板ブランクW1と薄板ブランクW2の高さレベルは同じ又はほぼ同じになっているため、この吸着は確実に行われる。
【0086】
以上のようにして行うブランクW1,W2から完成品Yを生産する作業は、溶接エリアAの左右両側に設けられているエリアB〜Hで行われる。
【0087】
これを具体的に説明すると、溶接エリアAの両側にある待機エリアBのうち、一方の待機エリアBから溶接エリアAにブランクW1,W2が移送台70で送り込まれ、これらのブランクW1,W2のマッシュシーム溶接作業が溶接エリアAで行われているときに、他方の待機エリアBでは、もう1台の移送台70において、次ぎに溶接エリアAでマッシュシーム溶接すべきブランクW1,W2の端部W1A,W2A同士を重ねてこれらのブランクW1,W2を仮クランプする作業が行われる。そして、溶接エリアAでのマッシュシーム溶接作業が終了し、これによって生産された完成品Yがもとの待機エリアBに戻されると、他方の待機エリアBから次ぎのブランクW1,W2が移送台70によって溶接エリアに送り込まれる。
【0088】
これらのブランクW1,W2のマッシュシーム溶接作業が溶接エリアAで行われているときに、搬送体30により、もとの待機エリアBに送られた完成品YをエリアDの台車20に搬送する作業と、エリアCの台車10からブランクW1,W2をこの待機エリアBに搬送する作業とが行われ、また、これらのブランクW1,W2を、この待機エリアBにおける移送台70において、端部W1A,W2A同士を重ねてから仮クランプする作業も行われる。
【0089】
このように本実施形態では、溶接エリアAの左右両側に設けられた2箇所の待機エリアBから交互にブランクW1,W2が溶接エリアAに送り込まれることにより、完成品Yが順次生産されることになり、2箇所の待機エリアBのうちの1つから溶接エリアAに送り込まれたブランクW1,W2のマッシュシーム溶接作業が行われているときに、残りの待機エリアBでは、次ぎにマッシュツシーム溶接すべきブランクW1,W2について、このマッシュシーム溶接作業を行う上で必要な端部W1A,W2A同士を重ねる等の作業が行われる。
【0090】
そして、2箇所の待機エリアBからブランクW1,W2が溶接エリアAに交互に送り込まれ、それぞれの待機エリアBから送り込まれたブランクW1,W2によって待機エリアBごとの所定枚数の完成品Yが生産されるたびに、図18のフレーム構造体134の左右両側に設けられた突起形成手段190が交互に作動する。
【0091】
以上説明したように本実施形態によると、溶接エリアAには、移送台70で送り込まれた2枚のブランクW1,W2の端部W1A,W2Aのラップ量を検出するためのカメラ183が配置されているため、カメラ183でラップ量を検出してからシーム溶接機130によるシーム溶接を始めることができる。この結果、正確なラップ量となったブランクW1、W2から所定どおりのシーム溶接強度となった完成品Yを得ることができ、また、検出されたラップ量が許容値を超える誤差を有するものである場合には、シーム溶接装置の運転を停止させ、所定のラップ量に変更する作業を行える。また、ラップ量をカメラ183によって自動検出できるため、シーム溶接を行うに必要な作業者の数を削減できる。
【0092】
また、ラップ量を検出するため手段はブランクW1,W2に接触しない非接触式となったカメラ183であるため、検出手段が摩耗する等の問題は発生しない。
【0093】
さらに、カメラ183は、ブランクW1,W2のシーム溶接される端部W1A,W2Aにおけるシーム溶接機130の走行方向前後側の両端縁に対向させて2個配置され、これらのカメラ183によりこの両端縁におけるラップ量L1,L2を検出するため、ブランクW1,W2におけるシーム溶接機130で溶接されることになりかつ直線的に延びている端部W1A,W2Aの全長に亘るラップ量が所定範囲内の量になっているか否かを検出できる。
【0094】
また、2個のカメラ183は、2枚のブランクW1,W2を載せた2個の治具部材73,74の間の隙間115においてラップ量L1,L2を検出するため、この隙間115の有効利用を図ってラップ量検出作業を行える。
【0095】
さらに、カメラ183はシリンダ181のピストンロッドの先端に取り付けられ、ブランクW1,W2に対して進退自在で、ラップ量を検出するときに前進するため、ブランクW1,W2が移送台70で溶接エリアAに送り込まれるときに、移送台70の移動にとってカメラ183は邪魔にならない。
【0096】
図22は、別実施形態に係る電極ローラ乗り上げ部材220を示す。この電極ローラ乗り上げ部材220は、シーム溶接機130の前進方向に厚さが一定になっておらず、この前進方向に厚さが次第に大きくなる側断面テーパー状になっている。このような電極ローラ乗り上げ部材220を用いると、シーム溶接機130の上下の電極ローラ142,148が電極ローラ乗り上げ部材220の位置に達する前に、これらの電極ローラ142,148を互いに当接させておくことができる。また、これらの電極ローラ142,148が電極ローラ乗り上げ部材220の位置に達すると、前記実施形態の電極ローラ乗り上げ部材120の場合と同じく、電極ローラ142,148を電極ローラ乗り上げ部材220で上下に離間させてブランクW1,W2の端部W1A,W2Aに乗り移らせることができる。
【0097】
図25は、溶接エリアAの左右両側に設けられた待機エリアBから2台の移送台70によって溶接エリアAに送り込まれるブランクの大きさが異なる場合の実施形態を示す。また、図26は、これらの待機エリアBから2台の移送台70によって溶接エリアAに送り込まれるブランクの形状が異なる場合の実施形態を示す。
【0098】
これらの実施形態は、移送台70の治具部材73,74上における仮クランプ装置80、プッシュ装置90の配置位置を変更自在とすることにより、実現できる。仮クランプ装置80、プッシュ装置90の配置位置を変更自在とするためには、図13で示されている仮クランプ装置80用のシリンダ81を治具部材73,74に固定するボルト86を螺入するための雌ねじ孔、及び図14で示されているプッシュ装置90用のシリンダ91を治具部材73,74に固定するボルト94を螺入するための雌ねじ孔を、仮クランプ装置80、プッシュ装置90の配置位置を変更するときに治具部材73,74に形成してもよく、あるいは、ボルト86,94を螺入できる多数の雌ねじ孔を治具部材73,74に予め形成しておいてもよい。
【0099】
図25の実施形態では、一方の待機エリアBから溶接エリアAに送り込まれるブランクW1,W2に対して他方の待機エリアBから溶接エリアAに送り込まれるブランクW3〜W6は、大きさが異なっている。これによると、大きさの異なる完成品を溶接エリアAで交互に生産できる。
【0100】
図26の実施形態では、一方の待機エリアBから溶接エリアAに送り込まれるブランクW1,W2に対して他方の待機エリアBから溶接エリアAに送り込まれるブランクW7〜W10は、形状が異なっている。これによると、形状の異なる完成品を溶接エリアAで交互に生産できる。
【0101】
これらの実施形態において、ブランクW3〜W6,W7〜W10の大きさがブランクW1,W2よりも充分に小さく、このため、1台の移送台70に載せられてシーム溶接機130でシーム溶接される2枚で1組のブランクをシーム溶接機130の走行方向に複数組み配置できる場合には、シーム溶接機130の1回の走行で複数組のブランクのシーム溶接を行うようにしてもよい。また、この場合には、ブランクのそれぞれの組みごとに電極ローラ乗り上げ部材120を設ける。もちろん、電極ローラ乗り上げ部材120の代わりに図21の電極ローラ乗り上げ部材220を用いてもよい。また、このように2枚で1組のブランクをシーム溶接機130の走行方向に複数組み配置する場合には、それぞれのブランクの組みの間では、シーム溶接機130の電極ローラ142,148への通電を停止する。
【0102】
図25及び図26の実施形態を実施する場合には、ラップ量検出カメラ183は、溶接エリアAの左右両側の待機エリアBから2台の移送台70で交互に溶接エリアAに送り込まれる2枚で一組をなすブランクの組数のうち、多い組数と対応する個数分が溶接エリアAに配置される。一方の移送台70で多い組数のブランクが溶接エリアAに送り込まれたときは、全部のカメラ183が作動し、他方の移送台70で少ない組数のブランクが溶接エリアAに送り込まれたときには、その組数と対応する個数分だけのカメラ183が作動する。
【0103】
図27は、ラップ量検出カメラ183によってブランクW1,W2の端部W1A,W2Aのラップ量を検出するときの検出位置についての別実施形態を示す。この実施形態では、溶接エリアAのフレーム構造体134に取り付けられたシリンダのピストンロッドの伸び作動で前進するカメラ183は、溶接エリアAに送り込まれたブランクW1,W2に対して、上側と下側の2個で一組をなし、この組がシーム溶接機130の走行方向に複数組設けられている。それぞれの組における上下のカメラ183により、これらのカメラ183が前進した位置において、ブランクW1,W2の端部W1A,,W2Aのラップ量Lが検出される。
【0104】
この実施形態によると、カメラ183の複数組により、ブランクW1,W2の端部W1A,W2Aの延び方向の複数箇所において、ラップ量を検出できることになる。この実施形態は、シーム溶接機130の走行方向におけるブランクW1,W2の幅寸法が移送台170の幅寸法と同じ程度まで大きく、このため、カメラ183を侵入させるための図19で示した治具部材73,73の間の隙間115もブランクW1,W2で覆われている場合に、特に有効である。
【0105】
以上の各実施形態において、溶接エリアAの左右両側の待機エリアBからブランクを移送台70で交互に溶接エリアAに送り込むのではなく、一方の待機エリアBから溶接エリアAに一定数のブランクを移送台70で送り込んだ後、他方の待機エリアBから溶接エリアAに一定数のブランクを移送台70で送り込むようにしてもよい。これによると、図25、図26の実施形態のように、大きさや形状の異なるブランクから大きさや形状が異なる完成品を生産する場合において、同じ大きさ、形状になっている同種の完成品を連続して生産でき、その管理が容易となる。
【0106】
【発明の効果】
本発明によると、ブランクの端部同士のラップ量を自動検出してシーム溶接を行え、所定どおりのシーム溶接強度を有する完成品を生産できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシーム溶接装置の各部分を形成しているそれぞれのエリアの配置位置を示す概念平面図である。
【図2】図1で示されたそれぞれのエリアを有するシーム溶接装置全体の平面図である。
【図3】シーム溶接装置の側面図である。
【図4】図3のS4−S4線断面図である。
【図5】図3で示されている搬送体の側面図である。
【図6】図3で示されているブランク供給台車と完成品払い出し台車の駆動装置を示す拡大図である。
【図7】図2で示されている2台の移送台を示す平面図である。
【図8】図7で示されているラップ装置を示す図7のS8−S8線断面図である。
【図9】ラップ装置により2枚のブランクの端部同士を重ねる作業の第1工程を示す図である。
【図10】図9の次ぎの第2工程を示す図である。
【図11】図10の次ぎの第3工程を示す図である。
【図12】図11の次ぎの第4工程を示す図である。
【図13】図7で示されている仮クランプ装置を示す図である。
【図14】図7で示されているプッシュ装置を示す図である。
【図15】図7における電極ローラ乗り上げ部材の配置位置を拡大した平面図である。
【図16】図15のS16−S16線断面図である。
【図17】シーム溶接機の側面図である。
【図18】シーム溶接機の正面図である。
【図19】端部同士が重ねられた2枚のブランクのラップ量をラップ量検出カメラで検出するときを示す斜視図である。
【図20】ブランクの重ねられた端部をシーム溶接機の上下の電極ローラでシーム溶接をするときを示す正断面図である。
【図21】シーム溶接機の上下の電極ローラが電極ローラ乗り上げ部材に当接しているときを示す側断面図である。
【図22】電極ローラ乗り上げ部材を側断面テーパー状とした実施形態を示す図20と同様の図である。
【図23】2枚のブランクのうちの一方に突起を形成するための作業を示す縦断面図である。
【図24】2枚のブランクのシーム溶接で生産された完成品が積層されたときを示す縦断面図であって、突起が形成されているブランクの部分を示す拡大図である。
【図25】溶接エリアの両側に設けられた待機エリアから大きさが異なるブランクを溶接エリアに送り込む実施形態を示す図7と同様の図である。
【図26】溶接エリアの両側に設けられた待機エリアから形状が異なるブランクを溶接エリアに送り込む実施形態を示す図7と同様の図である。
【図27】端部同士が重ねられた2枚のブランクのラップ量を上下のラップ量検出カメラで検出する実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
70 移送台
73,74 治具部材
115 治具部材同士の間の隙間
130 シーム溶接機
180 本クランプ装置
181 シリンダ
182 ラップ量検出手段であるカメラ
A 溶接エリア
W1〜W10 ブランク
W1A,W2A 端部
Claims (5)
- 前後進自在であり、この前後進により2枚のブランクの端部同士をシーム溶接するシーム溶接機を有するシーム溶接装置において、
前記シーム溶接機により前記2枚のブランクの端部同士がシーム溶接される溶接エリアに配置され、シーム溶接される前の前記2枚のブランクの重ねられた端部同士のラップ量を検出するための検出手段と、前記溶接エリアに配置され、前記検出手段によって前記ラップ量が検出されるときの前記2枚のブランクを本クランプするための本クランプ装置と、を備えており、
前記検出手段は前記2枚のブランクに接触しない非接触式であって、この非接触式検出手段は複数のカメラであり、これらのカメラは、前記2枚のブランクに対して上側と下側に配置された2個で一組をなしているとともに、この組みが前記シーム溶接機の走行方向に複数組み設けられ、
前記2枚のブランクは、待機エリアと前記溶接エリアとの間を往復自在となっている移送台によって前記溶接エリアに送り込み自在になっているとともに、この移送台には、前記2枚のブランク端部同士を重ねるためのラップ装置と、前記2枚のブランクが前記溶接エリアにおいて前記本クランプ装置により本クランプされるまでこれらのブランクを仮クランプしておくための仮クランプ装置とが配置されていることを特徴とするシーム溶接装置。 - 請求項1に記載のシーム溶接装置において、前記待機エリアは前記溶接エリアの左右両側の2箇所に設けられ、これらの待機エリアからシーム溶接される前記2枚のブランクが、前記待機エリアごとに設けられた2台の前記移送台によって交互に前記溶接エリアに送り込み可能となっていることを特徴とするシーム溶接装置。
- 請求項1又は2に記載のシーム溶接装置において、前記2台の移送台はガイドレール上に往復自在に載せられ、このガイドレールは前記溶接エリアを通ってこの溶接エリアの左右両側の2箇所に設けられた前記待機エリアまで延設されており、前記ガイドレールは前記2台の移送台について共通のものとなっていることを特徴とするシーム溶接装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシーム溶接装置において、前記検出手段は、シーム溶接される前記2枚のブランクに対して進退自在であって、これらのブランクが前記移送台によって前記溶接エリアに送り込まれるときに前記検出手段は前記移送台の移動にとって邪魔にならない位置に後退していることを特徴とするシーム溶接装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のシーム溶接装置において、前記シーム溶接は、前記2枚のブランクの重ねられた端部同士を押しつぶすマッシュシーム溶接であることを特徴とするシーム溶接装置。
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