JP4489204B2 - 蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙を基材とする防湿性及び白色度に優れた蓋材に関し、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと記載する。)のフィルムを水蒸気バリア層とし、油の酸化を促進する光の作用を白色フィルムで遮断し、そして易剥離性のヒートシーラント層(以下、HS層と記載する。)からなる蓋材に関し、充填機に供給する蓋材がカーリングしたり、蓋材を容器に過剰の温度や圧力によってヒートシールしたときも、蓋材のHS層の間における凝集破壊を起こすことによって開封容易な安定した剥離性を備えた容器の蓋材に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カップ型の一定の形状をもつ容器は、固形あるいは液状の各種の食品、例えば、ヨーグルト、プリン、ゼリーなどのデザート食品や果汁、コーヒー、ココア、乳飲料などの液状物の飲料容器、あるいは即席麺、スナック食品などの固形食品などの食器を兼ねる包装容器として広く利用されていた。
【0003】
カップ型容器により販売される商品は、内容物を容器(カップ)に充填後、HS層を設けた蓋材で容器をヒートシールによって密封して、流通・保管・販売後、末端消費者が密封した蓋材を容器からヒートシール層の部分で開封し、飲食用などに供されている。
そして、カップ容器と蓋材との組合せや構成は充填機適性と、内容物が保存・流通時にうける物理的、化学的特性を変化して香味を損なうことがないように考慮するばかりでなく、末端で商品を消費する顧客が取扱い易いように開封性などの便利性を配慮したものとなっている。
【0004】
内容物の形状保持にすぐれたカップ容器などの成形容器は、内容物の油が酸化したりして、風味の低下などの化学変化を防いで保存期間を長くするための、防湿、酸素、光、香味などの各種バリア性を考慮した材料で作成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来より上記の各種バリア性得るためには、容器やその蓋材にアルミニウム箔を構成することによって大部分の物性は満たされていた。そして、アルミニウム箔は、蓋材のカールを極力阻止するために、15μm以上の厚みをもつことが必要で、箔としては比較的厚いものが使用されていた。例えば、容器特に蓋材の基本的な構成は、紙基材と、アルミニウム箔、及びHS層とからなる積層体であった。しかしながら、アルミニウム箔を含む蓋材で密封された包装体では、充填工程中に容器内に誤って混入された金属片を探知するための金属検知器を使用することができないという問題点があった。
また、厚いアルミニウム箔は、蓋材をごみとして焼却処理をしても灰分が比較的多いため、その廃棄処理が大変であるというばかりでなく、アルミニウムの精錬に要する電力を含む資源の浪費という問題があり、近年アルミニウム箔を構成要素としない積層体が使用されてきた。
【0006】
そして、油の酸化を防ぐ目的で酸素バリア材であるアルミニウム箔に代えて金属又は酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着して設けたバリアフィルムを積層して使用されていた。
しかしながら、蒸着フィルムを作成するフィルムは、熱的に安定した延伸フィルムなどの大型の成膜機械を必要とするとともに、蒸着フィルムを製造し、所望の巾に断裁したときに生ずる両端部の部分は、再利用ができないという問題点があった。
そして、積層フィルムのカーリングを減少する加工方法として採用されているプラスチックフィルムと紙とのドライラミネーションでは、接着剤の紙への滲透を少なくするために、紙の積層面には、本来は印刷効果を良好にする側であるクレーコート面を選択したり、非コート面の場合は滲透を見込んで接着剤量を過大に施したり、場合によっては接着剤の滲透を防止する目止め層を設ける必要があった。
【0007】
また、紙を主体とするカップ容器の最内層は、一般的には防湿性とカップ成形時に必要なヒートシール性とを備えたポリエチレンで形成されている。そして蓋材は、基材シートと、その一方の面に少なくともHS層が設けられた積層体より構成される。蓋材のHS層には開封が容易なイージピール性の材料、例えば、凝集破壊で剥離するホットメルト材が使用されるのが一般的である。そして、ホットメルト層は、容器との密着を均一に安定して施すために紙基材とホットメルト層との間に、熱可塑性樹脂である柔らかいゴム弾性をもつポリエチレン層やエチレン・酢酸ビニル共重合体の層を設けて、そのクッション効果によって、蓋材とカップのフランジとの密着を均一にしてヒートシールを完全にすることが行われていた。
【0008】
しかしながら、充填工程に於ける蓋材の密封は、ヒートシールを完全に行うために、熱・圧を強くする傾向がある。その必要以上に強い熱・圧の作用で溶融したホットメルト層が容器のフランジ端部に押し出されて蓋材に設けたポリエチレン又はエチレン・酢酸ビニル共重合体と、容器のヒートシール部を形成するフランジのポリエチレンとが直接ヒートシールされて、強固なヒートシール部を形成することがある。このような場合、蓋材を開封するときにホットメルト層の凝集破壊ではなく、紙の層間剥離により引き裂かれた紙の層がフランジ部に残るため開封ができなかったり、剥離ができず蓋材を引裂いて開口部に残ったりするという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ヒートシール部のフランジがポリエチレンで構成された包装容器をヒートシールで密封するシート供給の蓋材において、カールがなく、充填物保存に必要な防湿性をもち、酸化作用を抑制する遮光性をもち、そしてバリアフィルムを所定巾に断裁したときに生ずるロスを無くした性能をもつものである。そして、プラスチックフィルムと紙とのドライラミネーションが均一に安定した加工ができ、金属片を探知するための金属検知器を使用できるばかりでなく、容器を開封するときホットメルト層の凝集破壊で易剥離できる蓋材の提供を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、紙を表面基材としてホットメルト層をヒートシーラント層とする積層体において、紙の一方の側に、遮光性と接着剤の目止め作用をもつ遮光・目止め層、接着剤、白色顔料を含む白色フィルム、70〜95モル%エチレンと30〜5モル%のカルボキシル基を含むオレフィン系共重合体の接着調整層、及びホットメルト層を順次設けたことを特徴とする蓋材である。そして、第2の発明は、前記白色フィルムが、白色顔料を20〜40%緻密に充填した白色HDPE層、フィルムの水蒸気バリア性を確保する意味からHDPEのみからなる層、接着適性と可撓性を維持するLDPE層とから構成される多層共押出しフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の蓋材である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の蓋材は、図1に示すように、少なくとも、表面の紙1を基材としてホットメルト層7をHS層とする積層体において、遮光性を与える白色のプラスチックフィルム3及びHS層であるホットメルト層7の接着を強化する接着調整層5とを含む蓋材20である。
そして、第2の発明は、上記の紙を表面基材1として白色フィルムとを積層する側に遮光性と接着剤の目止め作用を兼ねる遮光・目止め層2をもつ蓋材20である。
また、上記の白色フィルム3が、図2に示すように白色顔料を含む密度が0.950以上の白色HDPE31からなる層を含む蓋材20である。
そして、上記蓋材20を構成する積層体の200〜800nmの光透過率が10%に満たない蓋材である。
また、上記紙1の非積層側に図3に示す保水層8が設けられた積層体からなる蓋材20である。
【0012】
本発明に使用する紙基材は、蓋材に剛性を与えるとともに印刷基材となるものである。一般にセルロースを主体とする紙基材のなかでは、吸・脱湿によって生ずる寸法変化が少なく、且つ内容物を隠蔽する白色性をもつとともに表面の印刷適性や裏面のラミネート適性(印刷インキの良好な転移や、ドライラミネーション時における接着剤の均一な付着性)をもつことが必要である。そして、引裂き強度、引っ張り強度などの機械適性や均一な厚みをもち、食品容器の材料に要求される、有害重金属、蛍光染料、環境汚染源となる塩素化合物などを含まないものであれば特にその種類を限定するものではない。例えば、片ツヤクラフト紙、晒しクラフト紙、模造紙、片面あるいは巻き取り形状のハンドリングには問題があるが両面コート紙がある。そして、白色の隠蔽性を与えるために、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛など白色あるいは体質顔料を紙に抄き込んだり、これらを含む塗工材を用いたコート紙を使用することができる。
紙基材の坪量は、30g/m2 〜100g/m2 、特殊な用途によっては350g/m2 程度の厚いものでも使用できる。
【0013】
上記の紙基材の白色フィルムとの積層する側には、遮光性(隠蔽性)をもつと同時に接着剤の滲透を防ぐ目的で遮光・目止め層2を印刷あるいは塗工で設けるものである。
遮光・目止め層2は、隠蔽性に富む白色顔料である酸化チタン、酸化亜鉛、体質顔料である水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ、タルクなどがある。その他、紙の裏面に設けることから、白色度の低下を無視できる程度で遮光性の作用をもつ酸化鉄、アルミニウムパウダーなどの金属粉、パール顔料などの併用も好ましい方法である。
【0014】
目止め層を構成するバインダーは、ドライラミネーションの接着剤との親和性があるとともに、紙に接着するものから選択する。例えば、ロジン、ロジン変性樹脂あるいはそのエステル、エチルセルロース、ニトロセルロース、ウレタン、ポリエステル、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂などに必要に応じて通常の可塑剤を加えたものがある。その他ポリビニルアルコールなどの水溶液、スチレン・ブタジエンなど水に分散した樹脂のラテックスなどを使用することもできる。
【0015】
目止め層のバインダーを溶解する溶剤は、塗工、あるいは印刷に適した調度を形成するものならば、特に問うものではなく、通常のトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、エタノールや水から適宜に選択して使用する。
好ましい遮光・目止め層の塗工液は、塗膜に可撓性があり、ドライラミネーションの接着剤との適性がよいポリエステルやウレタン系樹脂とチタン白とから構成されるものである。
【0016】
白色フィルムは、図2に示すようにHDPEを主として遮光性を与える白色顔料を含むものである。白色顔料は、本質的には上記の遮光・目止め層の塗工液に使用したものから同様に選択できる。また、分散剤を用いてマスターバッチ化した白色顔料をHDPEに混入して成膜することは、均一な分散層を形成するためからも好ましい方法である。
そして、遮光層は、白色顔料を20〜40%緻密に充填した白色HDPE層31、フィルムの水蒸気バリア性を確保する意味からHDPEのみからなる層32、白色フィルムの接着適性と可撓性を維持するLDPE層33とから構成した図2に示す多層共押出しフィルムの白色フィルム3が好ましく使用できる。
また、白色フィルム3は、蓋材に機械的強度を与え、蓋材を容器のフランジにヒートシール後、開封のときに紙の層に破壊が及ぶことを阻止する作用をもつものである。そして、食品容器の材料に要求される、有害重金属、蛍光染料、環境汚染源となる塩素化合物などを含まないものである。
【0017】
本発明の(積層した)蓋材は、紙基材に予め保水層を設けることによって積層体のカールを防止することができる。すなわち、カーリングを防止する保水層8は、図3に示すように紙基材1の白色フィルム3との反対側に水、又は水とアルコールとに溶解した樹脂を塗工して設けるものである。そして、保水層8に使用する樹脂は水溶性のものが好ましく、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はポリメタアクリル酸のアンモニウム塩、ポリエチレンイミン、メラミン、メチルセルロース、エチルセルロースやグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなどがある。
【0018】
保水層は、上記の樹脂などから1種あるいは3種程度を水、又は水とアルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)との混合溶媒に希釈した塗工液を紙基材のホットメルト層とは反対の面に塗工形成するものである。そして、塗工の厚みは、紙基材1の厚みの1/10〜8/10になるように塗工液を含まない部分を形成することが好ましい。このように塗工した紙基材を乾燥すると、紙基材に設けた保水層が収縮して塗工面を凹としたカールを生ずる。
一方、紙基材の非保水層の側に白色フィルムを積層し接着調整層や、ホットメルト層を塗工・形成すると、接着調整層(オフィン系樹脂や)や、ホットメルト層が冷却・固化するときに生ずる収縮によってホットメルト層側を凹とするカールを発生する。以上のように紙基材の保水層側を凹とするカールと、紙のホットメルト層側を凹とするカールの力が相殺されるために、結果として積層体である蓋材がカールのない平らな蓋材を構成するものである。
【0019】
紙基材と白色フィルムとの積層は、従来より公知のウエットラミネーション、硬化型接着剤によるドライラミネーション(接着剤の成分を溶剤に溶解して塗工するラッカーラミネーション、揮発成分を含まない接着剤を塗工するノンソルラミ)、非硬化型接着剤であるホットメルトを接着剤とするワックスラミネーション、粘着剤を接着剤とする一種のドライラミネーション、あるいは溶融押出ししたポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を接着性樹脂層とするサンドイッチラミネーションなどがある。
【0020】
ドライラミネーションの接着剤は通常のポリエステル・ポリイソシアネート、ポリエーテル・ポリイソシアネートやポリエステル、エポキシ系接着剤などを溶剤に溶解したラッカー型の接着剤や、溶剤を含まないいわゆるノンソル型接着剤を2〜10g/m2 (乾燥したときの塗工量、以下同様に記載する。)を非吸収性のフィルムに塗工して積層する。
また、本発明においては、紙基材の積層側に遮光・目止め層を設けてあるため、紙あるいは白色フィルムのいずれにも接着剤の塗工することができる。
ドライラミネーション法は、サンドイッチラミネーションと比較して、蒸着フィルムの附加される温度も低く、溶融押出しコーテイングで形成される接着性樹脂層の収縮により促進されるカールが少なく好ましい方法である。
【0021】
サンドイッチラミネーションに使用する紙基材は、遮光・目止め層の種類によっては紙とは異なる特性をもち、溶融ポリエチレンの滲透接着が期待できないことがある。そのようなときは、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、有機チタン化合物、イソシアネート、ポリウレタンなどの溶液を0.1〜2g/m2 の塗工量で設けてプライマー処理を行う。
また、積層に使用するフィルムをコロナ放電処理、オゾン処理をして接着性樹脂を押出しコートする基材シート及び中間層との接着を強固なものにできる。
【0022】
接着調整層は、容器に蓋材を圧着するときにクッション効果によって両者の密着を均一にする効果を奏するものである。また、蓋材のHS層であるホットメルト層は、過剰の加熱によって溶出することがある。そのようなときは、容器のフランジのヒートシール部であるポリエチレンと上記の接着調整層とが直接に接触した場合でも、形成されたヒートシール部が強固に接着することを防ぐ作用をもつものである。また、接着調整層とホットメルト層との接着強度は、ホットメルト層の凝集破壊強度より強く、上記の容器に設けたポリエチレンと接着調整層とのヒートシール強度を上回ることが好ましい。このような作用を奏するポリエチレンとのヒートシール強度を調整する材料としては、70〜95モル%エチレンと30〜5モル%のカルボキシル基を含むオレフィン系共重合体が好ましく使用することができる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタアクリル酸エステル共重合体、アイオノマーなどの共重合体がある。
【0023】
上記のオレフィン系共重合体からなる接着調整層5は、図1に示すとおりの蓋材の白色フィルム3に溶融押出しコーテイングすることにより形成できる。そして、接着調整層5と白色フィルム3のHDPE層32との接着を比較的低温で且つ強固に安定する目的で溶融状態における接着調整層の塗工面をオゾンガスによる着強化処理を施したりすることが好ましい。
そして、そのコーテイング厚みは10〜50μmが好ましく、10μm以下の場合は、接着調整層としての膜を安定して形成できず、50μm以上では高価格資源の浪費となる。
【0024】
本発明のホットメルト層は、凝集破壊で易剥離性をもつものである。ホットメルトは、通常の酢酸ビニルが10〜40重量%含むエチレン・酢酸ビニル共重合体を30〜50重量%と、ワックス又はマイクロクリスタリンワックスが30〜40重量%と、粘着付与剤を15〜30重量%とを主成分とするものである。そして、その他必要に応じて滑剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤などを適宜加えて構成するものである。
粘着付与剤は、水素添加ロジン、マレイン酸変性ロジン又はそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンとのエステル(エステルガム)や、クマロン・インデン・スチレン系樹脂などのなかから選定する。好ましくは熱的に安定化した水素添加ロジン又はそのグリセリン、ペンタエリスリトールとのエステルである。
ホットメルト層は加熱溶融した材料を、押出しコーテイングしたり、ロールコーテイングや、グラビアコーテイングで塗工形成する。押出しコーテイングによる方法は、高粘度の材料には適するが、安定した塗工量でホットメルト層を形成できるのはグラビアコーテイングによる方法である。
塗工量は、10〜40g/m2 、好ましくは25〜30g/m2 である。
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例 1)
図3に示すとおり、片面コート紙(坪量52g/m2 :紙基材1)のコート側に、ポリエチレンイミンが1重量%、イソプロピルアルコール14重量%、水85重量%よりなる保水層塗工液を版深20μmのグラビア版を用いて全面に塗工して保水層8を形成した。更に、紙基材1の非コート側に、酸化チタンが55%とポリウレタンが45%(固形分比)とからなる遮光・目止め層塗工液を5g/m2 グラビアコートで塗工し遮光・目止め層2を形成した。
一方、図2に示すように厚みが20μm線状ポリエチレン(LDPE層33)、厚みが20μmの酸化チタンを30重量%含むHDPE(白色HDPE層31)、酸化チタンを含まない厚みが20μmのHDPE層32よりなる多層フィルムの白色フィルム3をTダイスによる共押出し法で作成した。そして成膜と同時にLDPE層33側をコロナ放電処理を施し、ドライラミネーションの接着剤適性を与えた。
そして、前記の紙基材1の遮光・目止め層2の側に、ウレタン系樹脂よりなる接着剤6を3g/m2 施して、白色フィルム3のLDPE層32の側とをドライラミネーションで積層した。
そして、上記の積層フィルムの白色フィルム側にメタアクリル酸を10モル%含む30μmの厚みのエチレン・メタアクリル酸共重合体からなる接着調整層5を溶融押出しコートで形成した。
次いで、マイクロクリスタリンワックス、水素添加ロジンのエステルガム、及び酢酸ビニルを32重量%含むエチレン・酢酸ビニル共重合体とを主成分とする混合物からなるホットルト系コンパウンドをグラビアホットメルトコート法によって塗工量が20g/m2 になるようにホットメルト層7を形成し、図3に示す実施例1の蓋材20を作成した。
【0026】
(実施例 2)
実施例1の紙基材1を、片面コート紙(坪量 52g/m2 )とし、そのコート面側に、実施例1と同様の保水層8を形成した。そして、酢酸ビニルを6重量%含むエチレン・酢酸ビニル共重合体からなる接着調整層5を厚み20μmで形成した以外は実施例1と同様に加工して、実施例2の蓋材20を作成した。
【0027】
(実施例 3)
実施例1の白色フィルムの白色HDPE層31を厚み20μm、HDPE層32を厚み30μmとして、総厚みは70μmの白色フィルムとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の蓋材20を作成した。
【0028】
(実施例 4)
実施例1の紙基材1に保水層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、図1に示す実施例4の蓋材20を作成した。
【0029】
(比較例 1)
図4に示すように実施例1の遮光・目止め層を除き、白色フィルムに替えて厚み12μmのポリエステルフィルム(PET層4)をLDPE層61の溶融押出しコートによるサンドイッチラミネーションした。更に溶融押出しコートで接着調整層としてLDPE層51を施して、実施例1と同様のホットメルト層7を設けて図4に示す比較例1の蓋材21を構成した。
【0030】
(評価結果)
実施例1、2、3及び4並びに比較例1の各蓋材の物性について評価した結果を表1に示す。
・カール:
目視で評価した結果を○(良好)、△(若干カールを起こすも実用上の支障 なし)、×(不良)で示す。
・透湿度:
JIS K7129−1992に規定したプラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過度試験法B法(赤外センサー法)に準拠する。
測定単位: g/m2・24時間
・光線透過率:
JIS K7105ー1961に規定した光線透過率に準じて200〜800nmの光線透過率を測定する。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
紙基材に保水層を設け、他の側に接着剤との密着性をよくする遮光・目止め層及び白色フィルムによる遮光層と、HDPEを主とする水蒸気バリア層との相乗効果のバリア性をもつ本発明の蓋材は、光の作用で促進される油の酸化を防止する必要十分な作用・効果をもつものである。
そして、紙基材に保水層を施すことにより、シート状の蓋材はカールのない状態で、充填機に供給できる。また、接着調整層と容器のフランジのLDPEとは、完全に溶着した強固なHS状態ではない。したがって、容器フランジと蓋材の接着調整層とが直接HSされても、その界面ではく離することができ紙を破壊することはない。また、容器のフランジと蓋材とは、通常ホットメルト層との完全に接着状態を呈し、そのヒートシール強度はホットメルトがもつ凝集破棄の強度となる。したがって、ホットメルトからなるHS層を設けた蓋材は、ホットメルトの層間ではく離を起こして容易に開封できる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓋材の断面を表す概念図である。
【図2】白色フィルムの構成を示す断面を表す概念図である。
【図3】本発明の蓋材の他の構成を示す断面を表す概念図である。
【図4】比較例の蓋材の構成を示す断面を表す概念図である。
【符号の説明】
1 紙基材
2 遮光・目止め層
3 白色フィルム
4 PET層
5 接着調整層
6 接着剤
7 ホットメルト層
8 保水層
20、21 蓋材
31 白色HDPE層
32 HDPE層
33、51、61 LDPE層
Claims (2)
- 紙を表面基材としてホットメルト層をヒートシーラント層とする積層体において、紙の一方の側に、遮光性と接着剤の目止め作用をもつ遮光・目止め層、接着剤、白色顔料を含む白色フィルム、70〜95モル%エチレンと30〜5モル%のカルボキシル基を含むオレフィン系共重合体の接着調整層、及びホットメルト層を順次設けたことを特徴とする蓋材。
- 前記白色フィルムが、白色顔料を20〜40%緻密に充填した白色HDPE層、フィルムの水蒸気バリア性を確保する意味からHDPEのみからなる層、接着適性と可撓性を維持するLDPE層とから構成される多層共押出しフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
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