以下に、従来技術として、36Vリチウムイオン電池パックを用いた36Vコードレス電動工具システムと交流駆動式電動工具とを対比的に説明する。
コードレス電動工具に対するユーザーの要求事項の一つとして、高い出力性能が挙げられる。高い出力性能とは、コードレス電動工具の出力が交流駆動式電動工具の出力に近いことである。
36Vコードレス電動工具システムの場合、例えば、14.4Vリチウムイオン電池パックを用いた14.4Vコードレス電動工具システムと比較し、相対的に優れた出力性能を有するが、交流駆動式電動工具と比較すると、未だ不足しているため、ユーザーは、商用電源の確保が困難な現場における作業時に、作業効率は低下するが、従来技術の36Vコードレス電動工具を代替的に使用せざるを得ない。
従来技術として存在するコードレス電動工具用の電池パックの電圧は最大36Vであり、商用電源の100Vと比較すると、電動工具用モータへ供給できる電圧の差が大きい。そのため、交流駆動式電動工具に相当する出力が得られるコードレス電動工具が存在しないという課題、及び、商用電源に相当する出力が得られる電池パックが存在しないという課題の前に、出力が36Vを上回る電池パックが存在しないという課題がある。
前述の課題を解決するため、電池パックに、電池セルが複数直列に接続されて成る電池セル群とその出力電圧を昇圧する昇圧回路とを収容させ、かつ、その昇圧回路により前記電池セル群の直流電圧を100V相当に昇圧する方式を用いる場合がある。この場合、前記昇圧による負荷電流の増大に伴う電池セル及び昇圧回路の発熱が増大する。発熱の増大は、電池セル寿命の低下や発熱抑制のためのコストアップなどの新たな課題が生じるため、前記昇圧回路を用いた方式は好ましくない。
本発明者は、複数の電池セルが直列接続されて成る電池セル群の直流電圧を商用電源電圧に相当する高電圧となるように構成する方式を提案する。
この方式を実現するにあたり、従来技術の方式、すなわち、複数の電池セルを直列接続した電池セル群、電池セル群の電池セルに接続される電圧モニタ線、電圧モニタ線に接続される放電制御部、及び、放電制御部に接続される放電端子をケースに収容する方式を用いると、電池セル群の超高電圧化に伴い、電池パック内部の異電圧セル間、電圧モニタ線の線間、電圧モニタ線と電池セルの空間、放電端子の両極間、など多くの箇所が高電位となる。そのため、絶縁性の確保のための電池パックの内部構造の複雑化、異物侵入時の絶縁破壊など絶縁に関する新たな課題が生じる。
例えば、前記従来技術の電池パックにおいて、充電完了後の電圧が4Vとなるリチウムイオン電池セルを27個直列接続した電池セル群を用いる場合、前述の電池パック内部の各部位に最大108Vが高頻度で印加されることになる。そのため、従来技術の36V以下の電池パックで用いられてきた内部構造では、前記最大108Vが高頻度で印加されることが想定されていないため、電池パックの絶縁信頼性が低下する。
以上の事情を背景にして、本発明は、電気機器と、その電気機器の電源として用いられる電池パックとを備えた電池パックシステムであって、その電池パックが、複数の電池セルが直列に接続されて成る電池セル群を備えるにもかかわらず、その電池パックの絶縁信頼性が向上したものを提供することを課題としてなされたものである。
本発明によれば、上記の課題を解決するために、電気機器と、その電気機器の電源として用いられる電池パックとを備えた電池パックシステムであって、前記電池パックは、複数の電池セルが直列接続された電池セル群と、その電池セル群の放電出力を前記電気機器へ供給するための放電出力端子とを含み、前記電気機器は、前記放電出力端子に接続され、前記電池パックから電力が入力される電力入力端子と、その電力入力端子から電力が供給されて作動する負荷部と、その負荷部の駆動と停止とを作業者が選択的に制御するために作業者によってオンとオフとにそれぞれ操作されるスイッチであって、オフに操作されると、当該スイッチがそれ自体、前記電力入力端子と前記負荷部とを互いに遮断して前記電池パックから前記負荷部への電力供給を停止させ、オンに操作されると、当該スイッチがそれ自体、それら電力入力端子と負荷部とを互いに通電させて前記電池パックから前記負荷部への電力供給を許可するものとを含むものが提供される。
当該電池パックシステムは、さらに、前記スイッチのオン・オフを検知するスイッチ検知部と、前記電池パックから供給される電力を蓄積する蓄電部であって、前記電池パックから前記負荷部への電力供給が停止されている場合に、前記スイッチ検知部に電力を供給し、それにより、前記スイッチ検知部の作動を可能にするものと、前記スイッチ検知部からの信号に基づき、前記スイッチがオフに操作されると、前記電池パックから前記負荷部への電力供給を停止させることを指令する停止指令信号を出力する一方、前記スイッチがオンに操作されると、前記電池パックから前記負荷部への電力供給を許可することを指令する許可指令信号を出力する第1制御手段と、前記複数の電池セルの直列接続を選択的に実現するために前記電池セル間に設けられた複数の通電遮断素子と、それら第1制御手段と複数の通電遮断素子とに接続された第2制御手段であって、前記第1制御手段が前記許可指令信号を出力した場合には、前記複数の通電遮断素子のすべてが通電状態となって前記複数の電池セルの直列接続が実現されるために前記電池パックから前記負荷部への電力供給が行われる一方、前記第1制御手段が前記停止指令信号を出力した場合には、前記複数の通電遮断素子のすべてが遮断状態となって前記複数の電池セルの直列接続が実現されないために前記電池パックから前記負荷部への電力供給が停止されるように、前記複数の通電遮断素子を制御するものとを含んでいる。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 電気機器と、その電気機器の電源として用いられる電池パックとを備えた電池パックシステムであって、
前記電池パックは、
複数の電池セルが直列接続された電池セル群と、
その電池セル群の放電出力を前記電気機器へ供給するための放電出力端子と、
それら電池セル群および放電出力端子を収容するケースと
を含み、
前記電池セル群は、その電池セル群に接続された入出力接続部と共に、電池モジュールを構成し、
その電池モジュールは、複数直列接続されて電池モジュール群を構成し、
前記電気機器は、
負荷部と、
前記放電出力端子から供給された電力を受けて前記負荷部を制御する負荷制御部であって、前記電池パックの放電を許可しない第1放電不許可状態において、前記負荷制御部から前記負荷部への電力供給を停止するとともに、第1信号を前記電池モジュール群に送信するものと
を含み、
前記電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つは、前記負荷制御部に接続されるとともに、その負荷制御部から前記第1信号を受信すると、前記入出力接続部からの電圧の出力を停止する電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、電池パックの放電を許可しない第1放電不許可状態において、少なくとも一つの電池モジュールにおける入出力接続部からの電圧の出力が停止し、その結果、負荷部の停止状態において、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断される。
それにより、互いに導通状態にある複数の電池セル(互いに直列に接続されている)の数が、電池セル群に属する電池セルの総数より減少する。その結果、互いに導通状態にある複数の電池セルの直列接続の全電圧が低下し、それにより、電池パック内部に高電圧が印加される状態が抑制される。その結果、負荷部の停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
さらに、この電池パックシステムによれば、電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つであって、第1信号を受信すると、入出力接続部からの電圧の出力を停止するものへの第1信号の送信を選択的に行う制御部が、電池パックではなく、電気機器内に搭載される。
したがって、この電池パックシステムによれば、そのような制御部が、電池パック内に搭載される場合より、その電池パックの内部構造が単純化され、その結果、その電池パックの設計が容易となる。
(2) 前記第1放電不許可状態は、前記放電出力端子からの供給電圧が所定値より低い状態と、前記電気機器が使用されない不使用時間が所定値を超えた状態と、前記負荷部が正常に駆動できない状態と、前記電気機器の起動スイッチがオフである状態との少なくとも一つを含む(1)項に記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、前記放電出力端子からの供給電圧が所定値より低い状態と、前記電気機器が使用されない不使用時間が所定値を超えた状態と、前記負荷部が正常に駆動できない状態と、前記電気機器の起動スイッチがオフである状態との少なくとも一つである場合に、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断され、それにより、負荷部の停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
(3) 前記第1放電不許可状態は、前記電気機器の起動スイッチがオフである状態を含み、
前記負荷制御部は、前記起動スイッチがオンになると、前記電池パックの放電を許可する状態に移行する(1)項に記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、電気機器の起動スイッチがオフになると、電池パックの放電が禁止され、その結果、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断され、一方、電気機器の起動スイッチがオンになると、電池パックの放電が許可され、その結果、電池セル群の電池セル間が電気的に接続される。
(4) 前記電池モジュール群は、前記電池セル群の放電を許可しない第2放電不許可状態において、第2信号を前記負荷制御部に送信し、
前記第1放電不許可状態は、前記負荷制御部が前記少なくとも一つの電池モジュールから前記第2信号を受信した状態を含む(1)ないし(3)項のいずれかに記載の電池パックシステム。
(5) 前記第2放電不許可状態は、前記電池セル群の過放電状態と、前記電池セル群の過負荷状態と、前記電池セル群の温度が所定範囲外である状態と、前記電池セル群が使用されない不使用時間が所定値を超えた状態との少なくとも一つを含む(4)項に記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、電池セル群の過放電状態と、電池セル群の過負荷状態と、電池セル群の温度が所定範囲外である状態と、電池セル群が使用されない不使用時間が所定値を超えた状態との少なくとも一つである場合に、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断され、それにより、負荷部の停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
(6) 前記電池パックは、さらに、
前記複数の電池セル間に設けられ、それら電池セルを互いに電気的に接続する通電状態とそれら電池セルを互いに電気的に遮断する遮断状態とに切り換わる通電遮断素子を含み、
前記電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つは、前記第1信号を受信すると、前記通電遮断素子を前記遮断状態に切り換え、それにより、前記入出力接続部からの電圧の出力を停止する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の電池パックシステム。
(7) さらに、前記電池パックを充電する充電器を備え、
その充電器は、
商用電源の交流電圧が入力され、その交流電圧を直流電圧に変換する電圧変換部と、
その変換された直流電圧を制御し、その制御された直流電圧により、前記電池モジュール群の充電を制御する充電制御部であって、前記電池パックの充電を許可しない第1充電不許可状態において、前記充電器による前記電池パックの充電を停止するとともに、第3信号を前記電池モジュール群に送信するものと
を含み、
前記電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つは、前記充電制御部に接続されるとともに、その充電制御部から前記第3信号を受信すると、前記電池セル群への電圧の入力を停止する(1)ないし(6)項のいずれかに記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、前記(1)項に係る電池パックシステムと同じ作用効果が実現されることに加えて、電池パックの充電を許可しない第1充電不許可状態において、少なくとも一つの電池モジュールにおける入出力接続部からの電圧の出力が停止し、その結果、電池パックの充電停止状態において、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断される。
それにより、互いに導通状態にある複数の電池セル(互いに直列に接続されている)の数が、電池セル群に属する電池セルの総数より減少する。その結果、互いに導通状態にある複数の電池セルの直列接続の全電圧が低下し、それにより、電池パック内部に高電圧が印加される状態が抑制される。その結果、電池パックの充電停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
さらに、この電池パックシステムによれば、電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つであって、第3信号を受信すると、電池セル群への電圧の入力を停止するものへの第3信号の送信を選択的に行う制御部が、電池パックではなく、充電器内に搭載される。
したがって、この電池パックシステムによれば、そのような制御部が、電池パック内に搭載される場合より、その電池パックの内部構造が単純化され、その結果、その電池パックの設計が容易となる。
(8) 電気機器と、その電気機器の電源として用いられる電池パックと、その電池パックを充電する充電器とを備えた電池パックシステムであって、
前記電池パックは、
複数の電池セルが直列接続された電池セル群と、
その電池セル群の放電出力を前記電気機器へ供給するための放電出力端子と、
それら電池セル群および放電出力端子を収容するケースと
を含み、
前記電池セル群は、その電池セル群に接続された入出力接続部と共に、電池モジュールを構成し、
その電池モジュールは、複数直列接続されて電池モジュール群を構成し、
前記充電器は、
商用電源の交流電圧が入力され、その交流電圧を直流電圧に変換する電圧変換部と、
その変換された直流電圧を制御し、その制御された直流電圧により、前記電池モジュール群の充電を制御する充電制御部であって、前記電池パックの充電を許可しない第1充電不許可状態において、前記充電器による前記電池パックの充電を停止するとともに、第3信号を前記電池モジュール群に送信するものと
を含み、
前記電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つは、前記充電制御部に接続されるとともに、その充電制御部から前記第3信号を受信すると、前記電池セル群への電圧の入力を停止する電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、電池パックの充電を許可しない第1充電不許可状態において、少なくとも一つの電池モジュールにおける入出力接続部からの電圧の出力が停止し、その結果、電池パックの充電停止状態において、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断される。
それにより、互いに導通状態にある複数の電池セル(互いに直列に接続されている)の数が、電池セル群に属する電池セルの総数より減少する。その結果、互いに導通状態にある複数の電池セルの直列接続の全電圧が低下し、それにより、電池パック内部に高電圧が印加される状態が抑制される。その結果、電池パックの充電停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
さらに、この電池パックシステムによれば、電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つであって、第3信号を受信すると、電池セル群への電圧の入力を停止するものへの第3信号の送信を選択的に行う制御部が、電池パックではなく、充電器内に搭載される。
したがって、この電池パックシステムによれば、そのような制御部が、電池パック内に搭載される場合より、その電池パックの内部構造が単純化され、その結果、その電池パックの設計が容易となる。
(9) 前記第1充電不許可状態は、前記入力された電源電圧が異常である状態と、前記電池パックの満充電状態と、前記充電器が正常に作動できない状態との少なくとも一つを含む(8)項に記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、前記入力された電源電圧が異常である状態と、前記電池パックの満充電状態と、前記充電器が正常に作動できない状態との少なくとも一つである場合に、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断され、それにより、電池パックの充電停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
(10) 前記電池モジュール群は、前記電池セル群の充電を許可しない第2充電不許可状態において、第4信号を前記充電制御部に送信し、
前記第1充電不許可状態は、前記充電制御部が前記少なくとも一つの電池モジュールから前記第4信号を受信した状態を含む(8)または(9)項に記載の電池パックシステム。
(11) 前記第2充電不許可状態は、前記電池セル群の過充電状態と、前記電池セル群の過電流充電状態と、前記電池セル群の温度が所定範囲外である状態との少なくとも一つを含む(10)項に記載の電池パックシステム。
この電池パックシステムによれば、電池セル群の過充電状態と、電池セル群の過電流充電状態と、電池セル群の温度が所定範囲外である状態との少なくとも一つである場合に、電池セル群の電池セル間が電気的に遮断され、それにより、電池パックの充電停止状態において、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
(12) 前記電池パックは、さらに、
前記複数の電池セル間に設けられ、それら電池セルを互いに電気的に接続する通電状態とそれら電池セルを互いに電気的に遮断する遮断状態とに切り換わる通電遮断素子を含み、
前記電池モジュール群に属する複数の電池モジュールのうちの少なくとも一つは、前記第3信号を受信すると、前記通電遮断素子を前記遮断状態に切り換え、それにより、前記電池セル群への電圧の入力を停止する(7)ないし(11)項のいずれかに記載の電池パックシステム。
本発明の一実施例は、36V超の高電圧、特に商用電源に相当する電圧を出力する電池パック、前記電池パックを接続し駆動可能なコードレス電動工具、前記電池パックを充電可能な充電器で構成されるコードレス電動工具システムである。
なお、電池パックの放電負荷となる部位についてはコードレス電動工具に限らず、本発明の実施の形態と同様の使用が可能な電気機器も広く包含される。
本発明の一実施例に従う電池パックは、複数の電池セルを直列接続して電池セル群を成し、前記電池セル群の電池セル間に通電遮断(例えば、トランジスタ等、スイッチ)の手段を設け、前記通電遮断の手段は、電気機器が、負荷駆動を許可しない状態、また、充電器が前記電池パックの充電を許可しない状態において、前記電池セル間の遮断を実行する。これにより、電池セル群の超高電圧化にもかかわらず、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
本発明の一実施例に従う電池パックは、電池パックに有する電池セル総数より相対的に少ない個数の電池セルを直列接続した電池セル群と、前記電池セル群の直流電圧を制御するモジュールコントローラとを、前記モジュールコントローラに接続された入出力端子(以下、「入出力接続部」ともいう)のみ露出するように外装物に収容した電池モジュールとし、前記電池モジュールを複数直列接続した電池モジュール群を電池パックのケースに収容する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
また、電池モジュールはモジュールコントローラを設け、前記モジュールコントローラは、電池セルの電圧、温度、又は、電流のいずれかを検知する手段と、前記検知の結果に基づき、電池セル群の直流電圧を入出力端子へ出力、入出力端子から電池セル群へ直流電圧を入力、及び、停止する手段を有する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
電気機器が収容する負荷制御部と電池パックが収容する電池モジュールのモジュールコントローラは、前記負荷制御部から前記モジュールコントローラへの方向と、前記負荷制御部と前記モジュールコントローラとの双方向のいずれかに、通電停止を示す信号の送受信を行う。前記負荷制御部が出力停止した場合は、前記負荷制御部から前記モジュールコントローラへ、また、前記モジュールコントローラが出力停止した場合は、前記モジュールコントローラから前記負荷制御部へ、通電停止を示す信号を送信する。前記信号を受信した負荷制御部、及び、モジュールコントローラは、各々が有する通電停止手段により通電の停止を実行する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
また、電気機器が収容する負荷制御部が通電を実行する場合は、前記負荷制御部から前記モジュールコントローラへ、通電の実行を示す信号を送信する。前記信号を受信したモジュールコントローラは、前記モジュールコントローラが有する通電手段により通電を実行する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
また、電気機器が収容する負荷制御部は、電池モジュール群の電圧、又は、電流のいずれかを検知する手段と、前記検知の結果に基づき、電気機器の電力供給端子から入力した電圧を負荷部へ供給、及び、停止する手段を有することで、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
充電器が収容する充電制御部と電池パックが収容する電池モジュールのモジュールコントローラは、前記充電制御部から前記モジュールコントローラへの方向と、前記充電制御部と前記モジュールコントローラとの双方向のいずれかに、充電停止を示す信号の送受信を行う。前記充電制御部が充電停止した場合は、前記充電制御部から前記モジュールコントローラへ、また、前記モジュールコントローラが充電停止した場合は、前記モジュールコントローラから前記充電制御部へ、充電停止を示す信号を送信する。前記信号を受信した充電制御部、及び、モジュールコントローラは、各々が有する充電停止手段により充電の停止を実行する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
また、充電器が収容する充電制御部が充電を実行する場合は、前記充電制御部から前記モジュールコントローラへ、充電の実行を示す信号を送信する。前記信号を受信した充電制御部、及び、モジュールコントローラは、各々が有する通電手段により通電を実行する。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
充電器が収容する充電制御部は、電池モジュール群の電圧、又は、電流、のいずれかを検知する手段と、前記検知の結果に基づき、電池モジュール群へ直流電圧を入力、及び、停止する手段を有することで、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
まず、本発明の一実施例に従う電池パックとコードレス電動工具が奏し得る効果を出力性能に関して説明する。
本発明の一実施例に従うコードレス電動工具は、例えば、72V、100Vというような36V超の直流電圧を電池パックから直流駆動式モータへ入力する。したがって、前記36V超のコードレス電動工具は、従来技術の36Vコードレス電動工具と比較し、高い出力を得ることができる。特に、電池パックの出力電圧が商用電源に相当する出力に近づくほど、従来技術の36Vコードレス電動工具の出力との差が明白となる。
なお、前記36V超の電圧は、交流、及び、直流の方式を問わず出力性能に関する効果を得ることができる。
電池パックに収容される電池セルは内部抵抗を有し、放電時は、負荷電流の二乗に比例するエネルギーが電池セルの発熱分として消費される。本発明の一実施例に従うコードレス電動工具の負荷電流は、特に商用電源に相当の電圧を用いて駆動する場合、従来技術の36Vコードレス電動工具の負荷電流と比較すると、顕著に小さい。
したがって、本発明の一実施例に従う電池パックの発熱分として消費されるエネルギーは、従来技術の36Vの電池パックに対し軽微となるため、電池セル寿命への影響も軽微となる。
次に、本発明の一実施例に従う電池パックとコードレス電動工具が奏し得る効果を絶縁信頼性に関して説明する。
本発明の一実施例に従うコードレス電動工具は、モータ、前記モータの駆動と停止を作業者が選択的に制御するためのスイッチ、及び、前記モータの回転数等を制御するための負荷制御部を有する。また、前記負荷制御部は、前記スイッチの開閉を検知する手段を有する。
本発明の一実施例に従う電池パックは、電池セル群の電池セル間に通電遮断の手段を設け、前記通電遮断の手段は、前記スイッチがオン、すなわち、前記モータが駆動する場合、前記負荷制御部は、前記スイッチがオンであることを示す信号を前記電池セル間に設けられた通電遮断手段へ送信し、前記遮断手段が通電状態となるように制御する。一方、前記スイッチがオフ、すなわち、前記モータを停止する場合、前記負荷制御部が負荷電流を検知し、前記負荷電流が所定値未満であることを検知してから所定時間が経過し、不使用状態であると判断した場合、電池パックからモータへ供給される電圧を検知し、前記電圧が所定値よりも低い過放電状態である場合、負荷部が正常に作動しない場合、のいずれかにおいて、前記負荷制御部は、放電不許可であると判断し、前記スイッチがオフであることを示す信号を前記電池セル間に設けられた通電遮断手段へ送信し、前記遮断手段が遮断状態となるように制御する。
電池セル群は、前述の放電不許可である場合に、前記通電遮断手段により、電池セル群が電池セル間において電気的に遮断される。
したがって、電池パック内部の異電圧セル間、電圧モニタ線の線間、電圧モニタ線と電池セルの空間に印加される電位は、商用電源電圧に対し相対的に低いため、前記各部位は高電圧が長期間印加されることがない。
例えば、充電完了後の電圧が4Vとなったリチウムイオン電池セルを27個直列接続した電池セル群の場合、従来技術であれば、前述の各部位に最大108Vが高頻度で印加されることになるが、本発明の一実施例においては、電池セル9個直列接続する毎に遮断手段を設けることにより、放電出力停止時には、前述の遮断手段により遮断が実行され、前述の各部位には最大36Vまでしか印加されることがない。したがって、前述の各部位は、最大108Vが高頻度に印加されないため、絶縁信頼性が向上する。
また、前記最大108Vが常時印加される従来技術の方式の場合、電池パック外部から、例えば、金属粉や水など導電性の異物が電池パック内部に侵入すると、電池パック内部に前記108Vを電源とした短絡回路が形成され絶縁破壊につながる可能性がある。さらに、前記導電性の異物が電池パック内部に侵入し、かつ、電池パック外部への付着等により、前記電池パック内部から前記電池パック外部へ、前記108Vを電源とした漏電回路が形成され感電につながる可能性がある。
本発明の一実施例に従う電池パックは、例えば、電池パックがコードレス電動工具に装着されず、出力されない不使用状態、及び、前記電池パックが前記コードレス電動工具に装着され、かつ、出力が許可されない不使用状態においては、電池パックの内部の電池セル群が電池セル間において電気的に遮断され、前述の各部位は最大36Vまでしか印加されることがない。
したがって、前述のような導電性の異物による短絡回路や漏電回路が形成された場合においても、絶縁破壊の進行度を大幅に低減し、かつ、人体への感電に影響が極めて低いとされる電圧に抑え感電を防ぐことができる。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
また、本発明の一実施例に従う電池パックは、収容する電池セルの総数に対し相対的に少ない個数の電池セルで構成された電池セル群を収容する電池モジュールを有する。前記電池モジュールの電池セル群は絶縁性ケースに収容されるため、他方の電池モジュールに収容される電池セル群と絶縁された状態で電池パック内部に配置される。
従来技術において、例えば、充電完了後の電圧が4Vとなったリチウムイオン電池セルを27個直列接続した電池セル群の場合、各電池セルの電圧を測定するための電圧モニタ線は、グランド線を除き27本必要となる。
前記電圧モニタ線において、例えば、直列接続された電池セル群のプラス側、及び、マイナス側の各末端に配置される2個の電池セルの電圧を測定する2本の電圧モニタ線は、前記電圧モニタ線間に26セル分の電圧、すなわち、充電完了後であれば、104Vという高電圧が印加される。前記2本の電圧モニタ線を電池パック内部に配線する際、前記モニタ線間、及び、前記モニタ線と各電池セルとの間の絶縁信頼性が確保できる距離に配置することが必要である。
また、従来技術であれば、前記27本の電池セルを直列接続した電池セル群において、前記電池セル群の並べ方によっては、充電完了後であれば、隣接する電池セル間に最大104Vという高電圧が印加される構造となり得る。
そのため、電池パック内に配線される前記27本の電圧モニタ線と27セルの電池セル全ての組み合わせ、また、隣接する電池セルの全ての組み合わせにおいて適切な絶縁距離を確保する必要があり、電池パック内の構造の複雑化につながる。
本発明の一実施例に従う電池パックは、例えば、前述の27個の電池セルを9個毎にモジュールケースに収容し、電池モジュール内の電池セル群は他方の電池モジュール内に収容される電池セル群と絶縁される。また、各電池モジュール内に配線される電圧モニタ線間は、最大9セル分の電圧までしか印加されない。
したがって、電池モジュール内部の異電圧セル間、電圧モニタ線の線間、電圧モニタ線と電池セルの空間に印加される電位は、商用電源電圧に対し相対的に低いため、前記各部位は商用電源電圧において要する大きな絶縁距離等を設けなくて良い。これにより、電池モジュールの内部構造の簡易化に貢献する。
従来技術において、電池モジュールが収容する電池セルの状態を検知し電池モジュールの入出力を停止する方法がある。
この場合、電池パックに収容する少なくとも1個の電池モジュールが入出力を停止しても、電池パック内に収容される他方の電池モジュールは通電状態が保持されるため、前記通電状態の電池モジュールが直列接続される部位に前記通電状態が保持されている電池モジュールの個数に応じた高電圧が印加されて、絶縁信頼性が低下する。
そこで、本発明の一実施例に従う電池パックは、電池モジュールを設け、また、本発明の一実施例に従うコードレス電動工具は、負荷制御部を設け、前記負荷制御部と前記電池モジュールとの双方向、又は、前記負荷制御部から前記電池モジュールへの方向のいずれかの方向について、前記負荷制御部、又は、前記電池モジュールが、電池セル群の直流電圧の入出力、又は、停止を実行する際に、前記入出力、又は、停止の状態を示す信号の送受信を行う手段を有する。
これにより、電池パックの入出力、すなわち、充電、又は、放電が不要な場合に、通電状態の電池モジュールが直列接続された状態で保持されることを解除することで、絶縁信頼性を向上しながら、配線を複雑化することなく電池モジュールに有する電池セルの状態を認識することができ、電池パックの内部構造の簡易化に貢献する。
電池モジュールは、電池セル群、モジュールコントローラ、及び、充放電のための通電に用いる端子と前記負荷制御部と前記モジュールコントローラとの信号の送受信に用いる端子を絶縁性材料で形成されるケースに収容し、前記ケースから前記端子のみを外部に露出する。
したがって、外部から電池モジュール内に異物が侵入しない。これにより、電池モジュールに収容される電池セル群の異電圧電池セル間等の絶縁を確保しやすく、電池パックの内部構造の簡易化に貢献する。
次に、本発明の一実施例に従う電池パックと充電器が奏し得る効果を絶縁信頼性に関して説明する。
本発明の一実施例に従う充電器は、電池パックを充電するための充電制御部を有する。本発明の一実施例に従う電池パックは、電池セル群の電池セル間に通電遮断の手段を設ける。充電器が有する充電制御部は、前記電池パックの充電を実行する場合、前記充電の実行を示す信号を前記電池セル間に設けられた通電遮断手段へ送信し、前記遮断手段が通電状態となるように制御する。
一方、前記充電制御部は、前記電池パックの充電を停止する場合、前記充電の停止を示す信号を前記電池セル間に設けられた通電遮断手段へ送信し、前記遮断手段が遮断状態となるように制御する。前記充電制御部は、電池パックが満充電である場合、充電器が故障している場合、充電制御部に入力される商用電源の状態が前記充電制御部を駆動するのに適さない場合、のいずれかにおいて充電不許可の状態であると判断した場合に、前記通電遮断手段により遮断され、電池セル群が電池セル間において電気的に遮断される。
したがって、電池パック内部の異電圧セル間、電圧モニタ線の線間、電圧モニタ線と電池セルの空間に印加される電位は、商用電源電圧に対し相対的に低いため、前記各部位は高電圧が長期間印加されることがない。
例えば、充電完了後の電圧が4Vとなったリチウムイオン電池セルを27個直列接続した電池セル群の場合、従来技術であれば、前述の各部位に最大108Vが高頻度で印加されることになるが、本発明の一実施例においては、電池セル9個直列接続する毎に、遮断手段を設けることにより、充電停止時には、前述の遮断手段により遮断が実行され、前述の各部位には最大36Vまでしか印加されることがない。
したがって、前述の各部位は、最大108Vが高頻度に印加されないため、絶縁信頼性が向上する。また、前記最大108Vが常時印加される従来技術の方式の場合、電池パック外部から、例えば、金属粉や水など導電性の異物が電池パック内部に侵入すると、電池パック内部に前記108Vを電源とした短絡回路が形成され絶縁破壊につながる可能性がある。
さらに、前記導電性の異物が電池パック内部に侵入し、かつ、電池パック外部への付着等により、前記電池パック内部から前記電池パック外部へ、前記108Vを電源とした漏電回路が形成され感電につながる可能性がある。
本発明の一実施例に従う電池パックは、例えば、電池パックが充電器に装着されず、充電がされない状態、及び、前記電池パックが前記充電器に装着され、かつ、充電が許可されない状態においては、電池パックの内部の電池セル群が電池セル間において電気的に遮断され、前述の各部位は最大36Vまでしか印加されることがない。
したがって、前述のような導電性の異物による短絡回路や漏電回路が形成された場合においても、絶縁破壊の進行度を大幅に低減し、かつ、人体への感電に影響が極めて低いとされる電圧に抑え感電を防ぐことができる。これにより、電池パックの内部構造が単純化するとともに、電池パックの絶縁信頼性が向上する。
以下に、図1ないし図10を参照することにより、本発明のさらに具体的な一実施形態に従う電池パック、充電器、及び、コードレス電動工具を用いるコードレス電動工具システム(前述の「電池パックシステム」の一例である)を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に従う電池パック100の内部構造の側面図を示す。
電池パック100は、3個の電池モジュール112、端子カバースイッチ116を有する接続検知部136、絶縁性材料で形成された回路カバー117、絶縁性材料で形成されたフックボタン103、前記フックボタン103を摺動するためのスプリング119、絶縁性材料で形成された端子カバー107、前記端子カバー107を摺動するためのスプリング118、を絶縁性材料で形成された上ケース101と下ケース102に収容する。
電池モジュール112のモジュール入出力端子(前述の「入出力接続部」の一例である)131は、図示しない隣接する電池モジュール112のモジュール入出力端子131、又は、電池パック入出力端子110(前述の「放電出力端子」の一例として機能する場合がある)と接続する。斜線で示す回路カバー117は、電池パック入出力端子110、電池パック用第1・3信号入力端子149(図7参照)と電池パック用第2・4信号出力端子150(図7参照)の挿入口、及び、電池モジュール112と対向する面を除く周囲に被せる。
端子カバー107は、その動作と接続検知部136に設けられた端子カバースイッチ116の開閉動作が連動するように配置する。回路カバー117は、上ケース101が万が一破損した場合に、活電部となるモジュール入出力端子131、又は、電池パック入出力端子110と電池パック100の外部との間に介在することで、前記活電部に人体が直接接触することを避けることができ、絶縁に関する信頼性を高める効果がある。
電池パック100に用いる電池セル120は、直列接続した電池セル群の直流電圧を用いて、商用電源電圧の実効値に相当する電圧を出力できるような個数とし、電池モジュール112は、少なくとも2個以上で構成すると良い。特に、電池モジュール112に収容する電池セル120の個数は、電池パック100に収容する電池セル120の総数の約数とすると良い。
本発明の一実施形態として、電池パック100に収容する電池セル120を27個、前記電池パック100に収容する電池モジュール112を3個、及び、前記電池モジュール112に収容する電池セル120を9個として、以下に説明する。
なお、電池セル120は、リチウムイオン電池を用いると、小型軽量ながら高出力、及び、高容量を実現でき好適であるが、リチウムイオン電池に限らず、電池パック100に収容して電圧出力が可能な2次電池を広く包含する。
図2は、電池モジュール112の内部構造の側面図を示す。
9個の電池セル120は、リード板121をスポット溶接により直列接続した電池セル群とする。特に、電池セル群の電圧は、リチウムイオン電池セルの場合、電池モジュール内の電池セル直列数を10セル以下、すなわち、1セル3.6Vの公称電圧を有するリチウムイオン電池セルを直列接続して構成する電池モジュールの公称電圧を36V以下、又は、リチウムイオン電池セルの満充電時の最大電圧は一般的に1セルあたり4.2Vであることから、満充電時のモジュール電圧が、42V以下となるように構成すると良い。
これにより、電池モジュール内部の各部位に印加される電位が、人体への感電に影響があるとされる42Vを上回らないため、製造時の安全性向上などにも貢献できる。
また、電池セル120の電圧を検知するための電圧モニタ線123の片側末端部をリード板121に接続し、残りの片側末端部をモジュールコントローラ122に接続する。温度センサ124は、電池セル温度を検知できる部位に設けモジュールコントローラ122と接続する。
電池モジュール112は、前記モジュールコントローラ122と接続するモジュール入出力端子131、図3に示すモジュール用1・3信号入力端子146、及び、モジュール用2・4信号出力端子147のみ前記電池モジュール112の外部に露出するように設ける。
図3は、電池モジュール112の内部構造の上面図を示す。
電池モジュール112は、9個の電池セル120を直列接続した電池セル群、電圧モニタ線123と温度センサ124、及び、モジュールコントローラ122を斜線図で示す絶縁性、かつ、弾性を有する緩衝体125を電池セル120の両端に介して、ケース同士の接合部にオーバーラップを設け、いずれも絶縁性材料で形成されたモジュールケース右126とモジュールケース左127により収容する。
また、電池モジュールの外装は、前記ケースを用いず熱収縮ラミネートシートを用いて前記内部部位を覆う手段も良い。なお、モジュールケース126、127に隙間が生じる場合は、絶縁性の充填剤を用いて前記隙間をモールドすると良い。
図4に、電池パック100とコードレス電動工具200の接続時の内部構造の側面図を示す。
電池パック100をコードレス電動工具200へ挿入すると、コードレス電動工具200の負荷制御部201、電力入力端子209、第1信号出力端子210(図7参照)、及び、第2信号入力端子211(図7参照)を収容する端子ボックス214が、電池パック100の端子カバー107を押しスライドさせる。
端子カバー107に接した端子カバースイッチ116は、端子カバー107と連動し、コードレス電動工具200の電力入力端子209と電池パック100の電池パック入出力端子110、電池パック100の電池パック用1・3信号入力端子149(図7参照)とコードレス電動工具200の第1信号出力端子210、及び、電池パック100の電池パック用2・4信号出力端子150(図7参照)とコードレス電動工具200の第2信号入力端子211が接合する位置でオンする。
電池パック100のフックボタン103は、コードレス電動工具200のハウジングケース212に設けられた係止凹部213に係合され、フックボタン103の解除動作が行われるまで電池パック100とコードレス電動工具200の接続状態が保持される。前述の端子カバースイッチ116がオフ状態からオン状態へ切り替えられることを起点として、電池パック100は図9に示す放電制御シーケンスを実行し、コードレス電動工具200の使用を可能にする。
図5に、電池パック100と充電器300の接続時の内部構造の側面図を示す。
充電器300の電力供給端子307を電池パック100の電池パック入出力端子110へ挿入すると、充電器300の直流変換部302、充電制御部303、フックボタン310、及び、前記フックボタン310を摺動するためのスプリング310を収容するハウジングケース312が、電池パック100の端子カバー107を押しスライドさせる。
端子カバー107に接した端子カバースイッチ116は、端子カバー107と連動し、充電器300の電力供給端子307と電池パック100の電池パック入出力端子110、電池パック100の電池パック用1・3信号入力端子149(図7参照)と充電器300の第3信号出力端子308、及び、電池パック100の電池パック用2・4信号出力端子150(図7参照)と充電器300の第4信号入力端子309が接合する位置でオンする。
充電器300のフックボタン310は、電池パック100の上ケース101に設けられた係止凹部104に係合され、フックボタン310の解除動作が行われるまで電池パック100と充電器300の接続状態が保持される。前述の端子カバースイッチ116がオフ状態からオン状態へ切り替えられることを起点として、電池パック100は図10に示す充電制御シーケンスを実行し、電池パック100の充電を可能にする。
図6は、電池モジュール112の機能ブロック図を示す。
9個の電池セル120は直列接続され、モジュール充電用FET129、モジュール放電用FET130を介し、モジュール入出力端子131に接続される。モジュールコントローラ122は、電池セル電圧検知のための電圧モニタ線123、電池セル温度検知のための温度センサ124、及び、電流検知部138と接続し、モジュール充電用FET129とモジュール放電用FET130を用いて制御を行う。
また、モジュールコントローラ122は、第1・3信号入力部と第2・4信号出力部を設け、モジュール用第1・3信号入力端子146とモジュール用第2・4信号出力端子147を介して、後述のコードレス電動工具200の負荷制御部201、及び、充電器300の充電制御部303と信号の送受信を行う。
なお、複数の電池モジュール112が直列接続され1個の電池パック100となる場合、各電池モジュール112のモジュール用第1・3信号入力端子146、及び、モジュール用第2・4信号出力端子147は、グランド電位の異なる他方の前記端子146、及び、147と接続されるため、絶縁性を確保しながら電気信号伝達が可能なフォトカプラ等の素子を用いると好適である。
また、図6では、モジュール充電用FET129、及び、モジュール放電用FET130の制御は、モジュール用第1・3信号入力端子146に入力された信号をモジュールコントローラ122で判断処理されることに基づくが、前記モジュール用第1・3信号入力端子146に入力された信号電圧を、前記各FETの各ゲートへ直接入力し制御できるような信号変換手段を、電池パック、又は、コードレス電動工具と充電器のいずれかに設けても良い。
電気機器に多く用いられているリチウムイオン電池セルの代表的なサイズとして、直径18mm、及び、高さ65mmの円筒形セルがある。本発明の一実施形態のように27個のリチウムイオン電池セル120を電池パック100に収容する場合、前述の直径18mm、及び、高さ65mmの円筒形セルを用いて構成すると、電池パック100は、電動工具ユーザーにとって大きすぎ、かつ、重すぎて使いにくいものとなる。
そこで、本発明の一実施形態においては、同じ直径18mmで、例えば、高さを25mmとした電池セル120を27セル有する電池パック100を提供する。
図3に示すように、前記直径18mm、高さ25mmの9セルのリチウムイオン電池セル120の末端部を揃えて電池モジュール112に収容し、3個の電池モジュール112は、内部に収容する電池セルの軸心を、他方の電池モジュール112が収容する電池セルの軸心と揃えて、電池パック100に収容する。
電池セル単位の場合、前記高さ25mmの電池セル120の1セル当たりに蓄えることができるエネルギー容量は高さ65mmの電池セルと比較し、電池セルの高さに相応して減少するが、電池セル群の場合、小型軽量と評価される従来技術の14.4Vコードレス電動工具用の14.4Vリチウムイオン電池パックで用いられる高さ65mmのリチウムイオン電池セルを8セル用いた電池セル群と比較すると、高さ25mmのリチウムイオン電池セルを27セル用いた電池セル群の大きさ、及び、重さは、前記65mmのリチウムイオン電池セルを8セル用いた電池セル群と体感的に同程度と見なすことができ、かつ、高電圧化に伴う負荷電流の大幅な低減による電気ロスの大幅な低減により、電池パックとしての総合的な出力、及び、作業量は大幅に向上できる。
なお、前述のリチウムイオン電池セルの一形態として、直径18mm、及び、高さ25mmの円筒形セルを一例に挙げたが、円筒形セルの場合、直径16mm〜18mm、及び、高さ20〜30mmが、前述の総合的な効果を提供できる好適な形状範囲である。また、1セル当たりの容積が、前記範囲に相当する円筒形でない電池セル形状も前述の好適な形状範囲に包含する。
図7に、電池パック100、及び、前記電池パック100に対応するコードレス電動工具200の機能ブロック図を示す。
複数の電池モジュール112は、モジュール入出力端子131を介して直列接続され電池モジュール112群を成し、電池パック100に収容される。
前記電池モジュール112群は、電池パック入出力端子110に接続され、コードレス電動工具200への電力供給を可能とする。3個の電池モジュール112の各第1・3信号入力端子146は並列接続され、電池パック用第1・3信号入力端子149に端子カバースイッチ116を有する接続検知部136を介して接続される。
また、3個の電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147は直列接続され、前記直列接続の末端部に位置する端子が電池パック用第2・4信号出力端子150に接続される。電池パック100に接続されるコードレス電動工具200は、負荷部202、及び、電池パック100の電池パック入出力端子110より直流電圧に基づく電力供給を受けて負荷部202を制御する負荷制御部201を収容する。
負荷部202は、作業者が任意に開閉操作するスイッチ204、及び、前記負荷制御部201により制御される負荷制御用FET203を介して、電力入力端子209より電池パック100の電力を受給する。
負荷制御部201は、電圧検知部206、電流検知部207、及び、スイッチ検知部205を有し、放電を許可できない状態、例えば、電池パック100の電池パック入出力端子110より供給される直流電圧が所定値より低い場合、負荷電流が所定値より低い状態が所定時間経過し、不使用時間が所定時間経過したと判断される場合、スイッチ204が開放状態となったことを検知した場合、また、負荷部202の駆動中に、負荷制御部201が制御目標値とする電圧、又は、電流を維持できず、負荷部202が正常に駆動しないと判断される場合、の少なくともいずれか1つの場合において、負荷制御部201は、負荷部202への電力供給を停止した上で、前記停止をしたことを示す第1信号を、第1信号出力端子210を介して電池パック用第1・3信号入力端子149に送信する。
電池パック100の各電池モジュール112の各モジュールコントローラ122は、前記電池パック用第1・3信号入力端子149に並列接続された各モジュール用第1・3信号入力端子146により受信し、モジュール放電用FET130をオフし、電池モジュール112に収容される電池セル群の直列電圧をモジュール入出力端子131へ出力することを停止する。
なお、コードレス電動工具200の駆動中、すなわち、前記第1信号がコードレス電動工具200から電池パック100へ送信されない状況において、前記電池パック100を前記コードレス電動工具200から取り外した場合、前記電池パック100の接続検知部136は、前記取り外しの動作に伴い端子カバースイッチ116がオフしたことを検知する。
接続検知部136は、コードレス電動工具200の負荷制御部201と電池パック100の各電池モジュール112の間に介在しているため、前記端子カバースイッチ116のオフ状態を検知した際、前記負荷制御部201の代わりに第1信号を送信することで、電池モジュール112の通電遮断処理を適切に行うことができる。
なお、電池モジュール112の出力が停止する際、負荷制御部201の回路方式によっては、電池パック100からの電源供給を受けられず、負荷制御部201自身が停止し、適切な制御を行えない場合もある。その場合、蓄電機能を有するバックアップ付電源回路208をコードレス電動工具200に設けて、負荷制御部201の駆動状態を保持すると好適である。
また、バックアップ付電源回路208を用いる代わりに電池パック100から負荷制御部201へ電源を供給するための専用端子を、電池パック100、及び、コードレス電動工具200に設けても良い。
なお、負荷制御部201は、前記スイッチ204が再度閉じた状態、すなわち、作業者が負荷の駆動を再開した状態を検知した場合、前述のモジュール入出力端子131への出力停止状態を解除するが、図9にて詳細を後述する。
従来技術においては、コードレス電動工具等の電気機器側で負荷の駆動を停止しても、前記負荷の駆動停止を示す第1信号が存在しないため、電池パック内部の電池セル群は全て通電状態が保持され、電池パック内部の各部位は、全電池セルの直列電圧に伴う高電圧が常時印加されることとなり、絶縁信頼性が低下する課題がある。
これに対し、本発明の一実施形態においては、電池パック100が電池パック外から前記第1信号を受信し、各電池モジュール112が、並列に前記第1信号を受信し、各電池モジュール112の出力を停止することで、電池パック内部に収容する電池セル群の直列電圧を電池モジュール112毎に遮断することできるため、電池パック内部の各部位に高電圧が常時印加されず、絶縁信頼性を向上することができる。
さらに、電池モジュール112に有するモジュール用第2・4信号出力端子147を用いることで、前述の絶縁信頼性を相乗的に向上することができる。電池モジュール112は、その電池モジュール112が収容する電池セル群の状態を検知し、前述の電池セル群の放電を許可できない状態を判断した場合、各電池モジュール112の出力を停止する。
従来技術においては、複数の電池モジュールの中の1個の電池モジュールが、その出力を停止した場合、他方の複数個の電池モジュールは通電状態が保持される。この状態においては、電池パック内部に通電状態の複数の電池モジュールが直列接続された状態で保持されるため、電池パック内部の各部位に前記通電状態の電池モジュール複数個分の高電圧が高頻度で印加され、絶縁信頼性の低下に影響する。
そこで、本発明の一実施形態においては、電池パック100に収容される電池モジュール112群の中の1個の電池モジュール112のモジュールコントローラ122が、その出力を停止した場合、前記モジュールコントローラ122は、前記出力停止を示す第2信号を、モジュール用第2・4信号出力端子147、電池パック用第2・4信号出力端子150、及び、第2信号入力端子211を介して、コードレス電動工具200の負荷制御部201へ送信する。
負荷制御部201は、前記第2信号を受信し、負荷部202の駆動停止処理を行い、かつ、第1信号を全ての電池モジュール112へ送信し、前記第1信号を受信した各電池モジュール112は出力停止を行うことができる。
なお、各電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147は、電池パック用第2・4信号出力端子150に直列接続されるため、電池パックに収容される電池モジュール112群の中の少なくとも1個の電池モジュール112が、第2信号を負荷制御部201へ送信することで、負荷制御部201は、第2信号を送信した前記電池モジュール112の他電池モジュール112との位置関係、及び、信号状態に関わらず、第2信号を受信、及び、検知することができる。
これにより、例えば、複数の電池モジュール112の中の1個の電池モジュールが出力停止し、他方の電池モジュール112が出力停止を行わなかった状態においても、前述の方式により、他方全ての電池モジュール112が出力停止し、電池パック内の各部位に印加される最大電圧を電池モジュール112の1個分の電圧に抑え、絶縁信頼性をさらに向上できる。
図8に、本発明の一実施形態に従う電池パック100、及び、前記電池パック100に対応する充電器300の機能ブロック図を示す。
複数の電池モジュール112は、モジュール入出力端子131を介して直列接続され電池モジュール112群を成し、電池パック100に収容される。
電池モジュール112群は、電池パック入出力端子110に接続され、充電器300からの電力受給を可能とする。3個の電池モジュール112の各第1・3信号入力端子146は並列接続され、電池パック用第1・3信号入力端子149に端子カバースイッチ116を有する接続検知部136を介して接続される。
また、3個の電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147は直列接続され、前記直列接続の末端部に位置する端子が電池パック用第2・4信号出力端子150に接続される。
電池パック100に接続される充電器300は、商用電源入力部301より商用電源の交流電圧を入力し、前記交流電圧を直流電圧に変換する直流変換部302と、前記直流電圧を制御し、電池パック100の電池パック入出力端子110より、電池パック100に収容される電池モジュール112群の充電を行う充電制御部303を収容する。
前記電池モジュール112群は、前記充電制御部303により制御される充電用FET304、及び、電力供給端子307を介して、電池パック入出力端子110より充電器300が充電用に変換した電力を受給する。
なお、前述の充電用に変換した電力とは、電池セル120をリチウムイオン電池とした場合、電池モジュール112群の電圧が所定電圧に達するまでは一定電流となるように制御を行い、前記電池モジュール112群の電圧が所定電圧に達してからは、前記電圧が所定電圧を維持するように制御を行うと好適である。
充電制御部303は、電圧検知部305、及び、電流検知部306を有し、充電を許可できない状態、例えば、電池モジュール112群の直列電圧が所定値を超える、又は、充電電圧を一定に保持する状態において充電電流が所定値を下回る状態を検知し、電池パック100が満充電状態であると判断した場合、商用電源入力部411より入力される電源電圧が、直流変換部302、又は、充電制御部303の設計範囲を超えた電圧値となり、電池パック100の充電に適さない場合、又は、電池パック100の充電中に、充電制御部303が制御目標値とする電圧、又は、電流を維持できず、電池パック100を正常に充電しないと判断される場合、の少なくともいずれか1つの場合において、電池パック100への充電を停止した上で、前記停止したことを示す第3信号を、第3信号出力端子308を介して電池パック用第1・3信号入力端子149に送信する。
電池パック100の各電池モジュール112の各モジュールコントローラ122は、前記電池パック用第1・3信号入力端子149に並列接続された各モジュール用第1・3信号入力端子146により受信し、モジュール充電用FET129をオフし、モジュール入出力端子131からモジュール112に収容される電池セル群への直流電圧を入力することを停止する。
なお、充電器300の充電中、すなわち、前記第3信号が充電器300から電池パック100へ送信されない状況において、前記電池パック100を前記充電器300から取り外した場合、前記電池パック100の接続検知部136は、前記取り外しの動作に伴い端子カバースイッチ116がオフしたことを検知する。
前記接続検知部136は、充電器300の充電制御部303と電池パック100の各電池モジュール112の間に介在しているため、前記端子カバースイッチ116のオフ状態を検知した際、前記充電制御部303の代わりに第3信号を送信することで、電池モジュール112の通電遮断処理を適切に行うことができる。
従来技術においては、充電器が電池パックの充電を停止しても、前記充電停止を示す第3信号が存在しないため、電池パック内部の電池セル群は全て通電状態が保持され、電池パック内部の各部位は、全電池セルの直列電圧に伴う高電圧が常時印加されることとなり、絶縁信頼性が低下する課題がある。
これに対し、本発明の一実施形態においては、電池パック100が電池パック外から前記第3信号を受信し、各電池モジュール112が、並列に前記第3信号を受信し、前記各電池モジュール112の入力を停止することで、電池パック内部に収容する電池セル群の直列電圧を電池モジュール112の構成毎に遮断することできるため、電池パック内部の各部位に高電圧が常時印加されず、絶縁信頼性を向上することができる。
さらに、電池モジュール112に有するモジュール用第2・4信号出力端子147を用いることで、絶縁信頼性を相乗的に向上することができる。電池モジュール112は、電池モジュール112が収容する電池セル群の状態を検知し、前述の電池セル群の充電を許可できない状態であると判断した場合、各電池モジュール112の入力を停止する。
従来技術においては、複数の電池モジュールの中の1個の電池モジュールが、その充電を停止した場合、他方の複数個の電池モジュールは通電状態が保持される。この状態においては、電池パック内部に通電状態の複数の電池モジュールが直列接続された状態で保持されるため、電池パック内部の各部位に前記通電状態の電池モジュール複数個分の高電圧が高頻度で印加され、絶縁信頼性の低下に影響する。
そこで、本発明の一実施形態においては、電池パック100に収容される電池モジュール112群の中の1個の電池モジュール112のモジュールコントローラ122が、その充電を停止した場合、前記モジュールコントローラ122は、前記充電停止を示す第4信号を、モジュール用第2・4信号出力端子147、電池パック用第2・4信号出力端子150、及び、第4信号入力端子309を介して、充電器300の充電制御部303へ送信する。前記充電制御部303は、前記第4信号を受信し、電池パック100の充電停止処理を行い、かつ、第3信号を全ての電池モジュール112へ送信し、前記第3信号を受信した各電池モジュール112は充電停止を行うことができる。
なお、各電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147は、電池パック用第2・4信号出力端子150に直列接続されるため、電池パックに収容される電池モジュール112群の中の少なくとも1個の電池モジュール112が、第4信号を充電制御部303へ送信することで、充電制御部303は、第4信号を送信した電池モジュール112の他電池モジュール112との位置関係、及び、信号状態に関わらず、第4信号を受信、及び、検知することができる。
これにより、例えば、複数の電池モジュール112の中の1個の電池モジュールが充電停止し、他方の電池モジュール112が充電停止を行わなかった状態においても、前述の方式により、他方全ての電池モジュール112が充電停止し、電池パック内の各部位に印加される最大電圧を電池モジュール112の1個分の電圧に抑え、絶縁信頼性をさらに向上できる。
第1ないし第4信号の送受信方法については、電池パック100のモジュールコントローラ122とコードレス電動工具200の負荷制御部201、及び、電池パック100のモジュールコントローラ122と充電器300の充電制御部303の間で、放電の実行、充電の実行、放電の停止、及び、充電の停止に関するお互いの制御を関連付けるものであり、有線方式、又は、無線方式を問わず、さらに、信号の種類は、アナログ信号、又は、デジタル信号を問わない。
特に、図9ないし図10に示す第1ないし第4信号では、例えば、第1(ON)信号、第1(OFF)信号、というように、通電を指示する信号と、停止を指示する信号に区分される。
例えば、電池パック100、コードレス電動工具200、及び、充電器300で構成されるコードレス電動工具システムにおいて、前記通電を指示する信号の電圧波形を、特定の周波数と電圧を有するパルス電圧として、一方、前記停止を指示する信号の電圧は0Vとすると好適である。
これにより、電池パック100は、コードレス電動工具200の使用中に電池パック100を前記コードレス電動工具200から外した場合、又は、充電器300によって電池パック100を充電中に前記電池パック100を前記充電器から外した場合に、前述の端子カバースイッチ116のオフ状態を検知し、負荷制御部201、又は、充電制御部303の代わりに第1信号、又は、第3信号を電池モジュールに送信する手段を用いることなく、電池モジュールの停止処理を行うことができる。
また、コードレス電動工具200、又は、充電器300の中のいずれか1つの回路が故障した場合においても、前記故障に伴う信号波形が、正規のパルス信号と異なることを、電池パック100の各電池モジュール112が検知し、前記電池モジュールの停止処理を行うことができる。
また、第2信号及び第4信号については、前記第2信号及び第4信号を送信するための専用端子を設けず、コードレス電動工具200の負荷制御部201、及び、充電器300の充電制御部303が電池パック100の電池モジュール112群の電池モジュール群電圧を測定し、前記電池モジュール112群の中の少なくとも1個の電池モジュール112が入出力を停止した際に発生する電池モジュール電圧の変化、例えば、電池モジュール群電圧がゼロとなった状態、又は、前記少なくとも1個の電池モジュール112の入出力停止に伴い電池モジュール群電圧が所定時間内に所定値以上の変化をなした状態を検知し、第2信号及び第4信号を受信した状態と同等であるとして、前記第2信号及び第4信号の受信後の動作処理に移行する方式を用いても良い。
さらには、前記第2信号及び第4信号を電池パック外へ伝達するための専用端子を電池モジュールに設けず、新規端子を電池パック、及び、電池モジュールに設け、前記新規端子は、電池モジュールの入出力停止を示す以外を主目的とする情報、例えば、電池モジュール内の各部の電圧、電流、温度、モジュール個別IDナンバー等を伝達するために用いて、前記電池モジュールが入出力停止した際に、前記情報に特定の変化を加える方式も広く包含される。
電池パック100が有する電池モジュール112は、モジュール充電用FET129、及び、モジュール放電用FET130が収容される。一方、前述のモジュールコントローラ122の機能を維持したまま、前記モジュール充電用FET129、及び、前記モジュール放電用FET130を電池モジュール112に収容せず、電池モジュール112の外部に配置する別の態様もある。
この態様においては、モジュール充電用FET及びモジュール放電用FETを収容しないように構成された電池モジュールの外部に配置されたモジュール充電用FET、及び、モジュール放電用FETは、前記電池モジュールのモジュールコントローラから指示信号を受信する手段を介して、通電、及び、遮断を実行することで、図7、及び、図8に示した実施形態と同等の絶縁信頼性を得ることができる。
前述の実施形態において、前記モジュール充電用FET及びモジュール放電用FETのそれぞれの個数を前記電池モジュールと同じ個数とせず、前記複数の電池モジュールは、隣接する前記電池モジュール間に、モジュール充電用FET、及び、モジュール放電用FETを介して、直列接続して電池セル群を成すこともできる。すなわち、図7、及び、図8に示した実施形態における絶縁信頼性を同等に確保しながら、部品点数を減らしコストダウンすることが可能となる。
したがって、絶縁信頼性の向上を目的とした本発明の電池パックにおいて、電池モジュールが収容する電池セル群の通電及び遮断を選択的に行う通電遮断素子を設ける位置は、電池モジュールの内外を問わず、また、電池パックに収容される前記通電遮断素子の個数は、電池モジュールの個数と同等であることを問わない。さらに、前記通電遮断素子は、例えば、リレーのような有接点素子、FETのような非接点半導体素子など、その種類は問わない。
以下に、本発明の一実施形態に従うコードレス電動工具システムで用いる電池パック100の電気的な制御に関する実施の形態をフローチャートに基づいて説明する。
なお、図9では、コードレス電動工具200に相当する機能物を電気機器と広義で示しており、その電気機器とは、コードレス電動工具200のように負荷駆動のオンオフを繰り返す電動掃除機、電動スクーター、電動エアコンプレッサなど広く包含する。以下のフローチャートの説明に関しては、図1ないし図8と関連付けて説明するため、“電気機器”を“コードレス電動工具200”として説明する。
図9に、電池パック100とコードレス電動工具200との放電制御に関するフローチャートを示す。
ステップS101では、電池パック100がコードレス電動工具200に差し込まれた場合は、ステップS102へ進み、そうでない場合は待機する。前記差込状態の検知方法は、本発明の一実施形態においては、電池パック100に設けられた接続検知部136が端子カバースイッチ116の機械的な開閉を電気信号に変換することによって行われるが、コードレス電動工具200に抵抗素子、及び、前記抵抗素子に接続された端子を設け、また、電池パック100に前記抵抗素子を検知するための端子を設け、前記抵抗素子が接続された状態を直接電気信号として検知する方法などもあり、一つに限らない。
ステップS102では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112が収容する電池セル120群の少なくとも1セルの電池セル120の電圧、温度、及び、電流を検知する。ステップS103では、モジュールコントローラ122は、電池セル120の少なくとも1セルが過放電を示す所定値以下の電圧である状態、電池セル温度が、電池セル120の寿命に影響する低温、又は、高温のように、放電を許可できる温度範囲を超える状態、又は、電池セル120の故障等により電池セル間の電圧ばらつきが所定値以上となる状態の少なくとも1つを検知した場合に、放電可能な状態ではないと判断し、ステップS119へ進み、そうでない場合には、放電可能な状態であると判断し、ステップS104へ進む。
ステップS104では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、モジュール放電用FET130をオンする。ステップS105では、モジュールコントローラ122は、前記モジュール放電用FET130がオン状態であることを示す第2(ON)信号を、コードレス電動工具200の負荷制御部201へ送信し、ステップS113へ進む。
ステップS113では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112が収容する電池セル120群の少なくとも1セルの電池セル120の電圧、温度、及び、電流を検知する。ステップS114では、モジュールコントローラ122は、電池セル120の少なくとも1セルが過放電を示す所定値以下の電圧であることを検知した場合、過放電による電池セルの極板劣化等を防ぐ目的で、ステップS117へ進み、そうでない場合は、ステップS115へ進む。
ステップS115では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、電池セル温度が、電池セル120の寿命に影響する低温、又は、高温のように、放電を許可できる温度範囲を超える状態、電池セル120の単位時間当たりの温度上昇が所定値以上の状態、電池セル120の故障等により電池セル間の電圧ばらつきが所定値以上となる状態、又は、負荷電流の大きさが電池セル120の通電許容範囲を超えた過負荷状態の少なくとも1つを検知した場合に、電池セル120が異常であると判断してステップS117へ進み、そうでない場合は、ステップS116へ進む。なお、前述の電圧ばらつきの検知により、電圧モニタ線123が断線した状態を検知することもできる。
ステップS116では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、コードレス電動工具200の負荷制御部201から、前記負荷制御部201が負荷部202の駆動を停止したことを示す第1(OFF)信号を受信する。前記第1(OFF)信号を受信した場合は、ステップS117へ、そうでない場合は、ステップS108へ進み、モジュール放電用FET130のオン状態を保持する。
なお、前記第1(OFF)信号は、図7に示すように、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュール用第1・3信号入力端子146が並列接続されているため、前記負荷制御部201が第1(OFF)信号を送信した際、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュールコントローラ122は、前記第1(OFF)信号を並列に受信、すなわち、隣接する他方の電池モジュール112の状態に関わらず、全てのモジュールコントローラ122が同じ第1(OFF)信号を同時に受信して、それぞれステップS116の実行処理を行う。
ステップS117では、電池モジュール112群の中の少なくとも一つの電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、その少なくとも一つの電池モジュール112に対応するモジュール放電用FET130をオフする。
電池モジュール112群は、複数の電池モジュール112が互いに直列に接続されて構成されているが、ステップS117の実行により、それら電池モジュール112は、電池パック100に収容される電池セル120の総数より少ない個数の電池セル120が、直列に接続されて成る複数の電池セル群となるように、電気的に遮断される。その結果、互いに常時導通状態にある複数の電池セル120の直列接続の全電圧が、電池パック100に収容されるすべての電池セル120の直列接続の全電圧より低下し、それにより、絶縁信頼性(例えば、電池パック100に雨水が浸入しても、ユーザーが感電せずに済む性質の強さ)が向上する。
ステップS118では、前記モジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112のモジュール入出力端子131から、電池モジュール112の電池セル120群の直流電圧の出力を停止したことを示す第2(OFF)信号を、コードレス電動工具200の負荷制御部201へ送信し、ステップS112へ進む。
ステップS106では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、ステップS105において電池モジュール112のモジュールコントローラ122から送信された第2(ON)信号を受信し、ステップS107へ進む。ステップS107では、前記負荷制御部201は、電池パック100の電池モジュール120群から電力受給が可能であると判断し、負荷部202の駆動を開始する。
なお、第2(ON)信号は、図7に示すように、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147が直列接続されているため、電池パック100に収容される電池モジュール112群の全ての電池モジュール112が前記第2(ON)信号を送信しないと、前記負荷制御部201は、第2(ON)信号を認識しない。
すなわち、第2(ON)信号を送信した電池モジュール112に隣接する他方の電池モジュール112が、故障等により、第2(ON)信号を送信できない場合には、負荷制御部201は、第2(ON)信号を受信できず、ステップS106以降のシーケンスを実行せず、コードレス電動工具200の駆動を開始しない。
ステップS108では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、電池パック電圧、すなわち、電池パック100の電池パック入出力端子110の電圧、及び、電流を検知する。ステップS109では、前記負荷制御部201が、前記電池パック電圧が所定値を下回り過放電状態であることを検知した場合は、ステップS119へ進み、そうでない場合は、ステップS110へ進む。
なお、ステップS117において電池モジュール112のモジュールコントローラ122が、前記電池モジュール112が収容する電池セル120群の直流電圧の出力を停止すると、電池モジュール群の直列電圧で構成される電池パック電圧が低下するため、ステップS109で重ねて判断することができる。
ステップS110では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、負荷電流の大きさが負荷部202の通電許容範囲を超えた過負荷状態を検知した場合、又は、負荷部202の駆動中に、負荷制御部201が制御目標値とする電圧、又は、電流を維持できず、負荷部202が異常状態であると検知した場合、のいずれかにおいて、ステップS119へ進み、そうでない場合は、ステップS111へ進む。
ステップS111では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、前記負荷制御部201による制御状態に関わらず、スイッチ204が作業者によって強制的にオフされたことをスイッチ検知部205が検知してから所定時間が経過すると、ステップS120へ進み、そうでない場合は、ステップS112へ進む。
なお、前記所定時間は、例えば、短ければ0.1秒、長ければ1日というように、電気機器の用途に合わせて適宜設定すると良い。特に、コードレス電動工具200の場合、前記所定時間の設定を短くするほど、ステップS121ないしS123からステップS102へ帰還する制御処理に従いスイッチ204のオン操作に伴う電池モジュール112の出力再開が行われ、作業者が任意でスイッチ204を開閉操作する状態に対し、電池パック100に収容する電池セル120群の直列電圧を電池モジュール112の構成毎に遮断、及び、通電する状態が、実質的に連動し、電池パック内に高電圧が印加される時間を最大限抑制し、絶縁信頼性を向上できる。
ステップS112では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、ステップS118において電池モジュール112群の中の少なくとも一つの電池モジュール112のモジュールコントローラ122から送信された第2(OFF)信号を受信した場合は、ステップS119へ進み、そうでない場合は、ステップS108へ帰還し、負荷部202の駆動を継続する。
ステップS119では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、負荷部202の駆動を停止し、ステップS120では、前記負荷制御部201は、電池パック100の各電池モジュール112が有する各モジュールコントローラ122へ、前記負荷部202の駆動停止を示す第1(OFF)信号を送信する。前記第1(OFF)信号は、ステップS116にて制御処理される。
ステップS121では、コードレス電動工具200の負荷制御部201は、スイッチ204が作業者によってオンされる状態をスイッチ検知部205が検知するまで待機する。前記スイッチ204がオン状態となることを検知すると、ステップS122へ進む。
ステップS122では、前記負荷制御部201は、電池パック100の各電池モジュール112が有する各モジュールコントローラ122へ、前記スイッチ204がオン状態となったことを示す第1(ON)信号を送信する。
ステップS123において、前記各モジュールコントローラ122が、前記第1(ON)信号を受信し、ステップS102へ帰還し、ステップS102以降において、前記各電池モジュール112を出力状態とし、コードレス電動工具200の負荷部202の駆動を再開する。
図10に、電池パック100と充電器300との充電制御に関するフローチャートを示す。
ステップS201では、電池パック100が充電器300に差し込まれた場合は、ステップS202へ進み、そうでない場合は待機する。前記差込状態の検知方法は、本発明の一実施形態においては、電池パック100に設けられた接続検知部136が端子カバースイッチ116の機械的な開閉を電気信号に変換することによって行われるが、充電器300に抵抗素子、及び、前記抵抗素子に接続された端子を設け、また、電池パック100に前記抵抗素子を検知するための端子を設け、前記抵抗素子が接続された状態を直接電気信号として検知する方法などもあり、一つに限らない。
ステップS202では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112が収容する電池セル120群の少なくとも1セルの電池セル120の電圧、温度、及び、電流を検知する。ステップS203では、モジュールコントローラ122は、電池セル120の少なくとも1セルが満充電により所定値以上の電圧である状態、電池セル温度が、電池セル120の寿命に影響する低温、又は、高温のように、充電を許可できる温度範囲を超える状態、又は、電池セル120の故障等により電池セル間の電圧ばらつきが所定値以上となる状態の少なくとも1つを検知した場合に、充電可能な状態ではないと判断し、ステップS218へ進み、そうでない場合には、充電可能な状態であると判断し、ステップS204へ進む。
ステップS204では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、モジュール充電用FET129をオンする。ステップS205では、モジュールコントローラ122は、前記モジュール充電用FET129がオン状態であることを示す第4(ON)信号を、充電器300の充電制御部303へ送信し、ステップS212へ進む。
ステップS212では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112が収容する電池セル120群の少なくとも1セルの電池セル120の電圧、温度、及び、電流を検知する。ステップS213では、モジュールコントローラ122は、電池セル120の少なくとも1セルが過充電を示す所定値以上の電圧であることを検知した場合、過充電による電池セルの極板劣化等を防ぐ目的で、ステップS216へ進み、そうでない場合は、ステップS214へ進む。
ステップS214では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、電池セル温度が、電池セル120の寿命に影響する低温、又は、高温のように、充電を許可できる温度範囲を超える状態、電池セル120の単位時間当たりの温度上昇が所定値以上の状態、電池セル120の故障等により電池セル間の電圧ばらつきが所定値以上となる状態、又は、充電電流の大きさが電池セル120の通電許容範囲を超えた過電流充電状態の少なくとも1つを検知した場合に、電池セル120が異常であると判断してステップS216へ進み、そうでない場合は、ステップS215へ進む。なお、前述の電圧ばらつきの検知により、電圧モニタ線123が断線した状態を検知することもできる。
ステップS215では、電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、充電器300の充電制御部303から、前記充電制御部303が電池パック100の充電を停止したことを示す第3(OFF)信号を受信する。前記第3(OFF)信号を受信した場合は、ステップS216へ、そうでない場合は、ステップS208へ進み、モジュール充電用FET129のオン状態を保持する。
なお、前記第3(OFF)信号は、図8に示すように、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュール用第1・3信号入力端子146が並列接続されているため、前記充電制御部303が第3(OFF)信号を送信した際、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュールコントローラ122は、前記第3(OFF)信号を並列に受信、すなわち、隣接する他方の電池モジュール112の状態に関わらず、全てのモジュールコントローラ122が同じ第3(OFF)信号を同時に受信して、それぞれステップS215の実行処理を行う。
ステップS216では、電池モジュール112群の中の少なくとも一つの電池モジュール112のモジュールコントローラ122は、モジュール充電用FET129をオフする。
電池モジュール112群は、複数の電池モジュール112が互いに直列に接続されて構成されているが、ステップS216の実行により、それら電池モジュール112は、電池パック100に収容される電池セル120の総数より少ない個数の電池セル120が、直列に接続されて成る複数の電池セル群となるように、電気的に遮断される。その結果、互いに常時導通状態にある複数の電池セル120の直列接続の全電圧が、電池パック100に収容されるすべての電池セル120の直列接続の全電圧より低下し、それにより、絶縁信頼性(例えば、電池パック100に雨水が浸入しても、ユーザーが感電せずに済む性質の強さ)が向上する。
ステップS217では、前記モジュールコントローラ122は、前記電池モジュール112のモジュール入出力端子131から、電池モジュール112の電池セル120群への直流電圧の入力を停止したことを示す第4(OFF)信号を、充電器300の充電制御部303へ送信し、ステップS211へ進む。
ステップS206では、充電器300の充電制御部303は、ステップS205において電池モジュール112のモジュールコントローラ122から送信された第4(ON)信号を受信し、ステップS207へ進む。ステップS207では、前記充電制御部303は、電池パック100の電池モジュール120群への電力供給が可能であると判断し、前記電池パック100の充電を開始する。
なお、第4(ON)信号は、図8に示すように、電池パック100に収容される各電池モジュール112の各モジュール用第2・4信号出力端子147が直列接続されているため、電池パック100に収容される電池モジュール112群の全ての電池モジュール112が前記第4(ON)信号を送信しないと、前記充電制御部303は、第4(ON)信号を認識しない。
すなわち、第4(ON)信号を送信した電池モジュール112に隣接する他方の電池モジュール112が、故障等により、第4(ON)信号を送信できない場合には、充電制御部303は、第4(ON)信号を受信できず、ステップS206以降のシーケンスを実行せず、電池パック100の充電を開始しない。
ステップS208では、充電器300の充電制御部303は、電池パック電圧、すなわち、電池パック100の電池パック入出力端子110の電圧、及び、電流を検知する。ステップS209では、前記充電制御部303が、前記電池パック電圧が所定値を上回るか、又は、前記電池パック電圧を所定の電圧に維持する定電圧充電制御において充電電流が所定値を下回るか、のいずれかにより満充電状態であることを検知した場合は、ステップS218へ進み、そうでない場合は、ステップS210へ進む。
ステップS210では、充電器300の充電制御部303は、充電電流の大きさが、充電制御部303、直流変換部302、又は、電池モジュール112群の少なくともいずれか1つの通電許容範囲を超えた過電流充電状態を検知した場合、又は、電池パック100の充電中に、充電制御部303が制御目標値とする電圧、又は、電流を維持できず、充電制御部303が異常状態であると検知した場合、のいずれかにおいて、ステップS218へ進み、そうでない場合は、ステップS211へ進む。
なお、充電制御部303が異常状態であることを検知する方法として、前述の電池パック100の充電電圧、又は、充電電流を検知する方法に、直流変換部302に入力される商用電源電圧を直接測定して、前記商用電源電圧が正しく入力されているかを判断する方法を加えても良い。
ステップS211では、充電器300の充電制御部303は、ステップS217において電池モジュール112群の中の少なくとも一つの電池モジュール112のモジュールコントローラ122から送信された第4(OFF)信号を受信した場合は、ステップS218へ進み、そうでない場合は、ステップS208へ帰還し、電池パック100の充電を継続する。
ステップS218では、充電器300の充電制御部303は、電池パック100の充電を停止し、ステップS219では、前記充電制御部303は、電池パック100の各電池モジュール112が有する各モジュールコントローラ122へ、前記電池パック100の充電停止を示す第3(OFF)信号を送信する。前記第3(OFF)信号は、ステップS215にて制御処理され、ステップS216へ移行する。
以上、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。