JP4481743B2 - 転移バイアス計測方法、転移バイアス計測装置、転移バイアス評価方法、転移バイアス設定方法、画像形成装置 - Google Patents
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Description
特許文献1(特開平11−305559号公報)には、除電用の高電圧電源を必要とする除電器を使用せずに、中間転写体からの記録シートの剥離を安定して行えるようにすることを課題として、「内側転写ロールおよび外側転写部材を有するとともに、前記内側転写ロールおよび外側転写部材間に転写電圧が印加されたときに転写領域を通過する記録シート上に前記トナー像担持ベルト上のトナー像を転写する転写器と、前記転写領域通過後のトナー像担持ベルト内側に前記トナー像担持ベルトと非接触状態で前記トナー像担持ベルトに沿って配置された転写領域下流側の電界を調節する電界調節用導電性部材と、転写領域下流側において前記外側転写部材および内側転写ロール間に形成される電界を弱める電位を前記電界調節用導電性部材に付与する電界調節電位付与手段とを備えた画像形成装置」が記載されている。
当然だがトナーの転移力は転写電界により与えられるので、転写電界は転写性の特性因子である。この転写電界を規格化できれば、多くの機種を跨いだ汎用規格値として非常に有益なものとなり、上記に上げた色々な不具合を解消できることになる。
同方法では転写ニップ通過前または通過後の結果としての電荷の変動は測定できる。しかし、画像上の不良がよく発生する分離条件などでは、リアルタイムな変動形態自体が重要である。この点、転写の前後では、肝心な部分は除いた計測となってしまう。
また、高抵抗紙における転写チリは、出口から出た後の転写電界の付与の仕方が関係する。対策技術の汎用化のためには、転写電界という基本特性因子なら技術共有化も容易である。同様に、除電器の設置でも紙電位特性を元に対策を行なえば、機種展開が可能となり有益である。
本発明の第1の手段は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する転移バイアス計測方法であって、計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする(請求項1)。
第2の手段は、第1の手段の転移バイアス計測方法において、前記ニップ部は、前記像担持体から前記転写用紙にトナーを転移する一次転写部、あるいは前記中間転写体から前記転写用紙にトナーを転移する二次転写部のうちのいずれかのニップ部であり、該ニップ部内を前記プローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を前記電位測定器を用いて計測することにより、一次転写バイアス、二次転写バイアスのうちのいずれかを計測することを特徴とする(請求項2)。
第4の手段は、第1乃至第3のいずれか一つの手段の転移バイアス計測方法において、前記電位測定器の応答性を制御することを特徴とする(請求項4)。
第6の手段は、第5の手段の転移バイアス計測装置において、前記電位測定器として表面電位計を備え、前記電極を有する観測用シートをニップ部内を通過させ、前記電極の電位を表面電位計で測定することを特徴とする(請求項6)。
第7の手段は、第6の手段の転移バイアス計測装置において、前記電極を観測用シートの2つの面に配置したことを特徴とする(請求項7)。
第8の手段は、第5乃至第7のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記電極を有する観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度としたことを特徴とする(請求項8)。
第9の手段は、第5乃至第8のいずれか一つの手段に記載の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートに設けられる電極は、可撓性の導電性フィルム材からなることを特徴とする(請求項9)。
第11の手段は、第5乃至第10のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートの分離開始時の電位変動分を測定データとして取ることを特徴とする(請求項11)。
第12の手段は、第5乃至第11のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートに設けられる電極は、該観測用シートの基体の搬送方向と直角となるように配置されることを特徴とする(請求項12)。
第14の手段は、第5乃至第13のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートの電極にケーブルを接続し、該ケーブルを、シート搬送方向下流側へ延長することを特徴とする(請求項14)。
第17の手段は、第16の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写部における転写ニップ出口での観測用シートの電位の計測値に基いて、計測電位値のピークを+1kV以上にさせる転写条件を設定することを特徴とする(請求項17)。
第18の手段は、第17の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写ニップ内の画像面側電極の電位測定値を−300〜300Vに設定することを特徴とする(請求項18)。
第19の手段は、第18の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写ニップから出た直後の転写電位の測定自体を応答不能時間とした時間を持たせることを特徴とする(請求項19)。
第20の手段は、第16乃至第19のいずれか一つの手段の転移バイアス設定方法において、電位変化の応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは計測器の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節することを特徴とする(請求項20)。
本発明に係る転移バイアス計測方法は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する方法であって、前記転写部のニップ部内をプローブとなるシート状物体(後述の電極を有する観測用シート)を通過させると共に、該シート状物体の電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする。そして、本発明に係る転移バイアス評価方法では、シート状物体の電位の計測値を元にバイアス条件を定めることを特徴とする。そして、このような計測方法及び評価方法を用いることにより、画像形成装置の設計時に、前記計測方法によりニップ内電界をリアルタイムに測定し、バイアス条件を効率的に設定することができる。
これにより、転写条件(他除電などの条件)を効率よく設定が行なえ、さらにその設定値で長期間の画像品質などを保証でき、無駄な試験・実験を減らして廃トナー低減などの環境対応もできる。
(1)サービス保守メンテナンス作業者の作業性アップ
サービス保守メンテナンス作業者は多種の機械を取り扱う必要があるが、このような計測方法(装置)を用いれば各機固有な条件設定ではなく、汎用化されているため対応が容易となり、作業効率を改善することができる。
(2)高信頼機の場合
高信頼性機では、本発明における計測方法を自動化した設備を内蔵することにより、定期的に作動せしめるようにすれば、長期の品質問題のうち、バイアスなどの設定不良などによる部分を解決できる。
(3)エンドユーザの場合
本発明の計測方法(装置)を内蔵しエンドユーザが確認するようにすれば、サービス性も向上する。また、(2)と同様の効果を得ることができる。
例えば、一次転写部位において、一次転写ニップ部をシート状電位観測体が通過するようにしておき、通過中の該シートの電位を測定することで転移電界(転移バイアス)を計測、評価し、最適バイアス条件などを設定することができる。
また、現像部位において、現像ニップ部にシート状電位観測体が通過するようにしておき、通過中の該シートの電位を測定することにより、現像電界(現像バイアス)を計測、評価し、この結果に基づいて最適バイアス条件を設定することができる。トナーは本来帯電微紛体だが、ここでは誘電体の薄厚シートとして取り扱われて、仮想的なシート体としてみなすこともできる。
転移バイアス計測装置の構成は簡素なほど、計測は容易である。ここでは、プローブとして露出電極を持つシート状電位観測体(観測用シート→プローブシート)を、当該ニップに通常の速度で通過させ、その時の電界変動の情報を電位状態などで計測する(なお、電流を読み取っても良いが、この場合、転移システム自体の出力インピーダンスが低くなくてはならず、現実的ではない)。
観測用シートの電極はT字状またはΓ字状などの形状で設けられ、シート搬送方向に直角な所に幅のある電極を持ち、それを搬送方向下流側にケーブルの代用として延長する。このような電極を有する観測用シートは簡単に精度よく作ることができ、量産もしやすい。
そこで本発明では、観測用シートの電位を表面電位計で非接触で計測することを特徴とする。
例えば観測用シートの電位を導電体を利用して転写ニップ内より引き出して別電極に接続して同電位とし、この状態を表面電位計で非接触に計測する。これにより高入力抵抗・高耐圧・高速性も得られ、かつ転写環境に影響を与えにくく実際に画像出力などを行いながらの電界確認が可能となる。
そこで本発明では、計測した電位の時間変動を記録し、同記録値を元にバイアスを決定する。
例えば二次転写ニップ部内では電位状態は容易に計測できるが、分離時には大きく暴れる。このデータを統計的に処理をすることで、データからニップ内の電位状態や分離時の放電などの状態データを得ることができる。
二次転写部位において、紙の分離時電位を測定すると、ニップ内と比べて大きい変動電位が発生する。同変動は計測器入力段に対して大きな負荷になり、時には故障を招く。
本発明の計測システムでは、測定対象となるシート上電位を導電体により別に引き出し、これと表面電位計のプローブとを対向させる。ここで、この対向面積や対向距離を適当に定めると、計測系としての感度・応答性が下がるので、これを利用する。具体的には対向面面積を少なく、かつギャップを広く取ることで、見かけ上の面積を小さくすれば良い。
そこで本発明では、電極を表面に形成したシート状物体(観測用シート)を用いてニップ内を通過させ、該電極の電位を非接触電位計で測定する。
例えば本発明では、シート状物体(観測用シート)に電極を貼り付け、そこからケーブル(後述)で電位を引き出す形を選択したが、これが最も良く、測定部位への影響を最小限にすることができる。
そこで本発明では、電極をシート状物体のオモテ面とウラ面の2つの面に配置したことを特徴とする。これにより、オモテ面・ウラ面の2箇所を同時に測定することができ、転写ニップ内でのシートのオモテ面・ウラ面間の電位差を測定することにより、ニップ内電界を測定することができる。
また、転写ニップ排出後の分離時のシートの帯電状態を把握することができる。すなわち、ニップ排出と安定化後に、シートのオモテ面とウラ面間の電位差を測定することで、シートの残留電位を把握することができる。
なお、観測用シートにT字状電極を用いる場合は、互いに表裏をなすように貼り付けられる。また、電極としては、搬送方向に直角の方向に剥き出し部を設け、搬送方向と同じ方向の電極部は絶縁テープで保護される。
より具体的は、電極を設置される観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度とすることが望ましい。
これは画像形成装置の機内の軟性部品の保護以外に、硬い基体では分離のタイミングが早くなることがあり、また柔らかい場合は分離不良になる危険性があるためである。また、現像部位に使う場合は、トナー同様に薄い方が望ましく、数十μmとしたいが、薄くしすぎると取り扱いが難しくなる。従って、上記の厚みが手ごろとなる。
そこで本発明では、観測用シートの電極を、可撓性の導電性フィルム材で構成する。
すなわち、観測用シートの基体上の電極は、柔らかくて薄い必要があるため、ここでは、導電性布テープや導電性フィルム材を使用するが、これにより長期の信頼性を得ることができる。しかし、導電性布テープは長期間使うとほぐれが発生するという心配があるので、導電性フィルムの方が好ましく、導電性フィルムでは十分な性能を長時間保持することができた。
そこで本発明では、観測用シートがニップ内を通過し終わるまではサンプリング周波数を下げ、通過直後ではサンプリング周波数を上げるようにする。
ニップ内に電極がある場合、これは電気的には2つの抵抗体・または誘電体に収まっている状態であり、シートはその抵抗か容量により、安定した電位が計測できる(オモテ面とウラ面には電位差がある)。よって、ニップから出る直前までの間は、高速サンプリングは不要とする。
しかし、ニップから分離以降は、電位の変動が大きくなる。立ち上がりも早く、高速な計測が必要である。今回は2段階のサンプリングを行なうことにより、長時間・高速にデータを残すことができる。
この電位変動は、
1.所持電荷と周囲への被転写体の保持電荷が剥離時に静電容量の急激な減少に応じて、電位が上がる(主現象)、
2.ギャップを持つ2物体間の電位が放電開始電圧より高くなると、放電が発生して、電荷が移動する(パッシェン法則)、
の理由から生じる。分離時の僅かなタイミングの差も大きく及ぼすため、このままデータとして使用するのは困難である。よって、ここでは分離開始時のみに限った電位上昇値のみ取り上げる。これにより転写・除電条件の最適化を行なうことができる。
そこで本発明では、観測用シートの電極は基体の搬送方向と直角となるように構成する。例えば、観測用シートの電極は、T字型電極やΓ(ガンマ)字型電極とするのが良い。このような形状とすることにより、ニップに入るタイミングもつかみやすいし、同じタイミングで横面全面での影響を平均化するため有効である。
そこで本発明では、観測用シートの基体の表面抵抗が107〜1015Ω/□となるようにしている。
上記より、高抵抗側のシートが必要となる(低抵抗側では電位は0となる)。なお、現像部位などについては、トナーが相手に入る所であり、シート材の抵抗だけでなく、誘電率も確認する必要がある。これらは、材質を選ぶことにより達成することができる。
電極はT字型あるいはΓ(ガンマ)字型とし、同電極付きシートは上下に搬送されると仮定する。ここで、上下の方向の長い線は本来絶縁されなくてはならない。この縦線部はフッ素樹脂などの高絶縁材での被覆を要する。さらに、同線にはテフロン(登録商標)などの高絶縁材の静電容量を介して電荷が混入することがある。
以上、測定の信頼性を上げるために、SN比(信号・ノイズ比)を上げるために、本来の計測電極は十分に大きくし、これに対して上下縦線に当たるケーブル部は細くして使えば、ノイズ分を減らすことができる。
例えば、観測用シートの電極の数が1表面につき複数となった場合には、各電極のレイアウトを静電容量が最大限になるようにする。
高抵抗紙を二次転写させる場合、分離時にある種の紙では転写チリが発生し、ある紙では発生しないなどということがよく見られた。従来の対策は除電条件の見直しが主であるが、他要因が複雑に絡むためトライ&エラーが必要となり、例えば10℃、15%RHの低温・低湿環境などで除電器の設置レイアウトを紙毎に確認するのが常であった。このように、分離時の電位測定結果から、除電関連の諸因子の最適化が可能になる。
そこで本発明では、観測用シートの転写ニップ出口での電位の計測値において、ピークを+1kV以上にさせる最適な転写条件を設定する。
このように、本発明の計測方法や評価方法を用いることにより、全く開発期間を短縮化できる。これは開発エネルギーの削減であり、特に環境室などという数kWの特殊設備を使う必要が無くなるからである。また、紙種も多く評価する必要もなくなるため、紙製造に対する環境性も改善される。
なお、ここで、引力型転写装置とは、(−)トナーを転移させる際、転移先に(+)電荷源をおいて、トナーを引っ張る、通常の転写方法である。一方、斥力型転写装置とは、転移先に(−)電荷源をおいて、トナーに斥力を与える転写方法であって、最近の色々な装置に使われるようになった。
分離動作が除電ACなどの元で行なわれる場合、電位を計測するとAC電圧により大きく変動する。同電位変動の原因は、(1)転写紙の分離、(2)除電によるAC放電、(3)電位計の自らのその誘導電位となる。ここでは(3)の誘導電位の落ち着くまでの期間を不応答期間とする。これは電位計の変動→安定までの期間であり、各計測器メーカ・型番により変わるものである。なお、除電がDCバイアスのみで駆動される低コスト機では、この不応答期間は少なくて済む。
このように応答時間を調節して、計測系自体の過渡応答を抑えることにより、より安定した測定を行なうことができる。
また、前記計測方法または計測装置は、複数の像担持体と中間転写体を備えたタンデム型の画像形成装置に好適に利用でき、特に二次転写部での電位計測に最適である。さらにこの場合には、計測の自動化も可能である。
今日、電子写真方式の画像形成装置では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきている。
カラー画像形成装置には、1つの像担持体(例えば感光体)のまわりに複数色の現像装置を備え、それらの現像装置でトナーを付着して感光体上に合成トナー画像を形成し、そのトナー画像を転写してシートにカラー画像を記録する、いわゆるリボルバ型のものと、並べて備える複数の感光体にそれぞれ個別に現像装置を備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写してシートに合成カラー画像を記録する、いわゆるタンデム型のものとがある。
しかし、最近は、フルカラーもモノクロ並みのスピードが望まれることから、タンデム型の方が注目されてきている。
そして、この種のカラー画像形成装置では、1次転写後に感光体上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置で除去して感光体表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置で除去して中間転写体表面をクリーニングし、再度の画像転写に備えていた。
図1は本発明の一実施形態を示すものであり、タンデム型で間接転写方式のカラー複写機の概略構成図である。
図中符号100は複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
そして、図1に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14,15,16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのうち第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
また、3つのうちの第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する(なお、各符号に付けたY,M,C,Bは上記の色に対応することを表している)。
そのタンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設ける。
また、2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
紙裏面側は+200V程度の電圧が印加されているが、特に裏面の紙粉転写を考慮する必要が少ない場合にはアースになっていても良い。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これはDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。
AC重畳DCバイアスの方が紙表面を均一に帯電することができる。レジストローラ49を通過した後の紙表面は若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写体10からシートへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わる場合があるので注意が必要である。
図示省略するが、少なくとも感光体40を設け、画像形成手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に付着する攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体40に転移する現像部67とで構成し、その現像部67より攪拌部66を低い位置とする。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設ける。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切る(図4参照)。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。
そして、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持し、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りする。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
除電装置64は、例えばランプであり、光を照射して感光体40の表面電位を初期化する。
その後、現像装置61によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置62で中間転写体10上に転写する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
なお、図1〜3では図示を省略するが、各1次転写装置62間において、中間転写体10のベース層側に接触して導電性ローラを設けてもよい。この導電性ローラは、転写時に各1次転写装置62により印加するバイアスが、中抵抗のベース層を介して隣りの各画像形成手段18に流れ込むことを阻止するものである。
そして、外部から駆動力を伝達して回収スクリュ79を回転するとともに、回収トナー搬送部材83を回転搬送し、感光体クリーニング装置63で回収したトナーを搬送路ケース88内を通して現像装置61へと搬送し、スクリュ68の回転で現像装置61内に入れる。その後、上述したとおり、2本のスクリュ68ですでに現像装置61内にある現像剤とともに攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給してドクタブレード73により穂切りして後、感光体40に転移してその感光体40上の潜像を現像する。
トナーは、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。ここまでの説明で、トナーは、粉砕法で作成されたものであるが、重合法等で作成したものも使用可能である。一般に重合法、加熱法等で作成されたトナーは、形状係数を90%以上に形成することが可能で、さらに形状による添加剤の被覆率も極めて高くなる。
また、そのようなファーブラシには、それぞれ金属ローラを接触して順方向に回転するように設ける。そして、この例では、中間転写体10の回転方向上流側の金属ローラに不図示の電源から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラに不図示の電源から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラには、それぞれブレードの先端を押し当てる。
電子写真方式の画像形成装置では、現像、転写などのトナー転移部分で多くの画像品質不良が発生することがある。例えば現像不良、転写不良、異常画像などである。これらを改善するためには、転移状況を実際に確認する必要がある。
これらのニップ部では、例えば近傍のローラ部材に転移バイアスを与えており、同バイアスはトナー転移電界のエネルギー源となる。従来はこのエネルギー量を設定することが多かった。本発明では転移電界(転移バイアス)に焦点をあて、同電界を測定したいと考えた。新規な点としては、実際にニップ内に計測用プローブとなるシート状部材(観測用シート)101を直接挿入することで転移電界(転移バイアス)に関係するデータをリアルタイムに取得する点である。
ここでは、2次転写ローラ22Aにプラス(+)の転写バイアスが印加され、対向ローラ16が接地されているので、転移電界Eがシート101の背面(ウラ面)側から画像面を通して発生している。この電位はVa1とVb1の差分として発生する。シート101が高抵抗であるため、画像面と背面にVa1、Vb1の電位が生じ、その電位差Dは、
D=(Va1−Vb1)/t
である。ここでtはシート101の厚みであり、空間電界EはE=D/εとなる。
この空間電界Eはトナーを転移させる電界である(リークが無い場合)。ここでは電位差を確認することで、転移電界を予測できる。
最後にシート全体に残る残留電位などの影響は、シートのオモテ−ウラ面間の電位差としてVa4、Vb4の位置の電位計測により採取できる。
また、ニップ通過前と通過後に紙の上のトナーの帯電量の差を測定することで、やはり転写を最適化する試みもあるが、これは大変に手間がかかる上に、分離とか除電の影響を区別できない。
・入力抵抗
紙の抵抗は低湿度(15%RH位)でも放置すると、容易に1014Ω/□を超えるため、代用品であるプローブシートも予め高抵抗にしておいてある。従って計測器の入力抵抗が低いと、転写ニップ内でバイアスがリークして転写作用を邪魔することになり好ましくない。二次転写の電位を正確に読むためには、1015Ω以上の高入力抵抗が必要となる。
・入力帯域
通常の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体や中間転写体の線速は30〜1000mm/sで、ニップ幅は多くても数10mmほどのため、二次転写ニップを通過する時間は0.01〜0.3秒程度になる。分離条件などによっては横縞状の濃度不良も出ることがあり、計測を高速に行なうには数kHz以上が必要となる。
・入力耐圧
転写バイアスを引力転写型とした場合、転写バイアスは+0.8〜4kV程度となる。これはニップ内では数100〜+1000V程度になる。また、その後の分離では+10kVを超える。一方、斥力転写型とした場合、転写バイアスは中間転写体内部にかかるようになる。この場合、符号は(−)となり、−0.8〜−4kV程度になる。この場合も−10kVを超える。従って、入力耐圧は±10kV以上が必要となる。
(1)エレクトロメータ
エレクトロメータは高入力抵抗だが、耐圧上限は1000V程度と低い。また、反応速度が遅い。これはエレクトロメータの用途が静的量のQ・Vなどの測定であるため、入力段は低速・高精度に設計されているためと考えられる。このため本発明の測定方法には使用できない。
(2)高圧プローブ
高圧プローブはオシロスコープなどに接続して用いるものであり、高速な信号を読み取ることは容易だが、入力抵抗は109Ω程度である。これは高速性を狙って、入力容量×入力抵抗(CR:時定数)を下げるように設計されたためと考えられる。なお、低価格のマルチメータにつけるものは、抵抗は同様だが、入力容量がさらに増えるため、時定数は長くなるようになっている。これらは、ある程度出力インピーダンスの低い物体を測定するためのものである。このため本発明の測定方法には使用できない。
一般に表面電位計は非接触で測定を行なうが、電気的には図11のようにプローブと被測定面内を何らかのインピーダンスZを介して接続し、電気的には一般の接触型と同様に測定するものである。すなわち定量的な電位測定には、電位計のグランド(GND)を測定対象物の基準電位(測定対象物が高抵抗の誘電体の場合、背面等に設置される金属)に接続する必要がある(図11のポイントG)。表面電位計には、上記インピーダンスが、
1.容量性:振動容量型、セクター型
2.抵抗性:集電型
と大きく分けて2種類がある。
この振動容量型表面電位計では、プローブ内にセンサ電極Seがあり、これを被測定面に接近させるとセンサ電極Seと被測定面間に静電容量Cが生じる。この静電容量Cはプローブ内の音叉によって変化させられ、これによりセンサ電極Seには表面電位を交流変調した信号が誘起される。この交流信号をプローブ内プリアンプ及び表面電位計ユニット内増幅器にて増幅し、この増幅された信号を同期検波することにより、出力信号を得ることができる。
これに対して図12に示す振動容量型表面電位計は、上記の同期検波出力信号を積分型高圧発生器に入力し高電位を発生させ、プローブにフィードバックする。これによってプローブボディの電位は上昇し、やがて被測定面と同電位になる。プローブボディの電位が被測定面と同電位になると、静電容量Cは打ち消される。従ってこの振動容量型表面電位計では、このときの内部で発生した電圧を分圧し、インピーダンス整合回路で出力インピーダンスを0.01Ω以下として出力するため、プローブ−被測定面間の距離によって測定値に大きな誤差が生じることがない。
以上のように、振動容量型表面電位計を計測器として使用することにより、十分に正確な電位測定が可能になると考えられる。なお、以下に使用する計測装置の仕様の一例を示す。
・表面電位計の方式:振動容量型、プローブへのリファレンス帰還型表面電位計
(例えばTREK社製、高速高圧表面電位計model341)
・測定限界:±20kV
・スルーレート:200μS(1kV時10〜90%)、計算上±10kV、振幅4mS
・プローブ対向距離:通常3mm、φ10以上の円錐部内の電位を判定。
続いてプローブシートとそれを用いた計測システムであるが、ここでは、まず計測システムを図13に提示する。図13はプローブシートを用いた計測システムの概要を示しており、図14はプローブシートの一例を示す拡大図である。図14に示すように、プローブシート101は、シート基材101A、電極102,103、ケーブル106、被覆材104に分けられる。
白色PETシート(厚さt0.1mm)。
このシート基材101AはPET(ポリエチレンテレフタレート)で絶縁材であり、白色となっている。このような素材は市場性があり、画像出力紙としても使用可能である。
なお、特に白色でなくても良く、透明PETを使う場合、ウラからの転移撮影も可能である。
ここで、PETシートの抵抗は重要となる。通常の紙は低湿で表面抵抗が1015Ω/□と高抵抗になる。従って通常の紙と同程度の表面抵抗とする必要がある。
導電性フィルム(日本ジッパーチュービング社製、両面タイプ、DF 707 CFR、厚さ80μm)。
この導電フィルムは、ほぐれやクラックなどが無く、主にEMI関係で使われるものである。銅箔テープやアルミ蒸着テープなどではクラックが発生してしまうことがあるので、これへの対処となる。また、導電性フィルムは柔らかくしなやかであり、ニップ部に通すのに適している。
ポリウレタン高圧ケーブル。
細くしなやかな高圧ケーブルが望まれる。ポリエチレンケーブルなどでは硬いために不向きとなる。耐圧はDC10kV以上が必要である。なお、ここでは、ケーブルの引き回し方向をシートの搬送方向の下流側とした。これは搬送不良などの面倒が少ないためである。
同ケーブルと導電性フィルムの接続については、ハンダは融解時の流動性のよさにより、ケーブル下にもぐりこんでくれるために使いやすい。しかし、導電性フィルムのベース基材は熱に弱く、ハンダ付不可となった。そこで、ここでは導電性液体接着材などや、特別に補助電極(銅箔テープ等)105を置くことで導通させた。
被覆材104には、電極を被覆する絶縁材やフッ素樹脂系のテープなどを用いる。
・電極幅:287×3mm ×1点 ×2面(オモテ面・ウラ面)
・厚み方向抵抗(R):1015MΩ以上/1000V印加(HP超絶縁抵抗計で測定)
・表面抵抗(ρs):1015Ω/□以上/1000V印加
(ダイヤインスツルメント社製ハイレスタUP UR−100プローブで測定)
・C(静電容量):110〜121pF/5V印加(LCRメータ、50〜1kHz)
この対向電極109となる金属板は、表面電位計110のプローブ111と対向して配置される。対向距離や面積は本計測系において、応答性に影響する。ここでは、10mm以上の対向幅とした。また、間隔は3mmとした。
表面電位計からは1/1000の電位出力がモニタ信号として出力されている。それをデータ処理部120のデータレコーダは、転写・除電のタイミング信号を元に、10kHz以上の周波数でサンプリングし記録する。そのサンプリングしたデータはパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)にて統計処理をする。
図15(a)は、シート基体101Aの一面の幅方向全面が電極102というプローブシートを示す。この構成ではニップ内や分離挙動などについては確かめられないため、二次転写では使用できないが、一次転写や現像部の評価の時には有用である。
図15(b),(c)には、抵抗ムラなどの品質バラツキなどをより細かく評価するために、シート基体101Aの長尺方向(幅方向)または搬送方向に3分割してある電極102を示す。これにより、中央・奥側・手前側などの転写の様子を比較できる。例えば、転写ローラの抵抗ムラや搬送路の僅かな曲率なども、電界の差として確認できる。
これらは、前述のようなニップ通過前と通過後にシート上のトナー帯電量差を測定することと異なり、リアルタイムで多くの情報は並列的に計測可能になる。以上の計測装置でリアルタイムに転写ニップ内及びニップ通過後の電位変動を計測した結果を図16に示す。図16(a)は転写ニップ部を通過するシートの経路を示しており、(b)はそのシートの通過領域に対応した電位の計測値を示している。図16に示すようにレイアウト上の領域(ニップ内、ニップ直後、収束後・・)によって異なる電位パターンが計測される。
ここで、ニップ内でのシートのオモテ面電位Va1は以外に低い値であるが、これが本当の意味での転写電界を表している。転写バイアスはこの電位差に相関する。
これらのデータは重要である。転写性・除電性を最適にするために、定量化指標として使える可能性がある。実際に、以下に示すように、同データを記録し、各領域で分別・統計処理を行った結果、転写・除電バイアス調整の指標として使用することができる。また、規格化も可能である可能性が高い。
この状態は対向部材の対向面積の調整や対向距離・角度を正規よりも少し傾けるなどの操作により、追随性をさらに下げることにより振幅を下げて回避可能である。
まず、プローブシート101の電極が非常に重要であるが、再現性などを改良する工夫について提示する。プローブシート101に設ける電極の一例としては、図13、図14に示すように、電極102,103として、厚さが80μmの導電性フィルムを、厚さが100μmの白色PETからなる基材101A上に貼付けて作成した。
両面導通タイプ:
銅ペーストタイプ 20μm、全厚35μm
アクリル系粘着材
表面抵抗 0.09Ω/□以下
上下間抵抗 0.1Ω以下
となる。特に特徴とするのは、導電布テープより発塵・ホツレが無く、銅箔テープよりも柔軟性と耐屈曲性に富みクラックしない点である。
一般に、放電が起きている時は、空気の絶縁破壊により電荷が移動する。この電荷量は微量だが、フロートとなっている電極では容量が非常に少ないため、高い電位変動を生じる。実機でもこれは同じである。今回の測定の結果、特に分離直後に電極自体の剥離が大きいことが判った。これは転写で電界を印加されているためと考えられる。さらに、AC除電装置からの放電を受けた時も電位の変動はより大きい。これらの測定には、高いサンプリング周波数、例えば10kHz以上〜数10MHzの振幅が必要となる。
転写ニップから分離時の電極電位の変動は、以下のようになる。
1.所持電荷と周囲への被転写体の保持電荷が剥離時に静電容量の急激な減少に応じて、電位が上がる(主現象)。
2.ギャップを持つ2物体間の電位が放電開始電圧より高くなると、パッシェン則により気中絶縁破壊が発生して、電荷が移動する。
3.同電荷はさらに保持電荷を変えるため、同電位を変動させる。
すなわち分離時の電位変動は、上記の1〜3などが発生し、電位計の追随性能が限界を超えると発生すると考えられる。この場合、AC除電を加えると、追随遅れだけでなく、帰還位相が逆転して正帰還までかかる状態に陥っていると考えられる。これは発振間近な状態であって、この時の電位値は参考値にせざるを得ない。
・紙の分離時、(+)側電位上昇が少ない方が改善される。
・紙の収束後、(+)側電位が高い方が改善される。
その意味は、
・本イオン付与により、ウラ面(+)電荷状態は一定でも、オモテ面側の(−)電荷の入出があり、分離後の紙電位などで影響が出ている。本来は付与イオン量は少ないが、イオン付与先の系では内部抵抗がどれも高いために、微小イオン流の付与でも大きな電位変化が生じる。
・(−)イオンの付与が多いほどベタチリが良い傾向にある。これはベタチリがベタ周囲の(−)電位が低いために生じていることを示す。従って、周囲に(−)イオンを印加して、ポテンシャル障壁を作る事で、紙上でのベタチリを削減できる。
・ただし、イオン付与が多すぎて、収束後のウラ面電位が(−)側になるほどになると、逆にベタチリは悪化する。よって本来の転写バイアスによる帯電とのバランスが必要となる。
これは、転写電界による残留電荷、AC除電の効き具合、オモテ面への中間転写体の(−)イオンの付与などから規定されると予測することができる。
これらより、ベタチリの改善には、オモテ面側への(−)イオンの適切な付与が対策となりうる。
従って、ベタチリなどの異常画像の改善には、図9に示したように、転写ニップ通過後の転写紙のオモテ面側に(−)電荷を付与する電荷付与手段113を設けるとよい。
同一タイミングでのニップ進入・分離動作が無いと、今回の問題は不良となる。本発明の計測装置においては、プローブシート101の電極は基体の搬送方向と直角となるようにしており、ここではT字型やΓ字型となっている。これは作りやすさの他に、ニップ進入・排出のタイミングの安定化のためである。同タイミングで横面全面が計測できれば最もノイズに対して有益である。これはニップ内・外とで大きな条件変化が有ることを考慮した上で提案したものである。
PETシートによる測定は、高抵抗紙の通紙を真似ることはできるが、中抵抗紙を真似ることはできない。最も通紙量の多い通常の普通紙は、計測プローブシートの基体とした時、実験室環境の影響(湿度等)を受けて抵抗が大きく振れる、また、繊維の隙間からリークが発生して、これが安定な測定を妨げる、などの問題がある。
電極付きのプローブシートは、通常、ケーブル方向に搬送されると仮定する。下流側に伸びる長い線は本来DC成分はもちろん、AC成分に対しても絶縁されてなくてはならない。しかし、この縦線部にはテフロン(登録商標)線などの高絶縁材が使われ、DC絶縁性は一応は満足できる。
実際には、正規電極287mmに対して、上下線はmm単位以下の断面となるので、SN比が改善できる。なお、導電性フィルムの場合でも3mm×80μmの断面積程度であるため、これもケーブルから拾うノイズは正電極の数1000分の1となり、SN比も確保できる。
これは、電極を複数置く場合において、各電極の出力にコンデンサなどの容量分を要れることである。この場合、図22(a),(b)に示すように、数100pF〜0.001μFの高圧用(10kV以上)のコンデンサーCを置くとよい。
また、同様の考えにより、これらの電極が一平面上にある場合は、電極間隔を小さく取って、静電容量を高める。
このような電極は各電位変動が抑制されるため、今回の改善により電位が適度に鈍ることになる。
既に述べてきたプローブシート101の下流側にケーブル106を引き回す方式では、ケーブルが高圧ニップ間を通る時にノイズがある程度は発生する。この点、図23に示すような、プローブシート101の横方向にケーブル106を出す方式は非常にハンドリングが面倒となるが、精度を要求するときには採用を検討せざるをえない。
ただし、実際の機械では側板などがこの配線回しの障害となる。また、邪魔されないようにケーブルを何重かにループを巻くやり方では、高速のノイズをコイルとして拾うことになり、あまり好ましくない。
従って、ここでは図13,14等に示したように、プローブシート101の搬送方向下流側にケーブル106を延ばす方式を採用する方が良いとする。また、この場合は、ハンドリングの問題も少なくデータを取得できやすい。
前述の図19,20,21を用いた評価方法による転写条件の設定例を以下に上げる。従来の転写条件の設定、または異常画像の対策は、画像形成装置による画像出力が可能になってから行なうものだが、多くの周辺ユニットの完成を待たねばならない。さらに特殊環境・特殊紙などは手間がかかる。例えば、前記に取り上げた異常画像は転写チリだが、これは低湿時に、高抵抗紙などで発生する。
従来、転写バイアスの設定は、転写ローラ軸における電位や電流等を念頭にして行なわれてきたが、転写紙のオモテ面とベルト間の転写電位はそれほど高くなく、実は現像ローラ電位と同程度である。
すなわち、AC除電器などがニップ部に近い位置に配置されている場合、電位を計測するとAC電圧により大きく変動する。この電位変動の原因は、(1)転写紙の分離、(2)除電によるAC放電、(3)電位計の自らのその誘導電位となる。ここでは(3)の誘導電位の落ち着くまでの期間を不応答期間とする。これは電位計の変動→安定までの期間であり、各計測器メーカ・型番により変わるものである。なお、除電がDCバイアスのみで駆動される低コスト機では、この不応答期間は少なくても済む。
具体的には、電位変化応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは計測器の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節する。この計測系自体の過渡応答を抑えることにより、より安定した測定を狙うことができる。また、計測器の応答性を制御する場合と異なり、ここではギャップ量を調節することによる効果を狙うことができる。
また、前記計測方法または計測装置は、図1〜5に示したような複数の感光体と中間転写体を備えたタンデム型の画像形成装置に好適に利用でき、特に二次転写部での電位計測に最適である。また、この場合には、計測の自動化も可能である。
図25に示す画像形成装置では、給紙部とは別に観測用シート(プローブシート)101を収納する収納部130を有し、該収納部130内のプローブシート101を、搬送ローラ131を介して二次転写部に搬送し、転写ニップ部を通過させながらプローブシート101の電位を表面電位計(図示せず)で計測できるようになっている。また、表面電位計の出力を制御部のマイクロコンピュータに入力して、メモリに記憶されている基準データと比較し、最適な転写バイアスを評価できるように設定しておけば、転写バイアスの自動設定も可能となる。なお、プローブシート101の電極部が転写ニップを通過した後に転写ローラ22Aが停止し、計測後に転写ローラ22Aが逆転するようにしておけば、計測後のプローブシート101を収納部に130に戻すことができ、転写バイアスの自動計測、評価、設定システムを構成することができる。
16:対向ローラ(2次転写対向部材)
17:中間転写ベルトクリーニング装置
18(18Y,18M,18C,18B):画像形成ユニット
20:タンデム型画像形成装置
22:2次転写装置
22A:2次転写ローラ
25:定着装置
40(40Y,40M,40C,40B):感光体ドラム(像担持体)
49:レジストローラ
60(60Y,60M,60C,60B):帯電装置
61(61Y,61M,61C,61B):現像装置
62(62Y,62M,62C,62B):1次転写装置
63(63Y,63M,63C,63B):感光体クリーニング装置
64(64Y,64M,64C,64B):除電装置
65:現像スリーブ
100:複写機本体
101:観測用シート(プローブシート)
101A:シート基材(基体)
102:オモテ面電極
103:ウラ面電極
104:被覆材
105:補助電極(接続補助)
106:高圧線(ケーブル)
109:対向電極(金属板)
110:表面電位計(電位測定器)
111:電位計プローブ
112:除電器
113:電荷付与手段
120:データ処理部(データレコーダ及びパーソナルコンピュータ)
130:プローブシート収納部
130;搬送ローラ
200:給紙テーブル
300:スキャナ
400:原稿自動搬送装置(ADF)
Claims (21)
- 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する転移バイアス計測方法であって、
計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする転移バイアス計測方法。 - 請求項1記載の転移バイアス計測方法において、
前記ニップ部は、前記像担持体から前記転写用紙にトナーを転移する一次転写部、あるいは前記中間転写体から前記転写用紙にトナーを転移する二次転写部のうちのいずれかのニップ部であり、該ニップ部内を前記プローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を前記電位測定器を用いて計測することにより、一次転写バイアス、二次転写バイアスのうちのいずれかを計測することを特徴とする転移バイアス計測方法。 - 請求項1または2記載の転移バイアス計測方法において、
前記電位測定器として表面電位計を用い、前記観測用シートの電位を前記表面電位計で非接触で計測することを特徴とする転移バイアス計測方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法において、
前記電位測定器の応答性を制御することを特徴とする転移バイアス計測方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法に用いる計測装置であって、
プローブとして用いられる電極を有する観測用シートと、該観測用シートの電位を計測する電位測定器と、該電位測定器の出力が入力されるデータ処理部を備えたことを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5記載の転移バイアス計測装置において、
前記電位測定器として表面電位計を備え、前記電極を有する観測用シートをニップ部内を通過させ、前記電極の電位を表面電位計で測定することを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項6記載の転移バイアス計測装置において、
前記電極を観測用シートの2つの面に配置したことを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至7のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記電極を有する観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度としたことを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至8のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートに設けられる電極は、可撓性の導電性フィルム材からなることを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至9のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートが前記ニップ内を通過し終わるまではサンプリング周波数を下げ、通過直後ではサンプリング周波数を上げることを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至10のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートの分離開始時の電位変動分を測定データとして取ることを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至11のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートに設けられる電極は、該観測用シートの基体の搬送方向と直角となるように配置されることを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至12のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートの基体の表面抵抗が、107〜1015Ω/□となることを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 請求項5乃至13のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
前記観測用シートの電極にケーブルを接続し、該ケーブルを、シート搬送方向下流側へ延長することを特徴とする転移バイアス計測装置。 - 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを評価する転移バイアス評価方法であって、
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法を用いるか、あるいは請求項5乃至14のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置を用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、該計測値を元にバイアス条件を評価することを特徴とする転移バイアス評価方法。 - 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを設定する転移バイアス設定方法であって、
請求項15記載の転移バイアス評価方法を用い、バイアス条件の評価結果に基づいて転移バイアスを設定することを特徴とする転移バイアス設定方法。 - 請求項16記載の転移バイアス設定方法において、
前記転写部における転写ニップ出口での観測用シートの電位の計測値に基いて、計測電位値のピークを+1kV以上にさせる転写条件を設定することを特徴とする転移バイアス設定方法。 - 請求項17記載の転移バイアス設定方法において、
前記転写ニップ内の画像面側電極の電位測定値を−300〜300Vに設定することを特徴とする転移バイアス設定方法。 - 請求項18記載の転移バイアス設定方法において、
前記転写ニップから出た直後の転写電位の測定自体を応答不能時間とした時間を持たせることを特徴とする転移バイアス設定方法。 - 請求項16乃至19のいずれか一つに記載の転移バイアス設定方法において、
電位変化の応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは非接触電位計の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節することを特徴とする転移バイアス設定方法。 - 並設された複数の像担持体と、各像担持体に色の異なるトナー画像を形成する画像形成手段と、各像担持体に形成された各色の画像が順次重ね合わせて一次転写される中間転写体と、該中間転写体上の画像を一括して転写材に二次転写する二次転写部を備えた画像形成装置において、
前記二次転写部における転移バイアスの計測、設定を行う手段を備え、
該転移バイアスの計測、設定を行う手段は、
前記転写材の給紙部とは別に計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを収納する収納部と、該収納部内の観測用シートを前記二次転写部に搬送して転写ニップ部を通過させる手段と、該転写ニップ部を通過する前記観測用シートの電位を計測する表面電位計と、該表面電位計の出力が入力される制御部を有し、
前記制御部は、前記表面電位計の出力とメモリに記憶されている基準データとを比較して転移バイアスを評価し、該評価結果に基づいて該転移バイアスを設定することを特徴とする画像形成装置。
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JP2006017953A (ja) | 2006-01-19 |
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