JP4481743B2 - 転移バイアス計測方法、転移バイアス計測装置、転移バイアス評価方法、転移バイアス設定方法、画像形成装置 - Google Patents

転移バイアス計測方法、転移バイアス計測装置、転移バイアス評価方法、転移バイアス設定方法、画像形成装置 Download PDF

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本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙転移バイアスによるトナー転移を行なう転写(一次転写ニップ部、二次転写ニップ部)における前記転移バイアスを計測する転移バイアス計測方法及び計測装置、その計測方法、計測装置を用いた転移バイアス評価方法及び転移バイアス設定方法、その転移バイアス設定方法を用いた複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置における転写バイアス等の制御や計測、表面電位計測、除電等に関する技術としては、以下のようなものがある。
特許文献1(特開平11−305559号公報)には、除電用の高電圧電源を必要とする除電器を使用せずに、中間転写体からの記録シートの剥離を安定して行えるようにすることを課題として、「内側転写ロールおよび外側転写部材を有するとともに、前記内側転写ロールおよび外側転写部材間に転写電圧が印加されたときに転写領域を通過する記録シート上に前記トナー像担持ベルト上のトナー像を転写する転写器と、前記転写領域通過後のトナー像担持ベルト内側に前記トナー像担持ベルトと非接触状態で前記トナー像担持ベルトに沿って配置された転写領域下流側の電界を調節する電界調節用導電性部材と、転写領域下流側において前記外側転写部材および内側転写ロール間に形成される電界を弱める電位を前記電界調節用導電性部材に付与する電界調節電位付与手段とを備えた画像形成装置」が記載されている。
特許文献2(特開平8−5689号公報)には、可撓性シート状部材の表面電位を計測するための非接触型の表面電位計測装置であって、簡単に精度よく表面電位を計測でき、安価に小型に製作できるものを提供することを課題として、「転写フィルムのようなシート状部材を間にして互いに対向配置される表面電位検出プローブ及び接地電極と、それらにより表面電位を計測される被計測部分を該対向プローブ及び接地電極に対し一定距離に設定するように張るために該対向プローブ及び接地電極の上流側及び下流側において該シート状部材を押圧張設する押圧張設部材とを備えた表面電位計測装置」が記載されている。
特許文献3(特開平8−160784号公報)には、安定した転写材保持力を備えた固体転写ドラムを有するカラー画像形成装置を提供することを課題として、「転写材の表面電位を検知する電位センサーを固体転写ドラムに対向して、転写ニップ部の転写ドラムの回転方向上流側に配置する。電位センサーの検知結果により感光ドラムと転写電極間に印加する転写バイアス電圧を制御する」ことが記載されている。
特許文献4(特開平10−161436号公報)には、転写ドラムから分離した記録材が定着前に搬送ベルトに吸着されてジャム等の搬送不良が発生するのを防止することを課題として、「トナー像が転写された記録材を、分離除電器で除電し、分離爪で転写ドラムから分離し、搬送ベルトによって定着器に供給する」こと、「定着前の記録材に対するトナー像の付着力が安定していないと、定着時にトナー像が乱されるので、分離後、再帯電器によって記録材上のトナーを再帯電して記録材に対する付着力を安定させる」こと、「このとき帯電が過多になると、記録材が搬送ベルトに吸着されてジャムが発生するので、転写ドラムに対向配置した表面電位計によって記録材の電位を測定し、その結果に応じて、再帯電器の帯電電圧を制御する」ことが記載されている。
特許文献5(特開平8−83006号公報)には、電子写真方式の画像形成装置において、画像比率の違いや転写紙サイズの違いによって転写率が変化しないように転写手段への印加電流を制御し、不良画像の発生を防止することを課題として、「像担持体上に潜像を形成する手段と、像担持体上の潜像をトナーで現像し顕像化する現像手段と、像担持体に圧接する転写手段とを備え、像担持体と転写手段が圧接して形成されるニップ部を転写材が通過する際に一定電流を前記転写手段に印加して、像担持体上のトナー像を転写材に静電吸着させる画像形成装置において、画像比率を測定する手段を備え、画像比率の測定結果及び/又は転写紙のサイズに基づいて転写手段に印加する転写電流値を制御する構成とした」ことが記載されている。
特開平11−305559号公報 特開平8−5689号公報 特開平8−160784号公報 特開平10−161436号公報 特開平8−83006号公報 中央電力研究所「高性能電界センサの開発と空間電界計測」1998年
一般に、転写用紙等の被転写体の電気特性の変動はもちろん、被転写体の曲率、被転写体の表面粗さ、転写手段系(転写ローラなど)の抵抗変動・除電有無・レジストへの電流リークなどで、転写ニップ内または近傍の転写電界は変動する。例えば近い所にある近接物体により転写チリなどの異常画像が出ることもある。
従来、転写・除電の条件を設定する時は、実際の機械を環境室などの任意の環境に入れ、パラメータを変えつつ出力して、画像の品質が最善となる設定値に設定するのが一般的である(現物合せの方法である)。この方法は、多種多様な用紙や、多種の環境条件の評価が必要となり、また、それでも客先が未知の用紙を使う場合には保証ができない。これで画像不良が出力されれば、信用問題や無駄な出力による環境問題にも繋がる。
なぜ、転写・除電の諸条件の設定が困難なのか。これは、作像速度差、二次転写ニップの機種差、転写入口での密着度合いの差、剥離タイミングの差、除電の有無、転写ローラ寸法差などが機械毎に異なっているためである。
当然だがトナーの転移力は転写電界により与えられるので、転写電界は転写性の特性因子である。この転写電界を規格化できれば、多くの機種を跨いだ汎用規格値として非常に有益なものとなり、上記に上げた色々な不具合を解消できることになる。
さらに加えて、分離・除電器も調整が困難である。当然、これも放電による何らかの電荷付与が起きており、これが電界を変動させることになる。この最適位置を見つけ出すのは、転写と同様に時間がかかり、試作・評価にさらに多くの時間を想定しなければならない。
以上、転写用紙の転写・除電の最適化は評価期間の短縮を狙って、かつ高品質を維持する必要がある。バイアス設定による方法ではどんなに制御方式を高度化しても、この不良性の問題は残る。本来、転写・除電は非常に近くにあり、交互に作用するものである。ここでは、この2つについては共通の指標で捉える必要がある。
以上、転写の課題は対応紙種・対応環境などの転写性一般を改善するということである。この評価には、印加バイアスよりも、転写用紙表面(トナー転移先)と中間転写体(トナー転移元)の電界変化こそが重要であり、定量化の鍵には転写用紙表面部の電位(中間転写体の電位を基準としたもの)が必要である。これが一般化できれば、多くの機種の開発に並行して使うことができる。また、除電などもその影響を判定することができるようになる。注意すべきは、この電界が転写ニップ内や、ニップ直後でどう変動するかを定量化しなくてはならないことである。
従来の転写電界測定法は、電極を任意位置に配置し、被転写体を少しずつ動かしてバイアスを印加し、電位・電流を測定する方法や、転写前後での絶縁体・トナーなどの電荷・電位を計測して付与電荷を算出する方法などがある。しかし、これらは以下のような不具合がある。
誘電性の紙に対して、高速な搬送により電流が入る場合などに充電電流や補償電流が流れるが、これを実際に与えていないために、参考値にならざるをえない。特に中間転写ベルトに中抵抗素材を用いる昨今の機械では、難しくなる。
同方法では転写ニップ通過前または通過後の結果としての電荷の変動は測定できる。しかし、画像上の不良がよく発生する分離条件などでは、リアルタイムな変動形態自体が重要である。この点、転写の前後では、肝心な部分は除いた計測となってしまう。
一方、シミュレーション解析は、二次転写ニップではまだ困難である。これはAC放電などの場合は交番するイオン流内の空間電荷の影響を確実に計算しなくてはならず、計算量が膨大になるからである。また一方で、材料抵抗の電界依存性・圧力依存性なども、二次転写の高圧力下・高電圧下での問題となり、これらの諸物理量・条件を簡素化してシミュレーションすると、現実とは異なりやすい。なお、仮にシミュレーションによる電界の算出ができても、これを観測する手段は先述の方法しかなく、確認が困難であった。
以上のことにより、転写電界による計測・規格化について検討するのは明らかに有益と思われる。
また、高抵抗紙における転写チリは、出口から出た後の転写電界の付与の仕方が関係する。対策技術の汎用化のためには、転写電界という基本特性因子なら技術共有化も容易である。同様に、除電器の設置でも紙電位特性を元に対策を行なえば、機種展開が可能となり有益である。
以上述べたように、電子写真方式の画像形成装置において、トナー転移を制御するためには、転移電界(転移バイアス)を確実に設定しなくてはならない。また、除電などの条件を決めるために転移電界(転移バイアス)の正確な測定が求められている。しかし、この電界を実測するには色々な制限がある。一方、シミュレーションは実機の諸条件を簡素化しているので信頼性にかけるという問題がある。
本発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、電子写真方式の画像形成装置において、転移バイアスを簡単に且つ正確に計測することができる計測方法及び計測装置を提供することを課題とする。また、本発明は、その計測方法または計測装置を用いた転移バイアスの評価方法及び設定方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、その転移バイアスの評価方法や設定方法を用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
上述の課題を解決するため、本発明では以下のような手段を採っている。
本発明の第1の手段は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する転移バイアス計測方法であって、計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする(請求項1)。
第2の手段は、第1の手段の転移バイアス計測方法において、前記ニップ部は、前記像担持体から前記転写用紙にトナーを転移する一次転写部、あるいは前記中間転写体から前記転写用紙にトナーを転移する二次転写部のうちのいずれかのニップ部であり、該ニップ部内を前記プローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を前記電位測定器を用いて計測することにより、一次転写バイアス、二次転写バイアスのうちのいずれかを計測することを特徴とする(請求項2)。
第3の手段は、第1または第2の手段の転移バイアス計測方法において、前記電位測定器として表面電位計を用い、前記観測用シートの電位を前記表面電位計で非接触で計測することを特徴とする(請求項)。
第4の手段は、第1乃至第3のいずれか一つの手段の転移バイアス計測方法において、前記電位測定器の応答性を制御することを特徴とする(請求項)。
の手段は、第1乃至第6のいずれか一つの手段の転移バイアス計測方法に用いる計測装置であって、プローブとして用いられる電極を有する観測用シートと、該観測用シートの電位を計測する電位測定器と、該電位測定器の出力が入力されるデータ処理部を備えたことを特徴とする(請求項)。
の手段は、第の手段の転移バイアス計測装置において、前記電位測定器として表面電位計を備え、前記電極を有する観測用シートをニップ内を通過させ、前記電極の電位を表面電位計で測定することを特徴とする(請求項)。
の手段は、第の手段の転移バイアス計測装置において、前記電極を観測用シートの2つの面に配置したことを特徴とする(請求項)。
の手段は、第乃至第のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記電極を有する観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度としたことを特徴とする(請求項)。
の手段は、第乃至第のいずれか一つの手段に記載の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートに設けられる電極は、可撓性の導電性フィルム材からなることを特徴とする(請求項)。
10の手段は、第乃至第のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートが前記ニップ内を通過し終わるまではサンプリング周波数を下げ、通過直後ではサンプリング周波数を上げることを特徴とする(請求項10)。
11の手段は、第乃至第10のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートの分離開始時の電位変動分を測定データとして取ることを特徴とする(請求項11)。
12の手段は、第乃至第11のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートに設けられる電極は、該観測用シートの基体の搬送方向と直角となるように配置されることを特徴とする(請求項12)。
第13の手段は、第5乃至第12のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートの基体の表面抵抗が、10〜1015Ω/□となることを特徴とする(請求項13)。
第14の手段は、第5乃至第13のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置において、前記観測用シートの電極にケーブルを接続し、該ケーブルを、シート搬送方向下流側へ延長することを特徴とする(請求項14)。
15の手段は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを評価する転移バイアス評価方法であって、第1乃至第4のいずれか一つの手段の転移バイアス計測方法を用いるか、あるいは第5乃至第14のいずれか一つの手段の転移バイアス計測装置を用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、該計測値を元にバイアス条件を評価することを特徴とする(請求項15)。
16の手段は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを設定する転移バイアス設定方法であって、第17の手段の転移バイアス評価方法を用い、バイアス条件の評価結果に基づいて転移バイアスを設定することを特徴とする(請求項16)。
17の手段は、第16の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写部における転写ニップ出口での観測用シートの電位の計測値に基いて、計測電位値のピークを+1kV以上にさせる転写条件を設定することを特徴とする(請求項17)。
18の手段は、第17の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写ニップ内の画像面側電極の電位測定値を−300〜300Vに設定することを特徴とする(請求項18)。
19の手段は、第18の手段の転移バイアス設定方法において、前記転写ニップから出た直後の転写電位の測定自体を応答不能時間とした時間を持たせることを特徴とする(請求項19)。
20の手段は、第16乃至第19のいずれか一つの手段の転移バイアス設定方法において、電位変化の応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは計測器の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節することを特徴とする(請求項20)。
21の手段は、並設された複数の像担持体と、各像担持体に色の異なるトナー画像を形成する画像形成手段と、各像担持体に形成された各色の画像が順次重ね合わせて一次転写される中間転写体と、該中間転写体上の画像を一括して転写材に二次転写する二次転写部を備えた画像形成装置において、前記二次転写部における転写バイアスの計測、設定を行う手段を備え、該転移バイアスの計測、設定を行う手段は、前記転写材の給紙部とは別に計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを収納する収納部と、該収納部内の観測用シートを前記二次転写部に搬送して転写ニップ部を通過させる手段と、該転写ニップ部を通過する前記観測用シートの電位を計測する表面電位計と、該表面電位計の出力が入力される制御部を有し、前記制御部は、前記表面電位計の出力とメモリに記憶されている基準データとを比較して転移バイアスを評価し、該評価結果に基づいて該転移バイアスを設定することを特徴とする(請求項21)。
以下、本発明の概要とその効果について説明する。
本発明に係る転移バイアス計測方法は、電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する方法であって、前記転写部のニップ部内をプローブとなるシート状物体(後述の電極を有する観測用シート)を通過させると共に、該シート状物体の電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする。そして、本発明に係る転移バイアス評価方法では、シート状物体の電位の計測値を元にバイアス条件を定めることを特徴とする。そして、このような計測方法及び評価方法を用いることにより、画像形成装置の設計時に、前記計測方法によりニップ内電界をリアルタイムに測定し、バイアス条件を効率的に設定することができる。
本発明に係る転移バイアス計測方法においては、前記ニップ部は、前記像担持体から前記転写用紙にトナーを転移する一次転写部、あるいは前記中間転写体から前記転写用紙にトナーを転移する二次転写部のうちのいずれかのニップ部であり、該ニップ部内を前記プローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を前記電位測定器を用いて計測することにより、一次転写バイアス、二次転写バイアスのうちのいずれかを計測する。
ここで、二次転写部を中心に説明すると、本発明では、二次転写部位において、プローブとして転写用紙に相当するシート状の電位観測体(観測用シート)を用い、該観測用シートのニップ通過中の電位をリアルタイムに計測する。同シートにより最適なバイアス条件・最適レイアウト条件を求めておけば、別の機械・紙・環境下でも同電界の最適化が行なえるようになる。
これにより、転写条件(他除電などの条件)を効率よく設定が行なえ、さらにその設定値で長期間の画像品質などを保証でき、無駄な試験・実験を減らして廃トナー低減などの環境対応もできる。
さらに、本発明では機械設計時以外にも、以下のような効果が得られる。
(1)サービス保守メンテナンス作業者の作業性アップ
サービス保守メンテナンス作業者は多種の機械を取り扱う必要があるが、このような計測方法(装置)を用いれば各機固有な条件設定ではなく、汎用化されているため対応が容易となり、作業効率を改善することができる。
(2)高信頼機の場合
高信頼性機では、本発明における計測方法を自動化した設備を内蔵することにより、定期的に作動せしめるようにすれば、長期の品質問題のうち、バイアスなどの設定不良などによる部分を解決できる。
(3)エンドユーザの場合
本発明の計測方法(装置)を内蔵しエンドユーザが確認するようにすれば、サービス性も向上する。また、(2)と同様の効果を得ることができる。
本発明は二次転写部以外に、現像部、一次転写部などの転移電界の観測が可能である。
例えば、一次転写部位において、一次転写ニップ部をシート状電位観測体が通過するようにしておき、通過中の該シートの電位を測定することで転移電界(転移バイアス)を計測、評価し、最適バイアス条件などを設定することができる。
また、現像部位において、現像ニップ部にシート状電位観測体が通過するようにしておき、通過中の該シートの電位を測定することにより、現像電界(現像バイアス)を計測、評価し、この結果に基づいて最適バイアス条件を設定することができる。トナーは本来帯電微紛体だが、ここでは誘電体の薄厚シートとして取り扱われて、仮想的なシート体としてみなすこともできる。
次に本発明に係る転移バイアス計測装置では、電極を有する観測用シートと、該観測用シートの電位を計測する電位測定器と、該電位測定器の出力が入力されるデータ処理部を有することを特徴とする。
転移バイアス計測装置の構成は簡素なほど、計測は容易である。ここでは、プローブとして露出電極を持つシート状電位観測体(観測用シート→プローブシート)を、当該ニップに通常の速度で通過させ、その時の電界変動の情報を電位状態などで計測する(なお、電流を読み取っても良いが、この場合、転移システム自体の出力インピーダンスが低くなくてはならず、現実的ではない)。
観測用シートの電極はT字状またはΓ字状などの形状で設けられ、シート搬送方向に直角な所に幅のある電極を持ち、それを搬送方向下流側にケーブルの代用として延長する。このような電極を有する観測用シートは簡単に精度よく作ることができ、量産もしやすい。
ところで、トナー転移部で電界を計測する場合、バイアス部のインピーダンスは高く、通常の電位計の類では計測ができない。
そこで本発明では、観測用シートの電位を表面電位計で非接触で計測することを特徴とする。
例えば観測用シートの電位を導電体を利用して転写ニップ内より引き出して別電極に接続して同電位とし、この状態を表面電位計で非接触に計測する。これにより高入力抵抗・高耐圧・高速性も得られ、かつ転写環境に影響を与えにくく実際に画像出力などを行いながらの電界確認が可能となる。
本発明では、ニップ近傍の観測データでもって、適当な処理を行なってから、バイアスを調整する。しかし、分離時の電位は剥離放電などが生じるためにばらつきやすい。とはいえ、この剥離放電については、非常に重要なデータとなることがある。
そこで本発明では、計測した電位の時間変動を記録し、同記録値を元にバイアスを決定する。
例えば二次転写ニップ部内では電位状態は容易に計測できるが、分離時には大きく暴れる。このデータを統計的に処理をすることで、データからニップ内の電位状態や分離時の放電などの状態データを得ることができる。
計測時の注意としては、二次転写部では紙の分離があり、電極が剥離する時に大幅な電位変動があるので、計測器の入力部が故障するのを防ぐ必要がある。なお、これは二次転写などのように介在物が剥離/放電する場合に顕著になる。そこで本発明では、計測器の応答性を制御するようにした。
二次転写部位において、紙の分離時電位を測定すると、ニップ内と比べて大きい変動電位が発生する。同変動は計測器入力段に対して大きな負荷になり、時には故障を招く。
本発明の計測システムでは、測定対象となるシート上電位を導電体により別に引き出し、これと表面電位計のプローブとを対向させる。ここで、この対向面積や対向距離を適当に定めると、計測系としての感度・応答性が下がるので、これを利用する。具体的には対向面面積を少なく、かつギャップを広く取ることで、見かけ上の面積を小さくすれば良い。
次に本発明に係る計測装置において、特に重要なシート状物体(観測用シート)における電極の例を示す。現像・一次転写部などでは、金属シートをニップに入れれば、転写電界が変わってしまう。また、シートが厚過ぎる場合は不良、薄すぎる場合は分離できないで回り込み、作像システム側にダメージを与えてしまう例もある。
そこで本発明では、電極を表面に形成したシート状物体(観測用シート)を用いてニップ内を通過させ、該電極の電位を非接触電位計で測定する。
例えば本発明では、シート状物体(観測用シート)に電極を貼り付け、そこからケーブル(後述)で電位を引き出す形を選択したが、これが最も良く、測定部位への影響を最小限にすることができる。
ところで、二次転写部においては、観測用シートのオモテ面(表面)とウラ面(裏面)の電位を計測することにより、より有益な値を得ることができる。
そこで本発明では、電極をシート状物体のオモテ面とウラ面の2つの面に配置したことを特徴とする。これにより、オモテ面・ウラ面の2箇所を同時に測定することができ、転写ニップ内でのシートのオモテ面・ウラ面間の電位差を測定することにより、ニップ内電界を測定することができる。
また、転写ニップ排出後の分離時のシートの帯電状態を把握することができる。すなわち、ニップ排出と安定化後に、シートのオモテ面とウラ面間の電位差を測定することで、シートの残留電位を把握することができる。
なお、観測用シートにT字状電極を用いる場合は、互いに表裏をなすように貼り付けられる。また、電極としては、搬送方向に直角の方向に剥き出し部を設け、搬送方向と同じ方向の電極部は絶縁テープで保護される。
次に計測装置のプローブ部(観測用シート)の基体の剛性について規定する。計測プローブとして用いる観測用シートの基体の材質は、紙の普通の状態と同剛性・同厚みが望ましい。
より具体的は、電極を設置される観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度とすることが望ましい。
これは画像形成装置の機内の軟性部品の保護以外に、硬い基体では分離のタイミングが早くなることがあり、また柔らかい場合は分離不良になる危険性があるためである。また、現像部位に使う場合は、トナー同様に薄い方が望ましく、数十μmとしたいが、薄くしすぎると取り扱いが難しくなる。従って、上記の厚みが手ごろとなる。
次に計測装置のプローブ部(観測用シート)の電極材の剛性について規定する。通常、電極と言えば、銅箔テープや蒸着アルミなど、もしくは金属材などがあるが、前者は使用中にクラックが生じやすく、後者は頑丈すぎて敏感な部分の計測には向かない。
そこで本発明では、観測用シートの電極を、可撓性の導電性フィルム材で構成する。
すなわち、観測用シートの基体上の電極は、柔らかくて薄い必要があるため、ここでは、導電性布テープや導電性フィルム材を使用するが、これにより長期の信頼性を得ることができる。しかし、導電性布テープは長期間使うとほぐれが発生するという心配があるので、導電性フィルムの方が好ましく、導電性フィルムでは十分な性能を長時間保持することができた。
本発明に係る計測装置では、計測時間を規定している。すなわち、放電作用の確認のためには、サンプリング周波数は高速が良い。一般に1kHz〜100MHz程度の帯域を確認し、数MHzの計測をした波形を見るなどの研究が行なわれている。これは、計測量が多くなりすぎるため、今回のような計測システムには不向きである。
そこで本発明では、観測用シートがニップ内を通過し終わるまではサンプリング周波数を下げ、通過直後ではサンプリング周波数を上げるようにする。
ニップ内に電極がある場合、これは電気的には2つの抵抗体・または誘電体に収まっている状態であり、シートはその抵抗か容量により、安定した電位が計測できる(オモテ面とウラ面には電位差がある)。よって、ニップから出る直前までの間は、高速サンプリングは不要とする。
しかし、ニップから分離以降は、電位の変動が大きくなる。立ち上がりも早く、高速な計測が必要である。今回は2段階のサンプリングを行なうことにより、長時間・高速にデータを残すことができる。
ところで、前記観測用シートの通過時、フロート化した途端に大電位変動が観測される。この大電位変動は10kV以上の正負変動を持つが、後述の分離・放電による部分や測定器の入力部の電気特性などの影響を受けやすいようであった。そこで、より汎用的な特性因子を探した。ここでは、観測用シートが分離する時の(+)電位の上限値が、比較的計測環境の影響を受けず、その後の転写品質に重要であることが判った。
この電位変動は、
1.所持電荷と周囲への被転写体の保持電荷が剥離時に静電容量の急激な減少に応じて、電位が上がる(主現象)、
2.ギャップを持つ2物体間の電位が放電開始電圧より高くなると、放電が発生して、電荷が移動する(パッシェン法則)、
の理由から生じる。分離時の僅かなタイミングの差も大きく及ぼすため、このままデータとして使用するのは困難である。よって、ここでは分離開始時のみに限った電位上昇値のみ取り上げる。これにより転写・除電条件の最適化を行なうことができる。
本発明に係る計測装置では、プローブとして用いる観測用シートの電極の構成の仕方や、電極の形を工夫することで、データの信頼性を増すことができる。
そこで本発明では、観測用シートの電極は基体の搬送方向と直角となるように構成する。例えば、観測用シートの電極は、T字型電極やΓ(ガンマ)字型電極とするのが良い。このような形状とすることにより、ニップに入るタイミングもつかみやすいし、同じタイミングで横面全面での影響を平均化するため有効である。
本発明に係る計測装置おいて、通常の紙を観測用シートの基体とすると、環境湿度の影響をまともに受け、抵抗が上下に大きく振れる。これは相当な不具合となり、計測ができなくなる。
そこで本発明では、観測用シートの基体の表面抵抗が10〜1015Ω/□となるようにしている。
上記より、高抵抗側のシートが必要となる(低抵抗側では電位は0となる)。なお、現像部位などについては、トナーが相手に入る所であり、シート材の抵抗だけでなく、誘電率も確認する必要がある。これらは、材質を選ぶことにより達成することができる。
本発明に係る計測装置では、電極の露出面により、計測装置への電気的ノイズが入りやすいので、ノイズ低減を行なうことが必要である。そこで本発明では、観測用シートの電極を引き伸ばし、絶縁材で覆うようにしている。
電極はT字型あるいはΓ(ガンマ)字型とし、同電極付きシートは上下に搬送されると仮定する。ここで、上下の方向の長い線は本来絶縁されなくてはならない。この縦線部はフッ素樹脂などの高絶縁材での被覆を要する。さらに、同線にはテフロン(登録商標)などの高絶縁材の静電容量を介して電荷が混入することがある。
以上、測定の信頼性を上げるために、SN比(信号・ノイズ比)を上げるために、本来の計測電極は十分に大きくし、これに対して上下縦線に当たるケーブル部は細くして使えば、ノイズ分を減らすことができる。
本発明に係る計測装置において、観測用シートの1つの表面に電極を複数置く場合の電極形状については、各電極のレイアウトにおいて静電容量を大きく取るようにする。
例えば、観測用シートの電極の数が1表面につき複数となった場合には、各電極のレイアウトを静電容量が最大限になるようにする。
次に本発明に係る転移バイアス評価方法及び設定方法による転写条件の設定について述べる。
高抵抗紙を二次転写させる場合、分離時にある種の紙では転写チリが発生し、ある紙では発生しないなどということがよく見られた。従来の対策は除電条件の見直しが主であるが、他要因が複雑に絡むためトライ&エラーが必要となり、例えば10℃、15%RHの低温・低湿環境などで除電器の設置レイアウトを紙毎に確認するのが常であった。このように、分離時の電位測定結果から、除電関連の諸因子の最適化が可能になる。
そこで本発明では、観測用シートの転写ニップ出口での電位の計測値において、ピークを+1kV以上にさせる最適な転写条件を設定する。
このように、本発明の計測方法や評価方法を用いることにより、全く開発期間を短縮化できる。これは開発エネルギーの削減であり、特に環境室などという数kWの特殊設備を使う必要が無くなるからである。また、紙種も多く評価する必要もなくなるため、紙製造に対する環境性も改善される。
さらに本発明によれば、転写ニップ内でどの程度の電位を生じさせる転写バイアスが最適か、汎用的な指標を得ることができる。例えば、引力型転写装置を使った後述の実施例の装置では、0.1mm厚の観測用シートを用いた場合、画像面に0〜300Vを生じさせた時の転写バイアスが最適となる。一方で、図示はしていないが斥力型転写装置では、−300〜0Vを生じさせた時の転写バイアスが最適となる。この時の転写電界はほぼ空気中の絶縁破壊電圧と同オーダとなる。
なお、ここで、引力型転写装置とは、(−)トナーを転移させる際、転移先に(+)電荷源をおいて、トナーを引っ張る、通常の転写方法である。一方、斥力型転写装置とは、転移先に(−)電荷源をおいて、トナーに斥力を与える転写方法であって、最近の色々な装置に使われるようになった。
本発明に係る転移バイアス設定方法においては、転写ニップから出た直後の転写電位の測定自体を応答不能時間とした時間を持たせている。
分離動作が除電ACなどの元で行なわれる場合、電位を計測するとAC電圧により大きく変動する。同電位変動の原因は、(1)転写紙の分離、(2)除電によるAC放電、(3)電位計の自らのその誘導電位となる。ここでは(3)の誘導電位の落ち着くまでの期間を不応答期間とする。これは電位計の変動→安定までの期間であり、各計測器メーカ・型番により変わるものである。なお、除電がDCバイアスのみで駆動される低コスト機では、この不応答期間は少なくて済む。
本発明に係る転移バイアス設定方法においては、電位変化の応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは計測器の非接触ギャップのギャップ量を調節することで、応答時間などを調節する。
このように応答時間を調節して、計測系自体の過渡応答を抑えることにより、より安定した測定を行なうことができる。
本発明に係る画像形成装置においては、以上に説明した計測方法または計測装置を用いた転移バイアス設定方法により転移バイアスの設定を行なうので、一次転写バイアス、二次転写バイアス等の設定を良好に行なうことができる。
また、前記計測方法または計測装置は、複数の像担持体と中間転写体を備えたタンデム型の画像形成装置に好適に利用でき、特に二次転写部での電位計測に最適である。さらにこの場合には、計測の自動化も可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
今日、電子写真方式の画像形成装置では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなど、カラーのものが多くなってきている。
カラー画像形成装置には、1つの像担持体(例えば感光体)のまわりに複数色の現像装置を備え、それらの現像装置でトナーを付着して感光体上に合成トナー画像を形成し、そのトナー画像を転写してシートにカラー画像を記録する、いわゆるリボルバ型のものと、並べて備える複数の感光体にそれぞれ個別に現像装置を備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写してシートに合成カラー画像を記録する、いわゆるタンデム型のものとがある。
リボルバ型とタンデム型とを比較すると、前者には感光体が1つであるから、比較的小型化でき、コストも低減できる利点はあるものの、1つの感光体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成するから、画像形成の高速化には限界がある欠点があり、後者には、逆に大型化し、コスト高となる欠点はあるものの、画像形成の高速化が可能である利点がある。
しかし、最近は、フルカラーもモノクロ並みのスピードが望まれることから、タンデム型の方が注目されてきている。
タンデム型の画像形成装置には、各感光体上の画像を転写装置により、シート搬送ベルトで搬送するシートに順次転写する直接転写方式のものと、各感光体上の画像を1次転写装置によりいったん中間転写体に順次転写した後、その中間転写体上の画像を2次転写装置によりシートに一括転写する間接転写方式のものとがある。
直接転写方式のものと間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体を並べたタンデム型画像形成装置の上流側に給紙装置を、下流側に定着装置を配置しなければならず、大型化する欠点がある。これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができるから、給紙装置および定着装置をタンデム型画像形成装置と重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
また、前者は、大型化しないように定着装置をタンデム型画像形成装置に接近して配置することとなるから、シートが撓むことができる十分な余裕をもって定着装置を配置することができず、シートの先端が定着装置に進入するときの衝撃とか定着装置を通過するときのシート搬送速度差とかで、定着装置が後端側の画像形成に影響を及ぼす欠点がある。これに対し、後者は、シートが撓むことができる十分な余裕をもって定着装置を配置することができるから、定着装置がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
このようなことから、最近は、タンデム型画像形成装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
そして、この種のカラー画像形成装置では、1次転写後に感光体上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置で除去して感光体表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置で除去して中間転写体表面をクリーニングし、再度の画像転写に備えていた。
以下、図面を参照しつつタンデム型画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すものであり、タンデム型で間接転写方式のカラー複写機の概略構成図である。
図中符号100は複写機本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。中間転写体10は、図2に示すように、単層のポリイミド材をベースに作られた一層ベルトである。
そして、図1に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14,15,16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのうち第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
また、3つのうちの第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する(なお、各符号に付けたY,M,C,Bは上記の色に対応することを表している)。
そのタンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、さらに露光装置21を設ける。
一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像を転写用紙(シート)に転写する。
また、2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。なお、2次転写装置22としては、2次転写ベルト24に代えて2次転写ローラを用いてもよい。また、2次転写装置22としては、非接触のチャージャを配置してもよいが、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
さて、いまこのカラー複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14,15,16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49には、導電性ゴムローラを用い、バイアスを印加する。直径はφ18mmで、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で10E9Ωcm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−850V程度の電圧が印加されている。
紙裏面側は+200V程度の電圧が印加されているが、特に裏面の紙粉転写を考慮する必要が少ない場合にはアースになっていても良い。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これはDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。
AC重畳DCバイアスの方が紙表面を均一に帯電することができる。レジストローラ49を通過した後の紙表面は若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写体10からシートへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わる場合があるので注意が必要である。
さて、上述したタンデム画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図3に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。感光体40は、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
図示省略するが、少なくとも感光体40を設け、画像形成手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
画像形成手段18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、感光体40に接触して電圧を印加することによりその感光体40の帯電を行う。
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に付着する攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体40に転移する現像部67とで構成し、その現像部67より攪拌部66を低い位置とする。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設ける。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切る(図4参照)。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。
一方、現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体40と対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設ける。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は、500μmに設定してある。
そして、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持し、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りする。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
他方、現像スリーブ65上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体40に転移してその感光体40上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナー補給する。
ちなみに、図示例では、感光体40の線速を200mm/s、現像スリーブ65の線速を240mm/sとしている。感光体40の直径をφ50mm、現像スリーブ65の直径をφ18mmとして、現像行程が行われる。現像スリーブ65上のトナー帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲である。感光体40と現像スリーブ65の間隙である現像ギャップGは、従来の0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。
感光体40の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体40の帯電(露光前)電位Vを−700V、露光後電位Vを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行われるものである。
次に、1次転写装置62は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで感光体40に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、ブラシまたは非接触のコロナチャージャなどであってもよい。
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体40に押し当てて、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備えるとともに、外周を感光体40に接触して導電性のファーブラシ76を矢示方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79を設ける。
そして、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対して接触してカウンタ方向に回転する電界ローラ77でバイアスを印加して取り除く。電界ローラ77は、スクレーパ78でクリーニングする。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、詳しくは後述するトナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
除電装置64は、例えばランプであり、光を照射して感光体40の表面電位を初期化する。
そして、感光体40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体40の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて上述した露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体40上に静電潜像を形成する。
その後、現像装置61によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置62で中間転写体10上に転写する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
図2は、図1に示すカラー複写機の要部拡大図である。同図においては、タンデム型画像形成装置20の各画像形成手段18、その画像形成手段18の各感光体40、各現像装置61、各感光体クリーニング装置63、および各画像形成手段18の感光体40にそれぞれ対向して設ける各1次転写装置62の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBを、イエロの場合はYを、マゼンタの場合はMを、シアンの場合はCを付して示している。
なお、図1〜3では図示を省略するが、各1次転写装置62間において、中間転写体10のベース層側に接触して導電性ローラを設けてもよい。この導電性ローラは、転写時に各1次転写装置62により印加するバイアスが、中抵抗のベース層を介して隣りの各画像形成手段18に流れ込むことを阻止するものである。
次に、図4および図5には、トナーリサイクル装置80を示す。図4、図5に示すとおり、感光体クリーニング装置63の回収スクリュ79には、一端に、ピン81を有するローラ部82を設ける。そして、そのローラ部82に、トナーリサイクル装置80のベルト状回収トナー搬送部材83の一側を掛け、その回収トナー搬送部材83の長孔84にピン81を入れる。回収トナー搬送部材83の外周には一定間隔置きに羽根85を設けてなり、その他側は、回転軸86のローラ部87に掛ける。
回収トナー搬送部材83は、回転軸86とともに、図4に示す搬送路ケース88内に入れる。搬送路ケース88は、カートリッジケース89と一体につくり、その現像装置61側の端部に、現像装置61の前述した2本のスクリュ68の1本を入れてなる。
そして、外部から駆動力を伝達して回収スクリュ79を回転するとともに、回収トナー搬送部材83を回転搬送し、感光体クリーニング装置63で回収したトナーを搬送路ケース88内を通して現像装置61へと搬送し、スクリュ68の回転で現像装置61内に入れる。その後、上述したとおり、2本のスクリュ68ですでに現像装置61内にある現像剤とともに攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給してドクタブレード73により穂切りして後、感光体40に転移してその感光体40上の潜像を現像する。
トナーは、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等の樹脂に帯電制御剤(CCA)、色剤を混合し、その周りにシリカ、酸化チタン等の物質を外添することでその帯電特性、流動性を高めている。添加剤の粒径は、通常、0.1〜1.5[μm]の範囲である。色剤は、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドン、カーミン等を上げることができる。帯電極性は、図示例では負帯電である。
トナーは、ワックス等を分散混合させた母体トナーに上記種類の添加剤を外添しているものも使用することができる。ここまでの説明で、トナーは、粉砕法で作成されたものであるが、重合法等で作成したものも使用可能である。一般に重合法、加熱法等で作成されたトナーは、形状係数を90%以上に形成することが可能で、さらに形状による添加剤の被覆率も極めて高くなる。
ここで、形状係数は、本来ならば球形度となって、「粒子と同体積の球の表面積/実粒子の表面積*100%」で定義されるが、測定がかなり困難になるので、円形度で算出する。その定義は、「粒子と同じ投影面積を持つ円の周長/実粒子の投影輪郭長さ*100%」とする。そうすると、投影された円が真円に近づくほど、100%に近づくことになる。トナーの体積平均粒径の範囲は、3〜12μmが好適である。図示例では、6μmとし、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。
磁性粒子(磁性キャリア)は、金属または樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。粒径は、20〜50μmの範囲が良好である。また、抵抗は、ダイナミック抵抗で10〜10Ωの範囲が最適である。ただし、測定方法は、磁石を内包したローラ(φ20mm;600RPM)に坦持して、幅65mm、長さ1mmの面積の電極をギャップ0.9mmで当接させ、耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400Vから鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧を印加した時の測定値である。
現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット(または複数の磁極を着磁したマグネット)72を配設している。マグネット72は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ65の直径をφ18mmとし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い、表面粗さが10〜30μmRZの範囲に入るようにあらしている。
マグネット72は、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN、S、N、S、Sの5磁極を有する。マグネット72で形成された(トナー+磁性粒子)は、現像剤として現像スリーブ65上に坦持され、トナーは、磁性粒子と混合されることで規定の帯電量を得る。図示例では、−10〜−30[μC/g]の範囲が好適である。現像スリーブ65は、現像剤の磁気ブラシを形成した、マグネット72のS側の領域に、感光体40に対向して配設されている。
ところで、中間転写体クリーニング装置17としては、ブレードやファーブラシ等が用いられるが、さらにクリーニング性を向上するために、例えばクリーニング部材として2つのファーブラシ(図示を省略する)を設けるとよい。そして、2つのファーブラシには、直径φ20mmで、アクリルカーボン、6.25D/F、10万本/inch、E+7Ωのものを使用し、中間転写体10に対して接触してカウンタ方向に回転するように設ける。そして、それぞれのファーブラシには、不図示の電源から各々異なる極性のバイアスを印加する。
また、そのようなファーブラシには、それぞれ金属ローラを接触して順方向に回転するように設ける。そして、この例では、中間転写体10の回転方向上流側の金属ローラに不図示の電源から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラに不図示の電源から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラには、それぞれブレードの先端を押し当てる。
そして、中間転写体10の矢示方向への回転とともに、はじめ上流側のファーブラシを用いて例えば(−)のバイアスを印加して中間転写体10表面のクリーニングを行う。仮に、金属ローラに−700V印加すると、ファーブラシは−400Vとなり、中間転写体10上の(+)トナーをファーブラシ側に転移する。除去したトナーをさらに電位差によりファーブラシから金属ローラに転移し、ブレードにより掻き落とす。
さて、上流側のファーブラシで中間転写体10上のトナーを除去するが、中間転写体10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシに印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。しかし、次いで下流側のファーブラシを用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシから金属ローラに転移し、ブレードにより掻き落とす。そして、ブレードで掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収する。
さて、ファーブラシでクリーニング後は、ほとんどのトナーが除去されるが、中間転写体10上にはまだ少しのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシに印加される(+)のバイアスにより、(+)に帯電される。しかし、2つのファーブラシで除去できずに中間転写体10上にトナーが残ったときにも、ブラックの1次転写位置で感光体40B側に逆転写して感光体クリーニング装置63Bで回収することができる。
以上、タンデム型で間接転写方式のカラー画像形成装置の一実施形態を説明したが、本発明に係る転移バイアス計測方法及び計測装置、転移バイアス評価方法、転移バイアス設定方法は、以上のような構成の画像形成装置に適用するのに最適である。以下、具体的な実施例を説明する。
まず、本発明に係る転移バイアス計測方法及び装置と、それを用いた転移バイアス評価方法及び設定方法の基本について説明する。
電子写真方式の画像形成装置では、現像、転写などのトナー転移部分で多くの画像品質不良が発生することがある。例えば現像不良、転写不良、異常画像などである。これらを改善するためには、転移状況を実際に確認する必要がある。
図6(a),(b),(c)に本発明に関係する画像形成装置の部分を説明する。図6(a)は二次転写ニップ部、図6(b)は一次転写ニップ部、図6(c)は現像ニップ部での電位測定をそれぞれ図示している。ここで、各構成部材の符号は図1〜5に示した構成の画像形成装置に対応している。但し、ここでは二次転写装置は転写ローラ22Aとしている。
これらのニップ部では、例えば近傍のローラ部材に転移バイアスを与えており、同バイアスはトナー転移電界のエネルギー源となる。従来はこのエネルギー量を設定することが多かった。本発明では転移電界(転移バイアス)に焦点をあて、同電界を測定したいと考えた。新規な点としては、実際にニップ内に計測用プローブとなるシート状部材(観測用シート)101を直接挿入することで転移電界(転移バイアス)に関係するデータをリアルタイムに取得する点である。
まず、図7に計測用プローブの一例としてポッケルスセンサを用いた計測装置の例を上げる。この計測装置は、ポッケルス素子140、光ファイバ141,142、基体シート143、混合用プリズム145、偏光投光器146、偏光受光器147で構成されている。ここで、ポッケルス素子140は光PT(optical potential transformer)の素材をシート状に形成し、それを基体シート143のシート内、またはシートの表面に貼り付けて、光ファイバー141,142を接続する。このシートを画像形成装置の前記ニップ部内に挿入する。図8に示すように、ポッケルス素子は外部から電界が加わると物質の屈折率が変化するポッケルス効果を用いているため、電界は光学屈折率の差として計測できる。また、一例として、非特許文献1(中央電力研究所「高性能電界センサの開発と空間電界計測」1998年)には、高圧下で電界センサの使用を研究した例が報告されている。
ただし、図7のようなポッケルス素子を用いたシート片や、折れにくい光ファイバは実現性については不明であるが、おそらくコストや加工性が悪く、圧力下での耐久性がどれも低いと考えられる。従って本発明では、別の方法により電界に関する計測を行なう計測方法及び計測装置を提案する。
図9に本発明に係る観測用シートを用いて計測を行なう場合の二次転写部の一例を示す。図9ではシート基材のオモテ面及びウラ面に電極を設けた観測用シート101を用いるものであり、図中のVa1〜Va4,Vb1〜Vb4は夫々観測用シート101上の電位状態を得るための電極と仮定する。なお、下側のローラは2次転写ローラ22Aを、上側は中間転写ベルト10と対向ローラ16を示す。
ここでは、2次転写ローラ22Aにプラス(+)の転写バイアスが印加され、対向ローラ16が接地されているので、転移電界Eがシート101の背面(ウラ面)側から画像面を通して発生している。この電位はVa1とVb1の差分として発生する。シート101が高抵抗であるため、画像面と背面にVa1、Vb1の電位が生じ、その電位差Dは、
D=(Va1−Vb1)/t
である。ここでtはシート101の厚みであり、空間電界EはE=D/εとなる。
この空間電界Eはトナーを転移させる電界である(リークが無い場合)。ここでは電位差を確認することで、転移電界を予測できる。
転写ニップを出て分離する時には、高抵抗シートはいろいろと剥離放電を受け、例えばチリなどの異常画像を発生させる。このような場合でもVb2、Va2のような位置の電位のデータを取ると、放電による電荷変動が生じていることが分かる。これらはニップ出口より数mmの位置であり、ニップから排出された直後は、除電などによって影響を受ける。これは放電による変動を受けるためである。
また、転写ニップ部通過後の位置に設けられる除電器112や、転写チリ防止用にマイナス電荷を転写材表面(画像面)に付与する電荷付与手段113などはよく用いられるものであるが、その本来の適切な設置位置などは、従来は不明であった。これはバイアスのリークなどの他に、距離がかなりクリティカルに効くためである。ここではその除電器112や電荷付与手段113などの影響がVb3、Va3の位置の電位計測により採取できると考えられる。
最後にシート全体に残る残留電位などの影響は、シートのオモテ−ウラ面間の電位差としてVa4、Vb4の位置の電位計測により採取できる。
以上、この方法では電界は直接測定はできないが、その代用値としての既に容量の判っているものの表面電位を観測することができる。したがって、以上の導電電極を設けた観測用シート101をプローブとして二次転写ニップ部を通過させ、転写ニップ部での観測用シートの電極の電位変動を計測することで、転移電界(転移バイアス)データの計測を行なうことができる。
なお、図10は観測用シートの別の例であり、機知の薄膜コンデンサ114をシート材115などの表面に、接触面側を同電位にするようにして配置する例を示している。この場合、コンデンサ114としては、セラミックコンデンサのようなものを考えることもできる。この観測用シートでは。各コンデンサ114の容量を一定にしておくことで、放電量をも計測可能になる。なお、図では線を引き出すまでを描いたが、この後にマルチプレクサなどを介してパーソナルコンピュータに接続することにより、マルチプレクサなどでアナログ−デジタル変換を行なってパーソナルコンピュータのメモリ等に記憶することができる。
本発明に係る計測方法は、図6(a),(b),(c)に示すように、二次転写部、一次転写部、現像部などで適用することができる。これらはトナーの転移という視点では、同一の理想式(現像方程式といわれる)が適用されている。ここで取得された転移系の電位は、転移の最適化のために有効に使うことができる。
なお、電位計測よりも汎用的な方法として電流計測が挙げられる。これは分配比などを計りやすいが、標準電位(通常、接地(GND)電位)に電荷を実際に逃がしながらの計測となり、当然電位関係が崩れてしまう。電流を流すと、転移系の状態が変わってしまうことになり好ましくない。
また、ニップ通過前と通過後に紙の上のトナーの帯電量の差を測定することで、やはり転写を最適化する試みもあるが、これは大変に手間がかかる上に、分離とか除電の影響を区別できない。
次に電位計測に用いる観測用シート(プロブシート)上の電極の電位を測定するに当たり、使用する計測器側の問題としては以下のような点が上げられる。
・入力抵抗
紙の抵抗は低湿度(15%RH位)でも放置すると、容易に1014Ω/□を超えるため、代用品であるプローブシートも予め高抵抗にしておいてある。従って計測器の入力抵抗が低いと、転写ニップ内でバイアスがリークして転写作用を邪魔することになり好ましくない。二次転写の電位を正確に読むためには、1015Ω以上の高入力抵抗が必要となる。
・入力帯域
通常の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体や中間転写体の線速は30〜1000mm/sで、ニップ幅は多くても数10mmほどのため、二次転写ニップを通過する時間は0.01〜0.3秒程度になる。分離条件などによっては横縞状の濃度不良も出ることがあり、計測を高速に行なうには数kHz以上が必要となる。
・入力耐圧
転写バイアスを引力転写型とした場合、転写バイアスは+0.8〜4kV程度となる。これはニップ内では数100〜+1000V程度になる。また、その後の分離では+10kVを超える。一方、斥力転写型とした場合、転写バイアスは中間転写体内部にかかるようになる。この場合、符号は(−)となり、−0.8〜−4kV程度になる。この場合も−10kVを超える。従って、入力耐圧は±10kV以上が必要となる。
これらの課題について、一般の電位測定器では下記のような不具合がある。
(1)エレクトロメータ
エレクトロメータは高入力抵抗だが、耐圧上限は1000V程度と低い。また、反応速度が遅い。これはエレクトロメータの用途が静的量のQ・Vなどの測定であるため、入力段は低速・高精度に設計されているためと考えられる。このため本発明の測定方法には使用できない。
(2)高圧プローブ
高圧プローブはオシロスコープなどに接続して用いるものであり、高速な信号を読み取ることは容易だが、入力抵抗は10Ω程度である。これは高速性を狙って、入力容量×入力抵抗(CR:時定数)を下げるように設計されたためと考えられる。なお、低価格のマルチメータにつけるものは、抵抗は同様だが、入力容量がさらに増えるため、時定数は長くなるようになっている。これらは、ある程度出力インピーダンスの低い物体を測定するためのものである。このため本発明の測定方法には使用できない。
そこで、プロブシート上の電極の電位を測定する電位測定器としては、非接触で静電位の計測ができる静電気電位計(非接触式の表面電位計)が候補に上げられる。この表面電位計の種類はいろいろあるが、耐圧と測定の高速性はどれも一長一短である。
一般に表面電位計は非接触で測定を行なうが、電気的には図11のようにプローブと被測定面内を何らかのインピーダンスZを介して接続し、電気的には一般の接触型と同様に測定するものである。すなわち定量的な電位測定には、電位計のグランド(GND)を測定対象物の基準電位(測定対象物が高抵抗の誘電体の場合、背面等に設置される金属)に接続する必要がある(図11のポイントG)。表面電位計には、上記インピーダンスが、
1.容量性:振動容量型、セクター型
2.抵抗性:集電型
と大きく分けて2種類がある。
ここで、振動型で内部に高圧電源を持ち、プローブの振動子近傍にそのリファレンス電極を有して、このリファレンス電極の電位を振動子と等しくする形式の表面電位計(フィードバック型の振動容量型表面電位計)では前述の不良が発生しない。ここで一例として、図12にTREK社製の振動容量型表面電位計の概略構成を示す。
この振動容量型表面電位計では、プローブ内にセンサ電極Seがあり、これを被測定面に接近させるとセンサ電極Seと被測定面間に静電容量Cが生じる。この静電容量Cはプローブ内の音叉によって変化させられ、これによりセンサ電極Seには表面電位を交流変調した信号が誘起される。この交流信号をプローブ内プリアンプ及び表面電位計ユニット内増幅器にて増幅し、この増幅された信号を同期検波することにより、出力信号を得ることができる。
従来、一般の表面電位計は、この信号を出力していたが、この出力信号は上記の静電容量Cに依存する。静電容量Cはプローブ−被測定面間距離dの逆数に比例(C∝1/d)するので、出力電圧もプローブ−被測定面間距離に依存し、電子写真用感光体ドラム等の表面電位のダイナミック計測には大きな誤差をおよぼす。
これに対して図12に示す振動容量型表面電位計は、上記の同期検波出力信号を積分型高圧発生器に入力し高電位を発生させ、プローブにフィードバックする。これによってプローブボディの電位は上昇し、やがて被測定面と同電位になる。プローブボディの電位が被測定面と同電位になると、静電容量Cは打ち消される。従ってこの振動容量型表面電位計では、このときの内部で発生した電圧を分圧し、インピーダンス整合回路で出力インピーダンスを0.01Ω以下として出力するため、プローブ−被測定面間の距離によって測定値に大きな誤差が生じることがない。
以上のような振動容量型表面電位計を使う場合、プローブシートのニップ内電極から線を引き出し、同電位の金属部としておき、これに表面電位計の電位プローブを対向させて電位を測定させることで、非接触かつ容量の少ない測定方法となる。この場合、相手材より電荷を失わず、また、容量分による入力インピーダンスも高くすることができる。入力耐圧も、高圧を帰還させる過程で相手部材と同電位になるため、速すぎる電位上昇などが無ければ、気中絶縁破壊が発生しなくなる。なお、電位上昇に対応する測定器側のスルーレートは内部高圧アンプのみに影響を受ける。これも現実では十分に高速であると判断することができる。
以上のように、振動容量型表面電位計を計測器として使用することにより、十分に正確な電位測定が可能になると考えられる。なお、以下に使用する計測装置の仕様の一例を示す。
(1)表面電位計
・表面電位計の方式:振動容量型、プローブへのリファレンス帰還型表面電位計
(例えばTREK社製、高速高圧表面電位計model341)
・測定限界:±20kV
・スルーレート:200μS(1kV時10〜90%)、計算上±10kV、振幅4mS
・プローブ対向距離:通常3mm、φ10以上の円錐部内の電位を判定。
(2)プローブシート
続いてプローブシートとそれを用いた計測システムであるが、ここでは、まず計測システムを図13に提示する。図13はプローブシートを用いた計測システムの概要を示しており、図14はプローブシートの一例を示す拡大図である。図14に示すように、プローブシート101は、シート基材101A、電極102,103、ケーブル106、被覆材104に分けられる。
(2−1)シート基材101A
白色PETシート(厚さt0.1mm)。
このシート基材101AはPET(ポリエチレンテレフタレート)で絶縁材であり、白色となっている。このような素材は市場性があり、画像出力紙としても使用可能である。
なお、特に白色でなくても良く、透明PETを使う場合、ウラからの転移撮影も可能である。
ここで、PETシートの抵抗は重要となる。通常の紙は低湿で表面抵抗が1015Ω/□と高抵抗になる。従って通常の紙と同程度の表面抵抗とする必要がある。
(2−2)主電極102,103
導電性フィルム(日本ジッパーチュービング社製、両面タイプ、DF 707 CFR、厚さ80μm)。
この導電フィルムは、ほぐれやクラックなどが無く、主にEMI関係で使われるものである。銅箔テープやアルミ蒸着テープなどではクラックが発生してしまうことがあるので、これへの対処となる。また、導電性フィルムは柔らかくしなやかであり、ニップ部に通すのに適している。
(2−3)ケーブル106
ポリウレタン高圧ケーブル。
細くしなやかな高圧ケーブルが望まれる。ポリエチレンケーブルなどでは硬いために不向きとなる。耐圧はDC10kV以上が必要である。なお、ここでは、ケーブルの引き回し方向をシートの搬送方向の下流側とした。これは搬送不良などの面倒が少ないためである。
同ケーブルと導電性フィルムの接続については、ハンダは融解時の流動性のよさにより、ケーブル下にもぐりこんでくれるために使いやすい。しかし、導電性フィルムのベース基材は熱に弱く、ハンダ付不可となった。そこで、ここでは導電性液体接着材などや、特別に補助電極(銅箔テープ等)105を置くことで導通させた。
(2−4)被覆材104
被覆材104には、電極を被覆する絶縁材やフッ素樹脂系のテープなどを用いる。
以上のような構成部材で作成したプローブシート101の特性は下記となる。
・電極幅:287×3mm ×1点 ×2面(オモテ面・ウラ面)
・厚み方向抵抗(R):1015MΩ以上/1000V印加(HP超絶縁抵抗計で測定)
・表面抵抗(ρs):1015Ω/□以上/1000V印加
(ダイヤインスツルメント社製ハイレスタUP UR−100プローブで測定)
・C(静電容量):110〜121pF/5V印加(LCRメータ、50〜1kHz)
(3)対向電極
この対向電極109となる金属板は、表面電位計110のプローブ111と対向して配置される。対向距離や面積は本計測系において、応答性に影響する。ここでは、10mm以上の対向幅とした。また、間隔は3mmとした。
(4)データ処理部(データレコーダ及びパーソナルコンピュータ)120
表面電位計からは1/1000の電位出力がモニタ信号として出力されている。それをデータ処理部120のデータレコーダは、転写・除電のタイミング信号を元に、10kHz以上の周波数でサンプリングし記録する。そのサンプリングしたデータはパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)にて統計処理をする。
なお、以上のプローブシート及び計測システムの構成において、電極のレイアウトなどは必要により変えても良い。図15にプローブシート上の電極の別の例を示す。
図15(a)は、シート基体101Aの一面の幅方向全面が電極102というプローブシートを示す。この構成ではニップ内や分離挙動などについては確かめられないため、二次転写では使用できないが、一次転写や現像部の評価の時には有用である。
図15(b),(c)には、抵抗ムラなどの品質バラツキなどをより細かく評価するために、シート基体101Aの長尺方向(幅方向)または搬送方向に3分割してある電極102を示す。これにより、中央・奥側・手前側などの転写の様子を比較できる。例えば、転写ローラの抵抗ムラや搬送路の僅かな曲率なども、電界の差として確認できる。
本発明では図13に示すように、以上のような構成のプローブシート101から出ている電極を高圧ケーブル106を介して対向電極(対向金属板)109に接続し、これを表面電位計110のプローブ111で非接触で読み取るため、転写系への計測器への干渉はほとんど無くなり、そのままの転写内電界を保持したまま、二次転写内部の諸特性を読み取ることができる。
次にシートが実際に受ける電界・放電などについて、下記にまとめて示す。
これらは、前述のようなニップ通過前と通過後にシート上のトナー帯電量差を測定することと異なり、リアルタイムで多くの情報は並列的に計測可能になる。以上の計測装置でリアルタイムに転写ニップ内及びニップ通過後の電位変動を計測した結果を図16に示す。図16(a)は転写ニップ部を通過するシートの経路を示しており、(b)はそのシートの通過領域に対応した電位の計測値を示している。図16に示すようにレイアウト上の領域(ニップ内、ニップ直後、収束後・・)によって異なる電位パターンが計測される。
図16に示す電位を各領域により説明すると、先に図9を参照して説明したように、転写ニップ内では、シートのウラ面側に転写ローラ22Aによりプラスの転写バイアスが印加され、中間転写ベルト側の対向ローラ16は接地(GND)されているため、シートのオモテ面の電位Va1とウラ面の電位Vb1とでは電位が異なり、電位差が生じるが、電位は安定している。これは転写電流による充電状態を示している。
ここで、ニップ内でのシートのオモテ面電位Va1は以外に低い値であるが、これが本当の意味での転写電界を表している。転写バイアスはこの電位差に相関する。
ニップ直後(シートの分離位置)では、剥離放電が生じるために、電位が大きく変動する。このうちプラス側のピーク電位は剥離時の放電状況を示しており、その後の電位低下は除電器112などの影響が絡んでいる。また、近接の影響も確認できる。剥離の状態や除電器112の影響なども観測でき、除電バイアスにより、この変動値が変わる。また、ニップ通過後、図9に示すような、転写チリを低減するための電荷付与手段113(負帯電トナーに対してマイナスの電荷を付与する)による影響(マイナス側に変動)も観測できる。
ニップ通過終了・変動完了後は、電位変動が収束する。この時の電位は、付近に帯電物体が無く、周囲物体より十分にギャップが確保できている場合、シートの残留電位状態を示している。また、シートのオモテ面とウラ面で異なる電位が計測されると、その電位差は残留電荷バランスと相関する。以上、各領域に対応する電位のパターンが観測できる。
さて、その示唆するところについては、ニップ内のデータは転写電界自体を示唆している。また、分離後のデータは、シートの剥離時の電荷移動と、AC除電による電荷消失、電荷付与手段による電位変動を示唆している。最後にニップ通過終了後・変動完了後のデータについては、紙の残留電荷状態を示唆している。
これらのデータは重要である。転写性・除電性を最適にするために、定量化指標として使える可能性がある。実際に、以下に示すように、同データを記録し、各領域で分別・統計処理を行った結果、転写・除電バイアス調整の指標として使用することができる。また、規格化も可能である可能性が高い。
なお、注目点としては、分離時の電位変動である。同変動は本来の転写に与えるバイアスよりも大きい電位となる。これは分離直後でプローブシートがフロートになるために、電位が急激に上昇すると考えられる。また、AC除電などの大きな交番放電電流が流れることによっても、スルーレートの応答性が損なわれたためと考えられる。これは計測器の性能であるが、ひどい時はプローブが故障することになる。
この状態は対向部材の対向面積の調整や対向距離・角度を正規よりも少し傾けるなどの操作により、追随性をさらに下げることにより振幅を下げて回避可能である。
次に二次転写バイアスの計測装置について、より詳しく説明する。
まず、プローブシート101の電極が非常に重要であるが、再現性などを改良する工夫について提示する。プローブシート101に設ける電極の一例としては、図13、図14に示すように、電極102,103として、厚さが80μmの導電性フィルムを、厚さが100μmの白色PETからなる基材101A上に貼付けて作成した。
ここで、実験試作が容易になるように電極をアルミ蒸着マイラなどのエッチングなどにより形成することを考える。この場合、被覆材104の絶縁部が上に来る場合が発生するが、これは放電ギャップを設けることになり好ましくない。例えば50〜150μm厚のフッ素樹脂系テープで、図17に示すように電極102の両端部を被覆した場合、絶縁被覆材104の厚みにより図18に示すようにギャップを構成するようになると、この部分ではギャップ内放電が観測されるようになる。すなわち図18に示すように、絶縁被覆材104によりシート上の電極12と中間転写ベルト10との間に隙間(ギャップ)が生じる場合には、パルス状放電ノイズなどが生じる。このため正確な電位計測ができなくなる。しかし、図14のように電極102,103及び被覆材104を形成した場合には、ギャップ内放電は生じなかった。従って、シート基材101A上に電極102を作成する場合、シート面に対して電極を凸とする必要がある。また、このように電極を形成する方法としては、導電性フィルム等からなる電極102をシート基材101Aに貼り付ける方法が最も簡単である。
また、図16に示すように転写ニップ内ではシートのオモテ面とウラ面には電位差が生じるが、この電位差を検知するには、やはりオモテ面の電極102とウラ面の電極103の2点が必要である。この電位差はプローブシート101の容量Cと、転写により与えられた電荷Qにより、V=Q/Cで発生する。この値Vを適切に設定するバイアスが判れば、転写電界の一定化は容易である。
また、プローブシート101の電極102,103に剛性が基材(PET)101Aに比べて高い素材を使うと、ニップ部通過後の分離が早くなったりして、異常データが増える。これは電極が厚くても同様であり、必要なのはプローブシート101の剛性と電極102,103の剛性がマッチしていることである。そこで、電極がシートの特性値に干渉しないように、ここではクラーク剛度などの規定を行なう。具体的には、電極を設置するシート基材101Aの厚みは0.01〜0.3mmであり、クラーク剛度が10〜150程度である。ここで上げる値はそれぞれ紙における一般的なクラーク剛度である。
プローブシート101の電極の材料として、導電性フィルムよりも入手しやすい銅箔テープは次のような不具合があり、また、電極素材として検討したアルミ蒸着マイラや導電ゴム材などはどれも不具合があった。銅箔テープは初期には十分なしなやかさを有するが、クラックが予兆なく発生し、データ計測不良となる例が見受けられた。これは銅箔テープの厚みがあまりに薄く、また転写ニップ通過により硬い金属ローラ間(例:レジストローラ間)で傷を受けて断線していくと考えられる。よって、ここでは特別に導電性フィルムという素材を用いることにした。
ここで、導電性フィルムの仕様を上げると、
両面導通タイプ:
銅ペーストタイプ 20μm、全厚35μm
アクリル系粘着材
表面抵抗 0.09Ω/□以下
上下間抵抗 0.1Ω以下
となる。特に特徴とするのは、導電布テープより発塵・ホツレが無く、銅箔テープよりも柔軟性と耐屈曲性に富みクラックしない点である。
続いて、計測装置の詳細を提示する。
一般に、放電が起きている時は、空気の絶縁破壊により電荷が移動する。この電荷量は微量だが、フロートとなっている電極では容量が非常に少ないため、高い電位変動を生じる。実機でもこれは同じである。今回の測定の結果、特に分離直後に電極自体の剥離が大きいことが判った。これは転写で電界を印加されているためと考えられる。さらに、AC除電装置からの放電を受けた時も電位の変動はより大きい。これらの測定には、高いサンプリング周波数、例えば10kHz以上〜数10MHzの振幅が必要となる。
一方で、転写ニップ内の電位は、転写系の電気回路から来るものであり、電流も放電に比べると多く、低電位である。よってニップ内では数10mS以上のサンプリングタイムとしても十分な電位計測が行なえる。
以上、領域により対象体の電位安定性が代わるのは当然であるが、ここではこれらの電位を測定するのに効率を考える。より具体的には、ニップ内とニップ直後の各計測ゾーンでサンプリング周波数を変えて、ニップ内では低速サンプリングを、ニップ直後からは高速サンプリングをすることで記録データなどの効率化が行なえる。
次に、再び図16に示した転写ニップ通過後の電位変動について考察する。
転写ニップから分離時の電極電位の変動は、以下のようになる。
1.所持電荷と周囲への被転写体の保持電荷が剥離時に静電容量の急激な減少に応じて、電位が上がる(主現象)。
2.ギャップを持つ2物体間の電位が放電開始電圧より高くなると、パッシェン則により気中絶縁破壊が発生して、電荷が移動する。
3.同電荷はさらに保持電荷を変えるため、同電位を変動させる。
すなわち分離時の電位変動は、上記の1〜3などが発生し、電位計の追随性能が限界を超えると発生すると考えられる。この場合、AC除電を加えると、追随遅れだけでなく、帰還位相が逆転して正帰還までかかる状態に陥っていると考えられる。これは発振間近な状態であって、この時の電位値は参考値にせざるを得ない。
本来、このノイズ高が放電電荷移動を示すものである。同ノイズの最高値を検出できるのが望ましいが、現状の測定手段では困難となる。従って、ここでは便宜上、電位安定部から最初の電位上昇部分だけ観測し、この範囲での最大変動幅を特性因子として残すようにした。
ここで図19に二次転写ニップ部の出口側で発生していると思われる転写チリ(異常画像)の一例を示す。このチリは、転写紙が高抵抗時(低温・低湿度環境や両面時)に発生するが、暈(カサ)状に離れて飛散する。軽度では後端下流側に発生する。重度では全方向または側面に発生する。ところが、このチリランクと、分離時の電位上昇とは相関があり、ぞれぞれ図20、図21のようになっている。これらは、画像面や背面からの除電などの評価の結果であるが、分離などの影響が高いということの証拠でもある。
ここで、図20は、オモテ面の出口ピーク電位(Vex_fnt)とベタチリランクの関係を示している。このピーク電位(Vex_fnt)はレイアウト上、シートのオモテ面の分離と同じタイミングで生じる。このピークは、中間転写ベルトとの静電容量が小さくなるための電位上昇から発生していると考えられる。これは、ニップ排出時にウラ面のAC除電を与えた時の実験データによる。また、図20では、オモテ面ピーク電位が(+)に高い方がベタチリが改善されている。なお、ニップ排出後のシートのオモテ面側の電位が高いということは、ウラ面にまだ(+)電荷が残っていて、ACによる除電がまだ終わらない状態であることを示している。
図21はシートのウラ面分離電位(オフセット=収束後電位)とベタチリランクの関係を示している。また、この図では、計測時に二次転写出口側にて、シートのオモテ面側に電荷付与手段で遠距離よりイオン風をあてている。また、転写バイアスを振って、シート上電位とチリに関する相関関係を測定した。なお、この実験では、ウラ面のAC除電はオフとした。
ここで上記の特性値”ウラ面分離電位(オフセット=収束後電位)=裏面電位ピーク”とは、「ウラ面側の端子で計測される値に関して、紙分離の時の急激な電位上昇の頂点値Aから、紙が下流側で安定した時の値Bとなった時の電位降下量(V)」を示している。本来の裏面電位ピークはBの値である。なお、図21の裏面電位ピークが(−)の数値なのは、解析上の都合による。
図21のグラフより下記のことが説明できる。
・紙の分離時、(+)側電位上昇が少ない方が改善される。
・紙の収束後、(+)側電位が高い方が改善される。
その意味は、
・本イオン付与により、ウラ面(+)電荷状態は一定でも、オモテ面側の(−)電荷の入出があり、分離後の紙電位などで影響が出ている。本来は付与イオン量は少ないが、イオン付与先の系では内部抵抗がどれも高いために、微小イオン流の付与でも大きな電位変化が生じる。
・(−)イオンの付与が多いほどベタチリが良い傾向にある。これはベタチリがベタ周囲の(−)電位が低いために生じていることを示す。従って、周囲に(−)イオンを印加して、ポテンシャル障壁を作る事で、紙上でのベタチリを削減できる。
・ただし、イオン付与が多すぎて、収束後のウラ面電位が(−)側になるほどになると、逆にベタチリは悪化する。よって本来の転写バイアスによる帯電とのバランスが必要となる。
これは、転写電界による残留電荷、AC除電の効き具合、オモテ面への中間転写体の(−)イオンの付与などから規定されると予測することができる。
補足すると、本来なら紙はベルト分離前には裏面に(+)電荷が載せられている。これによりオモテ面側にも(−)電荷が引っ張られるはずである。しかし高抵抗紙では、この(−)印加が不足すると考えられる。このため、オモテ面側より(−)電荷を追加してやるのが良い。
これらより、ベタチリの改善には、オモテ面側への(−)イオンの適切な付与が対策となりうる。
従って、ベタチリなどの異常画像の改善には、図9に示したように、転写ニップ通過後の転写紙のオモテ面側に(−)電荷を付与する電荷付与手段113を設けるとよい。
以上、計測系の限界から、電位変動の最初の部分だけに注目した結果、同電位上昇を特性値としての使用が可能とわかった。これにより、同特性値は転写チリなどの異常画像と関連があり、同方法による定量化などが可能になる。
次にプローブシートの電極の有り方を考える。
同一タイミングでのニップ進入・分離動作が無いと、今回の問題は不良となる。本発明の計測装置においては、プローブシート101の電極は基体の搬送方向と直角となるようにしており、ここではT字型やΓ字型となっている。これは作りやすさの他に、ニップ進入・排出のタイミングの安定化のためである。同タイミングで横面全面が計測できれば最もノイズに対して有益である。これはニップ内・外とで大きな条件変化が有ることを考慮した上で提案したものである。
次にプローブシートの基体材質の抵抗を考える。
PETシートによる測定は、高抵抗紙の通紙を真似ることはできるが、中抵抗紙を真似ることはできない。最も通紙量の多い通常の普通紙は、計測プローブシートの基体とした時、実験室環境の影響(湿度等)を受けて抵抗が大きく振れる、また、繊維の隙間からリークが発生して、これが安定な測定を妨げる、などの問題がある。
そこで、ここでは表面抵抗が10〜 1015Ω/□となるような中抵抗の高分子樹脂シートをプローブシートの基材に使用した。特に材質としては、例えば中間転写ベルト10などに使われるポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)なども使用可能であり、安定な測定が可能になる。
次にプローブシートの下流側の這い回しケーブルについて検討する。
電極付きのプローブシートは、通常、ケーブル方向に搬送されると仮定する。下流側に伸びる長い線は本来DC成分はもちろん、AC成分に対しても絶縁されてなくてはならない。しかし、この縦線部にはテフロン(登録商標)線などの高絶縁材が使われ、DC絶縁性は一応は満足できる。
ただし、AC間を通過する際に高絶縁材の静電容量を介して、電荷が混入することがある。これにより、測定時のSN比(信号・ノイズ比)が下がる可能性がある。なお、この対策としては、本来の計測電極は横に十分に大きくし、かつ長い方はなるべく細い線にしてSN比を稼ぐことである。これにより、SN比は一応は確保できる。
実際には、正規電極287mmに対して、上下線はmm単位以下の断面となるので、SN比が改善できる。なお、導電性フィルムの場合でも3mm×80μmの断面積程度であるため、これもケーブルから拾うノイズは正電極の数1000分の1となり、SN比も確保できる。
次に計測器の振幅限界を超える信号振幅を入力段で削減することを狙い、これにより計測SN比を上げる方法を述べる。
これは、電極を複数置く場合において、各電極の出力にコンデンサなどの容量分を要れることである。この場合、図22(a),(b)に示すように、数100pF〜0.001μFの高圧用(10kV以上)のコンデンサーCを置くとよい。
また、同様の考えにより、これらの電極が一平面上にある場合は、電極間隔を小さく取って、静電容量を高める。
このような電極は各電位変動が抑制されるため、今回の改善により電位が適度に鈍ることになる。
次にプローブシートの基体からのケーブルの取り出し方向について検討する。
既に述べてきたプローブシート101の下流側にケーブル106を引き回す方式では、ケーブルが高圧ニップ間を通る時にノイズがある程度は発生する。この点、図23に示すような、プローブシート101の横方向にケーブル106を出す方式は非常にハンドリングが面倒となるが、精度を要求するときには採用を検討せざるをえない。
ただし、実際の機械では側板などがこの配線回しの障害となる。また、邪魔されないようにケーブルを何重かにループを巻くやり方では、高速のノイズをコイルとして拾うことになり、あまり好ましくない。
従って、ここでは図13,14等に示したように、プローブシート101の搬送方向下流側にケーブル106を延ばす方式を採用する方が良いとする。また、この場合は、ハンドリングの問題も少なくデータを取得できやすい。
次に本発明に係る転移バイアスの評価方法と、その評価方法による転写条件の設定方法について述べる。
前述の図19,20,21を用いた評価方法による転写条件の設定例を以下に上げる。従来の転写条件の設定、または異常画像の対策は、画像形成装置による画像出力が可能になってから行なうものだが、多くの周辺ユニットの完成を待たねばならない。さらに特殊環境・特殊紙などは手間がかかる。例えば、前記に取り上げた異常画像は転写チリだが、これは低湿時に、高抵抗紙などで発生する。
ここで、特性値は、図20にある紙分離時における電位上昇であり、これが+4kV以上となる場合はチリは改善される。また一方で、紙の画像面側に(−)のイオンなどを当てる場合、同様の分離時の電位上昇を観測できる。この結果は図21に示すようになり、やはり分離時の電位変化が多いほど改善されるという結果が見えており、これは低湿環境下でも同様となる。今回の方法により、簡単な治具により不具合のないバイアス設定が可能となる。同様に、通常の室温環境でも低温・低湿時の不良などを改善できることになる。
以上、本発明に係る計測装置においては、プローブシートの転写ニップ出口での電位の計測値において、ピークを+1kV以上にさせる最適な転写条件を設定することにより、転写チリを無くす方向となる。また、+4kV以上では、かなりの最適化がなされる。なお、この値は異常画像:転写チリの改善に関してであり、それ以外には無関係である。ただし、体系的大テストを経ることなく、その効果を確認できる。このような時、環境や紙種も多く評価する必要もなくなり、開発に対する効率や信頼性が増す。
次に本発明に係る評価方法では、転写条件の設定も容易である。ここでは、同様の試験装置により、オモテ面側の電位を0〜300Vという低い値で転写している。これも同様に画像出し前にて計測するだけで設定が可能になる。これはどのような種類の紙でも、どのような環境下でも画像出力なしで検討することができる。
従来、転写バイアスの設定は、転写ローラ軸における電位や電流等を念頭にして行なわれてきたが、転写紙のオモテ面とベルト間の転写電位はそれほど高くなく、実は現像ローラ電位と同程度である。
次に除電電圧についても確認する。図24は転写ニップ通過直後にシートの除電を行なう場合の除電AC電圧の振幅と、シート材のオモテ面とウラ面の電位差の関係を示す図であり、aは転写ニップからの排出直後、bは電位収束後の値を示している。図24では除電AC電圧を上げることにより、収束電位が変わることを示している。ここで、紙の分離点直後の電位上昇が8kVpp以上では大きく変化している。これは除電電流の転写内への回り込みが始まったと考えられる。このように、除電電流などを紙種・画像を変えることなく設定することにより、除電設計を容易に行なうことができる。
なお、前述の分離時の電位上昇特性は、非常に計測器にとりシビアな特性を必要とする。そのような特性の計測器は、元々小型化・低コスト化や、機械組込時にも無理が発生する。そこで、ここでは、この分離特性値の測定能力を故意に低減させる手もある。これは、前述の正帰還による計測の発振状態を無くすための対策である。
ここでは、ニップ排出後、一定の応答不能時間を持たせた後に、再度測定するようにする。具体的には、計測器(表面電位計)の分離直後から一定時間のプローブの振動子と帰還をストップする。これにより、正確な値は観測できなくなるが、振動子にはまだ電位振動による誘電電流が励起されるため、それ自体で電位をある程度は測定できる。そして、この値を元に設定は可能である。これは特にAC除電器などがニップ部に近い位置に配置されている場合に必要な手である。
すなわち、AC除電器などがニップ部に近い位置に配置されている場合、電位を計測するとAC電圧により大きく変動する。この電位変動の原因は、(1)転写紙の分離、(2)除電によるAC放電、(3)電位計の自らのその誘導電位となる。ここでは(3)の誘導電位の落ち着くまでの期間を不応答期間とする。これは電位計の変動→安定までの期間であり、各計測器メーカ・型番により変わるものである。なお、除電がDCバイアスのみで駆動される低コスト機では、この不応答期間は少なくても済む。
さらに同様に、同不応答時間は計測器の帰還量によっても大きく異なる。ここでは非常に高い電圧変動が生じたときに、一旦、強力な負帰還量をつなげ、それ以外は外しておくような、プロテクトを考えるものである。
具体的には、電位変化応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは計測器の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節する。この計測系自体の過渡応答を抑えることにより、より安定した測定を狙うことができる。また、計測器の応答性を制御する場合と異なり、ここではギャップ量を調節することによる効果を狙うことができる。
次に本発明に係る画像形成装置においては、以上に説明した計測方法及び装置を用いた転移バイアス設定方法により転移バイアスの設定を行なうので、一次転写バイアス、二次転写バイアス等の設定を良好に行なうことができる。
また、前記計測方法または計測装置は、図1〜5に示したような複数の感光体と中間転写体を備えたタンデム型の画像形成装置に好適に利用でき、特に二次転写部での電位計測に最適である。また、この場合には、計測の自動化も可能である。
ここで、図25は画像形成装置の二次転写ニップ部でのバイアス計測を自動的に行なう計測システムを、画像形成装置内に組み込んだ例を示すものである。
図25に示す画像形成装置では、給紙部とは別に観測用シート(プローブシート)101を収納する収納部130を有し、該収納部130内のプローブシート101を、搬送ローラ131を介して二次転写部に搬送し、転写ニップ部を通過させながらプローブシート101の電位を表面電位計(図示せず)で計測できるようになっている。また、表面電位計の出力を制御部のマイクロコンピュータに入力して、メモリに記憶されている基準データと比較し、最適な転写バイアスを評価できるように設定しておけば、転写バイアスの自動設定も可能となる。なお、プローブシート101の電極部が転写ニップを通過した後に転写ローラ22Aが停止し、計測後に転写ローラ22Aが逆転するようにしておけば、計測後のプローブシート101を収納部に130に戻すことができ、転写バイアスの自動計測、評価、設定システムを構成することができる。
以上説明したように、本発明に係る転移バイアス計測方法及び計測装置、転移バイアス評価方法、転移バイアス設定方法は、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置における一次転写バイアス、二次転写バイアス等の計測、評価及び設定に好適に利用することができるので、常に最適なバイアス設定が可能となり、長期間に渡って画像品質を保証することができる。また、画像形成装置の開発や設計時の無駄な試験や実験を減らすことができ、メンテンナンス時の作業性の向上も図ることができる。また、タンデム型のカラー画像形成装置のような大型の機種では、装置内部に計測装置を組み込んで利用することができるので、転写バイアス等の自動計測、評価、設定が可能となる。
本発明の一実施形態を示すものであり、タンデム型で間接転写方式のカラー複写機の概略構成図である。 図1に示すカラー複写機のタンデム型画像形成装置部分を拡大して示す概略構成図である。 図2に示すタンデム型画像形成装置の一部を拡大して示す概略要部構成図である。 図1に示す複写機のトナーリサイクル装置の概略構成を示す説明図である。 図1に示す複写機の感光体クリーニング装置の回収スクリュの一端部分の拡大図である。 本発明に係る計測方法の説明図である。 ポッケルスセンサを用いた計測装置の一例を示す図である。 ポッケルス素子の動作の説明図である。 本発明に係る観測用シートを用いて計測を行なう場合の二次転写部の一例を模式的に示す図である。 観測用シートの別の構成例を示す図である。 表面電位計による計測方法の説明図である。 振動容量型表面電位計の構成例を示す図である。 本発明の一実施例を示す図であって、プローブシートと表面電位計を用いて二次転写部のバイアス計測を行なう計測装置の概略構成図である。 プローブシートの一例を示す図である。 プローブシート上の電極のレイアウトの例を示す図である。 図13に示す計測装置でリアルタイムに転写ニップ内及びニップ通過後の電位変動を計測した結果を示す図であって、(a)は転写ニップ部を通過するシートの経路を示す図、(b)はそのシートの通過領域に対応した電位の計測値を示ス図である。 プローブシートの失敗例を示す図である。 図14に示すプローブシートを用いた場合の転写ニップ部におけるギャップ放電を示す図である。 二次転写ニップ部の出口側で発生する転写チリ(異常画像)の一例を示す図である。 シートのオモテ面の出口ピーク電位(Vex_fnt)とベタチリランクの関係を示す図である。 シートのウラ面分離電位(オフセット=収束後電位)とベタチリランクの関係を示す図である。 プローブシートの電極間にコンデンサを接続した例を示す図である。 プローブシートの横方向にケーブルを引出した例を示す図である。 転写ニップ通過直後にシートの除電を行なう場合の除電AC電圧の振幅と、シート材のオモテ面とウラ面の電位差の関係を示す図である。 画像形成装置の二次転写ニップ部でのバイアス計測を自動的に行なう計測システムを、画像形成装置内に組み込んだ例を示す図である。
符号の説明
10:中間転写ベルト(中間転写体)
16:対向ローラ(2次転写対向部材)
17:中間転写ベルトクリーニング装置
18(18Y,18M,18C,18B):画像形成ユニット
20:タンデム型画像形成装置
22:2次転写装置
22A:2次転写ローラ
25:定着装置
40(40Y,40M,40C,40B):感光体ドラム(像担持体)
49:レジストローラ
60(60Y,60M,60C,60B):帯電装置
61(61Y,61M,61C,61B):現像装置
62(62Y,62M,62C,62B):1次転写装置
63(63Y,63M,63C,63B):感光体クリーニング装置
64(64Y,64M,64C,64B):除電装置
65:現像スリーブ
100:複写機本体
101:観測用シート(プローブシート)
101A:シート基材(基体)
102:オモテ面電極
103:ウラ面電極
104:被覆材
105:補助電極(接続補助)
106:高圧線(ケーブル)
109:対向電極(金属板)
110:表面電位計(電位測定器)
111:電位計プローブ
112:除電器
113:電荷付与手段
120:データ処理部(データレコーダ及びパーソナルコンピュータ)
130:プローブシート収納部
130;搬送ローラ
200:給紙テーブル
300:スキャナ
400:原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (21)

  1. 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを計測する転移バイアス計測方法であって、
    計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、計測した電位の時間変動を記録し、該記録値を元に転移バイアスを決定することを特徴とする転移バイアス計測方法。
  2. 請求項1記載の転移バイアス計測方法において、
    前記ニップ部は、前記像担持体から前記転写用紙にトナーを転移する一次転写部、あるいは前記中間転写体から前記転写用紙にトナーを転移する二次転写部のうちのいずれかのニップ部であり、該ニップ部内を前記プローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を前記電位測定器を用いて計測することにより、一次転写バイアス、二次転写バイアスのうちのいずれかを計測することを特徴とする転移バイアス計測方法。
  3. 請求項1または2記載の転移バイアス計測方法において、
    前記電位測定器として表面電位計を用い、前記観測用シートの電位を前記表面電位計で非接触で計測することを特徴とする転移バイアス計測方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法において、
    前記電位測定器の応答性を制御することを特徴とする転移バイアス計測方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法に用いる計測装置であって、
    プローブとして用いられる電極を有する観測用シートと、該観測用シートの電位を計測する電位測定器と、該電位測定器の出力が入力されるデータ処理部を備えたことを特徴とする転移バイアス計測装置。
  6. 請求項5記載の転移バイアス計測装置において、
    前記電位測定器として表面電位計を備え、前記電極を有する観測用シートをニップ部内を通過させ、前記電極の電位を表面電位計で測定することを特徴とする転移バイアス計測装置。
  7. 請求項6記載の転移バイアス計測装置において、
    前記電極を観測用シートの2つの面に配置したことを特徴とする転移バイアス計測装置。
  8. 請求項5乃至7のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記電極を有する観測用シートの基体は、厚みが0.01〜0.3mm、クラーク剛度が10〜150程度としたことを特徴とする転移バイアス計測装置。
  9. 請求項5乃至8のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートに設けられる電極は、可撓性の導電性フィルム材からなることを特徴とする転移バイアス計測装置。
  10. 請求項5乃至9のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートが前記ニップ内を通過し終わるまではサンプリング周波数を下げ、通過直後ではサンプリング周波数を上げることを特徴とする転移バイアス計測装置。
  11. 請求項5乃至10のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートの分離開始時の電位変動分を測定データとして取ることを特徴とする転移バイアス計測装置。
  12. 請求項5乃至11のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートに設けられる電極は、該観測用シートの基体の搬送方向と直角となるように配置されることを特徴とする転移バイアス計測装置。
  13. 請求項5乃至12のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートの基体の表面抵抗が、10〜1015Ω/□となることを特徴とする転移バイアス計測装置。
  14. 請求項5乃至13のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置において、
    前記観測用シートの電極にケーブルを接続し、該ケーブルを、シート搬送方向下流側へ延長することを特徴とする転移バイアス計測装置。
  15. 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを評価する転移バイアス評価方法であって
    請求項1乃至4のいずれか一つに記載の転移バイアス計測方法を用いるか、あるいは請求項5乃至14のいずれか一つに記載の転移バイアス計測装置を用い、前記転写部のニップ部内をプローブとなる観測用シートを通過させると共に、該観測用シートの電位を電位測定器を用いて計測し、該計測値を元にバイアス条件を評価することを特徴とする転移バイアス評価方法
  16. 電子写真方式の画像形成装置において、像担持体または中間転写体から転写用紙へ転移バイアスによるトナー転移を行なう転写部における前記転移バイアスを設定する転移バイアス設定方法であって
    請求項15記載の転移バイアス評価方法を用い、バイアス条件の評価結果に基づいて転移バイアスを設定することを特徴とする転移バイアス設定方法
  17. 請求項16記載の転移バイアス設定方法において
    前記転写部における転写ニップ出口での観測用シートの電位の計測値に基いて、計測電位値のピークを+1kV以上にさせる転写条件を設定することを特徴とする転移バイアス設定方法。
  18. 請求項17記載の転移バイアス設定方法において
    前記転写ニップ内の画像面側電極の電位測定値を−300〜300Vに設定することを特徴とする転移バイアス設定方法。
  19. 請求項18記載の転移バイアス設定方法において、
    前記転写ニップから出た直後の転写電位の測定自体を応答不能時間とした時間を持たせることを特徴とする転移バイアス設定方法。
  20. 請求項16乃至19のいずれか一つに記載の転移バイアス設定方法において、
    電位変化の応答について、波形安定化の時間を、非接触電位計のスループットゲイン、もしくは非接触電位計の非接触ギャップのギャップ量を調節することで調節し、応答時間を調節することを特徴とする転移バイアス設定方法。
  21. 並設された複数の像担持体と、各像担持体に色の異なるトナー画像を形成する画像形成手段と、各像担持体に形成された各色の画像が順次重ね合わせて一次転写される中間転写体と、該中間転写体上の画像を一括して転写材に二次転写する二次転写部を備えた画像形成装置において、
    前記二次転写部における転移バイアスの計測、設定を行う手段を備え、
    該転移バイアスの計測、設定を行う手段は、
    前記転写材の給紙部とは別に計測用のプローブとして電極を有する観測用シートを収納する収納部と、該収納部内の観測用シートを前記二次転写部に搬送して転写ニップ部を通過させる手段と、該転写ニップ部を通過する前記観測用シートの電位を計測する表面電位計と、該表面電位計の出力が入力される制御部を有し、
    前記制御部は、前記表面電位計の出力とメモリに記憶されている基準データとを比較して転移バイアスを評価し、該評価結果に基づいて該転移バイアスを設定することを特徴とする画像形成装置
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