JP4480688B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
伸縮性サイドパネルを有するパンツ型の使い捨ておむつが知られている(例えば特許文献1参照)。この種のパンツ型使い捨ておむつは、サイドパネルの有する伸縮性に起因して、着用者の身体に密着しやすい傾向にある。従って、着用者の身体とおむつとの間に隙間が生じにくい。このことは、漏れ防止の観点からはプラスに作用する。その反面、着用者の身体から生じた水蒸気が着装内に滞留しやすく、湿度が上昇しやすくなり、蒸れの原因になるというマイナスの作用もある。
前記のおむつにおいては、サイドパネルが伸縮性を有することに加えて通気性ないし透湿性を有していてもよいとされている。こうすることによって、着装内の湿度の上昇をある程度抑制することは可能である。しかし、蒸れが最も生じやすい部位は、サイドパネルよりもむしろ吸収体及びその近傍の部位なので、サイドパネルに通気性等を付与しただけでは、蒸れを十分に防止することはできない。また吸収体の吸収量を落とせば吸収体が薄くなることで吸収体の通気性は向上するが、その反面、漏れが生じやすくなってしまう。
特公平8−17792号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、親水性を有する長繊維のウエブと高吸収性ポリマーとを含む吸収体を具備し、前記高吸収性ポリマー100g/m2あたりの該吸収体の通気抵抗値を0.4kPa・s/m以下となした吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の吸収性物品においては、吸収体が、親水性を有する長繊維のウエブを有しているので、それに起因して吸収体は柔軟性が高くなり、且つ吸収性能を落とすことなく充分な通気性を確保できる。その結果、本発明の吸収性物品よれば、着用者の身体に対するフィット性が高くなり、また着用中における着装内の湿度上昇が抑制される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつが示されている。図2は図1におけるII−II線断面図である。本実施形態のおむつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている。
表面シート2としては、不織布やそれに多数の開孔を形成したもの、或いは穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シート2は、液透過性であることに加えて通気性も有している。裏面シート3は、液不透過性であることに加えて透湿性も有している。本発明において通気性というときは、主として空気の透過性に関する性質をいう。また透湿性というときには、主として水蒸気の透過性に関する性質をいう。通気性があるということは、空気はもちろんのこと、水蒸気の透過性もあることを意味する。同様に透湿性があるということは、水蒸気はもちろんのこと、空気の透過性もあることを意味する。
おむつ1は、股下部の両側縁が円弧状に湾曲しており、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2及び裏面シート3はそれぞれ、吸収体4の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している。表面シート2は、その幅方向の寸法が、裏面シート3の幅方向の寸法よりも小さくなっている。その結果、表面シート2の左右両側縁2a,2bは、裏面シート3の左右両側縁3a,3bよりも、幅方向の内方で終端している。
裏面シート3の外面には、通気性を有する外装シート5が配されている。外装シート5と裏面シート3とは、例えばホットメルト粘着剤によって接合されている。裏面シート3が有する透湿性を損なわないようにするために、ホットメルト粘着剤は、例えばビード塗工やスパイラル塗工のような間欠パターンで塗工されている。外装シート5は、表面シート2及び裏面シート3の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出し、おむつ1の輪郭を画成している。外装シート5の素材としては、例えば各種不織布が用いられる。
おむつ1における長手方向の両側には、一対の立体ギャザー6,6及び一対のレッグギャザー7,7が、各々弾性部材を配設することによって形成されている。両ギャザー6,7は何れもおむつ1の長手方向に延びている。立体ギャザー6は、弾性部材61を有する立体ギャザー形成用のシート材62から形成されている。立体ギャザー6の働きは、吸収体4に吸収されずに横方向へ拡散してきた液がそれ以上横方向へ拡散しないようにするための障壁なので、立体ギャザー6を構成するシート材62は撥水性のものであることが好ましい。またおむつ1の着用中における着装内の湿度上昇を抑える観点から、通気性を有することが好ましい。
また、立体ギャザーは、左右一対で一組用いるだけでなく、二組以上用いてもよい。この理由は次の通りである。吸収体4及びその近傍の通気性を確保する観点から、吸収体を一層薄くし、また平均密度をできるだけ小さくすることが望ましい。しかし、そのような吸収体は、大量の尿が***された場合や、速い速度で尿が***された場合(例えば着用者が高月齢の乳幼児や大人の場合)、一時的な液のストック能力に余裕があまりない状態が起こり得る。従って漏れ防止の観点から一対の立体ギャザーを二組以上用いることが好ましい。一対の立体ギャザーを二組以上備えた吸収性物品の詳細については後述する。
以上の各観点から、シート材62としては、それ自体撥水性を有するか、又は撥水処理された不織布、開孔フィルム等を用いることが好ましい。開孔フィルムは、後述の水蒸気透過性を有するシートの概念を含む。特に不織布、又は不織布と開孔フィルムとの積層体を用いることが好ましい。好ましい不織布の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を単独で用いた繊維又はこれらの複合繊維を用いた、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンースパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンーメルトブローンースパンボンド不織布等が挙げられる。
立体ギャザーを形成するシート材62は、これらの不織布と弾性体とを複合化して形成してもよいし、予め不織布に繊維状エラストマー材料を複合化したシート材料に伸縮性を付与したシートを用いてもよい。伸縮性を付与する方法としては、エラストマーと不織布を未伸長下で複合化した後に、不織布にスリット加工や、ある種の破砕処理を施す方法が挙げられる。
シート材62は、おむつ1の長手方向に延びる縦長形状のものであり、その一側縁に弾性部材61が伸長状態で固定されている。シート材62は、吸収体4の左右両側縁よりも幅方向の外方の位置において、おむつ1の長手方向に沿って表面シート2に接合されている。その接合部が、立体ギャザー6の立ち上がり基端部6aとなっている。
シート材62は、基端部6aから幅方向の外方に延出しており、その延出部において、透湿性のシートと接合していることが好ましい。例えば、図2に示したように、シート材62と裏面シート3とが直接接合されることが、立体ギャザー6の液拡散防止や、おむつ1の防漏性向上の観点から好ましい。更に詳しくは、図2に示すように、更にシート材62は、基端部6aから幅方向の外方に延出している。その延出部の途中において、シート材62は、裏面シート3と直接接合されている。更に、シート材62は、その延出部の先端部において外装シート5と接合されている。これによって、レッグフラップL(図2参照)が形成されている。レッグフラップLには、一本又は複数本(本実施形態においては複数本)のレッグ部弾性部材71が、略直線状に配設されて、レッグギャザー7が形成されている。レッグ部弾性部材71は、シート材62の延出部が、裏面シート3に接合している位置と、外装シート5に接合している位置との間の領域において、シート材62と外装シート5との間に配設されている。
先に述べた通り、シート材62は通気性を有している。同様に外装シート5も通気性を有しており、また裏面シート3は透湿性を有している。従って、レッグフラップLは通気性ないし透湿性を有している。従って、おむつ1においては、吸収体4の左右両側縁よりも幅方向の外方の部位が通気性ないし透湿性を有している。換言すれば、幅方向の最外方に位置するレッグ部弾性部材71と吸収体4の側縁との間の部位が通気性ないし透湿性を有している。
おむつ1の左右両側部の構成は以上の通りになっており、一方、おむつ1の前後両端部の構成は次の通りになっている。おむつ1の前後両端部においては、吸収体4の前後端縁から表面シート2、裏面シート3及び外装シート5が延出し、これらが接合されて、おむつ1の幅方向に延びるウエストフラップW(図1参照)を形成している。ウエストフラップWを構成するこれらのシートは、すべて通気性ないし透湿性を有しているので、ウエストフラップWは通気性ないし透湿性を有している。
ウエストフラップWにおいては、前述したシート間に、幅方向に延びるウエスト部弾性部材81が一本又は複数本配されて(本実施形態では一本)、ウエストギャザー8が形成されている。前述した通り、ウエストフラップWは通気性ないし透湿性を有しているので、長手方向の最外方に位置するウエスト部弾性部材81と吸収体4の端縁との間の部位は、通気性ないし透湿性を有している。なお本実施形態においては、前後のウエストフラップWにウエスト部弾性部材が配されているが、おむつ1の具体的な用途によっては、前後のウエストフラップWの何れか一方にのみウエスト部弾性部材が配されていてもよい。
おむつ1における長手方向の一方の端部においては、その両側縁部に一対のファスニングテープFTが取り付けられている。また、他方の端部においては、外装シート5上にランディングテープLTが取り付けられている。ファスニングテープFT及びランディングテープLTは、おむつ1の着用状態において、ファスニングテープFTがランディングテープLTに止着するような構成になっている。例えばファスニングテープFT及びランディングテープLTは、面ファスナのループ部材とフック部材との組み合わせからなる。
図2に示すように、おむつ1における吸収体4は、親水性を有する長繊維のウエブ4aを有している。ウエブ4aには、高吸収性ポリマー4bが埋没担持されている。吸収体4は、十分な吸収容量を有しながらも、薄型且つ低坪量であり、更に高通気性を有することによって特徴付けられる。
埋没担持とは、高吸収性ポリマーが、長繊維(特に、捲縮した長繊維)によって形成される空間内に入り込んで、着用者の激しい動作によっても該ポリマーの極端な移動や脱落が起こりにくくなっている状態を言う。このとき、長繊維は高吸収性ポリマーに絡みつき、あるいは引っ掛かりを生じ、あるいはまた、高吸収ポリマーは自身の粘着性により長繊維に付着している。長繊維が形成する空間は、外部から応力を受けても変形しやすく、また、長繊維全体で応力を吸収することができるので、空間が破壊されるのを防いでいる。高吸収性ポリマーは、少なくともその一部がウエブ4a中に埋没担持されている。吸収体1の製造条件によっては高吸収性ポリマーのほぼ全部がウエブ4a中に均一に埋没担持される場合もある。
長繊維の繊維径に特に制限はない。一般に1〜10dtex、特に1.7〜7.8dtexの長繊維を用いることで満足すべき結果が得られる。また、吸収体に耐よれ性やクッション性を付与したい場合は、特に2.1〜7.2dtexの繊維を用いることが好ましい。本明細書において長繊維とは、繊維長をJIS L1015の平均繊維長測定方法(C法)で測定した場合、好ましくは70mm以上、更に好ましくは80mm以上、一層好ましくは100mm以上である繊維のことをいう。ただし、測定対象とするウエブの全長が100mm未満である場合には、当該ウエブ中の繊維の好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、一層好ましくは80%以上がウエブ全長にわたって延びている場合に、当該ウエブの繊維は長繊維であるとする。また、該長繊維の一部が切断され繊維長が上記値を下回る繊維(切断された繊維)が、吸収体中に混合されても良い。
前述の通り、長繊維は親水性を有するものである。親水性を有する長繊維として本発明において用いられるものには、本来的に親水性を有する長繊維、及び本来的には親水性を有さないが、親水化処理が施されることによって親水性が付与された長繊維の双方が包含される。好ましい長繊維は本来的に親水性を有する長繊維であり、特にナイロンやアクリル、アセテートやレーヨンの長繊維が好ましい。とりわけアセテートは湿潤しても嵩高性が保持されるので特に好ましい。アセテートとしては、セルローストリアセテート及びセルロースジアセテートが好ましい。とりわけ水分率が10%未満の繊維であるアセテートは湿潤しても嵩高性が保持されるので特に好ましい。ここで、水分率は25℃、相対湿度65%の環境下で測定した値である。
本明細書において親水性ウエブとは、その配向方向について測定されたクレム吸水度が好ましくは20mm以上、更に好ましくは30mm以上であるものを言う。クレム吸水度の測定は、例えば以下のように行われる。吸収体1の高吸収性ポリマーが含まれている部分から、高吸収性ポリマーを取り除き、吸収体1中における長繊維の捲縮率を維持した状態で、長繊維のウエブを用いて、クレム吸水度の測定を行う。測定には、0.3%の赤色2号(外添)で着色したイオン交換水を用いる。セットしてから30秒後の水面からの高さをクレム吸水度とする。なお、クレム吸水度は、JISP8141(1996)「紙及び板紙のクレム法による吸水度試験方法」に準じて測定する。測定方向は、吸収体1の長手方向のみを計測している。試験片は幅15mmとする。3点の試験片の測定値の平均値をもってクレム吸水度とする。試験片によっては幅方向でクレム吸水度にばらつきが出るが、その場合は幅方向で略平均(目視)した値を測定値とする。
吸収体から高吸収性ポリマーを取り除く操作を行うと、吸収体中でのウエブの密度ρ1と、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの密度ρ2とが相違するおそれがある。そこで、吸収体から高吸収性ポリマーを取り除く前に、吸収体中でのウエブの密度ρ1を予め測定しておき、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの密度ρ2が、予め測定された密度ρ1と同じになるように、高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブの状態を調整した後に、クレム吸水度を測定する。密度ρ2を密度ρ1に合わせるためには、例えば高吸収性ポリマーが取り除かれた後のウエブを圧縮すればよく、その状態下にクレム吸水度を測定する。密度ρ1は、例えば0.03〜0.05g/cm3であった。
吸収体中でのウエブの密度ρ1(g/cm3)は、ウエブの坪量(g/cm2)と、ウエブの厚み(cm)とから算出される。ウエブの坪量は、吸収体から高吸収性ポリマーを取り除いた後の重量(g)と、面積(cm2)とから算出される。一方、ウエブの厚みは次の方法で測定される。吸収性物品から取り出された吸収体に予め24.5kPaの荷重を12時間掛けて、しわを伸ばした状態としておく。次に、吸収体上に5cm×5cmの大きさのアクリル板に重りを載せ、0.245kPaの荷重が加わった状態下に厚みを測定する。具体的には、カミソリ刃で吸収体の断面を切り出し、ウエブが含まれる吸収体の範囲を10倍の実体顕微鏡で観察し、吸収体中のウエブの厚みを測定する。測定点数は5点とし、その平均値をもって厚みとする。20%以上測定値が振れた場合はそのデータを削除し、別の測定値を追加する。
長繊維としては捲縮しているものを用いることが好ましい。長繊維はその捲縮率(JIS L0208)が好ましくは10〜90%であり、更に好ましくは10〜60%、一層更に好ましくは10〜50%である。この範囲の捲縮率を有する捲縮した長繊維を用いることで、吸収体内の繊維の充填密度が過度に高くならなくなり、後述する吸収体の通気性が良好になる。また捲縮率がこの範囲内であることによって、ウエブ4a中に高吸収ポリマーを安定的に且つ多量に埋没担持させることができる。つまり、長繊維の捲縮率を前記の範囲内に設定することで、吸収体の通気性と吸収性能を両立させることができる。長繊維を捲縮させる手段に特に制限はない。また、捲縮は二次元的でもよく或いは三次元的でもよい。捲縮率は、長繊維を引き伸ばしたときの長さと、元の長繊維の長さとの差の、伸ばしたときの長さに対する百分率で定義される。長繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は1cm当たり2〜25個、特に4〜20個、とりわけ10〜20個であることが好ましい。
捲縮率は、長繊維をまっすぐに、かつ繊維自身を伸張させずに引き伸ばしたときの長さ(A)と、自然状態における繊維の始点と終点との間に結んだ直線の長さ(B)との差の、伸ばしたときの長さ(A)に対する百分率で定義され、以下の式から算出される。
捲縮率=((A−B)/A)×100 (%)
高吸収性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでも良い。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状が不定形タイプ、塊状タイプ又は俵状タイプである場合には、ウエブ4aの重量に対して同量以上、10倍以下の坪量で埋没担持させることができる。また、球粒凝集タイプや球状タイプの場合には、ウエブ4aの重量に対して同量以上、5倍以下の坪量で埋没担持させることができる。これらの粒子形状は、特に高吸収量と薄型化を両立させたい場合は前者を、風合い(高吸収性ポリマーのしゃり感の低減)を重視する場合は後者を選択することが望ましい。高吸収性ポリマーは、ウエブ4aの厚み方向に均一に分布していてもよく、或いは表面シート2の側又は裏面シート3の側に偏在して分布していてもよい。更に、ウエブ4aの平面方向に関しても均一に分布していてもよく、或いは所定のパターンを形成するように分布していてもよい。高吸収性ポリマーの分布の態様は、おむつ1の具体的な用途に応じて適宜選択すればよい。
長繊維が捲縮を有する場合には、ウエブ4aには、高吸収性ポリマーの粒子を保持し得る多数の空間を有している。その空間内に高吸収性ポリマーが保持される。その結果、多量の高吸収性ポリマーを散布してもその極端な移動や脱落が起こりにくくなる。また着用者が激しい動作を行っても吸収体4の構造が破壊されにくくなる。使用する高吸収性ポリマーによって、捲縮率や使用する長繊維の量を適宜調節する。
従来の吸収体においても繊維材料の量を多くすれば高吸収性ポリマーを多量に保持することは可能であったが、その場合には吸収体の坪量及び厚みが大きくなってしまう。その場合、本発明の効果である通気抵抗値を下げる、すなわち高い空気透過性を有する吸収体を得ることができない。これに対して本発明においては、繊維材料の量に対して高吸収性ポリマーの量が相対的に大きくなっている。具体的には、吸収体全体で見たとき、好ましくは高吸収性ポリマーの坪量がウエブの坪量以上、更に好ましくは2倍以上、更に好ましくは3倍以上となっている。これによって吸収体1の薄型化及び低坪量化が図られている。その結果、吸収体1の伸縮応答性が良好になっている。ウエブの坪量に対する高吸収性ポリマーの坪量の比率の上限値は、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落防止の観点から決定される。長繊維の捲縮の程度にもよるが、該上限値が20倍以下、好ましくは15倍以下、更に好ましくは10倍以下であれば、着用者が激しい動作を行っても高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落は起こりにくい。
高吸収性ポリマーの長繊維ウエブへの担持性は、ウエブによって形成される網目構造、及び高吸収性ポリマーの物性に関係している。網目構造の観点からは、本発明においては、ウエブの立体規則性、即ちウエブの捲縮率、繊度、密度等を制御することによって網目を制御し、高吸収性ポリマーの担持性が発現するようにしている。本発明においては、ウエブの構成繊維同士が接着されていないので、ウエブに形成される網目の大きさが、高吸収性ポリマーを保持可能な程度に変化し得る。ウエブにおける網目の大きさが変化し得ることで、不織布などの結合点を有する繊維集合体に高吸収性ポリマーを担持させる場合に比較して、ポリマーの担持性が高くなる。網目の大きさは、例えば(イ)繊維にテンションを加えた状態下に高吸収性ポリマーを散布した後、テンションを解放することにより、或いは(ロ)予めウエブのテンションを制御して特定の捲縮率を発現させた状態下に高吸収性ポリマーを散布し、更にウエブにテンションや圧力を加えることにより、制御することができる。
一方、高吸収性ポリマーの担持性に関係している高吸収性ポリマーの物性には形状、粒度分布、粒子サイズ、嵩密度、表面性状、内部摩擦係数、流動性、分散性、水分率、帯電性、付着性、凝集性などがある。これらのうち、高吸収性ポリマーの粒度分布及び粒子サイズについては、前述のウエブの網目構造と密接に関連している。高吸収性ポリマーの担持性は、更に着用者の動きによって吸収体に外力や振動が伝わったとき、吸収体内部におけるポリマーと長繊維との衝突回数にも影響を受ける。衝突回数の多い高吸収性ポリマーほど高吸収性ポリマーが長繊維の作り出す網目によってふるい分けが進み、結果担持性が低くなる。衝突回数は、ポリマーの流動性に影響を受けている。衝突回数は、流動性の高い高吸収性ポリマーほど多くなる。また、流動性が高く、一旦ウエブの拘束から逃れた高吸収性ポリマーは、その後容易に移動して、ウエブに担持され難くなる。
高吸収性ポリマーの流動性に関して、塊状タイプの高吸収性ポリマーと球粒凝集タイプのポリマーを比較すると、球粒凝集タイプの高吸収性ポリマーの方が、塊状タイプの高吸収性ポリマーよりも流動性が高い。その結果、球粒凝集タイプの高吸収性ポリマーよりも、塊状タイプの高吸収性ポリマーの方が担持性が高い。また球粒凝集タイプの高吸収性ポリマーは、表面が滑らかなので、繊維との摩擦や繊維への引っかかりの程度が塊状タイプの高吸収性ポリマーよりも低い。この観点からも、塊状タイプの高吸収性ポリマーの方が、球粒凝集タイプの高吸収性ポリマーよりも担持性が高い。
このように、長繊維の捲縮率や高吸収性ポリマーの形状、長繊維と高吸収性ポリマーの混合比、長繊維ウエブへの高吸収性ポリマーの担持方法等を工夫することで、本発明の効果である通気抵抗値を下げることができる。
以上の構造を有する吸収体4は、薄型且つ低坪量で、高通気性のものとなる。吸収体4の通気性の程度は、高吸収性ポリマー100g/m2あたりの通気抵抗値で表して0.4kPa・s/m以下、好ましくは0.3kPa・s/m以下である。通気抵抗値は、小さければ小さいほど通気性が高いことを意味する。このような通気抵抗値は、フラップパルプ及び高吸収性ポリマーの積繊体からなる従来の吸収体の通気抵抗値の約1/2という極めて低い値となる。通気抵抗値の下限に特に制限はなく、その値が小さければ小さいほど通気性は高くなる。通気抵抗値はカトーテック製の通気性試験機KES−F8(商品名)によって測定される。この装置によれば、一定流量の空気(4cc平方cm/sec)を通過させたときの圧力損失が測定される。測定された通気抵抗値を高吸収性ポリマー100g/m2あたりの値に換算する。
本発明の吸収体の中には、前記の通気抵抗値が、前記測定装置の測定限界以下、即ち約0.2kPa・s/m以下となるものもある。例えば、吸収体の構成材料としてパルプを用いずに、長繊維のウエブ中に高吸収性ポリマーを担持させ、ティッシュペーパーで包んだものが挙げられる。従って本発明においては、前記の通気抵抗値に下限値は存在しない。前記測定装置の測定限界以下となる他の材料の例としては、吸収性物品に用いられる通常のティッシュペーパーや表面シート、ガーゼの類などがある。
長繊維のウエブ4aを含む吸収体4は、その厚さ方向及び平面方向の何れにも高通気性を有する。従って、おむつ1の着用中においては、着用者の身体から放出される水蒸気が吸収体4を通じておむつ1の外部に効果的に放出される。その結果、着装内での湿度の上昇が効果的に抑制される。
本実施形態のおむつ1における水蒸気の放出経路は大別して厚み方向と平面方向の2つの経路がある。厚み方向の放出経路は、水蒸気が吸収体4をその厚み方向に移動し、更に水蒸気透過性(透湿性)を有するシートである裏面シート3及び通気性を有するシートである外装シート5を通じておむつ1の外部へ放出される経路である。この経路による水蒸気の放出を一層効果的にする観点から、裏面シート3はその透湿度(JIS Z0208)が0.6〜3.5g/(100cm2・h)、特に1〜3g/(100cm2・h)であることが好ましい。透湿度この範囲内であれば、吸収体4に吸収された液の滲み出しを防止しつつ、十分な水蒸気透過性を確保でき、蒸れ感やかぶれの発生を防止できる。透湿度はJIS Z0208(カップ法)に準じ、30℃/90%RHの条件下で測定する。
水蒸気透過性を有するシートとしては例えば多孔性シートを用いることができる。多孔性シートは、樹脂組成物の溶融混練物から成形したシートを延伸処理してなるものである。多孔性シートは、成形性やシートの強度を維持しつつ、シートの透湿性が十分なものであることが好ましい。また、得られた多孔性シートには必要に応じてエンボス処理や各種表面処理を行ってもよい。更に、他のシート、例えば不織布、紙等などの外装シート5と複合化して用いても良い
平面方向の水蒸気の放出経路は、水蒸気が吸収体4の内部をその平面方向に移動し、吸収体4の側部又は端部からレッグフラップL又はウエストフラップWを通じておむつ1の外部へ放出される経路である。先に述べた通り、本実施形態のおむつ1におけるレッグフラップL又はウエストフラップWは通気性ないし透湿性を有しているので、これらのフラップを通じての水蒸気の放出は円滑に行われる。特に、レッグフラップLにおいては、表面シート2の左右両側縁が、裏面シート3の左右両側縁よりも内方で終端しているので、レッグフラップLを構成するシートの枚数が少なくなり、その分だけレッグフラップLの通気性ないし透湿性が向上する。レッグフラップL及びウエストフラップWを通じての水蒸気の放出を一層円滑に行う観点から、これらのフラップを形成するためにシートを接合する場合には、例えばホットメルト粘着剤をビード塗工やスパイラル塗工、スプレー塗工のようなパターンで塗工して、通気性の低下を極力防止することが好ましい。塗工面全体が膜状に覆われるような塗工方式は好ましくない。例えばコーターで塗工する場合は、櫛刃状や間欠塗工方式が好ましく、全面塗工法であっても塗工量を十分に少なくし塗工面の一部にかすれた状態(接着剤が一部塗られない状態)を形成させることが好ましい。通気性の低下を極力防止し、且つ適切な接合強度を発現させるために、ホットメルト粘着剤の塗工量は、3〜30g/m2、特に5〜20g/m2であることが好ましい。
ウエブ4aを有する吸収体4の通気抵抗値を、前述の値以下とするためには、例えばウエブ4aにおける長繊維の坪量や厚み、及び高吸収性ポリマーの坪量を適切に調整すればよい。ウエブ4aの坪量に関しては、5〜200g/m2、特に10〜100g/m2の範囲が好適であることが本発明者らの検討により判明した。一方、高吸収性ポリマーの散布坪量は50〜500g/m2、特に100〜300g/m2の範囲が好適であることが判明した。
吸収体4におけるウエブ4a及び高吸収性ポリマー4bの合計の坪量は、好ましくは55〜700g/m2、特に110〜400g/m2である。
更に、吸収体の通気抵抗値には、吸収体を構成する各種部材を接着するための、例えばホットメルト粘着剤の塗工パターンや塗工量が影響を与える。水蒸気の放出を一層円滑に行う観点から、ビード塗工やスパイラル塗工、スプレー塗工のようなパターンでホットメルト粘着剤を塗工して、通気性の低下を極力防止することが好ましい。通気性の低下を極力防止し、且つ適当な接合強度を発現させるためには、ホットメルト粘着剤の塗工量は3〜30g/m2、特に5〜20g/m2であることが好ましい。
吸収体の通気抵抗に影響を及ぼす要因としては、上述のホットメルト粘着剤に関するものの他、吸収体の厚みや密度の影響が挙げられる。例えば、吸収体を極端に硬くさせることなく、開繊したフラップパルプの中に高吸収性ポリマーを担持させるためには、高吸収性ポリマーの量と同量のフラッフパルプを使用することが必要である。そのため、吸収性能を高めれば高めるほど、吸収体の厚みが増し、その結果、吸収体の通気抵抗が増加してしまう。吸収体の厚みを抑えるためにフラッフパルプの使用量を減らした場合、高吸収性ポリマーの担持性を維持するために吸収体を圧縮しなければならず、その結果、吸収体は薄くなっても密度が上昇するので、吸収体の通気抵抗は大きくなってしまう。
高吸収性ポリマーが、捲縮した長繊維によって形成される空間内に安定的に保持される場合には、ウエブ4aに高吸収性ポリマーを多量に保持することが可能になる。従来の吸収体においてもフラッフパルプ等の繊維材料の量を多くすれば高吸収性ポリマーを多量に保持することは可能であったが、その場合には吸収体の坪量及び厚みが大きくなってしまう。しかも通気性も低下してしまう。これに対して本実施形態の吸収体4においては、繊維材料の量に対して高吸収性ポリマーの量が相対的に大きくなっている。具体的には、吸収体全体で見たとき、好ましくは高吸収性ポリマー4bの坪量がウエブ4aの坪量以上になっており、更に好ましくは2倍以上、一層好ましくは3倍以上となっている。これによって吸収体4の通気性を高め、また薄型化及び低坪量化を図っている。ウエブ4aの坪量に対する高吸収性ポリマー4bの坪量の比率の上限値は、主として高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落防止の観点から決定される。長繊維の捲縮の程度にもよるが、該上限値が10倍程度であれば、着用者が激しい動作を行っても高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落は起こりにくい。
高吸収性ポリマーが埋没担持される程度の評価法として、次の脱落評価試験法を用いることができる。100mm×200mmに作製した吸収体4の長手方向中央部を、幅方向にわたって切断し、100mm×100mmの試験片を得る。この切断面を真下にして、振幅5cmで1回/1秒の速度で左右に往復20回振動を与える。切断面から脱落したポリマーの重量を測定する。脱落した高吸収性ポリマーの重量が、試験片中に存在していた高吸収性ポリマーの全量に対して、25重量%以下、特に20重量%以下、とりわけ10重量%以下である場合、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落が起こり難くなっている状態であると言える。
高吸収性ポリマーが埋没担持される程度の評価として、前記の脱落評価試験に加えて次の方法によって測定される移動率も採用することができる。先ず、前記の脱落評価試験の測定に用いた100mm×100mmの測定サンプルの初期重量W0を予め測定しておく。脱落評価試験の測定が終わった後の測定サンプルを、長繊維の延びる方向と直交する方向にわたって切断し上下に二等分する。二等分された2つの分断片それぞれの重量を測定し、測定サンプルの初期重量W0の1/2から変化量の大きい方の分断片の重量を、移動率を算出するための重量W1として採用する。例えば2つの分断片の重量がW1’,W1”であるとすると、これらW1’,W1”が以下の式を満たす場合、W1=W1’とする。
|W1’−W0/2|>|W1”−W0/2|
このようにして決定されたW1の値と、測定サンプルの初期重量W0の値を用い、以下の式から移動率を算出する。
移動率(%)={1−W1/(W0/2)}×100
このようにして測定された移動率の値が40%以下、特に30%以下、とりわけ20%以下である場合、高吸収性ポリマーの移動が起こり難くなっている状態であると言える。
簡易的には、前記の脱落評価の試験を行った試験片に対して、次の評価法を行うこともできる。脱落評価の試験を行った試験片に対して、生理食塩水(0.9重量%NaCl)を50g均等に散布して、試験片の膨らみ方を目視観察する。試験片の厚みのばらつきが2倍以内の場合、高吸収性ポリマーの極端な移動や脱落が起こり難くなっている状態であると言える。
前記の各評価法においては、ウエブを水平方向で見たときに、高吸収ポリマーが同一坪量で散布してある領域から試験片をサンプリングする。
ウエブへの高吸収性ポリマーの埋没担持性が十分でない時は、ホットメルト、各種バインダー(例えばアクリル系エマルジョン粘着剤など)、カルボキシメチルセルロースやエチルセルロースなどの糖誘導体、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂等をウエブに適宜添加できる。さらに、ウエブへ凹凸加工を施してもよく、或いは植毛を施したシートなどをウエブに併用しても良い。長繊維が溶剤に溶解するか、あるいは可塑化可能な場合には、適当な溶剤を用いても良い。例えば、長繊維がアセテートを含んでいる場合は、トリアセチンを添加することで、ウエブの一部に結合点を形成することができる。結合点の形成は、高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させるだけでなく、添加量や処理方法を適宜選択することで、ウエブに剛性を与えることができ、よれやくずれなどを防ぐことができる。更に、適度な剛性感の付与は、使用者の取り扱い性を高め、更には、ギャザーが縮みすぎておむつが収縮することを防ぐ効果や、おむつ全体の型崩れを防ぐ効果を有する。
ウエブ4aを有する吸収体4は、フラップパルプを主体とする従来の吸収体に比較して繊維間の空隙の大きな疎な構造になっているので、該吸収体4は液の透過性の良好なものでもある。従って、吸収体4の吸収速度が遅い場合は、液が高吸収性ポリマー4bに吸収される前に吸収体4を通過してしまい、該吸収体4に十分吸収されない場合が起こりうる。この観点から、ウエブ4aに含まれる高吸収性ポリマー4bは、充分に吸収速度の速いものであることが好ましい。それによって、吸収体4に液を確実に保持できるようになる。高吸収性ポリマー4bの吸収速度は、当該技術分野においては一般にDW法の測定値によって表現される。DW法による吸収速度(ml/(0.3g・30sec))は、DW法を実施する装置として一般的に知られている装置(Demand Wettability Tester)を用いて測定される。具体的には、生理食塩水の液面を等水位にセットしたポリマー散布台〔70mmφ、No.2濾紙をガラスフィルターNo.1上に置いた台〕上に、測定対象の高吸水性ポリマーを0.3g散布する。高吸水性ポリマーを散布した時点の吸水量を0とし、30秒後の吸水量(この吸収量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定される)を測定する。得られた吸収量の値を吸水速度とする。
本実施形態において好ましく用いられる高吸収性ポリマー4bは、DW法に従い測定された吸収速度が2〜10ml/(0.3g・30sec)、特に4〜8ml/(0.3g・30sec)である。なお、このような吸収速度を有する高吸収性ポリマーは、フラッフパルプを主体とする従来の吸収体においては、ゲルブロッキング、ひいては液漏れを発生させる原因になるとしてその使用が避けられていたものである。これに反して、本実施形態においてはウエブ4aが疎な構造を有しているので、高吸収速度を有する高吸収性ポリマーを用いてもゲルブロッキングの懸念はなく、逆に液漏れが効果的に防止される。
高吸収性ポリマーの吸収速度との関係で、ウエブ4aはその密度が好ましくは0.005〜0.20g/cm3、更に好ましくは0.01〜0.10g/cm3である。密度がこの範囲内であれば、ウエブ4aにおける液の透過速度を、高吸収性ポリマーの吸収速度に見合った適度な範囲に制御できる。また吸収体の柔らかさを維持することができる。更に、ウエブの繊維間隔を適度な範囲にすることができ、細かな高吸収ポリマーの担持性能を向上させることができる。
ウエブ4aを構成する長繊維は、好ましくは吸収体4の平面方向に一方向に配向している。長繊維が一方向に配向していることに起因して、吸収体4に液が吸収されると、該液は長繊維の配向方向へ優先的に拡散する。つまり吸収体の平面方向に優先的に拡散する。逆に、長繊維の配向方向と直交する方向への拡散は抑制される。連続フィラメントがおむつ1の長手方向に配向している場合には、おむつの側部からの液漏れ(横漏れ)が効果的に防止される。
長繊維の配向の程度は、配向度で表して1.2以上、特に1.4以上であることが好ましい。本実施形態において配向度はKANZAKI社のMicrowave molecular orientation analyzer MOA-2001Aを用いて測定する。サンプルサイズは長手方向100mm、幅50mmとし、3点の平均値を配向度とする。サンプルサイズがこの大きさに満たない場合は、複数のサンプルを互いに重ならないように配して測定する。
横漏れを一層防止する手段の一つとして、直線的な長繊維を用いることが挙げられる。かかる長繊維は、捲縮を有する長繊維に比較して、長繊維の配向方向への液の拡散性に優れているからである。この観点から、ウエブ4aを複数の層から構成し、そのうちの少なくとも一層における一部分の捲縮した長繊維を引き伸ばして直線的な状態にしておくことが好ましい。ウエブ4aが2層構造の場合、表面シート側のウエブの一部分、例えば長手方向中央部に位置する捲縮長繊維を引き伸ばして直線的な状態にすることで、***された液を吸収体の前後方向へ優先的に導くことができる。或いは、捲縮した長繊維のウエブに加えて、捲縮を有さない親水性を有する長繊維のウエブを更に用いても同様の効果を得ることができる。例えば、捲縮した長繊維のウエブの上に、高吸収性ポリマーを散布し、その上に、捲縮を有さない長繊維のウエブを配することができる。
長繊維がおむつ1の長手方向に配向している場合には、ウエブ4aは、長繊維の配向方向を横切るような線状の接着ラインを有していないことが好ましい。かかる接着ラインが存在していると、長繊維の配向方向への液の円滑な拡散が遮断されてしまい、それに起因して横漏れが生じる可能性がある。これに対して、長繊維がおむつ1の幅方向に配向している場合には、おむつ1の長手方向への拡散が抑制され、スポット吸収性が得られる。この場合、側部からの液漏れ(横漏れ)を防止するために、ウエブ4aは、長繊維の配向方向を横切るような線状の接着ラインを有していることが好ましい。「線状」とは、液体の浸透を抑制する連続的な線を意味し、個々のシール線等が途切れなく連続するものである必要はない。例えば、間欠のシール線を幾重にも重ねて並べることで液の移動を阻止できれば、それは線状である。また、線状は、直線状の他、曲線状、折れ線状であっても良い。線の幅は0.2〜15mm程度が好ましい。
吸収体4は柔軟であることが望ましい。柔軟性の評価として、ハンドルオ・メーターによる測定値を採用した場合、該測定値が4N以下、特に2N以下であることが好ましい。ハンドルオ・メーターによる測定方法は次の通りである。JIS L1096(剛軟性測定法)に準じて測定を行う。幅60mmの溝を刻んだ支持台上に、長手方向に150mm、幅方向に50mm切断した吸収体4を、溝と直交する方向に配置する。吸収体4の中央を厚み2mmのブレードで押した時に要する力を測定する。本実施形態で用いた装置は、大栄科学精機製作所製、風合い試験機(ハンドルオ・メーター法)、HOM−3型である。3点の平均値を測定値とする。
本実施形態に係る吸収体4は、ウエブ4a及び高吸収性ポリマー4bのみから構成されていてもよく、或いはこれらが、例えばティッシュペーパーなどの紙や不織布(以下、これらを被覆シートともいう)によって包まれていてもよい。また、ウエブ4a及び高吸収性ポリマー4bの上面及び/又は下面に、乾式パルプシートや、フラッフパルプの積繊層が配されていてもよく、更にそれら全体が被覆シートによって包まれていてもよい。吸収体4が前記のどのような形態である場合でも、その通気抵抗値は、先に述べた値以下とする。また吸収体4の厚みは1〜4mm、特に1.5〜3mmという薄型のものであることが、十分な通気性の確保の点から好ましい。
吸収体4及び吸収体4を包む被覆シートなどは、高吸収性ポリマーの他に、他の粒子、例えば、活性炭やシリカ、アルミナ、酸化チタン、各種粘度鉱物(ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、カンクリナイト等)等の有機、無機粒子(消臭剤や抗菌剤)を含んでいてもよい。無機粒子としては、金属サイトの一部を置換したものを用いることができる。或いは、各種有機緩衝剤、無機緩衝剤、すなわち、酢酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、乳酸及びこれらの塩を単独であるいは組み合わせたものや、各種アミノ酸を含んでいてもよい。これら成分の働きは、吸収体4及び被覆シートに吸収された液の臭いや素材由来の臭いを抑制することである。また、各種有機緩衝剤、無機緩衝剤は、***物、例えば尿の分解で発生するアンモニアを中和し、おむつ1を中性〜弱酸性に保つ効果があり、それによって、万一、吸収体4から肌への***物の液戻りがあっても、肌への影響が少なくなる。ウエブを構成する長繊維としてアセテート繊維のような分子構造内にエステル結合を有する繊維を用いた場合には、アルカリによるエステル結合の分解に起因する繊維の損傷が防止される効果も期待できる。
また、液保持性と吸収速度の向上、ドライの向上を目的に、親水性の微粉又は短繊維をウエブ中に共存させることができる。親水性の微粉又は短繊維としては、フィブリル化されているか又はフィブリル化されていないセルロースパウダー、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、カルボキシエチルセルロース及びその金属塩、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、シルクパウダー、ナイロンパウダー、レーヨン、コットン、羊毛などの短繊維が挙げられる。これらのうち、セルロースパウダーを用いると、前記の効果を最大限向上させ得るので好ましい。親水性の微粉又は短繊維は、高吸収性ポリマーの散布前にウエブに散布してもよく、或いは高吸収ポリマーと混合しておき、両者を同時にウエブに散布してもよい。
吸収体の別の実施形態として、フラッフパルプの積繊層上に、ウエブ4a及び高吸収性ポリマー4bを重ねた構造のものが挙げられる。この吸収体では、ウエブ4a中に高吸収性ポリマーが埋没担持されている。この吸収体では、フラッフパルプの積繊層が、***された液の一次ストック層として作用するので、液の***速度が高い場合(例えば尿が***される場合)であっても、液漏れを効果的に防止できる。
吸収体の更に別の実施形態として、フラッフパルプの積繊層上に、ウエブ4a及び高吸収性ポリマー4bを重ねた構造の積繊体を、複数積層した構造のものが挙げられる。フラッフパルプの積繊層中には高吸収性ポリマーを混合させてもよい。この構造の吸収体は、フラッフパルプの積繊層による液の一次ストック層としての効果が、先に述べた実施形態の吸収体に比較して一層高くなる。
吸収体の更にまた別の実施形態として、高吸収性ポリマーが埋没担持されているウエブ4aの上側及び/又は下側に、高吸収性ポリマーを含まない親水性長繊維の第2のウエブが配置された構造のものが挙げられる。第2のウエブに含まれる長繊維が捲縮したものである場合、特に前記の捲縮率を有するものである場合には、第2のウエブが厚さ方向の押圧に対するクッション層として作用することから、吸収性物品の着用感が向上する。そればかりでなく、吸収体中の空間が増えることにより、更に通気性が向上する。更に、優れた圧縮回復性を有するので、おむつを複数個パック詰めした包装袋内などで圧縮された状態の時は薄く、包装袋から取り出すと素早く厚みが回復する。
ギャザーの影響を取り除いた吸収体部分の圧縮回復性は、少なくとも圧力解放後1時間後の値が、初期厚みの好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上である。吸収体の初期の厚みは、予め250g/cm2の荷重を12時間加えた後に測定する。厚みは、試料5枚分を重ねた状態で測定する。測定値を5で除した値を1枚あたりの厚みとする。測定は、5cm×5cmの大きさのアクリル板に重りを載せ、2.5g/cm2の荷重が加わった状態下に行われる。装置は、キーエンス社LK080クラス2レーザー変位計を用いる。測定点数は5点の平均とし、20%以上測定値が振れた場合はそのデータを削除し、別の測定値を追加した。
以上の各実施形態の吸収体は、薄型で柔軟、かつ適度な構造安定性を有するものとなる。吸収体の厚さや坪量は、吸収性物品の具体的な用途に応じて適切な値が選択される。吸収体が使い捨ておむつに用いられる場合には、該吸収体が前記のどのような形態である場合でも、その厚みが0.5〜4mm、特に1〜3mmという薄型のものであることが好ましい。吸収体の厚みは、吸収体上に5cm×5cmの大きさのアクリル板に重りを載せ、2.5g/cm2の荷重が加わった状態下に測定される。本実施形態においては、キーエンス社のLK080クラス2レーザー変位計を用いて厚みを測定した。測定点数は5点の平均とし、20%以上測定値が振れた場合はそのデータを削除し、別の測定値を追加した。試料には予め250g/cm2の荷重を12時間掛けて、しわを伸ばした状態としておいた。
以上の各実施形態の吸収体の通気性を更に向上させるために、吸収体の一部に開孔部を設けてもよい。各実施形態の吸収体は薄型なので、従来の厚型の吸収体に比べて開孔処理は容易である。或いは、以上の各実施形態の吸収体を、複数の小片から形成することで各小片間に溝を形成しても良い。この場合、ウエブは各小片間で連続な状態で存在してもよく、不連続に存在してもよい。
次に、本発明の第2及び第3の実施形態について、図3ないし図7を参照しながら説明する。第2及び第3の実施形態について特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図3ないし図7において、図1及び図2と同じ部材に同じ符号を付してある。
図3に示す実施形態のおむつ1は、相対向する一対の立体ギャザーを二組有するものである。おむつ1は、吸収体4の側縁から側方に延出したレッグフラッフLの側縁部に、おむつ1の長手方向に延びるレッグ部弾性部材71を伸長状態で配してレッグギャザー7を形成し、更に、レッグギャザー7と吸収体4の側縁部との間に基端部を有する第1立体ギャザー61及び第2立体ギャザー62を配している。第1立体ギャザー61はレッグギャザー寄りに配されており、第2立体ギャザー62は吸収体寄りに配されている。
レッグフラップLに位置するこれら3つのギャザーは、最も外方に位置するギャザーの収縮力が、それよりも内方に位置するギャザーの収縮力よりも大きくなるように各ギャザーの収縮力を調整することが好ましい。即ち、レッグギャザー7の収縮力をL1、第1立体ギャザー61の収縮力をL2、第2立体ギャザー62の収縮力をL3としたとき、L1>L2,L3となることが好ましい。特に、最も外方に位置するギャザーから内側に向かってギャザーの収縮力が次第に小さくなることが好ましい。つまりL1>L2>L3となることが好ましい。この理由は次の通りである。
従来の吸収性物品の設計手法は、吸収性物品を薄くして、しかも液漏れしにくくするために、ギャザーの収縮力を強くし、着用者の身体と吸収性物品との間に隙間を空けないようにするという考えに基づいていた。しかしながら、ギャザーの収縮力が強すぎると、その跡が肌につきやすくなる。また、本発明のように薄くて柔軟や吸収体を用いた場合には、ギャザーの収縮力によって吸収性物品が収縮してしまい装着しづらくなってしまう。また、ギャザーの収縮力が強すぎると、吸収性物品の装着中に、該収縮力に起因する下向きの力が吸収性物品に働き、ずれが生じやすくなる。これに対して、レッグギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーを二組以上用い、その収縮力を前述した関係とすることで、従来の吸収性物品に生じる前述の不都合を回避することができる。
ギャザーの収縮力は次の方法で測定される。吸収性物品からギャザーを切り取り測定試料とする。テンシロンORIENTEC RTC−1150Aを用いて測定試料のヒステリシス曲線を描かせる。このヒステリシス曲線の戻り時の応力を収縮力とする。引っ張りと戻しの速度は300mm/minとする。試料の初期長は100mm、最大伸びは100mm(元の長さの2倍)とする。ヒステリシス曲線の戻り時の応力は、試料を最大伸びから50mm戻したときの測定値とする。測定は5点の平均値とする。最大伸びが100mmに満たない試料の場合は、伸びを50mmまでとし、そのときの値を測定値とする。
各ギャザーの収縮力を調整するためには、例えば弾性部材の太さを変える、弾性部材の伸長率を変える、弾性部材の本数を変える等の方法を、単独で、或いは組み合わせる。また、レッグギャザー7の伸縮域は、吸収性物品の股下部のみとすることが好ましい。ここで股下部とは、足回りに沿うように、製品中央部両側縁が湾曲している領域を言う。
図3に示すおむつ1においては、レッグギャザー及び相対向する一対の立体ギャザーが二組用いられている。これに代えて、レッグギャザーは用いずに、相対向する一対の立体ギャザーを二組以上用いてもよい。例えば図4では、第1立体ギャザー61及び第2立体ギャザー62の二組の立体ギャザーを用いている。この場合にも、おむつ1の幅方向外方から内側に向かうに連れて立体ギャザーの収縮力を次第に小さくすることが、前述した理由と同様の理由により好ましい。
次に第3の実施形態について説明する。長繊維のウエブを用いた吸収体を備えた本発明の吸収性物品によれば着装内の湿度上昇を抑制し得ることは先に述べた通りである。この湿度上昇の抑制効果は、着用者の身体へのフィット性が良好な吸収性物品ほど顕著である。第3の実施形態は、このような、着用者の身体へのフィット性が良好なパンツ型使い捨ておむつに係るものである。
着用者の身体へのフィット性を一層良好にするために、本実施形態においては次の設計手法を用いておむつを作製している。
第1ステップ;シーチング(吸収性物品の平面形状に比べて充分な寸法を有する布)を、モニター(幼児等)の身体に直接当て、立体裁断により、モニターのウエスト回り、大腿部の付根に沿った大腿付根回り(図5における大腿付根囲)及び脇の各ラインを書き込み、得られたパターンを平面形状設計のベースパターンとする。このベースパターンをCADに取りこみ、その後の修正処理を行う。図6(a)は、このようにして身体形状を転写して得たベースパターンを示すもので、図中の縦線分Laは、モニターの臍点から第1腰椎までの距離〔図5参照〕を示し、該縦線分に直交する横線分Lbは、左右の大腿付根回りのライン間の距離が最小となる前後方向の位置(モニターの股間幅が最小となる前後方向の位置に相当)及びその最小距離を示している。また、曲線Lcは、前記大腿付根回りのラインを示し、曲線Ldは、臍点及び第1腰椎を通るウエスト回りのラインを示し、曲線Leは、モニターの脇のライン(モニターの左右側部の稜線)を示している。このようにして、複数のモニターについてのベースパターンを得る。
第2ステップ;各ベースパターンに対し、左右の不均一是正のために、一定の規則に従った修正を加える。例えば、縦線分La及び横線分Lbの長さ及び位置関係、並びに縦線分Laの左右両側に存する曲線Lcのうちの信頼性の高い方の形状や長さは修正せず、左右の曲線Lcのうちの信頼性の低い方を、信頼性の高い方を縦線分Laに対して線対称に複写した曲線Lc’に置換し、曲線Leについては、ベースパターンの長手方向の各端部において、左右のいずれか長い方の形状及び長さを、短い方の形状及び長さに統一する。曲線Ldについては、ベースパターンの前後左右の部分に分割し、それらを平均化した形状に統一する。図6(b)は、このようにして修正を加えた修正ベースパターンを示す。
第3ステップ;修正ベースパターンを、モニターの年齢(月例)や男女の別等により複数の群に区分し、区分毎に平均化を行い、マスターパターンを得る。全修正ベースパターンを纏めて平均化し、これをマスターパターンとすることもできる。
第4ステップ;モニターを自由に行動させ、その行動の様子をビデオ等に記録して観察する。モニターが頻繁に行う動作及びそれらの動作において着用者の肌がどのように伸縮するかを判断する。幼児の行動を観察及び分析した結果、パンツ型吸収性物品(特にパンツ型おむつ)を使用する月例の幼児は、匍匐動作、及び、立位から座位又はその逆の動作、座位状態で前かがみになる動作、走り回る動作を頻繁に行い、匍匐動作においては背中面や大腿付根部分、立位から座位又はその逆の動作においては背中面に加えて腹側における胴回り部分、座位状態で前かがみになる動作においては背中面、走り回る動作においては大腿付根部分の皮膚が頻繁に伸縮することが判った。
第5ステップ;第3ステップで得られた各マスターパターン(又は単一のマスターパターン)に対し、第4ステップにおいて得られた皮膚の伸縮の知見を反映させた修正を加える。この修正は、皮膚の伸縮に追従して伸縮できるだけの領域を確保するために行う。図6(c)は、着用者の背中面の皮膚の伸縮及び大腿付根部分の皮膚の伸縮に追従して伸縮する領域を使い捨て吸収性物品に確保するために、マスターパターンに格子模様を付した領域を加えて得られた修正マスターパターンを示すものである。腹側における胴回り部分の皮膚の伸縮に追従する領域については、次のステップで付与するはかせやすさ(装着しやすさ)付与のための領域に含まれるので、ここでは省略する。
第6ステップ;修正マスターパターンに対し、はかせやすさ(装着しやすさ)を付与するための修正を加える。図6(d)は、修正マスターパターンを幅方向に所定の倍率で拡大して得たパターンを示す図である。この修正により得られたパターンがおむつの平面形状となる最終パターンである。
第7ステップ;最終パターンに対して、どのように弾性部材を配置するかを、第4ステップにおいて得られた皮膚の伸縮を考慮して決定する。この弾性部材の配置においては、皮膚の伸縮に追従して弾性伸縮し得る領域が形成されるように弾性部材を配置すると共に、漏れ防止等の従来からの観点に基づき弾性部材を配置する。そして、必要な部材の配置等を決定することにより、使い捨て吸収性物品の設計が完了する。
以上の設計手法に基づき設計されたパンツ型使い捨ておむつにおいては、以下の要件(a)〜(e)の何れか1つ又は2以上を具備することで、着用者の身体へのフィット性が極めて良好になる。2以上の要件の組み合わせとしては、以下の要件(a)〜(e) の何れか一つと他の一つとの組み合わせ〔以下、組み合わせ(1)という。例えば(a)+(b)、(a)+(c)、(a)+(d)、(a)+(e)、 (b)+(c)、(b) +(d)、(b)+(e)、(c)+(d)、(c)+(e)、(d)+(e)等〕、組み合わせ(1)と更に他の一つの要件との組み合わせ〔以下、組み合わせ(2)という〕、組み合わせ(2)と更に他の一つの要件との組み合わせ〔以下、組み合わせ(3)という〕、及び組み合わせ(3)と更に他の一つの要件との組み合わせ等を挙げることができる。
<要件>
(a);腹側部及び背側部のウエスト部に、前記ウエスト開口部の周方向に沿ってウエスト弾性部材が配設されており、両ウエスト部を、吸収性物品幅方向に最大伸張率の50%迄伸張させたときの引張荷重が2〜5Nである。
(b);腹側部の胴回り部における吸収体の両側縁の位置より幅方向外方に位置する両サイド部に、吸収性物品縦方向に対して45度背側に傾いた方向に伸縮可能な弾性伸縮部を有する。腹側部及び背側部の両胴回り部を、おむつ幅方向に最大伸張率の50%迄伸張させたときの引張荷重が1N以下であることが好ましい。
(c); 背側部における吸収体とウエスト開口部の周縁端(展開型の使い捨て吸収性物品においては長手方向の縁端)との間に、吸収性物品縦方向に伸縮する弾性伸縮部を有する。この場合、背側部における前記ウエスト開口部の周縁端が、凸状に形成されていることが好ましい。
(d); ウエスト弾性部材は、吸収性物品着用時に着用者の腸骨棘点よりも上方に位置するように配されている。
(e);背側部におけるレッグ開口部の近傍に、該背側部における該レッグ開口部の周縁端に対して垂直方向に伸縮可能な弾性伸縮部を有している。この場合、前記背側部における前記レッグ開口部の周縁端が、該レッグ開口部の開口部中心に向かって凸に湾曲していることが好ましい。
上述した設計手法に基づき設計されたパンツ型使い捨ておむつは、身体を強く締め付けることなく、ズレ落ちにくさや身体へのフィット性を実現する。
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつの展開状態が図7に示されている。図7に示すおむつ100による身体の締め付けに対しては、両ウエスト部D,Dを、おむつ幅方向に最大伸張率の50%迄伸張させたときの引張荷重が2〜5Nであり、特に3〜4Nであることが好ましい。最大伸張率の50%迄伸張させたときの引張荷重は、以下のようにして測定される。
〔両ウエスト部の引張荷重の測定方法〕
おむつから両ウエスト部を、両者が連結されたリング状の状態のまま切り取り、これをサンプルとする。このサンプルを、水平な面上に、両ウエスト部の何れか一方のウエスト部の外面が、該水平な面に当接するように載置し、自然に収縮した状態における該サンプルの両端部間(左右のサイド接合部23同士間)の長さを測定して初期長とする。そして、そのサンプルを、テンシロン引っ張り試験機〔(株)オリエンテック社製、「RTC−1150A」〕のチャック間に固定し、速度300mm/minで、おむつ幅方向と同じ方向に伸張させる。サンプルを、初期長から、図7に示す設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ、但し、腹側部Aと背側部Bとでウエスト部の設計寸法が異なる場合にはその平均値)まで伸張させたときの伸張率〔(伸張後の長さ−初期長)/初期長 ×100〕を最大伸張率とし、その最大伸張率の50%の伸張率まで伸張させたときの引張荷重を求める。
更に、腹側部及び背側部の両胴回り部E,E(図7参照)を、おむつ幅方向に最大伸張率の50%迄伸張させたときの引張荷重が1N以下である。両胴回り部の前記引張荷重は、以下のようにして測定される。
〔両胴回り部の引張荷重の測定方法〕
おむつから両胴回り部を、両者が連結されたリング状の状態のまま切り取り、これをサンプルとする。このサンプルを、水平な面上に、両ウエスト部の何れか一方の胴回り部の外面が、該水平な面に当接するように載置し、自然に収縮した状態における該サンプルの両端部間(左右のサイド接合部同士間)の長さを測定して初期長とする。そして、そのサンプルを、テンシロン引っ張り試験機〔(株)オリエンテック社製、「RTC−1150A」〕のチャック間に固定し、速度300mm/minで、おむつ幅方向と同じ方向に伸張させる。サンプルを、初期長から、図7に示す設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ。但し、腹側部Aと背側部Bとで胴回り部の設計寸法が異なる場合にはその平均値)まで伸張させたときの伸張率〔(伸張後の長さ−初期長)/初期長 ×100〕を最大伸張率とし、その最大伸張率の50%の伸張率まで伸張させたときの引張荷重を読み取る。
本実施形態と同様の構成の試作品を作製し、着用時における腹側部Aの胴回り部Eと着用者の肌との間に圧力センサーを挿入して、肌に対する押圧力を測定したところ2g/cm2以下であり、従来の胴回りギャザー付きパンツ型おむつ(7g/cm2以上)に比して締め付けの程度が極端に小さいことが確認された。
図7に示すおむつ100は、自然状態におけるウエスト開口部の周長に対する最大伸張時の該ウエスト開口部の周長の比が好ましくは1.4〜2.2であり、更に好ましくは1.6〜2.0である。腹側部A及び背側部Bにおけるウエスト弾性部材101は、おむつ着用時に着用者の腸骨棘点(直立した状態の着用者の腸骨棘点の高さ位置)よりも上方に位置するように配されている。
各レッグ開口部の開口周縁部には、その周方向に沿ってレッグ部弾性部材102が配されている。また、胴回り部Eにおける吸収体103の両側縁104,104の位置より幅方向外方の部位に、おむつ幅方向に収縮する弾性伸縮部が形成されている。この弾性伸縮部を形成する胴回り弾性部材105は、吸収体103と重なる部位を挟んで左右に分割配置されているが、左右の胴回り弾性部材105が、吸収体103と重なる部位を横断して連続していても良い。
背側部Bにおけるレッグ開口部の周縁端106は、図7に示すように、該レッグ開口部の開口部中心に向かって凸に湾曲している。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、本発明を、従来技術の項で述べたようなサイドパネルを有する使い捨ておむつに適用することもできる。サイドパネルを有する使い捨ておむつは、一般に着用者の身体への密着しやすいことから、着装内の湿度が上昇しやすい傾向にあるので、本発明をかかるおむつに適用することは、着装内の湿度上昇を抑制する点から効果的である。
本発明を、サイドパネルを有する使い捨ておむつに適用する場合、サイドパネルの形状は、先に述べた設計方法に基づいて設計されることが望ましい。サイドパネルを構成する伸縮材は、代表的にはエラストマー材料と織布又は不織布、望ましくは不織布を複合化したものである。エラストマー材料としては、ポリスチレン、イソプレン又はポリブタジエンのブロック共重合体(スチレン−エチルブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン)、エチレン共重合体、天然ゴム、ウレタン、酢酸ビニル−エチレン、酢酸エチル−エチレン、アクリル酸−エチレンおよびアクリル酸メチル−エチレン、エチレンープロピレン共重合体等が挙げられる。エラストマー材料はフィルムまたは繊維集合体の形に成形される。不織布の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を単独で用いた繊維又はこれらの複合繊維を用いた、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンースパンボンド不織布、スパンボンドーメルトブローンーメルトブローンースパンボンド不織布の他、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。エラストマー材料と不織布との複合材料に伸縮性を付与する方法としては、エラストマーと不織布を未伸長下で複合化した後で、不織布にスリット加工やある種の破砕処理を施す方法や、予め伸長状態にあるエラストマーに不織布を複合する方法が挙げられる。いずれの材料、方法を用いて作製された伸縮材も通気性を有することが望ましい。
また本発明は、使い捨ておむつに限られず、他の吸収性物品、例えば各種生理用ナプキンや、失禁パッド等にも同様に適用できる。特に、ショーツ型のナプキンを始めとする着用タイプの吸収性物品への適用が効果的である。
〔実施例1〕
先ず、捲縮したアセテート長繊維のトウを用意した。この長繊維の繊維径は2.1dtex、トウの全繊維量は2.5万dtexであった。このトウを、伸長下に空気開繊装置を用いて開繊して開繊ウエブを得た。更に、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、ウエブを幅100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウエブ中の長繊維の捲縮率は30%、1cm当たりの捲縮数は15個であった。これによって長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマーを入り込ませ易くし、またウエブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウエブ上に高吸収性ポリマー130g/m2を散布し、該ポリマーの粒子が開繊ウエブ中に埋設担持された第1ウエブp1を得た。以後、この操作と同様の操作をもう一度繰り返して、高吸収性ポリマーの粒子が埋没担持されたウエブからなる第2ウエブをp2得た。このようにして得られた第1ウエブp1と第2ウエブp2の間に、坪量50g/m2のフラッフパルプ層を挟んだ。
更に、第2ウエブp2の下に坪量100g/m2のフラッフパルプ層を配した。これら全体を、ホットメルト粘着剤5g/m2をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み、吸収体を得た。吸収体においては、肌から最も遠い面側に、坪量100g/m2のフラッフパルプ層が位置している。吸収体全体の坪量は502g/m2、厚さは2.2mmであった。また各開繊ウエブの坪量は13g/m2であった。
表面シートとして坪量25g/m2のエアスルー不織布を用いた。表面シートには直径5mmの金属ピンで開孔処理が施されていた。エアスルー不織布は、芯がポリプロピレン、鞘が直鎖状低密度ポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(太さ2.1dtex、界面活性剤で表面処理、液透過性を有する)から構成されていた。裏面シートとして坪量20g/m2の多孔質フィルムに、坪量20g/m2のポリプロピレン製スパンボンド不織布をホットメルト1.5g/m2で接着して複合化したものを用いた。多孔質フィルムは、密度0.925g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、炭酸カルシウム150重量部、及び第三成分としてエステル化合物4重量部を均一混合したものを、インフレーション成形した後、縦方向に2倍に一軸延伸したフィルムであった。それ以外は通常の使い捨ておむつの製造方法に従い、図1及び図2に示す構造の使い捨ておむつを得た。吸収体は、ウエブの配向方向が、おむつの長手方向に一致するように配した。
〔実施例2〕
高吸収性ポリマーの散布坪量を110g/m2とした以外は実施例1と同様に高吸収性ポリマーの粒子が開繊ウエブ中に埋没担持されたウエブp1を得た。次に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量300g/m2の混合体mを得た。混合体におけるフラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。ウエブp1に混合体mを重ね、これらを親水化処理した坪量16g/m2のスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布(SMS)を用いて包み込み、吸収体を得た。吸収体全体の坪量は482g/m2、厚さは2mmであった。それ以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔実施例3〕
実施例2において、ウエブp1と混合体mの積層体を直径5mmの金属ピンを用いて開孔処理した以外は実施例2と同様にして吸収体を得た。開孔は吸収体前側先端から100mmの位置を基点に、200mmの長さで、幅50mmにわたって形成した。幅方向に隣り合う金属ピンの先端の間隔は1cm、前後は千鳥パターンで配列してあり、前後の金属ピンの先端の間隔も1cmであるものを使用した。得られた吸収体を用いて、実施例2と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔実施例4〕
実施例1のウエブに対し、高吸収性ポリマーの散布坪量を110g/m2とし、該高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。次に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合したものをT字状の型の上に積繊し、合計坪量300g/m2の積繊体を得た。T字状の型は、脚部の幅が100mmで、長さが100mm、横架部の幅が125mmで、長さが100mmあった。積繊体におけるフラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。積繊体上にウエブを重ね、これら全体をホットメルト粘着剤をスプレー塗工した坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。それ以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔実施例5〕
実施例4において、長繊維の繊維径を6.7dtex、トウの全繊維量を1.7万dtex、ウエブ中の長繊維の捲縮率を24%、1cm当たりの捲縮数を10個であり、ウエブの平均坪量を30g/m2とした以外は実施例4と同様にして積層体を得た。それ以外は実施例4と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例1〕
開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量520g/m2の混合体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ260g/m2であった。得られた混合体を坪量16g/m2のティッシュペーパーで包み吸収体を得た。混合体とティッシュペーパーの間は、ホットメルト粘着剤5g/m2をスプレー塗工し接着した。吸収体全体の坪量は562g/m2、厚さは4.3mmであった。これら以外は実施例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例2〕
比較例1と同様に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量300g/m2の混合体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ150g/m2であった。それ以外は比較例1と同様にして吸収体を得た。吸収体全体の坪量は342g/m2、厚さは2.6mmであった。この吸収体を用いる以外は比較例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例3〕
比較例1と同様に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量400g/m2の混合体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ200g/m2であった。それ以外は比較例1と同様にして吸収体を得た。吸収体全体の坪量は442g/m2、厚さは3.0mmであった。この吸収体を用いる以外は比較例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔比較例4〕
比較例1と同様に、開繊したフラッフパルプ100重量部と高吸収性ポリマー100重量部を気流中で均一混合し、合計坪量200g/m2の混合体を得た。フラッフパルプ及び高吸収ポリマーの坪量はそれぞれ100g/m2であった。それ以外は比較例1と同様にして吸収体を得た。吸収体全体の坪量は242g/m2、厚さは1.7mmであった。この吸収体を用いる以外は比較例1と同様にして使い捨ておむつを得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られたおむつにおける吸収体について、以下の方法で吸収容量、通気抵抗値を測定し、柔軟性及び構造安定性を評価した。また、おむつについてフィット性を評価した。それらの結果を以下の表1に示す。
〔吸収容量〕
得られた吸収体を45°の傾斜板に固定し、吸収体の上方側の端部から200mmの位置に生理食塩水を40gずつ、5分間隔に繰り返し注入した。吸収体の下方側の端部から漏れ出すまでの注入量を比較した。比較例1の吸収容量を1.0とした時の相対値を以下の計算式を用いて算出した。
吸収容量(相対値)=(サンプルの吸収容量)/(比較例1の吸収容量)
〔通気抵抗値〕
100mm×100mmに作製した吸収体の通気抵抗値を、カトーテック製の通気性試験機KES−F8(商品名)を用いて測定した。この装置によれば、一定流量の空気(4cc平方cm/sec)を通過させたときの圧力損失を測定し、通気抵抗値が算出される。測定は5点行い、その平均値を測定値とした。
〔柔軟性〕
吸収体についてハンドルオ・メーター試験を行い、以下の判断基準に従って柔軟性を評価した。数値が小さい程、当てやすさやフィット性が良好であることを示す。
○:ハンドルオ・メーターの測定値が2N以下である。
△:ハンドルオ・メーターの測定値が2Nを超え、4N以下である。
×:ハンドルオ・メーターの測定値が4Nを超える。
〔構造安定性〕
(1)ドライ時
50mm×200mmに作製した吸収体の長手方向中央部を幅方向にわたって切断し、50mm×100mmのサンプルを得た。切断面を真下にして、振幅5cmで1回/1秒の速度で20回振動を与えたとき、切断面からの脱落したポリマーの量を測定した。以下の判断基準に従って構造安定性を評価した。
混合した高吸収ポリマーのうち、
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下である。
△:脱落した高吸収ポリマーの量が10%を超え、25%以下である。
×:脱落した高吸収ポリマーの量が25%を超える
(2)ウエット時
50mm×200mmに作製した吸収体全面に、生理食塩水100gをほぼ均等に吸収させた後、静かに吸収体を持ち上げたとき、吸収体が破壊しないかどうかを目視判定した。また、脱落した高吸収性ポリマーの重量を測定し、別途測定しておいた脱落した高吸収性ポリマー単位重量あたりの遠心保持量で除することで脱落した高吸収性ポリマーのドライ時の重量を算出する。さらに、高吸収性ポリマーの配合量との関係から脱落した高吸収性ポリマーの割合を算出する。なお、高吸収性ポリマーの配合量は、あらかじめ重量を測定しておいた分析対象の吸収体をアスコルビン酸の水溶液に浸漬させ、十分な時間日光暴露をして、高吸収性ポリマーを完全に分解させる。水洗と分解を繰り返し、高吸収性ポリマーが完全に溶解した後乾燥させ、前記分解前の吸収体重量の差から高吸収性ポリマーの配合量を見積もることができる。
○:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%以下であり、吸収体の破壊がない。
△:脱落した高吸収ポリマーの割合が10%を超え、25%以下であり、吸収体の破壊がない。
×:脱落した高吸収ポリマーの割合が25%を超える、あるいは吸収体が破壊する。
〔フィット性〕
得られたおむつを、Lサイズパンツおむつ使用の乳幼児5名(7ヶ月〜14ヶ月児)に装着させ、母親の印象を聞き取った。
○:すっきりフィットしていて、股間がもこもこしていない。
△:ややすっきりしている。
×:もこもこ感があってすっきりせず、フィットしていない。
Figure 0004480688
表1に示す結果から明らかなように、各実施例で作製された吸収体は、十分な吸収容量を有し、且つ通気抵抗値が低いものであることが判る。また柔軟であり、更にドライ時及びウエット時の何れにおいても吸収体の構造が安定していることが判る。そして、各実施例で作製された吸収体を有するおむつは、フィット性が良好になることが判る。
〔実施例6〕
本実施例は、長繊維のウエブの捲縮率と高吸収性ポリマーの担持率との関係を調べたものである。この長繊維の繊維径は2.1dtexであった。この長繊維のトウを、伸長下に搬送し空気開繊装置を用いて開繊し開繊ウエブを得た。次いで、多数の円盤が軸周りに所定間隔おきに組み込まれたロールと、平滑な受けロールとの間に開繊ウエブを通して、該ウエブを梳いた。その後、ウエブを幅100mmに調節し、その搬送速度を減速した状態でバキュームコンベア上に転写し、当該バキュームコンベア上でのウエブの張力を緩めて捲縮を発現させた。ウエブの張力を制御し、種々の捲縮率を有するアセテート長繊維のウエブを調整した。これによって長繊維間の空間を広げ、高吸収性ポリマーを入り込ませ易くし、またウエブを厚くして高吸収性ポリマーの埋没担持性を向上させた。ウエブ上に高吸収性ポリマーを散布し、該高吸収性ポリマーを開繊ウエブ中に埋没担持させた。ウエブの坪量は26g/m2であった。ポリマーの散布坪量は260g/m2であった。ポリマーとしては平均粒径330μmの塊状タイプのものを用いた。このようにして得られた吸収体について、前述の構造安定性(ドライ時)試験を行った。試験後にウエブ中に担持されていた高吸収性ポリマーの重量を、試験前にウエブ内に配合されていた高吸収性ポリマーの重量で除して100を乗じ、得られた値を高吸収性ポリマーの担持率(%)とした。結果を表2に示す。
Figure 0004480688
本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつを示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 本発明の吸収性物品の第2の実施形態としての使い捨ておむつにおける股下部の幅方向断面を示す模式図である。 本発明の吸収性物品の別の実施形態としての使い捨ておむつにおける股下部の幅方向断面を示す模式図である。 使い捨ておむつの新規な設計手法における計測部位等を示す図である。 使い捨ておむつの新規な設計手法を説明するための図であり、(a)は、身体形状を転写して得たベースパターンを示す図であり、(b)は、ベースパターンに修正を加えた修正ベースパターンを示す図であり、(c)は、着用者の皮膚の伸縮を考慮し、マスターパターンに修正を加えて得た修正マスターパターンを示す図であり、(d)は、修正マスターパターンに、はかせやすさ(装着しやすさ)等を考慮して修正を加えて得た最終パターンを示す図である。 本発明の第3の実施形態としての使い捨ておむつの展開且つ伸張状態を示す平面図である。
符号の説明
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4a ウエブ
4b 高吸収性ポリマー
5 外装シート
6 立体ギャザー
7 レッグギャザー
L レッグフラップ
W ウエストフラップ

Claims (7)

  1. 親水性を有する長繊維のウエブと高吸収性ポリマーとを含む吸収体を具備し、
    前記ウエブを構成する前記長繊維が、前記吸収体の平面方向に一方向に配向しており、
    前記長繊維が捲縮しており、かつ前記ウエブ中において該長繊維同士が接着されておらず、
    前記高吸収性ポリマーが塊状のものであり、かつ塊状の該高吸収性ポリマーが、前記ウエブに形成される網目構造中に埋没担持されており、
    前記高吸収性ポリマーの坪量を、ウエブの坪量以上でかつ20倍以下となして、前記高吸収性ポリマー100g/m2あたりの該吸収体の通気抵抗値を0.25kPa・s/m以下となした吸収性物品。
  2. 吸収体の左右両側縁よりも幅方向の外方の位置に、長手方向に延びるレッグフラップが形成されており、該レッグフラップには長手方向に延びる弾性部材が一本又は複数本配されており、最外方に位置する弾性部材と吸収体の側縁との間の部位が通気性を有している請求項1記載の吸収性物品。
  3. 吸収体の前端縁又は後端縁よりも長手方向の外方の位置に、幅方向に延びるウエストフラップが形成されており、該ウエストフラップには幅方向に延びる弾性部材が一本又は複数本配されており、最外方に位置する弾性部材と吸収体の端縁との間の部位が通気性を有している請求項1記載の吸収性物品。
  4. 吸収体が、液透過性の表面シートと、液不透過性ないし撥水性で且つ透湿性の裏面シートとの間に配されており、表面シートの左右両側縁が、裏面シートの左右両側縁よりも幅方向の内方で終端している請求項1ないし3の何れかに記載の吸収性物品。
  5. 前記長繊維の捲縮率が10〜60%である請求項1ないし4の何れかに記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収性物品の長手方向の両側に、一対の立体ギャザーが形成されている請求項1ないし5の何れかに記載の吸収性物品。
  7. 一対の前記立体ギャザーが2組形成されている請求項記載の吸収性物品。
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