JP4478459B2 - 浮遊させられたガラスリボンを製作するためのフロート設備の供給通路内でガラス溶融物を調量するための装置 - Google Patents

Description

本発明は、浮遊させられたガラスリボンを製作するためのフロート設備の供給通路内でガラス溶融物を調量するための装置であって、当該装置が、少なくとも１つの遮断スライダ（ツイール）を有しており、該遮断スライダがその表面に、少なくとも部分的に、貴金属合金を含有する層を備えている形式のものに関する。

小さいフロート設備または特殊ガラスのためのフロート設備は、ただ１つの遮断スライダ（ツイール）によって作業し、この遮断スライダによって、フロート浴に転送されたガラス溶融物量が調節される。

石灰・ナトロンフロート設備のための供給通路は、一般的に、ガラス溶融物の自由表面を有している。特殊ガラス、特に硼珪酸塩ガラスの場合、ガラス成分の選択的な蒸発があるために、ガラス溶融物のいかなる自由表面も許容できない。したがって、前記のような供給通路では、ガラス溶融物のレベル位置は、供給通路のカバー煉瓦の下縁部の約２０〜５０ｍｍ上方にある。

遮断スライダは、供給通路内で鉛直に調節可能に懸吊されている。一定の通路幅で、遮断スライダ高さ（通路底部と遮断スライダの下縁部との間隔）を変化させることによって通路横断面を変化させることができ、ひいては、同じガラス粘性で、遮断スライダの下方を通流するガラス溶融物の量を調節することができる。

遮断スライダは、通常、耐火性の材料から成っている。一般的に、遮断スライダのためには、泥漿鋳込みされて焼結されたシリカガラスセラミックス（溶融シリカ）が使用される。

遮断スライダ・下縁部の構成は、浮遊させられたガラスリボンの品質に多大な影響力を有している（歪み、泡等々）。遮断スライダの下面は、通常、平らであるが、凸状に湾曲していてもよい。

遮断スライダがシリカガラスセラミックス（溶融シリカ）から成っている場合、熱いガラス溶融物によって、遮断スライダの下面、すなわち、ガラス溶融物内に導入される下面は、強く侵食される。この侵食によって、遮断スライダの表面幾何学的形状が変化させられる（侵食プロフィル、遮断スライダの中央における比較的に強い減り、通路の外側における比較的に弱い減り）。浮遊させられたガラスのガラス品質は、遮断スライダの作動時間が長くなるにつれて悪化する（歪み、泡等々）。特に、高融点の（無アルカリの、貧アルカリの）硼珪酸塩ガラスまたはアルミノ珪酸塩ガラスの場合、シリカガラスセラミックスから成る遮断スライダの耐用年数は、極めて僅かである。高融点のアグレッシブなガラスの場合、貴金属合金（例えばＰｔまたはＰｔ／Ｒｈ１０）から成る、セラミックス・遮断スライダのコーティング層によって耐用年数を延ばすことが、既に試行されている。さらに耐用年数は、特に１２００〜１４００°Ｃのガラス溶融物の一般的な温度の場合、十分であることが判明している。しかしながら、前記コーティング層の欠点は、前記材料が、１２００〜１４００°Ｃの温度範囲において浮遊可能な大抵のガラスでひどく濡れてしまうことである。特に、硼珪酸塩ガラスのような高融点の特殊ガラスの場合、遮断スライダの下方を通流するガラス温度は、１２５０〜１３５０°Ｃの温度範囲内である。この場合に生じるひどい濡れは、浮遊させられたガラスリボンの表面特性に、不利な影響を及ぼす。さらに、このことによって前記ガラスリボンの品質も損なわれる。

したがって本発明の課題は、冒頭に述べた形式の装置を改良して、ガラス溶融物が遮断スライダの表面を軽くしかぬらさず、したがって浮遊させられたガラスリボンの品質が損なわれないようなものを提供することである。

この課題を解決するために本発明の構成では、浮遊させられたガラスリボンを製作するためのフロート設備の供給通路内でガラス溶融物を調量するための装置であって、当該装置が、少なくとも１つの遮断スライダ（ツイール）を有しており、該遮断スライダがその表面に、少なくとも部分的に、貴金属合金を含有する層を備えている形式のものにおいて、貴金属合金が、白金および金を有しているようにした。

遮断スライダにおけるこの層によって、特に、１２００〜１４００°Ｃの温度でガラス溶融物との接触部において遮断スライダが僅かにしか濡れないことが達成される。遮断スライダは、合金領域において、ガラス溶融物にほんの少ししか濡れず、これにより、浮遊させられたガラスリボンの高い表面品質が得られる。本発明の有利な実施例によれば、コーティング層は、２〜８重量％の金、有利には５重量％の金を有していることが考えられる。５重量％の金を有する白金から成る合金は、前記要求を最適に満たす。濡れは、大抵の市販のガラスの場合、極めて僅かである。

このことは、特殊ガラスについても１２００〜１４００°Ｃの温度範囲において当てはまる。このことは、実験室試験において、合金面における比較的に大きい接触角によって実証された。

コスト上の理由から、遮断スライダが、セラミックス、有利には泥漿鋳込みされて焼結されたシリカガラスセラミックス（溶融シリカ）から成る基体を有していることを特徴とする構成が有利である。これにより、遮断スライダは十分な安定性を有し、貴重な金属被膜は、遮断スライダの、どうしても必要な表面に限られる。

遮断スライダの設計上の構成は、次のことを特徴としていてよい。すなわち、遮断スライダがほぼ直方体形に形成されていて、ガラス溶融物に向けられた下縁部で凸状に湾曲しており、しかもこの湾曲が、ガラス溶融物の流れ方向に向けられており、遮断スライダの幅が、供給通路の全幅にわたって延びており、被覆部がポケット状に形成されていて、基体を収容しており、遮断スライダが支承ピンによって懸吊装置に懸吊されており、しかも支承ピンが供給通路の幅にわたって延びており、ポケット状のコーティング層が、結合舌片を介して遮断スライダの支承ピンに結合されていることを特徴としていてよい。この場合、遮断スライダの懸吊によって、同じく基体と層との結合も引き受けられる。

比較的に大きいフロート設備の場合、供給通路内に少なくとも２つの遮断スライダが配置されており、フロート浴に向けられた方の遮断スライダによって、ガラス溶融物の、供給通路を出ていくレベル位置が、調節可能であり、フロート浴から離反した方の遮断スライダによって、供給通路内のガラス溶融物が、遮断可能および解放可能であることが考えられている。

浮遊させられたガラスリボンの表面品質のための尺度として、例えばゼブラ角度（Zebra-Winkel）またはうねり、特に微細うねりが測定される。これらは本発明による特徴によって本質的に改善される。

以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

図１による原理概略図（Prinzipschaltbild）に示してあるように、ガラスはガラス溶解槽１０内で溶融され、供給通路１１に供給される。この供給通路１１内で、清澄されたガラス溶融物１２が、溢流煉瓦（Ueberlaufstein）１３に向けられた遮断スライダ２０によって調量可能である。溢流煉瓦１３から離反して、別の遮断スライダ３０が供給通路１１内に配置されている。前記別の遮断スライダ３０によって、供給通路１１内のガラス流れが解放可能または遮断可能である。

溢流煉瓦１３はフロート浴の始端壁１４上に配置されている。前記フロート浴は底エレメント１５によって示されていて、液状の錫から成る浴１６を収容している。ガラス溶融物１２は溢流煉瓦１３を介してフロート浴内に液状の錫上へ流れ、連続的なガラスリボンを形成する。このガラスリボンは引出しローラ（図示せず）を介してフロート浴から引き出される。溢流煉瓦１３とフロート浴との間の移行領域は、カバー１７によって覆われている。

遮断スライダ２０；３０の設計上の構成は、図２による斜視図に示してある。ほぼ直方体形の基体２１は、泥漿鋳込みされて焼結されたシリカガラスセラミックス（溶融シリカ）から成っている。

基体２１の下縁部は凸状に湾曲している。遮断スライダ２０は供給通路１１の全幅にわたって延びていて、懸吊装置２５によって供給通路１１のカバー煉瓦内で鉛直に調節可能である。基体２１は、白金合金から成るポケット状の層２２を備えている。この層２２はコーティングによって、例えば粉末状の材料を焼結または火炎溶射することによってかまたは電着塗装することによってかまたは金属薄板を被着することまたは金属薄板で鍍金することによって形成されていてよい。

図２にさらに示してあるように、支承ピン２６が設けられており、この支承ピン２６は、基体２１と懸吊装置２５との間の結合部を形成している。層２２は、ガラス溶融物１２内への遮断スライダ２０の最大浸漬深さにわたって延びている。ガラス溶融物１２を解放および遮断するための遮断スライダ３０も、同一の設計上の構成を有している。

層２２によって、ガラス溶融物に対する遮断スライダ２０の濡れが減少される。このことは、浮遊させられたガラスリボンの、改善された表面品質において効果を現す。

フロートガラスを製作するためのフロート設備を、２つの遮断スライダを備えた供給通路の、フロート浴への移行領域において示す図である。

５重量％の金を有する白金から成る合金製の層を備えた、シリカガラスセラミックス製の遮断スライダの斜視図である。

Claims (5)

1. 浮遊させられたガラスリボンを製作するためのフロート設備の供給通路内で、ガラス溶融物を調量するための装置であって、当該装置が少なくとも１つの遮断スライダ（ツイール）（２０，３０）を有し、該遮断スライダ（２０，３０）がその表面に、少なくとも部分的に、貴金属合金を含有する層を備えている形式のものにおいて、前記貴金属合金が、白金と金とを有し、前記遮断スライダ（２０，３０）が、ガラス溶融物（１２）内へのその最大浸漬深さの領域に、貴金属合金を有している前記層（２２）を備えており、前記貴金属合金が２から８重量％の金を有しており、前記遮断スライダ（２０，３０）がセラミックスから成る基体（２１）を有し、該基体（２１）が泥漿鋳込みされかつ焼結されたシリカセラミックス（溶融シリカ）から成っていることを特徴とする、浮遊させられたガラスリボンを製作するためのフロート設備の供給通路内でガラス溶融物を調量するための装置。
2. 前記貴金属合金が５重量％の金を有している、請求項１記載の装置。
3. 遮断スライダ（２０，３０）が、ほぼ直方体形に形成されていて、ガラス溶融物（１２）に向けられた下縁部で凸状に湾曲しており、該湾曲がガラス溶融物（１２）の流れ方向に向けられており、遮断スライダ（２０，３０）の幅が供給通路（１１）の全幅にわたって延びている、請求項１又は２記載の装置。
4. 供給通路（１１）内に少なくとも２つの遮断スライダ（２０，３０）が配置されており、フロート浴に向けられた方の遮断スライダ（２０）によって、供給通路（１１）を出ていくガラス溶融物（１２）のガラス量が調量可能であり、フロート浴から離反した方の遮断スライダ（３０）によって、供給通路（１１）内のガラス溶融物（１２）が遮断可能および解放可能である、請求項１から３までのいずれか１項記載の装置。
5. 前記層（２２）が１２００〜１４００°Ｃの温度範囲においては、ガラス溶融物（１２）によってほとんど濡らされない、請求項１から４までのいずれか１項記載の装置。

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