JP4478362B2 - クリーニング方法、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、乾式二成分又は一成分現像剤を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置に関し、特に、球形トナーを用いた際のトナー画像転写後のクリーニング不良を回避した電子写真方式の画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乾式二成分又は一成分現像剤を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成においては、帯電及び/又は電圧印加部材として、従来から一般的に用いられているコロナ帯電方式がある。
しかしながら、このコロナ帯電器は、放電の際に発生するオゾンによって、感光体の劣化や環境保全上の問題があり、これに代わる手段として、直接電圧印加方式を採用した電子写真が上市されている。
これは、電子写真感光体や中間転写体等に当接した低抵抗部材に電圧を印加することにより、所望の帯電又は電圧印加を行うものである。
このような電圧印加手段を転写工程に利用する場合、周知のコロナ帯電方式と比べて、被転写材を確実に保持できるために、被転写材の搬送安定性が高く、転写バイアスも比較的低圧かつ低容量ですむために、装置がコンパクト化でき、オゾン発生の問題もないという利点があることから、多くの機種に搭載され始めている。
【0003】
また、近年の動向として、粉砕分級法による不定形トナーに代わって、懸濁重合法や乳化重合又は分散重合法等による重合トナーや、熱気流,流動造粒法による球形処理を施したトナーが用いられつつあり、流動性に優れ、画像形成能にも優れたトナーとして注目されている。
しかし、これら球形トナーを用いる際に解決すべき問題点として、像担持体表面におけるクリーニング性の悪さが挙げられる。
【0004】
この対策としては、クリーニング工程にブラシを用いたり、クリーニングブレードの当接圧を上げることが行われているが、いずれの場合にも、感光体に対する機械的なストレスが増加し、感光体寿命を低下させる要因となったり、また、ブレードの反転が発生し、感光体に対して致命的なキズを与える等の問題があった。
【0005】
特開平5−333757号公報には、トナーの真円度が0.85以上という球形度の高くないトナーを用い、かつ感光体の表面平均粗さを0.1〜2μmと粗くすることにより、クリーニング性の悪さを改善するという提案がなされている。
しかしながら、真円度が低いトナーでは、形成される画像の精緻さが期待できない上に、感光体表面粗さの経時的な維持等が原理的に困難であり、実用的ではないものであった。
【0006】
また、特開平9−96965号公報、特開平9−114232号公報、特開平9−274364号公報及び特開平11−84878号公報等には、転写工程後の像担持体上に残留した球形トナーに対して各種除電手段を用い、残留トナーの帯電量を低減してクリーニング性を改善するという提案がある。
しかしながら、上記除電手段を新たに設けることは、部品点数の増加や製造コストの増加に直結するものであり、さらに、当該残留トナーはもともと転写工程で大きな転写バイアスを印加しても被転写体に転写されずに残留したものであり、その保有する帯電量は、正規に転写されたトナーよりも低いと推測されるために、上記除電手段のみで帯電量が変化し、クリーニング性が改善されるということ及びその効果には多大の疑問が残るものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題を解消し、球形トナーを用いた際に、転写工程後に像担持体上に残留したトナー粒子を簡便かつ効率的にクリーニングでき、しかも効率よく回収することのできる画像形成方法及び画像形成装置を提供することをその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、クリーニング部材の当接の仕方に着目して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
請求項1記載の発明では、像担持体上のトナー像を被転写体に転写した後、前記像担持体上に残留したトナーを、前記像担持体の表面に該表面に略平行に延びるクリーニングローラを当接させて除去する工程を有するクリーニング方法であって、球形化したトナーを使用するクリーニング方法において、前記クリーニングローラを、前記像担持体の表面の移動方向と直交する幅方向に対して該幅方向を含む水平面内で角度を持つように配置し、且つ、前記像担持体と当接する部分が前記像担持体の表面の移動方向とは逆向きとなるように回転させ、遠心分離方式による粉体付着力測定方法で、粉体を付着させた試料面の法線方向を遠心分離装置の回転中心軸に直角な遠心方向と一致させて測定した場合のトナー付着力を垂直方向の付着力FV、粉体を付着させた試料面の法線方向を遠心分離装置の回転中心軸に平行な方向と一致させて測定した場合のトナー付着力を水平方向の付着力FLとしたとき、
前記球形化したトナーとして、垂直方向の付着力と水平方向の付着力との比であるFL/FVが、0.3以下であるものを用いることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載のクリーニング方法において、前記像担持体が電子写真感光体であることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1に記載のクリーニング方法において、前記像担持体が、ベルト状の中間転写体であることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項3に記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラが0.1〜40度の角度を有していることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項4に記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラの角度が1〜30度であることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項3〜5のいずれかに記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラが角度を有しない場合の該クリーニングローラの軸線を基準としたとき、該クリーニングローラの前記中間転写体の表面の移動方向下流側に位置する端部に対応した前記中間転写体の端部側から残留トナーを回収することを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラが、前記像担持体の線速に対し0.7〜1.3の比率の線速で回転することを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項7に記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラが弾性体から形成され、かつ該弾性体の体積抵抗が10 5 〜10 13 Ωcmであることを特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項1〜8のいずれかに記載のクリーニング方法において、前記クリーニングローラに対して電圧を印加することを特徴とする。
請求項10記載の発明では、画像情報に基づいて像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで可視像化し、該トナー像を記録媒体に直接にあるいは中間転写体を介して転写し、該転写後前記像担持体又は前記中間転写体の表面に残留したトナーをクリーニングローラを用いてクリーニングする画像形成方法において、前記クリーニングに、請求項1〜9のいずれかに記載のクリーニング方法を使用することを特徴とする。
【0011】
請求項11記載の発明では、画像情報に基づいて像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで可視像化し、該トナー像を記録媒体に直接にあるいは中間転写体を介して転写し、該転写後前記像担持体又は前記中間転写体の表面に残留したトナーをクリーニングローラを用いてクリーニングする画像形成装置において、前記クリーニングに、請求項1〜9のいずれかに記載のクリーニング方法を使用することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記課題を達成するために、本発明者らは先ず、クリーニング不良が発生する際のトナーの状態を詳細に観察した。
その結果、不定形トナーの場合は、クリーニング部材に衝突した後に、トナー粒子が運動エネルギーを失わずにクリーニング部材表面からの着脱を繰り返し、この部材からの分離も良好なために容易に回収されるが、球形トナーの場合は、衝突した位置でクリーニング部材と被クリーニング材間に挟まった状態で粒子が回転するのみで、クリーニング部材からの脱離が起きず、その後、クリーニング部材の振動等によって、部材と被クリーニング材間に生じた僅かな隙間から流出してクリーニング不良を発生することが判明した。
【0013】
つまり、この現象は、特定形状のトナーの場合には、本来トナー粒子が有していた運動エネルギーが、上記クリーニング部材との衝突後に保存されずに回転エネルギーに変換されることが、問題の要因であることが明らかとなった。
また、この現象をトナーの付着力として力学的見地から解析すると、中間転写体面に対して垂直方向の付着力と水平方向の付着力の比(水平付着力/垂直付着力)が0.3以下である球形トナーにおいて、特に顕著になるという傾向があった。
そこで、本発明者らが検討した結果、クリーニング部材の当接状態を工夫すると、球形トナーの運動エネルギーの一部をトナー粒子の回転エネルギーとして変換させずに、そのままトナー回収部材への移動エネルギーとして利用することができ、上記問題が劇的に解決されるということを見出したのである。
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の単的な例を図1に示す。
図1は、ベルト形状の中間転写体上に設けたクリーニング手段に関わるものである。
【0015】
このように、クリーニング部材を像担持体表面又は被転写体表面の駆動方向の垂直軸より角度(図中θで表記)を有して当接することにより、球形トナーは図1の中間転写ベルトの右端に集まり、ここでトナー回収手段により回収されるものである。
【0016】
これは、図2に表示したクリーニング部拡大図に示したように、本構成のクリーニング部材に球形トナーが衝突すると、トナーがクリーニング部材の傾斜に従って移動するという特有の現象を利用したものである。
θの大きさは、被クリーニング部材及びトナーの素材や被クリーニング部材の線速、当接圧等により左右されるが、本発明者らが検討した限りでは、中間転写体の駆動方向の垂直軸に対して0.1〜40度であることが好ましく、特に1〜30度の範囲であることが望ましいことが判った。
これは、角度が小さすぎる場合は、球形トナーといえども中間転写体端部方向への移動が生じ難くなることと、また、大きすぎる場合は、クリーニング工程長が長過ぎてこれを登載する電子写真装置が長大なものとなるために、設計上、常識的な範囲内で上記のような上限を設定した。
図1及び2では、図面に向かって右側が中間転写体進行方向の下流に位置するような傾き方を示したが、当然ながら、左側が下流となるような傾きでも構わず、当画像形成装置を構成する各部品のレイアウトに応じて任意に選択し得るものである。
【0017】
さらに、本発明においては、クリーニング部材としてクリーニングローラを用いた場合が挙げられる。
このクリーニングローラは、像担持体駆動方向に対して逆回転となるように当接することが望ましく、その回転速度は像担持体の移動速度を1とした場合に、0.7〜1.3の範囲であることが好ましい。
これは、上記比率未満の回転数では、充分なクリーニングができずに初期からクリーニング不良が発生し易く、また、上記比率を越えると、当クリーニングローラや像担持体に対するストレスが大きすぎるために上記部材の劣化が促進されるためである。
【0018】
クリーニングローラには、そのクリーニング効率を向上するために、トナー捕集用の電界を加える機構を附与することができる。
そこで、ローラには、半導電性を保有させる必要があり、その電気抵抗範囲は105〜1013Ω・cmが望ましい。
これは、上記抵抗値を越えると、充分な電界が印加し難くなることと、また、上記抵抗値未満では、放電等の問題が発生し易くなるために実用できないからである。
【0019】
本発明においては、クリーニングローラで捕集したトナーの回収手段を設けることと、その具体的な方法が規定されている。
中間転写体端部に集まったトナー粒子は、そのまま中間転写体表面から落下させて回収してもよいが、公知のトナー回収手段を利用でき、例えば、ブラシ、ベルトやローラ等で回収する機構を設けても構わない。
さらに、中間転写体は高速に駆動するため、中間転写体に接触せずにトナー粒子を回収する方法として、トナーを含む気流ごと吸引して回収する手段を利用するか又は静電的にトナーを回収する電圧印加手段を設けて回収する方法も利用できる。
【0020】
次に遠心分離による粉体付着力測定方法について説明する。
まず、遠心分離方式による被当接膜面に対して垂直方向の粉体付着力測定を実施する際の装置について説明する。
図3〜図5は、本発明に係る粉体付着力測定装置の測定セル、遠心分離装置を示す図である。
【0021】
図3は、粉体付着力測定装置の測定セルの説明図である。
図3において、1は測定セルであり、測定セル1は、粉体を付着させた試料面2aを有する試料基板2と、試料基板2から分離した粉体を付着させる付着面3aを有する受け基板3と、試料基板2の試料面2aと受け基板3の付着面3aの間に設けられたスペーサ4から構成される。
【0022】
図4は、粉体付着力測定装置の遠心分離装置の一部断面図である。
図4において、5は遠心分離装置であり、遠心分離装置5は、測定セル1を回転させるロータ6と、保持部材7を備えている。
ロータ6は、自身の回転中心軸9に対して垂直な断面で穴形状であり、保持部材7を設置する試料設置部8を有している。
保持部材7は、棒状部7aと、棒状部7aに設けられ測定セル1を保持するセル保持部7b、測定セル1をセル保持部7bから押し出すための穴部7c、棒状部7aを試料設置部8に固定する設置固定部7dを備えている。
セル保持部7bは、測定セル1を設置したときに、測定セル1の垂直方向がロータの回転中心軸9に垂直となるように構成される。
また、試料基板2、受け基板3、スペーサ4、保持部材7は、大きな遠心力に耐えられる強度があり、また、ロータ6に設置したときに、遠心分離装置の最大回転数まで回転可能な重量以下となるような軽量の材料を用いる必要がある。
【0023】
次いで、被当接膜面に対して水平方向の粉体付着力測定を実施する際の装置について説明する。
本測定は、本出願人が先に出願した特開平11−64212号公報等の記載に従って測定を行っている。
図5は、水平方向の粉体付着力測定装置の一実施例である遠心分離装置の一部断面図である。
図5において、1は粉体付着力測定装置であり、粉体付着力測定装置1は、粉体を付着させた試料面2aを有する試料基板2と、遠心分離装置3とを備えている。試料基板2は、試料面2aが四角形である部材から構成されている。
【0024】
遠心分離装置3は、ロータ5と、保持部材6とを有する。ロータ5は、回転軸4まわりに回動自在に設けられ、試料基板2の試料面2aが鉛直上方を向くとともに回転軸4に対して垂直となるように内部に試料基板2を保持する。
また、保持部材6の形状に対応する形状の凹みを有し、保持部材6を嵌合可能に支持する試料設置部5aを有する。
ロータ5は、試料設置部5aが回転軸4に対して傾斜しているアングルロータである。
【0025】
保持部材6は、棒状部7と棒状部7に設けられ試料基板2を保持する基板保持部8とを備えている。
保持部材6の棒状部7は、先端に設けられた配置調節部7aと、ロータ5の試料設置部5aに嵌合したとき試料設置部5aの内周面に当接する配置固定部7bと、を有している。
保持部材6の基板保持部8は、試料基板2を保持部材6に対して固定する固定部材を備えるとともにガイド9を備えている。
ガイド9は、基板保持部8に保持された試料基板2の試料面2aが基板保持部8の内周面に接触することがないように、試料面2aの周辺部に対応する基板保持部8の内周面部分に設けられている。
ガイド9と試料基板2との間には、隙間が形成されるようになっている。
上記固定部材は、ねじ10から構成されている。基板保持部8に試料面2aを鉛直上方に向けて試料基板2を挿入した後、ねじ10で試料基板2を保持部材6に固定して保持させるようになっている。
【0026】
試料基板2は、保持部材6の基板保持部8に保持されたとき、設置方向が一定となるような形状の部材から構成される。
試料基板2及び保持部材6は、遠心分離装置3のロータ5の大きな遠心力に耐えられる強度があり、ロータ5が最大回転数で回転可能な重量以下の軽量の部材から構成される。
保持部材6の配置調節部7aは、何等かの治具で保持部材の向きを調整することができる突起を有する凸部又はドライバーの先端に対応する形状である凹みを有する凹部から構成される。
保持部材の配置固定部7bは、ゴム等の弾力性を有する部材から構成される。
【0027】
実施例の遠心分離式付着力測定方法は、基板配置工程と、付着力導出工程とを備えている。
上記基板配置工程においては、図1に示された粉体付着力測定装置1を用いて、操作者が試料基板2を試料面2aが鉛直上方を向くようにして、保持部材6の基板保持部8へ挿入し、ねじ10を用いて試料基板2を保持部材6に固定して、保持部材6の基板保持部8に試料基板2を保持させる。
操作者が保持部材6を試料設置部5aに嵌合して、配置調節部7aを保持部材6の棒状部7の軸線まわりに回転させ、かつ配置固定部7bを試料設置部5aの内周面に当接させることにより、基板保持部8に保持された試料基板2の試料面2aが鉛直上方を向くとともに、ロータ5の回転軸4に対して垂直となるように、回転軸4に対して垂直な方向に対する試料設置部5a内での保持部材6の向きが調節され固定される。
このため、試料基板2の試料面2aに付着した粉体にロータ5の回転による遠心力が、試料面2aに平行な方向に向って作用するよう保持部材6をロータ5内に配置することを容易に行うことができる。
【0028】
また、ねじ10を用いて試料基板2を保持部材6に対して固定させているので、試料基板2の試料面2aが鉛直上方を向くとともにロータ5の回転軸4に対して垂直となる状態を容易に維持することができる。
上記付着力導出工程においては、内部に試料基板2を保持するロータ5を回転軸4まわりに回動させることにより、試料基板2上の前記粉体を移動させて、前記粉体の粒径、前記粉体の比重、回転軸4から前記粉体の測定領域の中心位置までの距離およびロータ5の回転数から前記粉体の試料面2aへの付着力が求められる。
このため、ロータ5を用いて試料基板2に大きな遠心力を加えることにより、付着力が大きい粉体の付着力の測定を行うことができる。
【0029】
公知の報告例として、例えば特開平6−308759号公報、特開平7−152218号公報、特開平7−152242号公報、特開平7−152253号公報、特開平7−152304号公報、特開平7−175266号公報、特開平8−328306号公報、特開平8−328341号公報等で、球形トナーの球形度を表す形状係数として、以下のような関数を利用してトナー形状を限定している。
SF1=(X2/A)×(π/4)×100 (1)
SF2=(P2/A)×(1/4π)×100 (2)
【0030】
上記中、Xは画像上の現像剤の絶対最大長を、Pは現像剤投影像の周囲長を、Aは現像剤投影像の面積を表す。
例えば、上式(1)におけるSF1が105以上、160未満である等の限定により形状を数値化しているが、本発明者らが検討し得られた知見からは、形状をいかに数値的に限定しても当該トナーを構成する樹脂や外添剤等の素材が変化する現況では、特定の素材に関しては成立するかもしれないが、球形トナーの挙動自体を制御することはできないことが判った。
例えば、図6に示したような場合、付着力としては、2つのトナーには大きな差が生じるが、上記SF値では両者の差はほとんど確認されない。
換言すれば、上式における球形度の数値化は、構成素材の限定等を無くしては、物理的には単にトナー粒子の“丸さ”を示す因子に過ぎず、これが電子写真方式にて形成される画像の品質や特性を直接左右する因子とはなり得ず、たとえ上記条件を満たしたとしても、本質的な問題解決にはならず、例外も多分に含まれる。
【0031】
そこで、本発明者らは上記トナーの球形化に基づくトナー特性の違いをトナー粒子と他部材間の付着力という物理的に認識される吸着エネルギーの形式で測定、制御することにより、上記問題を例外なく解決することが可能であることを確認し、本発明に到ったものである。
本発明でいう垂直及び水平方向の付着力の比とは、トナー粒子個々が接触部材に付着した際に働く動的な摩擦係数を示したものであると考えている。
したがって、この付着力の比(水平方向/垂直方向)が小さいほど、トナー粒子は接触部材と接触している箇所から動き易くなり、流動状態に成りやすいことを表す値であり、トナー粒子の形状を単的に表す数値であると考えている。
【0032】
次に、本発明で用いるトナーについて説明する。
本発明で用いられる球形トナーとしては公知のものを利用できるが、垂直及び水平方向の付着力から規定される粒子を製造する方法としては、分散重合法又は懸濁重合法により製造されたものが好適である。
【0033】
続いて、上記の装置を用いてトナーの非静電的付着力を測定する方法について説明する。
まず、フィルム状の感光体を作製し、試料基板2の形状に合わせて加工し、試料基板2に接着剤で貼り付ける。
次に、未帯電のトナーを、試料基板2に貼り付けられた感光体(試料面2a)上に自然落下させて付着させる。
次いで、図3のように、試料基板2、受け基板3及びスペーサ4を用いて測定セル1を構成する。
【0034】
測定セル1を、保持部材7をロータ6の試料設置部8に設置したときに、試料基板2が受け基板3とロータ6の回転中心軸9の間になるように、保持部材7のセル保持部7bに設置する。
保持部材7を、測定セル1の垂直方向がロータの回転中心軸9に垂直となるように、ロータ6の試料設置部8に設置する。
遠心分離装置5を稼働してロータ6を一定の回転数で回転させる。
試料基板2に付着したトナーは回転数に応じた遠心力を受け、トナーの受ける遠心力がトナーと試料面2a間の付着力よりも大きい場合は、トナーが試料面2aから分離し、付着面3aに付着する。
【0035】
トナーの受ける遠心力Fは、トナーの重量m、ロータの回転数f(rpm)、ロータの中心軸から試料基板のトナー付着面までの距離rを用いて、式(3)より求められる。
F=m×r×(2πf/60)2 (3)
トナーの重量mは、トナーの真比重ρ、円相当径dを用いて、式(2)より求められる。
m=(π/6)×ρ×d3 (4)
式(3)と式(4)より、トナーの受ける遠心力Fは、式(5)から求められる。
F=(π3/5400)×ρ×d3×r×f2 (5)
【0036】
遠心分離終了後、保持部材7をロータ6の試料設置部8から取り出し、保持部材7のセル保持部7bから測定セル1を取り出す。
受け基板3を交換し、測定セル1を保持部材7に設置し、保持部材7をロータ6に設置し、ロータ6を前回よりも高回転数で回転させる。
トナーの受ける遠心力が前回よりも大きくなり、付着力の大きなトナーが、トナーが試料面2aから分離して付着面3aに付着する。
【0037】
遠心分離装置の設定回転数を低回転数から高回転数へ変えて同様の操作を実施することにより、各回転数で受ける遠心力と付着力の大小関係に応じて、試料面2a上のトナーが付着面3aに移動する。
全ての設定回転数について遠心分離を実施後、各回転数の受け基板3の付着面3aに付着したトナーの粒径を計測することにより、式(5)を用いて各トナーの付着力を求めることができる。
なお、トナーの粒径及び個数の測定は、光学顕微鏡で付着面3a上のトナーを観察し、その画像をCCDカメラを通してコンピュータに取り込み、画像処理ソフトウェアを用いて行うことができる。
【0038】
次に、本発明で用いる分散重合トナーについて説明する。
本発明における樹脂粒子Aは、親水性有機液体にその親水性有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに上記親水性液体には溶解するが、生成する重合体は、上記親水性液体にて膨潤されるか、または、殆ど溶解しない一種又は二種以上のビニル単量体を加えて重合することにより製造される。
【0039】
上記の種粒子の形成時及び種粒子の成長反応時に用いる単量体の希釈剤である親水性有機液体としては、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール類等が代表的なものとして挙げられる。
これらの有機液体は単独で又は二種以上の混合物して用いることができる。
【0040】
なお、アルコール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上記のアルコール類及びエーテルアルコール類とを併用することにより、有機液体が生成重合体粒子に対して溶解性をもたせない条件下で、有機液体のSP値を種々変化させて重合を行なうことにより、生成される粒子の大きさ、種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制することが可能である。
【0041】
この場合の併用する有機液体としては、ヘキサン、オクタン、石油エチル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタンなどのハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、シリオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールなどのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン類、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類、その他水も含まれる。
また、重合開始時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径分布、乾燥条件などを調整することができる。
【0042】
種粒子製造時又は成長粒子の製造時に使用される高分子分散剤の適当な例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類、水酸基を含有するアクリル系単量体、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド又はこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類又は上記親水性モノマーとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のベンゼン核を有するもの又はその誘導体又はアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体との共重合体、さらに、架橋性モノマー、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等との共重合体も使用可能である。
【0043】
これらの高分子分散剤は、使用する親水性有機液体、目的とする重合体粒子の種及び種粒子の製造か成長粒子の製造かにより適宜選択されるが、特に重合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐことから、重合体粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。
また、立体的に粒子同士の反撥を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。
しかし、あまり分子量が高いと、液粘度の上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要する。
また、上記の高分子分散剤の単量体を一部、目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させておくことも安定化には効果がある。
【0044】
さらに、これら高分子分散剤とともに、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マグネシウム等の金属又はその合金(特に、粒径1μm以下のものが好ましい)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素等の酸化物の無機化合物微粉体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐酸エステル等の陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えば、アラニン型〔例えば、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン〕等のアミノ酸型やベタイン型の両性界面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒径分布の改良をさらに高めることができる。
【0045】
一般に、種粒子製造時の高分子分散剤の使用量は、目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種類によって異なるが、親水性有機液体に対し、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
高分子分散安定剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合には、小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用いても小径化への効果は少ない。
【0046】
また、上記のビニル単量体とは、親水性有機液体に溶解可能なものであり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルエチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類等からなる単独又は相互の混合物及びこれらを50重量%以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混合物を挙げることができる。
【0047】
また、本発明における上記の重合体は、耐オフセット性を高めるために、重合性の二重結合を二個以上有する、いわゆる架橋剤の存在下に重合させたものであってもよい。
好ましく用いられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、その他、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等全てのジビニル化合物及び三個以上のビニル基を持つ化合物が挙げられ、これらは単独又は混合物等で用いられる。
【0048】
このように架橋された種粒子を用いて成長重合反応を引き続いて行った場合には、成長する重合体粒子の内部が架橋されたものとなる。
また、一方で、成長反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有させた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られる。
【0049】
また、平均分子量を調節する目的として、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を行わせるものに、例えば、メルカプト基をもつ低分子化合物や四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げられる。
【0050】
また、上記単量体の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート等の過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウム等の過硫酸化物系重合開始剤、これにチオ硫酸ナトリウム、アミン等を併用した系等が用いられる。
重合開始剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重量部が望ましい。
【0051】
種粒子を得るための重合条件は、重合体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水性有機液体中の高分子分散剤、ビニル単量体の濃度及び配合比により決定される。
一般に、粒子の平均粒径を小さくしようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、また、平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散剤の濃度が低く設定される。
一方、粒子径分布を非常に鋭くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、また、比較的広い分布でもよい場合は、ビニル単量体濃度は高く設定される。
【0052】
粒子の製造は親水性有機液体に、高分子分散安定剤を完全に溶解した後、一種又は二種以上のビニル単量体、重合開始剤、その他、必要ならば無機微粉末、界面活性剤、染料、顔料等を添加し、30〜300rpmの撹拌により、好ましくはなるべく低速で、しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用いた重合開始剤の重合速度に対応した温度にて加熱し、重合が行なわれる。
なお、重合初期の温度が生成する粒子種に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に温度を重合温度まで上げ、重合開始剤を小量の溶媒に溶解して投入した方が望ましい。
重合の際には、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性気体にて反応容器内の空気中の酸素を充分に追い出す必要がある。
この酸素パージが不充分であると微粒子が発生し易い。
【0053】
重合を高重合率域で行なうには、5〜40時間の重合時間が必要であるが、所望の粒子径、粒子径分布の状態で重合を停止させたり、また、重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより、重合速度を速めることができる。
重合終了後は、そのまま染着工程に用いてもよいし、沈降分離、遠心分離、デカンテーション等の操作により、不必要な微粒子、残存モノマー、高分子分散安定剤等を除いた後に、重合体スラリーとして回収して染着を行なってもよい。しかし、分散安定剤を除去しない方が、染着の安定性は高く、不要な凝集が抑制される。
【0054】
本発明における染着について、以下に説明する。
樹脂粒子Aを溶解せしめない有機溶媒中に樹脂粒子Aを分散し、この前又は後に上記溶媒中に染料を溶解させ、上記染料を樹脂粒子A中に浸透させ着色せしめた後、上記有機溶媒を除去して染着トナーを製造する方法において、上記染料の上記有機溶媒に対する液解度(D1)及び前記樹脂粒子Aの樹脂に対する前記染料の溶解度(D2)の関係が、(D1)/(D2)≦0.5となる染料を選択使用する。
これにより、樹脂粒子Aの深部まで染料が浸透(拡散)したトナーを効率よく製造することができる。
本発明における溶解度は、25℃の温度で測定されたものと定義される。
【0055】
なお、染料の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で含有させることができる最大量を意味する。
この溶解状態又は染料の析出状態の観察は、顕微鏡を用いることにより容易に行なうことができる。
樹脂に対する染料の溶解性を知るには、上記した直接観察による方法の代わりに間接的な観察方法によってもよい。
この方法は樹脂と溶解度係数が近似する液体、すなわち樹脂をよく溶解する溶媒を用い、この溶媒に対する染料の溶解度を樹脂に対する溶解度として定めてもよい。
【0056】
着色に使用する染料としては、上記のように使用する有機溶媒への染料の溶解度(D1)より樹脂粒子を構成する樹脂への該染料の比(D1)/(D2)が0.5以下である必要がある。
さらに(D1)/(D2)が0.2以下とすることが好ましい。
染料としては、上記の溶解特性を満たせば特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料等の水溶性染料は環境変動が大きいおそれがあり、また、トナーの電気抵抗が低くなり、転写率が低下するおそれがあるので、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に油溶性染料が好ましい。
また、所望の色調に応じて数種の染料が併用することもできる。
染着される染料と樹脂粒子との比率(重量)は、着色度に応じて任意に選択されるが、通常は、樹脂粒子1重量部に対して、染料1〜50重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0057】
例えば、染着溶媒にSP値の高いメタノール、エタノール等のアルコール類を使用し、樹脂粒子としてSP値が9程度のスチレン−アクリル系樹脂を使用した場合、使用し得る染料としては、例えば、C.I. SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,1,102,103,105)、C.I. SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66)、C.I. SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,149,150,151,157,158)、C.I. SOLVENT VIOLET(31,32,33,37)、C.I. SOLVENTBLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104)、C.I. SOLVENT GREEN(24,25)、C.I. SOLVENT BROWN(3,9)等が挙げられる。
【0058】
市販染料では、例えば、保土谷化学工業社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8、BASF社製のsudan染料、Yellow−140,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670、三菱化成社製のダイアレジン、Yellow−3G、F、H2G、HG、HC、HL、Orange−HS、G、Red−GG、S、HS、A、K、H5B、Violet−D、Blue−J、G、N、K、P、H3G、4G、Green−C、Brown−A、オリエント化学社製のオイルカラー、Yellow−3G、GG−S、#105、Orange−PS、PR、#201、Scarlet−#308、Red−5B、Brown−GR、#416、Green−BG、#502、Blue−BOS、HN、Black−HBB、#803、EE、EX、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP、OR、レッドFB、3B、イエローFL7G、GC、日本化薬社製のカヤロン、ポリエステルブラックEX−SH3、カヤセットRed−BのブルーA−2R等を使用することができる。
染料は樹脂粒子と染着時に使用する溶媒の組み合わせで適宜選択されるため、上記例に限られるものではない。
【0059】
染料を樹脂粒子に染着させるために用いる有機溶媒としては、使用する樹脂粒子が溶解しないもの又は若干の膨潤をきたすもの、具体的には、溶解性パラメーター(SP値)の差が1.0以上、好ましくは2.0以上のものが使用される。例えば、スチレン−アクリル系樹脂粒子に対しては、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系はSP値が低いn−ヘキサン、n−ヘプタン等を使用する。
SP値の差があまりに大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くなり、樹脂粒子の良好な分散が得られないため、最適なSP値の差は2〜5が好ましい。
【0060】
染着工程は、染料を溶解した有機溶媒中に樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子のガラス転移温度以下に保ち、撹拌することが好ましい。
これにより、樹脂粒子の凝集を防ぎながら染着することが可能となる。
撹拌の方法は、市販されている撹拌機、例えば、ホモミキサー、マグネチックスタラー等を用いて撹拌すればよい。
また、分散重合等で重合終了時得られるスラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散している状態の分散液に、染料を直接添加して上記の条件にて加熱撹拌してもよい。
加熱温度がガラス転移温度超過の場合は、樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。
染着後のスラリーを乾燥する方法としては、特に限定はされないが、濾過した後に減圧乾燥又は濾別しないで直接減圧乾燥すればよい。
本発明においては、濾別した後に風乾又は減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どなく、投入した樹脂粒子の粒度分布を殆ど損なわないで再現することができる。
【0061】
続いて、懸濁重合トナーについて説明する。
懸濁重合に使用される重合性単量体はビニル基を有するモノマーであり、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ブチルスチレン、オクチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体が挙げられ、中でも、スチレン単量体が最も好ましい。
他のビニル系単量体としては、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類、ビニルナフタレン等を挙げることができ、これらの単量体を単独又は混合して用いることができる。
【0062】
単量体組成物中には、架橋重合体を生成させるために、次のような架橋剤を存在させて懸濁重合させてもよい。
この架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリルロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなどが挙げられる。
【0063】
架橋剤の使用量が多過ぎると、トナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性、熱圧定着性が劣ることになる。
また、架橋剤の使用量が少くな過ぎると、トナーとして必要な耐ブロッキング性、耐久性等の性質が低下し、熱ロール定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでロール表面に付着し、次の紙に転写するという、コールドオフセットが発生してしまう。
したがって、用いる架橋剤量は、重合性単量体100重量部に対して、0.001〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0064】
また、得られるトナーのオフセット防止のために、重合組成物に離型剤を含有させることができる。
この離型剤としては、低分子量のポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。
この低分子量オレフィン重合体は、着色剤と共に重合性単量体中に分散させておくのが好ましい。
なお、離型剤は重合性単量体100重量部に対して、1〜15重量部使用することが好ましい。
離型剤の使用量が1重量部未満では、得られたトナーが充分な離型効果をもたず、ローラ上にオフセットしやすくなる。
逆に、使用量が15重量部を超過すると、トナーから離型剤が摩擦帯電付与部材にスペントするようになり、またトナーの流動性が極めて悪くなる。
【0065】
単量体に含有される着色剤としては、従来知られている染料及びカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆してなるグラフト化カーボンブラックのような顔料が使用可能である。
その他の着色剤としては、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料等の染顔料がある。
なお、これらの着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜30重量部使用することができる。
【0066】
分散安定剤としては、次のものが使用可能である。
すなわち、ポリビニルアルコール、でん粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、珪藻土、金属酸化物粉末等が用いられる。これらは水に対して、0.1〜10重量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0067】
本発明において、重合開始剤は造粒後の単量体組成物を含む分散液中に添加してもよいが、個々の単量体組成物粒子に均一に重合開始剤を付与する点からは、造粒前の単量体組成物に含有させておくことが望ましい。
このような重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0068】
本発明のトナーは、磁性体を含有する型の磁性トナーであってもよい。
磁性トナーとするには、単量体組成物に磁性粒子を添加すればよい。
本発明に用いることができる磁性体には、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末又はマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の合金や化合物の粉末が挙げられる。
磁性粒子としては、粒径が0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1μmのものが用いられるが、小粒径トナーを生成する場合には、粒径0.8μm以下の磁性粒子を使用することが望ましい。
この磁性粒子は、単量体組成物100重量部中に10〜60重量部含有されていることが望ましい。
【0069】
また、これら磁性粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の表面処理剤又は適当な反応性の樹脂等で処理されていてもよい。
この場合、磁性粒子の表面積又は表面に存在する水酸基の密度にもよるが、通常、磁性粒子100重量部に対して、表面処理剤が5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部の処理で、充分な重合性単量体への分散性が得られ、トナー物性に対しても悪影響を及ぼさない。
【0070】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下に示す部はいずれも重量基準である。
【0071】
〔球形トナーの作製方法〕
スチレンモノマー40重量部に、カーボンブラックMA100(三菱化成社製)20重量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.5重量部加え、スリーワンモータ駆動撹拌翼、冷却器、ガス導入管、温度計を取り付けた500ml四つ口セパラブルフラスコに入れ、窒素気流下、室温で30分間撹拌し、フラスコ内の酸素を窒素で置換した。
その後、70℃の湯浴中で6時間、60rpmにて撹拌し、グラフトカーボンブラックを得た。
【0072】
次いで、下記の混合物をボールミルで10時間分散した。
スチレンモノマー 50部
n−ブチルメタクリレート 14.5部
1,3−ブタンジオールジメタアクリレート 0.5部
t−ブチルアクリルアミドスルフォン酸 3部
低分子量ポリエチレン
(三井石油化学社製、三井ハイワックス210P) 2部
上記グラフトカーボンブラック 30部
【0073】
得られた分散液に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び亜硝酸ナトリウムをそれぞれ1重量部ずつ溶解させた後、ポリビニルアルコールの2%水溶液250重量部に加え、特殊機化社製TKホモミキサー1,000〜6,000rpm、10分間にて撹拌し、懸濁液を得た。
この懸濁液をスリーワンモータ駆動撹拌翼、冷却器、ガス導入管、温度計を取り付けた500mlの四つ口セパラブルフラスコに入れ、窒素気流下、室温で撹拌し、フラスコ内の酸素を窒素で置換した。
その後、70℃の湯浴中で5〜8時間、約100rpmにて撹拌して重合を完了させ、懸濁重合粒子を作成した。
この粒子100重量部を水/メタノール=1/1(重量比)の混合液に固形分30%になるよう再分散し、荷電制御剤としてH4N(CH2)5CH=C(C2F5)2を3重量部添加し、撹拌後、濾過、乾燥し、トナーを得た。
【0074】
このトナー粒子とシリカ微粒子とを、シリカ微粒子の添加量がトナー量の0.5重量%となるように配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理して、電子写真用トナーを作製した。
【0075】
上記により取得した電子写真用トナーを、複写機(リコー社製Preter450)用のキャリアと混合、撹拌し、トナー濃度が5.0重量%となるように配合して2成分現像剤を作製した。
このトナーと上記キャリアを充分混ぜ合わせた後、トナーの帯電量をブローオフ法で測定したところ、帯電量は−22.6μC/gであった。
また、1分後の帯電量は−18.8μC/gであり、帯電の立ち上がりは非常に良好であった。
【0076】
[付着力測定]
上記した遠心分離による粒子付着力測定法により、実施例、比較例の電子写真用トナーの垂直方向及び水平方向の付着力を測定した。
測定に使用した感光体は、リコー社製Preter 450の感光体と同一構成の有機光導電体膜を、Alを蒸着したマイラーフィルム上に塗布したものを用いた。
測定結果を、表1〜3に示す。
測定に使用した装置は以下のとおりである。
遠心分離装置:日立工機社製CP100α
・最高回転数:100,000rpm
・最大加速度:800,000×g
・アングルロータP100AT)
画像処理装置:インタークエスト製Hyper700
【0077】
[実機試験]
実施例1
リコー製imagio color 4000型複写機を改造し、中間転写ベルト用クリーニングローラを当接しながら、転写ベルト駆動方向に対してカウンター方向に、かつ該転写ベルト駆動速度と等速で回転するように設置し、さらに装置手前側のクリーニングローラ端が奥側端よりも下流となるような角度をつけて設置した(図1参照)。
この時の角度は5度に設定した。
クリーニングローラは、中間転写ベルトの線速(300mm/s)と等速で中間転写ベルトとは逆回転で当接するように設置した。
さらに、クリーニングローラには直流で+300〜+500Vの電界を印加した。
転写残トナーは、装置手前側から電圧印加したクリーニングベルトをベルト端部表面に接触させることにより回収する機構を設けた。
【0078】
上記二成分現像剤を上記複写機にセットし、単色モードにてパターン画像を形成し、これを30回程度繰り返した後に、クリーニング不良による異常画像発生の有無や画像感光体上のクリーニング過程後のトナー残留状態を確認したところ、表1のような結果が得られた。
さらに、その後、1万枚通紙によるランニングテストを行い、同様のパターン画像による画像評価及びクリーニング残による異常画像発生の有無を確認した。
結果を表1に示す。
【0079】
実施例2
上記実施例1にて設置した中間転写ベルト用クリーニングブレードの角度を、転写ベルト駆動方向に対して10度に設定した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0080】
実施例3
上記実施例1にて設置した中間転写ベルト用クリーニングブレードの角度を、転写ベルト駆動方向に対して30度に設定した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0081】
実施例4
上記実施例1にて設置した中間転写ベルト用クリーニングブレードの角度を、転写ベルト駆動方向に対して40度に設定した以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0082】
実施例5
上記実施例1にて設置した中間転写ベルト用クリーニングブレードの角度を、転写ベルト駆動方向に対して1度に設定し、さらにトナー回収部に吸引ファンを設け、気流と共に該ローラ端部に送られてきたトナーを回収する機構を備えた以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0083】
比較例1
上記実施例1で設けたクリーニングブレードの角度を50度に設定したところ、クリーニング工程の全長が360mm以上になり、実質的に利用し得ないことが確認された。
【0084】
比較例2
上記実施例1で使用したトナーを、通常imagio color 4000機で用いている粉砕型トナー(シアン)に変更し、以下、付着力測定以降の処理を実施例1と同様の方法により操作したところ、表1に示す結果が得られた。
【0085】
比較例3
上記比較例2と同様にトナーを、通常imagio color 4000機で用いている粉砕型トナー(シアン)に変更し、以下、付着力測定以降の処理を実施例3と同様の方法により操作したところ、表1に示す結果が得られた。
【0086】
【表1】
なお、表1中、「トナー形状」として、「粉砕」とあるのは、その製造方法により、表面に大小の突起を有した形状であることを意味する。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、球形トナーを用いた際に、転写工程後に像担持体上に残留したトナー粒子を簡便かつ効率的にクリーニングでき、しかも効率よく回収することのできる画像形成方法及び画像形成装置が提供され、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置に係るクリーニング手段を示す図である。
【図2】図1のクリーニング部を拡大図した図である。
【図3】粉体付着力測定装置の測定セルを示す図である。
【図4】粉体付着力測定装置の遠心分離装置の一部断面図である。
【図5】水平方向粉体付着力測定装置の遠心分離装置の一部断面図である。
【符号の説明】
1 測定セル
2 試料基板
2a 試料面
3 受け基板
3a 付着面
4 スペーサ
5 遠心分離装置
6 ロータ
7 保持部材
7a 棒状部
7b セル保持部
7c 穴部
7d 設置固定部
8 試料設置部
9 回転中心軸
Claims (11)
- 像担持体上のトナー像を被転写体に転写した後、前記像担持体上に残留したトナーを、前記像担持体の表面に該表面に略平行に延びるクリーニングローラを当接させて除去する工程を有するクリーニング方法であって、球形化したトナーを使用するクリーニング方法において、
前記クリーニングローラを、前記像担持体の表面の移動方向と直交する幅方向に対して該幅方向を含む水平面内で角度を持つように配置し、且つ、前記像担持体と当接する部分が前記像担持体の表面の移動方向とは逆向きとなるように回転させ、
遠心分離方式による粉体付着力測定方法で、粉体を付着させた試料面の法線方向を遠心分離装置の回転中心軸に直角な遠心方向と一致させて測定した場合のトナー付着力を垂直方向の付着力FV、粉体を付着させた試料面の法線方向を遠心分離装置の回転中心軸に平行な方向と一致させて測定した場合のトナー付着力を水平方向の付着力FLとしたとき、
前記球形化したトナーとして、垂直方向の付着力と水平方向の付着力との比であるFL/FVが、0.3以下であるものを用いることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1に記載のクリーニング方法において、
前記像担持体が電子写真感光体であることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1に記載のクリーニング方法において、
前記像担持体が、ベルト状の中間転写体であることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項3に記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラが0.1〜40度の角度を有していることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項4に記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラの角度が1〜30度であることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項3〜5のいずれかに記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラが角度を有しない場合の該クリーニングローラの軸線を基準としたとき、該クリーニングローラの前記中間転写体の表面の移動方向下流側に位置する端部に対応した前記中間転写体の端部側から残留トナーを回収することを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラが、前記像担持体の線速に対し0.7〜1.3の比率の線速で回転することを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項7に記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラが弾性体から形成され、かつ該弾性体の体積抵抗が10 5 〜10 13 Ωcmであることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングローラに対して電圧を印加することを特徴とするクリーニング方法。 - 画像情報に基づいて像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで可視像化し、該トナー像を記録媒体に直接にあるいは中間転写体を介して転写し、該転写後前記像担持体又は前記中間転写体の表面に残留したトナーをクリーニングローラを用いてクリーニングする画像形成方法において、
前記クリーニングに、請求項1〜9のいずれかに記載のクリーニング方法を使用することを特徴とする画像形成方法。 - 画像情報に基づいて像担持体に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで可視像化し、該トナー像を記録媒体に直接にあるいは中間転写体を介して転写し、該転写後前記像担持体又は前記中間転写体の表面に残留したトナーをクリーニングローラを用いてクリーニングする画像形成装置において、
前記クリーニングに、請求項1〜9のいずれかに記載のクリーニング方法を使用することを特徴とする画像形成装置。
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