JP4477335B2 - 光素子用の封着材組成物、封着構造体および光素子 - Google Patents

光素子用の封着材組成物、封着構造体および光素子 Download PDF

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Description

本発明は、光素子を製造するための封着材組成物およびその成形体、該組成物またはその成形体を用いて製造される光素子製造用の封着構造体、該封着構造体の製造方法、ならびに該封着材組成物等を用いて封着された外装にレーザーダイオードが封入された光素子に関する。特に、内部空間を真空ないし減圧に維持しつつ、光透過用の窓孔を通して光の入射または出射が可能な発光素子、受光素子などの光素子を製造するための上記封着材組成物等に関する。
キャンシール型半導体レーザーの金属キャップは、ケース内に配置される半導体レーザーチップを外気から遮断するとともに、発光するレーザー光を外部に発射させるため、ガラス板などの透明板で封着される必要がある。封着された半導体レーザーキャップには、1.333×10-8Pa(=10-10Torr) の真空度が要求されている。
従来、キャンシール型半導体レーザーの金属キャップとガラス窓との気密封着には、低融点ガラスが用いられており、例えば、PbO系の低融点ガラスを、微量の酸素を含む、例えば、窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下で、10〜20分かけて500〜600℃に昇温して、その温度で10〜30分間保持して溶融させることにより封着していた。500〜600℃になるまでに、10〜20分かけて昇温させるのは、ガラスが溶融する前に金属部材の封着部に酸化膜を形成し、ガラス部材との封着をしやすくするためである。また、不活性ガス雰囲気中に混入する微量の酸素は、封着部分に酸化膜を形成するが、それ以外の部分には酸化膜が形成されないようにするためのもので、多すぎても少なすぎても不適当である。封着材として低融点ガラスの他に、エポキシ系接着剤または半田が用いられる場合もある。
金属部材の材料としては、コバール(Fe−Ni−Co合金)、鉄、銅、42アロイなどが使用される。これらの金属部材はニッケル、クロム、銅、無光沢銀などでめっきされていることが好ましい。ガラス窓の材料としては、例えば、ホウケイ酸ガラスなどが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
従来の封着用粉末ガラスには、融点を下げるために鉛成分が含有されていたが、鉛は有害性を指摘されており、最近は鉛、カドミウムなどの有害成分を含有しない封着材が求められており、リン酸ガラスなどがこの要求を満たすものとして用いられる場合もあるが、接着強度が弱い。また、省エネルギーの観点から400℃未満のより低温で封着可能な材料が望まれている。
本発明者は、前記課題を解決するガラス封着用の封着材として、硬化性シリコーン樹脂またはその変成樹脂からなる硬化性シリコーン系樹脂および耐火物フィラーを含有するガラス封着材組成物を提案した(特許文献2)。この封着材組成物は、硬化性シリコーン系樹脂が硬化成分として使用されていることから、低温で封着可能であり、また有害成分を含有しない耐火物フィラーを使用するので、前記した有害性に関する課題も解消された封着材料である。この封着材はガラス部材同士を、またはガラス部材と金属部材とを接着するための封着材として用いられる。
特開平6−48782号公報 特開2001−207152号公報
前記硬化性シリコーン系樹脂および耐火物フィラーを含有するガラス封着材組成物は、低温接着が可能であり、接着力もかなり強いが、最近はより一層の低温接着、より強い接着力、より高い気密性が要求される傾向があり、例えば、レーザーダイオード(LD)の金属キャップとガラス窓との気密封着には、従来の封着対象物にはない微小面積で封着する必要があり、まだまだ満足できるものではなかった。LDを含む光素子用封着構造体に好適な、より強力な接着力、気密性、低温接着性、耐熱性を有するとともに、加熱硬化時、硬化後の封着材が封着面から流れ出たり、はみ出したりすることがないような形態維持力を有する封着材が求められているのが現状である。
本発明者は、前記課題を解決すべく検討した結果、メチルフェニルシリコーン樹脂におけるメチル基、フェニル基の量や比率が、前記金属キャップとガラス窓とを低温封着により気密封着する際の、接着力や気密性に影響を与えることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、(a)脱水縮合反応により硬化する、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂、(b)平均粒径1〜20μmの球状シリカ、および、(c)平均粒径50〜130μmの球状シリカまたはチタン酸バリウムを含有する、光素子を製造するための封着材組成物において、該封着材組成物における(a)、(b)および(c)の合計に対する(b)および(c)の合計量が20〜75質量%であり、(a)における(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計)に対する2官能ケイ素単位のモル比が0.03〜0.40であり、(a)におけるメチル基に対するフェニル基のモル比が0.1〜1.0であり、(a)、(b)および(c)の合計に対する(c)の量が0.1〜15質量%(ただし、(b)および(c)の合計に対して(c)の量は50質量%以下)であることを特徴とする光素子を製造するための封着材組成物(以下、「光素子用封着材組成物」ともいう。)である。
また、本発明は、前記封着材組成物を用いて、金属部材同士を、またはガラス部材と金属部材とを、封着してなる封着構造体であることを特徴とする、真空ないし減圧状態の内部空間を形成するための、光素子用の封着構造体である。
また、本発明は、真空ないし減圧状態の内部空間を有する光素子を製造するための封着構造体を製造する方法において、該内部空間を形成するための、2以上の金属部材同士を、または金属部材とガラス部材とを、前記封着材組成物を用いて封着することを特徴とする封着構造体の製造方法である。
これら封着構造体は光素子の外装(ケース)として用いられるものであり、特に金属材料からなる外装の一部にガラス材料からなる窓を形成してなる外装が好ましい。この外装を用いて組み立てられた光素子は、この外装に囲まれた内部空間を有し、この内部空間は真空ないし減圧状態に維持されており、この内部空間に封入されたレーザーダイオード等からの出射光がこの窓から外部に出射される。
また、本発明は、金属材料からなるキャップとガラス材料からなる窓とを有し、その中に内部空間が形成された外装と、真空ないし減圧状態の該内部空間に封入されたレーザーダイオードと、を有する光素子であって、該キャップと該窓とが前記光素子用封着材組成物の硬化物で封着されていることを特徴とする光素子である。
本発明によれば、低融点ガラスでは実現が難しい、400℃未満という低温域での封着が可能で、ガラス、金属との低温接着性がよく、接着強度があり、封着時の作業性に優れ、かつ気密保持性がよいという特性を有する封着材組成物が得られる。また、該組成物から得られた封着材組成物の成形体を用いてガラス材料と金属材料とを、または金属材料同士を封着し、例えば、LDキャップなどの光素子を作製すれば、気密性がよい封着構造体が得られる。しかも鉛、カドミウム等の有害物を全く含まないので、環境に優しい利点もある。
本発明における光素子は、窓を有し、かつその中に内部空間が形成された外装と、真空ないし減圧状態の該内部空間に封入された光学素子と、を有する。該窓は、該光学素子から出射される光を、または該光学素子へ入射される光を透過させる。外装は、通常金属材料からなり、窓の部分は通常ガラス材料からなる。したがって、外装は金属材料からなる部材とガラス材料からなる窓部材とを接着して構成される。また、外装には金属材料からなる2以上の部材同士を接着して構成される部分を含む場合もある。外装におけるこれら接着部分は、十分な接着強度が要求されると同時に、内部空間の真空ないし減圧状態を維持するために十分な気密性を要求される。本発明における封着とは、内部空間を真空ないし減圧に維持し、外部からのガスのリークを防止できる接着を意味する。
本発明における上記光素子内に封入される光学素子としては、電流を光に変換する発光体、光を電流に変換する受光体、電流と光を相互に変換する投受光体などがあり、レーザーダイオード(LD)などの半導体レーザー、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光体が好ましい。例えば、レーザーダイオード(LD)の場合は、外装内に封入されるLDチップを外気から遮断するとともに、レーザー光を外部に出射させるため、ガラス板などの透明板で封着される必要がある。LDチップが封入された内部空間には1.333×10-8Pa程度の真空度が要求されるため、外装の封着部分に要求される特性は、封着により外装を組み立てる工程における耐熱性などを含めて、多種、多様で厳しいものがある。
本発明の封着材組成物は、上記光素子の外装等を構成するための封着に用いられる封着材組成物である。本発明における光素子用の封着構造体は、上記外装等や上記外装等を有する構造体を意味し、上記外装そのものや、上記外装と他の要素とで構成される構造体などを意味する。この封着構造体は、金属材料からなる2以上の部材同士を、または、金属材料からなる部材とガラス材料からなる部材とを、本発明の封着材組成物から得られた硬化物または後述する封着材組成物の成形体から得られた硬化物により封着してなる部位を有する。なお、本発明の封着材組成物を部分的に重合、架橋した半硬化物や、さらに重合、架橋を進めた硬化物、または封着操作を行い部分的に重合、架橋して得られた半硬化物や、さらに重合、架橋を進めた硬化物を、封着材という。
本発明の封着材組成物は、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂からなる硬化性シリコーン系樹脂と、耐火物フィラーと、を含有する。硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂のシラノール基は、耐火物フィラー表面と親和性があるため、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとの混合を均一かつ自在に制御できる。その結果、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの両者の特性を十分発現できる半硬化物が得られ、該半硬化物である封着材は、特にガラス部材と金属部材との封着用として好適である。すなわち、ガラス部材と低温し、接着強度が強く、接着加工性に優れ、かつ長期にわたって機械的耐熱性が高く、耐ガスリーク性がよく、気密保持性が高い、耐熱寸法安定性がよいなど、多数の特性を合わせもつ。
一般に硬化性シリコーン系樹脂は、耐熱性、耐候性、耐湿性、電気特性などが優れるので、電気、電子、精密機器などの材料として多用され、シリカのような補強用フィラーを配合し、強度向上を図ることも知られている。また、例えば、エポキシ樹脂で変成した硬化性シリコーン系樹脂が、強度、耐熱性、耐湿性、離型性に優れており、さらにこれにシリカ等のフィラーを配合し、流動性、成形品の機械的強度を向上させた組成物が知られている。硬化性シリコーン系樹脂またはその変成樹脂は比較的弾性率が小さく、封着するガラス部材に懸かる応力を小さくすることができ、熱膨張係数の違いによる歪を小さくすることができる。
一般に硬化性シリコーン系樹脂は、2官能ケイ素モノマー(RSi−X)と3官能ケイ素モノマー(RSi−X)から製造され、場合により1官能ケイ素モノマー(RSi−X)や4官能ケイ素モノマー(Si−X)が併用されることがある(Rは結合末端が炭素原子である有機基を示し、Xはアルコキシ基、塩素原子などの加水分解可能な基を示す)。硬化性シリコーン系樹脂は、これらのモノマーを部分的に加水分解共縮合して得られる共重合体であり、Xが加水分解されて生成したシラノール基を有する。この硬化性シリコーン系樹脂は、そのシラノール基によりさらに縮合が可能であり(硬化可能であり)、硬化させることにより最終的に実質的にシラノール基を有しない硬化物となる。硬化物は2官能ケイ素単位(RSiO)と3官能ケイ素単位(RSiO3/2)からなり、場合によって1官能ケイ素単位(RSiO1/2)や4官能性のケイ素単位(SiO)を有する。硬化性シリコーン系樹脂における各ケイ素単位は、これら硬化物の各ケイ素単位とともに、Xが加水分解されて生成し、シリコーン性樹脂の硬化性に寄与するシラノール基を含んだ各ケイ素単位をも意味する。例えば、シラノール基を有する2官能ケイ素単位は(RSi(OH)−)で表され、シラノール基を有する3官能ケイ素単位は(RSi(OH)−)や(RSi(OH)=)で表される。また、硬化性シリコーン系樹脂における各ケイ素単位のモル比は原料である各ケイ素モノマーのモル比に等しいと考えられる。
本発明において、封着材組成物の原料である硬化性シリコーン系樹脂は、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂であり、(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計)に対する2官能ケイ素単位のモル比(単に、2官能ケイ素単位のモル比ともいう)が0.03〜0.40であるメチルフェニルシリコーン樹脂である。この硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、上記有機基Rとしてメチル基とフェニル基の両者を含む硬化性シリコーン系樹脂である。この硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、例えば、ジクロロジメチルシランとトリクロロフェニルシランとを加水分解共縮合させる方法、ジクロロジフェニルシランとトリクロロメチルシランとを加水分解共縮合させる方法などによって製造される。本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の2官能ケイ素単位のモル比は、0.10〜0.35であることがより好ましい。また、この硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は実質的に2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位のみからなるものが好ましい。これら本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、250℃以上の高温に長時間保持しても、容易に分解、変色することがなく、耐熱性にも優れる。
なお、該2官能ケイ素単位のモル比は、Si−NMRから求めたものである。
また、本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、FT−IRから求めた、Si−O/Si−Rの値が12.5〜16.2であるのが好ましい。すなわち、Si−Oのピーク面積(1250〜950cm-1の範囲内に現れるピーク)(a)を、メチル基由来のピーク面積(1330〜1250cm-1の範囲内に現れるピーク)(b)と、該メチル基由来のピーク面積(b)およびH−NMRから求めたフェニル基のモル数/メチル基のモル数の値(c)の積と、の和で除した値である。
(a)/[(b)+(c)×(b)]=12.5〜16.2
一般的に硬化性シリコーン系樹脂のSiに結合するアルキル基が長鎖となるに従って耐熱性が低下する。またフェニル基に代表される芳香族炭化水素基は、機械的耐熱性は最も短いアルキル基であるメチル基と同等あるいはそれ以上であり、その質量比が増えるに従って樹脂の被膜が固くなる一方、熱可塑性を帯びてくる。したがって、樹脂中のRの全数に対するフェニル基の数の比により、該樹脂の耐熱性、曲げ性等の機械的強度を調整することができる。本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂としては、フェニル基/メチル基のモル比が0.1〜1.0であるメチルフェニルシリコーン樹脂が好適である。また、FT−IRから求めたフェニル基由来のピーク高さ(3074cm-1)/メチル基由来のピーク高さ(2996cm-1)が0.1〜1.2のメチルフェニルシリコーン樹脂も好ましい。
本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の分子量は、とくに限定されるもではないが、低分子量のものを使用することが好ましい。メチルフェニルシリコーン樹脂の分子量が高くなると、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを含む封着材組成物を180℃で約3000〜6000cpまで部分的に重合、架橋させた後に室温まで冷却して得られる固体状組成物は、粘着性を有するペースト状の封着材組成物となるため、扱い難く作業性が劣る。また、高分子量のメチルフェニルシリコーン樹脂を用いて作成した粘着性を有するペースト状の封着材組成物は、加熱硬化の速度が遅いため、加熱硬化に時間がかかる、厚膜の成形体を作成することが困難、といった制限がある。高分子量の硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を使用する場合、これらの点に留意することが必要である。
メチルフェニルシリコーン樹脂の分子量をGPCで測定するとピークがいくつか重なったブロードな分子量分布が観測される。このことから、メチルフェニルシリコーン樹脂は幾つかの分子量が混ざった混合物であることが分る。本発明における低分子量のメチルフェニルシリコーン樹脂とは、ブロードな分子量分布の初めに現れる第一ピークの数平均分子量の値が10万以下であるものをいう。また、この低分子量のメチルフェニルシリコーン樹脂のブロードな分子量分布全体の数平均分子量は2300以下になる。一方、高分子量のメチルフェニルシリコーン樹脂とは、ブロードな分子量分布の初めに現れる第一ピークの数平均分子量の値が数10万であるものを示す。この場合、ブロードな分子量分布全体の数平均分子量は2500以上になる。
本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂には、ジメチルシリコーン樹脂などの硬化性ジアルキルシリコーン系樹脂、エチルフェニルシリコーン樹脂などのメチルフェニルシリコーン樹脂以外の硬化性アルキルフェニルシリコーン系樹脂を少量配合して、物性調整することができる。しかし通常はメチルフェニルシリコーン樹脂以外のこれら硬化性シリコーン系樹脂は使用しないことが好ましい。また、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などで変性して使用することもできる。しかし変性する樹脂の量は少ないものが好ましく、本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂としては実質的に変性されていない硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂が好ましい。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、通常溶剤に溶解した溶液(ワニス)で輸送、保管などの取り扱いを受ける。本発明の封着材組成物は、このワニスを用い、これと耐火物フィラーとを混合して製造することができる。この溶剤を含む本発明の封着材組成物は、流動性を有する液状混合物や固体状混合物となる。また、ワニスから、予め溶剤を除去した後、溶剤がない硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを混合して本発明の封着材組成物とすることもできる。さらに、ワニスと耐火物フィラーとを混合した後、溶剤を除去して本発明の封着材組成物とすることもできる。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂のワニス化に用いる溶剤は特に限定されるものではなく、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を溶解する溶剤であればいずれでもよく、例えば、芳香族炭化水素系溶媒であるキシレン、トルエン、ベンゼンなどを用いることができる。ワニスにおける溶剤の使用量は5〜50質量%であるのが好ましい。5質量%未満では硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の溶解作用が不充分で耐火物フィラーと均質に混合することが困難となりやすい。50質量%を超えると耐火物フィラーと混合した場合、溶剤が耐火物フィラーと相分離を起こしやすく、また耐火物フィラーを混合した後、溶剤を除去する場合に、多大なエネルギーを要する。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂は、封着材組成物中で部分的に重合、架橋させたメチルフェニルシリコーン樹脂(単に、部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂ともいう)として存在させることができる。部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂は、原料の硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の脱水縮合反応がある程度進行しているので、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して、被封着物を封着する時の水分の発生が少なく、したがって部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂を含む封着材組成物は、被封着物を封着して硬化する際に、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して気泡発生のおそれがより少なくなり、気密性を向上させることができる。また、部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂は、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して高粘度液体ないし溶融粘度の高い固体であり、本発明の封着材組成物を成形体とする場合に適した性質を有する。例えば、被封着物の所定部位に配置した封着材組成物の成形体を、被封着物を封着して硬化させる際に、メチルフェニルシリコーン樹脂が流動して所定部位からはみ出すおそれが少なくなる。
なお、部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂は、その原料である硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化が部分的に進んだ状態にある硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂である。本発明における硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂とは、部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂の原料である硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を意味するとともに、この部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂をも意味する。以下、本発明の封着材組成物の製造段階で、特に硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合、架橋を行ったものを部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂という。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合、架橋は、通常、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂の加熱による硬化反応が完全に終了しない程度で停止することにより行われる。例えば、通常の硬化反応の場合よりも低温で加熱する、通常の硬化に必要な時間よりも短時間加熱する、などの方法で原料のメチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に硬化して得られる。原料のメチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な架橋は、耐火物フィラーの存在する組成物中で、またはその組成物製造の過程で行うことができる。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の脱水縮合による硬化は、通常加熱のみで進行し、該樹脂のシラノール基同士の脱水縮合反応と、該樹脂のシラノール基と耐火物フィラー表面のシラノール基の脱水縮合反応により溶剤に不溶の硬化物が形成される。例えば、被封着物に塗布された封着材組成物は、140℃以上、好ましくは180℃から300℃の温度で1〜120分間加熱するのみで該樹脂が硬化し、不溶化して、封着材となる。通常、封着材組成物に溶剤が含まれている場合は、加熱の初期に揮発除去され、有機物などの非耐熱性物質が存在する場合は、硬化の際に、揮発除去または分解除去される。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化温度を下げるために硬化触媒を用いてもよく、触媒として亜鉛、コバルト、錫、鉄、ジルコニウムなどの有機金属塩や、第4級アンモニウム塩、アルミニウム、チタンなどのキレート類、各種のアミン類もしくはその塩類などが例示される。
本発明に使用される耐火物フィラーは、耐熱性の無機質粉末であり、具体的には、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコン、コーディエライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、フォルステライト、チタン酸ビスマス、チタン酸バリウムなどである。もちろん、これらを併用することもできる。
耐火物フィラーの平均粒径は0.1〜130μmが好ましく、0.5〜90μmが特に好ましく、1〜20μmがとりわけ好ましい。平均粒径が前記上限を超えると、メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化後に、耐火物フィラーとシリコーン樹脂との界面にクラックが発生し、封着構造体の内部空間へガスがリークして、真空ないし所望の減圧が維持できなくなるおそれがある。平均粒径が前記下限未満であると、粉末の凝集が生じ、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂中に均質に分散されない。
平均粒径の大きい(20μm超)耐火物フィラーは、スペーサー材として使用されることがあり、その場合は平均粒径の小さい(1〜20μm)耐火物フィラーと併用されることが好ましい。
耐火物フィラーは、シリカ、特に球状シリカであるのが好ましい。球状シリカの平均粒径は0.1〜130μmであるのが好ましく、0.5〜90μmであるのが特に好ましく、1〜20μmであるのがとりわけ好ましく、1〜5μmであるのがさらに好ましい。球状シリカの平均粒径が1〜20μmであると、塗布作業性の良好な封着材組成物が得られる。平均粒径が前記範囲未満の場合、粒子同士が凝集して分散性が下がり、均一な組成物が得られず、前記範囲を超えると粒子の沈殿が生じるため分散性が劣るようになり、やはり均一な組成物が得られない。もちろん、平均粒径が1〜20μmの球状シリカとそれ以外の平均粒径の球状シリカを併用することができるし、平均粒径が1〜20μmの球状シリカと球状シリカ以外の耐火物フィラーとを併用することもできる。
本発明の封着材組成物における耐火物フィラーの配合量は、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの合計量に対して10〜80質量%である。10質量%未満の場合には、充分な耐熱性が発現せず、また、封着に必要な数10μm以上の厚さの封着材層を確保することが困難である。80質量%を超える場合は、メチルフェニルメチルフェニルシリコーン樹脂との分散性、親和性が悪くなり、結果として封着材(硬化物)にクラックが発生し、封着構造体の内部空間へガスがリークして真空ないし所望の減圧が維持できなくなる。また、封着部位への接着強度の低下が起こる。好ましい耐火物フィラーの量は20〜75質量%である。
平均粒径が1〜20μmの球状シリカを含有する場合の封着材組成物における該球状シリカの配合量は、硬化性メチルフェニルシリコーン系樹脂および耐火物フィラーの合計に対した10〜80質量%であり、20〜75質量%であるのが好ましい。この範囲未満であると耐熱性、耐光性が劣るようになり、この範囲を超えると封着材にクラックが発生して光素子用封着構造体の内部空間へガスがリークして真空ないし所望の減圧が維持できなくなる。また、封着部位の接着強度の低下が生じる。
本発明の封着材組成物の用途によっては、平均粒径の小さい(20μm以下)耐火物フィラーとは別に、粒径が大きく(20μm以上)かつ粒径分布が狭い球状粒子をスペーサー材として少量配合することもできる。例えば、2枚のガラス板を所定の間隔を保持して対向させ、その周囲を封着してなるプラズマディスプレイ(PDP)などの装置においては、2枚のガラス板の間隔を保持するためのスペーサー材を封着材組成物に配合することができる。
スペーサー材としては、耐火物フィラーの粒径よりも大きい粒径を有する球状耐火物フィラーが好ましい。具体的には、粒径50〜130μmの球状シリカやチタン酸バリウムなどである。スペーサー材の配合量は硬化性メチルフェニルシリコーン系樹脂および耐火物フィラーの合計に対して0.1〜15質量%(ただし、全耐火物フィラーに対して50質量%以下)が好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
本発明の封着材組成物には、硬化性メチルフェニルシリコーン系樹脂と耐火物フィラー以外の他の成分を含有させてもよい。このような他の成分としては、例えば、前記溶剤などの最終的に封着材として機能する成分以外の成分、または、封着材に残る成分、例えば、封着材着色顔料である。これら成分の封着材組成物中の含有量は、特に限定されないが、本発明の封着材組成物やそれから得られる封着材組成物の成形体の特性を阻害しない量である。前者の成分は、溶剤を除いて、封着材組成物に対して20質量%以下が好ましい。溶剤の量は、封着材組成物を、液状で使用する、固体状で使用する、などの使用法、その他に応じて任意であるが、通常は封着材組成物に対して50質量%以下が好ましい。後者の成分は10質量%以下が好ましい。
具体的な他の成分およびその好適量(ただし、溶剤を除く封着材組成物に対する量)としては、例えば、以下のものがある。前記メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化促進のためのアミン系硬化剤などを5質量%以下、封着材の機械的耐熱性をさらに高める目的や着色の目的で顔料などを15質量%以下、封着材組成物のポットライフ向上、耐火物フィラーやメチルフェニルシリコーン樹脂の分散性、被封着物と封着材組成物との封着性向上などの目的で、松やに、ロジン、ロジン誘導体などの粘着性付与剤を5質量%以下配合することができる。
本発明の封着材組成物は、前記硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを混合して均一な組成物とすることにより得られる。硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の溶液(ワニス)を使用し、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と溶剤と耐火物フィラーとを含む組成物とすることもできる。また、ワニスと耐火物フィラーとを混合した後、溶剤を除去し、実質的に溶剤を含まない組成物とすることもできる。通常は、ワニスと耐火物フィラーとを加熱、撹拌下で混合し、その状態で溶剤を除去して実質的に溶剤を含まない固体状、ペースト状ないしスラリー状の組成物を製造することが好ましい。ワニスと耐火物フィラーとを混合し、溶剤を除去するときの温度は、100℃以上が好ましく、特に100〜180℃程度が好ましい。本発明の封着材組成物は固体状の組成物であることが好ましいが、溶剤を含むまたは溶剤を含まないペースト状ないしスラリー状の組成物であってもよい。固体状の組成物は、シート状、ワイヤー状、スティック状などの形状に成形されていてもよい。
上記封着材組成物を製造する際に硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に重合、架橋して部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂とすることができる。硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合、架橋は、耐火物フィラーを混合する前に行ってもよく、耐火物フィラーを混合した後に行ってもよい。またワニスを使用する場合は、溶剤が存在する状態で行ってもよく、溶剤を除去した後に行ってもよい。通常は、上記のようにワニスと耐火物フィラーとを加熱、撹拌下に混合してその状態で溶剤を除去し、引き続きその状態でさらに温度を上昇させてメチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合、架橋を行うことが好ましい。メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合、架橋を行う温度は、溶剤除去のときの温度よりも高温で、かつ120℃以上が適当であり、特に150〜200℃程度が好ましい。
部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂を含む本発明の封着材組成物は、シート状、ワイヤー状、スティック状などの形状に成形された成形体であることが好ましい。例えば、上記のように加熱して部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂とした封着材組成物は、粘土状の組成物となり、加熱状態のこの粘土状組成物を鋳型に鋳込んで成形することができる。具体的には、フッ素樹脂などで作製した鋳型を用いて、シート状、ワイヤー状、スティック状などの所望の様々な形状の成形体に成形することができる。得られたシート状、ワイヤー状、スティック状などの形状をした封着材組成物の成形体は、その形状のまま被封着物の封着に適用できる。
硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を含むワニスを用いて得られた封着材組成物から溶剤を除去して得られる固体状組成物や、さらに硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に重合、架橋させて得られる固体状組成物の形態は、原料である硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂の構造、直接的には分子量によってその様相は変わってくる。例えば、メチルフェニルシリコーン樹脂のブロードな分子量分布の初めに現れる第一ピークの数平均分子量の値が10万以下である場合(この場合ブロードな分子量分布全体の数平均分子量は2300以下である)、この硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを有する封着材組成物を180℃で約3000〜6000cpまで部分的に重合、架橋させた後に室温まで冷却して得られる固体状組成物は、粘着性のない成形可能な封着材組成物となる。一方、ブロードな分子量分布の初めに現れる第一ピークの数平均分子量の値が数10万である場合(この場合ブロードな分子量分布全体の数平均分子量は2500以上である)、この硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを有する封着材組成物を180℃で約3000〜6000cpまで部分的に重合、架橋させた後に室温まで冷却して得られる固体状組成物は、粘着性を有するペースト状の封着材組成物となる。これら組成物の特性の相違に従い、封着材組成物の用途に応じて両者を使い分けることが可能である。
通常、封着は、封着材組成物を一方の被封着物の所定部位に配置し、他方の被封着物を2つの被封着物の間に封着材組成物を挟むように配置し、好ましくは両被封着物で封着材組成物を加圧し、その状態で加熱して封着材組成物を硬化させる、ことによって行われる。場合により、両被封着物の所定個所に封着材組成物を配置して封着を行うこともできる。また、3個以上の被封着物を同時に封着することもできる。ペースト状ないしスラリー状の封着材組成物は、刷毛、スプレー、ディスペンサーなどで被封着物に塗布することができ、その組成物が溶剤を含む場合は、塗布後に溶剤を加熱除去することができる。封着材組成物の成形体(部分架橋メチルフェニルシリコーン樹脂を含む成形体も意味する)は、その形状のまま被封着物の封着に適用できる。例えば、シート状の封着材組成物の成形体を被封着物で挟んで使用される。また、ある程度の粘性を発現させると、封着材組成物を厚塗りすることができる利点、前処理によって封着時の封着材組成物からの脱気が可能になる利点などもある。
本発明の封着材組成物またはその成形体が適用されて構成される光素子としては、発光体、受光体、投受光体などの光学素子が封入された光素子がある。これらの光素子は、金属材料からなる部材とガラス材料からなる部材とが封着され、または、金属材料からなる2以上の部材同士が封着されて、内部空間を有する構造体が組み立てられ、その内部空間が真空ないし減圧に維持され、該内部空間内に上記光学素子が封入された構成を有する。本発明の封着材組成物またはその成形体は、さらにガラス材料からなる2以上の部材同士の封着にも使用することができる。例えば、ブラウン管におけるパネルとファンネルの封着、プラズマディスプレイ(PDP)、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの表示素子におけるガラス材料からなる基板の封着、などにも応用できる。
本発明の封着材組成物またはその成形体は、特に、半導体レーザーにおける金属材料からなるキャップとガラス材料からなる窓との封着に適している。本発明はまたこの半導体レーザーである光素子であり、即ち、金属材料からなるキャップとガラス材料からなる窓とを有し、その中に内部空間が形成された外装と、真空ないし減圧状態の該内部空間に封入されたレーザーダイオードと、を有する光素子であって、該キャップと該窓とが前記封着材組成物の硬化物または前記成形体の硬化物で封着されていることを特徴とする光素子、である。
(例1〜例7)
攪拌機付き容器に、表1に示す特性[2官能ケイ素単位のモル比(=2官能ケイ素単位/(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計))、フェニル基のモル比(=フェニル基/メチル基)、数平均分子量]を有する硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を含むワニス40質量部(溶剤を除く質量)、平均粒径3μmの球状シリカ57質量部、および平均粒径90μmのチタン酸バリウム3質量部を入れ、120〜140℃で加熱し攪拌して、溶剤を除去した。次いで、150〜180℃まで段階的に加熱して、硬化性メチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に重合、架橋させ、その後、フッ素樹脂製鋳型に鋳込んで直径10mm、長さ100mmのスティック状に成形して、封着材組成物の成形体を得た。ただし例6および例7は比較例である。なお、2官能ケイ素単位のモル比は、Si−NMRおよびFT−IRによって測定した。フェニル基のモル比は、H−NMRおよびFT−IRによって測定した。数平均分子量はGPCによって測定した。
半導体レーザー用の金属キャップに、前記封着材組成物の成形体でガラス窓を封着し、得られた金属−ガラスの封着構造体の接着強度を測定した。図3および図4に示すコバールからなり、下部に幅0.48mmのつばを付けたレーザーキャップ7(内径3.3mm、高さ2.3mm)の上部に直径1.5mmの穴を開口し、この穴に、前記封着材組成物の成形体9を用いて、直径3.0mmのガラス板8を封着した。硬化は、窒素雰囲気下で180℃で30分、200℃で30分間加熱することにより行った。
接着強度の測定では、キャップ7の上部からガラス窓8に荷重を懸けていき、ガラス窓8が金属キャップ7から剥離する、またはガラス窓8が割れたときの荷重を測定し、破壊荷重とした。
また、前記封着材組成物の成形体を、140〜180℃に加熱したアルミニウムカップに塗布して該成形体の厚さが約1〜0.5mmとなる程度に押し広げ、200℃で60分間、250℃で60分間、窒素雰囲気下で加熱して硬化させた。硬化させた封着材組成物の成形体の熱分解による質量減少量をTG−DTAで測定した。
一方、図1に示す形状のソーダライムガラス基板3枚(下板1:100×100×5mm、上板2:100×100×5mmで、中央に直径5mmの孔3を有する、枠状の中板4:外径100×100mm、内径70×70mm、厚さ5mm)を、下板1と中板4との間、上板2と中板4との間に前記スティック状の封着材組成物の成形体6をそれぞれ挟んで、図2に示すように積層した状態(封着材層の厚さ100μm)で加圧した。この積層体を110℃で30分間、150℃で30分間、180℃で1時間、210℃で30分間加熱して、シリコーン樹脂を硬化させて評価用試験片を作製した。その後、上板2の孔3から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間5を1.333×10-8Paの真空にした。その後、リークの有無を測定した。
リークの有無の測定は、ULVACヘリウムリークディテクターHELIOTを用いたフード法により行った。最初にバックグラウンド値が1.5×10-9Paになるまで試験片内を排気した後、フード内にヘリウムガスを導入し、10分間ヘリウムガスのリーク速度を測定し、ヘリウムガスのリーク速度の最大値を記録してリークの有無を確認した。以上の評価結果を表1に示した。
Figure 0004477335
Figure 0004477335
図1は、ガラス基板3枚からなる試験片の平面図であり、(a)は試験片の下板の平面図であり、(b)は試験片の上板の平面図であり、(c)は試験片の中板の平面図である。 図2は、図1に示すガラス基板3枚からなる試験片の封着後の断面図である。 図3は、半導体レーザー用キャップの1例の概観図である。 図4は、半導体レーザー用キャップとガラス板を封着した封着構造体の1例の断面図である。
符号の説明
1:下板
2:上板
3:孔
4:中板
5:内部空間
6:封着材層
7:金属キャップ
8:ガラス板
9:封着材層

Claims (4)

  1. (a)脱水縮合反応により硬化する、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂、
    (b)平均粒径1〜20μmの球状シリカ、および、
    (c)平均粒径50〜130μmの球状シリカまたはチタン酸バリウム
    を含有する、光素子を製造するための封着材組成物において、該封着材組成物における(a)、(b)および(c)の合計に対する(b)および(c)の合計量が20〜75質量%であり、(a)における(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計)に対する2官能ケイ素単位のモル比が0.03〜0.40であり、(a)におけるメチル基に対するフェニル基のモル比が0.1〜1.0であり、(a)、(b)および(c)の合計に対する(c)の量が0.1〜15質量%(ただし、(b)および(c)の合計に対して(c)の量は50質量%以下)であることを特徴とする光素子を製造するための封着材組成物。
  2. 請求項1に記載の封着材組成物を用いて、金属部材同士を、またはガラス部材と金属部材とを、封着してなる封着構造体であることを特徴とする、真空ないし減圧状態の内部空間を形成するための、光素子用の封着構造体。
  3. 真空ないし減圧状態の内部空間を有する光素子を製造するための封着構造体を製造する方法において、該内部空間を形成するための、2以上の金属部材同士を、または金属部材とガラス部材とを、請求項1に記載の封着材組成物を用いて封着することを特徴とする封着構造体の製造方法。
  4. 金属材料からなるキャップとガラス材料からなる窓とを有し、その中に内部空間が形成された外装と、真空ないし減圧状態の該内部空間に封入されたレーザーダイオードと、を有する光素子であって、該キャップと該窓とが請求項1に記載の封着材組成物の硬化物で封着されていることを特徴とする光素子。
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