JP4476601B2 - 工作機械、工具およびこれを用いた加工方法 - Google Patents
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Description
マシニングセンタにおけるワークの加工は、たとえば、主軸に装着された回転工具と可動テーブルに固定されたワークとを相対移動させることにより行われる。
たとえば、基板や耐熱用鋼板等のワークへ直径が1mm以下のような小径の穴を加工する場合には、回転する主軸の先端に装着されたドリル等の刃具のワークへの切り込みとワークからの退避を繰り返し行って穴あけすることが知られている。
このように、刃具の切り込みと退避を繰り返すことにより、刃具の発熱による折損を抑制するとともに、加工される穴内から切削屑を効果的に排出することができる。
上記したような刃具の切り込みと退避を繰り返し行うためには、主軸を繰り返し往復動作させる必要がある。
一方、穴あけ加工を効率良く行うためには、主軸の往復動作を高速に行う必要がある。主軸の往復動作を高速に繰り返し行うとマシニングセンタにかかる衝撃が大きく、マシニングセンタの性能や寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。この工作機械にかかる衝撃を軽減するために、主軸に装着された工具自体に往復運動を行わせる技術が特許文献1に開示されている。
また、本発明の他の目的は、上記の工具が適用された工作機械および上記の工具を用いた加工方法を提供することにある。
また、本発明によれば、穴あけ加工等におけるバリの発生や工具折損を抑制することが可能となる。
図1は、本発明の工作機械の一実施形態に係るマシニングセンタの構成図である。なお、マシニングセンタはいわゆる複合加工の可能な数値制御工作機械である。
なお、NC装置250、シーケンサ260および工具ドライバ270は、本発明の制御手段の一実施態様である。
送り軸41の一端部には、サーボモータ19が接続されており、送り軸41はサーボモータ19によって回転駆動される。
さらに、サドル44には、鉛直方向に方向に図示しないねじ部が形成されており、これに外周にねじ部が形成された送り軸42がねじ込まれている。送り軸42の端部には、サーボモータ20が接続されている。
主軸46の先端には、工具50が装着されている。工具50の構造については後述する。
また、2本の門型コラム38には、図示しないねじ部がそれぞれ形成されており、これに螺合する送り軸32aをクロスレール昇降用モータ32によって回転駆動することによりクロスレール37は昇降する。
NC装置250は、具体的には、予め加工プログラムで規定されたワークの加工手順にしたがって、サーボモータ18,19,20による工具50とワークとの間の位置および速度制御を行う。また、NC装置250は、加工プログラムにおいて、たとえば、Sコードで規定された主軸31の回転数を解読することにより主軸46の回転数の制御を行う。
図2は、本発明の一実施形態に係る工具の構成を示す断面図である。図3は、図2に示す工具を上方から見た上面図である。なお、図2は、図3のA−A線方向の断面図である。本実施形態に係る工具は、たとえば、穴あけ加工や溝加工に用いられる。
回転伝達部材51のテーパシャンク51cは、主軸46のテーパスリーブ46aに装着されることによって、中心軸が主軸46の中心軸と同心になる。
回転伝達部材51のプルスタッド51dは、主軸46に内蔵された図示しないクランプ機構のコレットによってクランプされる。なお、主軸46に内蔵されたクランプ機構は周知技術であるので詳細については省略する。
なお、保持部材66および回り止め部材62が本発明の保持部の一実施態様である。
スライド部材69は、円筒状の部材で形成され、このスライド部材69の外周は保持部材66の内周に嵌合している。スライド部材69の外側面には、複数のキー67が固定されており、このキー67はそれぞれキー溝66kに嵌まっている。
これにより、スライド部材69は、回転が規制されながら、保持部材66に対して軸方向に移動可能に案内される。
カムフォロア52は、ローラ状の部材で構成され、小径部51aの先端部に設けられた軸53に回転自在に取付けられている。
なお、カム部材90とカムフォロア52は、本発明の変換機構の一実施態様を構成している。
可動板70には、図3に示すように、4か所に長穴71が形成されており、高周波モータ80は長穴71を貫通した状態で可動板70に設けられている。高周波モータ80は可動板70に垂直に配置されている。
高周波モータ80は、長穴71内で移動可能であり、締結部材85によって可動板70に締結されている。この締結部材85の締結位置を調整することにより、可動板70における高周波モータ80の位置を調整することができる。なお、長穴71と締結部材85が本発明の調整手段の一実施態様を構成している。
回転軸81の先端部には、チャッキング部材82が設けられており、このチャッキング部材82に、たとえば、ボールエンドミルやドリル等の回転工具100が取り付けられる。
このコイルばね75の作用により、カム部材90のカム面90aとカムフォロア52とが当接した状態が維持される。
工具50を主軸46に装着し、主軸46が所定の回転数で回転されると、工具50の回転伝達部材51が主軸46とともに回転する。
回転伝達部材51が回転すると、カムフォロア52がカム部材90のカム面90a上を転がる。
可動板70の往復運動により、複数の高周波モータ80に取り付けられた回転工具100も往復運動する。たとえば、主軸46の回転数が1000rpmである場合には、1分間あたり2000往復する。
工具50に使用する回転工具100に、たとえば、直径0.1mmのドリルを使用し、工具50における回転工具100が往復するストロークSTを1mmとし、ワークとして板厚10mmのアルミニウム合金製の板材に貫通孔を加工する場合を例に挙げて説明する。
また、回転する複数の回転工具100をワークWの上方の所定の位置に位置決めしたのち、主軸46を所定の回転数、たとえば、500rpmで回転させる。これにより、主軸46の回転数に応じた速度で回転工具100が1分間当たり1000回の往復運動を開始する。
回転工具100は、1mmのストロークSTで往復運動を繰り返しながら、徐々にZ軸方向に下降し、ワークWに切り込む。4本の回転工具100が同時にワークWに切り込む。
ワークに切り込んだ回転工具100は、繰り返し往復運動を行うため、切削屑は加工された穴から効率良く排出される。
また、切り込み動作と退避動作が繰り返されるため、回転100の発熱による折損を抑制することができる。
すなわち、回転工具100とワークWとの相対位置関係に応じて、主軸46の回転数の制御により回転工具100の往復速度を最適にコントロールする。
回転工具100の往復速度をコントロールするのは、回転工具100の往復速度の大きさによって、ワークWに発生するばりの発生状況や回転工具100の折損のしやすさ等が変わるからである。
なお、主軸46の回転数は、NC装置250の加工プログラムにおいて規定すればよい。
加工領域(1)の深さは、板厚Hが10mmの場合、たとえば、1mm程度とする。加工領域(2)の深さは、たとえば、8mm程度とし、残りを加工領域(3)とする。
また、加工領域(3)では、回転工具100の往復運動速度を上昇させるとバリの発生を抑えられる場合には、主軸46の回転数をさらに上昇させることも可能である。
たとえば、回転工具100の下降および往復動作の双方を主軸46の移動のみで行なった場合には、マシニングセンタ1に大きな負担がかかるが、本実施形態では、往復動作を主軸46の回転を利用してカム部材90およびカムフォロア52によって行わせるため、マシニングセンタ1の負担を大幅に軽減することができる。
また、マシニングセンタ1への負担が大幅に軽減される結果、複数の高周波モータ80(回転工具100)を同時に使用することが可能となり、加工効率を飛躍的に向上させることができる。
さらに、回転工具100の往復運動の速度を主軸46の回転数によってコントロールすることにより、回転工具100の折損やバリの発生を効果的に抑制することが可能となり、さらに加工効率が向上する。
上述した実施形態では、本発明の駆動モータとして、高周波モータを用いた場合について説明したが、エアスピンドル型モータを使用することも可能である。エアスピンドル型モータは、電動モータの回転軸が空気軸受けによって回転自在に保持されている。このため、回転工具100を非常に高速に回転させることが可能となる。
なお、エアスピンドル型モータを使用した場合の圧縮空気の供給は、フレキシブルホースを用いてエアスピンドル型モータへ直接供給してもよいし、工作機械の非回転部47や工具50の回り止め部材62等に管路を形成することによって供給してもよい。
自動化のためには、たとえば、図7に示すように、機械本体2と工具50との間に電気的な接続を行うコネクタ201、202を設ける。
具体的には、たとえば、非回転部47の嵌合穴47a内にコネクタ201を設け、回り止め部材62の先端部にコネクタ202を設ける。また、コネクタ201をケーブル203によって工具ドライバ270と電気的に接続し、コネクタ202をケーブル204によって高周波モータ80と電気的に接続する。回り止め部材62に通路62aを形成してケーブル204を高周波モータ80まで導く構成としてもよい。
このように、機械本体2と工具50との間に、工具ドライバ270と工具50の高周波モータ80との電気的な接続を行うコネクタ201、202を設ける構成とすることにより、工具50の自動交換は可能となる。
また、上述した実施形態では、本発明の変換機構としてカム機構を用いた場合について説明したが、カム機構に限らず、主軸46の回転運動を回転工具の回転軸方向の往復運動に変換できる機構であれば適用できる。
2…機械本体
46…主軸
50…工具
51…回転伝達部材
66…保持部材
62…回り止め部材
70…可動板
52…カムフォロア
80…高周波モータ
90…カム部材
90a…カム面
100…回転工具
250…NC装置
260…シーケンサ
270…工具ドライバ
Claims (4)
- 工作機械の主軸に着脱可能に装着される工具であって、
前記主軸に装着され、前記主軸の回転を伝達する回転伝達部と、
前記工作機械の非回転部分と係合し、前記回転伝達部を前記主軸の軸線回りに回転自在に且つ前記主軸の軸線方向に移動不可能に保持する保持部と、
ワークを加工する回転工具を回転させる複数の駆動モータと、
前記複数の駆動モータを保持し、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能に且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能に前記保持部に保持される可動部と、
前記主軸の回転を前記主軸の軸線方向に沿った所定ストロークの往復運動に変換し、前記可動部へ伝達する変換機構と
を有し、
前記変換機構は、
前記主軸側に向き、前記主軸の軸線方向に起伏しつつ前記主軸の軸線回りに延びるカム面を有し、前記可動部に固定されたカム部材と、
前記回転伝達部に軸支され、前記回転伝達部の回転に伴って前記カム面を転がるカムフォロアと、
前記可動部を前記主軸側へ付勢して、前記カム面を前記カムフォロアに押し付けるばねと
を有し、
前記保持部は、前記主軸の軸線を軸とする円筒状の保持部材を有し、
前記可動部は、
前記保持部材の内周面に外周面が嵌合する円筒状に形成され、前記主軸の軸線方向に延びるキー及びキー溝により、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能とされるスライド部材と、
前記主軸の軸線方向に直交するように前記スライド部材の前記主軸とは反対側の端部に固定された板状部材であって、前記スライダ部材よりも外周側において前記主軸に対して半径方向に延びる複数の溝が形成された可動板と、
前記複数の溝に前記半径方向に移動可能に挿入された前記複数の駆動モータを前記可動板に締結するとともに、その締結位置を前記半径方向において調整可能な締結部材と
を有し、
前記回転伝達部は、前記スライド部材に挿通されており、
前記カム部材及び前記カムフォロアは、前記スライド部材の内部に設けられている
工具。 - 主軸と、前記主軸を駆動する駆動手段と、前記主軸とワークとの相対位置を変更する少なくとも一の制御軸とを備える工作機械本体と、
前記駆動手段および前記制御軸を制御する制御手段と、
前記工作機械本体の主軸に着脱される工具と、を有し、
前記工具は、
前記主軸に装着され、前記主軸の回転を伝達する回転伝達部と、
前記工作機械の非回転部分と係合し、前記回転伝達部を前記主軸の軸線回りに回転自在に且つ前記主軸の軸線方向に移動不可能に保持する保持部と、
ワークを加工する回転工具を回転させる複数の駆動モータと、
前記複数の駆動モータを保持し、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能に且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能に前記保持部に保持される可動部と、
前記主軸の回転を前記主軸の軸線方向に沿った所定ストロークの往復運動に変換し、前記可動部へ伝達する変換機構と
を有し、
前記変換機構は、
前記主軸側に向き、前記主軸の軸線方向に起伏しつつ前記主軸の軸線回りに延びるカム面を有し、前記可動部に固定されたカム部材と、
前記回転伝達部に軸支され、前記回転伝達部の回転に伴って前記カム面を転がるカムフォロアと、
前記可動部を前記主軸側へ付勢して、前記カム面を前記カムフォロアに押し付けるばねと
を有し、
前記保持部は、前記主軸の軸線を軸とする円筒状の保持部材を有し、
前記可動部は、
前記保持部材の内周面に外周面が嵌合する円筒状に形成され、前記主軸の軸線方向に延びるキー及びキー溝により、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能とされるスライド部材と、
前記主軸の軸線方向に直交するように前記スライド部材の前記主軸とは反対側の端部に固定された板状部材であって、前記スライダ部材よりも外周側において前記主軸に対して半径方向に延びる複数の溝が形成された可動板と、
前記複数の溝に前記半径方向に移動可能に挿入された前記複数の駆動モータを前記可動板に締結するとともに、その締結位置を前記半径方向において調整可能な締結部材と
を有し、
前記回転伝達部は、前記スライド部材に挿通されており、
前記カム部材及び前記カムフォロアは、前記スライド部材の内部に設けられている
工作機械。 - 前記制御手段は、前記駆動手段の回転数の制御により、前記工具と前記ワークとの相対位置関係に応じて、前記往復運動の速度を変更する
請求項2に記載の工作機械。 - 工作機械の主軸に着脱可能に装着される、前記主軸の回転を伝達する回転伝達部と、前記工作機械の非回転部分と係合し、前記回転伝達部を前記主軸の軸線回りに回転自在に且つ前記主軸の軸線方向に移動不可能に保持する保持部と、ワークを加工する回転工具を回転させる複数の駆動モータと、前記複数の駆動モータを保持し、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能に且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能に前記保持部に保持される可動部と、前記主軸の回転を前記主軸の軸線方向に沿った所定ストロークの往復運動に変換し、前記可動部へ伝達する変換機構とを有し、前記変換機構は、前記主軸側に向き、前記主軸の軸線方向に起伏しつつ前記主軸の軸線回りに延びるカム面を有し、前記可動部に固定されたカム部材と、前記回転伝達部に軸支され、前記回転伝達部の回転に伴って前記カム面を転がるカムフォロアと、前記可動部を前記主軸側へ付勢して、前記カム面を前記カムフォロアに押し付けるばねとを有し、前記保持部は、前記主軸の軸線を軸とする円筒状の保持部材を有し、前記可動部は、前記保持部材の内周面に外周面が嵌合する円筒状に形成され、前記主軸の軸線方向に延びるキー及びキー溝により、前記主軸の軸線に沿った方向に移動可能且つ前記主軸の軸線回りに回転不可能とされるスライド部材と、前記主軸の軸線方向に直交するように前記スライド部材の前記主軸とは反対側の端部に固定された板状部材であって、前記スライダ部材よりも外周側において前記主軸に対して半径方向に延びる複数の溝が形成された可動板と、前記複数の溝に前記半径方向に移動可能に挿入された前記複数の駆動モータを前記可動板に締結するとともに、その締結位置を前記半径方向において調整可能な締結部材とを有し、前記回転伝達部は、前記スライド部材に挿通されており、前記カム部材及び前記カムフォロアは、前記スライド部材の内部に設けられている工具を用いた加工方法であって、
前記主軸および前記駆動モータを駆動し、往復運動する前記回転工具とワークとの相対位置を変更しながら当該ワークを加工する際に、前記回転工具とワークとの相対位置関係に応じて、前記主軸の回転数制御により前記回転工具の往復運動の速度を変更する
加工方法。
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JP2003379952A JP4476601B2 (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 工作機械、工具およびこれを用いた加工方法 |
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CN104959866A (zh) * | 2013-11-04 | 2015-10-07 | 苹果公司 | 对目前的cnc机械进行改造以允许“整形”式加工工艺 |
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US10040153B2 (en) | 2013-11-04 | 2018-08-07 | Apple Inc. | Retrofit for current CNC machines to allow for ‘shaping’ style machining process |
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