JP4470539B2 - トラニオンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機として利用可能なトロイダル型無段変速機を構成するトラニオンの製造方法に関する。
自動車用変速機として、図8および図9に略示するようなトロイダル型無段変速機を使用することが一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に、出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸5,5を中心として揺動するトラニオン6,6が設けられている。
また、各枢軸5,5を中心として各トラニオン6,6を揺動させることにより、これら各トラニオン6,6の中央部に支持された変位軸9の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン6,6の内側面から突出する変位軸9の先端部の周囲には、パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、入力側および出力側の両ディスク2,4の間に挟持されている。なお、各変位軸9,9の基端部と先端部は、互いに偏心している。
入力側および出力側の両ディスク2,4の互いに対向する内側面2a,4aの断面はそれぞれ、枢軸5を中心とする円弧或いはこのような円弧に近い曲線を回転させて得られる凹面を成している。そして、球状の凸面に形成された各パワーローラ11,11の周面11a,11aが各内側面2a,4aに当接されている。
入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置12が設けられている。この押圧装置12は、入力側ディスク2を出力側ディスク4に向けて弾性的に押圧している。また、押圧装置12は、入力軸1と共に回転するカム板(ローディングカム)13と、保持器14により保持された複数個(例えば4個)のローラ15,15とから構成されている。また、カム板13の片側面(図8および図9の左側面)には、周方向に亙って凹凸面であるカム面16が形成され、入力側ディスク2の外側面(図8および図9の右側面)にも同様のカム面17が形成されている。そして、複数個のローラ15,15は、入力軸1に対して放射方向に延びる軸を中心に回転できるように、支持されている。
このような構成のトロイダル型無段変速機においては、入力軸1を回転させると、その回転に伴ってカム板13が回転し、カム面16によって複数個のローラ15,15が、入力側ディスク2の外側面に設けられたカム面17に押圧される。この結果、入力側ディスク2が複数のパワーローラ11,11に押圧されると同時に、1対のカム面16,17と複数個のローラ15,15の転動面との押し付け合いに基づいて、入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、各パワーローラ11,11を介して、出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回転する。
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5,5を中心として各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図8に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。
反対に、増速を行なう場合には、各トラニオン6,6を揺動させ、各パワーローラ11,11の周面11a,11aが、図9に示すように、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とにそれぞれ当接するように、各変位軸9,9を傾斜させる。各変位軸9,9の傾斜角度を図8と図9との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比が得られる。
更に、図10および図11は、より具体化されたトロイダル型無段変速機を示している。入力側ディスク2および出力側ディスク4はそれぞれ、円管状の入力軸18の周囲に、ニードル軸受19,19を介して、回転自在および軸方向に変位自在に支持されている。また、ローディングカム式の押圧装置12を構成するためのカム板13は、入力軸18の端部(図10の左端部)の外周面にスプライン係合され、鍔部20によって入力側ディスク2から離れる方向への移動が阻止されている。また、出力側ディスク4には出力歯車21がキー22,22により結合されており、これら出力側ディスク4と出力歯車21とが同期して回転するようになっている。
入力軸18に対し捻れの位置にある枢軸(傾転軸)5,5を中心として揺動する各トラニオン6,6は、支持板部7の長手方向(図11の左右方向)の両端部に、この支持板部7の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部8,8を有している。そして、この折れ曲がり壁部8,8によって、トラニオン6には、後述するパワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部8,8の外側面(支持板部7と反対側の面)には、各枢軸5,5が互いに同心的に設けられている。
トラニオン6,6の両端部はそれぞれ、一対の支持板23,23に対して揺動自在および軸方向(図10の表裏方向、図11の左右方向)に変位自在に支持されている。そして、各トラニオン6,6を構成する支持板部7の中央部に形成された円孔10には、基端部9aと先端部9bとが互いに平行で且つ偏心した変位軸9の基端部9aが、回転自在に支持されている。また、各支持板部7の内側面から突出する各変位軸9の先端部9bの周囲には、パワーローラ11が回転自在に支持されている。
なお、一対のトラニオン6,6毎に設けられた一対の変位軸9,9は、入力軸18に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸9,9の先端部9bが基端部9aに対して偏心している方向は、入力側および出力側の両ディスク2,4の回転方向に対して同方向(図11で左右逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸18の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸18の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸18の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、各パワーローラ11,11の外側面と各トラニオン6,6を構成する支持板部7の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
更に、各トラニオン6,6の一方の枢軸5(図11の左端部)にはそれぞれ駆動ロッドとしてのシャフトトラニオン29が結合されており、各シャフトトラニオン29の中間部外周面に駆動ピストン30が固設されている。そして、これら各駆動ピストン30はそれぞれ、駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸18の回転は、押圧装置12を介して、入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側ディスク2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して出力側ディスク4に伝えられ、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車21より取り出される。
入力軸18と出力歯車21との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン30,30を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン30,30の変位に伴って、一対のトラニオン6,6が互いに逆方向に変位する。例えば、図11の下側のパワーローラ11が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ11が同図の左側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a,4aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン6,6が、支持板23,23に枢支された枢軸5,5を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、前述の図8および図9に示したように、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,4aとの当接位置が変化し、入力軸18と出力歯車21との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸18と出力歯車21との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11及びこれら各パワーローラ11に付属の外輪28が、各変位軸9の基端部9aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28の外側面と各トラニオン6を構成する支持板部7の内側面との間には、各スラストニードル軸受25が存在するため、前記回動は円滑に行なれる。したがって、前述のように各変位軸9,9の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、以上のようなトロイダル型無段変速機において、トラニオン6は、パワーローラ11から大きな荷重を受けるため、ずぶ焼き入れを行なうと、疲労強度が低下してしまう。そのため、通常、硬度が要求される部位のみに高周波焼き入れが施される。図12にはトラニオン6が単体で示されているが、トラニオン6において、機能上、硬度が要求される部位は、傾転軸受の軌道面部、すなわち、支持板23にラジアルニードル軸受を介して軸支される枢軸(傾転軸)5の転送表面部100であり、また、傾転ストッパとの当たり部102である。このうち、転送表面部100は、パワーローラ11から入力される大きな荷重(条件によっては4tonを超える)を受けるため、高周波焼き入れが施されて耐久寿命が確保される。一方、傾転ストッパの当たり部102は、摩耗や塑性変形が起きると所定の変速範囲を保持できなくなるため、高周波焼き入れが施されて所定の硬度が確保される(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。なお、高周波焼き入れが施されないトラニオン6の部位は、焼鈍が施され、硬さがHRC20〜45程度に調整される。
特開平11−132302号公報 特開平11−201250号公報
前述したトロイダル型無段変速機において、トラニオン6とシャフトトラニオン29とがネジによって結合されている場合には、そのネジ部において遅れ破壊が懸念される。そのため、このネジ部に焼鈍を施して、硬さをHRC20〜38程度に調整することにより、遅れ破壊に対する感度を低下させることが一般に行なわれる。したがって、このことと、前述したトラニオンの硬度設定とを勘案すると、トラニオン6に対してシャフトトラニオン29をネジ結合する構造においては、トラニオン6の硬度をHRC20〜38程度に調整することが好ましいと言える。
しかしながら、トラニオン6の硬度を余りにも低く設定してしまうと、今度は、トラニオン6が大きな応力の作用下で破壊されないように、トラニオン6を大型化せざるを得なくなる。無段変速機においては、伝達トルク容量の向上と共に、部材の軽量化や小型化が求められているが、従来の加工法および硬度設定では、これらの目的を達成することが困難である。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、小型化、軽量化、耐久性の向上を図ることができるとともに、シャフトトラニオンとネジ結合されている場合でも、そのネジ部に遅れ破壊を生じさせず、傾転軸受部の十分な硬さを確保できるトラニオンの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に記載のトラニオン製造方法は、芯部の硬さがHRC30以上HRC45以下となるような焼鈍を施し、前記焼鈍後、前記ネジ結合部に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように高周波誘導加熱による焼鈍を施し、前記高周波誘導加熱による焼鈍後、前記転送表面部に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波誘導加熱による焼き入れを施すことを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、転送表面部の高周波焼き入れに先立って、ネジ結合部の高周波誘導加熱による焼鈍が成されるため、焼鈍の際に焼き入れが施されている転送表面部の焼き戻りを抑制するような考慮を行なう必要がない。ただし、高周波焼き入れを行なう際には、焼鈍が施されたネジ結合部が焼き入れされないように高周波焼き入れの条件を決める必要がある。
また、請求項2に記載のトラニオン製造方法は、芯部の硬さがHRC30以上HRC45以下となるような焼鈍を施し、前記焼鈍後、前記転送表面部に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波誘導加熱による焼き入れを施すと同時に、その余熱で、前記ネジ結合部に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように焼鈍を行なうことを特徴とする。
この請求項2に記載された発明においては、転送表面部の焼き入れの際の余熱でネジ結合部の焼鈍を行なうため、製造工程を簡略化できる。
本発明のトラニオン製造方法は、トラニオンの転送表面部の表面硬さがHRC55以上HRC68以下、ネジ結合部の表面硬さがHRC15以上HRC38以下、芯部の硬さがHRC30以上HRC45以下に設定されているため、トラニオンの小型化、軽量化、耐久性の向上を図ることができる。また、トラニオンとシャフトトラニオンとのネジ結合部に遅れ破壊を生じさせず、傾転軸受部(枢軸の軸受部)の十分な硬さを確保できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、トラニオンの性状および製造方法にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図8〜図12と同一の符号を付してその詳細な説明を省略することにする。
図1は、本発明の実施形態に係るトラニオン6の性状(硬さ設定)を模式的に示している。図示のように、実施形態に係るトラニオン6は、合金鋼から成り、枢軸(傾転軸)5を両側に形成して成る芯部6aと、枢軸5の外面を形成し且つ枢軸5を揺動自在に軸支する軸受109上で転動する転送表面部100と、トラニオン6をその枢軸5周りに揺動させるためのシャフトトラニオン29と螺合するネジ結合部104とを有するとともに、転送表面部100の表面硬さがHRC55以上HRC68以下、ネジ結合部104の表面硬さがHRC15以上HRC38以下(好ましくはHRC30以下)、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC45以下に設定されている。
転送表面部(傾転軸受軌道面)100にはパワーローラ11からの大きな荷重が作用し、また、枢軸(傾転軸)5はトラニオン6を傾転させて変速をスムーズに行なわせるため、軸受109には主にラジアルニードル軸受が使用される。この場合、枢軸5の転送表面部100は軸受109と点接触または線接触するため、作用する面圧が高い。そのため、本実施形態では、転送表面部100の表面硬さがHRC55以上に設定されている。なお、一般的な鉄鋼材料に硬化熱処理を施した場合、HRC68を越えた硬さを得るのは困難であり、これを越えた硬さを得ようとすると、特殊な方法を用いる必要があり、コスト高になる虞があるため、上限はHRC68とする。また、接触点の深さ方向に発生する剪断応力による塑性変形や疲労破壊を抑制するため、本実施形態では、転送表面部100の有効硬化層深さ(HRC55以上の硬さを持つ深さ)が、枢軸5を揺動自在に軸支する軸受109の転動体(コロまたは玉)の直径の2%以上に設定されている。なお、部材肉厚の半分を越えて有効硬化層が形成された場合、部材の内側にあるネジ部の表面硬度がHRC38を越える虞がある。また、ネジ結合部104の表面硬さはHRC15を下回るとネジ部の機械的強度が低下するため、下限をHRC15とする。また、芯部6aの硬さはHRC45を上回ると切削、研削等の加工が困難となるため、上限はHRC45とする。
図2は、以上説明したトラニオン6の性状を実現するための製造方法の第1の例を示している。すなわち、まず、鍛造(削り加工でも良い)によってトラニオン6を形成する(ステップA)。続いて、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC38以下となるような条件下で焼鈍を行なう(ステップB)。この焼鈍後、前加工(切削加工等)を行なう(ステップC)とともに、転送表面部100に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波(例えば高周波誘導加熱)による焼き入れを施す(ステップD)。そして、この焼き入れ後、ネジ結合部104に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように高周波誘導加熱による焼鈍を施して(ステップE)、後加工(研削、研磨加工等)を行なう(ステップF)。
この第1の例は、焼鈍条件をHRC30以上、HRC38以下となるようにしたものである。なお、この第1の例において、ネジ結合部104の硬さをHRC30以下にしない場合には、ステップEを行なわなくても良い。また、高硬度を必要とされる転送表面部100以外の部位、例えば傾転ストッパ部102(図12参照)に高周波焼き入れを施しても良い。また、高周波焼き入れによってHRC55以上を実現するためには、トラニオン6の合金鋼に含まれる炭素濃度を0.25重量%以上に設定することが好ましい。なお、炭素濃度が、1.3重量%を越えると、部材の共晶炭化物が粗大化し、高周波焼入れ性が低下する(母相への炭化物の溶解が十分に行れない)だけでなく、粗大炭化物が応力集中源となり、使用中の部材の破損等が懸念されるため、炭素濃度の上限は1.3重量%以下とする。
図3は、トラニオン6の製造方法の第2の例を示している。すなわち、まず、鍛造(削り加工でも良い)によってトラニオン6を形成する(ステップA)。続いて、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC45以下となるような条件下で焼鈍を行なう(ステップB’)。この焼鈍後、前加工(切削加工等)を行なう(ステップC)とともに、転送表面部100に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波(例えば高周波誘導加熱)による焼き入れを施す(ステップD)。そして、この焼き入れ後、ネジ結合部104に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように高周波誘導加熱による焼鈍を施すと同時に、高周波誘導加熱による焼き入れが既に施された転送表面部100を冷却して(ステップE’)、後加工(研削、研磨加工等)を行なう(ステップF)。
図4は、この製造方法の第2の例におけるステップE’において、ネジ結合部104に高周波誘導加熱による焼鈍を施すための2つの方法を示している。図4の(a)に示す方法では、シャフトトラニオン29が挿入されるネジ結合部104のネジ穴に加熱コイル116を挿入してネジ結合部104を高周波誘導加熱するとともに、転送表面部100と対向するように配置されたパイプ114から冷媒112を転送表面部100に対して吹き付けることにより、焼き入れが既に施された転送表面部100を冷却するようにしている。一方、図4の(b)に示す方法では、シャフトトラニオン29が挿入されるネジ結合部104のネジ穴に加熱コイル116を挿入してネジ結合部104を高周波誘導加熱するとともに、冷媒112が循環するパイプ114を転送表面部100と対向するように配置することにより、焼き入れが既に施された転送表面部100を冷却するようにしている。
このように、図3および図4に示す製造方法では、トラニオン6の軽量化が図られ、ネジ結合部104および転送表面部100の肉厚が薄くなることを考慮し、ネジ結合部104の焼鈍と同時に焼き入れ済みの転送表面部100を冷却することにより、ステップDで焼き入れされた転送表面部100がネジ結合部104の焼鈍の際に焼き戻されて所定の硬さが得られなくなるといった熱影響による不具合を抑制するようにしている。なお、冷媒112は、固体、液体、気体のいずれであっても良く、これらを組み合わせた冷却方法も使用できる。なお、転送表面部100以外の部位に高周波焼き入れを行なう場合には、ステップC〜ステップFの間に行なうことが好ましい。
図5は、トラニオン6の製造方法の第3の例を示している。すなわち、まず、鍛造(削り加工でも良い)によってトラニオン6を形成する(ステップA)。続いて、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC38以下となるような条件下で焼鈍を行なう(ステップB)。この焼鈍後、前加工(切削加工等)を行なう(ステップC)とともに、ネジ結合部104に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように高周波誘導加熱による焼鈍を施す(ステップE)。そして、この焼鈍後、転送表面部100に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波(例えば高周波誘導加熱)による焼き入れを施し(ステップD)、後加工(研削、研磨加工等)を行なう(ステップF)。
この第3の例の製造方法では、転送表面部100の高周波焼き入れに先立って、ネジ結合部104の高周波誘導加熱による焼鈍が成されるため、焼鈍の際に焼き入れが施されている転送表面部100の焼き戻りを抑制するような考慮を行なう必要がない。ただし、高周波焼き入れを行なう際には、焼鈍が施されたネジ結合部104が焼き入れされないように高周波焼き入れの条件を決める必要がある。また、場合によっては、高周波焼き入れと同時に冷却を行なうことが好ましい。例えば、図6の(a)に示すように、転送表面部100の周囲に加熱コイル120を巻回して転送表面部100に対して高周波焼き入れを行なうと共に、シャフトトラニオン29が挿入されるネジ結合部104のネジ穴に、冷媒が循環するパイプ121を通して冷却を行なう。あるいは、図6の(b)に示すように、転送表面部100の周囲に加熱コイル120を巻回して転送表面部100に対して高周波焼き入れを行なうと共に、シャフトトラニオン29が挿入されるネジ結合部104のネジ穴にパイプ121を通し、このパイプ121から冷媒をネジ結合部104に対して吹き付けることにより冷却を行なう。また、転送表面部100の周囲に配置される加熱コイル120は、トラニオン6の芯部6aへ向かって広範囲に焼き入れできるように、広い範囲にわたって配置されていても良い(図6の(c)参照)。
図7は、トラニオン6の製造方法の第4の例を示している。すなわち、まず、鍛造(削り加工でも良い)によってトラニオン6を形成する(ステップA)。続いて、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC38以下となるような条件下で焼鈍を行なう(ステップB)。この焼鈍後、前加工(切削加工等)を行ない(ステップC)、その後、転送表面部100に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波誘導加熱による焼き入れを施すと同時に、その余熱で、ネジ結合部104に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように焼鈍を行なう(ステップ(D−E))。そして、最後に、後加工(研削、研磨加工等)を行なう(ステップF)。
このような方法では、転送表面部100の焼き入れの際の余熱でネジ結合部104の焼鈍を行なうため、製造工程を簡略化できる。
以上のように、本実施形態では、トラニオン6の転送表面部100の表面硬さがHRC55以上HRC68以下、ネジ結合部104の表面硬さがHRC15以上HRC38以下、芯部6aの硬さがHRC30以上HRC45以下に設定されているため、転送表面部100の剥離等の不具合、ネジ結合部104の遅れ破壊、トラニオン6の疲労による破壊を抑制することができるだけでなく、伝達トルクの向上と共に、部材の小型化や軽量化を達成することができる。なお、ネジ結合部104の遅れ破壊に対する感受性を低下させるためには、ネジ結合部104の表面硬さをHRC30以下HRC45以下とすることが好ましい。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型等の様々なタイプのトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の実施形態に係るトラニオンの性状(硬さ設定)を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るトラニオンの性状を実現するための製造方法の第1の例を示す工程ブロック図である。 本発明の実施形態に係るトラニオンの性状を実現するための製造方法の第2の例を示す工程ブロック図である。 図3の工程ブロック図におけるステップE’の実施例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るトラニオンの性状を実現するための製造方法の第3の例を示す工程ブロック図である。 図3の工程ブロック図におけるステップDの変形例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るトラニオンの性状を実現するための製造方法の第4の例を示す工程ブロック図である。 従来から知られている基本的構成を最大減速時の状態で示す側面図である 従来から知られているトロイダル型無段変速機の基本的構成を最大増速時の状態で示す側面図である。 従来の具体的構造の一例を示す断面図である。 図10のX−X線に沿う断面図である。 (a)はトラニオン単体の断面図、(b)はトラニオンの正面図である。
符号の説明
1 入力軸
2 入力側ディスク
4 出力側ディスク
5 枢軸
6 トラニオン
6a 芯部
11 パワーローラ
29 シャフトトラニオン
100 転送表面部
104 ネジ結合部
109 軸受

Claims (2)

  1. 回転トルクが入力される入力軸と、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に前記入力軸に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンと、このトラニオンに支持され且つ前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワ−ロ−ラとを備え、前記トラニオンは、前記枢軸を両側に形成して成る芯部と、前記枢軸の外面を形成し且つ前記枢軸を揺動自在に軸支する軸受上で転動する転送表面部と、トラニオンをその枢軸周りに揺動させるためのシャフトトラニオンと螺合するネジ結合部とを有しているトロイダル型無段変速機における前記トラニオンの製造方法において、
    前記芯部の硬さがHRC30以上HRC45以下となるような焼鈍を施し、
    前記焼鈍後、前記ネジ結合部に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように高周波誘導加熱による焼鈍を施し、
    前記高周波誘導加熱による焼鈍後、前記転送表面部に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波誘導加熱による焼き入れを施す、
    ことを特徴とする製造方法。
  2. 回転トルクが入力される入力軸と、それぞれの内側面同士を互いに対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に前記入力軸に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捩れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンと、このトラニオンに支持され且つ前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワ−ロ−ラとを備え、前記トラニオンは、前記枢軸を両側に形成して成る芯部と、前記枢軸の外面を形成し且つ前記枢軸を揺動自在に軸支する軸受上で転動する転送表面部と、トラニオンをその枢軸周りに揺動させるためのシャフトトラニオンと螺合するネジ結合部とを有しているトロイダル型無段変速機における前記トラニオンの製造方法において、
    前記芯部の硬さがHRC30以上HRC45以下となるような焼鈍を施し、
    前記焼鈍後、前記転送表面部に対してその表面硬さがHRC55以上HRC68以下となるように高周波誘導加熱による焼き入れを施すと同時に、その余熱で、前記ネジ結合部に対してその表面硬さがHRC15以上HRC30以下となるように焼鈍を行なう、
    ことを特徴とする製造方法。
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