JP4467042B2 - 鉄系部品およびその製造方法 - Google Patents

鉄系部品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄または鉄基合金からなる各種機械要素や機構部品として用いられる鉄系部品およびその製造方法に係り、特に、鉄系部品の摺動なじみ性と耐食性に加え、表面付近の硬さを好適に調整した表面改質技術に関する。
鉄や鉄基合金から製造される歯車、カム、リンクアームなどの機械要素や、写真機、事務機器、搬送機器、水処理装置などの機構部品は、用途に応じ、純鉄に近いものから炭素などの他の元素を含むものまで各種組成を選択し、溶湯から作られた材料(以下、「溶製材料」と言う)から製造することができるほか、金属粉末やその他の添加物粉末の混合物(以下、「焼結材料」と言う)を成形および焼結して製造することもできる。
上記機械要素などを溶製材料から製造する場合には、塑性加工、剪断、切削加工などの各種の加工手段によって目的形状に成形される一方、焼結材料から製造する場合には、金型で粉末成形することにより目的形状に近い形状に成形される。また、上記いずれの材料を使用する場合においても、要求される特性に応じて浸炭、窒化、焼入れ焼戻し、メッキなどの改質処理が施される。
上記のような各成形方法を使用して、特に、耐食性が要求される機械要素などを製造する場合には、ステンレス鋼のような耐食性のある鉄基合金を用いる場合のほか、構造用炭素鋼のような耐食性が比較的不良な表面にニッケルメッキを被覆する場合がある。
このように、合金の表面にニッケルメッキを被覆して、優れた耐食性が要求される機械要素などを製造する技術については、従来から種々の提案がなされている。例えば、合金鋼に無電解ニッケルメッキを施し、メッキされた部材を300〜400℃の範囲の温度で熱処理することで、ニッケルメッキ層に含まれているリンがリン化三ニッケル(NiP)となり、ニッケルメッキの硬さをHv800〜900程度とし、ニッケルメッキ面に他の部材との良好ななじみ性を付与する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、鋼板に電気ニッケルメッキを施した後、600〜850℃の温度で10〜120秒の加熱処理を施すことで、メッキ層の一部をニッケル−鉄合金相とし、耐食性に優れる鋼板を得る技術も提案されている(特許文献2参照)。
特開平6−313434号公報(第2,3頁) 特開平11−61484号公報(第4頁)
このように、上記特許文献1,2に記載された技術は、耐食性やなじみ性には優れているものの、合金鋼からニッケルメッキへの硬さの変化をなだらかにするなどの、メッキ表面から被メッキ部材の深部に向かう硬さの変化についての特段の処理が施されていないことから、ニッケルメッキが合金鋼から剥離し易いという問題があった。このため、今日においては、上記要求特性に加えて、特に、深さ方向においてメッキ表面から、被メッキ部材内部までの硬さを好適に調整し、これにより、被メッキ部材からメッキが剥離し難い鉄系部品の製造に関する技術開発が要請されていた。
本発明は、上記要請に鑑みてなされたものであり、優れた摺動なじみ性と耐食性とに加え、特に、メッキ表面から被メッキ部材内部までの硬さを好適に調整した鉄系部品を提供することを目的としている。
本発明の鉄系部品は、鉄または鉄基合金の表面が、炭素と15質量%以下のリンを含有するニッケル層で被覆され、上記鉄または鉄基合金基地にその深部に向かってニッケル量が減少するニッケル拡散層が形成されているとともに、このニッケル拡散層の少なくとも表面層に炭素が含有されていることを特徴としてる。
本発明の鉄系部品は、鉄または鉄基合金(以下、「母材」と言う)の表面がニッケル層によって被覆されていることから、上記特許文献1,2に記載された技術の要求特性、すなわち、優れた摺動なじみ性と耐食性とを実現することができる。
このような要求特性実現の前提として、本発明の鉄系部品は、母材にその深部に向かってニッケル層が減少するニッケル拡散層が形成されているとともに、ニッケル層と母材とが拡散接合されているため、母材からニッケル層の剥離を防止することができる。
また、本発明の鉄系部品は、上記ニッケル層に炭素または炭素およびリンを含ませていることから、ニッケル層の硬さおよび強度を十分に高めることができ、また、そのニッケル層によって摺動なじみ性と耐摩耗性とを兼ね備えたものとなる。
このような鉄系部品においては、ニッケル拡散層がマルテンサイトを含む焼入れ金属組織とすることができる。また、上記鉄系部品は、母材表面がニッケル層により被覆されているため、特に耐摩耗性または耐食性が要求される機械要素または機構部品に適用することが望ましい。さらに、上記鉄系部品は、溶製材料から得られた母材を用いて製造することは勿論、焼結材料から得られた母材を用いて製造することができる。
次に、発明者らは、本発明の鉄系部品の製造方法について、以下の(1)〜(5)の知見を得た。
(1)浸炭性のガス雰囲気中でニッケルメッキした低炭素含有量の鉄系材料からなる母材を加熱すると、炭素がニッケル層に浸入して固溶し、ニッケル層の硬さが上昇する。また、炭素はニッケル層を通過して部材に浸入する。母材に達した炭素は、ニッケル層の表面で最も多く、部材の内部に向かって徐々に減少する。
(2)ニッケルメッキした炭素含有鉄系材料からなる母材を、母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で加熱すると、母材中の炭素がニッケル層に浸入して固溶し、ニッケル層の硬さが上昇する。
(3)浸炭性のガス雰囲気中で鉄系材料のオーステナイト領域温度で行う加熱は、温度が高いほど浸炭する。ガス雰囲気が一定の場合は、加熱温度と加熱時間により浸炭量を制御することができる。
(4)ニッケルメッキした鉄系材料からなる母材を鉄系材料のオーステナイト領域温度で加熱すると、ニッケルと鉄とは相互に拡散して合金化する。ニッケル含有量は、ニッケル層から母材の深部に向かって徐々に減少する。このニッケルの拡散によって、ニッケル層は母材の表面と冶金的に強固に接着した状態を形成する。このため、鉄系部品に焼入れ、塑性加工、バレル研磨など施してもニッケル層は剥離することがない。ニッケル層はピットが減少または消滅し、健全な被膜となる。なお、上記ニッケルと鉄との相互拡散は、ガス浸炭を伴うことにより促進される。
(5)無電解ニッケルメッキ被膜中に含有するリンは、ニッケル層の硬さを高くする。また、無電解ニッケルメッキ被膜中のリンは、母材への浸炭性および母材からのニッケル層への浸炭性および炭素の透過を抑制する作用があり、無電解ニッケルメッキ膜のリン含有量によって、熱処理された母材の炭素含有量を調整することができる。
すなわち、本発明は、以上の知見に基づき、上述した鉄系部品を好適に製造する方法であって、鉄の母材または炭素を含有する鉄基合金の母材の表面にニッケル層を被覆し、前者母材においては浸炭性ガス雰囲気中で、後者母材においては、カーボンポテンシャルが0.1〜1.2%の範囲内の浸炭性ガス雰囲気中、鉄基合金の炭素含有量と平衡するカーボンポテンシャルのガス雰囲気中、または母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中のいずれかで、鉄炭素系標準状態図におけるオーステナイト領域温度に加熱した後、冷却するとともに、前記ニッケル層が、無電解ニッケルメッキにより形成されたリン含有量が15質量%以下のニッケル・リンメッキ被膜であり、前記鉄または鉄基合金への浸炭量を多くする場合には前記リン含有量を少なくし、前記鉄または鉄基合金への浸炭量を少なくする場合には前記リン含有量を多くすることを特徴としている。
本発明の鉄系焼結部品の製造方法によれば、上記態様により、鉄系部品の優れた摺動なじみ性と耐食性とを実現することができ、これを前提として、鉄系部品において、特に、母材からのニッケル層の剥離を防止することができるとともに、ニッケル層に優れた摺動なじみ性と耐摩耗性と耐食性とを付与し、しかもニッケル拡散層の硬さおよび強度を高めることができる。
また、本発明の他の鉄系部品の製造方法は、鉄母材または鉄基合金母材の表面にニッケル層を被覆し、鉄炭素系標準状態図におけるオーステナイト領域温度に加熱した後、焼入れ焼戻しを施すことを特徴としている。
焼入れ、焼戻しを施すことにより、ニッケル層を被覆した部品について、母材を硬化させるとともに、その組織および機械的性質を安定化させ、また、靭性の回復および残留応力の軽減を図ることができる。
上記焼入れの具体的手段として浸炭焼入れが挙げられ、この場合には、オーステナイト領域温度での加熱を、浸炭およびニッケルの拡散が促進される第1の温度に保持し、次いで、この第1の温度に比して低温の第2の温度に保持して焼入れを施すことが望ましい。すなわち、鉄系材料のA変態点より約100℃程度高い温度(上記第1の温度)で浸炭を促進させた後、A変態点より約50℃程度高い温度(上記第2の温度)で保持して拡散させて焼入れを行うことで、浸炭量が比較的多く、焼入れによる残留オーステナイトの発生が少ない部品を得ることができる。
上記発明の製造方法においては、ニッケル層を、無電解ニッケルメッキ、あるいは、無電解ニッケルメッキと電気ニッケルメッキにより積層されたものとする。ニッケル層が、無電解ニッケルメッキにより形成されたリン含有量が15質量%以下のニッケル・リンメッキ被膜であるときには、上記鉄または鉄基合金への浸炭量を多くする場合は上記リン含有量を少なくし、上記鉄または鉄基合金への浸炭量を少なくする場合は上記リン含有量を多くすることが望ましい。ここで、無電解ニッケルメッキによるニッケルメッキ膜中のリン含有量は、メッキ液中の次亜リン酸ナトリウムの含有量およびpH(水素イオン濃度)によって調整することができる。無電解ニッケルメッキ中のリンは、そのニッケルメッキ膜を加熱すると非晶質構造から一リン化三ニッケル(NiP)の共晶体が析出してメッキ膜が硬くなる。よって、リン含有量が多いほどニッケル層の硬さを高くすることができる。なお、NiPは、X線回折(XRD:X−ray diffractometry )により確認することができる。
また、ニッケル層中のリンの含有は、上記共晶体の出現を招来することで、浸炭性を抑制する。また、ニッケル層中のリン含有量が15質量%を超えると、ニッケル層および鉄基地への浸炭が困難になる。このように、母材への浸炭性の調整は、ガス雰囲気中のカーボンポテンシャルおよび加熱温度に加え、リン含有量の調整により行うことができる。また、炭素を含有する鉄基合金を用いてそれよりもカーボンポテンシャルが低いガス雰囲気中で加熱する場合では、ニッケル層中のリンの含有はニッケル層への浸炭性を抑制するので、無電解ニッケルメッキ層中のリン含有量を調整することにより、熱処理された母材の炭素含有量を調整することができる。
なお、以上のような鉄系部品の製造方法に使用する鉄系部品は、溶製材料から得られた母材を用いて製造することができることは勿論、焼結材料から得られた母材を用いて製造することができる。
本発明によれば、母材の表面にニッケルメッキ層を形成しておき、オーステナイト領域温度で加熱して、ガス雰囲気中の炭素または母材中の炭素の、母材とニッケル層間での移動を生じさせた後、徐冷または焼入れすることにより、母材表面が炭素を含むニッケル層で覆われ、ニッケル層は鉄基地と強固に結合されたものとすることができる。よって、本発明は、炭素を含まない鉄から炭素を含む鉄基合金を問わず、比較的低級な鉄系材料においても、表面に耐食性を与えるとともに、優れた相手部材との摺動なじみ性を実現し、しかも表層部が硬く内部が靭性に富む性質を兼ね備えた機械要素や構成部品を提供することができる点で有望である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)鉄または鉄基合金からなる母材
メッキされる鉄や鉄合金の母材は、溶製材料および焼結材料のいずれも使用することができる。溶製材料は炭素含有量が僅かな低炭素鋼や種々の合金、例えば機械構造用炭素鋼に適用することができる。また、溶製材料の母材は、塑性加工、打ち抜き、切削、研削などの通常の方法で形成され、必要に応じてバレル研磨、ショットブラストなどの後処理を施すことができる。
これに対し、焼結材料は、添加元素を含まない純鉄、Fe−Cu系、Fe−Cu−C系のような合金系や、機械的強度が高い用途に使用されるNi,Cr,Mo,Vなどの元素を含む焼結合金を使用することができる。また、密度は6.5Mg/m程度とすることができるが、密度が高く気孔が少ないものの方が気孔中にメッキ液が入り難いので好ましい。この場合、焼結体のまま、切削加工、バレル研磨、ショットブラストなどの後加工を施すことができる。
(2)電気ニッケルメッキ
電気ニッケルメッキは従来技術による。メッキ工程は、概して、鉄または鉄合金からなる母材に対するアルカリ浸漬脱脂処理、電解洗浄処理、酸活性処理、下地ニッケルメッキ処理、およびニッケルメッキ処理を順次行うことにより実現される。各工程の処理液や処理時間は以下のとおりである。
アルカリ浸漬脱脂処理は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを含む水溶液の温液に約10分間浸漬して行う。また、電解洗浄処理は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを含む水溶液の温液中で、電流密度10A/dmの電流を加えて約10分間浸漬して行う。次いで、酸活性処理は、塩酸水溶液に約1分間浸漬して行う。さらに、下地ニッケルメッキ処理は、塩化ニッケルおよび塩酸を含む水溶液中で、電流密度5〜10A/dmの電流を加えて約15分間浸漬して行う。最後に、ニッケルメッキ処理は、硫酸ニッケル、塩化ニッケルおよびほう酸を含む水溶液中で、電流密度5A/dmの電流を加えて約12分間浸漬して行う。
(3)無電解ニッケルメッキ
無電解ニッケルメッキは従来技術による。メッキ工程は、概して、鉄または鉄合金からなる母材に対するアルカリ浸漬脱脂処理、酸活性処理、無電解ニッケルメッキ処理を順次行うことにより実現される。各工程の処理液や処理時間は以下のとおりである。
アルカリ浸漬脱脂処理は、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムを含む水溶液の温液に約10分間浸漬して行う。また、酸活性処理は、塩酸水溶液に約1分間浸漬して行う。さらに、無電解ニッケルメッキは、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび塩化ニッケルを含む水溶液の温液に約25分間浸漬して行う。なお、この無電解ニッケルメッキは、ニッケル・リンメッキとすることができ、この場合にはメッキ液中の次亜リン酸ナトリウムの含有量およびpHによってリン含有量を調整することができる。
(4)ニッケルメッキ層の厚さ
ニッケルメッキ層は製品の寸法精度、耐食性などによってその厚さを適宜設定することができるが、通常は厚さ2〜8μm程度とされる。ニッケルメッキ層の厚さはメッキ液に浸漬する時間によって制御することができる。ニッケルメッキ層は、無電解ニッケルメッキ、あるいは、無電解ニッケルメッキと電気ニッケルメッキを積層して施し、複層のニッケルメッキ層とすることができる。
(5)熱処理
熱処理は、鉄系材料のオーステナイト領域の温度に加熱した後に徐冷する形態と、焼入れ、焼戻しする形態とのいずれも採用することができる。前者は母材へのニッケル拡散効果を期待して軟質な部品を得る場合に有効であり、後者は上記効果を期待してより硬い部品を得る場合に好適である。
熱処理のガス雰囲気、温度、加熱時間などは、通常の処理形態を採用することができる。熱処理のガス雰囲気は、母材に炭素を含まないものに対しては浸炭性ガス雰囲気中で加熱される。また、母材に含有する炭素量が0.6質量%以下のものに対しても浸炭性ガス雰囲気中で加熱することができる。浸炭性ガス雰囲気のカーボンポテンシャルは、母材の炭素量に応じて決定される。例えば、炭素量が約0.2質量%の鉄合金の場合は、カーボンポテンシャルは約0.6〜0.8%程度とされる。この場合には、熱処理温度はA変態点以上の約850〜900℃とされ、また、加熱時間は約90〜180分間程度とされる。また、母材への浸炭深さを少なくする場合などでは、カーボンポテンシャルを1.2%程度まで高くすることができる。このような加熱により、ニッケル層およびその深部に位置する母材に浸炭がなされるとともに、ニッケルと鉄とが相互に拡散する。また、ニッケルおよび炭素の含有量は、表面から深部に向かって徐々に減少する。
また、上記浸炭熱処理後に焼入れする場合では、浸炭させる温度領域は比較的高い温度、例えばA変態点より100℃程度高い温度とし、焼入れ準備段階の保持温度をA変態点温度付近、例えばA変態点より50℃程度高い温度とすることができる。このような2段階の加熱を行うことで、浸炭時間を短くすることができ、しかも焼入れ組織が良好なものとなる。焼戻しは、通常行われている態様にしたがい、180℃前後の温度で1時間程度加熱した後、放冷して行う。
母材に炭素を含有するものに対して、熱処理のガス雰囲気を母材の炭素量と同じカーボンポテンシャルとして行うことができる。このような平衡炭素濃度のガス雰囲気による熱処理によれば、ガス雰囲気および母材中からニッケル被膜中に浸炭され、ニッケル層と鉄系材料の炭素量がほぼ同じ状態になるとともに、ニッケルが母材に拡散する。採用する母材は、炭素量が0.4〜0.6質量%程度のものが好ましい。
炭素含有量が比較的多い母材に対する熱処理は、母材の炭素量より少ないカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で行うことができ、この場合、例えば炭素量0.4〜0.9質量%程度の母材を適用することができる。母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で熱処理を行うと、ガス雰囲気および母材中の炭素がニッケル層に浸炭する。母材の表層部は炭素量が減少するとともにニッケルが拡散する。熱処理のガス雰囲気がカーボンポテンシャルがないと、ニッケル被膜への浸炭が母材だけから行われ、母材の炭素量が減少するとともにニッケル被膜表面の炭素量が低いものとなるので、ガス雰囲気のカーボンポテンシャルは0.1%以上にすることが好ましい。このように、ニッケルと鉄とが相互拡散することによりニッケル層と母材とが強固に接合されるので、剪断や衝撃を与えても剥離が起こり難く、また、焼入れしてもひび割れや剥離を生じ難いものになる。
(6)製品の断面組織
ニッケルメッキされた母材を浸炭性ガス中で加熱して徐冷した製品は、表面がニッケル層で覆われ、ニッケル層の下層が鉄のパーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織になる。熱処理前の母材に炭素が含まれていなく体積が大きいものでは母材の中心部がフェライト組織になることがある。熱処理前の母材に炭素が含むものでは、徐冷した製品は母材が鉄のパーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織となる。また、焼結材料からなる母材を用いたものでは、ニッケル層によって表面が封孔された状態となる。なお、ニッケルメッキされた鉄または鉄基合金からなる母材を加熱した後焼入れおよび焼戻しした製品は、炭素を含みニッケルと鉄が拡散している領域が焼入れ性が向上しているため、特に母材の表層部は急冷によってマルテンサイト組織になり易い状態である。母材のニッケル含有量は、母材の表層から深部に向かって減少するので、母材の表層部がマルテンサイト組織であっても、その深部がトルースタイト組織やベイナイト組織になることがある。炭素を含まない比較的大きい母材の場合は、母材の中心部はフェライト組織になる。
ニッケルメッキされた炭素を含有する母材を、母材の炭素量と同じカーボンポテンシャルのガス中で加熱し徐冷した製品は、パーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織になる。また、炭素を含有する母材を用い、母材の炭素量より低いカーボンポテンシャルのガス雰囲気中で加熱し徐冷した製品も、パーライト組織またはフェライトとパーライトの混合組織になる。鉄基地にニッケルが拡散した領域は、焼入れ性が向上しているため、冷却速度が比較的速い場合は、ベイナイト組織や微細なパーライト組織になる。
このような製品の断面は、電子線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe
Microanalyzer)で、炭素、ニッケル、リンおよび鉄の濃度(この濃度は検出カウント量を示しており、以下同じことを意味するものとする)を分析することができる。例えば、ニッケルメッキされた母材を浸炭性ガス中で加熱して徐冷した製品の断面をEPMAにより分析した各元素の濃度は概して下記のとおりである。すなわち、炭素濃度はニッケル層表面が最も高く、内部に向かって低下する。ニッケル濃度は、ニッケル層の表面に炭素が多く含有しているため、ニッケル層表面では低くなる。また、ニッケル層の深部に向かって炭素量が減少する結果、ニッケル層の表面から僅かに深部ではニッケル濃度は最大値を示し、さらに深部に向かうにつれて鉄基地への拡散によりニッケル濃度は低下する。一方、炭素を含む母材であって、カーボンポテンシャルが低いガス雰囲気中で加熱し冷却した製品の場合には、炭素濃度は、深部よりもニッケルの拡散層の方が低く、ニッケル層の表面が最も低くなる。これは、母材中の炭素がニッケル層に浸炭しているからである。
また、リン濃度は、ニッケル濃度パターンと類似し、ニッケル層表面で低く、やや深部に向かって炭素濃度が減少することにより最大値を示し、さらに深部の鉄とニッケルとが相互に拡散する部位に向かって低下する。なお、ニッケル・リンメッキ被膜中のリン含有量が多いほど、上記炭素濃度が低くなり、表面から炭素が拡散する深さも小さくなる。これに対し、鉄濃度は、ニッケル、炭素またはリンの拡散によって製品の表面に向かって低下する。
(7)製品の外観
熱処理されたニッケル層表面は、光沢がない白灰色を呈する。カーボンポテンシャルの高い浸炭性ガス雰囲気で熱処理したものでは、ニッケル層表面に煤が付着(sooting)する場合があるが、これはバレル研磨などで除去することができる。ニッケル層は熱処理によりピットなどの欠陥がなくなるとともに、母材に冶金的に接合された状態となり、特に、気孔がある焼結材料の場合では表面が封孔されているため、耐食性に優れたものとなる。ニッケルメッキしたままの製品と、それを熱処理した製品とを塩水噴霧試験すると、その差は明白に現れる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
・母材に焼結材料を使用した場合の熱処理品
(実施例1および参考例1
アトマイズ鉄粉(アトメル300M:神戸製鋼所製)、電解銅粉(CE15:福田金属箔粉工業製)、黒鉛粉(サウスウエスタン製)および潤滑剤(ステアリン酸亜鉛)を所定割合に混合した粉末を金型中で圧縮成形し、ブタン変性ガス中、温度1120℃で焼結した。なお、焼結体の組成は銅:1.5質量%、結合炭素量:0.2質量%とし、密度6.7Mg/mとした。
この焼結体に電気ニッケルメッキを施したもの(参考例1)と、無電解ニッケルメッキを施したもの(実施例)とを製作した。ここでメッキ厚さは5μmとした。また、無電解ニッケルメッキ中のリン含有量は低濃度とした。このような条件の下、それぞれの試料に対して焼入れ、焼戻し処理を順次施した。焼入れは、カーボーポテンシャル0.8%の浸炭性ガス雰囲気中で温度850℃で2時間加熱した後、油焼入れすることにより行った。また、焼戻しは温度180℃で1時間、大気中で加熱し徐冷することにより行った。
(実施例2および参考例2
母材は上記実施例1および参考例1と同様の原料粉と製法により製作されたもので、異なる点は焼結体の結合炭素量が0.6質量%である。この焼結体に、電気ニッケルメッキを施したもの(参考例2)と、無電解ニッケルメッキを施したもの(実施例)とを作製し、各々、カーボーポテンシャル0.1%のガス雰囲気中で温度880℃で1時間加熱した後、油焼入れし、焼戻し処理を施した。
参考例3
母材は上記実施例2および参考例2と同様の製法により製作されたもので、焼結体の結合炭素量が0.6質量%である。この焼結体に、上記実施例と同様に電気ニッケルメッキを施した後、カーボーポテンシャル0.6%のガス雰囲気中で温度850℃で2時間加熱し、焼入れおよび焼戻しを行ったものを作製した。
以上のとおり作製された実施例1、2および参考例1〜3について断面硬さを表1に示す。
Figure 0004467042
表1によれば、参考例1および実施例は、母材の表層部がマルテンサイトを含む組織となっている。これは、母材にニッケルが拡散し、浸炭しているからである。電気メッキしたものに比べて無電解メッキしたものは、硬さが表層部および深部ともにやや低くなっている。これは、無電解ニッケルメッキ被膜のリンが浸炭を抑制しているからである。これに対し、参考例2および実施例は、母材の表層部の硬さが低くなっている。これは、熱処理の雰囲気ガスのカーボンポテンシャルが低いため、加熱中に母材の炭素量が減少したからである。また、電気ニッケルメッキしたもの(参考例2)に比べて無電解ニッケルメッキしたもの(実施例)は、硬さがやや高くなっている。これは、無電解ニッケルメッキ被膜のリンが母材の炭素の移動を抑制しているからである。また、参考例3は、母材の表層部がマルテンサイトを含む組織となっている。これは、母材にニッケルが拡散し、鉄基焼結合金からなる母材の炭素含有量が多いからである。
次に、参考例1(0.2%C母材、電気メッキ、カーボンポテンシャル0.8%のガス雰囲気中で熱処理)の熱処理体の断面をEPMAで線分析した結果を図1に示す。縦軸は各元素の濃度(検出カウント量)を示し、横軸は表面からの深さを示す。図1によれば、ニッケルと鉄とが相互に拡散し、炭素がニッケル層およびニッケルと鉄との拡散層に浸炭していることが判る。これに対し、参考例2(0.6%C母材、電気メッキ、カーボンポテンシャル0.1%のガス雰囲気中で熱処理)の熱処理体の断面をEPMAで線分析した結果を図2に示す。図2によれば、母材へのニッケルの拡散がやや少なく、母材中の炭素がニッケル層に拡散している。また、ニッケル層表面の炭素濃度が低い。これらのことから、実施例1のように、焼入れのときに浸炭性ガス雰囲気で加熱すると、ニッケルと鉄との相互拡散が促進されることが判る。
また、実施例(0.2%C母材、無電解メッキ、カーボンポテンシャル0.8%のガス雰囲気中で熱処理)の熱処理体については、図示していないが、鉄、ニッケル、炭素ともに図1に示したパターンと同様のパターンを示した。図1の場合と異なる点は、炭素が表面部でもやや少なく、浸炭深さもやや少ないことであった。これは、リンが浸炭を抑制しているためである。この場合、リンは、ニッケルのパターンと同様に表面が少なく、表面から約4μm程度で最大値を示した。また、リンは、それより深部に向かって減少し、表面から約10μm程度まで拡散していた。これに対し、実施例(0.6%C母材、無電解メッキ、カーボンポテンシャル0.1%のガス雰囲気中で熱処理)の熱処理体については、図示していないが、鉄、ニッケル、炭素ともに図2に示したパターンと同様のパターンを示した。この場合、リンは、母材に約5μm程度の拡散が認められた。
さらに、参考例3(0.6%C母材、電気メッキ、カーボンポテンシャル0.6%のガス雰囲気中で熱処理)の熱処理体については、図示していないが、鉄、ニッケル、炭素ともに図1に示したパターンと類似のパターンを示した。異なる点は、ニッケル層表面と母材の炭素濃度がほぼ同じになっていることである。これは、ニッケル層への浸炭が熱処理のガス雰囲気および母材中の含有炭素から供給されたためである。母材へのニッケルの拡散がやや少ない。
次に、図3は、塩水噴霧試験を96時間行った後の試料外観写真である。(a)は、参考例1の試料であり、(b)は、電気ニッケルメッキしたままの熱処理していない試料である。参考例1の試料は、熱処理による加熱および浸炭により、ニッケル層が焼結されたような状態でニッケルメッキ層の欠陥が修復され、ニッケルと鉄との拡散により強固な皮膜になっているものと考えられる。電気ニッケルメッキしたままの試料については、褐色の錆が多量に発生しており、ニッケルメッキ層で覆われているものの、微細な隙間があるものと考えられる。図示していないが、実施例1、2および参考例2、3においても参考例1の試料と同様に錆の発生が少なく、差が認められなかった。これは、熱処理時のガス雰囲気にかかわらず、加熱により、ニッケルメッキ層が母材に拡散し、確実に接着するとともに、ニッケルメッキ層の微細な割れやピンポールなどの欠陥が修復されているものと考えられる。
・母材に溶製材料を使用した場合の熱処理品
(実施例3〜5
炭素量が0.25質量%の機械構造用炭素鋼からなる切削加工された母材に無電解ニッケルメッキを施し、浸炭性ガス雰囲気中、温度880℃で90分間加熱した後、急冷し、温度180℃で1時間焼戻しを施した。無電解ニッケルメッキは、ニッケルメッキ層中のリン含有量が質量比で低濃度のもの(実施例)、中濃度のもの(実施例)および高濃度のもの(実施例)の3種類で、それぞれメッキ厚さは7μmとした。
これら熱処理された試料の断面をEPMAで分析したニッケル拡散層の厚さは、実施例では23μm、実施例7では15μm、実施例8では10μmであった。また、断面組織は、リン含有量が少ない実施例では、深部約30μmがマルテンサイトになっており、中心部は熱処理によって変態した微細化パーライト組織となっていた。これは、母材の鉄基地中にニッケルが拡散したことにより、その部分の焼入れ性が向上したためである。さらに、リン含有量が多い実施例では、マルテンサイト組織はほとんど認められず、微細化したパーライトとフェライトの混合組織を示した。これは、ニッケルの拡散が少ないとともに浸炭が僅かであるからである。これら実施例3〜5について、各熱処理体の断面硬さを表2に示す。
Figure 0004467042
表2によれば、リン含有量が少ない実施例では硬く、リン含有量が多い実施例では、特に表面に近い部分の硬さが低いことが判る。なお、上記実施例3〜5についての塩水噴霧試験による耐食性は、実施例1の図3(a)に示した試料と同様に、いずれも良好であった。
以上のように、実施例3〜5については、ニッケルメッキ層中のリン含有量が少ないもの(実施例)は、ニッケル拡散深さおよび浸炭深さが大きく、比較的厚めに改質が起こることが判明した。このため、リン含有量が少ないものは、特に、焼入れされる部品に好適である。これに対し、ニッケルメッキ層中のリン含有量が多いもの(実施例)は、焼入れ性が向上するまでには至っていないが、ニッケル拡散層の厚さが10μmあり、浸炭もニッケル層からニッケル拡散層までに至っていることが判明した。このため、ニッケル層の接合が十分に行われるとともに耐食性に富み、しかもニッケル層が比較的硬い性質を有するものであるといえる。
また、ニッケルメッキ層中のリンの含有は、浸炭およびニッケルの拡散を抑制していることから、無電解ニッケルメッキのリン含有量を浸炭量およびニッケルの拡散を制御する手段のひとつとして利用できる。ただし、上記手段を使用する場合には、好適な断面組織、断面硬さおよびニッケルの拡散状態を考慮すれば、ニッケルメッキ層中のリン含有量は適宜選択することが必要である。
以上、各実施例から判るように、鉄系材料からなる母材にニッケルメッキを施した後、カーボンポテンシャルがあるガス雰囲気中で熱処理した製品は、ニッケル層のニッケルが鉄基地と相互に拡散し、機械的強度が高く、ニッケル層と母材が高い密着性が形成されて剥離し難くなる。また、熱処理によりニッケル層は、熱処理のガス雰囲気または母材に含まれる炭素によって浸炭されNi−C系合金となり、ニッケルよりやや硬い軟質相となるとともにメッキ層の欠陥がなくなる。なお、焼入れした場合は、Fe−Ni−C系合金部分はマルテンサイト組織になり易いことから硬くなり、低炭素量あるいは炭素を含まない母材を用いれば、表層部が硬く中心部が軟質な鉄系部品とすることができる。また、熱処理品にショットピーニングやバレル研磨処理を施すと、表面光沢のある部品とすることができる。
電気ニッケルメッキした熱処理体(参考例1)の表面からの深さと各元素の濃度とを示したグラフである。 電気ニッケルメッキした熱処理体(参考例2)の表面からの深さと各元素の濃度とを示したグラフである。 塩水噴霧試験後の外観写真を示し、(a)は、参考例1の試料であり、(b)は、電気ニッケルメッキを施したままの試料である。

Claims (9)

  1. 鉄または鉄基合金の表面が、炭素と15質量%以下のリンを含有するニッケル層で被覆され、前記鉄または鉄基合金基地にその深部に向かってニッケル量が減少するニッケル拡散層が形成されているとともに、前記ニッケル拡散層の少なくとも表面層に炭素が含有されていることを特徴とする鉄系部品。
  2. 前記ニッケル拡散相がマルテンサイトを含む焼入れ金属組織であることを特徴とする請求項1に記載の鉄系部品。
  3. 耐摩耗性または耐食性が要求される機械要素または機構部品であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄系部品。
  4. 前記鉄または鉄基合金が溶製材料または焼結材料から製造されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄系部品。
  5. 鉄または鉄基合金の表面にニッケル層を被覆し、次いで、カーボンポテンシャルが0.1〜1.2%の範囲内のガス雰囲気中で、鉄炭素系標準状態図におけるオーステナイト領域温度に加熱した後、冷却するとともに、
    前記ニッケル層が、無電解ニッケルメッキにより形成されたリン含有量が15質量%以下のニッケル・リンメッキ被膜であり、前記鉄または鉄基合金への浸炭量を多くする場合には前記リン含有量を少なくし、前記鉄または鉄基合金への浸炭量を少なくする場合には前記リン含有量を多くすることを特徴とする鉄系部品の製造方法。
  6. 前記オーステナイト領域温度に加熱した後、焼入れおよび焼戻しを施すことを特徴とする請求項5に記載の鉄系部品の製造方法。
  7. 前記オーステナイト領域温度での加熱を、浸炭およびニッケル拡散が促進する第1の温度に保持し、次いで、前記第1の温度に比して低温の第2の温度に保持して焼入れを施すことを特徴とする請求項6に記載の鉄系部品の製造方法。
  8. 前記ニッケル層が、無電解ニッケルメッキ、あるいは、無電解ニッケルメッキと電気ニッケルメッキにより積層されたものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の鉄系部品の製造方法。
  9. 前記鉄または鉄基合金が、溶製材料または鉄系焼結材料から製造されたものであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の鉄系部品の製造方法。
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