JP4640154B2 - 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP4640154B2
JP4640154B2 JP2005360633A JP2005360633A JP4640154B2 JP 4640154 B2 JP4640154 B2 JP 4640154B2 JP 2005360633 A JP2005360633 A JP 2005360633A JP 2005360633 A JP2005360633 A JP 2005360633A JP 4640154 B2 JP4640154 B2 JP 4640154B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photosensitive member
substituent
formula
toner
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005360633A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006195448A (ja
Inventor
誠 古畝
寛昭 高村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005360633A priority Critical patent/JP4640154B2/ja
Publication of JP2006195448A publication Critical patent/JP2006195448A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4640154B2 publication Critical patent/JP4640154B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は電子写真感光体、電子写真感光体を用いた画像形成装置、および該電子写真感光体を用いた電子写真カートリッジに関するものである。詳しくは、特定の繰り返し構造を有するバインダー樹脂と電荷輸送物質を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置、該電子写真感光体を用いた電子写真カートリッジに関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、複写機、各種プリンタ、ファクシミリなどに幅広く使われている。電子写真技術の中核をなす電子写真感光体については、アモルファスシリコン、砒素−セレン系などの無機光導電材料と有機系の光導電材料が使用されている。
有機系電子写真感光体の層構成としてはいくつか考案されているが、電荷発生と電荷輸送の機能を分離して電荷発生層と電荷輸送層を積層したいわゆる積層型感光体と、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有したいわゆる単層型感光体が、一般に用いられている。そして積層型感光体の層構成として、電荷輸送層と電荷発生層を導電性支持体側からこの順に積層した順積層型感光層と、逆に積層にした逆積層型感光層が知られている。
電子写真プロセスにおいて、感光体に形成された潜像を現像する際には通常トナーインクを用いるが、現像の際に像形成に消費されるトナーインクの量が少なすぎると画像濃度が薄くなりすぎて、文字のかすれなどの画像欠陥となり、トナーインクの量が多すぎると画像濃度が濃くなりすぎて、文字潰れなどの画像欠陥となる。また、トナーインクの量が多すぎる場合には、画像形成時のトナー消費量が大きくなり画像形成のためのコストが上昇するとともに、内部にトナーを備えて容易に交換できるようにした電子写真カートリッジにおいては、その寿命が短くなる虞がある。
通常、現像時に像形成に消費されるトナーインクの量は、適当な量となるよう画像形成装置を調整するが、電子写真感光体に用いる材料の本来有する電気特性からして、最適とすること自体が困難である。しかも、電子写真プロセスにおいて感光体は、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等の作用を反復して受けるため、感光体を繰り返し使用し続けるとその間様々なストレスを受け劣化し、その電気的、化学的特性が変化するため、常に最適の消費量として良好な画像を形成することは非常に困難であった。
また、クリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や、現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった、機械的劣化により感光層表面に生じる損傷はコピー画像上に現れやすく直接画像品質を損うため、感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには、電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。有機系電子写真感光体は、通常バインダー樹脂により結着されており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂である。バインダー樹脂と電荷輸送物質を含有する感光層においては、電荷輸送物質のドープ量が相当多いため、十分な機械強度を持たせるには至っていない。層結着用の樹脂として、近年はポリアリレート樹脂の研究も多くなされてきており、ポリカーボネート樹脂に比べ機械物性に向上が見られることがあることから、一部実用に供されているケースがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、現状用いられているポリアリレート樹脂を結着用の樹脂にした電子写真感光体を電子写真プロセスに使用した場合、電子写真感光体としての物性に未だ不十分な場合が多く、特に繰り返し使用時の電気特性の安定性等に実用上の十分な性能が得られていない。
特開2003−140370号公報
本発明は、前記の電子写真技術の背景を鑑みて創案されたもので、良好な画像を形成するのに適当な量の現像剤により画像形成することが可能であって、且つ繰り返し使用してもその特性が維持され、しかも摩耗、傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化に対する耐久性に優れた、高性能で長寿命の電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジを提供することを目的とする。
本発明者らは、感光層の課題を解決するため鋭意検討した結果、バインダー樹脂として特定の繰り返し構造を有する全芳香族系ポリエステル樹脂を用い、且つ、公知の電荷輸送物質の中から、特定の骨格構造を有する複数の電荷輸送物質を組み合わせて用いることにより、画像濃度が良好であって、機械的強度にも優れ、くり返し使用後でも電気特性および画像が安定し、長期間安定した品質の画像が得られることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明の第一の要旨は、
導電性支持体上に、バインダー樹脂と電荷輸送物質とを含有する感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂、下記式(2)で表される電荷輸送物質、および下記式(4)で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体
Figure 0004640154
(式(1−1)中、Ar1、Ar2各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基を表し、R1は単結合または−CR 7 8 −を表し、R 7 およびR 8 はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。またR 7 およびR 8 は、お互いに結合して環を形成してもよい。Aは置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基、又は下記式(1−2)で表される基を表す。
Figure 0004640154
(式(1−2)中、Ar31、Ar32各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基を表す。))
Figure 0004640154
(式(2)中、Ar4、Ar5は、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、Ar6〜Ar9は、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。Ar4、Ar5は互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Ar4,Ar6,Ar7から選ばれる複数の基、およびAr5,Ar8,Ar9から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよい。Ar6〜Ar9の少なくとも一つは、下記式(3)で表される置換基を有する。
Figure 0004640154
(式(3)中、sは0または1の整数を表し、R2〜R4は、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5〜R6は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、それぞれ独立に異なっていても構わない。))
Figure 0004640154
(式(4)中、Ar10、Ar11は置換基を有していてもよいフェニレン基、Ar12〜Ar15各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニル基を表し、Ar10,Ar12,Ar13から選ばれる複数の基、およびAr11,Ar14,Ar15から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Zは置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基から選ばれる少なくとも一つを有していてもよいメチレン基を表し、アルキル基はアルキル基どうしが結合して環状構造となり、全体がシクロアルキリデン基となってもよい。)に存し、本発明の第二の要旨は、
前記請求項1に記載の電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置に存し、本発明の第三の要旨は、
前記請求項1に記載の電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、この静電潜像をトナーで現像する現像手段、及び、トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを有することを特徴とする電子写真カートリッジ
に存する。
本発明によれば、使用開始時はもちろんのこと、繰り返し使用して機械的および電気的負荷を受けた後でも電気特性の変化が小さく、最適な量のトナーインクにより画像を形成することが可能で、画像濃度の上昇や減少などの画像欠陥が発生することがなく、しかも傷やクラックなどの物理的損傷を受けることなく、耐久性に優れた電子写真感光体を得ることができる。本発明による電子写真感光体は、安定性が極めて良好であり、耐久性に優れているため、高速の複写機やカラープリンタ等の画像形成装置に好適に用いることができる。
そして、本発明による感光体を用いた画像形成装置、およびドラムカートリッジは、特別な遮光のための工夫をする必要がなく、容易に取り扱うことができる。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
<バインダー樹脂>
本発明の電子写真感光体に係る感光層は、下記式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂を含有する。
Figure 0004640154
(式(1−1)中、Ar1、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、R1は単結合または2価の連結基を表し、Aは置換基を有していてもよいアリーレン基又は下記式(1−2)で表される基を表す。
Figure 0004640154
(式(1−2)中、Ar31、Ar32は置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。))
ここで、式(1−1)中のAr1、Ar2は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar1、Ar2は、互いに同一でも異なっていても構わない。該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレン基などの芳香族環を有する二価基があげられるが、通常芳香族環の数が5以下のものであって、好ましくは芳香族環の数が3以下のものである。特に好ましくはフェニレン基である。
Ar1、Ar2で表されるアリーレン基は、置換基を有していてもよく、それぞれ独立に最大4つの置換基を有することができるが、置換基の数としては、2以下が好ましい。
Ar1、Ar2で表されるアリーレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基があげられる。また、これらの置換基は更に置換基を有していても構わない。
アルキル基としては、環状のものであっても、鎖状のものであっても構わず、鎖状のものにおいては直鎖状であっても分岐を有していても構わない。好ましくは鎖状のアルキル基であって、直鎖状のものがより好ましい。アルキル基の有する炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜10のものであって、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基等があげられ、中でもメチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、環状のものであっても、鎖状のものであっても構わず、鎖状のものにおいては直鎖状であっても分岐を有していても構わない。好ましくは鎖状のアルコキシ基であって、直鎖状のものがより好ましい。アルコキシ基の有する炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜6のものであって、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。具体的には例えば、メトキシ基、ブトキシ基等があげられ、中でもメトキシ基が好ましい。
アリール基としては、芳香族環を含むものであればどのようなものであっても構わないが、好ましくは芳香族環が3以下のものである。具体的には例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基、ピレニル基などがあげられるが、特に好ましくはフェニル基である。
1は単結合もしくは二価の連結基を表し、二価の連結基としては、(シクロ)アルキレン基、スルホニル基、−S−、−O−、または−CR78−の何れかを表し、R7およびR8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン原子、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。またR7およびR8は、お互いに結合して環を形成してもよい。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基(以下適宜、このアリーレン基を「Ar3」で表す)又は上記式(1−2)で表される基を表す。
AがAr3である場合、Ar3はAr1、Ar2で表されるアリーレン基と同様に説明されるアリーレン基を表す。ただし、Ar3は、上記のAr1、Ar2と、互いに同一でも異なっていても構わない。即ち、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表すのである。
一方、Aが式(1−2)で表される基である場合、式(1−2)において、Ar31、Ar32は、Ar1、Ar2で表されるアリーレン基と同様に説明されるアリーレン基を表す。ただし、Ar31、Ar32は、上記のAr1、Ar2と、互いに同一でも異なっていても構わない。即ち、Ar1、Ar2、Ar31及びAr32は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表すのである。
したがって、AがAr3である場合、上記式(1−1)は下記式(1−3)で表される。また、Aが上記式(1−2)で表される基である場合、上記式(1−1)は下記式(1−4)で表される。なお、式(1−3)、式(1−4)において、Ar1、Ar2、Ar3、Ar31、Ar32及びR1は、それぞれ上述したとおりである。
Figure 0004640154
Figure 0004640154
本発明に係る式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂は、通常、粘度平均分子量が8,000以上300,000以下であるが、好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上、また、好ましくは100,000以下、さらに好ましくは50,000以下である。粘度平均分子量が8,000未満であると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,000より大きいと、導電性支持体上に該感光層を形成する際、適当な膜厚に塗布形成する事が困難である。
本発明に係る式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂は、式(1−1)で表される繰り返し構造から選ばれる複数種の繰り返し構造を有する共重合体であっても構わないし、電子写真感光体に使用可能な他の樹脂の有する繰り返し構造との共重合体であっても構わない。電子写真感光体に使用可能な他の樹脂の有する繰り返し構造との共重合体である場合、他の繰り返し構造として、例えば、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造、ポリエステル樹脂の繰り返し構造などが挙げられる。これらの中では、式(1−1)で表される繰り返し構造から選ばれる複数種の繰り返し構造を有する共重合体が好ましい。この場合、Aが同一である繰り返し構造との共重合体が好ましい。
本発明では、式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂と、他の樹脂とを混合して電子写真感光体に用いることも可能である。ここで併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでも、ポリカーボネート樹脂、またはポリエステルポリカーボネート樹脂が好ましく、特にポリエステルポリカーボネート樹脂が好ましい。
併用する他の樹脂の量は、どのような割合であっても構わないが、本発明に係る式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂を含有する層中において、本発明に係る式(1−1)で表される繰り返し構造を有する樹脂の量を超えないことが好ましく、より好ましくは本発明に係る式(1−1)で表される繰り返し構造を有する樹脂に対して20重量%以下である。併用する他の樹脂の量が多すぎると、本発明の式(1−1)で表される繰り返し構造を有する樹脂の効果が小さくなり好ましくない。
本発明の電子写真感光体の有する感光層において、バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、全電荷輸送物質が、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上、また、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下の範囲で使用される。また感光層の膜厚は、一般に5μm以上、好ましくは10μm以上、また、一般に50μm以下、好ましくは45μm以下がよい。
<電荷輸送物質>
本発明の電子写真感光体に係る感光層は、下記式(2)で表される電荷輸送物質、および下記式(4)で表される電荷輸送物質を含有する。
Figure 0004640154
式(2)中、Ar4、Ar5は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar6〜Ar9は、置換基を有していてもよいアリール基を表す。Ar4、Ar5は互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Ar4,Ar6,Ar7から選ばれる複数の基、およびAr5,Ar8,Ar9から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよい。Ar6〜Ar9の少なくとも一つは、下記式(3)で表される置換基を有する。
Figure 0004640154
式(3)中、sは0〜4の整数を表し、R2〜R4は、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5〜R6は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、それぞれ独立に異なっていても構わない。
Figure 0004640154
式(4)中、Ar10、Ar11は置換基を有していてもよいアリーレン基、Ar12〜Ar15は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar10,Ar12,Ar13から選ばれる複数の基、およびAr11,Ar14,Ar15から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Zは置換基を有していてもよいメチレン基を表す。
式(2)および式(4)における置換基を有していてもよいアリール基の、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基などの芳香族環を有する一価基があげられるが、通常、芳香族環の数が5以下のものであって、好ましくは芳香族環の数が3以下のものである。特に好ましくはフェニル基である。
前記アリール基の有する置換基としては、それぞれ独立に最大5つの置換基を有することができるが、置換基の数としては、2以下が好ましい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基があげられる。
アルキル基としては、環状のものであっても、鎖状のものであっても構わず、鎖状のものにおいては直鎖状であっても分岐を有していても構わない。好ましくは鎖状のアルキル基であって、直鎖状のものがより好ましい。アルキル基の有する炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜10のものであって、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基等があげられ、中でもメチル基が好ましい。
アルコキシ基としては、環状のものであっても、鎖状のものであっても構わず、鎖状のものにおいては直鎖状であっても分岐を有していても構わない。好ましくは鎖状のアルコキシ基であって、直鎖状のものがより好ましい。アルコキシ基の有する炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜6のものであって、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。具体的には例えば、メトキシ基、ブトキシ基等があげられ、中でもメトキシ基が好ましい。
式(2)および式(4)における置換基を有していてもよいアリーレン基の、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基などの芳香族環を有する二価基があげられるが、通常、芳香族環の数が5以下のものであって、好ましくは芳香族環の数が3以下のものである。特に好ましくはフェニレン基である。
前記アリーレン基の有する置換基としては、それぞれ独立に最大4つの置換基を有することができるが、置換基の数としては、2以下が好ましい。置換基としては、前記式(2)および式(4)のアリール基が有する置換基と同様のものが挙げられ、好ましい置換基もまた同様である。
式(3)におけるsは、通常0〜4の整数を表す。中でも、sは、1以上の整数が好ましく、また、3以下の整数が好ましい。特に、sは1であることがより好ましい。
式(3)における置換基を有していてもよいアルキル基の、アルキル基としては、環状のものであっても、鎖状のものであっても構わず、鎖状のものにおいては直鎖状であっても分岐を有していても構わない。好ましくは鎖状のアルキル基であって、直鎖状のものがより好ましい。アルキル基の有する炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭素数1〜10のものであって、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基等があげられ、中でもメチル基が好ましい。
式(3)における置換基を有していてもよいアリール基の、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基などの芳香族環を有する二価基があげられるが、芳香族環の数が5以下のものが好ましく、より好ましくは芳香族環の数が3以下のものである。特に好ましくはフェニル基である。
式(3)におけるアルキル基およびアリーレン基の有していても構わない置換基としては、前記式(2)および式(4)のアリール基が有する置換基と同様のものが挙げられ、好ましい置換基もまた同様である。
Zは置換基を有していてもよいメチレン基を表すが、好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。アルキル基は、直鎖状でも分岐を有していても構わず、アルキル基どうしが結合して環状構造となり、全体がシクロアルキリデン基となっても構わない。この場合のシクロアルキリデン基としては、炭素数5〜8のものが好ましく、中でもシクロペンチリデン基およびシクロヘキシリデン基が更に好ましい。
具体的に、式(2)で表される電荷輸送物質として、例えば表1に記載の構造のものが挙げられ、式(4)で表される電荷輸送物質として、例えば表2に記載の構造のものがあげられる。

Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
Figure 0004640154
本発明において、式(2)で表される電荷輸送物質と、式(4)で表される電荷輸送物質との使用割合は、重量比で、通常99:1以上、好ましくは80:20以上、また、通常1:99以下、好ましくは20:80以下である。中でも特に好ましくは、50:50である。なお、ここでは式(4)で表される電荷輸送物質の量が多くなる向きを上として、「以上」「以下」の表現を用いている。
本発明に係る電荷輸送物質としては、式(2)および式(4)で表される化合物が用いられるが、これら以外の電荷輸送物質を併用しても構わない。併用する電荷輸送物質としては、公知の何れの電荷輸送物質も使用可能であるが、正孔輸送性能を有するものが好ましく、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリグリシジルカルバゾール、ポリアセナフチレン等の高分子化合物、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、アリールアミン誘導体等の低分子化合物、もしくはこれらが複数結合されたものが使用でき、これらの中でも、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、アリールアミン誘導体、もしくはこれらが複数結合されたものが好適に用いられる。
本発明において規定する電荷輸送物質以外の電荷輸送物質を併用する場合、併用する電荷輸送物質の量に特に制限はないが、全電荷輸送物質に対して50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下である。
<感光体>
本発明の感光体は、導電性支持体上に感光層を有する。感光体を構成する感光層構成としては、従前知られた何れの構成も使用することができるが、具体的な構成としては、電荷発生物質を含んだ層と電荷輸送物質を含んだ層を積層した積層型感光体と、電荷輸送物質を含む層に電荷発生物質を分散させた単層型感光体があげられる。また、積層型感光体では、電荷発生層、電荷輸送層を支持体側からこの順に積層した順積層型感光体と、逆に積層した逆積層型感光体があり、本発明ではいずれの感光層構成も用いることができるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光体が好ましい。いずれの場合にも、感光層は本発明に係る式(2)で表される電荷輸送物質と、式(4)で表される電荷輸送物質を含有する。
<支持体>
本発明に係わるバインダー樹脂は、電子写真感光体の導電性支持体上に設けられる感光層中のバインダー樹脂として用いられる。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/l、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/l、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上、また、通常6.5以下、好ましくは6.0以下の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは15分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。更に、実質上塩類を含まない高温水や高温水蒸気で処理しても構わない。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件にすることが望ましくなる。従ってその場合には生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
<下引き層>
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の混合比は任意に選べるが、10重量%から500重量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μm〜20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を含んでいても良い。
<電荷発生物質>
本発明の感光体に用いる電荷発生物質としては、例えばセレンおよびその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類が使用される。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
<電荷発生層>
本発明の感光体が積層型感光体である場合、電荷発生物質を含有する電荷発生層を有する。電荷発生物質は単独で用いてもよいし、いくつかを混合して用いてもよい。通常これらの電荷発生材料がバインダー樹脂に結着した形で電荷発生層が形成される。電荷発生層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。バインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等を使用することができる。使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して電荷発生物質が30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常2μm以下、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.6μm以下が好適である。
また電荷発生層には、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。さらに、上記物質の蒸着膜であってもよい。
<電荷輸送層>
本発明の感光体が積層型感光体である場合、感光層は、式(1−1)で表されるバインダー樹脂、式(2)で表される電荷輸送物質、および式(4)で表される電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
電荷輸送層において、バインダー樹脂と電荷輸送物質の含有比率は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して全電荷輸送物質が、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上、また、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下の範囲である。電荷輸送層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下である。膜厚が薄くなり過ぎると摩耗により感光体の寿命が短くなり、膜厚が厚くなりすぎると露光光や電荷の拡散により画像の解像度が悪化する傾向がある。
なお、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤などを含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
<単層型感光体>
単層型電子写真感光体の感光層の場合には、上記電荷輸送層と同様の配合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが望ましいため、好ましくは1μm以下より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の範囲で使用される。
感光層の膜厚は、通常5μm以上、より好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、より好ましくは45μm以下で使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
<保護層>
積層型および単層型いずれの感光体においても、感光層の上に感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
<溶媒と分散媒>
感光体を構成する各層を塗布形成するための塗布液の作製に用いられる溶媒あるいは分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;ギ酸メチル、酢酸エチル、等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類;アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を併用して用いられる。
<層形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、スパイラル塗布、リング塗布、バーコート塗布、ロールコート塗布、ブレード塗布等により塗布し、乾燥することにより形成される。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
浸漬塗布法の場合は、塗布液あるいは分散液の作製において、単層型感光層の場合、および積層型感光層の電荷輸送層の場合には、全固形分濃度を好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、粘度を好ましくは50mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上、好ましくは700mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s以下とし、積層型感光層の電荷発生層の場合には、固形分濃度を好ましくは1重量%以上、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、粘度を好ましくは0.1〜10mPa・sとする。
その後塗布膜を乾燥するが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度、時間を調整する。乾燥温度は通常100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは170℃以下、さらに好ましくは140℃以下の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機を用いることができる。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置(帯電手段)2,露光装置(像露光手段)3及び現像装置(現像手段)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置(転写手段)5,クリーニング装置(クリーニング手段)6及び定着装置(定着手段)7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光(像露光)を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼,アルミニウム,銅,真鍮,リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体,被転写体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73がそなえられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73がそなえられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除
電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
さらに、感光体カートリッジは、上記のような電子写真感光体1及び帯電装置2を備えた構成以外の構成としてもよい。具体的には、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(電子写真感光体カートリッジ)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、像露光手段3、現像手段4、および転写手段5の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「重量部」を示す。
<実施例1>
CuKα特性X線に対する粉末X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が、9.3°,13.2°,26.2°および27.1°に主たる回折ピークを示すA型のオキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名:デンカブチラール #6000C)2.5部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製、商品名:PKHH)2.5部、1,2−ジメトキシエタン450部、および4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 50部を混合し、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。このようにして得られた分散液を、直径30mm、長さ357mmの、表面をアルマイト処理したアルミニウム製チューブ面に、膜厚が0.4μmになるように塗布して電荷発生層を設けた。
次に、この電荷発生層上に電荷輸送物質として以下に示す構造を主体とする、特開2002−080432号公報記載の組成物(CTM−1)30部と、
Figure 0004640154
以下に示す電荷輸送物質(CTM−2)30部と、
Figure 0004640154
以下に示す繰り返し構造を有するバインダー樹脂(粘度平均分子量31,000)100重量部を、
Figure 0004640154
テトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(重量比8:2)500重量部に溶解させた溶液を塗布し、乾燥後の膜厚が33μmとなるように電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
このようにして得られた感光体を、キヤノン社製デジタル複写機GP405の電子写真カートリッジに搭載し、画像を形成し、形成された画像の1枚目(初期画像)と、30000枚目(耐刷後画像)の画質を評価した。同様に、複写機の現像機に代えて表面電位計を取り付け、1枚目の黒ベタ画像形成時の感光体の表面電位(初期電位)と、30000枚目の黒ベタ画像形成時の表面電位(耐刷後電位)を計測した。また、その際の感光体の感光層の膜減り量を、感光層厚みの変化から計測した結果を表3に示す。
<実施例2>
1000mLビーカーに水酸化ナトリウム22.34gと水940mLとを量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン51.04gを添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.5579g及び2,3,5−トリメチルフェノール1.0613gを順次反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテルー4,4’−ジカルボン酸クロライド63.37gとジクロロメタン470mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン783mLを加え、攪拌を7時間続けた。その後、酢酸8.10mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液942mLにて洗浄を2回行ない、次に0.1N塩酸942mLにて洗浄を2回行ない、さらに水942mLにて洗浄を2回行なった。洗浄後の有機層をメタノール6266mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して、下記に示す繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を得た。なお、得られたポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は51,700であった。
Figure 0004640154
実施例1の感光体において用いたバインダー樹脂に代えて、上記のポリアリレート樹脂を用いて感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例1>
実施例1の感光体において用いたバインダー樹脂に代えて、下記に示す繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)を用いて感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004640154
<比較例2>
実施例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−1にかえて、下記に示す電荷輸送物質を用いて感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004640154
<比較例3>
実施例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−2にかえて、下記に示す電荷輸送物質を用いて感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004640154
<比較例4>
実施例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−2を用いることなく、CTM−1の部数を60部として感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例5>
実施例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−1を用いることなく、CTM−2の部数を60部にして感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例6>
実施例2の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−2を用いることなく、CTM−1の部数を60部として感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例7>
実施例2の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−1を用いることなく、CTM−2の部数を60部にして感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例8>
比較例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−2を用いることなく、CTM−1の部数を60部として感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
<比較例9>
比較例1の感光体において用いた電荷輸送物質CTM−1を用いることなく、CTM−2の部数を60部にして感光体を作製し、実施例1と同様に画質、表面電位と膜減り量を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0004640154
上記の結果より、本願発明の構成とした場合に限り、感光層を繰り返し使用した場合の摩耗による膜減り量が押さえられ、且つ、良好な初期画像を形成することが可能で、しかも繰り返し画像形成した耐刷後でも良好な画像が得られることがわかる。以下、さらに詳しく解析する。
上記の実施例及び比較例の結果を見ると、本発明のバインダー樹脂(式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂)を用いた実施例1,2及び比較例2〜7の感光層は、本発明のバインダー樹脂を用いない比較例1,8,9の感光層に比べ、耐磨耗性に優れることが分かる。また、実施例1と実施例2と比較すると、式(1−1)においてAが式(1−2)で表されるバインダー樹脂(即ち、式(1−4)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂)が特に耐磨耗性に優れることが分かる。
さらに、本発明のバインダー樹脂を使用した場合(実施例1,2及び比較例2〜7)の結果を見ると、CTM−1をバインダー樹脂と同時に含有させない場合(比較例2,5,7)には初期画像の濃度が良好とならないことが分かる。また、CTM−2をCTM−1と同時に含有させない場合(比較例3,4,6)には、耐刷後の画像濃度が良好とならないことが分かる。したがって、式(2)により表される電荷輸送物質(CTM−1)と、式(4)で表される電荷輸送物質(CTM−2)とをバインダー樹脂に同時に含有させた場合に限り、耐刷を通じて適正な濃度を得ることができることが分かる。
また、比較例1,8及び9の結果から、従前からあるポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いた場合には、電荷輸送物質の選定が画像濃度の品質には大きく影響しないこと、及び、膜減りから来るかぶり欠陥が生じることがわかる。
さらに、この比較例8及び9を、電荷輸送物質を変えずに膜減りを改良したものが比較例4〜7である。比較例4〜7の結果を見ると、本発明のバインダー樹脂と電荷輸送物質との相性が原因で、そのままでは適正な濃度を得ることができないことがわかる。
以上から、実施例1,2のように、本発明のバインダー樹脂と、式(2)で表される電荷輸送物質と、下記式(4)で表される電荷輸送物質とを組み合わせて含有させた場合に限って、特異的に良好な結果を得ることができることが確認された。
本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に、バインダー樹脂と電荷輸送物質とを含有する感光層を有する電子写真感光体において、
    該感光層が下記式(1−1)で表される繰り返し構造を有するバインダー樹脂、下記式(2)で表される電荷輸送物質、および下記式(4)で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004640154
    (式(1−1)中、Ar1、Ar2各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基を表し、R1は単結合または−CR 7 8 −を表し、R 7 およびR 8 はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。またR 7 およびR 8 は、お互いに結合して環を形成してもよい。Aは置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基、又は下記式(1−2)で表される基を表す。
    Figure 0004640154
    (式(1−2)中、Ar31、Ar32各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニレン基を表す。))
    Figure 0004640154
    (式(2)中、Ar4、Ar5は、置換基を有していてもよいフェニレン基を表し、Ar6〜Ar9は、置換基を有していてもよいフェニル基を表す。Ar4、Ar5は互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Ar4,Ar6,Ar7から選ばれる複数の基、およびAr5,Ar8,Ar9から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよい。Ar6〜Ar9の少なくとも一つは、下記式(3)で表される置換基を有する。
    Figure 0004640154
    (式(3)中、sは0または1の整数を表し、R2〜R4は、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5〜R6は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアリール基を表し、それぞれ独立に異なっていても構わない。))
    Figure 0004640154
    (式(4)中、Ar10、Ar11は置換基を有していてもよいフェニレン基、Ar12〜Ar15各々独立に置換基としてアルキル基を2つ以下有していてもよいフェニル基を表し、Ar10,Ar12,Ar13から選ばれる複数の基、およびAr11,Ar14,Ar15から選ばれる複数の基は、それぞれ互いに結合して縮合多環基を形成してもよく、Zは置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基から選ばれる少なくとも一つを有していてもよいメチレン基を表し、アルキル基はアルキル基どうしが結合して環状構造となり、全体がシクロアルキリデン基となってもよい。)
  2. 請求項1に記載の電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1に記載の電子写真感光体と、
    該感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、この静電潜像をトナーで現像する現像手段、及び、トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを有することを特徴とする電子写真カートリッジ。
JP2005360633A 2004-12-17 2005-12-14 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ Active JP4640154B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005360633A JP4640154B2 (ja) 2004-12-17 2005-12-14 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004366320 2004-12-17
JP2005360633A JP4640154B2 (ja) 2004-12-17 2005-12-14 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006195448A JP2006195448A (ja) 2006-07-27
JP4640154B2 true JP4640154B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=36801540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005360633A Active JP4640154B2 (ja) 2004-12-17 2005-12-14 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4640154B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4847251B2 (ja) * 2006-03-10 2011-12-28 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP5217344B2 (ja) * 2007-10-05 2013-06-19 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 電子写真感光体及び画像形成方法
JP5768556B2 (ja) * 2011-07-22 2015-08-26 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および画像形成装置
WO2018079038A1 (ja) * 2016-10-28 2018-05-03 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002062671A (ja) * 2000-06-09 2002-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真感光体
JP2002341567A (ja) * 2000-04-12 2002-11-27 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真用カートリッジ画像形成方法及び画像形成装置
JP2003015332A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 電子写真感光体

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3537065B2 (ja) * 1996-07-01 2004-06-14 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002341567A (ja) * 2000-04-12 2002-11-27 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真用カートリッジ画像形成方法及び画像形成装置
JP2002062671A (ja) * 2000-06-09 2002-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp 電子写真感光体
JP2003015332A (ja) * 2001-06-29 2003-01-17 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 電子写真感光体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006195448A (ja) 2006-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012123379A (ja) 電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真カートリッジ及び画像形成装置
JP4407536B2 (ja) アリールアミン系化合物、並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置
JP4640154B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、および該感光体を用いた電子写真カートリッジ
JP4466406B2 (ja) 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置
JP5659455B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置
JP4720589B2 (ja) 電子写真感光体および該感光体を備える画像形成装置
JP4466414B2 (ja) 電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、およびカートリッジ
JP5482399B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP4462123B2 (ja) 電子写真感光体
JP4661617B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置
JP4513686B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、画像形成装置、および画像形成方法
JP5556327B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP4720527B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法及び画像形成装置
JP5772264B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ及び画像形成装置
JP2013097270A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および画像形成装置
JP2006285119A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP4720531B2 (ja) 画像形成装置
JP6387649B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP5663837B2 (ja) 電子写真感光体並びにその製造方法、電子写真カートリッジ、および画像形成装置
JP5353083B2 (ja) 電子写真感光体および該感光体を用いた画像形成装置
JP6102639B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置
JP2009186967A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP4400288B2 (ja) 電子写真感光体、該電子感光体を用いたドラムカートリッジおよび画像形成装置
JP4735422B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP4661241B2 (ja) フッ素置換インジウムフタロシアニン、並びにそれを用いた電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100809

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101015

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4640154

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350