JP4466291B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、渦電流式減速装置に関し、特に、機関の回転軸に連結した制動ディスクに対して磁界を作用させるタイプの渦電流式減速装置の改良に関する。
トラック等の大型車両の補助ブレーキ等に使用される渦電流式減速装置には、いくつかのタイプがある。機関の回転軸に連結した制動部材の形状に着目すると、ディスク状の制動部材を採用するタイプ(ディスクタイプ)と、ドラム状の制動部材を採用するタイプに大別される。また、磁気を発生する構成に着目すると、永久磁石を用いたもの、電磁石を用いたもの、更には永久磁石と電磁石の両方を用いた所謂ハイブリッドタイプに大別される。
特開2003−338825には、ディスク状制動部材の肉厚を内周側と外周側とで変化させることで、耐久性を向上させ、変形を抑制した渦電流式減速装置が開示されている。
特開2003−333825
ディスクタイプの渦電流式減速装置においては、制動時に制動ディスクが発熱して変形(熱膨張)し、制動ディスクに非弾性ひずみ(塑性ひずみ及び、クリープひずみ)が発生して永久変形が生じる場合がある。その結果、制動ディスクの表面に疲労き裂が発生する場合もある。制動ディスクに永久変形が生じると、磁石とディスクとの距離が変化し、制動力を一定に保つことができず、長期間安定した制動力を得ることができなくなる。また、ディスク表面に疲労き裂が発生すると、制動時に発生する渦電流の流れが当該き裂により遮断され、渦電流の流れが悪くなって制動力が低下する事になる。
本発明は、上記のような状況に鑑みて成されたものであり、長期間にわたって使用した場合であっても、ディスクの経時変形が小さく安定した制動力が得られ、疲労き裂が生じ難い、耐久性に優れた渦電流式減速装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る渦電流式減速装置は、機関の回転軸に連結された制動ディスクと;制動時に前記制動ディスクの制動面に対して磁界を作用させる磁界発生部と;前記制動ディスクの制動面と反対側の面において、当該制動ディスクを前記回転軸に対して支持する複数のスポーク状支持部材とを備えている。そして、前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクの中心方向から外周方向に向かって延び、当該ディスクの放射方向に対して当該ディスクの制動時の回転方向とは逆側に傾いて配置される。
本発明の第2の態様に係る渦電流式減速装置は、機関の回転軸に連結された制動ディスクと;制動時に前記制動ディスクの制動面に対して磁界を作用させる磁界発生部と;前記制動ディスクの制動面と反対側の面において、当該制動ディスクを前記回転軸に対して支持する複数のスポーク状支持部材とを備える。そして、前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクに固定されるスポーク部と前記回転軸の外周部に連結される連結部とを有する。また、制動ディスクの面と垂直で前記スポーク状支持部材の長手方向に沿った断面で当該支持部材を見た場合に、前記連結部の中心ラインが前記スポーク部の中心ラインからずれている。
本発明の第3の態様に係る渦電流式減速装置は、上述した第1及び第2の態様を組み合わせた構成であり、機関の回転軸に連結された制動ディスクと;制動時に前記制動部材の制動面に対して磁界を作用させる磁界発生部と;前記制動ディスクの制動面と反対側の面において、当該制動ディスクを前記回転軸に対して支持する複数のスポーク状支持部材とを備える。そして、前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクに固定されるスポーク部と前記回転軸の外周部に連結される連結部とを有する。前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクの中心方向から外周方向に向かって延び、当該ディスクの放射方向に対して当該ディスクの制動時の回転方向とは逆側に傾いて配置される。また、前記制動ディスクの面と垂直で前記スポーク状支持部材の長手方向に沿った断面で当該支持部材を見た場合に、前記連結部の中心ラインが前記スポーク部の中心ラインからずれている。
本発明においては、好ましくは、前記スポーク状支持部材の前記角度は、前記制動ディスクの制動時の回転方向と逆側に向かって30〜70度とする。
本発明の第1〜第3の態様によれば、制動ディスクの耐久性を高めるために、制動ディスクの変形を支持部で過度に拘束せず、発生する非弾性ひずみを低減する構造とした。従って、制動時のディスクの半径方向及び、軸方向の変形をスポーク状支持部の弾性変形で吸収することが可能となり、制動ディスク及び当該支持部に非弾性ひずみが生じ難くなる。その結果、制動ディスクに永久変形が生じて制動力が低下したり、疲労き裂が発生することを効果的に抑制することができる。更に、制動ディスクの軽量化等の目的で形状をリング状とした場合には、制動面と逆側にスポーク状支持部を設けることにより、ディスク自体の強度アップを図ることが可能となる。
本発明の第4の態様においては、機関の回転軸に連結された制動ディスクと;
制動時に前記制動ディスクの制動面に対して磁界を発生させる磁界発生部と;前記制動ディスクの制動面と反対側の面において、当該制動ディスクを前記回転軸の外周部に対して支持する複数のスポーク状支持部材とを備え、前記支持部材と前記制動ディスクの内周縁とが交差する位置をX1;前記支持部材と前記機関の回転軸の外周縁とが交差する位置をX2;前記制動ディスクの回転中心をO;前記位置X1と前記制動ディスクの回転中心Oを通る直線をL1;前記位置X2と前記制動ディスクの回転中心Oを通る直線をL2;前記位置X1において前記支持部材が内側に向かって延びる方向をL3;前記位置X2において前記支持部材が外側に向かって延びる方向をL4;前記位置X1と前記位置X2とを結ぶ直線をL5;L2とL4とが成す角をθ1;L1とL3とが成す角をθ2;L2とL5とが成す角をθ3;L1とL5とが成す角をθ4とした場合に、以下の式を満たす構造とする。
θ1<θ3・・・・・・・・(1)
θ2<θ4・・・・・・・・(2)
上記の条件を満たすように支持部材を湾曲させ、支持部材の傾斜角度θ3とθ4を大きくするとともに、支持部材の結合部角度θ1とθ2を小さくすることにより、制動ディスクの半径方向及び軸方向の変形をこのスポーク状支持部材の弾性変形でさらに吸収させることが可能になるとともに、制動時の支持部材と機関の回転軸の外周縁との結合部及び支持部材と制動ディスクとの結合部に生じる非弾性ひずみを低減することが可能となる。
以下、本発明についてディスク状の制動部材に対して永久磁石を近接、離間させるタイプの渦電流式減速装置を一例に説明する。なお、本発明の技術的思想は、磁界発生機構として、電磁石式又は電磁石と永久磁石とを組み合わせたハイブリッドタイプを採用した装置にも適用可能である。
図1は、本発明の第1実施例に係る渦電流式減速装置(リターダ)の要部の構造を示す断面図である。本実施例に係る渦電流式減速装置10は、機関の回転軸12に対して連結固定された強磁性体からなる制動ディスク14と;制動ディスク14の近傍に配置される制動ユニット(16,26,28,30,32,34)とを備えている。制動ディスク14は、回転軸12の外周に固定されたリング状保持部材18と、保持部材18のフランジ部に固定された環状の固定リング20と、スポーク状支持部材22とによって、回転軸12に連結されている。
回転軸12は、例えば、大型車両(トラック)のプロペラシャフトに連結される。制動ディスク14は円盤(ディスク)状に成形される。
制動ユニットは、制動用の磁界を発生する複数の永久磁石16と;当該永久磁石16を保持するリング状又は円弧状の磁石保持部材26と;これら永久磁石16及び磁石保持部材26を収容するケース30と;磁石保持部材26に連結され、永久磁石16を制動ディスク14に対して近接、離間移動させるための駆動機構としてのエアシリンダー32,ピストンロッド28,ピストン34とを備えている。
ケース30は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等の材質によって成形することができる。永久磁石16は、環状の磁石保持部材26の円周方向において、制動ディスク14の表面(制動面=図の左側)に対向して、隣接する磁極面が互いに逆向きに配した複数の永久磁石ピースからなる。そして、磁石16を制動ディスク14の表面に接近して制動状態となり、制動ディスク14から離れて非制動状態となる。
なお、図1にはケース30の永久磁石16と制動ディスク14の間にポールピースを配置しない「ポールピースレス」構造を示しているが、制動力の低下を防止するため及び、非制動時の磁気漏れを防止するために軟磁性体からなるポールピースを設けた構造を採用することもできる。また、本実施例は、永久磁石16を使用した構造であるが、永久磁石16に代えて電磁石を用いた場合には、電磁石のコイルに流す電流の入り・切りにより制動を切り替えるため、磁石をディスク表面に対して移動可能に構成する必要はなくなる。
図2は制動ディスク14を制動面と反対側(裏面)から見た様子を示す。制動ディスク14の裏面には、複数(例えば8本)のスポーク状の支持部材22と、多数の放熱フィン24が形成されている。なお、図において、符号21はボルト穴を示し、固定リング20を保持部材18(図示せず)のフランジ部に固定する際に用いられる。また、図3は、図2のA−A断面、すなわち、制動ディスク14の面と垂直でスポーク状支持部材22の長手方向に沿った断面で当該支持部材22を見た様子を示す。
制動ディスク14においては、磁石16(図示せず)からの磁力を回転する制動ディスク14に作用させることにより制動トルクを発生する。フィン24は、制動時に発熱する制動ディスク14の冷却効率を高めるものである。固定リング20は、制動ディスク14を回転軸12に固定する際に、ボルト等で簡易に固定できるようにしたものであり、固定時の安定性を高める効果がある。スポーク状支持部材22は、制動ディスク14と固定リング20を結合(連結)し、制動ディスク14に発生した制動トルクを回転軸に伝達する。
なお、ロータ(14,20,22,24)は、各々の構成部品を個別に成形し、これらを溶接などで一体として製造することができる。或いは、鋳造法や鋼塊からの削りだしなどで一体に製造することもできる。ロータの材質は、例えば機械構造用合金鋼やクロム−モリブデン鋼などとすることができる。また、制動力を向上するために,制動ディスク14の表面に銅などの電気抵抗の低い材料からなる層を設けてもよい。
スポーク状支持部材22は、制動ディスク14の裏面に固定されたスポーク部22bと、固定リング20に固定された連結部22aとを備えている。図3に示すように、本実施例においては、制動ディスク14の面と垂直でスポーク状支持部材22の長手方向に沿った断面で当該支持部材22を見た場合に、連結部22aが制動ディスク14と反対側に向かって湾曲している。すなわち、連結部22aの中心ラインC1がスポーク部22bの中心ラインC2からずれている。
スポーク状支持部材22の連結部22aの中心ラインC1をスポーク部22bの中心ラインC2からずらすことにより、制動ディスク14と支持部22の回転軸方向の位置ずれ(差)が大きくなり、回転軸方向に離れた位置で制動ディスク14を支持する格好となる。そうすると、近い位置を支持する場合と比べて、制動ディスク14は半径方向に比較的容易に変形することが可能になり、制動時に熱膨張が拘束されて発生する非弾性ひずみが低減される。また、制動ディスク14が比較的容易に変形できるようになると、制動ディスク14の回転軸方向への変形(反り)量が小さくなるため、支持部材22に生じる非弾性ひずみが低減される。その結果、支持部材22および制動ディスク14の耐久性が向上することになる。
また、スポーク状支持部材22の連結部22aを、制動ディスク14と反対側に突出・湾曲させることにより、制動時における制動ディスク14の半径方向の変形(熱膨張)を湾曲部(22a)が半径方向に伸縮することにより、弾性変形で吸収することができる。その結果、支持部材22および制動ディスク14に発生する非弾性ひずみが低減され、ロータの耐久性が向上する。なお、連結部22aの湾曲の方向は、図5に示す例とは逆に制動ディスク14側とすることも可能である。ただし、この場合には、支持部材22の直線状のスポーク部22bが、図5の例に比べて下方に延びるようになり、湾曲位置が若干下がることになる。
図4は、図2の一部を拡大した図であり、ディスク支持部材及びフィンの傾斜角を示す。図4に示すように、スポーク状支持部材22の各々は、制動ディスク14(固定リング20)の中心方向から外周方向に向かって延びるが、支持部材22とディスク14の内周縁とが交差する位置をXSとした場合、XS及びディスク14の中心Oを通るディスク放射線(一点鎖線)に対して支持部材22が角度θS傾いて配置される。フィン24の各々は、制動ディスク14の放射方向に対して角度θF傾いて配置される。すなわち、フィン24とディスク14の内周縁とが交差する位置をXFとした場合、XF及びディスク14の中心Oを通るディスク放射線(一点鎖線)に対してフィン24が角度θF傾いて配置される。なお、傾斜の方向は、スポーク状支持部材22及びフィン24の上端(外周側)が、制動時の回転方向に対して後方に向く(遅れる)、すなわち、当該ディスクの制動時の回転方向とは逆側に傾くようにする。
このように、ロータの回転方向に対してスポーク状支持部材22を傾斜させると、制動時における制動ディスク14の半径方向の変形を当該支持部材22がロータの回転方向に弾性変形することで吸収することが可能になる。その結果、支持部材22および制動ディスク14に発生する非弾性ひずみが低減され、ロータの耐久性が向上する。また、スポーク状支持部材22及びフィン24の傾斜の方向を回転方向に対して後方に向く(遅れる)ようにすると、ロータの内周側から外周側へ空気(風)が滑らかに流れ、ロータが回転する時にうける空気の抵抗(風損)による非制動時の損失トルクが低減され、車両の燃費向上を図ることが可能となる。
磁石16(図示せず)が発する磁力を回転する制動ディスク14に作用させると、制動ディスク14に渦電流が発生し、この渦電流と磁力の相互作用により制動ディスク14に制動トルクが発生する。この状態が制動状態である。これに対して、制動ディスク14に磁力を作用させず、制動トルクが発生しない状態が非制動状態である。
制動時には、渦電流が発生すると同時にジュール熱が発生し、制動ディスク14は発熱する。この発熱によって、環状の制動ディスク14が熱膨張し、環の径が大きくなる方向に変形する。この制動ディスク14の変形(熱膨張)は、支持部材22によって拘束される。支持部材22によって、制動ディスク14の径が大きくなる方向(断面でみると半径方向)の変形が拘束されると、制動ディスク14は回転軸方向に変形する(磁石16と反対側に反り上がる)。その際、支持部材22による拘束力が強いと、制動ディスク14および支持部材22に非弾性ひずみ(塑性ひずみ,および,クリープひずみ)が生じやすくなる。
このように,制動時に非弾性ひずみが生じると、非制動状態に切り替え、制動ディスク14が冷却された後でも永久変形が生じてしまう。永久変形が生じると制動ディスク14表面と磁石16間の距離が変化するため、制動ディスク14に作用する磁力が変化するのに併せて発生する制動トルクが変化する。すなわち、従来のように支持部材による拘束力が過度に強い場合、渦電流減速装置を使用する度に徐々に制動力が低下し、長期間安定した制動力を得ることが困難となる。また、制動と非制動の繰返しで制動ディスクおよび支持部に非弾性ひずみが繰返し負荷されると疲労き裂が発生することがある。
発明者らは、ロータの形状を適正なものとするため、支持部材22に発生する非弾性ひずみと支持部材形状(ロータ形状)との関係を有限要素法解析(以下、FEM解析と呼ぶ)で評価した。評価したロータの形状を表1に示す。表1に示すように、制動ディスク14の形状、フィン24の形状及び枚数、固定リング20の形状は全ての例で共通とした。また、FEM解析ではロータの材質をクロム−モリブデン鋼(JIS SCM415)とし、制動ディスク14の最高温度を650℃、最低温度を100℃とし、この熱サイクルを負荷したときに支持部材22に生じる非弾性ひずみ範囲を評価した。また、フィン24の断面形状は長方形とした。

Figure 0004466291
表2には、支持部材22に生じる非弾性ひずみ範囲の評価結果を示す。なお、表2においては発生する非弾性ひずみ範囲が最大となる箇所の値を示した。表中、番号2,3,5〜9の支持部材22は、連結部22aが図5に示すように制動ディスク14と反対側に湾曲しているため、連結部が湾曲していないもの(番号1)より発生する非弾性ひずみ範囲が小さい。
番号4の例は、支持部材22の連結部22aの外側が突出していない(l=0)が、内側が窪んでいる(l=3mm)ため、番号1の比較例(l=l=0)より発生する非弾性ひずみ範囲が小さい。連結部22aを湾曲させると同時に支持部材22を傾斜させた番号5の例(l=l=3mm、θ=θ=30°)と、番号6の例(l=l=10mm、θ=θ=45°)及び、番号10の例(l=l=5mm、θ=θ=70°)は、発生する非弾性ひずみが極めて小さいことが分かった。

Figure 0004466291
一般に,負荷される非弾性ひずみ範囲が大きいほど疲労き裂の発生寿命は短くなる。従って,本発明例の番号2〜9は比較例に比べて疲労き裂の発生寿命が長く、耐久性に優れることが確認された。さらに,本発明例のロータは支持部材22の非弾性変形が小さいため、長期間使用しても制動力の低下を招きにくいことが確認された。
図6は、本発明の第2実施例に係るリターダのディスク支持部材122の形状を示す側面(断面)図である。本実施例に係る支持部材122は、上述した支持部材22と同様に、制動ディスク14の裏面に固定されたスポーク部122bと、固定リング20に固定された連結部122aとを備えている。本実施例においては、制動ディスク14の面と垂直でスポーク状支持部材122の長手方向に沿った断面で当該支持部材122を見た場合に、連結部122aの制動ディスク14側が窪んだ形状となっているが、制動ディスク14と反対側(図の右側)はスポーク部122bから突出しない形状となっている。表1中では、番号4の例に相当する。
図7は、本発明の第3実施例に係るリターダの制動ディスク14を中心としたロータの構造を示す平面図である。図8は、図7に示す制動ディスク14、支持部材222及び固定リング20の構成を示す断面図(側面図)である。図9は、第3実施例の要部の構成を示す拡大平面図である。なお、上述した各実施例と同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本実施例の特徴である支持部材222の形状以外の構造、構成については、上述した第1及び第2実施例と同様とすることができる。固定リング20と制動ディスク14とは、放射方向に所定のすき間を持って配置される。固定リング20は、制動ディスク14と同心円、且つ、当該制動ディスク14の内側において回転軸に連結されている。固定リング20と制動ディスク14とは、支持部材222によって連結される。
本実施例の特徴は、図9に詳細に示されている。支持部材222と制動ディスク14の内周縁とが交差する点をX1;支持部材222と固定リング20の外周縁(機関の回転軸の外周縁)とが交差する点をX2;前記制動ディスク14の回転中心をO;点X1と制動ディスク14の回転中心Oを通る直線をL1;点X2と制動ディスク14の回転中心Oを通る直線をL2;点X1において支持部材222が内側に向かって延びる方向をL3;点X2において支持部材222が外側に向かって延びる方向をL4;点X1と点X2とを結ぶ直線をL5;L2とL4とが成す角をθ1;L1とL3とが成す角をθ2;L2とL5とが成す角をθ3;L1とL5とが成す角をθ4とした場合に、以下の式(1)及び(2)を満たす。
θ1<θ3・・・・・・・・(1)
θ2<θ4・・・・・・・・(2)
上記の条件を満たすように支持部材222を湾曲させ、支持部材222の傾斜角度θ3とθ4を大きくするとともに、支持部材222の制動ディスク14との結合部X1の角度θ1と固定リング20との結合部X2の角度θ2を小さくすることにより、制動ディスク14の半径方向及び軸方向の変形をこのスポーク状支持部材222の弾性変形でさらに吸収させることが可能になるとともに、制動時の支持部材222と制動ディスク14との結合部X1及び支持部材222と固定リング20との結合部X2に生じる非弾性ひずみを低減することが可能となる。
図10は、第3実施例との比較として使用される説明図であり、リターダの制動ディスク付近の平面状態を示す。
発明者らは、ロータの形状を適正なものとするため、支持部材222に発生する非弾性ひずみと支持部材形状の関係を有限要素法解析(以下、FEM解析と呼ぶ)で評価した。評価したロータの形状を表3に示す。また、図5に示す支持部材の各寸法はすべて同じであり、番号1〜7のディスクともに、l=8mm,l=10mm,L=−9.2mm,H=10mm,h=10mmである。支持部材222は回転軸の軸線方向で磁石と反対側に突出するように湾曲した形状である。実施例1〜3はθ1=θ3、且つ、θ2=θ4、すなわち、図10に示すような直線状の支持部材22を有するディスク14である。これに対し、実施例4〜7は、θ1<θ3、θ2<θ4であり、図7及び図9に示されているように、ディスクを正面から見た状態で支持部材222が湾曲している。実施例1〜3および本実施例4〜7のディスクは、制動ディスク14、固定リング20、フィン24の形状・枚数、支持部材(22,222)の厚さ・本数はすべて同じであり、支持部材の形状(角度θ1,θ2,θ3,θ4)と、その支持部材の角度θ2に合わせたフィン24の角度θFのみが異なる。
Figure 0004466291
表4に支持部材に生じる非弾性ひずみ範囲の評価結果を示す。なお、表4は発生する非弾性ひずみ範囲が最大となる箇所の値を示す。
Figure 0004466291
表4において、番号4,5のディスクは、θ1<θ3、θ2<θ4を満たす形状の支持部材を採用しているため、番号1(直線状の支持部材であり、θ1,θ2が番号4,5と同じ)に比べて、支持部材と固定リングの結合部近傍、および支持部材と制動ディスクの結合部近傍に生じる非弾性ひずみ範囲が小さくなる。
番号6,7のディスクは、θ1<θ3、θ2<θ4を満たす形状の支持部材を採用しているため、番号2(直線状の支持部材でθ1とθ2が番号6,7と同じ)に比べて、支持部材と固定リングの結合部近傍、および支持部材と制動ディスクの結合部近傍に生じる非弾性ひずみ範囲が小さくなる。
このように、θ1とθ2が同じであっても、θ1<θ3、θ2<θ4の条件を満たす支持部材を採用したディスクでは、発生する非弾性ひずみ範囲を小さくできることが確認された。
また、θ3とθ4が等しい番号3と番号6を比較すると、θ1とθ2が小さい番号6の方が発生する非弾性ひずみ範囲が小さくなる。これは、番号6の例では、図7に示した支持部材222と固定リング20がなす角度α(=90°−θ1)と、支持部材222と制動ディスク14のなす角度β(=90°−θ2)が、番号3の例における図10に示す支持部材22と固定リング20がなす角度α(=90°−θ1)と、支持部材22と制動ディスク14のなす角度β(=90°−θ2)より大きく、そのため支持部材222、22と固定デリング20および制動ディスク14との結合部へのひずみの集中が小さいためと考えられる。
一般に、負荷される非弾性ひずみ範囲が大きいほど疲労き裂の発生寿命は短くなる。従って、本実施例の番号4〜7は番号1〜3に比べて疲労き裂の発生寿命が長く、耐久性に優れることがわかる。さらに、本実施例のロータは支持部材(222)の非弾性変形が小さいため、長期間使用しても制動力の低下を招きにくいことが確認された。
上記のように、本実施例においては、支持部材222と固定リング20の結合部において、支持部材222と固定リング20の結合部と、支持部材222と制動ディスク14の結合部を結ぶ直線が回転方向となす角度θ3よりも、支持部材222と固定リング20の結合部において支持部材222が回転方向となす角度θ1が小さくなるようにし、更に、支持部材222と制動ディスク14の結合部において、支持部材222と固定リング20の結合部と、支持部材222と制動ディスク14の結合部を結ぶ直線が回転方向となす角度θ4よりも、支持部材222と制動ディスク14の結合部において支持部材222が回転方向となす角度θ2が小さくなる構成である。このため、支持部材222を回転方向に対して十分に傾斜させると同時に、支持部材222と固定リング20及び、支持部材222と制動ディスク14とがなす角度α,βが過度に小さくなることを防止でき、よって、ロータの耐久性を向上させることが可能となる。
本実施例においては、θ1及びθ2は、0°〜60°であることが望ましい。60°より大きいと、θ1<θ3、θ2<θ4の条件を満たすように支持部材を湾曲させても、図7に示す角度α,βが小さくなるため、支持部材と固定リング20および制動ディスク14の結合部へのひずみの集中を十分に抑制することが難しくなる。
また、θ3及びθ4は、30°〜100°であることが望ましい。30°より小さいと、θ1<θ3、θ2<θ4の条件を満たすように支持部材を湾曲させても、その湾曲量が小さくなるため、制動ディスクの変形を支持部材で十分に吸収することができなくなる。その結果、制動ディスクおよび支持部材に発生する非弾性ひずみを十分に抑制できなくなる可能性がある。一方、θ3及びθ4が100°より大きい場合には、固定リングと制動ディスク間の支持部材の長さが過度に長くなるため、支持部材の剛性が不足し、ディスクを回転させたときの振動が過度に大きくなることがある。更に望ましくは、θ3は60°以上とし、θ4は50°以上とする。
以上、本発明の実施例(実施形態、実施態様)について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において変更可能なものである。上述した例においては、スポーク状支持部材22の連結部22aとスポーク部22bとが連続した形状となっているが、連結部22aとスポーク部22bとが分離した構造を採用することもできる。また、支持部材22及びフィン24の断面形状は、長方形に限らず他の形状を採用することもできる。更に、上述の例では、フィン24が制動ディスク14の内周側から外周側まで連続した直線状のものを示したが、曲線状であってもよいし、途中で分割されているものであっても良い。
図1は、本発明の第1実施例に係るリターダの要部の構造を示す断面図であり、制動状態を示す。 図2は、図1に示すリターダの制動ディスクを中心としたロータの構造を示す平面図である。 図3は、図2のA−A断面図である。 図4は、図2の一部を拡大した図であり、ディスク支持部材及びフィンの傾斜角を示す。 図5は、図3に対応した図であり、ディスク支持部材の形状を示す説明図である。 図6は、本発明の第2実施例に係るリターダのディスク支持部材の形状を示す側面(断面)図である。 図7は、本発明の第3実施例に係るリターダの制動ディスクを中心としたロータの構造を示す平面図である。 図8は、図7に示す制動ディスク、支持部材及び固定リングの構成を示す断面図(側面図)である。 図9は、第3実施例の要部の構成を示す拡大平面図である。 図10は、第3実施例との比較として使用される説明図であり、リターダの制動ディスク付近の平面状態を示す。
符号の説明
10 渦電流式減速装置
12 回転軸
14 制動ディスク
16 永久磁石
20 固定リング
22,122,222 スポーク状支持部材
22a,122a,222a 連結部
22b,222b スポーク部
24 放熱フィン

Claims (4)

  1. 機関の回転軸に連結された制動ディスクと;
    制動時に前記制動ディスクの制動面に対して磁界を作用させる磁界発生部と;
    前記制動ディスクの制動面と反対側の面において、当該制動ディスクを前記回転軸に対して支持する複数のスポーク状支持部材とを備え、
    前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクに固定されるスポーク部と前記回転軸の外周部に連結される連結部とを有し、
    前記制動ディスクの面と垂直で前記スポーク状支持部材の長手方向に沿った断面で当該支持部材を見た場合に、前記連結部は前記制動ディスクの制動面と反対側に向かって湾曲し、前記スポーク部よりも外側に突出しており、
    前記スポーク状支持部材の各々は、前記制動ディスクの中心方向から外周方向に向かって延び、当該ディスクの放射方向に対して当該ディスクの制動時の回転方向とは逆側に傾いて配置され、
    前記スポーク状支持部材と前記制動ディスクの内周縁とが交差する位置をX1;前記支持部材と前記機関の回転軸の外周縁とが交差する位置をX2;前記制動ディスクの回転中心をO;前記位置X1と前記制動ディスクの回転中心Oを通る直線をL1;前記位置X2と前記制動ディスクの回転中心Oを通る直線をL2;前記位置X1において前記支持部材が内側に向かって延びる方向をL3;前記位置X2において前記支持部材が外側に向かって延びる方向をL4;前記位置X1と前記位置X2とを結ぶ直線をL5;L2とL4とが成す角をθ1;L1とL3とが成す角をθ2;L2とL5とが成す角をθ3;L1とL5とが成す角をθ4とした場合に、以下の式を満たすことを特徴とする渦電流式減速装置。
    θ1<θ3・・・・・・・・(1)
    θ2<θ4・・・・・・・・(2)
  2. 前記角度θ1及びθ2は、0〜60°であり、前記角度θ3及びθ4は、30〜100°であることを特徴とする請求項1に記載の渦電流減速装置。
  3. 前記角度θ3は60°以上、θ4は50°以上であることを特徴とする請求項2に記載の渦電流減速装置。
  4. 前記制動ディスクの制動面と反対側の面に形成された複数のフィンを更に備え、
    前記フィンの各々は、前記制動ディスクの中心方向から外周方向に向かって延び、当該ディスクの放射方向に対して当該ディスクの制動時の回転方向とは逆側に傾いて配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の渦電流式減速装置。
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