JP4461776B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(Czochralski Method、以下CZ法と略称する)により単結晶を製造する方法に関し、特に、単結晶をOSF領域の外側にあるCuデポジション欠陥が検出されないN領域で育成する単結晶の製造方法に関するものである。
半導体デバイスの基板として用いられる単結晶には、例えばシリコン単結晶等があり、主にCZ法により製造されている。近年、半導体デバイスでは高集積化が促進され、素子の微細化が進んでいる。それに伴い、単結晶の結晶成長中に導入されるグローンイン(Grown−in)欠陥の問題がより重要となっている。
ここで、グローンイン欠陥について図11を参照しながら説明する。
一般に、シリコン単結晶を成長させるときに、結晶成長速度(結晶引上げ速度)が比較的高速の場合には、空孔型の点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD(Flow Pattern Defect)やCOP(Crystal Originated Particle)等のグローンイン欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在する。これらのボイド起因の欠陥が存在する領域はV(Vacancy)領域と呼ばれている。
また、結晶成長速度を低くしていくと成長速度の低下に伴いOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidation Induced Stacking Fault)領域が結晶の周辺からリング状に発生し、さらに成長速度を低速にすると、OSFリングがウエーハの中心に収縮して消滅する。一方、さらに成長速度を低速にすると格子間シリコンが集合した転位ループ起因と考えられているLSEPD(Large Secco Etch Pit Defect)、LFPD(Large Flow Pattern Defect)等の欠陥が低密度に存在し、これらの欠陥が存在する領域はI(Interstitial)領域と呼ばれている。
近年、V領域とI領域の中間でOSFリングの外側に、ボイド起因のFPD、COP等の欠陥も、格子間シリコン起因のLSEPD、LFPD等の欠陥も存在しない領域の存在が発見されている。この領域はN(ニュートラル、Neutral)領域と呼ばれる。また、このN領域をさらに分類すると、OSFリングの外側に隣接するNv領域(空孔の多い領域)とI領域に隣接するNi領域(格子間シリコンが多い領域)とがあり、Nv領域では、熱酸化処理をした際に酸素析出量が多く、Ni領域では酸素析出が殆ど無いことがわかっている。
さらに、熱酸化処理後、酸素析出が発生し易いNv領域の一部に、Cuデポジション処理で検出される欠陥が著しく発生するCuデポジション欠陥領域(Cuデポ欠陥領域ということもある)があることが見出されており、これは酸化膜耐圧特性のような電気特性を劣化させる原因になることがわかっている。
これらのグローンイン欠陥は、単結晶を成長させるときの引上げ速度F(mm/min)と固液界面近傍のシリコンの融点から1400℃の間の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)の比であるF/G(mm/℃・min)というパラメーターにより、その導入量が決定されると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、F/Gを所定の値で一定に制御しながら単結晶の育成を行うことにより、所望の欠陥領域あるいは所望の無欠陥領域を有する単結晶を製造することが可能となる。
例えば特許文献1では、シリコン単結晶を育成する際に、結晶中心でF/G値を所定の範囲内(例えば、0.112〜0.142mm/℃・min)に制御して単結晶を引上げることによって、ボイド起因の欠陥及び転位ループ起因の欠陥が存在しないシリコン単結晶ウエーハを得ることができることが示されている。
しかしながら、単結晶を育成する際に、例えば引上げ速度Fを制御して単結晶の直胴部をN領域といった所定の無欠陥領域で引上げる場合、結晶成長方向にN領域を拡大させることを試みても、N領域の単結晶を育成するのに必要な引上げ速度Fの制御許容量(マージン)はおよそ0.02mm/min程度と非常に狭いため(例えば、非特許文献2参照)、単結晶の成長方向全体でN領域を安定して形成することが困難であり、生産性やウエーハの収率の向上が妨げられ、製造コストへの負担を大きくしていた。
また、一般に結晶温度勾配Gは単結晶の成長が進むにつれて低下する傾向にあることが知られており、単結晶直胴部の成長開始時より成長終了時の方が小さくなる。そこで、例えば上記のように単結晶の直胴部をN領域という狭い領域で育成する場合、F/Gを所望の値でほぼ一定に制御するために、単結晶の成長が進むにつれて引上げ速度Fを結晶温度勾配Gの低下に合わせて低速となるように変化させ調整する方法が提案されている。しかしながら、上記のように引上げ速度Fのマージンは非常に狭いため、結晶温度勾配Gの経時変化に合わせて引上げ速度Fを高精度に調整することは難しく、その上低速化するのでは生産性が低下する。さらに単結晶の育成中にF/Gが所望の値から外れた場合には、引上げ速度Fの条件設定をやり直して微調整する必要があり、単結晶の育成が非常に非効率的にならざるを得なかった。
さらに、このように引上げ速度Fのマージンが狭い従来のCZ法による単結晶の育成では、単結晶を育成する際の単結晶面内中心部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGc(℃/mm)、面内外周部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGe(℃/mm)とするとき、Gc/Geの値が1.0よりも小さい場合に、結晶径方向に結晶品質が均一な単結晶を得ることができなくなる(例えば、特許文献2等を参照)。そのため、結晶径方向の全面が所望の欠陥領域となるように単結晶を育成するには、Gc/Ge≧1.0を満足するようにして単結晶の引上げを行うことが求められ、単結晶の製造条件(製造環境)によっては製造上の制約を受ける場合があり、単結晶製造の効率化を図る上で妨げとなることがあった。
特開平11−147786号公報 特開2002−249397号公報 V.V.Voronkov,Journal of Crystal Growth,vol.59(1982),pp.625〜643 J.G.Park,日本結晶成長学会誌,vol.27(2000),p.14
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、チョクラルスキー法による単結晶の製造において、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶の引上げを行うことのできる引上げ速度Fのマージンを拡大して、高品質の単結晶を安定して効率的に製造できる単結晶の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、チョクラルスキー法によって単結晶をルツボに収容されている原料融液から引上げて製造する方法において、前記単結晶の直胴部を育成する際に、前記単結晶の引上げ速度をF(mm/min)、前記単結晶の融点から1400℃までの結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)とするとき、前記引上げ速度Fの変化量に対する前記結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔF(℃・min/mm)の値を1.9以上にして単結晶の育成を行うことを特徴とする単結晶の製造方法が提供される。
このように、CZ法により単結晶を製造する際に、引上げ速度Fの変化量に対する結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔFの値を1.9以上にして単結晶の育成を行うことによって、所望の欠陥領域で単結晶の引上げを行うことのできる引上げ速度Fのマージンを拡大することができるので、所望の欠陥領域を有する高品質の単結晶を安定して効率的に、また高い歩留まりで製造することができる。
この場合、前記引上げ速度Fと結晶温度勾配Gの比F/Gを、前記育成する単結晶の欠陥領域が径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域となるように制御することができる。
このように、本発明は、単結晶の欠陥領域が径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域となるようにF/Gを制御して単結晶を製造する場合に、そのN領域が得られる引上げ速度Fのマージンを拡大することができるので、結晶径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域を有する高品質の単結晶を安定して効率的に育成することが可能となり、生産性の向上やウエーハ収率の向上を図ることができる。
また、前記原料融液を加熱するヒーターとして、ヒーターの発熱部に上端から下方向へ延びる上部スリットと、下端から上方向へ延びる下部スリットとが交互に設けられており、該上部スリットの終端と下部スリットの終端間の領域を有効発熱部分としたときに、該有効発熱部分の垂直方向の長さSが、該ヒーター内径の0.1倍以上0.4倍以下となるヒーターを用いることが好ましい。
このようなヒーターを用いて原料融液を加熱して単結晶の育成を行うことによって、単結晶直胴部を育成する際にΔG/ΔFの値を増大させて容易に1.9以上にすることができる。
さらに、前記ヒーターの有効発熱部分の中心位置と前記原料融液の表面との間の垂直方向における相対距離Lが、前記単結晶の引上げ開始時にルツボ内に収容される原料融液の深さの1/3以下となるようにして、前記ヒーターの位置及び/またはルツボの位置を調節することが好ましい。
このように、ヒーターの有効発熱部分の中心位置と原料融液面との間の垂直方向における相対距離Lが、単結晶の引上げを開始する際の原料融液の深さの1/3以下となるようにすれば、ΔG/ΔFの値をさらに増大できるので、引上げ速度Fのマージンを一層拡大し、所望の欠陥領域を有する高品質の単結晶を一層安定して容易に製造することができる。
また、本発明の単結晶の製造方法では、前記単結晶の面内中心部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGc(℃/mm)、面内外周部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGe(℃/mm)とするとき、Gc/Ge<1.0を満たす条件で単結晶の引上げを行うことができる。
このように、本発明によれば、従来のようにGc/Ge≧1.0を満たす条件ではもちろんのこと、Gc/Ge<1.0を満たす条件で単結晶の引上げを行っても、結晶径方向に結晶品質が均一な単結晶を得ることができるようになる。そのため、単結晶の製造上の制約を受けることなく結晶径方向の全面が所望の欠陥領域となる単結晶を製造することができ、単結晶製造の効率化や生産性の向上を図ることが可能となる。
さらに、前記製造する単結晶をシリコン単結晶とすることができる。
このように、本発明の単結晶の製造方法は、シリコン単結晶を製造する場合に特に好適に用いることができ、それにより、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶の引上げを行うことのできる引上げ速度Fのマージンを拡大して、所望の欠陥領域を有する高品質のシリコン単結晶を安定して高い生産性で製造することができ、また歩留まりの向上を図ることができる。
そして、本発明は、前記本発明の単結晶の製造方法により製造された単結晶を提供することができる。
このように本発明により製造された単結晶は、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域等のような所望の欠陥領域を有し、高生産性で製造された高品質の単結晶とすることができる。
さらに、本発明によれば、チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に原料融液を収容するルツボを取り囲むように配置する黒鉛ヒーターであって、少なくとも、電流が供給される端子部と、抵抗加熱による円筒状の発熱部とを具備し、前記発熱部には上端から下方向へ延びる上部スリットと、下端から上方向へ延びる下部スリットとが交互に設けられており、前記上部スリットの終端と下部スリットの終端間の領域を有効発熱部分として、該有効発熱部分の垂直方向の長さSが、該黒鉛ヒーター内径の0.1倍以上0.4倍以下となるものであることを特徴とする黒鉛ヒーターが提供される。
このような特徴を有する黒鉛ヒーターであれば、例えばCZ法により単結晶の育成を行う際に原料融液を安定して加熱できるとともに、ΔG/ΔFの値を容易に増大させることができるものとなるので、単結晶を引上げるときの所望の欠陥領域、特にN領域が得られる引上げ速度Fのマージンを拡大することができる。
そして、前記本発明の黒鉛ヒーターを具備することを特徴とする単結晶製造装置を提供することができる。
このように、本発明の黒鉛ヒーターを具備する単結晶製造装置は、単結晶直胴部を育成する際に、所望の欠陥領域、特にN領域で単結晶の引上げを行うことのできる引上げ速度Fのマージンを拡大して、所望の欠陥領域を有する高品質の単結晶を安定して製造できる単結晶製造装置とすることができる。
さらに、本発明によれば、チョクラルスキー法により単結晶を原料融液から引き上げて製造する単結晶製造装置であって、少なくとも、前記原料融液を収容するルツボと、該ルツボを昇降させるルツボ駆動機構と、前記原料融液を加熱するヒーターと、前記単結晶を引上げる引上げ機構とを具備し、前記ヒーターの発熱部に上端から下方向へ延びる上部スリットと、下端から上方向へ延びる下部スリットとが交互に設けられており、前記上部スリットの終端と下部スリットの終端間の領域を有効発熱部分として、該有効発熱部分の垂直方向の長さSが、該ヒーター内径の0.1倍以上0.4倍以下となるものであることを特徴とする単結晶製造装置が提供される。
このような構成を有する単結晶製造装置であれば、CZ法により単結晶の育成を行う際に、ΔG/ΔFの値を1.9以上に容易に増大することができるので、所望の欠陥領域で単結晶の引上げを行うことのできる引上げ速度Fのマージンを拡大でき、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥が検出されないN領域を有する高品質の単結晶を安定して効率的に製造できる単結晶製造装置とすることができる。
このとき、前記ルツボと前記ヒーターの下方部に下部断熱部材が設けられていることが好ましい。
このようにルツボとヒーターの下方部に下部断熱部材が設けられていれば、前記のような特徴を有するヒーターで原料融液を加熱する際に、ルツボ内に収容されている原料融液を一層効果的に加熱して、融液温度を高精度に制御することができるので、単結晶を所望の欠陥領域で一層安定して育成することができる装置となる。
以上のように、本発明によれば、CZ法により単結晶を育成する際に、引上げ速度Fの変化量に対する結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔFの値を1.9以上にして単結晶の育成を行うことにより、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンを拡大することができる。それにより、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥が検出されないN領域を有する高品質の単結晶を安定して効率的に、また高い歩留まりで製造することができる。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、所望の欠陥領域、特に従来非常に狭いために安定成長が困難であったOSF領域の外側に存在するCuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を安定して引上げるために、引上げ速度Fのマージンを拡大させることを試み、単結晶を成長させるときの引上げ速度をF、固液界面近傍の単結晶の融点(シリコン単結晶の場合は、およそ1420℃)から1400℃までの結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)とするときに、引上げ速度Fの変化量ΔFに対する結晶温度勾配Gの変化量ΔGを表すΔG/ΔFの値に注目した。
先ず、本発明者等は、総合伝熱解析ソフトFEMAG(F.Dupret, P.Nicodeme, Y.Ryckmans, P.Wouters, and M.J.Crochet, Int.J.Heat Mass Transfer,33,1849(1990))を用いて、様々な引上げ速度F及び結晶温度勾配Gで単結晶を育成した場合に形成される単結晶の欠陥領域についてシミュレーション解析を行った。その解析結果について、横軸を引上げ速度F、縦軸を結晶温度勾配Gにして単結晶の欠陥領域を表したグラフを図1に示す。
本発明者等によるシミュレーション解析の結果、図1に示したように、例えば、ある特定の製造条件bで単結晶の引上げを行うよりも、製造条件bに比べてΔG/ΔFの値(つまり、直線の傾き)が大きい製造条件aで単結晶の引上げを行う方が、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンを拡大できることが明らかとなった。
さらに、本発明者等が実験及び検討を重ねたところ、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンを、従来の単結晶製造における引上げ速度Fのマージンの値、およそ0.02mm/min程度よりも拡大させるためには、ΔG/ΔFの値を1.9以上にして単結晶の育成を行えば良いことがわかった。すなわち、CZ法により単結晶を育成する際に、ΔG/ΔFの値が1.9より小さい場合は、上記のようなN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンが0.02mm/minより狭くなってしまい、N領域を有する単結晶を安定して製造することが困難となるが、ΔG/ΔFの値を1.9以上に増大させることによって、引上げ速度Fのマージンを0.02mm/minを上回るように拡大させることができ、結晶径方向の全面がCuデポジション欠陥の検出されないN領域となる高品質の単結晶を安定して効率的に製造できることがわかった。
そして、本発明者等は、単結晶の直胴部を育成する際にΔG/ΔFの値を増大させることのできる有効手段について更に実験及び検討を重ねた結果、単結晶製造装置内の構造が上記ΔG/ΔFの値の変化に影響を与えることから、原料融液を加熱するヒーターに注目し、特に、図2に示すように、ヒーター7の発熱部に設けられている上端から下方向へ延びる上部スリット31の終端と下端から上方向へ延びる下部スリット32の終端間の有効発熱部分33における垂直方向の長さSに注目した。
本発明者等が、従来行われている単結晶の製造におけるヒーターの有効発熱部分について調査したところ、従来の単結晶の製造ではヒーターの有効発熱部分における垂直方向の長さSが長く、また、ヒーターの発熱分布をルツボに収容されている原料融液のほぼ中央部付近に分布させているため、ヒーターの有効発熱部分の中心位置が原料融液の表面から大きく離れていることが確認された。そのために、従来では、単結晶の直胴部を育成する際に面内外周部における結晶温度勾配Geが大きくなってしまい、所望の欠陥領域、特にCuデポジション欠陥の検出されないN領域を有する単結晶の育成を困難にしていることがわかった。
ここで、本発明者等により、上記総合伝熱解析ソフトFEMAGを用いてヒーターの有効発熱部分における垂直方向の長さSとΔG/ΔFの関係についてシミュレーション解析した結果を図3に示す。このシミュレーション解析の結果、有効発熱部分の長さSを短くすればΔG/ΔFの値を増大できることがわかった。
さらに、本発明者等が実験及び検討を重ねた結果、図2に示したように、ヒーターの有効発熱部分33の中心位置34と石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6に収容されている原料融液4の表面36との間の垂直方向における相対距離Lを変えることによってもΔG/ΔFの値が変化することがわかった。ここで、ヒーターの有効発熱部分Sを200mmとしたときの上記相対距離LとΔG/ΔFの関係についてシミュレーション解析した結果を図4に示す。図4に示すように、この相対距離Lを変化させることによってもΔG/ΔFの値を変化させることができ、例えば有効発熱部分の中心位置が原料融液面よりも下に位置するのであれば相対距離Lを小さくし、また有効発熱部分の中心位置が原料融液面よりも上に位置する場合は相対距離Lを大きくすることによって、ΔG/ΔFを一層増大させることが可能であることがわかった。
本発明は、以上のような実験・調査で得られた知見を踏まえた上で鋭意検討を重ねることによって見出されたものである。
すなわち、本発明の単結晶の製造方法は、CZ法によって単結晶をルツボに収容されている原料融液から引上げて製造する方法において、引上げ速度Fの変化量に対する結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔFの値を1.9以上にして単結晶の育成を行うことに特徴を有するものである。
まず、本発明の単結晶製造装置及び黒鉛ヒーターの一例について図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図5は、本発明に係る単結晶製造装置の構成を示す概略構成図であり、また図6は、黒鉛ヒーターの構成を説明する概略説明図である。
本発明に係る単結晶製造装置20は、メインチャンバ1内に、原料融液4を収容する石英ルツボ5と、この石英ルツボ5を保護する黒鉛ルツボ6とがルツボ駆動機構22によって回転・昇降自在に保持軸13で支持されており、またこれらのルツボ5、6を取り囲むようにして原料融液を加熱するための黒鉛ヒーター7と断熱材8が配置され、さらに黒鉛ヒーター7の位置を上下に調節できるようにヒーター駆動手段19が設けられている。
また、メインチャンバ1の上部には育成した単結晶3を収容し、取り出すための引上げチャンバ2が連接されており、引上げチャンバ2の上部には単結晶3をワイヤー14で回転させながら引上げる引上げ機構17が設けられている。
さらに、メインチャンバ1の内部にはガス整流筒11が設けられており、このガス整流筒11の下部には原料融液4と対向するように遮熱部材12を設置して、原料融液4の表面からの輻射をカットするとともに原料融液4の表面を保温するようにしている。さらに、引上げチャンバ2の上部に設けられたガス導入口10からはアルゴンガス等の不活性ガスを導入でき、引上げ中の単結晶3とガス整流筒11との間を通過させた後、原料融液4の融液面上を通過させ、ガス流出口9から排出することができる。
また、上記のヒーター駆動手段19及びルツボ駆動機構22は駆動制御手段18に接続されており、例えばこの駆動制御手段18に、ヒーター7の位置、CCDカメラ21で測定した原料融液4の融液面の位置、引上げ機構17から得られる単結晶の引上げ長さ等の情報がフィードバックされることにより、駆動制御手段18でヒーター駆動手段19やルツボ駆動機構22を調節してヒーターの位置及び/またはルツボの位置を精度良く制御・変更することができるようになっている。
このような単結晶製造装置20において、原料融液4を加熱するための黒鉛ヒーター7は、図6に示したように、電流が供給される端子部37と、抵抗加熱による円筒状の発熱部38とを具備している。さらに、この黒鉛ヒーター7において、発熱部38には上端から下方向へ延びる上部スリット31と、下端から上方向へ延びる下部スリット32とが交互に設けられており、上部スリット31の終端と下部スリット32の終端間の領域を有効発熱部分33として、その有効発熱部分33の垂直方向の長さSが、従来の黒鉛ヒーターよりも短く、黒鉛ヒーター7の内径Wの0.1倍以上0.4倍以下となるように設計されたものである。
このように黒鉛ヒーター7の有効発熱部分33における垂直方向の長さSが、黒鉛ヒーター7の内径Wの0.4倍以下、より好ましくは黒鉛ヒーター7の内径Wの0.3倍以下となるものであれば、引上げ速度Fの変化量ΔFに対する結晶温度勾配Gの変化量ΔGを表すΔG/ΔFの値を1.9以上に容易に増大して、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンを拡大することが可能となる。一方、有効発熱部分33における垂直方向の長さSが、黒鉛ヒーター7の内径Wの0.1倍未満となると、石英ルツボ5内の底部付近の原料融液の温度が低下し、結晶成長を阻害する恐れがあるため、有効発熱部分の垂直方向における長さSは、黒鉛ヒーター7の内径Wの0.1倍以上となるものとするのが望ましい。
さらに、本発明では、単結晶製造装置20のメインチャンバ1内に、ルツボ5、6と黒鉛ヒーター7の下方部に下部断熱部材23が設けられていることが好ましい。このように下部断熱部材23を設けることにより、例えば上記のような有効発熱部分を有する黒鉛ヒーター7で原料融液を加熱する際に、ルツボ内に収容されている原料融液を効果的に加熱することができるし、また融液温度を高精度に制御することができる。
次に、本発明の単結晶の製造方法について、図5及び図6を参照しながら詳細に説明する。
上記のような単結晶製造装置20を用いて、CZ法により例えばシリコン単結晶を欠陥領域が結晶径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域となるように育成する場合、先ず種ホルダー15に固定された種結晶16を石英ルツボ5中の原料融液4に浸漬した後、回転させながら静かに引上げて種絞りを形成してから所望の直径まで拡径する。その後、単結晶の引上げ速度Fとシリコン単結晶の融点から1400℃までの結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配Gの比V/Gを上記N領域となる所定の値に制御しながら単結晶の引上げを行うことにより略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶3を成長させることができる。
このとき、単結晶の育成が進むにつれて原料融液4の融液量は減少するが、融液量の減少に伴ってルツボ駆動機構22で石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を上昇させることによって、原料融液4の融液面の位置を常に一定の高さに維持することができる。尚、本発明の単結晶の製造では、単結晶引上げ中の原料融液面は必ずしも一定の高さに維持する必要はないが、このように単結晶の引上げ中に原料融液面の位置を常に一定の高さに維持することによって、所望の結晶品質(欠陥領域)を有する単結晶を非常に安定して育成することができる。
本発明の単結晶の製造方法は、このようにしてシリコン単結晶3を製造する際に、例えば原料融液を加熱する黒鉛ヒーターとして、図6に示したようなヒーターの発熱部38における有効発熱部分33の垂直方向の長さSが、黒鉛ヒーター7の内径Wの0.1倍以上0.4倍以下となるヒーターを用いることにより、引上げ速度Fの変化量に対する結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔFの値を1.9以上にして単結晶直胴部の育成を行うものである。
このように単結晶の直胴部を育成する際に、ΔG/ΔFの値を1.9以上にすることによって、例えばCuデポジション欠陥が検出されないN領域で単結晶を引上げることのできる引上げ速度Fのマージンを従来の0.02mm/minよりも拡大することができる。特に、単結晶直胴部を育成する際のΔG/ΔFの値が2.0を超えるようにすれば、引上げ速度Fのマージンが0.03mm/minを上回ることが可能となる。
またこのとき、図6に示したように、黒鉛ヒーター7の有効発熱部分33の中心位置34と原料融液の表面36との間の垂直方向における相対距離をLとするときに、この相対距離Lが単結晶の引上げ開始時に石英ルツボ内に収容される原料融液の深さHの1/3以下となるように、例えば駆動制御手段18でヒーター駆動手段19やルツボ駆動機構22を制御して、黒鉛ヒーターの位置及び/またはルツボの位置を調節することが好ましい。
図4に示したように、本発明者等の実験によれば、黒鉛ヒーターの発熱分布を、従来のように原料融液の中央部付近に分布させるのではなく、結晶成長固液界面である原料融液の表面近傍に分布させることにより、ΔG/ΔFの値を一層増大させることができる。例えば、図6に示したように、黒鉛ヒーターの有効発熱部分33の中心位置34が原料融液面36の下に位置する場合は、ヒーターの有効発熱部分の中心位置34と原料融液面36間の相対距離Lを小さくする程、特に相対距離Lが単結晶の引上げ開始時における原料融液の深さHの1/3以下となるように小さくすることにより、ΔG/ΔFの値をさらに増大して引上げ速度Fのマージンを一層拡大させることができる。
また、黒鉛ヒーターの有効発熱部分の中心位置34が原料融液面36の上に位置する場合は、相対距離Lを大きくする程ΔG/ΔFの値を一層増大させることができる。しかしながら、相対距離Lが原料融液の深さHの1/3を超えるような位置に有効発熱部分の中心位置がある場合、固液界面を過剰に加熱してしまうことから単結晶の面内中心部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配Gcを著しく低下させる恐れがあり、結晶成長の阻害要因となることが考えられる。そのため、相対距離Lは原料融液の深さHの1/3以下となるようにすることが好ましい。
以上のようにしてシリコン単結晶を製造することにより、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域が得られる引上げ速度Fのマージンを0.02mm/minより大きく、さらには0.03mm/minを上回るように拡大して単結晶の育成を行うことができる。したがって、従来のような引上げ速度Fのマージンが非常に狭かった単結晶の製造に比べて、単結晶の育成を安定して行うことができ、また、結晶引上げ速度の過剰な高精度化を図らなくとも単結晶の育成中にF/Gが所望の領域から外れるのを確実に防止でき、引上げ速度Fの条件設定のやり直しや微調整を行わずに済むため、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域を有する高品質の単結晶を効率的にかつ高い歩留まりで製造することができる。
また、このように単結晶の製造を行うことによって引上げ速度Fのマージンを拡大させることができるため、例えば単結晶の面内中心部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGc、面内外周部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGeとしたときに、Gc/Ge≧1.0を満たす条件ではもちろんのこと、Gc/Ge<1.0を満たす条件で単結晶の引上げを行っても、結晶径方向に結晶品質が均一な単結晶を得ることができるようになる。したがって、従来のようにGc/Ge≧1.0を満たすように単結晶の製造を制約しなくても、結晶径方向の全面が所望の欠陥領域となる単結晶を容易に製造することができ、更なる単結晶製造の効率化や生産性の向上を図ることが可能となる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図5に示した単結晶製造装置20を用いて、直径24インチ(600mm)の石英ルツボに原料多結晶シリコンを150kgチャージし、CZ法により、直径200mm、方位<100>、酸素濃度が22〜23ppma(ASTM’79)となるシリコン単結晶を育成した(単結晶直胴部の長さは約110cm)。
このとき、黒鉛ヒーター7として、内径Wが700mm、発熱部の全長が600mmであり、有効発熱部分の垂直方向の長さSが200mmのS/Wが0.29となるヒーターAを使用した。さらに、単結晶の引上げを開始する際に、ヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面から50mm下に位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=50mm)。
また、この実施例1におけるΔG/ΔFの値を総合伝熱解析ソフトFEMAGによるシミュレーション解析を行って求めた結果、ΔG/ΔF=1.95であることがわかった。
そして、単結晶の引上げ中は、シリコン融液量の減少に伴ってルツボ駆動機構22で石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を上昇させることによって、シリコン融液面の位置を常に一定の高さに維持した。さらに、単結晶の引上げ速度は、図7に示すように、単結晶直胴部の10cmから110cmにかけて0.7mm/minから0.3mm/minの範囲で漸減するように制御した。
(実施例2)
図5に示した単結晶製造装置20を用いて、直径200mm、方位<100>、酸素濃度が22〜23ppma(ASTM’79)となるシリコン単結晶を育成した。
このとき、黒鉛ヒーター7として、上記実施例1と同様のヒーターAを使用した。さらに、単結晶の引上げを開始する際に、ヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面上の20mmのところに位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=20mm)。それ以外の条件に関しては上記実施例1と同様にしてシリコン単結晶の育成を行った。
この実施例2におけるΔG/ΔFの値を総合伝熱解析ソフトFEMAGによるシミュレーション解析を行って求めた結果、ΔG/ΔF=2.08であることがわかった。
(比較例1)
図5に示した単結晶製造装置20を用いて、直径200mm、方位<100>、酸素濃度が22〜23ppma(ASTM’79)となるシリコン単結晶を育成した。
このとき、黒鉛ヒーター7として、内径Wが700mm、発熱部の全長が600mmであり、有効発熱部分の垂直方向の長さSが300mmのS/Wが0.43となるヒーターBを使用した。
さらに、単結晶の引上げを開始する際に、ヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面から110mm下に位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=110mm)。それ以外の条件に関しては上記実施例1と同様にしてシリコン単結晶の育成を行った。
この比較例1におけるΔG/ΔFの値を総合伝熱解析ソフトFEMAGによるシミュレーション解析を行って求めた結果、ΔG/ΔF=1.76であることがわかった。
(比較例2)
図5に示した単結晶製造装置20を用いて、直径200mm、方位<100>、酸素濃度が22〜23ppma(ASTM’79)となるシリコン単結晶を育成した。
このとき、黒鉛ヒーター7として、上記比較例1と同様のヒーターBを使用した。さらに、単結晶の引上げを開始する際に、ヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面から50mm下に位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=50mm)。それ以外の条件に関しては、上記実施例1と同様にしてシリコン単結晶の育成を行った。
この比較例2におけるΔG/ΔFの値を総合伝熱解析ソフトFEMAGによるシミュレーション解析を行って求めた結果、ΔG/ΔF=1.83であることがわかった。
ここで、上記実施例1、2及び比較例1、2におけるヒーターの有効発熱部分の長さSの値、及び有効発熱部分の中心位置と原料融液面間の相対距離Lの値を以下の表1に示す。また、上記の各製造条件におけるΔG/ΔFの値を求めた結果も以下の表1に示す。
Figure 0004461776
次に、実施例1、2及び比較例1、2で育成した各シリコン単結晶について、直胴部10cm以降の各結晶部位からウエーハを切り出した後、平面研削及び研磨を行って検査用のサンプルを作製し、以下に示すような結晶品質特性の検査を行った。
(1)FPD(V領域)及びLEP(I領域)の検査
検査用のサンプルに30分間のセコエッチングを無攪拌で施した後、ウエーハ面内を顕微鏡で観察することによりウエーハ面内の欠陥密度を測定した。
(2)OSFの検査
検査用のサンプルにウエット酸素雰囲気下、1100℃で100分間の熱処理を行った後、ウエーハ面内を顕微鏡で観察することによりウエーハ面内の欠陥密度を測定した。
(3)Cuデポジション処理による欠陥の検査
検査用のサンプルの表面に酸化膜を形成した後、Cuデポジション処理を行って酸化膜欠陥を測定した。その際の評価条件は以下の通りである。
酸化膜:25nm
電界強度:6MV/cm
通電時間:5分間
実施例1、2及び比較例1、2で育成した各単結晶に以上のような検査を行った結果、実施例1、2の単結晶は図8に示すような欠陥分布を有しており、また比較例1、2の単結晶は図9に示すような欠陥分布を有していた。また、これらの検査結果に基づいて、Cuデポジション欠陥が検出されたN領域とCuデポジション欠陥が検出されなかったN領域との境界の成長速度、及びCuデポジション欠陥が検出されなかったN領域とI領域との境界の成長速度を求めて、さらにそれらからCuデポジション欠陥が検出されないN領域が得られる引上げ速度のマージンを計算した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0004461776
表2に示したように、ΔG/ΔFの値が1.9以上となるようにした実施例1及び実施例2の場合は、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域を得ることのできる引上げ速度のマージンを0.02mm/minよりも大きくすることができた。また、ΔG/ΔFの値が1.9より小さくなる比較例1及び比較例2の場合では、Cuデポジション欠陥が検出されないN領域を得ることのできる引上げ速度のマージンが0.02mm/minより小さくなっていた。
(実施例3)
次に、上記の結果を踏まえて、CZ法により、直径200mm、方位<100>、酸素濃度が22〜23ppma(ASTM’79)となるシリコン単結晶をCuデポジション欠陥が検出されないN領域で育成できるように、上記実施例1で用いた単結晶製造装置及び黒鉛ヒーターを使用し、単結晶の引上げを開始する際には、上記実施例1と同様にヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面から50mm下に位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=50mm)。
そして、単結晶の引上げ中は、シリコン融液量の減少に伴ってルツボ駆動機構22で石英ルツボ5及び黒鉛ルツボ6を上昇させてシリコン融液面の位置を常に一定の高さに維持した。さらに、単結晶の引上げ速度は、図10に示すように、単結晶直胴部の10cmから120cmにかけて0.56mm/minから0.53mm/minの範囲で漸減するように制御して、単結晶直胴部の長さが約120cmとなるシリコン単結晶を育成した。
(実施例4)
また実施例4では、上記実施例2と同様に、単結晶の引上げを開始する際にヒーターの有効発熱部分の中心位置を原料融液面上の20mmのところに位置するように黒鉛ヒーターの位置とルツボの位置を調節した(相対距離L=20mm)。
さらに、単結晶の引上げ中は、引上げ速度を図10に示すように単結晶直胴部の10cmから120cmにかけて0.52mm/minで一定となるように制御し、それ以外の条件に関しては上記実施例3と同様にして、単結晶直胴部の長さが約120cmとなるシリコン単結晶を育成した。
その後、上記実施例3及び実施例4で育成したシリコン単結晶について、直胴部10cm以降の各結晶部位からウエーハを切り出した後、平面研削及び鏡面研磨を行って検査用のサンプルを作製し、その後これらの検査用のサンプルに酸化膜耐圧特性の評価を行った。なお、このときのCモード測定条件は次の通りである。
酸化膜:25nm
測定電極:リンをドープしたポリシリコン電極
電極面積:8mm
判定電流:1mA/cm
このようにして実施例3及び実施例4で製造した単結晶は、直胴部10cm以降のすべてがCuデポジション欠陥フリーのN領域で、酸化膜耐圧特性を評価した結果、酸化膜耐圧レベルが100%の良品率であり、高品質のシリコン単結晶であることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記実施例では、直径200mmのシリコン単結晶を育成する場合を例に挙げて説明を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、300mm以上やその他の口径のシリコンウエーハを製造する場合にも適用できるものであり、むしろ単結晶の大口径化、またそれに伴う製造装置の大型化が進むほどヒーターの寸法やヒーターと原料融液面との位置関係等の設定条件が重要となるので、本発明を一層効果的に適用することができる。
また、上記ではCuデポジション欠陥が検出されないN領域の単結晶を引上げる場合を中心に説明したが、本発明ではマージンを広げることができるので、それ以外の欠陥領域の単結晶を引上げる場合にも適用できることは言うまでもない。例えば、目的に応じ、前記Nv領域のみ、Ni領域のみ、あるいはN領域といった引上げ時の引上げ速度マージンが狭い単結晶の引上げにおいて、有効である。
さらに、本発明は、シリコン単結晶を製造する場合に好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、CZ法によって化合物半導体単結晶等の単結晶を製造する場合に同様に適用することができる。
横軸を引上げ速度F、縦軸を結晶温度勾配Gにして単結晶の欠陥領域を表したグラフである。 原料融液を加熱するヒーターの構成を説明する概略説明図である。 ヒーターの有効発熱部分における垂直方向の長さSとΔG/ΔFの関係を示すグラフである。 ヒーターの有効発熱部分の中心位置と原料融液表面との間の相対距離LとΔG/ΔFの関係を示すグラフである。 本発明の単結晶製造装置の一例を示す構成概略図である。 本発明に係る黒鉛ヒーターの構成を説明する概略説明図である。 実施例1、2及び比較例1、2において単結晶直胴部を育成する際の引上げ速度を示すグラフである。 実施例1、2で育成した単結晶の欠陥分布を模式的に表す模式図である。 比較例1、2で育成した単結晶の欠陥分布を模式的に表す模式図である。 実施例3、4において単結晶直胴部を育成する際の引上げ速度を示すグラフである。 F/Gと結晶欠陥分布の関係を表す説明図である。
符号の説明
1…メインチャンバ、 2…引上げチャンバ、
3…単結晶(シリコン単結晶)、 4…原料融液(シリコン融液)、
5…石英ルツボ、 6…黒鉛ルツボ、
7…ヒーター(黒鉛ヒーター)、 8…断熱材、
9…ガス流出口、 10…ガス導入口、 11…ガス整流筒、
12…遮熱部材、 13…保持軸、 14…ワイヤー、
15…種ホルダー、 16…種結晶、 17…引上げ機構、
18…駆動制御手段、 19…ヒーター駆動手段、 20…単結晶製造装置、
21…CCDカメラ、 22…ルツボ駆動機構、 23…下部断熱部材、
31…上部スリット、 32…下部スリット、 33…有効発熱部分、
34…有効発熱部分の中心位置、 36…原料融液の表面、
37…端子部、 38…発熱部、
S…有効発熱部分における垂直方向の長さ、
L…ヒーターの有効発熱部分の中心位置と原料融液表面との相対距離、
H…ルツボ内に収容される原料融液の深さ、
W…ヒーターの内径。

Claims (4)

  1. チョクラルスキー法によってシリコン単結晶をルツボに収容されている原料融液から引上げて製造する方法において、前記シリコン単結晶の直胴部を育成する際に、前記シリコン単結晶の引上げ速度をF(mm/min)、前記シリコン単結晶の融点から1400℃までの結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)とするとき、前記引上げ速度Fの変化量に対する前記結晶温度勾配Gの変化量を表すΔG/ΔF(℃・min/mm)の値を1.9以上にすることにより、前記育成するシリコン単結晶の欠陥領域が径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域となるような引上げ速度Fのマージンを0.02mm/minよりも大きくし、前記引上げ速度Fと結晶温度勾配Gの比F/Gを、前記育成するシリコン単結晶の欠陥領域が径方向全面でCuデポジション欠陥が検出されないN領域となるように制御して、シリコン単結晶の育成を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記原料融液を加熱するヒーターとして、ヒーターの発熱部に上端から下方向へ延びる上部スリットと、下端から上方向へ延びる下部スリットとが交互に設けられており、該上部スリットの終端と下部スリットの終端間の領域を有効発熱部分としたときに、該有効発熱部分の垂直方向の長さSが、該ヒーター内径の0.1倍以上0.4倍以下となるヒーターを用いることを特徴とする請求項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記ヒーターの有効発熱部分の中心位置と前記原料融液の表面との間の垂直方向における相対距離Lが、前記シリコン単結晶の引上げ開始時にルツボ内に収容される原料融液の深さの1/3以下となるようにして、前記ヒーターの位置及び/またはルツボの位置を調節することを特徴とする請求項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン単結晶の面内中心部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGc(℃/mm)、面内外周部における結晶引上げ軸方向の結晶温度勾配をGe(℃/mm)とするとき、Gc/Ge<1.0を満たす条件でシリコン単結晶の引上げを行うことを特徴とする請求項1ないし請求項の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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