JP4461088B2 - 燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、プロトン伝導体を含有する燃料電池用電極と、膜電極複合体と、膜電極複合体を備えた燃料電池とに関するものである。
燃料電池はプロトン伝導性固体電解質膜の一方に燃料極(アノード)、他方に酸化剤極(カソード)を備える。アノードに水素あるいはメタノールなどの燃料を供給すると、アノードで電気化学的に燃料が酸化され、プロトンと電子を生成する。生成した電子は外部回路へ流れる。生成したプロトンは、プロトン伝導性固体電解質を通してカソードに到達し、カソードに供給された酸化剤及び外部回路からきた電子と反応して水を生成する。
アノード及びカソードには、共に優れたプロトン伝導性能が求められる。プロトン伝導体としては、パーフルオロスルホン酸含有高分子(例えば、デュポン社製の商品名ナフィオン)などが知られている。燃料電池システムを小型化するため、液体燃料のメタノールなどは高濃度で使用される場合が多い。パーフルオロスルホン酸含有高分子は、電極触媒層のプロトン伝導性有機バインダーとして用いた場合、高濃度のメタノールに溶解する。特に、高出力が得られる100度以上の高温下での発電あるいは発電に伴う発熱による温度上昇によって、パーフルオロスルホン酸含有高分子の溶解は促進される。従って、安定した出力を得ることが困難である。
無機固体酸系プロトン伝導体として固体超強酸性を有する硫酸担持金属酸化物(例えば特許文献1)が知られている。具体的にはジルコニウム、チタン、鉄、錫、シリコン、アルミニウム、モリブデン、タングステンから選ばれる元素を1種類以上含む酸化物表面に硫酸を担持させ、熱処理によって酸化物表面に硫酸を固定化したものである。硫酸担持金属酸化物は固定化された硫酸根によってプロトン伝導性を発現するが、加水分解により硫酸根が逸脱し、プロトン伝導度の低下が起こる。そのため、発電の過程で水を生じる燃料電池、特に液体燃料を用いる燃料電池のプロトン伝導性固体電解質としては不安定であり、長期の電力安定供給には不適切であると推測される。
また、電極用触媒層のプロトン伝導性無機バインダーとして、スルホン酸基を有するボロシロキサンプロトン伝導性固体電解質が知られている(非特許文献1参照)。これは、スルホン酸基を有するボロシロキサンの原料となる金属アルコキシドのゾル溶液を触媒粒子と混合し、得たスラリーをカーボンペーパーに塗布、熱処理して触媒層の結着剤として使用するものである。スルホン酸基を有するボロシロキサン電解質は、前述のパーフルオロスルホン酸含有高分子と同様に、スルホン酸基を介したプロトン伝導のため水分(同伴水)を多量に必要とする。水分を確保することが困難な高温下での発電では、プロトン伝導に必要な水分が減少し、プロトン伝導度が著しく低下する。また、スルホン酸基が脱離する可能性があるため、長期の電力安定供給には不適切な材料であると推測される。
また、電極用触媒層にプロトン伝導性の無機材料としてP25およびSIO2を含む無機ガラスを用いることが知られている(特許文献2参照)。これは燃料極および酸化剤極の電極表面にP25およびSiO2を含有する無機ガラスの原料となる金属アルコレートを含有するゾルあるいは湿潤ゲルを塗布、乾燥、加熱して触媒層を結着させ、電極とするものである。P2O5およびSiO2を含有する無機ガラスはプロトン伝導にガラス表面のOH基を利用するが、高温下での運転では乾燥によって、OH基が脱離しプロトン伝導度が低下する。また、ガラス骨格を形成するP25成分が水に溶出する可能性があるため、長期の電力安定供給には困難が伴う。
特開2004−158261公報 Eiji Higuchi, Hiroyuki Uchida, Tatsuo Fujinami, Masahiro Watanabe, Solid State Ionics, 171, 45-49(2004) 特開2001−102071公報
本発明者らは、Ti等の酸化物担体と、W等の酸化物の粒子と、これらを結着させる高分子バインダーを具備する燃料電池用電極等を提案した(特願2004−213288)。このような燃料電池用電極等は水管理が容易で、室温から150℃付近の高温にわたって安定したイオン伝導性が維持できると考えられる。
TiやW等の酸化物(酸化物超強酸)、酸化還元触媒、有機ポリマーバインダーを複合化した電解質膜は、プロトン伝導性固体電解質同士の連続性や酸化還元触媒同士の連続性が有機ポリマーバインダーによって阻害されると考えられる。また、有機ポリマーバインダーがプロトン伝導性固体電解質や酸化還元触媒の表面に付着することで、プロトンの発生に必要な水分が酸化物超強酸へ十分に供給されなかったり、燃料が酸化還元触媒へ十分に供給されなかったりすると予想される。結果として、電極反応が起こる三相界面が不足すると考えられる。
本発明は、室温から150℃付近の高温でも安定した出力を供給することが可能であり、プロトン伝導性を高めること等が可能な燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の第一に係る燃料電池用電極は、触媒層を備える燃料電池用電極であって、触媒
層は、下記に示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選択される
元素Xを含有する酸化物、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hammettの酸度
関数H 0 が、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸を含んだプロトン伝導
性無機酸化物被膜と、プロトン伝導性無機酸化物被膜によって表面の一部が覆われた酸化
還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とする燃料電池用電
極を提供する。
本発明の第二に係る燃料電池用電極は、触媒層を備える燃料電池用電極であって、触媒
層は、下記に示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選択される
元素Xを含む酸化物、及び、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hammettの酸
度関数H 0 が、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸を含んだプロトン伝
導性無機酸化物バインダーと、プロトン伝導性無機酸化物バインダーにより結着された酸
化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とする燃料電池用
電極を提供する。
(記)
第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
らなる元素Y
第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y

本発明は、上記燃料電池用電極を具備する膜電極複合体及び燃料電池を提供する。
本発明によれば、室温から150℃付近の高温でも安定した出力を供給でき、プロトン伝導性等を高めることができる燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。尚、実施の形態や実施例を通して共通する構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池用電極について説明する。
本実施の形態の燃料電池用電極は、プロトン伝導性無機酸化物と酸化還元触媒とを含む触媒層を備える。触媒層は主に燃料電池用電極における燃料及び酸化剤の酸化還元反応の触媒反応場として機能する。また、触媒層は酸化還元反応で生成・消費するプロトン及び電子の伝達層としても機能する。
本実施の形態の触媒層は、プロトン伝導性材料として無機酸化物を備える。この無機酸
化物は、下記に示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選択され
元素Xを含む酸化物と、元素Y含む酸化物が化学的に結合し、Hammettの酸
度関数H 0 が、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸である。
(記)
第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
らなる元素Y
第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y

プロトン伝導性無機酸化物における正確なプロトン伝導機構はまだ解明されていないが、元素Xを含有する酸化物(以下、酸化物Aと称す)と元素Yを含有する酸化物(以下、酸化物Bと称す)が化学的に結合されることで、酸化物Bの構造内にルイス酸点が生成し、このルイス酸点が水和することでブレンステッド酸点になり、プロトンの伝導場が形成されると考えられる。また、プロトン伝導性無機酸化物は非晶質構造を有した場合、このこともルイス酸点生成のさらなる促進に寄与しているものと推測される。
また、このプロトン伝導性無機酸化物は、ルイス酸点によるプロトン生成反応に加えて、プロトン伝達に必要な同伴水の分子数を少なくすることができるため、プロトン伝導性無機酸化物の表面に存在する少量の水分子で高いプロトン伝導性を得ることが可能になり、発電時の厳格な水管理を行わずに大きな発電量を得ることができる。以上のようなプロトン伝道機構は上述の材料X、Yを用いた酸化物超強酸において得られると考えられる。
従って、本実施の形態の触媒層を、燃料極、酸化剤極の少なくともいずれかに含有させることで、セル抵抗を低くすることができ、燃料電池の最大発電量を増加させることができる。
酸化物Bは、元素やpHの環境によってその溶解度が変動するものの、水溶性を有している。この酸化物Bと水溶性の低い酸化物Aを焼成して化学的な結合を形成することによって、酸化物Bの水への溶解を抑えることができ、プロトン伝導性無機酸化物の水及び液体燃料に対する安定性を高くすることができる。また、溶出した酸化物粒子Bのイオンによる他の燃料電池材料や装置の汚染も回避することができる。従って、本実施形態によれば、燃料電池において高い長期信頼性を得ることができる。さらに、安価な酸化物Aを母材とすることで電池の製造コストを抑えることも可能である。
酸化物Aと酸化物Bが化学的に結合していることの確認は、例えば、X線回折(XRD)、電子プローブ微量分析(EPMA)、X線電子分光法(XPS)、エネルギー分散型X線分析(EDX)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの機器分析により行うことが可能である。
本実施の形態のプロトン伝導性無機酸化物は、酸化物Aと酸化物Bが化学的に結合していれば良く、酸化物Aと酸化物Bの結晶性は限定されるものではない。但し、ルイス酸点生成の促進、酸性度の向上に寄与する可能性、製造コストの低下、製造プロセスの容易さを考慮すれば酸化物Bは非晶質であることが望ましく、さらに酸化物Bは非晶質、酸化物Aは結晶であることがより望ましい。ただし、上記とは逆に、酸化物Aと酸化物Bのいずれも結晶で使用する場合、あるいは酸化物Bが結晶、酸化物Aが非晶質で使用する場合も可能である。
酸化物Aの元素Xと酸化物Bの元素Yとの元素比(Y/X)が0.0001未満になるとプロトンの伝導場が少ないためにプロトン伝導度が低くなる恐れがある。一方、元素比(Y/X)が5を超えると、プロトンの伝導場を元素Yを含む酸化物粒子Bが覆い隠してしまうためにプロトン伝導度が低くなる可能性がある。したがって、酸化物Aの元素Xと酸化物Bの元素Yとの元素比(Y/X)は0.0001以上5以下の範囲であることが好ましく、0.01以上1以下の範囲であることがより望ましい。
本実施の形態のプロトン伝導性無機酸化物は、構成する元素を含有した溶液を熱処理す
ることでプロトン伝導能を有する無機バインダーとして利用することができる。すなわち
、プロトン伝導性無機酸化物を構成する元素Xおよび元素Yを含む溶液を、目的とする組
成の酸化物Aおよび酸化物Bの混合物になるように調整し、乾燥によって酸化物Aと酸化
物Bの前駆体を析出させ,焼成によって酸化物Aと酸化物Bとの間に化学的な結合を形成
するのと同時に,酸化還元触媒材料を結着することが可能になる。元素Xおよび元素Yを
む溶液は構成元素を含む塩化物、硝酸塩、水素酸、オキソ酸塩などの水溶液あるいは金
属アルコキシドのアルコール溶液などを原料として調整することが可能である。

本実施の形態のプロトン伝導性無機酸化物は、構成する元素Xおよび元素Yを含有し
液を熱処理することでプロトン伝導能を有する無機バインダーとして利用することがで
きる。処理温度が200℃より低いと酸化物Aと酸化物Bの間に十分な化学結合が形成さ
れず、得られる酸化物のプロトン伝導性が低くなる可能性がある。またバインダーの結着
力が弱く、成形体が脆く実用に耐えられない可能性がある。一方、処理温度が1000℃
を超える高温では、粒子同士の融合が生じて比表面積が小さくなるため、高いプロトン伝
導性を得られない恐れがある。また、体積収縮が大きく、応力により成形体を破壊する可
能性がある。熱処理温度は200℃〜1000℃とすることが好ましいが、400℃以上
700℃以下で熱処理することがより望ましい。また、200℃では温度が低いため酸化
物Aと酸化物Bの間に結合が形成しにくく長時間の熱処理を要するが、1000℃付近の
高温になると結合が形成しやすいため、短時間での熱処理で合成される。

本実施の形態のプロトン伝導性無機酸化物は、固体超強酸を示すことが望ましい。プロトンの解離度を酸強度として表現でき、固体酸の酸強度はHammettの酸度関数H0として表わされ、硫酸の場合H0は−11.93である。プロトン伝導性無機酸化物は、H0<−11.93となる固体超強酸性を示すことがより好ましい。また、本実施形態における酸化物超強酸は合成法を最適化することによって、H0=−20.00まで酸性度を高めることが可能である。したがって、酸化物超強酸の酸強度は−20.00<H0<−11.93の範囲のものを使用することが望ましい。
本実施の形態の燃料電池用電極は、プロトン伝導性無機酸化物と酸化還元触媒とを含む触媒層を備え、燃料電池の燃料極及び酸化剤極の少なくとも一方として用いられる。
燃料極および酸化剤極は、それぞれ、多孔体などのガス拡散性の構造体からなり、燃料ガスや液体燃料または酸化剤ガスが流通可能である。燃料極には燃料の酸化反応、酸化剤極には酸素の還元反応を促進するため、炭素などの電子伝導性の触媒担持材上に担持された金属触媒が用いられる。このような金属触媒は、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデン、マンガン、バナジウムなどが挙げられ、単体で使用しても多元系合金であっても良い。特に、白金は触媒活性が高く、多くの場合で使用されている。また、金属触媒を担持する支持材料は電子伝導性が備わっていれば良く、炭素材料が良く用いられている。例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラック、活性炭、黒鉛などが挙げられる。
炭素等の触媒担持材への金属触媒の担持方法は特に限定されない。担持方法の一例は、触媒となる金属元素を含む物質を溶解した溶液、例えば、塩化物、硝酸塩、水素酸、オキソ酸塩などの水溶液あるいは金属アルコキシドのアルコール溶液などに炭素材料を分散した後、溶媒を除去することで触媒担持材表面に金属触媒粒子をのせ、その後、還元雰囲気で熱処理することで触媒担持材への金属触媒の担持が可能である。触媒となる金属の粒径は、通常は1nm以上50nm以下であり、触媒金属量は電極の状態で0.01mg/cm以上10mg/cm以下である。
上述のプロトン伝導性無機酸化物はプロトンを運搬する経路となるため連続性を有することが望ましい。この為、プロトン伝導性無機酸化物は、金属触媒の一部表面に面接触してこれを覆う連続皮膜であることが望ましい。プロトン伝導性無機酸化物が金属触媒の一部表面を覆う連続皮膜膜を形成することにより、酸化物粒子と触媒とが点接触する形態に比較して、プロトンの伝達を促すことができ、酸化還元反応を促進することができる。
また、プロトン伝導性無機酸化物は、酸化還元触媒、あるいはこの触媒が担持された電子伝導性担持材を結着させる無機バインダーとしても用いることができる。この際に、金属触媒同士あるいは無機酸化物同士が電子伝導パス、プロトン伝導パスを連続形成することが望ましい。このようにすることでプロトンと電子の伝導性を高めることができると考えられる。
プロトン伝導性無機酸化物は、触媒層の質量を100質量%としたときに、0.5質量%未満の含有量では触媒層の結着性やプロトン伝導性を十分に得ることができない。また、60質量%を超える含有量となると触媒層の結着性やプロトン伝導性は十分に確保するができるが、酸化還元金属触媒あるいは金属触媒担持材同士の連続性を阻害することになり、触媒層に十分な電子伝導性を確保することができない。また、触媒の表面全体をプロトン伝導性無機酸化物膜が緻密に覆い隠すと、触媒への反応物の供給が難しく、触媒反応が起こりにくくなり、安定した発電を行うことができない。したがって、プロトン伝導性無機酸化物の含有量は触媒層の質量を100質量%としたときに、0.5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、さらに1質量%以上50質量%以下が望ましい。
電極は触媒層単体で形成されていても、また触媒層を他の支持体上に形成し電極として
も良い。電極の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、上記酸化還元金属触媒
あるいは酸化還元金属触媒担持材と、プロトン伝導性無機酸化物ハインダーとを構成する
元素を含有した溶液を水やアルコールなどの有機溶媒に混合、分散してスラリーとし、こ
のスラリーを支持体上に塗布、乾燥、焼成して触媒層を形成する。また、支持体上に上記
金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材のみからなる触媒層を形成し、次いで、プロト
ン伝導性無機酸化物ハインダーを構成する元素を含有した溶液を触媒層に含浸、乾燥、焼
成して触媒層を形成することも可能である。また、上記酸化還元金属触媒あるいは酸化還
元金属触媒担持材にプロトン伝導性無機酸化物ハインダーを構成する元素を含有した溶
を含浸、乾燥、焼成して、上記酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材の表面
にプロトン伝導性無機酸化物被膜を形成した後、プロトン伝導性無機酸化物ハインダーを
構成する元素を含有した溶液と水やアルコールなどの有機溶媒を混合、分散してスラリー
とし、このスラリーを支持体上に塗布、乾燥、焼成して触媒層を形成する。また、上記酸
化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材にプロトン伝導性無機酸化物ハインダー
を構成する元素を含有した溶液を含浸、乾燥、焼成して、上記酸化還元金属触媒あるいは
酸化還元金属触媒担持材の表面にプロトン伝導性無機酸化物被膜を形成した後、この触媒
のみからなる触媒層を形成し、次いで、プロトン伝導性無機酸化物ハインダーを構成する
元素を含有した溶液を触媒層に含浸、乾燥、焼成して触媒層を形成することも可能である


支持体は特に限定されるものではなく、例えば電解質膜を支持体とし、電解質膜上に触媒層を形成して膜電極複合体としてもよい。あるいはガス透過性、電子伝導性を有する炭素製のペーパー、フェルト、クロスなどに触媒層を形成し、電解質膜と合わせて膜電極複合体としてもよい。
上記酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材と、プロトン伝導性無機酸化物とを含む電極触媒層において、酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材の表面を覆うプロトン伝導性無機酸化物被膜の厚みは、1nm未満では触媒層の結着性やプロトン伝導性を十分に得ることができない。また、500nmを超えると触媒層の結着性やプロトン伝導性は十分に確保するができるが、酸化還元金属触媒あるいは金属触媒担持材同士の連続性を阻害することになり、触媒層に十分な電子伝導性を確保することができない。また、触媒の表面全体をプロトン伝導性無機酸化物膜が緻密に覆い隠すと、燃料の酸化反応が起こりにくくなり、安定した発電を行うことができない。酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材の表面に被覆されるプロトン伝導性無機酸化物ハインダー層の厚みは1nm以上500nm以下が好ましいが、3nm以上300nm以下がより望ましい。酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材の表面に被覆されるプロトン伝導性無機酸化物被膜の厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)などの機器分析により行うことが可能である。
上記プロトン伝導性無機酸化物被膜は、プロトン伝導性無機酸化物ハインダーを構成す
る元素を含有した溶液を乾燥、焼成することで形成される。焼成を施すことにより酸化物
の結晶性の増加などに伴う結晶構造の変化が起こり、プロトン伝導性無機酸化物被膜に応
力が生じる。プロトン伝導性無機酸化物被膜の結晶性の増加や応力によって、被膜の微粉
化や酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材との結着性の低下が起こる。そこ
で、プロトン伝導性無機酸化物被膜の構造安定剤としてY、Sc、La、Sm、Gd、M
g、Ca、Sr及びBaよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Zを含
む酸化物Cを第3の成分として含有させることが有効である。上記元素Zを含む酸化物C
はプロトン伝導性無機酸化物の構成組成として0.01mol%以下では少なくて効果が
弱い。一方、40mol%以上になるとプロトン伝導性が低くなる。したがって、0.0
1〜40mol%が好ましく、0.1〜10mol%が望ましい。

プロトン伝導性無機酸化物と、酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを含む触媒層および電極は、燃料や酸化剤の供給あるいは発電に伴い発生するガスや生成水の除去など、触媒層内部の物質循環を円滑に促進するため、撥水性または親水性有機高分子を使用してもよい。撥水性有機高分子はフッ素含有ポリマーや芳香族系ポリマーなどがある。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、ポリフッ化ビニリデンやポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。また、親水性高分子は20度以上における平衡吸湿率が5%以上の有機高分子を示し、例えば、高分子構造中にヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル結合、アミド結合、エステル結合などを有している。親水性高分子は具体的にはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ酢酸ビニルなどがある。
触媒層および電極の撥水性、親水性の改質は以下の方法をとることができる。例えば、
プロトン伝導性無機酸化物を構成する元素を含有した溶液と酸化還元金属触媒あるいは酸
化還元金属触媒担持材を含む触媒層スラリーに有機高分子を溶解または分散した溶液を混
合し、この触媒層スラリーを支持体上に塗布、乾燥、焼成して触媒層を形成し、改質され
た電極とする。また、プロトン伝導性無機酸化物ハインダーを構成する元素を含有した溶
液と酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材を含む触媒層スラリーを支持体上
に塗布、乾燥、焼成して触媒層を形成し、電極とした後、この電極を、有機高分子を溶解
または分散した溶液に含浸、乾燥、焼成して改質された電極とするなどがある。

なお、有機高分子以外の撥水性および親水性材料を触媒層および電極の改質材料として選択しても良い。たとえば、撥水性材料としては、酸化ケイ素SiOの表面をトリメチルシリル基で修飾した疎水性シリカ(例えば、日本アエロジル社製RX200)などがある。また、親水性材料としては酸化ケイ素SiOや、紫外線を照射して超親水化処理をした酸化チタンTiOなどがある。
触媒層のプロトン伝導性、電子伝導性を高く維持しつつ、触媒層および電極の撥水性、親水性を改質することが望ましいため、撥水性または親水性有機高分子は、電極の質量を100質量%としたときに、0質量%以上30質量%以下の範囲であることが望ましい。
触媒層および電極の撥水性、親水性を改質する際に、有機高分子を焼き付ける熱処理温度は、炭化水素系の有機高分子では分解温度を考慮すればおおむね200度以下である。しかし、フッ素系有機高分子など分解温度が高いものであれば400度以下の加熱にも耐えられる。
以上説明した本実施の形態によれば、室温から150℃付近の高温でも安定した駆動が可能であり、さらに電極内のプロトン伝導性等を高めることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施形態は、燃料極と、酸化剤極と、燃料極及び酸化剤極の間に配置される電解質膜とを具備する膜電極複合体に関する。燃料極と酸化剤極の少なくとも一方の電極は、触媒層を含み、その構成及び効果については第1の実施の形態の通りである。
電解質膜は特に限定されることはなく、パーフルオロスルホン酸含有高分子電解質膜(例えば、デュポン社製の商品名ナフィオンなど)などが挙げられる。しかし、高温下でも安定した出力を得られるため、有機高分子に酸化物超強酸を含有したプロトン伝導性固体電解質膜を選択しても良い。
有機高分子に含有される酸化物超強酸は、Ti、Zr、Si、Sn、Hf、Ge、Ga、In、Ce、Nb及びAlよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Xを含有する酸化物担体と、前記酸化物担体の表面に担持され、W、Mo、Cr、B及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Yを含有する酸化物粒子とを含有するプロトン伝導性無機酸化物を含む。
酸化物担体Aの元素Xと酸化物粒子Bの元素Yとの元素比(Y/X)が0.0001未満になるとプロトンの伝導場が少ないためにプロトン伝導度が低くなる恐れがある。一方、元素比(Y/X)が5を超えると、プロトンの伝導場を元素Yを含む酸化物粒子Bが覆い隠してしまうためにプロトン伝導度が低くなる可能性がある。したがって、酸化物Aの元素Xと酸化物Bの元素Yとの元素比(Y/X)は0.0001以上5以下の範囲であることが好ましく、0.01以上1以下の範囲であることがより望ましい。
上記プロトン伝導性無機酸化物は2種類の異なる酸化物を焼成することで化学結合を形成して得られる。焼成過程において、異なる酸化物間に熱による応力が生じ結合が解かれる可能性がある。構造安定剤としてY、Sc、La、Sm、Gd、Mg、Ca、Sr及びBaよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Zを含む酸化物Cを第3の成分として酸化物担体Aまたは酸化物粒子Bに含有させることが有効である。上記元素Zを含む酸化物Cはプロトン伝導性無機酸化物の構成組成として0.01mol%以下では少なくて効果が弱い。一方、40mol%以上になるとプロトン伝導性が低くなる。したがって、0.01〜40mol%が好ましく、0.1〜10mol%が望ましい。
有機高分子は特に限定はないが、具体的にはポリスチレンやポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンあるいは他のエンジニアリングプラスチック材料が挙げられる。また、上記高分子材料にスルホン酸、リン酸、その他のプロトンキャリアをドープあるいは化学的に結合、固定化した材料、あるいはパーフルオロスルホン酸などプロトン伝導性を発現する高分子材料であってもよい。中でも、ポリアクリロニトリル(PAN)は極性が高いために好ましい。
酸化物超強酸は水分が表面に存在する場合においてプロトン伝導体としての機能を発現する。酸化物超強酸を含有する高分子に親水性有機高分子を選択することにより、酸化物超強酸に十分な水分を供給することが可能となり、高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性固体電解質を実現することができる。親水性高分子は20℃以上における平衡吸湿率が5%以上の有機高分子を示し、例えば、高分子構造中にヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル結合、アミド結合、エステル結合を含有している。親水性高分子材料は具体的にはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエステル、ポリ酢酸ビニルなどがある。なお、平衡吸湿率は温度20℃以上、相対湿度95%以上に調節した恒温恒湿中に試料膜を1週間放置して吸湿量が平衡状態となったものの重量を計測し、この試料の105℃で2時間乾燥後の重量との差より測定した。プロトン伝導性固体電解質膜において、プロトン伝導性無機酸化物と有機高分子の配合比は、高いプロトン伝導度を維持しつつ、液体燃料の透過を阻止する条件を満たすことが望ましい。膜全重量(T)に対しプロトン伝導性無機酸化物(S)の重量比(S/T)が0.1よりも小さいとプロトン伝導性無機酸化物の連続性が低下して伝導度が低くなる恐れがあるため、前記の重量比(S/T)が0.1以上0.999以下の範囲であることが望ましい。
プロトン伝導性固体電解質はプロトン伝導性無機酸化物、有機高分子を溶媒に溶解させた有機高分子溶液からなるスラリーを調整し、このスラリーをガラス基盤や樹脂基板上にキャスト、乾燥することによって溶媒を除去した後、熱処理することで作製される。熱処理温度は、炭化水素系の有機高分子では分解温度を考慮すればおおむね200度以下である。しかし、フッ素系有機高分子など分解温度が高いものであれば400度以下の加熱にも耐えられる。詳細に関しては明らかになっていないが、電解質膜の材料に親水性有機高分子を選択した場合、200度以下の熱処理によって、プロトン伝導性無機酸化物と親水性有機高分子の間で酸化反応や脱水反応、水素結合からなる相互作用、親水性有機高分子の結晶化などが生じ、親水性有機高分子の膨潤や溶解を防ぐことができるものと推測される。少なくとも、ポリビニルアルコールに関しては、200度以下の温度で熱処理することで、ポリビニルアルコール中の親水性のヒドロキシル基が固体超強酸により酸化されて疎水性のケトン基になることが赤外分光分析(IR)の結果から示唆されている。
熱処理温度は有機高分子の分解や劣化が起こらない温度で実施することが必要であり、200度以下の温度で熱処理することが望ましい。
プロトン伝導性固体電解質を燃料電池の固体電解質として使用する際には、一般的には膜の状態で使用されるが、これに限定されるものではなく筒状で用いることも可能である。即ち、プロトン伝導性無機酸化物と上記の親水性有機高分子の分散混合物を、直接膜状にキャスティングする方法、あるいは、該分散混合物を多孔質芯材、織布または不織布などに含浸キャスティングするなどの方法を採用することができる。
プロトン伝導性固体電解質膜の厚さは、特に、制限はないが強度や液体燃料の透過性、プロトン伝導性など実用に耐え得る膜を得るには10μm以上が好ましく、また、膜抵抗の低減のためには300μm以下が好ましい。特に、燃料電池の内部抵抗を小さくするためには、10〜100μmがより好ましい。
膜の厚さを制御するには、例えば前記のプロトン伝導性無機酸化物と上記の有機高分子の分散混合物を、直接膜状にキャスティングする場合、キャストするプロトン伝導性無機酸化物と上記の有機高分子の分散混合物の量あるいはキャスト面積で変更できるほか、膜形成後、ホットプレス機などにより膜を加熱、加圧して、膜厚さを薄くすることもできるが、特に限定されるものではない。
電解質膜と電極との接合は、加熱、加圧できる装置を用いて実施される。一般的にはホットプレス機により行われる。その際のプレス温度は電解質膜に使用する高分子のガラス転移温度以上であれば良く、一般には100℃以上400℃以下である。プレス圧は使用する電極の硬さに依存するが、通常、5kg/cm〜200kg/cmである。
本実施の形態の膜電極複合体によれば、室温から150℃付近の高温でも安定した出力を供給でき、さらに電極内のプロトン伝導性と電子伝導性を高めることができる。特に、燃料極、電解質膜、及び酸化剤極に酸化物超強酸を用いることでプロトンや電子を速やかに移動させることができる。
(第3の実施の形態)
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る膜電極複合体を備えた燃料電池について、図1を参照しつつ説明する。
図1は第3の実施の形態に係る液体燃料電池を模式的に示す断面図である。液体燃料電池のスタック100は、2つの単電池を積層することによって形成される。積層する単電池の数は3以上とすることができる。スタック100の一側面には、燃料導入路1が配置されている。燃料導入路1には、液体燃料タンク(図示しない)から導入管(図示しない)を通して液体燃料が供給される。各単電池は、燃料極(アノード)2と、酸化剤極(カソード)3と、燃料極2及び酸化剤極3の間に配置された電解質膜4とから構成された膜電極複合体(起電部)5を備える。燃料極2および酸化剤極3は、燃料や酸化剤ガスを流通させるとともに電子を通すように、導電性の多孔質体で構成されていることが望ましい。
各単電池は、燃料極2に積層された燃料気化部6と、燃料気化部6に積層された燃料浸透部7と、酸化剤極3に積層されたカソードセパレータ8とをさらに備える。燃料浸透部7は、液体燃料を保持する機能を有する。この液体燃料は、燃料導入路1から供給される。燃料気化部6は、燃料浸透部7に保持された液体燃料の気化成分を燃料極2に導く役割をなす。カソードセパレータ8の酸化剤極3と対向する面には、酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス供給溝9が連続溝として設けられている。溝9は、図2の紙面奥行き方向に伸びる、互いに平行な溝である。発電に伴い生成した水は溝9を通して起電部より排出される。また、カソードセパレータ8は、隣り合う起電部5同士を直列に電気接続する役割も果たしている。
なお、図1のように単電池を積層してスタック100を構成する場合、カソードセパレータ8、燃料浸透部7および燃料気化部6は、発生した電子を伝導する集電板としての機能も果たすため、カーボンや金属を含有した多孔質体などの導電性材料により形成されることが望ましい。
上述したように、図1のスタックにおけるカソードセパレータの酸化剤ガス供給溝9は、酸化剤ガスを流すチャンネルとしての機能を併せ持つものである。このように、セパレーターとチャンネル形成用部材との両方の機能を有する部品8(以下、チャンネル兼用セパレーターと称する)を用いることによって、部品点数を削減することができるので、よりいっそう燃料電池の小型化を図ることが可能となる。あるいは、このセパレーター8に代えてセパレーター8と別体のチャンネルを用いることもできる。
燃料貯蔵タンク(図示せず)から液体燃料導入路1に液体燃料を供給する方法としては、燃料貯蔵タンク内に収容された液体燃料を自由落下させて、液体燃料導入路1に導入する方法が挙げられる。この方法は、スタック100の上面より高い位置に燃料貯蔵タンクを設けなければならないという構造上の制約はあるものの、液体燃料導入路1に確実に液体燃料を導入することができる。他の方法としては、液体燃料導入路1の毛管力によって、燃料貯蔵タンクから液体燃料を引き込む方法が挙げられる。この方法を採用した場合には、燃料貯蔵タンクと液体燃料導入路1との接続点、すなわち液体燃料導入路1に設けられた燃料入口の位置を、スタック100の上面より高くする必要がない。したがって、例えば、自然落下法と組み合わせると、燃料タンクの設置場所を自在に設定することができるという利点がある。
ただし、毛管力で液体燃料導入路1に導入された液体燃料を、引き続き円滑に毛管力で燃料浸透部7に供給するためには、液体燃料導入路1の毛管力より燃料浸透部7への毛管力のほうが大きくなるように設定することが望まれる。なお、液体燃料導入路1の数は、スタック100の側面に沿って1つに限定されるものではなく、スタック100の他方の側面にも液体燃料導入路1を形成することが可能である。
また、上述したような燃料貯蔵タンクは電池本体から着脱可能とすることができる。これによって、燃料貯蔵タンクを交換することで、電池の作動を継続して長時間行なうことが可能となる。また、燃料貯蔵タンクから液体燃料導入路1への液体燃料の供給は、上述したような自然落下やタンク内の内圧等で液体燃料を押し出すような構成、あるいは、液体燃料導入路1の毛管力によって燃料を引き出すような構成とすることもできる。
上述したような手法によって、液体燃料導入路1内に導入された液体燃料は、燃料浸透部7に供給される。燃料浸透部7の形態は、液体燃料をその内部に保持し、気化した燃料のみを燃料気化部6を通して燃料極2に供給するような機能を有していれば特に限定されるものではない。例えば、液体燃料の通路を有して、その燃料気化部6との界面に気液分離膜を具備するものとすることができる。さらに、補機を用いずに毛管力により燃料浸透部7に液体燃料を供給する場合には、燃料浸透部7の形態は、液体燃料を毛管力で浸透し得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、粒子やフィラーからなる多孔質体や、抄紙法で製造した不織布、繊維を織った織布等のほかに、ガラスやプラスチック等の板との間に形成された狭い隙間等も用いることができる。
ここで、燃料浸透部7として多孔質体を用いた場合について説明する。液体燃料を燃料浸透部7側に引き込むための毛管力としては、まず燃料浸透部7を構成する多孔質体自体の毛管力が挙げられる。このような毛管力を利用する場合、多孔質体である燃料浸透部7の孔を連結させた、いわゆる連続孔とし、その孔径を制御するとともに、液体燃料導入部1側の燃料浸透部7側面から少なくとも他の一面まで連続した連続孔とすることによって、液体燃料を横方向で円滑に毛管力で供給することが可能となる。
燃料浸透部7として用いられる多孔質体の孔径等は、液体燃料導入路1の液体燃料を引き込むことができるものであればよく、特に限定されるものではないが、液体燃料導入路1の毛管力を考慮したうえで、0.01μm以上150μm以下程度とすることが好ましい。また、多孔質体における孔の連続性の指標となる孔の体積は、20%以上90%以下程度とすることが好ましい。孔径が0.01μmより小さい場合には燃料浸透部7の製造が困難となり、一方、150μmを越えると毛管力が低下するおそれがある。また、孔の体積が20%未満となると連続孔の量が減少して閉鎖された孔が増えるため、十分な毛管力を得ることが困難になる。その一方、孔の体積が90%を越えると連続孔の量は増加するものの、強度的に弱くなるとともに製造が困難となる。実用的には、燃料浸透部7を構成する多孔質体は、孔径が0.5μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、孔の体積は30%以上75%以下の範囲とすることが望ましい。
このような燃料電池は、室温からでも電池反応が生じるが、50℃〜150℃の高い温度で作動させる方が、電極の触媒活性が向上し電極過電圧が減少するために望ましい。また、電極触媒層のプロトン伝導性バインダーのプロトン伝導能を十分に発揮させるため、水分管理が容易な温度で作動させることが望ましい。燃料電池の作動温度の好ましい範囲は室温〜150℃である。
以上説明した本実施の形態によれば、室温から150℃付近の高温でも安定した出力を供給でき、さらに電極内のプロトン伝導性等を高めたことでより高い出力の得られる燃料電池を提供することができる。
以下、具体的ではあるが限定的ではない実施例を示して、本発明の実施の形態について説明する。
参考例1)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlに
、塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlを混合し、酸化物超強酸の
前駆体溶液を調整した。この溶液は、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ
素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1となるように調整した。また、水、エ
タノール混合溶媒に対し、乾燥、焼成後、酸化物超強酸の固体成分が3%含まれるように
調整した。

10%Pt担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。
このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ50μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、51μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して19%だった。
アノード電極およびカソード電極の触媒層内で合成された酸化物超強酸バインダーは、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1の酸化バナジウム担持酸化ケイ素だった。触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、この酸化バナジウム担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に帰属されるものしか観測されず、酸化バナジウムは非晶質構造を有していることを確認することができた。
なお、プロトン伝導性無機材料粉末の元素比(Y/X)は以下に説明する方法で測定した。元素比(Y/X)の測定方法はエネルギー分散型X線分析(EDX)、X線電子分光法(XPS)、 高周波プラズマ発光分析(ICP)により行った。
参考例2)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlに
、塩化クロム6水和物CrCl・6HOを1.3g溶解した蒸留水50mlを混合し
、酸化物超強酸の前駆体溶液を調整した。この溶液は、酸化クロムのクロム元素(Y)と
酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1となるように調整した。また
、水、エタノール混合溶媒に対し、乾燥、焼成後、酸化物超強酸の固体成分が3%含まれ
るように調整した。

10%Pt担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ52μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、53μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
アノード電極およびカソード電極の触媒層内で合成された酸化物超強酸バインダーは、酸化クロムのクロム元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1の酸化クロム担持酸化ケイ素だった。触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、この酸化クロム担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に帰属されるものしか観測されず、酸化クロムは非晶質構造を有していることを確認することができた。
参考例3)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液60mlに
、モリブデン酸HMoOを0.8g溶解した2%塩酸水溶液50mlを混合し、酸化
物超強酸の前駆体溶液を調整した。この溶液は、酸化モリブデンのモリブデン元素(Y)
と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1となるように調整した。ま
た、水、エタノール混合溶媒に対し、乾燥、焼成後、酸化物超強酸の固体成分が3%含ま
れるように調整した。

10%Pt担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ50μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、50μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。
アノード電極およびカソード電極の触媒層内で合成された酸化物超強酸バインダーは、酸化モリブデンのモリブデン元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1の酸化モリブデン担持酸化ケイ素だった。触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、この酸化モリブデン担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に帰属されるものしか観測されず、酸化モリブデンは非晶質構造を有していることを確認することができた。
参考例4)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液70mlに
、塩化タングステンWClを1.9g溶解したエタノール溶液50mlを混合し、酸化
物超強酸の前駆体溶液を調整した。この溶液は、酸化タングステンのタングステン元素(
Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1となるように調整した
。また、水、エタノール混合溶媒に対し、乾燥、焼成後、酸化物超強酸の固体成分が3%
含まれるように調整した。

10%Pt担持カーボン粉末0。5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ49μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4g、水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、51μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。
アノード電極およびカソード電極の触媒層内で合成された酸化物超強酸バインダーは、酸化タングステンのタングステン元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1の酸化タングステン担持酸化ケイ素だった。触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、この酸化タングステン担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に帰属されるものしか観測されず、酸化タングステンは非晶質構造を有していることを確認することができた。
(実施例5)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlから、塩化チタンTiClを8g溶解したエタノール溶液70mlに変更した以外は参考例1と同様の操作を行った。酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化チタンのチタン元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ50μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。一方、アノード電極は、53μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。
(実施例6)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlから、塩化チタンTiClを8g溶解したエタノール溶液70mlに変更した以外は参考例2と同様の操作を行った。酸化クロムのクロム元素(Y)と酸化チタンのチタン元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ51μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。一方、アノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
(実施例7)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液60mlから、塩化チタンTiClを8g溶解したエタノール溶液80mlに変更した以外は参考例3と同様の操作を行った。酸化モリブデンのモリブデン元素(Y)と酸化チタンのチタン元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ53μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。一方、アノード電極は、56μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して24%だった。
(実施例8)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液70mlから、塩化チタンTiClを8g溶解したエタノール溶液100mlに変更した以外は参考例4と同様の操作を行った。酸化タングステンのタングステン元素(Y)と酸化チタンのチタン元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ52μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。一方、アノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった。
図2及び図3に実施例8により得たアノード触媒層の透過型電子顕微鏡像を示す。繊維状カーボンにPtRu触媒を担持したPtRu触媒担持カーボンについて、図2は一本の繊維状カーボンの繊維長方向の断面、図3は繊維長方向に垂直な断面からの観察である。図2及び図3からも明らかなように、繊維状カーボンにPtRu触媒を担持したPtRu触媒担持カーボンの表面に、酸化タングステンと酸化チタンからなる酸化物超強酸被膜(バインダー)が形成されている。
(実施例9)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
ら、塩化酸化ジルコニウム8水和物ZrOCl・8HOを14g溶解した水溶液14
0mlに変更した以外は参考例1と同様の操作を行った。酸化バナジウムのバナジウム元
素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である
酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ51μmの触媒層からなり、P
t触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった
。一方、アノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cm2
で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。

(実施例10)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
ら、塩化酸化ジルコニウム8水和物ZrOCl・8HOを14g溶解した水溶液14
0mlに変更した以外は参考例2と同様の操作を行った。酸化クロムのクロム元素(Y)
と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超
強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ53μmの触媒層からなり、Pt触媒量
4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。一方、
アノード電極は、54μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cm2で、酸化
物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。

(実施例11)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液60mlか
ら、塩化酸化ジルコニウム8水和物ZrOCl・8HOを14g溶解した水溶液15
0mlに変更した以外は参考例3と同様の操作を行った。酸化モリブデンのモリブデン元
素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である
酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ51μmの触媒層からなり、P
t触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった
。一方、アノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cm2
で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。

(実施例12)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液70mlか
ら、塩化酸化ジルコニウム8水和物ZrOCl・8HOを14g溶解した水溶液15
0mlに変更した以外は参考例4と同様の操作を行った。酸化タングステンのタングステ
ン元素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1で
ある酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ53μmの触媒層からなり
、Pt触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だ
った。一方、アノード電極は、54μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/c
m2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった。

(実施例13)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
ら,塩化スズ5水和物SnCl・5HOを16g溶解した水溶液190mlに変更し
た以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化
スズのスズ元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有し
たカソード電極は,厚さ52μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/cm2で,酸化
物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった.一方、アノード電極は,51μ
mの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触
媒層重量に対して23%だった.
(実施例14)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
ら,塩化スズ5水和物SnCl・5HOを16g溶解した水溶液190mlに変更し
た以外は参考例2と同様の操作を行った.酸化クロムのクロム元素(Y)と酸化スズのス
ズ元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソー
ド電極は,厚さ53μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸
の含有量は全触媒層重量に対して21%だった.一方、アノード電極は,54μmの触媒
層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量
に対して25%だった.
(実施例15)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液60mlか
ら,塩化スズ5水和物SnCl・5HOを16g溶解した水溶液200mlに変更し
た以外は参考例3と同様の操作を行った.酸化モリブデンのモリブデン元素(Y)と酸化
スズのスズ元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有し
たカソード電極は,厚さ52μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/cm2で,酸化
物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった.一方、アノード電極は,51μ
mの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触
媒層重量に対して25%だった.
(実施例16)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液70mlか
ら,塩化スズ5水和物SnCl・5HOを16g溶解した水溶液200mlに変更し
た以外は参考例4と同様の操作を行った.酸化タングステンのタングステン元素(Y)と
酸化スズのスズ元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含
有したカソード電極は,厚さ55μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/cm2で,
酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった.一方、アノード電極は,5
2μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は
全触媒層重量に対して22%だった.
(実施例17)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlから
テトラ-i-プロポキシハフニウムHf(O−i−Cを25g溶解したエタノール
溶液350mlに,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlか
らホウ酸トリメチルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更
し、加水分解を行った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(
Y)と酸化ハフニウムのハフニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超
強酸バインダーを含有したカソード電極は,厚さ52μmの触媒層からなり,Pt触媒量
4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった.一方、
アノード電極は,53μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化
物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった.
参考例18)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlから
トリ-i-プロポキシインジウムIn(O−i−Cを18g溶解したエタノール溶
液230mlに,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlから
ホウ酸トリメチルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更し
、加水分解を行った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(Y
)と酸化インジウムのインジウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強
酸バインダーを含有したカソード電極は,厚さ51μmの触媒層からなり,Pt触媒量4
mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった.一方、ア
ノード電極は,50μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物
超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった.
参考例19)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlから
テトラエトキシゲルマニウムGe(OCを17g溶解したエタノール溶液18
0mlに,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlからホウ酸
トリメチルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更し、加水
分解を行った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(Y)と酸
化ゲルマニウムのゲルマニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸
バインダーを含有したカソード電極は,厚さ53μmの触媒層からなり,Pt触媒量4m
g/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して24%だった.一方、アノ
ード電極は,51μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超
強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった.
参考例20)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
らトリ-i-プロポキシガリウムGa(O−i−Cを17g溶解したエタノール溶
液160mlに,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlから
ホウ酸トリメチルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更し
、加水分解を行った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(Y
)と酸化ガリウムのガリウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バ
インダーを含有したカソード電極は,厚さ50μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg
/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった.一方、アノー
ド電極は,52μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強
酸の含有量は全触媒層重量に対して24%だった.
(実施例21)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
ら硝酸セリウム六水和物Ce(NO・6HOを30g溶解したエタノール溶液3
50mlに,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlからホウ
酸トリメチルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更し、加
水分解を行った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(Y)と
酸化セリウムのセリウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バイン
ダーを含有したカソード電極は,厚さ51μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/c
m2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった.一方、アノード電
極は,52μmの触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の
含有量は全触媒層重量に対して23%だった.
(実施例22)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlか
らニオブエトキシドNb(OCを20g溶解したエタノール溶液230mlに
,また,塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlからホウ酸トリメチ
ルB(OCHを0.7g溶解したエタノール溶液50mlに変更し、加水分解を行
った以外は参考例1と同様の操作を行った.酸化ホウ素のホウ素元素(Y)と酸化ニオブ
のニオブ元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有した
カソード電極は,厚さ50μmの触媒層からなり,Pt触媒量4mg/cm2で,酸化物
超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった.一方、アノード電極は,54μm
の触媒層からなり,Pt−Ru触媒量4mg/cm2で,酸化物超強酸の含有量は全触媒
層重量に対して22%だった.
(比較例1)
10%Pt担持カーボンをカソード触媒として含有する電極(触媒量:Pt4mg/c
m2、E−tek社製)に5%ナフィオン溶液を含浸させたものをカソード電極として用
意した。また、10%Pt−Ru担持カーボンをアノード触媒として含有する電極(触媒
量:Pt−Ru4mg/cm2、E−tek社製)に5%ナフィオン溶液を含浸させたも
のをアノード極として用意した。

(比較例2)
塩化バナジウムVClを2g溶解した蒸留水300mlに酸化チタンTiOを7g加えた混合溶液を常に撹拌しながら80℃まで加熱し、100ml/時の蒸発速度で水を除去した。この後さらに100℃の乾燥器内で12時間保持して粉末を得た。この粉末をメノウ乳鉢で粉砕して粉末状にした後、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で600℃まで加熱し、さらに600℃を4時間保持することにより、酸化バナジウムのバナジウム元素()と酸化チタンチタン元素()との元素比Y/Xが0.1で、比表面積が55m/gである酸化バナジウム担持酸化チタンを得た。この酸化バナジウム担持酸化チタンについてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化チタンに帰属されるものしか観測されず、酸化バナジウムは非晶質構造を有していることを確認することができた。
10%Pt担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸粉末0.15g、5%PVA水溶液水2g、エタノール2.5g、水2.5gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、150℃、10分で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ50μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと前工程で調整した酸化物超強酸粉末0.15g、5%PVA水溶液水2g、エタノール2.5g、水2.5gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極を窒素気流中、150℃、10分で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。
実施例17、実施例21〜22、参考例1〜4、参考例18〜20で得られたアノ
ード電極およびカソード電極の触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、プロトン伝
導性バインダーについて、m−ニトロトルエン(pKa=−11.99)、p−ニトロフ
ルオロベンゼン(pKa=−12.40)、p−ニトロクロロベンゼン(pKa=−12
.70)、m−ニトロクロロベンゼン(pKa=−13.16)、2、4−ジニトロトル
エン(pKa=−13.75)、2、4−ジニトロフルオロベンゼン(pKa=−14.
52)1,3,5−トリニトロベンゼン(pKa=−16.04)からなる酸性指示薬に
より、固体超強酸性を示すことがわかった。また,SnOあるいは酸化物超強酸が着色
している場合、酸性指示薬の変色から固体酸性を評価することは難しい。そのような場合
、固体超強酸性はアンモニア昇温脱理法(TPD)法を用いても測定が可能である.これ
は固体酸試料にアンモニアガスを吸着させ,試料を昇温することで脱離するアンモニアの
脱離量と脱離温度を検出し,解析するものである.各プロトン伝導性膜のHammett
の酸度関数H0を下記表1に示す。

また、実施例17、実施例21〜22、参考例1〜4、参考例18〜20及び比較
例1〜2の電極を用いて以下に説明する方法で液体燃料電池を組み立てた。この液体燃料
電池の断面模式図を図4に示す。

燃料極12と酸化剤極13の間にパーフルオロスルホンサン膜(ナフィオン117膜)プロトン伝導性膜11を配置し、120℃で5分間、100kg/cmの圧力でホットプレスして接合することにより膜電極複合体を作製し、起電部15を得た。
こうして得られた起電部15の燃料極12に、燃料気化部16としての平均孔径100μmかつ気孔率70%のカーボン多孔質板を積層した。この燃料気化部16上に燃料浸透部17としての平均孔径5μm、気孔率40%のカーボン多孔質板を配置した。これらを、酸化剤ガス供給溝19付きの酸化剤極ホルダー20と、燃料極ホルダー21との内部に組み込んで、図4に示すような構成を有する単電池を作製した。この単電池の反応面積は10cmである。なお、酸化剤極ホルダー20の酸化剤ガス供給溝19は、深さが2mmで、幅が1mmである。
このようにして得た液体燃料電池に、20%メタノール水溶液を図4に示すように燃料浸透部17の側面から毛管力で導入した。一方、酸化剤ガスとして1atmの空気を100ml/minでガスチャンネル19に流し、発電を行った。発電反応に伴って発生した炭酸ガス(CO)は、図4に示されるように燃料気化部16から放出した。最大発電量を下記表1に示す。
また、液体燃料電池のセル抵抗は、カーボン製のセルホルダーに接触している電流取り出し板間に1kHzの交流電圧を印加し、流れる電流値を計測する抵抗計によって測定した。セル抵抗を下記表1に示す。
表1に、各膜電極複合体について、セル抵抗と20%メタノール溶液測定結果を示した

Figure 0004461088
表1から明らかなように、実施例17、実施例21〜22の電極は、比較例1のナ
フィオン溶液を触媒層バインダーに使用した電極と比較しセル抵抗は大きく低下したこと
がわかる。

表1の比較例1で示されるように、ナフィオン溶液を触媒層に使用した電極を備えた燃
料電池においては、20%メタノール溶液では触媒層でのメタノールの反応が十分に起こ
らず、メタノールクロスオーバーの影響が大きく出力に影響し、また、セル抵抗が大きい
ため、最大でも2.0mW/cm2の発電量しか得ることができなかった。これに対して
、実施例〜12、参考例1〜4の酸化物超強酸を触媒層のバインダーに使用した電極を
備えた燃料電池では、電極反応が良好に起こり、また、触媒層の抵抗も低く、セル抵抗が
低いため、良好な発電量が得られた。そのうち、酸化物担体としてSnOを使用した実
施例13〜16の燃料電池の発電量が大きく、最も優れていたのはタングステン酸化物粒
子が担持されている実施例16であった。

実施例17、実施例21〜22、参考例1〜4、参考例18〜20の酸化物超強酸
を触媒層のバインダーに使用した電極を用いた単位セルについて、燃料として20%メタ
ノール水溶液を供給し、空気を流すとともに、セルの両面を40℃に加熱して10mA/
cm2の電流をとり、電池性能の時間的安定性を観測した。その結果、数時間経過後でも
出力は安定していた。

ナフィオン溶液を触媒層バインダーに使用した電極(比較例1)を電解質膜として備えた燃料電池について、燃料として20%メタノール水溶液を供給し、空気を流すとともに、セルの両面を40℃に加熱して10mA/cmの電流をとり、電池性能の時間的安定性を観測した。その結果、数分のうちに、出力を得ることが不可能になった。
参考例23)
参考例1で得られたアノード電極を1%PVA溶液に複数回、含浸後、60℃、1時間
で乾燥した後、150度10分の熱処理による親水化処理を行うこと以外は参考例1と同
様の操作を行った。酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素
(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極
は、厚さ51μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有
量は全触媒層重量に対して20%だった。一方、親水化アノード電極は、53μmの触媒
層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量
に対して20%、PVA含有量は電極全重量に対し5%だった。なお、使用したPVAの
平衡吸湿率は20%だった。

参考例24)
参考例1で得られたカソード電極を1%PTFE分散溶液に複数回、含浸後、60℃、
1時間で乾燥した後、350度、10分の熱処理による撥水化処理を行うこと意外は参考
例1と同様の操作を行った。酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ素のシリ
コン元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したアノ
ード電極は、厚さ52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cm2で、酸化
物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して21%だった。一方、撥水化カソード電極は、
52μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cm2で、酸化物超強酸の含有量は全触
媒層重量に対して23%、PTFE含有量は電極全重量に対し5%だった。

この電極を用いて前述した参考例1で説明したのと同様にして液体燃料電池を作製した


得られた参考例23、24について、燃料電池のセル抵抗と最大発電量とを前述したの
と同様にして測定し、その結果を下記表2に示す。なお、表2には、前述した参考例1の
結果を併記する。
Figure 0004461088
表2から明らかなように、アノード電極をPVAにより親水化処理を行うことで、液体燃料のメタノールが触媒層へ浸透しやすく、燃料の供給が促進され高い発電量を得ることができたと考えられる。一方、カソード電極をPTFEによって、撥水化処理を施した場合、発電で生成した水分が触媒層に停滞しにくくなり、プロトン伝導性無機酸化物バインダーへ供給される水分が減少していると予想される。したがって、セル抵抗は高くなったと考えられるが、カソードへ酸化剤が供給されやすくなったため高い発電量を得ることができたと考えられる。
(実施例25)
焼成温度を600度から300度に変更した以外は実施例9と同様の操作を行い、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ50μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。一方、アノード電極は、51μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
(実施例26)
焼成温度を600度から800度に変更した以外は実施例9と同様の操作を行い、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1である酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ51μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった。一方、アノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった。
(実施例27)
酢酸イットリウム四水和物Y(CHCOO)・4HOを1.5g溶解した水溶液20mlを追加し、焼成温度を600度から800度に変更した以外は実施例9と同様の操作を行い、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)との元素比Y/Xが0.1であり、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ジルコニウムのジルコニウム元素(X)と酸化イットリウムのイットリウム元素(Z)の総元素量に対する酸化イットリウムのイットリウム元素(Z)が7mol%である。この酸化物超強酸バインダーを含有したカソード電極は、厚さ52μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して23%だった。一方、アノード電極は、50μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
この電極を用いて前述した参考例1で説明したのと同様にして液体燃料電池を作製した


得られた実施例25、26、27について、燃料電池のセル抵抗と最大発電量とを前述したのと同様にして測定し、その結果を下記表3に示す。なお、表3には、前述した参考例1の結果を併記する。
Figure 0004461088
表3からも明らかなように、熱処理温度が300℃では酸化バナジウムと酸化ジルコニウムの間に十分な結合ができてないためにセル抵抗が高く、出力が低下したと考えられる。一方、800℃で焼成した場合、電極触媒層に大きなクラックが生じていた。プロトン伝導性無機酸化物バインダーの結晶性増加による応力が発生し、酸化物の堆積収縮および凝集が触媒にクラックを発生させたものと考えられる。また、この凝集により電極反応場となる三相界面量が減少し、また、燃料のメタノールがクラックを通り、電解質膜に直接接触するため、メタノールクロスオーバー量が増加し、出力が低下したと考えられる。しかしながら、プロトン伝導性無機酸化物バインダーの構成酸化物に酸化イットリウムを添加した場合、電極触媒層にクラックが生じなかった。プロトン伝導性無機酸化物バインダーの焼成に伴う結晶系の変化を酸化イットリウムが安定化させたことに起因すると予想される。酸化物超強酸の焼成温度や触媒層の微細構造、特に三相界面量などを総合して、600℃で焼成した電極がもっとも高い出力を示したと考えられる。
参考例28)
テトラエトキシシラン(CO)Siを9g溶解したエタノール溶液50mlに
、塩化バナジウムVClを0.7g溶解した蒸留水50mlを混合し、酸化物超強酸の
前駆体溶液を調整した。この溶液は、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ
素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1となるように調整した。また、水、エ
タノール混合溶媒に対し、乾燥、焼成後、酸化物超強酸の固体成分が3%含まれるように
調整した。

10%Pt担持カーボン粉末0.5gと水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでカソード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極に前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4gを含浸し、60℃、1時間で乾燥後、窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、カソード電極とした。このカソード電極は、厚さ51μmの触媒層からなり、Pt触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して22%だった。
また、10%Pt−Ru担持カーボン粉末0.5gと水1g、エタノール1gを混合した。この混合物をジルコニアボールとともに密閉容器に移し、卓上ボールミルで6時間混合することでアノード触媒スラリーを調整した。このスラリーをカーボンペーパー上に塗布し、60℃、1時間で乾燥した。さらにこの電極に前工程で調整した酸化物超強酸の前駆体溶液4gを含浸し、60℃、1時間で乾燥後、窒素気流中、600℃、4時間で焼成し、アノード電極とした。このアノード電極は、52μmの触媒層からなり、Pt−Ru触媒量4mg/cmで、酸化物超強酸の含有量は全触媒層重量に対して20%だった。
アノード電極およびカソード電極の触媒層内で合成された酸化物超強酸バインダーは、酸化バナジウムのバナジウム元素(Y)と酸化ケイ素のシリコン元素(X)との元素比Y/Xが0.1の酸化バナジウム担持酸化ケイ素だった。触媒層をカーボンペーパーから剥離、粉砕し、この酸化バナジウム担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に帰属されるものしか観測されず、酸化バナジウムは非晶質構造を有していることを確認することができた。
この電極を用いて前述した参考例1で説明したのと同様にして液体燃料電池を作製した


得られた参考例28について、燃料電池のセル抵抗と最大発電量とを前述したのと同様
にして測定し、その結果を下記表4に示す。なお、表4には、前述した参考例1の結果を
併記する。
Figure 0004461088
表4からも明らかなように、触媒粒子からなる触媒層をカーボンペーパー上に形成した後、プロトン伝導性無機酸化物バインダーで結着させた電極は、触媒スラリーに酸化物超強酸の前駆体溶液を同時に混合して触媒層を形成した場合よりも、触媒の担体であるカーボン粒子が予め連続した状態を形成できるため、電子伝導性が十分に確保することができ、セル抵抗を低くすることができる。したがって、最大発電量が高くなったと考えられる。
参考例29)
塩化バナジウムVClを2g溶解した蒸留水300mlに酸化ケイ素SiOを5g
加えた混合溶液を常に撹拌しながら80℃まで加熱し、100ml/時の蒸発速度で水を
除去した。この後さらに100℃の乾燥器内で12時間保持して粉末を得た。この粉末を
メノウ乳鉢で粉砕して粉末状にした後、アルミナ坩堝内において昇温速度100℃/時で
600℃まで加熱し、さらに600℃を4時間保持することにより、酸化バナジウムのバ
ナジウム元素(X)と酸化ケイ素のシリコン元素(Y)との元素比X/Yが0.1で、比
表面積が53m2/gである酸化バナジウム担持酸化ケイ素を得た。この酸化バナジウム
担持酸化ケイ素についてX線回折測定を行ったところ、回折ピークはすべて酸化ケイ素に
帰属されるものしか観測されず、酸化バナジウムは非晶質構造を有していることを確認す
ることができた。

このプロトン伝導性無機材料粉末1gを5%ポリビニルアルコール(PVA)の水溶液2gに加え、室温で10分間撹拌し、スラリーを調製した。このスラリーを四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂製シャーレに入れ、溶媒を大気中、60℃、150℃で乾燥させ、電解質膜とした。膜全重量(T)に対するプロトン伝導性無機材料(S)の比S/Tは0.9となり、電解質膜の膜厚は150μmだった。
参考例1で得られた燃料極及び酸化剤極と、参考29で得られたプロトン伝導性膜を
使用すること以外は、前述した参考例1で説明したのと同様にして燃料電池を作製した。

得られた参考例29について、燃料電池のセル抵抗と最大発電量を測定し、その結果を
下記表5に示す。なお、表5には、前述した参考例1、比較例1の結果を併記する。
Figure 0004461088
表5から明らかなように、電極や電解質膜に使用したプロトン伝導体の抵抗が小さいた
めセル抵抗が小さく、比較例1で得た膜電極複合体よりも参考例1および参考例29で得
た膜電極複合体は高い出力特性を示した。
以上詳述したように本発明によれば、小型で性能が高く、しかも安定した出力を供給可能な燃料電池を得ることが可能となり、その工業的価値は絶大である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の燃料電池の一実施形態に係る液体燃料電池を模式的に示した断面図 実施例8のアノード触媒層の透過型電子顕微鏡像 実施例8のアノード触媒層の透過型電子顕微鏡像 実施例の液体燃料電池の構成を模式的に示した断面図
符号の説明
1…液体燃料導入路、2…アノード、3…カソード、4…電解質膜、5…膜電極複合体(起電部)、6…燃料気化部、7…燃料浸透部、8…カソードセパレータ、9…酸化剤ガス供給溝、10…酸化剤極側ホルダー、11…燃料極側ホルダー、100…スタック。

Claims (10)

  1. 触媒層を備える燃料電池用電極であって、
    前記触媒層は、下記に示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選
    択される元素Xを含む酸化物、及び、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hamme
    ttの酸度関数H 0 が、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸を含んだプ
    ロトン伝導性無機酸化物被膜と、前記プロトン伝導性無機酸化物被膜によって表面の一部
    が覆われた酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とす
    る燃料電池用電極。
    (記)
    第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
    らなる元素Y
    第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y
  2. 触媒層を備える燃料電池用電極であって、
    前記触媒層は、下記に示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選
    択される元素Xを含む酸化物、及び、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hamme
    ttの酸度関数H 0 が、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸を含んだプ
    ロトン伝導性無機酸化物バインダーと、前記プロトン伝導性無機酸化物バインダーにより
    結着された酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とす
    る燃料電池用電極。
    (記)
    第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
    らなる元素Y
    第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y
  3. 前記触媒層の質量を100質量%としたときに、前記酸化物超強酸の質量は0.5質量
    %以上60質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用電極
  4. 前記酸化物超強酸は、Y、Sc、La、Sm、Gd、Mg、Ca、Sr及びBaよりな
    る群から選択される少なくとも一種類からなる元素Zを第3の成分として含有することを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
  5. 前記酸化物超強酸は、Y、Sc、La、Sm、Gd、Mg、Ca、Sr及びBaよりな
    る群から選択される少なくとも一種類からなる元素Zを第3の成分として含有し、前記元
    素Zは、プロトン伝導性無機酸化物ハインダー中に0.01mol%以上40mol%以
    下含まれることを特徴とする請求項記載の燃料電池用電極。
  6. 前記第1の組み合わせが選択された燃料電池用電極において、前記元素XはSn、前記
    元素YはW、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類であることを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
  7. 前記触媒層は、前記酸化還元触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材と、前記元素Xと、
    前記元素Yとを含有した溶液及び溶媒を混合したスラリーを支持体上に塗布した後、前記
    支持体を乾燥し、焼成することにより形成された触媒層であることを特徴とする請求項1
    乃至のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
  8. 前記触媒層は、支持体上に前記酸化還元金属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材を含
    む触媒層を形成した後、前記元素Xと、前記元素Yとを含有した溶液を前記触媒層に含浸
    させ、前記溶液を含んだ前記触媒層を乾燥、焼成することにより形成した触媒層であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の燃料電池用電極。
  9. 燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に配置された電解質膜とを具
    備する膜電極複合体であって、
    前記燃料極及び前記酸化剤極の少なくとも一方が触媒層を含み、前記触媒層は、下記に示
    す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選択される元素Xを含む酸
    化物、及び、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hammettの酸度関数H 0 が、
    −20.00<H 0 <−11.93である酸化物超強酸を含んだプロトン伝導性無機酸化
    物被膜と、前記プロトン伝導性無機酸化物被膜によって表面の一部が覆われた酸化還元金
    属触媒あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とする膜電極複合体。
    (記)
    第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
    らなる元素Y
    第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y
  10. 燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に配置された電解質膜とを具
    備する燃料電池であって、
    前記燃料極及び前記酸化剤極の少なくとも一方が触媒層を含み、前記触媒層は、下記に
    示す第1の組み合わせ、または第2の組み合わせのいずれかから選択される元素Xを含む
    酸化物、及び、元素Yを含む酸化物が化学的に結合し、Hammettの酸度関数H 0
    、−20.00<H 0 <−11.93である酸化物を含んだプロトン伝導性無機酸化物被
    膜と、前記プロトン伝導性無機酸化物膜によって表面の一部が覆われた酸化還元金属触媒
    あるいは酸化還元金属触媒担持材とを備えることを特徴とする燃料電池。
    (記)
    第1の組み合わせ:Ti、Zr及びSnよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、W、Mo、Cr及びVよりなる群から選択される少なくとも一種類か
    らなる元素Y
    第2の組み合わせ:Hf、Ce及びNbよりなる群から選択される少なくとも一種類から
    なる元素X、及び、Bよりなる群から選択される少なくとも一種類からなる元素Y
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