JP4455786B2 - 多孔質材料の製造方法及びこれに用いる中空状顆粒の製造方法 - Google Patents

多孔質材料の製造方法及びこれに用いる中空状顆粒の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔質材料の製造方法、並びに、当該多孔質材料の製造方法に用いるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジン排気ガスのような含塵流体中の粒子状物質を捕集除去するためのフィルタ、又は排気ガス中の有害物質を浄化する触媒成分を担持するための触媒担体として、複数のそれぞれ隣接したセルの複合体を形成するセル隔壁(リブ)と、このセル複合体の最外周に位置する最外周セルを囲繞して保持するハニカム外壁とから構成された多孔質のハニカム構造体が広く用いられ、また、その構成材料としては炭化珪素(SiC)、コーディエライト等のセラミックス材料が用いられている。
【0003】
具体的な関連技術として、例えば特開平6−182228号公報には、所定の比表面積を有するとともに不純物を含有する炭化珪素粉末を出発原料とし、これを所望の形状に成形、乾燥後、1600〜2200℃の温度範囲で焼成して得られるハニカム構造の多孔質炭化珪素質触媒担体が開示されている。
【0004】
また、特開平5−213665号公報においては、コーディエライト質マトリックスに板状の炭化珪素を両者の含量に対して5〜40重量%存在せしめたことを特徴とするコーディエライト質複合材料が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−182228号公報に開示された触媒担体における、炭化珪素粉末自体の再結晶反応による焼結形態(ネッキング)では、炭化珪素粒子表面から炭化珪素成分が蒸発し、これが粒子間の接触部(ネック部)に凝縮することで、ネック部が成長し結合状態が得られるが、炭化珪素を蒸発させるには、非常に高い焼成温度が必要であるため、これがコスト高を招き、かつ、熱膨張率の高い材料を高温焼成しなければならないために、焼成歩留りが低下するという問題があった。
【0006】
また、上述の炭化珪素粉末自体の再結晶反応による焼結によって、高気孔率であるフィルタ、特に50%以上の気孔率を有するフィルタを製造しようとすると、この焼結機構が十分に機能しなくなるためにネック部の成長が妨げられ、これに起因してフィルタの強度が低下してしまうという問題もあった。
【0007】
更に、上述の材料は熱伝導率が30W/m・K以上と非常に高く、局所的な発熱を抑えるという点では有利であるが、例えば、触媒を担持してパティキュレートを酸化及び燃焼し、連続的に再生する方式のフィルタに用いた場合、パティキュレートの堆積量が少なく、放熱し易いといった特性から、担体の温度が上がるまでに長時間を要することになり、触媒が機能する温度にまで昇温させるのに長時間を要するため、パティキュレートの燃え残りが生じて再生効率が下がる等の問題もあった。
【0008】
なお、特開平5−213665号公報に開示されたコーディエライト質複合材料は、クリープ特性や耐衝撃性の向上には一定の効果を発揮するものの、炭化珪素の含有量が少なく、熱伝導性、化学的耐久性の面では、必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0009】
また、近年の急激な産業発達に伴い、フィルタや触媒担体の機能向上が要望されている。即ち、捕集効率の増大や圧力損失の低減のなされたフィルタや触媒担体が求められている。しかしながら、上述してきたいずれの従来技術による場合であっても、更なる捕集効率の増大や圧力損失の低減を狙いとした高気孔率化、気孔径の大径化等を行うことは困難である。
【0010】
前記問題点を解消するため、特開昭60−226416号公報においては、所定の原料溶液を火炎中等に噴霧してコーディエライトガラス質粉体を生成し、これを成形及び焼結して得られる多孔性コーディエライトセラミックスが開示されている。当該多孔性コーディエライトセラミックスは、高気孔率であるとともに、気孔の形状が球状であるため、圧力損失が低減されている。しかしながら、材質がコーディエライトであるために、特に熱伝導性、化学的耐久性の面では、必ずしも十分に満足し得るものではない。
【0011】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高気孔率、高熱伝導率である多孔質材料を低コストで簡便に製造することができる多孔質材料の製造方法、及び当該多孔質材料の製造に好適に用いることができるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料と成形助剤とを混合して造粒用原料を調製し、該造粒用原料を用いて、ドライヤーへの入口温度を200〜500℃に設定してスプレードライヤーにより噴霧造粒して中空状顆粒とすることを特徴とするコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法が提供される。
【0013】
本発明においては、コーディエライト原料に対して、外配で1〜20質量%の成形助剤を添加することが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル、及びセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を成形助剤として用いることが好ましい。
【0015】
なお、本発明においては、スプレードライヤーにより噴霧造粒した後、更に仮焼することが好ましく、又は、仮焼することに代えて成形助剤の結晶化処理をすることが好ましい。
【0016】
一方、本発明によれば、焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料からなる、上述の製造方法により製造された中空状顆粒を含む原料混合物を用いて所定形状の成形体を得、得られた該成形体を本焼成することを特徴とする多孔質材料の製造方法が提供される。
【0017】
本発明においては、原料混合物にセラミックスを添加することが好ましく、融点が1400℃以上であるセラミックスを添加することが好ましい。
【0018】
更に、本発明においては、セラミックスとして炭化珪素、ムライト、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ、スピネル、シリカ、マグネシア、炭化ホウ素、及び窒化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0019】
また、本発明においては、原料混合物を用いてハニカム形状の成形体を得ることが好ましく、本焼成を1300〜1500℃の温度範囲で実施することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0021】
本発明の一実施態様は多孔質材料の製造方法であり、焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料からなる、後述する「コーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法」により製造された中空状顆粒を含む原料混合物を用いて所定形状の成形体を得、この成形体を本焼成することを特徴とする。以下、その詳細について説明する。
【0022】
図1は、本発明の多孔質材料の製造方法の一例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示している。まず、コーディエライト原料からなる中空状顆粒11(以下、単に「中空状顆粒」と記す。)に、有機バインダー(図示せず)、及び必要に応じて水等を添加して原料混合物とする。
【0023】
なお、本発明にいう「コーディエライト原料」とは、「焼成することによりコーディエライトとなる原料」のことを意味する。得られた原料混合物を、適当な成形方法により所定の形状に成形することによって、図1(a)に示す状態の混合物(成形体)を得る。
【0024】
このとき用いる中空状顆粒の平均粒径は特に限定されるものではないが、5〜100μmのものであればよい。図5に、本発明の多孔質材料の製造方法に好適に用いられるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の粒子構造の一例である顕微鏡写真を示す。なお、当該中空状顆粒の製造方法については後述する。
【0025】
次いで、図1(a)に示す状態の混合物を本焼成することにより、図1(b)に示すような、球状の気孔4を有するコーディエライト3質の多孔質材料1を得ることができる。このような本発明に係る多孔質材料の製造方法によれば、従来の製造方法による場合と比較して、容易に高気孔率化された多孔質材料を得ることができる。
【0026】
なお、本発明に用いる中空状顆粒は、図1において示すような外周形状に限定されるものではなく、例えば、図2(a)において示すような外周形状であってもよく、その内部に中空部12を有する構造であればよい。図6は、本発明の多孔質材料の製造方法に好適に用いられるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の粒子構造の別の例である顕微鏡写真であり、コーディエライト原料に含まれる成分を溶融し、非晶質として凝固させたものをエポキシ樹脂にてコーティング及び硬化した後、その一部を研磨して得られたものである。この粒子構造の顕微鏡写真においては、コーディエライト原料により膜状の殻が形成されているとともに、その芯部には中空部が形成された状態が示されている。
【0027】
更に、本発明においては、焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料からなる中空状顆粒を含む原料混合物にセラミックスを添加することが好ましい。図3は、本発明の多孔質材料の製造方法の一例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示している。まず、コーディエライト原料からなる中空状顆粒11(以下、単に「中空状顆粒」と記す。)に、セラミックス2、有機バインダー(図示せず)、及び必要に応じて水等を添加して原料混合物とする。
【0028】
このとき用いるセラミックスには、Fe、Ca等の微量の不純物が含有される場合があるが、そのまま使用してもよく、薬品洗浄等の化学的な処理を施して精製したものを用いてもよい。得られた坏土を、適当な成形方法により所定の形状に成形することによって、図3(a)に示す混合状態(成形体)とする。これを本焼成することにより、図3(b)に示すようなコーディエライト3とセラミックス2との結合組織が形成されているとともに、球状の気孔4を有するコーディエライト3質の多孔質材料1を得ることができる。
【0029】
得られた多孔質材料1は結合組織中に骨材としてのセラミックス2を含有しているため、用いるセラミックスの物理的性質、例えば高熱伝導率等が十分に生かされる。また、骨材を含有する結合組織を形成することにより、組織の微構造を強固に支持することが可能となるため、従来の製造方法による場合と比較して容易に高気孔率化された多孔質材料を得ることができる。
【0030】
なお、中空状顆粒及び有機バインダーに、更にセラミックスを添加する場合であっても、中空状顆粒は図3(a)において示すような外周形状に限定されるものではなく、例えば、図4(a)において示すような外周形状であってもよく、その内部に中空部12を有する構造であればよい。
【0031】
また、本発明の多孔質材料の製造方法においては、融点が1400℃以上であるセラミックスを用いることが好ましく、1450℃以上であることが更に好ましく、1500℃以上であることが特に好ましい。即ち、結合材としてのコーディエライトの融点に比して、高融点であるセラミックスが骨材として含有された状態の多孔質材料を得ることができるため、コーディエライトの融点付近の温度で焼成するに際して当該セラミックスが溶融することがなく、結合組織中に分散された状態となる。従って、高温条件下、例えばDPF等として使用する場合において、フィルタ再生のためにパティキュレートを燃焼させても、フィルタを損傷させるような局所的な発熱が生じ難い多孔質材料を提供することができる。
【0032】
なお、本発明においては、用いるセラミックスの融点の上限については特に限定されるものではないが、各種セラミックスの物理的性質を考慮すると、概ね2900℃以下であればよい。
【0033】
本発明の多孔質材料の製造方法においては、セラミックスとして炭化珪素、ムライト、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ、スピネル、シリカ、マグネシア、炭化ホウ素、及び窒化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらのセラミックスは入手が容易であるだけでなく、用いることによって得られる多孔質材料に各々の物理的特性を付与することができる。ここでいう物理的特性とは、例えば高熱伝導率、高機械的強度を始めとする特性である。
【0034】
また、用いるセラミックスの形状は、粉末状、粒子状、その他の形状であってもよく、特に限定されるものではないが、その平均粒径は1〜100μmのものを用いることが好ましい。5μm以上であれば容易に所望の気孔率及び気孔径とすることができる。一方、100μmを超えると、その後の成形の際に、成形性が不良となる場合がある。
コーディエライトは焼成時に比較的容易に物質移動する性質を有することから、セラミックスの平均粒径の差異に大きく影響されることなく気孔率及び気孔径を制御することができる。
【0035】
なお、セラミックスとして炭化珪素を用いた場合、得られる多孔質材料を構成する結合組織は、再結晶SiCと同等以上の機械的強度を有することから、結果的に、平均粒径が小さな炭化珪素群がコーディエライトで細長く結合されて大きな細孔を形成する状態になったとしても、ハニカム形状等の薄壁の構造体であっても十分に維持することができる。
【0036】
所望の形状に成形することにより得られた成形体は、次いで、必要に応じて仮焼してもよい。具体的には、150〜700℃程度の所定の温度で一旦保持してもよく、また、所定温度域で昇温速度を50℃/h以下に遅くして仮焼してもよい。また、所定の温度で一旦保持する手法については、使用した有機バインダーの種類と量により、一温度水準のみの保持でも複数温度水準での保持でもよく、更に複数温度水準で保持する場合には、互いに保持時間を同じにしても異ならせてもよい。また、昇温速度を遅くする手法についても同様に、ある一温度区域間のみ遅くしても複数区間で遅くしてもよく、更に複数区間の場合には、互いに速度を同じとしても異ならせてもよい。
【0037】
本発明においては、コーディエライト原料からなる中空状顆粒を含む原料混合物は、適当な成形方法により所望とする形状となるように成形すればよく、例えば押出成形、プレス成形等を始めとする成形方法を好適に採用することができる。
【0038】
このとき、本発明においては、原料混合物を用いてハニカム形状の成形体を得ることが好ましい。即ち、得られる多孔質材料が高熱伝導率、かつ、高気孔率であるといった特徴を生かし、特に、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを捕集除去するためのDPFや、触媒担体等として高SV条件下で好適に使用することができる。
【0039】
次いで、本焼成することにより、目的とする多孔質材料を製造することができる。ここで、セラミックスとコーディエライトが結合してなる結合組織を得るためには、中空状顆粒を構成するコーディエライト原料が溶融して、コーディエライトを形成する必要がある。従って、本焼成は1300〜1500℃の温度範囲で実施することが好ましく、1320〜1500℃で実施することが更に好ましく、1350〜1480℃で実施することが特に好ましい。更に最適な焼成温度は、微構造や特性値から決定される。
【0040】
なお、特開平6−182228号公報に示される再結晶法を用いた製造方法によれば、炭化珪素粒子同士で結合した構造を有するために高い熱伝導率の焼結体が得られるが、先に述べたように蒸発凝縮という機構で焼結するので、炭化珪素を蒸発させるために、本発明の製造方法よりも高い焼成温度を必要とし、実用上使用可能な炭化珪素質多孔体を得るためには少なくとも1800℃以上、通常は2000℃以上の高温で焼成する必要がある。
【0041】
次に、本発明の別の実施態様であるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法について説明する。まず、焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料と成形助剤とを混合して造粒用原料を調製する。次いで、得られた造粒用原料を用いて、スプレードライヤーにより噴霧造粒して中空状顆粒とすることを特徴とするものである。
【0042】
まず、一般的に用いられるコーディエライト原料に成型助剤を添加し、必要に応じて水等を添加することによって造粒用原料を得る。このとき、用いる原料中にはFe、Ca等の微量の不純物が含有される場合があるが、そのまま使用してもよく、薬品洗浄等の化学的な処理を施して精製したものを用いてもよい。
【0043】
本発明においては、成型助剤は、コーディエライト原料に対して外配で1〜20質量%を添加することが好ましく、2〜15質量%を添加することが更に好ましく、5〜10質量%を添加することが特に好ましい。1質量%未満である場合には、得られる中空状顆粒の強度が不充分となり易く、その後の取り扱い時において、顆粒のつぶれを生じ易くなるために好ましくない。一方、20質量%超である場合には、得られる顆粒が中空とならずに、中空部のない中実顆粒となり易くなるために好ましくない。
【0044】
また、本発明において用いる成形助剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル、及びセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの成型助剤は入手、取り扱いが容易であるとともに、効果的に中空状顆粒を得ることができるからである。
【0045】
上述のようにして得られた造粒用原料を、スプレードライヤーにより噴霧造粒する。このとき、造粒用原料は水分中にコーディエライト原料等が分散された状態の液滴状態で加熱域中へと噴霧されるが、噴霧直後に内部に水分を閉じ込めた状態で瞬時に固められる。その後、水分が蒸発することにより、図5に示すような形状的特徴を有する、平均粒径が5〜100μm程度の中空状顆粒が得られる。
【0046】
本発明においては、スプレードライヤーのドライヤー、即ち、造粒用原料が噴霧される加熱域への入口温度を200℃以上に設定する。200℃未満である場合には、温度が低すぎるために得られる顆粒が中空になり難いために好ましくない。なお、入口温度の上限値、実質的な製造条件やエネルギー効率等を考慮して500℃とする
【0047】
本発明においては、スプレードライヤーによる噴霧造粒によって得られた中空状顆粒を更に仮焼することが好ましく、このことにより、混合や成形工程の際に加わる応力に抗するだけの強度を発現させることができ、平均粒径が5〜100μm程度の中空状顆粒を得ることができる。
なお、仮焼は一般的な仮焼条件に従って実施すればよいが、具体的には1000〜1200℃、1〜3時間程度行えばよい。但し、仮焼を実施しない場合には、その後に本発明に係る多孔質材料の製造方法に用いた場合に、混合、成形工程の際につぶれを生じ易くなり、高気孔率である多孔質材料を得ることが困難となるために好ましくない。
【0048】
一方、本発明においては、前述の仮焼に代えて成形助剤の結晶化処理を実施することも同様に好ましい。即ち、造粒用原料に含まれる成形助剤を適当な方法によって結晶化することによっても、混合や成形工程の際に加わる応力に抗するだけの強度を発現させることができる。
【0049】
なお、成形助剤の結晶化処理は、用いる成形助剤の種類や添加量等に応じ、一般的な条件に従って実施すればよい。例えば、成形助剤としてPVAを添加した場合には、具体的には125〜175℃、2〜7時間程度行えばよい。仮焼することに代えて結晶化処理を実施することにより、熱処理温度を下げることができるため、多孔質材料の製造コストを低減することも可能となる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
(実施例1〜6)
平均粒径15μmのタルク、平均粒径10μmのカオリン、及び平均粒径5μmのアルミナからなるコーディエライト原料に、表1に示す量のポリビニルアルコール(PVA)を外配で添加した。次いで、ドライヤーへの入口温度を250℃としたスプレードライヤーを用いて噴霧造粒を行うことによりコーディエライト原料からなる顆粒を得、更にこの顆粒を1100℃の温度にて2時間仮焼した。これを、表1に示す種類及び平均粒径のセラミックスと、体積比で1:1となるように配合し(但し、実施例2ではセラミックスと配合しない)、有機バインダーとしてメチルセルロース7質量%、界面活性剤1質量%を外配で加え、これを混合及び混練することにより成形用の坏土を得た。得られた坏土を所定の形状に成形した後、窒素雰囲気において1400℃の焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質材料を作製した。
【0051】
(実施例7)
仮焼することに代えて、成形助剤(PVA)の結晶化処理(150℃、5時間)を実施すること以外は、実施例1〜6と同様の操作手順により、多孔質材料を作製した。
【0052】
(比較例1)
実施例1〜6と同様の組成からなるコーディエライト原料に、平均粒径6.5μmの炭化珪素(SiC)粉末を、体積比で1:1となるように配合し、有機バインダーとしてメチルセルロース7質量%、界面活性剤1質量%を外配で加え、これを混合及び混練することにより成形用の坏土を得た。得られた坏土を所定の形状に成形した後、窒素雰囲気において1400℃の焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質材料を作製した。
【0053】
(比較例2)
実施例1〜6と同様の組成からなるコーディエライト原料に、有機バインダーとしてメチルセルロース7質量%、界面活性剤1質量%を外配で加え、これを混合及び混練することにより成形用の坏土を得た。得られた坏土を所定の形状に成形した後、大気中1400℃の焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質材料を作製した。
【0054】
(比較例3)
実施例1〜6と同様の組成からなるコーディエライト原料に、平均粒径40μmのムライトを、体積比で1:1となるように配合し、有機バインダーとしてメチルセルロース7質量%、界面活性剤1質量%を外配で加え、これを混合及び混練することにより成形用の坏土を得た。得られた坏土を所定の形状に成形した後、窒素雰囲気において1400℃の焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質材料を作製した。
【0055】
(比較例4〜6)
実施例1〜6と同様の組成からなるコーディエライト原料に、表1に示す量のPVAを外配で添加した。次いで、表1に示す入口温度としたスプレードライヤーを用いて噴霧造粒を行うことによりコーディエライト原料からなる顆粒を得、更にこの顆粒を1100℃の温度にて2時間仮焼した。これを、平均粒径6.5μmのSiC粉末と、体積比で1:1となるように配合し、有機バインダーとしてメチルセルロース7質量%、界面活性剤1質量%を外配で加え、これを混合及び混練することにより成形用の坏土を得た。得られた坏土を所定の形状に成形した後、窒素雰囲気において1400℃の焼成温度にて2時間の焼成を行い、多孔質材料を作製した。
【0056】
実施例1〜7及び比較例4〜6の操作途中において得られたコーディエライト原料からなる顆粒の平均粒径(μm)を測定した。また、顆粒の形態(中空又は中実)、及び焼成時によるつぶれの有無について評価を行った。結果を表1に示す。なお、顆粒の形態、及び焼成によるつぶれの有無についての評価方法を以下に示す。
【0057】
[顆粒の形態の評価]:
作製した顆粒を樹脂(エポキシ樹脂)でコーティング及び硬化した後に一部を研磨し、次いで顕微鏡観察することにより、顆粒の形態を評価した。より具体的には、顆粒の平均粒径が20μm以上かつ、タップ密度が0.69g/cm3未満である場合を「中空」、0.69g/cm3以上である場合を「中実」と評価した。なお、図5に、実施例1において作製した顆粒の粒子構造の顕微鏡写真を示す。
【0058】
[焼成による顆粒のつぶれの有無の評価]:
比較例1に示した、中空状顆粒の造粒操作を行わずに一般原料を使用して作製した多孔質材料と比較して、気孔率の増大分が10%以上の場合を、「(つぶれ)なし」、10%未満の場合を「(つぶれ)あり」と評価した。
【0059】
また、実施例1〜7及び比較例1〜6で得られた多孔質材料の気孔率(%)を測定した。同じく結果を表1に示す。なお、コーディエライト原料からなる顆粒の平均粒径(μm)、及び多孔質材料の気孔率(%)の測定方法を以下に示す。
【0060】
[コーディエライト原料からなる顆粒の平均粒径]:
乾式レーザー回折/散乱法にて測定した。
【0061】
[多孔質材料の気孔率]:
アルキメデス法にて測定した。
【0062】
【表1】
Figure 0004455786
【0063】
(考察)
表1に示す結果から明らかなように、成形助剤として、PVAを1、5、又は20質量%添加した実施例1〜6の場合においては、得られる顆粒が中空であるとともに、その後のハンドリングの際にもつぶれを生ずることはなかった。これに対して、比較例4(PVA添加量:0.5質量%)、比較例5(PVA添加量:25質量%)の場合においては、顆粒につぶれを生ずる、或いは、顆粒が中実となることが判明した。また、スプレードライヤーのドライヤーへの入口温度が200℃未満である比較例5(入口温度:170℃)の場合においても、中空状顆粒を得ることができなかった。
【0064】
実施例1〜7に示す多孔質材料の製造方法においては、いずれの比較例に示す方法と比較しても、高気孔率である多孔質材料とすることができた。
また、骨材としてSiC、ムライトのいずれを用いた場合であっても、多孔質材料を製造可能であることが判明した。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多孔質材料の製造方法によれば、コーディエライト原料からなる中空状顆粒を始めとする所定の原料を用いるため、高気孔率、高熱伝導率である多孔質材料を低コストで簡便に製造することができる。得られた多孔質材料はこれらの物理的特性を生かし、例えば自動車排気ガス浄化用のフィルタや触媒担体等に好適に用いることができる。
また、本発明のコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法によれば、所定の原料を使用し、スプレードライヤーを用いた噴霧造粒を実施することにより、前述の多孔質材料の製造に好適に用いることができるコーディエライト原料からなる中空状顆粒を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の多孔質材料の製造方法の一例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示す。
【図2】 本発明の多孔質材料の製造方法の別の例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示す。
【図3】 本発明の多孔質材料の製造方法の更に別の例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示す。
【図4】 本発明の多孔質材料の製造方法の更に別の例を模式的に示す説明図であり、(a)は本焼成前、(b)は本焼成後の状態を示す。
【図5】 本発明の多孔質材料の製造方法に好適に用いられるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の粒子構造の一例を示す顕微鏡写真である。
【図6】 本発明の多孔質材料の製造方法に好適に用いられるコーディエライト原料からなる中空状顆粒の粒子構造の別の例を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1…多孔質材料、2…セラミックス、3…コーディエライト、4…気孔、11…中空状顆粒、12…中空部。

Claims (11)

  1. 焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料と成形助剤とを混合して造粒用原料を調製し、
    該造粒用原料を用いて、ドライヤーへの入口温度を200〜500℃に設定してスプレードライヤーにより噴霧造粒して中空状顆粒とすることを特徴とするコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法。
  2. コーディエライト原料に対して、外配で1〜20質量%の成形助剤を添加する請求項に記載のコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法。
  3. ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル、及びセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を成形助剤として用いる請求項又はに記載のコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法。
  4. スプレードライヤーにより噴霧造粒した後、更に仮焼する請求項のいずれか一項に記載のコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法。
  5. 仮焼することに代えて、成形助剤の結晶化処理をする請求項に記載のコーディエライト原料からなる中空状顆粒の製造方法。
  6. 焼成するとコーディエライトとなるコーディエライト原料からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法により製造された中空状顆粒を含む原料混合物を用いて所定形状の成形体を得、
    得られた該成形体を本焼成することを特徴とする多孔質材料の製造方法。
  7. 原料混合物にセラミックスを添加する請求項に記載の多孔質材料の製造方法。
  8. 融点が1400℃以上であるセラミックスを添加する請求項に記載の多孔質材料の製造方法。
  9. 炭化珪素、ムライト、窒化珪素、窒化アルミニウム、アルミナ、スピネル、シリカ、マグネシア、炭化ホウ素、及び窒化ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスを用いる請求項又はに記載の多孔質材料の製造方法。
  10. 原料混合物を用いてハニカム形状の成形体を得る請求項のいずれか一項に記載の多孔質材料の製造方法。
  11. 本焼成を1300〜1500℃の温度範囲で実施する請求項10のいずれか一項に記載の多孔質材料の製造方法。
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