JP4451031B2 - 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性等に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂、多価ヒドロキシ樹脂及びこれらの製造法、これらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関し、半導体封止、積層板、コーティング材料及び複合材料等に好適に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベースレジンの開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、近年の高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、更には表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、接着性、耐衝撃性等の向上が強く求められている。また、情報通信分野においては、情報量の増大化、通信速度の高速化に対応させるため、低誘電性に優れた材料が望まれている。
【0003】
しかしながら、従来知られているエポキシ樹脂に、これらの要求を満足するものはない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性や耐衝撃性に問題がある。
【0004】
そこで、特開昭63-238,122号公報には耐湿性、耐衝撃性の向上を目的に、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されているが耐熱性の点で十分ではない。また、特開昭64-79,215号公報には高耐熱性を目的に、2価フェノールのアラルキル型エポキシ化合物が提案されているが耐湿性、低誘電性の点で十分でない。更に、特開平3-90,075号公報にナフトールアラルキル型エポキシ化合物が提案されているが、依然、低誘電性の点で十分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐湿性、耐熱性、接着性及び低誘電性に優れ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂及びその製造方法を提供することにある。また、上記エポキシ樹脂の中間体及びエポキシ樹脂硬化剤として有用な多価ヒドロキシ樹脂及びその製造方法を提供することにある。更に、それらを用いたエポキシ樹脂組成物を提供すること及びそのエポキシ樹脂組成物の硬化物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂である。
【化6】
(但し、Xは下記一般式(a)で表される2価の炭化水素基を示し、nは1〜15の数を示す)
【化7】
(但し、R1及びR2は独立に、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは1又は2を示す)
【0007】
また、本発明は、テトラヒドロナフトール類1モルに対し、0.1〜0.9モルの下記一般式(2)又は(3)で表される芳香族架橋剤を、反応させることを特徴とする請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
【化8】
(但し、R1、R2、R3及びR4は独立に、水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは1又は2を示す)
【0008】
更に、本発明は、下記一般式(4)で表されるエポキシ樹脂である。
【化9】
(但し、Gはグリシジル基を示し、Xは上記一般式(a)で表される2価の炭化水素基を示し、nは1〜15の数を示す)
また、本発明は、上記の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることを特徴とする上記のエポキシ樹脂の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、上記の多価ヒドロキシ樹脂、上記のエポキシ樹脂又は両者を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物である。更に、本発明は、上記のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0010】
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は上記一般式(1)で表されるが、ここで、Xは上記一般式(a)で表される2価の炭化水素基を示す。一般式(a)において、R1及びR2は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基であるが、好ましくは水素又はメチル基である。具体的には、p-キシリレン基、m-キシリレン基、1,4-ビス(エチリデン)ベンゼン基、1,3-ビス(エチリデン)ベンゼン基、1,4-ビス(イソプロピリデン)ベンゼン基、1,3-ビス(イソプロピリデン)ベンゼン基、4,4’-ジメチレンビフェニル基、3,4’-ジメチレンビフェニル基、3,3’-ジメチレンビフェニル基等が挙げられる。
【0011】
また、nは平均の繰り返し数を示し、1〜15であるが、好ましくは1〜8である。
【0012】
このような多価ヒドロキシ樹脂は、通常、テトラヒドロナフトール類と特定の架橋剤を反応させることにより得ることができる。テトラヒドロナフトール類としては、具体的には1-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン、2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレンが挙げられる。これらのテトラヒドロナフトール類は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。更には、テトラヒドロナフトール類以外のフェノール類、ナフトール類が混合されていても良いが、全フェノール性化合物中のテトラヒドロナフトール類の含有率が50wt%以上であることが好ましい。
【0013】
架橋剤としては、芳香族構造を有するものであり、上記一般式(2)又は(3)で表される芳香族縮合剤が挙げられる。一般式(2)で表される縮合剤において、R1、R2、R3は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、mは1又は2の整数を表す。一般式(2)で表される縮合剤の具体例としては、例えば1,4-ジメチロールベンゼン、1,4-ジメトキシメチルベンゼン、1,4-ジエトキシメチルベンゼン、1,4-ジイソプロポキシメチルベンゼン、1,4-ジヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ジ(1-メトキシ-1-エチル)ベンゼン、1,4-ジ(1-イソプロポキシ-1-エチル)ベンゼン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ジ(2-メトキシ-2-プロピル)ベンゼン、1,4-ジ(2-イソプロポキシ-2-ロピル)ベンゼン、1,3-ジメチロールベンゼン、1,3-ジメトキシメチルベンゼン、 1,3-ジエトキシメチルベンゼン、1,3-ジイソプロポキシメチルベンゼン、1,3-ジヒドロキシエチルベンゼン、1,3-ジ(1-メトキシ-1-エチル)ベンゼン、1,3-ジ(1-イソプロポキシ-1-エチル)ベンゼン、1,3-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ジ(2-メトキシ-2-プロピル)ベンゼン、1,3-ジ(2-イソプロポキシ-2-ロピル)ベンゼン、4,4'-ジメチロールビフェニル、4,4'-ジメトキシメチルビフェニル、4,4'-ジエトキシメチルビフェニル、4,4'-ジイソプロポキシメチルビフェニル、4,4'-ジヒドロキシエチルビフェニル、4,4'-ジ(1-メトキシ-1-エチル)ビフェニル、4,4'-ジ(1-イソプロポキシ-1-エチル)ビフェニル、4,4'-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ビフェニル、4,4'-ジ(2-メトキシ-2-プロピル)ビフェニル、 4,4'-ジ(2-イソプロポキシ-2-ロピル)ビフェニル等が挙げられる。
【0014】
上記一般式(3)で表される芳香族ジビニル化合物において、R4は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基を示し、mは1又は2の整数を示すが、一般式(a)のR1がメチル基であり、R2がR4に対応する。通常ジビニル化合物は、対応するジアルキル化合物の脱水素反応により合成することができるが、この場合、生成物中にジアルキル体、モノビニル体が残存する場合があるが、場合により、これらを完全に分離する必要はないが、ジビニル体の好ましい含有量は50%以上である。これよりジビニル体の含有量が少ないと、樹脂を硬化させた場合の架橋密度が低下し、耐熱性の低下をもたらす場合がある。一般式(3)で表される芳香族ジビニル化合物の具体例としては、例えば、p-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、o-ジビニルベンゼン、4,4'-ジビニルビフェニル、3,3'-ジビニルビフェニル、2,2'-ジビニルビフェニル、2,4'-ジビニルビフェニル、4,4'-ジイソプロペニルビフェニル、3,3'-ジイソプロペニルビフェニル、2,2'-ジイソプロペニルビフェニル、2,4'-ジイソプロペニルビフェニル等があり、これらは単独又は混合物として使用される。ジビニル体の好ましい異性体としては、立体対称性に優れたp-ジ置換体、4,4’-ジ置換体である。これらの異性体の含有率が高いものほど、耐熱性に優れた硬化物を与える。
【0015】
テトラヒドロナフトール類と架橋剤の反応においては、架橋剤に対して過剰量のテトラヒドロナフトール類が使用される。架橋剤の使用量は、通常、テトラヒドロナフトール類1モルに対して0.1〜0.9モルの範囲であるが、好ましくは、0.1〜0.7モルの範囲である。これより多いと樹脂の軟化点が高くなり成形作業性に支障をきたす。また、これより少ないと反応終了後、過剰のテトラヒドロナフトール類の除く量が多くなり、工業的に好ましくない。
【0016】
この反応は酸触媒の存在下に行うことがよく、この酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。このような酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいは、活性白土、シリカ-アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
【0017】
通常、この反応は、10〜250℃で1〜20時間行う。更に、反応溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を使用することができる。
【0018】
反応終了後、場合により、中和、水洗等の方法により、触媒を除去し、必要に応じて残存する溶媒及び未反応のテトラヒドロナフトール類を減圧留去等の方法により、系外に除き、多価ヒドロキシ樹脂とする。場合により残存するテトラヒドロナフトール類を除かなくてもよい。
【0019】
本発明には、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ樹脂を含有する多価ヒドロキシ樹脂混合物も含まれる。例えば、テトラヒドロナフトール類と反応させる架橋剤として、モノビニル化合物を含有する架橋剤を用いた場合、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ樹脂と、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ樹脂の芳香族環にモノビニル化合物が1つ又は、それ以上付加した化合物との混合物となる。また例えば、フェノール類として、2種類以上の混合物を反応に用いた場合、場合により、1分子中に2種類以上のフェノール類を含有する多価ヒドロキシ樹脂が生成し、一般式(1)の新規多価ヒドロキシ樹脂との混合物となる。これらは混合物であっても、本発明の効果を発揮することに支障はなく、これらをエポキシ樹脂硬化剤として用いることができるし、また本発明の新規エポキシ樹脂の原料として使用することができる。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂は、上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることにより得られる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
【0021】
例えば、上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を過剰のエピクロロヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは、60〜120℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際の、アルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、0.8〜2モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。また、エピクロロヒドリンは多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、1.5〜25モル、好ましくは、2〜15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロロヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。このエポキシ樹脂は一般式(4)で表されるものを主成分とするが、当然のことながらエポキシ基がエーテル結合としてオリゴマー化したものも含まれる。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般式(4)で表される新規エポキシ樹脂、又は硬化剤成分として上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方を必須成分として配合したものである。
【0023】
一般式(4)で表される新規エポキシ樹脂を必須成分とする場合の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0024】
酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
また、アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類、あるいは一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂がある。
本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は、2種以上を混合して用いることができるが、本発明に関わるエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、5〜100%の範囲である。
【0025】
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を必須成分とする場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、又は、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物、あるいは上記一般式(3)で表される多官能エポキシ樹脂等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は、2種以上を混合して用いることができるが、本発明に関わる多価ヒドロキシ樹脂の配合量は硬化剤全体中、5〜100%である。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物中の本発明に関わるエポキシ樹脂及び多価ヒドロキシ樹脂の合計は、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計に対して10wt%以上、好ましくは30wt%以上であることがよい。
【0026】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤、等の添加剤を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ又は水和アルミナ等が挙げられ、顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系、等を挙げることができる。
【0027】
更に必要に応じて、硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲である。
また更に、必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
【0028】
本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工し得ることができる。生成する際の温度は、通常、120〜220℃の範囲である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
実施例1(多価ヒドロキシ樹脂の製造)
1000mlの4口フラスコに2-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン200g(1.35モル)、パラキシリレングリコールジメチルエーテル100g(0.61モル)を装入し、その後、触媒として48%硫酸1.0gを添加し、攪拌しながら昇温し175℃で3時間反応させた。反応後、メチルイソブチルケトン500mlに溶解した後、水洗により脱触媒を行い、未反応分の1-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレンを減圧留去し、黄色状樹脂157gを得た。
得られた樹脂の水酸基当量は233、軟化点は135℃、150℃での溶融粘度は6.8Pa・sであった。得られた樹脂のGPCチャートを図1、赤外吸収スペクトルを図2に示す。ここでGPC測定は、装置:HLC-82A(東ソー(株)製)及びカラム:TSK-GEL 2000 × 3本及びTSK-GEL4000 × 1本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温度:38℃、検出器:RIの条件で行った。
【0030】
実施例2(多価ヒドロキシ樹脂の製造)
テトラヒドロナフトール類成分として1-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン200g(1.35モル)、パラキシリレングリコールジメチルエーテル90g(0.54モル)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い、褐色状樹脂150gを得た。水酸基当量は282、軟化点は141℃、150℃での溶融粘度は20Pa・sであった。
【0031】
実施例3(エポキシ樹脂の製造)
実施例1で得た樹脂100gをエピクロロヒドリン397gに溶解し、減圧下(約140mmHg)、65℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液34.7gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロロヒドリンとの共沸により系外に除き、溜出したエピクロロヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に30分間反応を継続した。その後、濾過により生成した塩を除き、エピクロロヒドリンを留去し、粗製エポキシ樹脂を得た。得られた粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン480mlに溶解した後、80℃に加熱し、撹拌しながら10%水酸化ナトリウム16gを加え、2時間反応させた。反応後、イオン交換水にて水洗を行った後、メチルイソブチルケトンを留去し、黄色のエポキシ樹脂97gを得た。エポキシ当量は314であり、軟化点は105℃、ICIコーンプレート法に基づく150℃での溶融粘度は3.4Pa・s、加水分解性塩素は380ppmであった。得られた樹脂のGPCチャートを図3、赤外吸収スペクトルを図4に示す。なお、ここで加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
【0032】
実施例4(エポキシ樹脂の製造)
実施例2で得た樹脂100gをエピクロロヒドリン328gに溶解し、減圧下(約140mmHg)、65℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液28.7gを用いて実施例3と同様に反応を行い、淡褐色状エポキシ樹脂80gを得た。エポキシ当量は366であり、軟化点は107℃、150℃での溶融粘度は15Pa・s、加水分解性塩素は530ppmであった。
【0033】
実施例5〜9及び比較例1〜2
エポキシ樹脂成分として、実施例3、4で合成したエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A、B)、2-ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C:新日鐵化学製、ESN-185;エポキシ当量285、加水分解性塩素350ppm、軟化点84℃)、及びo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂D:日本化薬製、EOCN-1020-65;エポキシ当量200、加水分解性塩素400ppm、軟化点65℃)を用い、硬化剤成分として、実施例1で合成した多価ヒドロキシ樹脂(硬化剤A)、フェノールノボラック(硬化剤B:群栄化学製、PSM-4261;OH当量103、軟化点80℃)、及びフェノールアラルキル型樹脂(硬化剤C:三井化学製、XL-225-LL;OH当量174、軟化点75℃)を用い、更に充填剤として破砕シリカ(シリカA:平均粒径、18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン及びその他の表1に示す添加剤を用い、表1に示す配合(重量部)で混練しエポキシ樹脂組成物を得た。
【0034】
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。ガラス転移点は、熱機械測定装置により、昇温速度7℃/分の条件で求めた。接着強度は、銅板2枚の間に25mm×12.5mm×0.5mmの成形物を圧縮成型機により175℃にて成形し、175℃,12時間ポストキュアを行った後、引張剪断強度を求めることにより評価した。また吸水率は、直径50mm、厚さ3mmの試験片を用い、ポストキュア後85℃、85%RHの条件で100時間吸湿させた時の重量変化率とした。誘電率は吸水率の測定と同形状の試験片を用いて、JIS K6911に従い周波数1MHzにて測定した。結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂、多価ヒドロキシ樹脂を硬化して得られる硬化物は、耐湿性、耐熱性、接着性、低誘電性等に優れ、かつ耐衝撃性等の機械的特性に優れた性能を有し、半導体封止、積層板、コーティング材料及び複合材料等の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多価フェノール樹脂のGPCチャート
【図2】 多価フェノール樹脂の赤外吸収スペクトル
【図3】 エポキシ樹脂のGPCチャート
【図4】 エポキシ樹脂の赤外吸収スペクトル
Claims (6)
- 請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることを特徴とする請求項3に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
- エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項3に記載のエポキシ樹脂及び請求項1に記載のヒドロキシ化合物のいずれか一方又は両者を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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JP2001235169A JP4451031B2 (ja) | 2001-08-02 | 2001-08-02 | 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、その製造方法、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 |
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