JP4446283B2 - ガラス溶融炉 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス中の泡欠陥を減じてガラス物品の均質性を向上させ得るガラス溶融炉に関する。
ガラス製造業は、長年に渡り溶融によって異物や泡等を含有せず、均質なガラス製品を高い効率で製造し、需要に見合うガラス製品を供給することを目標とし、種々のガラス製品で均質なガラスを製造するという課題に取り組んできた。そして、この課題を解決するために、これまで数多くの発明が行われてきた。しかしながら、ガラス中のブツ、脈理や異質結晶の析出等、ガラスを不均質にする原因を除去できても、さらに泡を完全に除去するという課題が残る。この泡を除去するために、一般に清澄剤を原料組成中に添加し、清澄剤の酸化還元反応によって微小径の泡を膨張、上昇させ、溶融ガラスから泡を脱泡するという方法が利用されている。
一般に連続生産を行うガラス溶融炉は、図11に示すように、ガラスを加熱して溶融する溶融槽10と、溶融後の溶融ガラスGから脱泡を行う目的をもつ清澄槽30とによって構成されることが多い。このような連続式の生産方法では、まず各種ガラス原料粉末、ガラスカレット等のガラス原料Bを予め均質混合し、このガラス原料Bを耐火物Rで構成された溶融炉の溶融槽10にある投入口11から溶融槽10に連続的に投入する。そして、溶融槽10内をバーナー31、電極12によって高温に加熱することでガラス原料Bにガラス化反応を生じさせる。そして、溶融槽10に接続した清澄槽30内で、ガラス原料B中に添加された清澄剤の酸化還元反応で酸素泡等を発生させることによって、ガラス化反応時に生じた炭酸ガス等の微小径泡を膨張させ、溶融ガラスGの表面に浮上させて清澄する。その後、溶融ガラスGはフィーダー50に配設されたスターラー51によって均質化され、成形部で所定形状に成形された後に、徐冷されてガラス製品となる。
連続生産を行わない場合には、いわゆるバッチ生産炉として石英、アルミナ等の坩堝やその他の耐火物製坩堝、あるいは、図12に示したような白金を含む耐熱性金属により構成される容器(ポット)によって生産が行われる。この場合は、1つの槽内で溶融、清澄という過程を経ることによって溶融ガラスの均質化を行うことになる。具体的には、耐火物Rで保護され、その内部に配設された耐火性容器70にガラス原料を投入し、発熱体41によって耐熱性容器70内のガラス原料を間接的に加熱する。そして、ガラス化反応により生成した溶融ガラスGについて、清澄等の一連の工程を同じ槽内で行う。さらに、撹拌スターラー51によって均質化した後、溶融ガラスGを溶融槽の底に設けた取出口60から流出させ、所定形状に成形し、徐冷を行ってガラス製品とする。
また、この溶融ガラス中に生じる欠陥である泡をより確実に清澄するという目的を達成するため、下記の特許文献1に記載されているように、バブリングノズルから空気、酸素、アルゴンといった気体を溶融ガラス中に気泡として導入することで、微小径の泡を脱泡する方法が利用されている。さらに、減圧脱泡と呼ばれ、ガラス溶融雰囲気の圧力を大気圧よりも意図的に低い圧力とすることによって溶融ガラス中の泡を脱泡して均質化する技術が、下記の特許文献2に開示されている。
さらに、下記の特許文献3には、リボイル泡を防止するため、ガラスカレットを再溶融する際にヘリウム雰囲気を使用することが記載されているが、ガラス中の効果的なヘリウム含有量等に関する記載もなく具体性に乏しい。また、下記の特許文献4には、ヘリウムを、バブリングする乾燥ガス中に使用することが記載されているが、バブリング装置の具体的な態様についての記載はなく、また、ガラス中に含有させるヘリウム量の記載もなく、大量生産を可能とするガラス製造装置に適用できるものではない。さらに、下記の特許文献5にも、ヘリウムバブリングを採用することが記載されているが、ヘリウムをバブリングする装置に関する具体的な記載はなく、また、ガラス中に含有させるヘリウム量の記載もなく、大量生産するガラスに適用することはできない。
登録実用新案第2583790号公報 特開2000−239023号公報 特開平06−329422号公報 特開平07−172862号公報 米国特許第3,622,296号公報
清澄剤の使用による溶融ガラスからの脱泡を促す溶融炉としては、図11や図12に示した溶融炉を改良したものが種々開示されているが、用途や生産量、そしてガラス材質、原料等の種々の要因によっても制限を受けるので、これらは溶融ガラスを効率良く均質化することができる溶融炉になっているとは言い難い。また、ガラス原料に清澄剤を添加する方法も、確かに容易に採用しやすいが、その種類、量、添加するガラス材質、加熱方法等の種々の要因について慎重な検討が必要であり、一旦最良な選択がなされても、ガラス流量、溶融温度、溶融雰囲気等の影響を受けやすい等の欠点がある。さらに清澄剤の中には、環境問題等の影響が大きいために、多量に添加をすることが困難となるようなものもある。
また、バブリングノズルを利用するバブリングによる撹拌やスターラーによる撹拌は、他の方法と併用されることが多く、単独で使用するにはまだ不安がある。むしろこれらの方法は、前述の清澄剤による脱泡効果を助けるために有益な手段であり、他の方法との併用によって効果を高める補助的な方法であって、単独使用で高い効果を実現できるまでに到っていない。
また、高温下における溶融ガラスに減圧技術や、真空技術を応用することによって、溶融ガラスからの脱泡を促進する手法については、溶融ガラスから泡を除去すると同時に溶融ガラス成分の一部も揮発により失われやすくなるため、その回収に関連する環境問題や揮発物による設備そのものの劣化等の問題も指摘されている。さらに、大量の溶融ガラスを処理するためには、大型の装置が必要となるが、その一方で減圧、真空環境を精密に維持するためには、きめ細かい継続的なメンテナンスを要するといった問題も存在する。
本発明者らは、このような状況に鑑み、ガラス製造業で利用される最も一般的な溶融によるガラス製造方法で、気泡のない溶融ガラスの安定した大量生産を可能とするガラス溶融炉を提供するものである。
すなわち、本発明のガラス溶融炉は、ガラス原料を加熱して溶融する溶融槽と、溶融槽の下流側に配設された清澄槽とを備えたガラス溶融炉において、溶融槽と清澄槽との間に希ガス溶解槽が配設され、希ガス溶解に、加熱装置が設けられていると共に、希ガス導入口からヘリウム及び/またはネオンを供給し溶融ガラス中に拡散・混合して所定濃度以上のヘリウム及び/またはネオンを溶解させる希ガス溶解手段が設けられていることを特徴とする。
上記構成において、溶融槽等における加熱源は、電気、各種燃料の燃焼、電磁波等の方法を単独あるいは組み合わせて複数併用することができる。さらに加熱を制御する加熱設備についてもガラス化反応の妨げになるような反応性を有せず、高温での構造強度に支障がないものであって、目的に見合うだけの体積のガラス原料を同時に加熱することができる規模を有し、ガラス材質の溶融という目的に沿った構成材料で構築された装置であれば、特に限定されることなく使用することができる。また、希ガス溶解槽に設けられる加熱装置としては、炭化水素、酸素、水素等の可燃性燃料を燃焼させるバーナー、電気を利用する電気抵抗発熱体や直接通電する電極、また高周波電硫を利用する誘導加熱、さらに赤外線等の電磁波照射装置等を、溶融するガラスの種類や用途に応じて、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができる。そして、この加熱装置は、ガラス溶融用の加熱装置とは別の装置として配設されるものである。
また、溶融ガラス中へのヘリウム及び/またはネオンの供給は連続的であっても、断続的であってもよい。また、ヘリウム及び/またはネオンを供給する希ガス導入口は1つでも複数であってもよく、希ガス導入口の断面形状についても制限されるものではない。
希ガス溶解手段は、溶融状態にあるガラス中にヘリウム及び/またはネオンを原子状態で拡散させ、均質に分散するように混合し、ガラスを構成する元素によって形成された比較的結合強度の大きい網目構造体の中に網目構造と結合することなくトラップされた状態で存在するように溶解するものである。
また、この希ガス溶解手段は、上述の機能を実現することができるものであるならば、特にその大きさや、形態について限定はなく、例えばガラスの製造量に応じて単数で配置し、または複数を併用しても良い。
また、「所定濃度以上のヘリウム及び/またはネオンを溶解させる」とは、具体的には溶融ガラス中のヘリウム及び/またはネオンの濃度が0.0001μl(マイクロリットル)/g(0℃、1atm)以上、より好ましくは0.001μl/g(0℃、1atm)以上、さらに好ましくは0.01μl/g(0℃、1atm)以上となるように、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中に含有させることを意味する。
また本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段の少なくとも一部が、溶融ガラス中に浸漬していることを特徴とする。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段が、溶融ガラスの内部、上方、下方または側方の何れかに配設されていることを特徴とする。
希ガス溶解手段を、溶融ガラスに対して、その内部、上方、下方及び側方のうち少なくとも一の位置に配設することによって、溶融ガラス中にヘリウム及び/またはネオンを確実に拡散・混合することが可能となる。そして、この希ガス溶解手段の配設位置については、複数の配設位置が共存するような状態であってもよい。例えば、希ガス溶解手段が2つ配置され、そのうち一方が側方にあり、他方が下方にあるような配設状態をとるものであってもよい。あるいは、1つの希ガス溶解手段が、下方から側方に延在しているような配設状態であっても良い。
また、本発明のガラス溶融炉は、希ガス溶解槽が、加熱装置に加え、減圧装置及び遠心力発生装置のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする。
ここでの減圧装置及び遠心力発生装置は他の機能を有する装置の一部であっても良く、またこれらの機能を他の装置と共に実現するものであってもよい。
上記の減圧装置としては、大気圧以下に減圧することができ、耐熱性を有する装置であるならば、どのような方式によるものを採用しても差し支えない。また、上記の遠心力発生装置については、溶融ガラスに高速回転から発生する遠心力を付与することを可能とする装置であるならば特に制限なく採用することができる。
ここで、希ガス溶解槽を構成する材料は、ガラスによって高温時に容易に化学反応する等して浸食されことがない程度の十分な耐熱性を有していることが必要である。
また、希ガス溶解槽は、溶融雰囲気との反応性についても低く、高温状態の溶融ガラスを保持するだけの充分な強度を有するものであることが好ましい。すなわち、具体的には白金等の金属材料やセラミックス等の高温耐熱性を有する材料であれば使用することができ、複数の材料を併用することも可能である。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段が、溶融ガラスの上方に配設されていることを特徴とする。この場合、希ガス溶解槽の内部に耐熱性を設け、溶融槽からの溶融ガラスが耐熱性に沿って流れ、耐熱性の端部から希ガス溶解槽の溶融ガラス中に流下する構成とすることができる。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段が、溶融ガラスの流れ方向に対するベクトル角が0°〜80°、50°〜130°または100°〜180°の何れかとなる方向にヘリウム及び/またはネオンの気体の流れを発生させることを特徴とする。
ここで、「ヘリウム及びネオンの気体の流れ」とは、ヘリウム及びネオンが単原子分子状態となって溶融ガラス中に拡散する状態になってからの流れではなく、溶融ガラスに拡散するまでの気体として認知できる状態での流れを意味している。すなわち、溶融槽から成形域へ向かう溶融ガラスの流れに対して、このように特定流動角度でヘリウム及びネオンを気体状態で流動させることによって、両者を単に静止状態で接触させるよりも高速な拡散と混合を実現することができる。
これらのベクトル角の内、特に効果的な作用が認められるのは、両者の流動のベクトル角度を100〜180°に設定する場合であって、ガラス融液の粘度が大きく、バブリング等によってヘリウム及びネオンを作用させにくいような組成のガラス材質、とりわけアルカリ含有量の少ない、あるいは実質上無アルカリのガラス組成物の溶融ガラスに対して効果的に適用できる。それに対して、ベクトル角度を50°〜130°に設定する場合については、無アルカリガラスに対しての適用は可能であるものの、より高角度の場合に比較すると原子の拡散と混合、溶解は穏やかなものとなり、拡散と混合、溶解を促進するためには、温度、圧力等の他の条件をより厳しく設定する必要性が生じてくる。さらに、両者のベクトル角度が0°〜80°の設定の場合については、ガラス材質がヘリウム及び/またはネオンを非常に拡散・混合しやすい組成である場合に採用できる。ただし、無アルカリガラスのようにヘリウム及び/またはネオンが拡散しにくい高い粘性を有する組成のガラス材質であっても、他の均質化装置を併用することによって、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中に拡散・混合することが可能となる場合もある。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段が、耐熱性金属及び/またはセラミックよりなることを特徴とする。
希ガス溶解手段は、高温環境下で使用されることになり、必要に応じて溶融ガラス中に浸漬した状態で使用される場合もあることから、相応の耐熱性及び耐蝕性を有する耐熱性金属あるいはセラミックスを使用することが好ましい。
この希ガス溶解手段は、その能力を確実かつ高速に実現するために、以下のような機能を備えていることが好ましい。すなわち、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中に導入する以前にこれらのガスを加熱する機能、導入するガスの流量を精密に調整する機能、そして導入するガスが溶融ガラス中で気泡形状となる際のそれぞれの気泡についての容積を調整する機能、さらにこれら各々の機能を他の物理量、例えば炉内溶融ガラス温度、耐火物温度、炉内雰囲気圧、溶存ガス量、ガラス流量等の設定値、実測値から相互に微調整するための機能を備えていることが好ましい。
ここで、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中に導入する以前にこれらのガスを加熱する機能は、これらのガスを加熱状態とすることによって、高速に溶融ガラス中へ拡散・混合して溶解するために重要な機能である。具体的には、間接加熱を行うための発熱体によるガスの加熱、放射体による加熱等もあるが、最も容易な方法としては、排ガスを回収する際にその排ガスとの熱交換を行うことによって、排ガスの有効利用を行い、エネルギー収支的にも効率的な運用を行うことである。また、導入するガスの流量を精密に調整する機能については、精密な流量測定に基づく微調整を行うことで、操炉条件によるガラス状態の特性の揺らぎに対応することが可能となる。さらに、導入するガスが溶融ガラス中で気泡形状となる際にそれぞれの気泡の容積を調整する機能については、ガス流量の調整に合わせて実現してもよいが、それ以外に溶融ガラスとガスが最初にコンタクトする箇所にガス流量を断続化する治具を配設する方法を採用してもよい。また、ガス出口の寸法形状を調節することによって、気泡径をなるべく小さい径に抑えるような工夫を施すことも可能である。さらに、これら各々の機能を他の物理量、例えば炉内溶融ガラス温度、耐火物温度、炉内雰囲気圧、溶存ガス量、ガラス流量等の設定値、実測値から相互に微調整するための機能とは、これらの物理量を随時監視するシステムを構築することによって、炉内の溶融ガラスの清澄状態を最適な制御状態に維持し続けることを可能とするものである。このような監視システムの結果に基づいて、適切な処置を施すシステムについてコンピューター等を用いて自動化することで、必要最低限の労力で安定した製造条件を維持しつづけることが可能となる。
また、ここで使用される耐熱性金属あるいはセラミックスは、耐熱性以外にも、高温下での溶融ガラスとの反応性に乏しく、さらに他の併用する構造材料等との反応性も低い必要性がある。とりわけ、長時間溶融ガラスからの反応ガス、揮発ガスにも曝されるものであるため、気相との反応、浸食性についても考慮された材料が選定されている必要性がある。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、ヘリウム及び/またはネオンを拡散・混合させた後の溶融ガラス中からヘリウム及び/またはネオンを含有する気体を脱気させる希ガス脱気手段が、溶融ガラスの内部、上方、下方及び側方のうち少なくとも一の位置に配設されていることを特徴とする。
希ガス脱気手段を、溶融ガラスの内部、上方、下方及び側方のうち少なくとも一の位置に配設することにより、溶融ガラス中に拡散・混合したヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中から効果的に脱気することができ、これにより溶融ガラスの良好な清澄が遂行できる。この希ガス脱気装置は、特にガラスの粘性が特に高い状態で脱気しないと溶融設備そのものに大きな負担がかかる場合やガラスに含有する気体成分の絶対量が非常に多く、通常の清澄槽では脱気不充分となる場合に有益である。尚、希ガス脱気装置の配設態様については、希ガス溶解手段の配設態様に関連して既に述べた事項が該当するので、重複する説明を省略する。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス脱気手段が、加熱装置、減圧装置及び遠心力発生装置の一群より選択される少なくとも1以上のものを含むことを特徴とする。
ここでの加熱装置、減圧装置及び遠心力発生装置は、前述の希ガス溶解槽と同様の構成であっても、異なる装置構成であっても良い。
すなわち、加熱装置としては、炭化水素、酸素、水素等の可燃性の気体燃料、あるいは液体燃料や固体燃料等を燃焼させるバーナー、電気を利用する電気抵抗発熱体や直接通電する電極、また高周波電硫を利用する誘導加熱、さらに赤外線等の電磁波照射装置等を、溶融するガラスの種類や用途に応じて、単独でまたは複数を組み合わせて使用することができる。そして、この加熱装置は、ガラス溶融用の加熱装置や希ガス溶解手段を構成する装置群とは別の装置として配設することもできるし、共用することもできる。また、減圧装置としては、大気圧以下に減圧することができ、耐熱性を有する装置であるならば、どのような方式によるものを採用しても差し支えない。ただ減圧装置は、装置そのものの性能を高温装置近傍で維持するため、冷却機能を備えたものであることが好ましい。さらに、遠心力発生装置については、溶融ガラスに高速回転から発生する遠心力を付与することを可能とする装置であるならば特に制限なく採用できる。
上記の希ガス溶解手段や希ガス脱気手段は、溶融ガラスに対して時系列的に異なる時間に働くものであっても良いし、また溶解手段と脱気手段をほぼ同時期に作用させることもできる。ただし、これが可能となるのは、溶融ガラス中へヘリウム、あるいはネオンが速やかに溶解する他の環境、すなわち温度や雰囲気、圧力等の条件が充分に整っていることが必要である。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス脱気手段が、溶融ガラスの上方に設けられた希ガス集積室を備えていることを特徴とする。
ここで、「希ガス集積室」は、溶融ガラスの上方に位置し、溶融ガラスから脱気されたヘリウムやネオンを一時的に蓄える空間部である。
この希ガス集積室は、耐熱性構造であって、実質的に気密状態を維持できるならば、形状や寸法は特に限定されない。また、溶融槽や清澄槽の上部空間をこの希ガス集積室として利用することも可能であるし、溶融槽や清澄槽等とは別個に設けられた密閉空間よりなるものであってもよい。さらに、この希ガス集積室に必要となるものとして、温度計測装置や集塵装置等を配設することができ、さらに希ガスを再利用するためにガラス反応によって発生した二酸化炭素、水蒸気、酸素、窒素等の気体を含有する高温混合ガスからヘリウム、ネオンといった希ガスを高い収率で回収可能なガス分離装置を連結しても良い。
尚、耐熱性容器内における溶融ガラスの上部空間を希ガス集積室として利用する場合、希ガス集積室は必ずしも該上部空間の全領域に亘って設ける必要はなく、その一部領域に設けても良い。また、当然ながら、空間配置的な位置関係として、希ガス集積室は、溶融ガラスの真上である必要性はなく、斜め上方に位置していても差し支えない。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、希ガス溶解手段が複数の希ガス導入口を備えていることを特徴とする。
希ガス溶解手段が複数の希ガス導入口を備えていることの利点は次のようなものである。すなわち、ヘリウム及び/またはネオンガスを溶融ガラスに導入する場合に、これら希ガスの溶融ガラスへの総体的な溶解量を高めるためには、これら希ガスの溶融ガラスとの接触界面を広くする必要性があるが、1つの希ガス導入口で断続的に大量の希ガスを供給しても、希ガスによって形成される気泡が粘性の高い溶融ガラス中で浮上していく途中で、次々に合体して大きな1つの気泡となってしまう。このため、結局、希ガスの供給量を多しても、溶融ガラスとの接触界面面積を大きくすることはできない。これに対して、複数の希ガス導入口から希ガスを供給すると、希ガスによって形成される気泡が合体して大きな気泡となる現象が抑制され、気泡の多くは小径を維持した状態で溶融ガラス中を浮上してゆく。このため、希ガスの供給量を比較的少なくしても、溶融ガラスとの接触界面面積を大きくすることが可能となり、これにより、希ガスの溶融ガラスへの総体的な溶解量を高めることができる。
一方、1つのガラス溶融炉に対して過大数の希ガス導入口設けても、その労力や必要となる費用の割に、溶融ガラス中へのヘリウム、ネオンの溶解を大きく促進するという効果は少ない。ただし、費用等の負担を厭わなければ、多数の希ガス導入口を設けることによって、ヘリウム、ネオンの溶解量を一層増加させることができる。よって、ヘリウム、ネオンの希ガス導入口は、2〜100000個の範囲、より好ましくは4〜10000個、さらに好ましくは6〜5000個、一層好ましくは10〜3000個、より一層好ましくは11〜2000個、さらにより一層好ましくは13〜1000個の範囲、最も好ましくは15〜500個の範囲で設けるのが良い。
また、希ガス導入口の配設密度は、形成される気泡の直径寸法によって制限される。単純なバブリングを採用する場合、形成される気泡の直径は1cmより小径とすることは困難であるため、希ガス導入口の間隔は1cm以上必要となる。従って、希ガス導入口の配設密度は、10000導入口数/m2以下であることが必要である。より好ましくは9000導入口数/m2以下、さらに好ましくは8000導入口数/m2以下、一層好ましくは7000導入口数/m2以下とするのが良い。単純なバブリングに加え、形成された気泡に機械的な剪断力を印加することによってその直径を小さくする等の工夫を行う場合には、希ガス導入口の配設密度は、1000000導入口数/m2以下、好ましくは900000導入口数/m2以下、より好ましくは800000導入口数/m2以下とするのが良い。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、複数の希ガス導入口が、炉床及び/または炉壁に配設されていることを特徴とする。
上記のように、希ガス導入口は、溶融ガラスを保持している耐熱性の炉床か、あるいは炉床と連続した炉壁に配設するのが好ましい。むろん、希ガス導入口は、炉床と炉壁の境界に配設されていても良い。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、複数の希ガス導入口が、1000℃以上の融点を有する金属により構成されることを特徴とする。
このような構成とすることによって、ヘリウム及び/またはネオンヘリウムが溶融ガラスと直接接触する温度を1000℃以上の高温度とすることができる。
溶融槽と希ガス溶解槽との接続部は、例えば耐熱性の管状体であってもよいし、傾斜を持たせた樋状体であってもよいし、溶融槽で溶融状態となったガラスを希ガス溶解槽へと流入させる機能を有するものか、あるいは両者間を仕切る耐火性、耐食性といった性質を持つ壁面に通路部を設けたものであってもよい。さらに、この接続部は、構造的な接続部分(接合部分)を有しているものに限らず、溶融ガラスが結果として溶融槽から希ガス溶解槽へと移送されることになるような構成を有するものであれば足りる。例えば、この接続部は、構造的には接合していない状態で、溶解槽の所定箇所からあふれ出した溶融ガラスを耐火性の棒状構造体に沿って定常的に流下させて、希ガス溶解槽に誘導するような構成であっても良い。この場合、溶融ガラスを誘導する耐火性の棒状構造体は、溶融槽には配設されているが、下流側にある希ガス溶解槽には直接配設されていない。
希ガス溶解槽の内壁面は、1200℃以上の耐火温度を有する耐火煉瓦または1200℃以上の融点を有する耐熱性金属で構成されていることが好ましい。具体的には、希ガス溶解槽の内表面を上記の耐火煉瓦または耐熱性金属(あるいは、上記の耐火煉瓦および耐熱性金属の双方)によって被覆する。このような構成を採用することによって、ヘリウム、ネオンは1200℃以上の環境下で溶融ガラス中に拡散していくことができ、このことが、ヘリウムやネオンを溶融ガラス中に効率よく溶解させていくことを可能にする。
1200℃以上の耐火温度を有する耐火煉瓦については、複数あるいは単独の成分を有する無機酸化物や窒化物等を採用することができ、必要に応じて成分比を変化させ、全く異なる成分を有する複数の耐火煉瓦の組み合わせによって、ヘリウムやネオンを溶解した溶融ガラスの均質度を向上させ、泡を浮上させる際の妨げとなるような成分の溶融ガラス中への溶出や耐火材料と溶融ガラスの界面に微細な泡がトラップされやすいような表面状態としないようにすることが容易となるような構成をとることができる。
また、1200℃以上の融点をもつ複数あるいは単一の金属成分よりなる耐熱性金属については、溶融ガラスとの反応性等についても十分考慮することによって、溶融ガラス中に不要な気泡を生じさせ、ヘリウム、ネオンの拡散、溶解の妨げとなることのないような環境を作ることができる。1200℃の融点とする理由は、耐火温度について前述したように、ヘリウムやネオンをガラス中に効率よく溶解させていくことを可能にするために必要となるからである。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、耐火煉瓦が、SiO2、ZrO2、Al23、MgO、Cr23、C及びWO3の一群より選択される少なくとも1以上のものを含有することを特徴とする。
ここで、耐火煉瓦が、SiO2、ZrO2、Al23、MgO、Cr23、C及びWO3の一群より選択される少なくとも1以上のものを含有することとは、シリカ(または、石英あるいは二酸化珪素)、ジルコニア(または、酸化ジルコニウム)、アルミナ(または、酸化アルミニウム)、マグネシア(または、酸化マグネシウム)、酸化クロム、炭素(または、カーボン)、酸化タングステンのいずれかを1種以上含有することを意味している。
SiO2は、光学ガラスの溶解等にも耐火材料として使用されることがあるが、ヘリウム、ネオンを溶解する希ガス溶解槽を構成するにも適した耐火性を有する材料であって、高純度な成分構成の溶融ガラスへのヘリウム、ネオンの溶解については、好適な材料である。そしてZrO2については、1500℃以上の高温溶融を必要とする溶融ガラスにヘリウム、ネオンを溶解するのに好適である。またAl23についてもSiO2同様に希ガス溶解槽の構成材料(内張材料)として使用するのは好ましい。MgO、Cr23については、希ガス溶解槽を安価な構築費で構成することを可能とするために、好ましいものである。さらにCやWO3については、特殊な構成成分を要するガラスについてヘリウムやネオンを溶解する場合に好ましい場合もある。
また、本発明のガラス溶融炉は、上記構成に加え、耐熱性金属が、Pt、Ir、Os、Re、W、Ta、Rh、Hf、Ru、Tc、Pd、Mo、Ti、Zr及びMbの一群より選択される少なくとも1以上のものを含有することを特徴とする。
ここで、耐熱性金属が、Pt、Ir、Os、Re、W、Ta、Rh、Hf、Ru、Tc、Pd、Mo、Ti、Zr及びNbの一群より選択される少なくとも1以上のものを含有するとは、耐熱性金属材料として白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、タンタル、ロジウム、ハフニウム、ルテニウム、テクネチウム、パラジウム、モリブデン、チタン、ジルコニウム、ニオブの内の少なくとも1つ以上の成分を1質量%は含有するものであることを意味している。これらの金属材料は、単独あるいは合金状態で使用することができ、また使用部位によって異なる金属材料を採用することができる。また、さらにセラミックスと金属の複合材料についても採用することができる。
また、本発明のガラスの製造方法は、ガラス原料を加熱により溶融して溶融ガラスにするガラスの製造方法であって、ヘリウム及び/またはネオンを含有する平均直径150mm以下の気泡を溶融ガラス中に導入することによって、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラスに拡散・混合して所定量含有させることを特徴とする。
ヘリウム及び/またはネオンを含有する平均直径150mm以下の気泡を形成することによって、ヘリウム、ネオンと溶融ガラスとの接触界面面積を増加させることができる。気泡の直径は小さい方がより好ましく、またその個数も多い方がよいが、効果的な清澄の実現ができるのは、ガラスの容積によって変わる。すなわち、大きな容積であればそれだけ多数の気泡を形成し、しかも気泡直径は小さくなる方がよい。一方、気泡の平均直径が150mmを越えると、気泡が溶融ガラス中を浮上し、溶融ガラスの表面に達して消滅する時に、気泡を覆っていた溶融ガラス生地が大量に飛散し、その結果、溶融ガラス表面にある気体成分を巻き込むことによって、溶融ガラス表面に無数の巻き込み泡を発生させる原因となる。その結果、表面生地に微細な泡欠陥を発生させることになって、ヘリウム、ネオンによってもたらされる微細な泡を無くして均質なガラスを得ることのできる清澄効果を無駄なものとしてしまうことになる。このため、ヘリウム及び/またはネオンを含有する泡の平均直径は、150mm以下が好ましく、120mm以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは100mm以下、一層好ましくは80mm以下とすることである。
また、本発明のガラス溶融炉は、必要とされる耐熱性を有し、高温下にて経時的に構造強度を維持できる耐火材料であれば、使用する耐火材料の種類は問わないものである。ただ耐火材料には、一般的にセラミックスや耐熱性金属が利用されることが多いが、多孔性の耐火材料も数多く存在するため、ヘリウムやネオンを保持すべき箇所にはこれらのガスが不用意にガラス溶融炉外に散逸してしまうような材料が使用されないように注意が必要である。
さらに、本発明のガラス溶融炉で採用可能な加熱手段は、加熱の方法や手段、設備を特に限定するものではない。よって加熱手段としては、間接加熱でも直接加熱でもよく、加熱手段としては、電気、各種燃料の燃焼、電磁波等の加熱方法を単独あるいは組み合わせて複数併用することができる。さらにこの加熱装置に必要となる特性として、ガラス化反応の妨げになるような反応性を有せず、高温での構造強度に支障がないものであって、目的に見合うだけの体積のガラス原料を同時に加熱することができる規模を有し、ガラス材質の溶融という使用目的に合致した構成材料で構築された装置であればよい。
また、本発明のガラス溶融炉で溶解できるガラス材質は、一般に多成分の無機元素の酸化物を主成分により構成されるものである。ここで、多成分の無機元素の酸化物を主成分とするとは、2種類以上の酸化物を含み、かつその2成分以上の酸化物についての質量%表記の合量が、意図的に5割以上含有するということを表している。そして、単一の組成を有するガラス組成物に不純物として複数の成分が混入する場合は、本件での多成分の酸化物には相当しない。それは、例えば質量%で99%近い含有率を有する単一成分のガラス組成物に小数点以下二桁台の0.09質量%以下の含有率を有する成分を複数含有する場合は、本件の多成分の酸化物を含有するというものには該当しない。よって光ファイバー用の石英ガラスやこれに準じる高純度の石英ガラスは本件で対象とするものではない。またアニオンとしてフッ素を多量に含有するフッ化物ガラス、弗燐酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、カルコハライドガラス、オキシナイトライドガラス等の非酸化物系ガラスについても対象とするものではない。
また、本件を利用して製造されるガラスが使用される用途としては、特に限定されるものではない。すなわち、例えば、液晶表示素子の基板用板ガラスやプラズマディスプレイ用途の板ガラス、固体撮像素子収納パッケージのカバーガラス、液晶表示ディスプレイに搭載されるバックライト用管ガラス、高強度結晶化ガラス、光部品用途の各種レンズ部品、低融点粉末ガラス等の高い技術を要するガラス製品の製造に好適なものである。
また、本発明のガラス製造装置を使用することによって、製造されるガラス組成物、すなわちガラス物品は、ガラス原料を溶融して製造される多成分の酸化物を主成分とするガラス物品であって、ヘリウム及び/またはネオンの含有濃度が0.0001〜2μl/g(0℃、1atm)であることを特徴とするものとなる。そしてこのようにガラス物品中に存在するヘリウム及び/またはネオンは、他のガラス構成成分によって構築されたガラス網目構造の空孔に捕捉された状態で存在している。このような状態を本件では、ガラス中に溶解していると表現している。
なお、気泡径の計測は、炉内を観察する透明結晶化ガラスであるネオセラム窓を通して、高温撮影用の撮影装置によって撮影した画像データを画像解析することによって算出することができる。また、前記のヘリウム、ネオンのガラス中の含有量は、四重極型質量分析計によって測定することができる。四重極型質量分析計によるガス分析は、被測定ガラス試料を白金皿に入れ、その白金皿を試料室に保持して10-5Pa(即ち、10-8Torr)の真空状態とした後、加熱して放出されたガスを0.0001μL/gの測定感度を有する四重極型質量分析計に導いて分析をおこなうことができる。
本発明によれば、溶融槽で生成された溶融ガラス中の微細な気泡や過飽和状態の反応ガス成分等を、溶融槽の下流側に配設した希ガス溶解槽において該溶融ガラス中にヘリウム及び/またはネオンを拡散・混合して所定濃度溶解させて除去するので、溶融ガラス中の気泡等を効果的に除去することができ、しかも、該溶融ガラスを希ガス溶解槽の下流側に配設した清澄槽でさらに清澄するので、泡品位の高いガラスを安定して量産することが可能となる。
以下、本発明のガラス溶融炉とガラスの製造方法について実施例に基づいて詳細に説明する。
参考例1
本発明者らは、本発明のガラス溶融炉を、アルカリ含有量が10質量%以下の組成を有する珪酸塩ガラスであり、かつ、電子部品用途の板ガラスとして利用されるガラス製品の溶融設備に適用することによって、ガラスの清澄を確実に行い、従来よりも製品歩留まりを向上させることを図った。そのために、従来から利用されてきた小型連続溶融炉の溶融槽と清澄槽の間に、ヘリウム及び/またはネオンを溶融ガラス中に拡散・混合して溶解させる希ガス溶解手段としての希ガス溶解装置を配設し、これによって参考例のガラス溶融炉を実現した。図1に、このガラス溶融炉1の構成を示す。溶解槽10と清澄槽30との間には耐火物壁が設けられており、溶解槽10内の溶融ガラスGは溶解槽10の両側壁部にそれぞれ接続された2台の希ガス溶解装置5{図1(Y)参照}を通じて清澄槽30に流れるようになっている。
このガラス溶融炉1でのガラスの製造工程は、次のようなものになる。まず、ガラス溶融用のガラス原料Bは、粒度、不純物、含有水分量等の所望の仕様を満足する複数の原料をそれぞれ秤量し、次いで均一になるように予め混合する。この時、必要時には破砕されたガラスカレットも混合したバッチとして予め準備する。そして、このガラス原料Bを原料投入口11に設置した原料投入機によって溶融槽10内に投入する。投入されたガラス原料Bは、溶融槽10内の板状電極12とバーナー31による加熱によって溶融する。溶融して液体状となった溶融ガラスGは、スロート部40を経て槽内を上昇し、その後、溶融槽10の両側にそれぞれ接続された希ガス溶解装置5内に流入する。
希ガス溶解装置5の溶融ガラスGの出口側部分には、炉外から耐熱性ガス導入管21を導いて、白金−ロジウム製の希ガス導入口22からヘリウムガスAを導入している。導入されたヘリウムガスAは、希ガス溶解装置5内で溶融ガラスGの流れ方向に対して180°のベクトル角を有する流れ方向を維持しながら移動してゆく。この際にヘリウムガスAはそれ自体の持つ拡散力に加えて、気体浮力が加わることで、ヘリウム気泡の上昇にともなってその周囲に乱流を発生させながら移動してゆくことになる。このためヘリウムガスAは、希ガス溶解装置5内の傾斜した管状経路内において、溶融ガラスG中に溶解し易い状態となり、溶融ガラスG中に部分的に拡散され、かつ乱流によって混合されながら、原子状態になって溶解していく。溶解できなかった残りのヘリウムガスAは、溶融ガラスGより脱泡、脱気して、希ガス脱気手段の一部として溶融槽10の天井部に配設されたヘリウムガス回収のためのガス排出管13より回収される。そして、このガス排出管13は、回収するガス量を調整できる耐熱性ポンプ機能を有する装置(図示省略)に接続されており、余剰ガスの回収と同時に、溶融ガラスG中に溶解したヘリウムガスを吸引することによって膨張した泡からの気体についても回収することができ、いわゆる脱気装置15としての機能を併せ持つものである。また、このガラス溶融炉の場合、2台の希ガス溶解装置5を配設した構造を採用しているため、製造量に応じて2台ともを稼働させてもよいし、1台のみにて運用することも可能になっている。
溶解槽10中の溶融ガラスG中には、微細な気泡や過飽和状態の反応ガス成分等が存在しているが、前述のようにヘリウムガスが溶融ガラスG中に拡散・混合されて溶解することによって微細な気泡を膨張させるように作用する。また、過飽和状態にあるガラス原料の反応ガス成分についても、ヘリウム原子が拡散・混合されることによって、泡が形成され、さらに膨張、脱泡することが可能となる。そして、脱泡されなかった一部のヘリウム原子は、ガラス中の構成成分によって構築されている網目中にトラップされた状態で残留することになる。
こうして、充分に清澄された溶融ガラスGは、清澄槽30からフィーダー50へ流れ込み、さらにフィーダー50に配設された2台の撹拌スターラー51によって均質混合されて、その下流側の成形域で薄板形状にロール成形(図示省略)される。こうして製造された電子部品用板ガラスは、泡不良による歩留まりが、従来7%であったものが、本ガラス溶融炉1によって0.2%まで削減され、高い品位を有する電子部品用板ガラスを製造することができるようになった。また、ガラス中のヘリウム含有量を計測したところ、その値は0.055μl/g(0℃、1atm)であって、0.01〜2μl/g(0℃、1atm)の所定範囲の含有量となっていることを確認できた。
次に、参考例よりも溶融ガラス中へのヘリウム及び/またはネオンの拡散・混合そして溶解が容易なガラス材質を溶解するのに適した構成を、電子部品用途で使用される管ガラスのガラス溶融炉で採用した実施例を示す。
この溶融炉は、連続溶解炉としては非常に小型のガラス溶融炉であって、溶融槽の容積が小さいため、未反応の原料成分が清澄槽まで流出しやすいという欠点があった。この欠点を改善するため、溶融槽の下流側に希ガス溶解槽を直結した構造を採用した。図2に、このガラス溶融炉で採用した希ガス溶解槽6の部分断面図を示す。
溶融槽で溶融された溶融ガラスGは、図2の左側から希ガス溶解装置6内に流れ込んでくる。一方、ヘリウムガスAは溶融ガラスGの流れ方向に対向した方向で、ベクトル角が180°の方向で導入される。耐熱性ガス導入管21は白金ロジウム合金を採用し、先端部を絞り込み流量を適宜調整することによって、泡径が平均で60mm以下となるように制御されている。溶融ガラスGの流れに対向する方向からヘリウムガスAが導入されることによって、溶融ガラスG中へのヘリウム原子の混合、溶解は迅速に進行することになる。そして、それに伴って残存する過飽和状態にあるガラス原料起源のガスによる泡の径がヘリウムガスAの拡散により膨張することで、溶融ガラスG中からの泡の脱泡が促進されることになる。
そして、残存するヘリウムガスAは、希ガス脱気手段の一部として希ガス溶解槽6の上部にあるガス蓄積室80に蓄積され、ここに配設されたガス排出管13より回収される。この際、回収されたガスは高温状態にあるため、その熱を利用して導入するヘリウムガスAの予加熱を行っている。すなわち、耐熱性ガス導入管21の外側を排ガスが流れるような二重管構造を採用することによって、効率的な運用が可能となっている。
最後に溶融ガラスGは、希ガス溶解槽6の下流側に配設した撹拌装置であるスターラー51によって、均質混合され、混合不充分な部分のない状態にされた後、希ガス溶解槽6から流出して清澄槽に入り、清澄槽を経て、成形域へ達し、管ガラスの成型が行われることになる。
このようにして得られた電子部品用の管ガラスでは、従来では0.2mm程度の微小径の泡がガラス100g当たり10個程度認められていたものが、100g当たり0.1個程度にまで泡不良率が改善でき、不良率が減少したために採算に合う製品を市場の要求に応じて供給することができるようになった。また、ガラス中のヘリウム含有量を計測したところ、その値は0.046μl/g(0℃、1atm)であって、0.001〜2μl/g(0℃、1atm)の所定範囲内の含有量となっていることを確認できた。
次に、ディスプレイ用ガラスの製造装置として、本発明のガラス溶融炉を適用した実施例を説明する。画像表示部に泡が存在すると非常に目立つことから、この用途で利用されるガラス製品は、他の用途で利用されるガラス製品以上に泡品位については厳しい管理が必要であり、泡は重要な欠陥と考えられている。図3に、本発明のガラス溶融炉に配設される希ガス溶解装置7の横断面図、図4に図3のE部の縦断面図を示す。溶融槽に投入された原料は、バーナー加熱と白金電極による直接加熱によって溶融してガラス化し、その後に図3の左側から希ガス溶解槽7の内部に溶融ガラスGが流れ込む。そして、希ガス溶解槽7の内部には、図3及び図4に示したような耐熱性樋23が設けられており、その耐熱性樋23に沿って溶融ガラスGが流れていく際に、溶融ガラスGの上方を流れ方向のベクトル角が180°となるように配設された耐熱性ガス導入管21からヘリウムガスAが導入される。そして、ヘリウムガスAは、耐熱性樋23の溶融ガラスG中に拡散・混合して原子状態のヘリウムとなって溶解してゆくことになる。
また、希ガス溶解槽7内の溶融ガラスGの上部は、導入されたヘリウムガスAが充満しているため、耐熱性樋23から溶融ガラスGが落下する際にもヘリウムガラスAが溶融ガラスG中に拡散・混合、溶解しやすい環境が実現されている。こうして、溶融ガラスG中にヘリウム原子が溶解してゆき、溶融ガラスG中に残留する微小径の泡を膨張させるように作用することによって、図3の右側にある清澄槽に流出して溶融ガラスの清澄が促されるようになる。
図3、図4に示した本発明のガラス溶融炉を利用することによって、画像表示部で問題となる微細径の泡不良率が、従来に比較して9%減少し、高い品質を有するディスプレイデバイス用のガラス製品を供給することが可能となった。
ディスプレイ等に利用される粉末ガラスについては、ガラス中に微細な気泡が存在すると、ディスプレイ用ガラス部材等をこの粉末ガラスを使用して封着する際に粉末ガラスが発泡して、ディスプレイの強度や輝度等の諸特性に影響を及ぼすような問題が発生する場合がある。そこで、このような粉末ガラスの溶融に本発明のガラス溶融炉を適用できないか、検討を行った。
ガラス溶融炉に対して希ガス溶解装置を配設する試みが行われた参考例1と実施例ケースについて説明する。希ガス溶解装置8の配設されたガラス溶融炉の清澄槽30の部分断面図を図5(参考例)に、希ガス溶解槽9の部分断面図を図6(実施例)に示す。当初採用されたのは、図5の参考例である。この場合には、溶融槽で原料を溶融後に、図5の左側から溶融ガラスGが清澄槽30内に流入する。希ガス溶解装置8は清澄槽30の溶融ガラスGに浸漬した状態に配設されている。清澄槽30の上方から白金ロジウム製のガス導入管21によってネオン5%、ヘリウムガス95%の体積比のガスが導入され、白金ロジウム製の希ガス導入口22から噴出し、この槽内に蓄えられて周囲の溶融ガラスGによって加熱される。そして、希ガス溶解装置8の周囲から浮力によってヘリウム−ネオン混合ガス泡となり、溶融ガラスGの流れ方向に対して、ベクトル角90°の方向で浮上していく。
この希ガス溶解装置8での清澄効果については、それまでの希ガス溶解装置8を導入していない状態に比較すれば、最終的な封止試験での泡の発生率が12%削減され、かなりの改善効果が得られた。しかしながら、より高い品位の清澄効果を目指すため、さらに図6のような構造とする大幅な修正を行った。図5では清澄槽30の中に希ガス溶解装置8を配設する構造であったが、図6では溶融槽10と清澄槽30の間に希ガス溶解槽9を配設することによって、図5の清澄槽30中でヘリウムガスAを導入する構造から、これよりも上流側の位置で溶融ガラスG中にヘリウムガスAを導入する構造にした。図6において、溶融槽10でガラス化済みの溶融ガラスGは左側から希ガス溶解槽9内に流れ込み、そこで、希ガス溶解槽9の上部より駆動される白金ロジウム製スターラー51によって回転運動を付与される。それに対してヘリウムガスAは予め予加熱された状態でスターラー51の下部より希ガス溶解槽9内に導入され、スターラー51によって溶融ガラスGに生じた流れ方向に対してベクトル角90°の方向で浮上し、スターラー51部を通過して浮上する際に、溶融ガラスG中に拡散・混合され原子状になって溶解することになる。過剰なヘリウムガスAについては、脱気装置の一部であるガス排出管13より回収されて、再利用されることになる。
そして、溶融ガラスGは、希ガス溶解槽9内のスロート状構造を通過して、さらにスターラー51によって混合されて均質な状態にされた後に、清澄槽30に流れ出すことになる。
こうして、図6のような改良を施した本発明のガラス溶融炉を採用することによって、泡発生率がさらに減少する効果が得られ、均質でしかも充分に清澄されたガラス製品が得られることが確認された。
ちなみに、図6のような改良を施すための予備試験を実験室で実施することによって、最終的に図6の形態の改良を行うことが可能となった。予備試験で使用した設備の説明図として図7を示す。
この試験では、図5のガラス溶融炉で溶融していたものと同じディスプレイ等に利用される粉末ガラスを使用した。ここでガスを溶融ガラスG中でバブリングする目的はヘリウムガスAを溶融ガラスG中に拡散させることにある。そこで、この実験では白金坩堝70の底部近傍に配設した耐熱性バブリング管(すなわちガス導入管21)の先端にある白金−イリジウム製の希ガス導入口22より溶融ガラスG中へバブリングすることによってヘリウムガスAの導入をおこない、溶融ガラスG中で上昇するヘリウムガスAの気泡に対してベクトル角90°の流れを作ると同時に、泡そのものを、旋回するスターラー51の羽根によって溶融ガラスG中で分断することによって泡径を小さくして40mm以下の球相当平均直径を有する泡とし、溶融ガラスG中での浮上速度を遅延させることによって、より長い時間ヘリウムガスAが溶融ガラスGと接触し易くした。
その結果、単にヘリウムガスAを坩堝70の底からバブリングする場合と比較して、同じヘリウム流量であるにもかかわらず、試験を終了した後のガラス中に含有されるヘリウムの含有量が、2割増加することが判明した。しかも、最終的に得られたガラス中の泡含有量は、単にヘリウムガスAをバブリングすることによって導入した場合よりも改善され、得られたガラスの加熱リボイル試験によってもリボイルの不安が認められず、優れた品位となることを確認することができた。
次いで、図5で行った結果を踏まえ、さらに泡径の小さいバブリングを効果的に実現するため、以下のような試験も行われた。試験は、ランプ用途に利用される細管ガラスの組成によるものである。試験を行った装置の説明図として図8を示す。
実施例、実施例の結果から、さらに泡径を小さくして30mm以下の球相当平均直径とし、しかも耐熱性ガス導入管21とスターラーの両方の機能を併せ持つスターラー51を設計して、このスターラーを使用することによって、効率のよい製造が可能となるかどうか、調査をおこなった。ここで採用したのは、回転軸内を管状に加工したスターラー51であって、この先端の白金製の希ガス導入口22からヘリウムガスAを溶融ガラスG中に導入することができるものである。
図8のように配設したスターラー51から1400℃に保持された溶融ガラスG中へヘリウムバブリングを行い、さらにこのスターラー51を回転させることによって、ヘリウムガスAの泡径を小さくすることができることを確認した。
そこで、次に予め1400℃、1350℃で2時間溶融した溶融ガラスGをこの白金ロジウム坩堝70内に高温状態のまま流し入れて、1400℃で2時間、このスターラー型のヘリウム導入管51(21)の先端にある希ガス導入口22からヘリウムバブリングをおこない、泡数を計測したところ、1400℃から1400℃にしたものは10〜50個/kgの泡数であり、1350℃から1400℃としたものは0〜10個であった。こうして、このスターラー51を使用して、ヘリウムバブリングを採用することによって、効果的な製造条件を得ることのできる知見がえられた。
参考例3
次いで光部品用途のガラス製品の製造のためのガラス溶融炉について、本発明のガラス溶融炉を適用した参考例を説明する。このガラスは白金ポット70を使用してバッチ生産されており、泡不良の発生率が約16%と高く、製品歩留まりが低いため、その対策として本発明を適用しようと考えた。そこで、希ガス溶解装置52については、図9のように溶融ガラスG中に希ガス溶解装置52を浸漬して、希ガス導入口22よりヘリウムガスAを噴出させ、溶融ガラスG中の希ガス溶解装置52内にヘリウムガスAを導入し、そして、導入したヘリウムガスAを希ガス溶解装置52の内部にある翼によって撹拌することにより泡平均直径を50mm以下とし、対流によって生じる上方向のガラス流れに対して、ベクトル角90°の方向でヘリウムガスAの流れを生じさせて、溶融ガラスG中にヘリウムガスAを拡散・混合し、その結果、ヘリウムを原子状態として溶融ガラスG中に溶解させる構成とした。
このようにして、本発明を適用することによって、従来16%程度であった泡不良率が8%程度にまで減少し、製品歩留まりも向上することによって、製品原価を低下させることができた。また、ガラス中のヘリウム含有量を計測したところ、その値は0.033μl/g(0℃、1atm)であって、0.001〜2μl/g(0℃、1atm)の所定範囲内の含有量となっていることを確認できた。そして、本発明を適用することによって、従来は清澄が困難となっていたガラスについても、容易に清澄を行うことができ、市場の要求に応じた均質なガラスが供給できることになった。
最後に、液晶表示装置の画像表示部に搭載される薄板ガラスの製造に関して、本発明のガラス溶融炉を使用し、本発明の製造方法を適用した事例について説明する。
この無アルカリガラスは、これまでも比較的大型のガラス溶融炉を利用して製造されているが、近年の技術革新と市場の拡張に伴って、より大容量の溶融設備へと改良を行う必要が生じた。このため、そのような設備の一連の改造に併せて、これまでの各種の試験で好成績を上げている本発明のガラス溶融炉へと改良する試みを行うこととなった。
図10に改良された後のガラス溶融炉の断面図を示す。ガラス原料Bは、大型原料混合機によって混合された後、ベルトコンベヤで原料投入口11に配設されたスクリュウ投入機まで配給され、所定速度でガラス溶融炉の溶融槽10内に投入される。投入されたガラス原料Bは、溶融槽10においてバーナー31による加熱と電極12による加熱によって溶解して溶融ガラスGになる。この後、溶融ガラスGは、希ガス溶解槽20として増設された槽内へとスロート40を通って流入する。この希ガス溶解槽20には、希ガス溶解装置53(ここではバブラーモジュール53と呼ぶ)が配設されており、バブラーモジュール53は耐熱性ガス導入管21によって炉床まで供給されたヘリウムガス、ネオンガスを希ガス溶解槽20内に導入する複数、例えば16箇所の希ガス導入口22(図10では溶融ガラスの流れ方向に並んだ4つの希ガス導入口22が示されているが、この希ガス導入口22は溶融ガラスの流れ方向と直交する方向に4列で配列されており、全部で16箇所配設されている。)を備えている。バブラーモジュール53の炉床にある各希ガス導入口22は、白金(Pt)−ロジウム(Rh)15%の合金で被覆されている。尚、バブラーモジュール53の希ガス導入口22の配設密度は、10000導入口数/m2以下となるように設定されている。
この16箇所の希ガス導入口22を有するバブラーモジュール53から、99%の純度のヘリウムガスAの気泡が、溶融ガラスG中で、平均直径80mm以下となるような供給量で噴出することによって、ヘリウム泡から、溶融ガラスG中へのヘリウム原子の拡散を起こさせる。この希ガス溶解槽20には、バブラーモジュール53以外にも電極(図示省略)やガス排出管13が配設されており、バブラーモジュール53から噴出し、溶融ガラスG中を浮上後に、溶融ガラスGの上方に溜まったヘリウムガスを回収することができる様になっている。また、この希ガス溶融槽20は、1500℃以上の高温にすることができるように内壁、炉床の耐火物としてジルコニアを80質量%以上含有する電鋳耐火煉瓦を採用している。また、メタルライン(炉壁の溶融ガラスと溶融雰囲気の界面を表すライン)の高温部には、白金を被覆した耐火物を採用した。これはバブラーモジュールから噴出したヘリウムガスやネオンガスによってメタルラインが振動し、耐火物のメタルライン部の浸食が著しく進行するのを防止するためである。
希ガス溶解槽20中においても、溶融ガラスG中に含有される微細な反応泡を放出する清澄反応の一部は開始されるが、希ガス溶解槽20を経た後の清澄槽30内で加熱されることによって本格的な清澄が行われ、溶融ガラスは均質な状態となる。さらに、この溶融ガラスGは、フィーダー50に流れ込み、スターラー51によって最終的な均質化操作が行われた後、成形域へと流出してゆき、薄板ガラスへと成形されることになる。
このようなガラス溶融炉を使用することによって、大面積の薄板ガラスを成形する際に問題となる、微細な寸法を有する泡を減少させることができ、良品率を向上させることができる。また、ガラス中のヘリウム含有量を計測すれば、その値は0.0001〜2μl/g(0℃、1atm)の所定範囲内の含有量となる。
参考例に係るガラス溶融炉の断面図である。図1(X1)はガラス溶融炉を側方から見た断面図(図1(Y)のX1−X1断面)、図1(X2)は希ガス溶解装置の周辺部の部分断面図(図1(Y)のX2−X2断面、図1(Y)はガラス溶融炉を上方から見た断面図である。 本発明の他の実施例に係る希ガス溶解槽の部分断面図である。 本発明の他の実施例に係る希ガス溶解槽の部分断面図である。 図3におけるE―E断面図である。 参考例に係る希ガス溶解装置の部分断面図である。 本発明の他の実施例に係る希ガス溶解槽の部分断面図である。 実験室で行われた本発明の試験に関する説明図である。 実験室で行われた本発明の他の試験に関する説明図である。 参考例に係る希ガス溶解装置の部分断面図である。 本発明の他の実施例に係るガラス溶融炉の側方から見た断面図である。 従来の連続式溶融炉の側断面図である。 従来のバッチ式炉の側断面図である。
1 ガラス溶融炉
5 希ガス溶解装置
6、7、8、9、53 希ガス溶解槽
10 溶融槽
11 原料投入口
12 板状電極
13 ガス排出管
14 棒状電極
15 脱気装置
20 希ガス溶解槽
21 耐熱性ガス導入管
22 希ガス導入口
23 耐熱性樋構造体
30 清澄槽
31 バーナー
40 スロート
41 発熱体
50 フィーダー
51 スターラー
60 取出口
70 溶融ポット
80 ガス蓄積室
A ヘリウムガスまたは/及びネオンガス
B ガラス原料
C 坩堝
D 雰囲気炉
P 坩堝の蓋
G 溶融ガラス
R 耐火物

Claims (18)

  1. ガラス原料を加熱して溶融する溶融槽と、該溶融槽の下流側に配設された清澄槽とを備えたガラス溶融炉において、
    前記溶融槽と前記清澄槽との間に希ガス溶解槽が配設され、該希ガス溶解に、加熱装置が設けられていると共に、希ガス導入口からヘリウム及び/またはネオンを供給し溶融ガラス中に拡散・混合して所定濃度以上のヘリウム及び/またはネオンを溶解させる希ガス溶解手段が設けられていることを特徴とするガラス溶融炉。
  2. 溶解させるヘリウム及び/またはネオンの濃度が0.0001μl/g(0℃、1atm)以上であることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  3. 前記希ガス溶解手段の少なくとも一部が溶融ガラス中に浸漬していることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  4. 前記希ガス溶解手段が、溶融ガラスの内部、上方、下方及び側方のうち少なくとも一の位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  5. 前記希ガス溶解槽が、減圧装置及び遠心力発生装置のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  6. 前記希ガス溶解手段が、溶融ガラスの上方に配設されていることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  7. 前記希ガス溶解槽の内部に耐熱性が設けられており、前記溶融槽からの溶融ガラスが前記耐熱性に沿って流れ、該耐熱性の端部から前記希ガス溶解槽の溶融ガラス中に流下することを特徴する請求項6記載のガラス溶融炉。
  8. 前記希ガス溶解手段が、溶融ガラスの流れ方向に対するベクトル角が0°〜80°、50°〜130°または100〜180°の何れかとなる方向にヘリウム及び/またはネオンの気体の流れを発生させることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  9. 前記希ガス溶解手段が、耐熱性金属及び/またはセラミックよりなることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  10. ヘリウム及び/またはネオンを拡散・混合させた後の溶融ガラス中からヘリウム及び/またはネオンを含有する気体を脱気させる希ガス脱気手段が、溶融ガラスの内部、上方、下方及び側方のうち少なくとも一の位置に配設されていることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  11. 前記希ガス脱気手段が、加熱装置、減圧装置及び遠心力発生装置の一群より選択される少なくとも1以上のものであることを特徴とする請求項10記載のガラス溶融炉。
  12. 前記希ガス脱気手段が、溶融ガラスの上方に設けられた希ガス集積室を備えていることを特徴とする請求項10記載のガラス溶融炉。
  13. 前記希ガス溶解手段が複数の希ガス導入口を備えていることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  14. 前記複数の希ガス導入口が、炉床及び/または炉壁に配設されていることを特徴とする請求項13記載のガラス溶融炉。
  15. 前記複数の希ガス導入口が、1000℃以上の融点を有する金属により構成されることを特徴とする請求項13記載のガラス溶融炉。
  16. 前記希ガス溶解槽の内壁面が、1200℃以上の耐火温度を有する耐火煉瓦または1200℃以上の融点を有する耐熱性金属で構成されていることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融炉。
  17. 前記耐火煉瓦が、SiO2、ZrO2、Al23、MgO、Cr23、C及びWO3の一群より選択される少なくとも1以上のものを含有することを特徴とする請求項16記載のガラス溶融炉。
  18. 前記耐熱性金属が、Pt、Ir、Os、Re、W、Ta、Rh、Hf、Ru、Tc、Pd、Mo、Ti、Zr及びNbの一群より選択される少なくとも1以上のものを含有することを特徴とする請求項16記載のガラス溶融炉。
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