JP4443903B2 - 積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等のうちの可食性の口腔内投与物に係わる極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状可食性口腔内投与剤の新規かつ改良された製造方法に関する。
具体的には、食品および食品添加物として認められている物質及び/又は経口投与が認められている医薬品および医薬品添加物のみからなり、例えば上顎や歯茎の粘膜や鼻腔粘膜等の口腔内における経粘膜貼付剤、口腔内の患部に貼付して治療・保護を行う口腔内疾患予防貼付剤、口腔内治療貼付剤、口臭予防貼付剤、口臭防止貼付剤、および口腔内において溶解し主に消化管で吸収させる経口投与用の医薬口腔内投与剤、さらには消臭作用や健康維持効果等の作用を有する医薬部外品、食品等の口腔内投与物において、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状の口腔内投与剤を生産性よく製造するための新規かつ改良された製造方法に関する。
医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の口腔内投与物をシート状あるいはフィルム状にして口腔内投与剤化する技術は、従来から種々提案されている。
例えば特許文献1には、フィルム形成剤、ゲル形成剤、活性物質、不活性フィラー、極性溶媒を混合した口腔内投与剤調製液を、塗布装置によってシリコーン化紙の上に拡げ、80℃で10〜15分間乾燥して、シート状口腔内投与剤を製造することが記載されているが、口腔内投与剤層が多層に積層された構造ではない。
特許文献2には、口腔内投与剤調製液を適当な担体材料の上に被覆し、乾燥させた後、得られたフィルム状の口腔内投与剤を担体材料から剥がしてフィルム口腔内投与剤を製造することが記載されており、担体材料としては非シリコン化ポリエチレンテレフタレートフィルム、非シリコン化クラフト紙、ポリエチレン含浸クラフト紙、または非シリコンポリエチレンフィルムが使用できること、被覆技術としてはナイフ・オーバー・ロール・コーティングヘッドを用いるのが好ましいことが開示されている。
しかし、口腔内投与剤層が多層に積層された構造のフィルム口腔内投与剤を製造することについては教示されていない。
特許文献3には、口腔粘膜部にブプレノルフィンを投与するためのシート状又はテープ状の口腔内投与剤が記載されており、ブプレノルフィンを含む口腔内投与剤層調製液を塗布した複数のシート状又はテープ状材料を多層材料を形成するように組み合わせて多層とする製造方法が記載されているが、具体的な多層構造の製造方法については教示されていない。
特許文献4には、薬物含有層と非接着層と接着層からなる多層構造のフィルム口腔内投与剤が記載されている。
またその製造方法としては、ポリ四フッ化エチレン製シャーレ上で、口腔内投与剤層調製液の塗布または噴霧と、塗布または噴霧した口腔内投与剤層調製液の乾燥とを繰り返し行って、所要の多層構造を有するフィルム状口腔内投与剤を得る方法が実施例に開示されているが、かような製造方法は、実験室規模では使用できるが工業的には採用し得ない方法である。
しかも多層にするために、形成した口腔内投与剤層の上に別な口腔内投与剤層調製液を手で塗布または噴霧する場合には、口腔内投与剤調製液を量的に正確に塗布または噴霧することが困難で、薬剤成分等の正確な量が制御できず、得られた多層フィルム状口腔内投与剤は、医薬製剤に要求される量的精度を満たすことはできない。
本願と同一出願人により特許出願された特許文献5には、コーティング層(a)、薬物層I(b)、薬物層II(c)の3種の層を、a、b、c、b、aの順に積層してなるフィルム状トローチ口腔内投与剤が提案されている。
このフィルム状トローチ口腔内投与剤の製造方法としては、各可食性口腔内投与剤層調製液のポリエステル剥離フィルム上への展延乾燥を繰り返すことにより、所望の多層積層構造を形成する方法が記載されている。
特許2559301号公報 特表2001−504106号公報 特表2001−506640号公報 特開平9−235220号公報 特開2001−288074号公報
本願と同一出願人による上記特許文献5に記載の多層積層構造のフィルム状トローチ口腔内投与剤を製造するに際しては、出願人は図11に図示したような、連続的に移動している樹脂フィルムの上に、可食性口腔内投与剤層調製液を連続的に塗布乾燥する塗工装置50を採用している。
この塗工装置50は、樹脂フィルム巻き出し軸51にセットした樹脂フィルム52を、ガイドロール53とドクターロール54の間を通して乾燥炉55内に導き、樹脂フィルム巻き取り軸56で巻き取ることにより、樹脂フィルム52を連続的に移動させる。
この間に、可食性口腔内投与剤層調製液供給用ダム部57に供給した可食性口腔内投与剤層調製液58が樹脂フィルム上に塗布され、この際、ガイドロール53上の樹脂フィルム52とドクターロール54とのクリアランスを所定寸法に調整することにより所定の塗布量とすることができる(部分拡大図参照)。
かくして形成された樹脂フィルム52上の塗布層58aは、乾燥炉55を通過することにより、熱風吹き出し装置59から均一に吹き出された熱風により乾燥され、可食性口腔内投与剤層が形成された樹脂フィルム60が巻き取り軸56にロール状に巻き取られる。
次いで、この巻き取り軸56にロール状に巻き取った口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60を、再度巻き出し軸51に取り付け、同じ組成または異なる組成の可食性口腔内投与剤層調製液58をダム部57に供給して再び塗布と乾燥を施し、巻き取り軸56に巻き取ることにより、二層の可食性口腔内投与剤層が積層形成された樹脂フィルムを製造することができ、かような塗布と乾燥を繰り返し行うことによって、所要の多層構造を有するフィルム状トローチ口腔内投与剤を、上記した従来方法より良好な生産性で製造することができる。
しかしながら、図11に図示したような塗工方法を採用しても、上記従来方法と同様に、塗布と乾燥を繰り返し行って多層構造を有するフィルム状可食性口腔内投与剤を製造する場合には、可食性口腔内投与剤層調製液58の塗布量の正確な制御が困難となり、医薬製剤に要求される量的精度を満たすことはできないことが判明した。
すなわち、一回目の塗布は、ドクターロール54と樹脂フィルム52のクリアランスを所定寸法にすることにより所定の塗布量を正確に制御できる。
しかし、一回目の塗布後の乾燥工程によって形成される乾燥可食性口腔内投与剤層の厚さが、乾燥工程の微細な条件変動やその日の気温、湿度等の外乱によって変動する。
その結果、二回目の塗布においては、ドクターロール54と樹脂フィルム52のクリアランス寸法をいくら正確にしても、実際に可食性口腔内投与剤層調製液58が塗布される厚さは、一回目に形成された乾燥可食性口腔内投与剤層の上面とドクターロール54との間隙となるため、二回目の可食性口腔内投与剤層の塗布厚は一回目の可食性口腔内投与剤層塗布厚の変動によってさらに変動することになる。
一回目に塗布した可食性口腔内投与剤層58aの乾燥工程後の厚さの変動を測定するのは非常に困難である。
かような可食性口腔内投与剤層調製液の塗布量の不正確さは、塗布・乾燥の回数が増せば増すほど増大する傾向にある。
しかも、この塗布・乾燥の回数が増せば増すほど、乾燥にかかる時間が長くなり、二回目の可食性口腔内投与剤層の乾燥には一回目の1.5倍の時間がかかり、三回目には2倍の時間がかかる。
そこで本発明の第1の目的は、多層構造を有するフィルム状可食性口腔内投与剤を製造するに際しても、医薬製剤等に要求される量的精度を満たすことができ、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることのない、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状の可食性口腔内投与剤の新規かつ改良された製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第2の目的は、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状可食性口腔内投与剤の新規かつ改良された製造方法おいて、さらに改良された製造方法を提供することにある。
すなわち、複数の薄い層を積層してなる多層構造のフィルム状可食性口腔内投与剤を得るために、可食性口腔内投与剤層調製液を樹脂フィルムの表面上に展延して乾燥することにより所定厚さの可食性口腔内投与剤層を形成した樹脂フィルムを製造し、これらの樹脂フィルム同士を、可食性口腔内投与剤層が互いに対向するように重ね合わせた状態で各樹脂フィルムの裏面から加圧して可食性口腔内投与剤層を圧着させ、相互に密着させた可食性口腔内投与剤層を挟む2枚の樹脂フィルムの一方を剥ぎ取る際に、可食性の口腔内投与剤は、それだけで自立してフィルムを形成できる程度の強度を持っているので、剥ぎ取った樹脂フィルムの方に可食性口腔内投与剤層が付着してしまい、意図した他方の樹脂フィルムの方に可食性口腔内投与剤層を保持できなくなるという事態が生ずることがあった。
本発明は、これを解決し、厚さ数百μm〜数十μmの極めて薄い複数層を圧着して全体の厚さが数千μm〜数十μm程度の薄い多層体構造を形成するに際して、圧着させた可食性口腔内投与剤層を挟む2枚の樹脂フィルムの一方のみを剥離し、意図した他方の樹脂フィルム上に可食性口腔内投与剤層を確実に保持させることができる、積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法を提供することも目的としている。
すなわち、本発明の請求項1に係る積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法は、樹脂フィルムの表面上に所定厚さの可食性口腔内投与剤層を塗布乾燥して形成する口腔内投与剤層形成工程と、上記口腔内投与剤層形成工程で得られた口腔内投与剤層形成樹脂フィルムをロール状に巻いてロールフィルムを形成するロールフィルム形成工程と、上記ロールフィルム形成工程で得られた同一成分または異種成分の可食性口腔内投与剤層を形成した二つのロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各可食性口腔内投与剤層面が互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から一対の押圧ロールで加圧することにより、可食性口腔内投与剤層相互を密着させる一方、二つの樹脂フィルムを圧着する際に、二つの樹脂フィルムの間に空気を巻き込んだ場合には、運転を停止することなく、押圧ロール下流に設置した一組のロールの間隙を狭めて閉じるとともに、押圧ロールの間隙を開けて開放し、二つの樹脂フィルム間に巻き込まれた空気を閉じられた一組のロールにより押し出して除去し、空気が除去された後に、押圧ロールを閉じて一組のロールを開放し、正常な運転に戻すロールフィルム口腔内投与剤層圧着工程と、相互に密着した上記可食性口腔内投与剤層を挟む二つの樹脂フィルムを上記一対の押圧ロールの加圧部における接線方向に略一致させて搬送させながら、その搬送方向に設けた剥離ロールの周面に沿って、相互に密着した可食性口腔内投与剤層を挟む上記二つの樹脂フィルムのうちの一方の樹脂フィルムのみを前記搬送方向と異なる方向に引き込むとともに、可食性口腔内投与剤層を保持した他方の樹脂フィルムを前記搬送方向に搬送し続けることにより、上記重ね合わせた二つの樹脂フィルムのうちの一方の樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、樹脂フィルムの一方の面上に形成した所定厚さの口腔内投与剤層を所定の剤形に打ち抜く切断刃を、口腔内投与剤層側から前記樹脂フィルムの裏面まで到達しないように移動させて、口腔内投与剤層のみを所定剤形に切り込みを入れるとともに、吸引パッドの配設位置で切り込みを入れた所定の剤形の口腔内投与剤層を前記吸引パッドによって吸い取って所定の剤形の口腔内投与剤層を前記樹脂フィルムから剥離する口腔内投与剤層打ち抜き工程とを有することを特徴とする。
以上詳細に説明した如く、一対の押圧ロールにより可食性口腔内投与剤層相互を密着させる圧着法を用いた本発明の積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法によれば、可食性口腔内投与剤層調製液の塗布・乾燥を繰り返し行って多層構造とする従来の積層塗布法に比べて、医薬製剤等に要求される量的精度が向上し、しかも乾燥工程等にも時間的制約が生ずることがなく、生産性に優れた、極めて薄い層が積層された多層構造を有する積層フィルム状の可食性口腔内投与剤を得ることができる。
さらに、従来の積層塗布法により得られた積層構造が、積層された各可食性口腔内投与剤層の境界が不明瞭でぼやけて見えるのに対して、圧着法を用いる本発明の方法により得られた積層構造は、各可食性口腔内投与剤層の境界が明確に識別でき、かような積層構造は本発明により初めて得られる積層フィルム状の口腔内投与剤の新規な構造ということができる。
また、積層された各可食性口腔内投与剤層の境界が明確に識別できることは、各可食性口腔内投与剤層がその境界付近で混ざり合わずに明確に区分されるていることを意味しており、これによって、各可食性口腔内投与剤層での有効成分濃度の制御を精度よく行うことが可能となる。
さらにまた、本発明の積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法によれば、フィルム状口腔内投与剤は、それだけで自立してフィルムを形成できる強度を持っているので、剥離される一方の樹脂フィルムに口腔内投与剤層が付着してしまい、意図した他方の樹脂フィルムに口腔内投与剤層を保持できなくなるというトラブルが生じやすいが、相互に密着した可食性口腔内投与剤層を挟む二つの樹脂フイルムを一対の押圧ロールの加圧部における接線方向に略一致させて搬送させながら、その搬送方向に設けた剥離ロールの周面に沿って、相互に密着した可食性口腔内投与剤層を挟む二つの樹脂フイルムのうちの一方の樹脂フィルムのみを前記搬送方向と異なる方向に引き込むととともに、可食性口腔内投与剤層を保持した他方の樹脂フイルムを前記搬送方向に搬送し続けることにより、意図した他方の樹脂フィルムに口腔内投与剤層を確実に保持させることができるようになり、生産性に優れた積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法が提供できる。
本発明の積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法において、樹脂フィルム表面上に可食性口腔内投与剤層を塗布・乾燥して形成するに際しては、図11に図示したごとき塗工装置50が好ましく使用できる。
この塗工装置50においては、樹脂フィルム巻き出し軸52から巻き出された樹脂フィルム52は乾燥炉55を通って樹脂フィルム巻き取り軸56で巻き取られることにより、樹脂フィルム52が連続的に移動されるようになっており、この間に、可食性口腔内投与剤層調製液供給用ダム部57に貯められた可食性口腔内投与剤層調製液58が樹脂フィルム52上に塗布されて乾燥されることで可食性口腔内投与剤層が樹脂フィルム表面上に形成される。
可食性口腔内投与剤層の塗布量の制御は、ダム部57におけるドクターロール54と樹脂フィルム52とのクリアランスを調整することにより行うことができる。
かような塗工装置50を用いて、可食性口腔内投与剤層調製液の塗布・乾燥を複数回繰り返すことによって、樹脂フィルム表面上に複数層の可食性口腔内投与剤層を形成することができる。
また、同一成分または異種成分の可食性口腔内投与剤層調製液の塗布・乾燥を複数回繰り返すことにより、同一成分の可食性口腔内投与剤層の厚さを増加させたり、各種成分からなる複数層の可食性口腔内投与剤層を形成させることも可能である。
しかしながら、前述したように、塗布・乾燥の回数が増すほど、可食性口腔内投与剤層調製液の塗布量が不正確となるとともに、乾燥に要する時間が長くなるため、塗布・乾燥の繰り返し回数は2〜3回程度、好ましくは1回に止めることが望ましい。
また、1回の塗布で樹脂フィルム表面上に形成する可食性口腔内投与剤層の厚さは、1〜300μm程度とすることが望ましい。
1回の塗布厚を300μmより厚くした場合には、乾燥時間が長くなりすぎて生産性が悪くなる。
図11の塗工装置50を用いて、単一の塗布あるいは同一成分または異種成分による複数の塗布を施し、所望の可食性口腔内投与剤層が形成された口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60を製造する。
このようにして製造された数種類の口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60は、それぞれ巻き取り軸56でロール状に巻かれてロールフィルムとされた後、図1に図示した圧着装置10を用いて二つの口腔内投与剤層形成樹脂フィルムを圧着し、積層フィルム状の可食性口腔内投与剤が製造される。
すなわち、図1に図示した圧着装置10は、例えば図11の塗工装置50を用いて製造された所定厚さの可食性口腔内投与剤層が表面上に形成された2枚の樹脂フィルム同士を、可食性口腔内投与剤層が互いに対向するように重ね合わせた状態で引き込み、各樹脂フィルムの裏面から加圧する一対の押圧ロール15、15と、押圧ロールから送出され相互に密着された複数可食性口腔内投与剤層を挟む2枚の樹脂フィルム(圧着品)16の1枚16aのみを剥離する剥離ロール17と、剥離したフィルムを巻き取る巻き取り軸18と、剥離後に残される複数投与剤層保持樹脂フィルム(圧着製品)16bを巻き取る巻き取り軸19とを備えている。
この巻き取り軸19を駆動ロールとするとともに、押圧ロール15、15の1つのロールを駆動ロールとし、さらに剥離ロール17と巻き取り軸19との間に別途駆動ロール34を配設し、これら3つの駆動ロールが、複数投与剤層保持樹脂フィルムの搬送機構となり、押圧ロール15、15から送出された複数投与剤層保持樹脂フィルム16bを巻き取り軸19へ搬送することができる。
搬送機構により複数投与剤層保持樹脂フィルム16bが搬送される方向は、図1に示したように、一対の押圧ロール15、15の加圧部における接線方向と一致させているが、必ずしも接線方向と正確に一致させなくても、図2に図示したように、接線方向Tと搬送方向Cとのズレが30°以内、好ましくは15°以内、さらに好ましくは10°以内といった程度に略一致させればよい。
換言すれば、搬送方向を図2の矢印Y1と矢印Y2との間の範囲内とすればよい。
複数層からなる可食性口腔内投与剤層は、それだけで自立したフィルムを形成できる程度の強度を持っているため、剥離すべき一方の樹脂フィルム16aの方に可食性口腔内投与剤層が付着してしまい、他方の樹脂フィルム16bの方に可食性口腔内投与剤層を保持させることができなくなる事態が生ずることがある。
そこで本発明においては、剥離ロール17は、押圧ロール15、15から送出される複数投与剤層保持樹脂フィルムの搬送方向に沿った位置に設置されており、相互に密着された複数投与剤層を挟む2枚の樹脂フィルム16の1枚16aのみを、複数投与剤層保持樹脂フィルム16bの搬送方向とは異なる方向に引き込む巻き取り軸18で巻き取るようにしている。
これにより、うまく剥離することができる。
この剥離ロール17は剥離される一方の樹脂フィルム16aの移動に伴って伴回りするように回動自在に設けられている。
さらに、本発明においては、図3に示したように、剥離ロール17の直径Dを6cm以下、好ましくは5cm以下と小さくし、直径の小さい剥離ロール17の周面に沿ってできるだけ急角度で剥離することにより、意図した他方の樹脂フィルム16bに複数可食性口腔内投与剤層が確実に保持残留されるようにしている。
また、剥離される樹脂フィルム16aを巻き取る巻き取り軸18は、剥離ロール17を起点として、剥離される樹脂フィルム16aを、複数投与剤層保持樹脂フィルム16bの搬送方向Cと45°以上、好ましくは60°以上の角度をなして引き込む位置に設けることが望ましい。
なお、図3に示した例では、搬送方向Cと約80°の角度で剥離樹脂フィルム16aを引き込む位置に巻き取り軸18を設けている。
図1に示した本発明の圧着装置10の動作は以下の通りである。
表面上に可食性口腔内投与剤層が形成されたロールフィルムの一つ11を、圧着装置10の上部巻き出し軸13にセットし、可食性口腔内投与剤層が形成されたロールフィルムのもう一つ12を下部巻き出し軸14にセットする。
これらのロールフィルム11、12をそれぞれ所定速度で巻き出し、各可食性口腔内投与剤層面が互いに対向するように重ね合わせて、一組の押圧ロール15、15の間を通過させることにより、樹脂フィルムの裏面から加圧されて、可食性口腔内投与剤層相互が密着する。
押圧ロール15、15により加圧するに際しては、押圧ロール15、15や該押圧ロール15、15の前段のガイドローラを該ローラ内に内蔵した電気ヒーターやスチームヒーター等により加熱して、加圧時の可食性口腔内投与剤の温度を50〜180℃、好ましくは50〜80℃とする。
この温度は、樹脂フィルムの種類や、可食性口腔内投与剤層に用いる物質の種類等により適宜選定する必要があるが、可食性口腔内投与剤層が若干軟化して密着しやすくなる温度とすることが好ましい。
過度の高温は、可食性口腔内投与剤層が溶融して可食性口腔内投与剤層内の溶媒が揮発し突沸する危険があるため避けるべきであり、温度が低すぎると密着が十分になされなくなる場合がある。
また、押圧ロールによる加圧圧力は、0.05〜1.5MPa、好ましくは0.1〜0.7MPaとする。
過度の圧力は、可食性口腔内投与剤層が展延されてしまい単位面積当たりの量的精度に影響を及ぼし好ましくない。
また、圧力が低すぎると十分な密着が得られない。
押圧ロール15、15を通過した圧着品16は、その両面が樹脂フィルムで覆われ、それらの間に複数層の可食性口腔内投与剤層が密着して積層された構造を有している。
この圧着品16がフィルム剥離ロール17を通過した時点で、上面を覆っている樹脂フィルム16aを剥離し、剥離した樹脂フィルム先端部を剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取ることにより、圧着品16から樹脂フィルム16aを連続的に剥離することができる。
なお、可食性口腔内投与剤層相互を密着させた後、密着した可食性口腔内投与剤層から樹脂フィルム16aを剥離するまでに、相互に密着した可食性口腔内投与剤層の温度を、押圧ロール15、15で加圧する際(各可食性口腔内投与剤層面が互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から加圧する際)の可食性口腔内投与剤層の温度より、10℃以上冷却するのが好ましい。
この冷却は過度に行う必要はなく、その冷却された可食性口腔内投与剤層の品温が0℃以下にならないように、好ましくは常温(若しくは室温)を下まわらないようにする。
したがって、この冷却は、押圧ロール15、15とフィルム剥離ロール17との距離を長くして放熱による自然冷却が行われるようにしてもよく、また、無菌空気等の常温の空気や冷却された空気を吹き付けて積極的に冷却してもよい。
これにより、圧着品16から樹脂フィルム16aを確実に連続的に剥離することができる。
かくして得られた圧着品16b、すなわち複数層の可食性口腔内投与剤層を保持している樹脂フィルムは、巻き取り軸19によりロール状に巻き取られ、複数口腔内投与剤層保持ロールフィルム20が形成される。
この複数口腔内投与剤層保持フィルム16bにさらに可食性口腔内投与剤層を積層する場合には、以下のようにする。
すなわち、上記で得られた複数口腔内投与剤層保持ロールフィルム20を巻き取り軸19から取り外して、図1の上部巻き出し軸13にセットし、同様に形成したもう一つの複数口腔内投与剤層保持ロールフィルム20、あるいは図11の塗工装置50により得られた口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60のロールフィルムを、下部巻き出し軸14にセットし、上述した圧着操作と全く同様な操作を繰り返して行えばよい。
可食性口腔内投与剤層を保持した二つの樹脂フィルムを押圧ロール15、15の間に通して圧着する際に、二つの樹脂フィルムの間に空気を巻き込んだ場合には、貼り合わせ不良が生じる。
この場合には、圧着装置10の運転を停止することなく、図4に示したように、押圧ロール15、15下流に設置した一組のロール21、21の間隙を狭めて閉じるとともに、押圧ロール15、15の間隙を開けて開放する。
この操作により、二つの樹脂フィルム間に巻き込まれた空気は閉じられたロール21、21により容易に押し出されて除去される。
空気が除去された後に、押圧ロール15、15を閉じてロール21、21を開放することにより、正常な圧着運転に戻すことができる。
圧着装置10により、所望の複数層の可食性口腔内投与剤層を保持した最終的な圧着製品が得られると、この最終圧着製品は、圧着装置10の下流に連接して配設されているスリッター装置30を用いて細幅に裁断される。
すなわち、図5に示したように、押圧ロール15、15により圧着された圧着品31は、上面の樹脂フィルムを剥離除去され、最終圧着製品31a(図1、図4の圧着品16bが最終圧着製品となる場合もある)となる。
この最終圧着製品31a(例えば可食性口腔内投与剤層幅460mm)は、スリッター32により例えば幅36mmの12本の細幅圧着製品31bに裁断され、12個のリール33a、33bに細幅圧着製品31bが1本ずつ別々に巻き取られるようになっている。
スリッター32は、1本のロール32aの外周に13本の刃32bが周方向に突出して互いに平行に設けられてなり、図1および図4に図示されているように圧着品16を圧着中間品として巻き取り軸19に巻き取る際には、スリッター32とその下のロール34との間隙が開いて開放された状態とされてスリッター32は機能せず、最終圧着製品31aを細幅に裁断する際には、スリッター32とその下のロール34との間隙が閉じられて、ここを通過する最終圧着製品31aが12本の細幅圧着製品31bに裁断される。
図5に示した例では、最終圧着製品31aがスリッター32を通過して、12本の細幅圧着製品31bとされ、そのうちの奇数列の6本の細幅圧着製品31bが前方に配置した製品巻き取り軸35に同軸状にセットされた6個のリール33aにそれぞれ1本ずつ巻き取られ、偶数列の6本の細幅圧着製品31bが後方に配置した製品巻き取り軸19に同軸状にセットされた6個のリール33bにそれぞれ1本ずつ巻き取られる。
なお、スリッター32で裁断された最終圧着製品31aの両端切断カス31cは、カス巻き取り軸36で巻き取られる。
このようにして裁断された細幅圧着製品31b(幅36mm)は、例えば図6または図7に示したような口腔内投与剤化装置を用いて例えば円形の積層フィルム状の口腔内投与剤とすることができる。
図6の口腔内投与剤化装置70においては、図5のリール33a、33bにロール状に巻かれた細幅圧着製品31b、すなわち一方の樹脂フィルムが剥離され、残された樹脂フィルム71の表面に複数可食性口腔内投与剤層72が保持されている圧着製品が間欠的に巻き出され、残された樹脂フィルム71をフィルム剥離ロール73によって剥離して可食性口腔内投与剤層72のみとする。
次いでこの複数可食性口腔内投与剤層72は打ち抜き装置74により例えば直径15mmの円形に打ち抜かれる。
打ち抜き装置74は、上下に往復移動する切断刃74aとこの切断刃が貫通する貫通孔を備えた固定板74bとからなり、間欠移動してきた可食性口腔内投与剤層72が打ち抜き装置74の位置で静止したときに、切断刃74aが上方に移動して固定板74bの貫通孔を貫通することで、可食性口腔内投与剤層72から直径15mmの円形が打ち抜かれる。
打ち抜かれた円形可食性口腔内投与剤層は、固定板74bの上方に配設された吸着パッド75により吸い取られ、コンベア(図示せず)上に落とされて包装工程へ送られる。
円形可食性口腔内投与剤層が引き剥がされた後の残りの可食性口腔内投与剤層カス72bは、カス巻き取りロール76として巻き取られる。
図7の口腔内投与剤化装置80においては、図5のリール33a,33bにロール状に巻かれた細幅圧着製品31b、すなわち一方の樹脂フィルムが剥離され、残された他方の樹脂フィルム71の表面に複数可食性口腔内投与剤層72が保持されている圧着製品が連続して巻き出され、打ち抜き装置81へ送られる。
打ち抜き装置81は、回転するロール外周面に例えば直径15mmの円形の切断刃82aが突出している切断刃ロール82と、アンビルロール83とからなり、これらのロール82、83の間に圧着製品が連続して挿入され、ロール82と83の間に挟まれた状態で圧着製品が静止したときに、切断刃ロール82から突出する切断刃82aにより、樹脂フィルム71の裏面まで到達しないように可食性口腔内投与剤層72のみを打ち抜く。
切断刃82aによる切断深さは、切断刃ロール82とアンビルロール83とのクリアランスを調整することで制御することができる。
図7においては、理解しやすくするために切断刃ロール82とアンビルロール83との距離を離して図示しているが、実際の切断動作は切断刃ロール82を一点鎖線で示す位置に配置して行われる。
切断刃82aで可食性口腔内投与剤層のみが打ち抜かれた状態では、切断刃の形状に対応する円形の切り込み72aが可食性口腔内投与剤層72に形成されているだけで、可食性口腔内投与剤層72は樹脂フィルム71表面に保持された状態のままである。
この状態で、樹脂フィルムと可食性口腔内投与剤層がアンビルロール83の回転に伴って回動し、吸着パッド84の配設位置まで移動したときに、吸着パッド84がアンビルロール83方向に移動し、円形の切り込み72aで囲まれた可食性口腔内投与剤層72を吸い取って樹脂フィルム71から引き剥がし、コンベア(図示せず)上に落とされて包装工程へ送られる。円形可食性口腔内投与剤層が引き剥がされた後の残りの可食性口腔内投与剤層カス72bは、樹脂フィルム71とともにカス巻き取りロール85として巻き取られる。
口腔内投与剤化装置70や80により製造される積層フィルム状の口腔内投与剤の最終製品は、その両面から樹脂フィルムが剥離された状態とされている。
したがって、圧着工程で重ね合わせた二つの樹脂フィルムは最終的にその両方が剥離されることになる。
しかしながら、積層フィルム状の口腔内投与剤の最終製品形状としては、所定寸法の複数可食性口腔内投与剤層が樹脂フィルム表面上に付着されていて、口腔内投与剤服用者が樹脂フィルムから可食性口腔内投与剤層を剥がして服用するような製品形状とする場合もある。
かような最終製品形状とする場合には、圧着工程で重ね合わせた二つの樹脂フィルムの一方のみを剥離除去すればよいことになる。
以上の説明では、単層または複数層の可食性口腔内投与剤層を保持した樹脂フィルムを一旦ロール状に巻いてロールフィルムとしたもの同士を圧着するバッチ式操作を例に挙げて本発明を説明した。
しかしながら、複数の塗工装置を使用して、各塗工装置で得られた口腔内投与剤層形成樹脂フィルムをロールフィルムとすることなくそのまま圧着したり、さらには、このようにして得られた複数層の可食性口腔内投与剤層を保持した樹脂フィルムをロールフィルムとすることなくそのまま、単層または複数層からなる可食性口腔内投与剤層が形成されたもう一つの樹脂フィルムと圧着する連続式操作によっても本発明を実施することが可能である。
上述した実施形態では、図11の塗工装置50で得られた口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60を巻き取り軸56で一旦ロール状に巻き取ってロールフィルムとした後、図1の圧着装置10でもう一つの口腔内投与剤層形成樹脂フィルムと圧着させている。
しかしながら、図8に示したように、塗工装置50の乾燥炉55から送出される口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60をロール状に巻き取る前に、この口腔内投与剤層形成樹脂フィルムともう一つの口腔内投与剤層形成樹脂フィルム61とを、乾燥炉55の出口近傍で直接圧着することも可能である。
すなわち、二つの口腔内投与剤層形成樹脂フィルム60、61をそれらの可食性口腔内投与剤層面が互いに対向するように重ね合わせて、塗工装置の乾燥炉55出口近傍に設置した一組の押圧ロール62、62に通して樹脂フィルムの裏面から加圧することによって、直接圧着品を得ることができる。
この圧着品をフィルム剥離ロール63に通過させて上面の樹脂フィルムを剥離し、剥離した樹脂フィルムを剥離フィルム巻き取り軸64により巻き取って樹脂フィルムを連続的に剥離した後、巻き取り軸56によりロール状に巻き取ることで、複数口腔内投与剤層保持ロールフィルム65とすることができる。
単層または複数層の可食性口腔内投与剤層を保持している二つの樹脂フィルムを圧着した後に一方の樹脂フィルムを剥離するため、剥離される樹脂フィルムには、少なくとも可食性口腔内投与剤層が形成される面(表面)に、疎水性物質をコーティングすることにより予め剥離処理を施して、可食性口腔内投与剤層から樹脂フィルムを剥離しやすくしておくことが望ましい。
また、単層または複数層の可食性口腔内投与剤層を保持している樹脂フィルムをロール状に巻いてロールフィルムとする場合は、ロール状に巻いた状態では、可食性口腔内投与剤層が形成されていない樹脂フィルム面(裏面)も可食性口腔内投与剤層と接することになる。
このとき、樹脂フィルム裏面が可食性口腔内投与剤層から容易に剥がれないと、ロールフィルムを巻き戻し難くなる。
そのため、可食性口腔内投与剤層を保持している樹脂フィルムをロールフィルムとする場合、剥離される樹脂フィルムには、可食性口腔内投与剤層が形成される表面とその反対側の裏面との両面に予め剥離処理を施しておくことが望ましく、一方、剥離されずに可食性口腔内投与剤層を保持している樹脂フィルムには、少なくとも可食性口腔内投与剤層が形成されない裏面に予め剥離処理を施しておくことが望ましい。
剥離処理するに際して樹脂フィルムにコーティングする疎水性物質としては、食品添加物の規格基準に適合するシリコーン樹脂やワックス(蜜ロウ)等が使用できるほか、アルミ箔や錫箔等の金属箔でコーティングすることもできる。
可食性口腔内投与剤層を保持するためのベースフィルムとなる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテート、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、トリアセテート、フッ素樹脂(ETFE,PFA,FEP)等の樹脂からなるフィルムから適宜選択して使用することができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく使用できる。
本発明方法により製造される積層フィルム状の口腔内投与剤の積層構造は特に限定されるものではなく、所望の薬効あるいは機能を発現させるのに好適な各種の層を適宜の数で積層させることができる。
一般的なフィルム状口腔内投与剤の積層構造は、最外層を構成するコーティング層、口腔内投与剤の基剤と有効成分を含有する薬物層、さらに要すれば支持層等が順次積層されて構成されている。
本明細書では、“可食性”を食品および食品添加物として認められている物質及び/又は経口投与が認められている医薬品および医薬品添加物のみからなるものとし、可食性のコーティング層、可食性の薬物層、可食性の支持層等を総称する用語として“可食性口腔内投与剤層”という用語を使用している。
可食性のコーティング層は、フィルム状口腔内投与剤の表面を保護する機能、あるいは貼付剤として用いる場合の口腔内粘膜への粘着機能をもたらすものであり、例えば下記のごとき物質が単独または適宜組み合わせて使用できる。
ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、水不溶性メタクリル酸共重合体、メタクリル酸エチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンズガム、グアーガム、デキストリン、デキストラン、アミロース、プルラン、キトサン、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等。
可食性の薬物層において有効成分とともに用いる基剤としては、例えば下記のごとき物質が単独または適宜組み合わせて使用できる。
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンズガム、グアーガム、カラギーナン(カラゲナン)、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸アルキルエステル等。
可食性の支持層は、口腔内の非ターゲット部分に有効成分が溶出しないようにするためのものであり、例えば下記のごとき物質を単独または適宜組み合わせて、口腔内で難溶解性または不溶解性の層にすることにより目的を達成することができる。
ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ローカストビーンズガム、グアーガム、カラギーナン(カラゲナン)、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セラック系樹脂(セラック、白色透明セラック)、デンプン、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット等。
本発明方法により製造される積層フィルム状の口腔内投与剤においては、相互に密着させる各可食性口腔内投与剤層(可食性のコーティング層、薬物層、支持層等)の各層には、上述のごとき可食性の物質のうち、少なくとも熱可塑性の性質を呈する物質を1種類以上含むことが望ましい。
この熱可塑性物質を含むことによって、加温により可食性口腔内投与剤層が若干軟化して確実に密着するようになる。
特に熱可塑性の顕著な可食性の物質としては、例えば下記のごとき物質が挙げられ、これら可食性の熱可塑性物質から選択して単独または適宜組み合わせて密着させる相互の各可食性口腔内投与剤層に含まれるようにするのが望ましい。
アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アルキルエステル、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、オイドラキット、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カンテン、ゼラチン、セラック、デキストラン、デキストリン、デンプン、トラガント、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸共重合体、メチルセルロースフタレート等。
本発明の積層シート状口腔内投与剤において、可食性の薬物層に含有させる有効成分として使用できる医薬品の例としては、下記のごとき薬剤が挙げられる。
中枢神経系用薬(催眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤、興奮剤、覚せい剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、総合感冒剤等)、末梢神経系用薬(局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自律神経剤、鎮けい剤等)、感覚器官用薬(眼科用剤、鎮暈剤等)、循環器官用薬(強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、高脂血症用剤等)、呼吸器官用薬(呼吸促進剤、鎮咳剤、去たん剤、気管支拡張剤、含漱剤等)、消化器官用薬(止しゃ剤、整腸剤、消化性潰瘍用剤、下剤、浣腸剤等)、ホルモン剤(唾液腺ホルモン剤、甲状腺・副甲状腺ホルモン剤、タンパク同化ステロイド剤、副腎ホルモン剤、卵胞ホルモンおよび黄体ホルモン剤、混合ホルモン剤等)、泌尿生殖器および肛門用薬(子宮収縮剤、避妊剤、痔疾用剤等)、外皮用薬(メトキサレン等)、歯科口腔用薬(歯科用抗生物質製剤等)、ビタミン剤、滋養強壮薬(無機質製剤等)、血液・体液用薬(血液凝固阻止剤等)、肝臓疾患用剤、解毒剤、痛風治療剤、糖尿病用剤、細胞賦活用薬、腫瘍用薬(アルキル化剤、代謝拮抗剤等)、アレルギー用薬(抗ヒスタミン剤等)、生薬、漢方製剤、抗生物質製剤、抗ウイルス剤、駆虫剤、アルカロイド系麻薬(アヘンアルカロイド系製剤、コカアルカロイド系製剤等)、非アルカロイド系麻薬(クエン酸フェンタニルなどの合成麻薬)等。
また、薬物層に含有させる有効成分としては、消臭作用や健康維持効果等の作用を有する医薬部外品、化粧品、健康食品等の口腔内投与物も挙げられる。
本発明方法により製造される積層フィルム状の口腔内投与剤の各可食性口腔内投与剤層である可食性のコーティング層、薬物層、支持層は、上述の成分を例えば下記のごとき溶媒に溶解または分散させたものを用いて口腔内投与剤層形成工程において塗布乾燥させることにより得られる。
水、エタノール、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロラン、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2−トリクロロエテン、キシレン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化メチレン等。
これらの溶媒の中では、エタノール、水、酢酸エチルまたはこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が最も好ましく使用される。
また、本発明方法により製造される積層フィルム状の口腔内投与剤の各可食性口腔内投与剤層には、必要に応じてポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、プロピレングリコール等の可塑剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤等の可食性の添加剤を添加することができる。
矯味剤としては、サッカリン、グリチルリチン酸、白糖、果糖、マンニトール等の甘味剤、メントール、ハッカ油等の清涼化剤、クエン酸、酒石酸、フマール等の酸味を与える有機酸化合物等を使用できる。
矯臭剤としては、天然または合成の香料を使用することができる。
着色剤としては、食用レーキ等の通常製剤に用いられるものを使用できる。
本発明による極めて薄い可食性口腔内投与剤層が積層された多層構造を有する積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法として、フィルム状のトローチ剤の製造例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〈コーティング層調製液の調製〉
適量の精製水にプルラン20.0重量部およびD−ソルビトール5.0重量部を加えて撹拌溶解して可食性のコーティング層調製液とした。
〈薬物層I調製液の調製〉
適量のエタノールに、塩化セチルピリジニウム1.5重量部、マレイン酸クロルフェニラミン1.5重量部、マクロゴール400 4.5重量部、l−メントール2.5重量部、ポリビニルピロリドンK90 22.5重量部およびヒドロキシプロピルセルロース59.0重量部を加えて撹拌溶解し、これに、適量の精製水にグリチルリチン酸二カリウム3.8重量部、サッカリンナトリウム0.5重量部を加えて撹拌溶解したものを加えて、更に撹拌混合して可食性の薬物層I調製液とした。
〈薬物層II調製液の調製〉
適量のエタノールに、塩化セチルピリジニウム4.5重量部、マレイン酸クロルフェニラミン4.5重量部、タンニン酸7.0重量部、マクロゴール400 13.5重量部、l−メントール7.5重量部、ポリビニルピロリドンK90 67.5重量部およびヒドロキシプロピルセルロース182.0重量部を加えて撹拌溶解し、これに、適量の精製水にグリチルリチン酸二カリウム11.2重量部、サッカリンナトリウム1.5重量部を加えて撹拌溶解したものを加えて、更に撹拌混合して可食性の薬物層II調製液とした。
〈口腔内投与剤層形成工程〉
(1)コーティング層+薬物層Iの塗布
(1)−1:コーティング層の形成
図11の塗工装置50の巻き出し軸51に、裏面をシリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをセットし、ダム部57にコーティング層調製液を供給して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面(シリコーン剥離処理していない面)に可食性のコーティング層調製液を塗布した。
このときのドクターロール54とポリエチレンテレフタレートフィルムとのクリアランスを30μm、塗工量を30g/m、乾燥炉55での乾燥温度を60℃とし、厚さ8〜12μmのコーティング層を形成したポリエチレンテレフタレートフィルム200m+α(ロス長さ相当分)を巻き取り軸56にロール状に巻き取った。
(1)−2:コーティング層の上への薬物層Iの塗布
上記(1)−1で得られたロール状に巻かれたコーティング層形成ポリエチレンテレフタレートフィルムを、図11の塗工装置50の巻き出し軸51にセットし、ダム部57に薬物層I調製液を供給して、コーティング層の上に可食性の薬物層I調製液を塗布した。
このときのドクターロール54とポリエチレンテレフタレートフィルムとのクリアランスを500μm、塗工量を280g/mとし、厚さ55〜75μmの薬物層Iを形成したポリエチレンテレフタレートフィルム約200mを巻き取り軸56にロール状に巻き取った。
かくして得られた中間品Aの積層構造を図9(A)に示す。
(2)薬物層IIの塗布
図11の塗工装置50の巻き出し軸51に、両面をシリコーン剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムをセットし、ダム部57に薬物層II調製液を供給して、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に可食性の薬物層II調製液を塗布した。
このときのドクターロール54とポリエチレンテレフタレートフィルムのクリアランスを550μm、塗工量を320g/mとし、厚さ55〜75μmの薬物層IIを形成したポリエチレンテレフタレートフィルム400m+β(ロス長さ相当分)を巻き取り軸56にロール状に巻き取った。
かくして得られた中間品Bの積層構造を図9(B)に示す。
〈口腔内投与剤層密着加工工程〉
(1)第1工程
図1の圧着装置10の上部巻き出し軸13にロール状に巻かれた中間品B(約400m)をセットし、下部巻き出し軸14にロール状に巻かれた中間品A(約200m)をセットし、巻き出した中間品Aの可食性口腔内投与剤層と中間品Bの可食性口腔内投与剤層が対向するようにして一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性口腔内投与剤層の圧着温度65℃、圧力0.3MPaで可食性口腔内投与剤層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間品Bのポリエチレンテレフタレートフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って積層品から剥離した後、圧着品を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した際の圧着品の温度は、自然放熱により50℃であった。
かくして得られた中間品C(約200m)の積層構造を図9(C)に示す。
この第1工程終了時には、上部巻き出し軸13には中間品B約400mのうちの200mがセットされた状態で残り、下部巻き出し軸14には中間品A約200mの全量が巻き出された状態となっている。
(2)第2工程
上記第1工程終了後、得られたロール状に巻かれた中間品C(約200m)を、図1の圧着装置10の下部巻き出し軸14にセットした。
上部巻き出し軸13にはロール状に巻かれた中間品Bの残り約200mがセットされている。
この状態で、巻き出した中間品Bの可食性口腔内投与剤層と中間品Cの可食性口腔内投与剤層が対向するようにして、第1工程と同じ温度圧力条件で、一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性口腔内投与剤層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間品Bのポリエチレンテレフタレートフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、圧着品を巻き取り軸19でロール状に巻き取った。
剥離の際の圧着品の温度も第1工程とほぼ同じであった。かくして得られた圧着品を、100mずつ別々にロール状に巻き、中間品D(100m)と中間品D′(100m)とした。これら中間品DとD′は、図9(D)に示すような全く同じ積層構造を有している。
(3)第3工程
上記第2工程で得られたロール状に巻かれた同じ構成の中間品D(100m)と中間品D′(100m)を図5のごとく圧着装置10の上部巻き出し軸13と下部巻き出し軸14にそれぞれセットし、巻き出した中間品DとD′の可食性口腔内投与剤層が対向するようにして、第1工程と同じ温度圧力条件で、一組の押圧ロール15、15の間に通し、可食性口腔内投与剤層同士を密着させて積層した。
押圧ロール15、15を通過した後の圧着品の上面に位置する中間品Dのポリエチレンテレフタレートフィルムのみを、フィルム剥離ロール17の周面に沿って引き込み、剥離フィルム巻き取り軸18により巻き取って圧着品から剥離した後、ロール34に接しているスリッター32を通過させ裁断し、その裁断された細幅圧着品を交互に製品巻き取り軸35にセットしたリール33aと製品巻き取り軸19にセットしたリール33bとにそれぞれ巻き取った。
剥離の際の圧着品の温度も第1工程とほぼ同じであった。かくして得られた中間品Eの積層構造を図9(E)に示す。
〈製品化工程〉
上記中間品Eとして得られたフィルム状積層品を、直径15mmの円形状刃を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面まで到達しないようにして積層可食性口腔内投与剤層のみを打ち抜く方法、あるいは、中間品Eとして得られたフィルム状積層品から裏面のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して積層可食性口腔内投与剤層のみとした後、円形状刃で打ち抜く方法により、円形のフィルム状トローチ剤を得た。
かくして得られたフィルム状トローチ剤の断面を、「デジタルマイクロスコープBS−D8000II」(ソニック(株)製商品名)を用いて観察した顕微鏡写真を図10に「本発明法」として示した。
また、比較のために、図11の塗工装置50を用いて得られた同様の積層可食性口腔内投与剤層を有する従来のフィルム状積層品の断面を同様に観察した結果を図10に「積層塗布法」として示した。
本発明法により得られた断面は、各可食性口腔内投与剤層の境界X、Xが明瞭に見え、積層された可食性口腔内投与剤層が明確に判別できるのに対して、従来の「積層塗布法」により得られた断面は、各可食性口腔内投与剤層の境界Y、Yが不明瞭でぼやけて見え、積層された可食性口腔内投与剤層が判別できない。
その理由は、塗布・乾燥した下層の可食性口腔内投与剤層の上に、さらに可食性口腔内投与剤層調製液を積層塗布した場合、重ね塗りした可食性口腔内投与剤層調製液の溶媒が下層の可食性口腔内投与剤層に浸透し溶着するためと考えられる。
重ね塗りした可食性口腔内投与剤層調製液の溶媒が下層の可食性口腔内投与剤層に浸透すると、溶媒とともに調製液中の有効成分が下層の可食性口腔内投与剤層へ移行する現象も起こりうる。
かような現象は、例えば同じ有効成分を各可食性口腔内投与剤層ごとに濃度を変えて含有させようとする場合に障害となる。
すなわち、積層構造の外側に低濃度、内側に高濃度の有効成分を含有させるように積層塗布する各可食性口腔内投与剤層調製液中の有効成分含有量を調整しても、それらの境界面で溶媒の浸透に伴う有効成分の移行が生じると、各可食性口腔内投与剤層での有効成分濃度の制御が精度よくできないことになる。
これに対して本発明による圧着法での積層構造は、各可食性口腔内投与剤層が境界面で明確に区分されているため、溶媒の浸透やそれに伴う有効成分の移行が起こりにく、各可食性口腔内投与剤層での有効成分濃度の制御も精度よく行うことができる。
本発明の方法を実施するための圧着装置の実施例を示す説明図。 図1の圧着装置における押圧ロールから送出される圧着品の搬送方向の説明図。 図1の圧着装置における剥離されるフィルムの剥離ロールと巻き取り軸の位置関係の説明図。 図1の圧着装置の動作の一例を示す説明図。 図1の圧着装置と連接して配置されたスリッター装置の実施例を示す説明図。 本発明の方法で得られた最終圧着製品の口腔内投与剤化装置の実施例を示す斜視図。 本発明の方法で得られた最終圧着製品の口腔内投与剤化装置の別な実施例を示す斜視図。 本発明の方法を実施するための圧着装置の別な実施例を示す説明図。 本発明の実施例で得られた積層構造の説明図。 本発明の方法で得られた最終圧着製品および従来の積層塗布法で得られた同様な積層製品の断面を示す顕微鏡写真(800倍)。 従来の積層塗布法を実施するための塗工装置の一例を示す説明図。
10:圧着装置
11、12、20:ロールフィルム
13、14:ロールフィルムの巻き出し軸
15、15:押圧ロール
17:フィルム剥離ロール
19:ロールフィルム巻き取り軸
30:スリッター装置
32:スリッター
33a、33b:細幅圧着製品巻き取りリール
50:塗工装置
54:ドクターロール
55:乾燥炉
57:可食性口腔内投与剤層調製液供給用ダム部
61、61:押圧ロール
63:フィルム剥離ロール
70、80:口腔内投与剤化装置
74、81:打ち抜き装置
X、Y:積層された可食性口腔内投与剤層の境界

Claims (1)

  1. 樹脂フィルムの表面上に所定厚さの可食性口腔内投与剤層を塗布乾燥して形成する口腔内投与剤層形成工程と、
    上記口腔内投与剤層形成工程で得られた口腔内投与剤層形成樹脂フィルムをロール状に巻いてロールフィルムを形成するロールフィルム形成工程と、
    上記ロールフィルム形成工程で得られた同一成分または異種成分の可食性口腔内投与剤層を形成した二つのロールフィルムをそれぞれ巻き戻しながら、各可食性口腔内投与剤層面が互いに対向するように重ね合わせて樹脂フィルムの裏面から一対の押圧ロールで加圧することにより、可食性口腔内投与剤層相互を密着させる一方、二つの樹脂フィルムを圧着する際に、二つの樹脂フィルムの間に空気を巻き込んだ場合には、運転を停止することなく、押圧ロール下流に設置した一組のロールの間隙を狭めて閉じるとともに、押圧ロールの間隙を開けて開放し、二つの樹脂フィルム間に巻き込まれた空気を閉じられた一組のロールにより押し出して除去し、空気が除去された後に、押圧ロールを閉じて一組のロールを開放し、正常な運転に戻すロールフィルム口腔内投与剤層圧着工程と、
    相互に密着した上記可食性口腔内投与剤層を挟む二つの樹脂フィルムを上記一対の押圧ロールの加圧部における接線方向に略一致させて搬送させながら、その搬送方向に設けた剥離ロールの周面に沿って、相互に密着した可食性口腔内投与剤層を挟む上記二つの樹脂フィルムのうちの一方の樹脂フィルムのみを前記搬送方向と異なる方向に引き込むとともに、可食性口腔内投与剤層を保持した他方の樹脂フィルムを前記搬送方向に搬送し続けることにより、上記重ね合わせた二つの樹脂フィルムのうちの一方の樹脂フィルムのみを剥離する樹脂フィルム剥離工程と、
    樹脂フィルムの一方の面上に形成した所定厚さの口腔内投与剤層を所定の剤形に打ち抜く切断刃を、口腔内投与剤層側から前記樹脂フィルムの裏面まで到達しないように移動させて、口腔内投与剤層のみを所定剤形に切り込みを入れるとともに、
    吸引パッドの配設位置で切り込みを入れた所定の剤形の口腔内投与剤層を前記吸引パッドによって吸い取って所定の剤形の口腔内投与剤層を前記樹脂フィルムから剥離する口腔内投与剤層打ち抜き工程と
    有することを特徴とする積層フィルム状可食性口腔内投与剤の製造方法。
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