100…光ディスク、101−0(101−1)…リードインエリア、102−0(102−1)…データゾーン、103−0(103−1)…リードアウトエリア、104−0(104−1)…ミドルエリア、104s−0(104s−1)…ショートミドルエリア、105−0(105−1)…ボーダーゾーン、105a−0(105a−1)…ボーダーアウト(0.5mm用)、105b−0(105b−1)…ボーダーイン、105c−0(105c−1)…ボーダーアウト(0.1mm用)、105d−0…ボーダーRMDエリア、106…透明基板、106−0(106−1)…ボーダー(ボーダードエリア)、300…情報記録再生装置、306…データ入出力制御手段、307…操作制御手段、310…操作ボタン、311…表示パネル、351…スピンドルモータ、352…光ピックアップ、353…信号記録再生手段、354…CPU(ドライブ制御手段)、355…メモリ、LB…レーザ光
(情報記録装置に係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置に係る実施形態は、第1及び第2記録層を備える情報記録媒体に記録情報を書込可能な書込手段を備えた情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1及び第2記録層に連続的に書き込むように、前記書込手段を制御する第1制御手段と、前記第1及び第2記録層に書き込まれた前記記録情報の外周側に所定量の緩衝用データを書き込むように、前記書込手段を制御する第2制御手段と、前記所定量の緩衝用データの外周側に緩衝用データを書き足すように、前記書込手段を制御する第3制御手段とを備える。
本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、対象となる情報記録媒体は、例えば、少なくとも第1記録層(L0層)及び第2記録層(L1層)を有する。
以上のように構成された当該情報記録媒体への記録時には、例えば、CPU等の制御手段の制御下で、例えば、光ピックアップ等の書込手段によって、記録情報が、第1記録層の内周側から外周側へ記録され、続いて層間ジャンプが行なわれ、記録方向を折り返して記録情報が第2記録層の外周側から内周側へ記録される。
本実施形態では特に、第2制御手段の制御下で書込手段は、第1及び第2記録層に書き込まれた記録情報の外周側に、所定量の緩衝用データを書き込む。ここで所定量の緩衝用データとは、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量を持った、例えば、半径方向の長さが約0.1mmのダミーデータである。
更に、本実施形態によれば、第3制御手段の制御下で、書込手段は、所定量の緩衝用データの外周側に緩衝用データを書き足す。これにより書き込まれた所定量の緩衝用データは、その半径方向の長さが約0.5mm以上となり、第1及び第2記録層に通常のミドルエリアが形成される。
以上より、記録情報を第1及び第2記録層に連続的に記録する際、膨大な緩衝用データを記録する必要がないため、例えば、ビデオレコーディングのようにリアルタイムデータを長時間中断することなく記録を行えることが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の一態様では、前記第2制御手段は、前記記録情報が前記第1及び第2の記録層を跨いで書き込んだ後の最初のボーダークローズ指示に応答する。
この態様によれば、第2制御手段の制御下で、書込手段は、第1及び第2の記録層に書き込まれた記録情報の外周側に、例えば、記録すべき複数の記録情報が第1及び第2記録層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理を行う指示に応答して、例えば、所定量の緩衝用データを第1及び第2記録層における緩衝用エリアの一部として書き込む。よって、一般のDVD−ROM再生専用ドライブによって再生可能となる。
以上より、ボーダークローズ処理を行う任意のタイミングにおいて、所謂、暫定的なミドルエリアを、より短縮された時間で形成することが可能となる。
本発明の情報記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記第3制御手段は、ファイナライズ指示に応答する。
この態様によれば、第3制御手段の制御下で、書込手段は、例えば、記録すべき複数の記録情報のうち最後の記録情報が書き込む又は書き込んだ場合のファイナライズ処理を行なう第2指示に応答して、所定量の緩衝用データの外周側に緩衝用データを書き足す。加えて、このように、ファイナライズ処理された2層型DVD−R等の光ディスクは、DVD−ROMディスクの規格と互換性が保持されると共に、一般のDVD−ROM再生専用ドライブによって再生可能となる。
以上より、ファイナライズ処理を行う任意のタイミングにおいて、通常のミドルエリアを、より短縮された時間で形成することが可能となる。
(情報記録方法に係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法に係る実施形態は、第1及び第2記録層を備える情報記録媒体に記録情報を書込可能な書込手段を備えた情報記録装置における情報記録方法であって、前記記録情報を前記第1及び第2記録層に連続的に書き込むように、前記書込手段を制御する第1制御工程と、前記第1及び第2記録層に書き込まれた前記記録情報の外周側に所定量の緩衝用データを書き込むように、前記書込手段を制御する第2制御工程と、前記所定量の緩衝用データの外周側に緩衝用データを書き足すように、前記書込手段を制御する第3制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態の場合と同様に、第2制御工程の制御下で、書込手段によって、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量である所定量の緩衝用データが第1及び第2記録層の、緩衝用エリアの一部に記録される。よって、例えば、記録すべき複数の記録情報が第1及び第2記録層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。加えて、第3制御工程の制御下で、書込手段によって、例えば、ファイナライズ処理された2層型DVD−R等の光ディスクは、DVD−ROMと互換性が保持され、一般のDVD−ROM再生専用ドライブによって再生可能となる。
以上より、記録情報を第1及び第2記録層に連続的に記録する際、膨大な緩衝用データを記録する必要がないため、例えば、ビデオレコーディングのようにリアルタイムデータを長時間中断することなく記録を行えることが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の情報記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムに係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係るコンピュータプログラムについて説明する。
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、上述した本発明の情報記録装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、並びに、前記第1乃至第3制御手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば、通信手段等を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、本発明の情報記録装置及び方法に係る実施形態によれば、書込手段、第1制御手段及び工程、第2制御手段及び工程、第3制御手段及び工程を備えているので、例えば、記録すべき複数の記録情報が第1及び第2記録層に連続して書き込む際に、ディスク外周側に形成しなければならない緩衝用エリア(ミドルエリア)の形成にかかる時間の大幅な短縮が可能である。
(情報記録装置の第1実施例)
次に、図1から図11を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の構成及び動作、並びに本発明の情報記録装置の記録対象となる情報記録媒体について詳細に説明する。
(情報記録媒体)
次に、図1から図5を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体について詳細に説明する。
先ず図1を参照して、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図1(a)は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図1(b)は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心として本実施例に係るリードインエリア101、データエリア102並びにリードアウトエリア103又はミドルエリア104が設けられている。そして、光ディスク100の例えば、透明基板106に、記録層等が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック10が交互に設けられている。また、このトラック10上には、データがECCブロック11という単位で分割されて記録される。ECCブロック11は、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。
尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101や、リードアウトエリア103が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア101、リードアウト103又はミドルエリア104は更に細分化された構成であってもよい。
特に、本実施例に係る光ディスク100は、図1(b)に示されるように、例えば、透明基板106に、後述される本発明に係る第1及び第2記録層の一例を構成するL0層及びL1層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク100の記録再生時には、図1(b)中、上側から下側に向かって照射されるレーザ光LBの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、L0層における記録再生が行なわれるか又はL1層における記録再生が行われる。また、本実施例に係る光ディスク100は、2層片面、即ち、デュアルレイヤに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く2層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、3層以上の多層型の光ディスクであってもよい。尚、2層型光ディスクにおけるオポジット方式による記録再生手順及び各層におけるデータ構造については、後述される。
次に、図2を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生手順について説明する。ここに、物理的セクタ番号(以下適宜、セクタ番号と称す。)とは、光ディスクの記録領域における絶対的な物理的アドレスを示した位置情報である。また、図2は、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるECCブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。縦軸は、16進数で表現されたセクタ番号を示し、横軸は、光ディスクの半径方向の相対的な位置を示す。
図2に示されるように、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる2層型光ディスク100は、前述した透明基板と該透明基板に積層された2層の記録層、即ち、L0層とL1層とを備えて構成されている。
具体的には、L0層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0が設けられている。このリードインエリア101−0には、OPC(Optimum Power Calibration)処理のためのPC(Power Calibration)エリアPCA及び記録管理情報が記録されているRM(Recording Management)エリアRMA等が設けられている。なお、PCA、RMAをリードインエリアのディスク内周側に配置しても良い。特に、データエリア102−0は、ボーダーゾーン105−0及びボーダーアウト105a−0又は105c−0によって、例えば、3つのボーダードエリア106−0(以下、適宜「ボーダー」と称す)を備えて構成されている。各ボーダーゾーン105−0は、後述されるように、半径方向の長さが0.5mmのボーダーアウト105a−0(又は半径方向の長さが0.1mmの105c−0)とボーダーイン105b−0を備えて構成されている。
他方、L1層には、外周側から内周側にかけて、ミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウト103−1が設けられている。このリードアウトエリア103−1にも、図示しないOPCエリア等が設けられていてもよい。特に、データエリア102−1も、例えば、外周側からボーダーゾーン105−1及びボーダーアウト105c−1が設けられ、それらの間に1つのボーダー106−1が構成されている。各ボーダーゾーン105−1は、L0層と同様に、半径方向の長さが0.5mmのボーダーアウト105a−1(又は半径方向の長さが0.1mmの105c−1)とボーダーイン105b−1を備えて構成されている。
以上のように2層型光ディスク100は構成されているので、該光ディスク100の記録又は再生の際には、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の図示しない光ピックアップによって、レーザ光LBは、図示しない基板の側から、即ち、図2中の下側から上側に向けて照射され、その焦点距離等が制御されると共に、光ディスク100の半径方向における移動距離及び方向が制御される。これにより、夫々の記録層にデータが記録され、又は、記録されたデータが再生される。
特に、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる情報記録媒体に係る2層型光ディスクの記録又は再生手順としてオポジット方式が採用されている。ここに、オポジット方式とは、より詳細には、2層型光ディスクの記録又は再生手順として、第1実施例に係る情報記録再生装置の光ピックアップが、L0層において、内周側から外周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の右方向へ移動するのとは逆に、L1層においては、光ピックアップが外周側から内周側へ向かって、即ち、図2中の矢印の左方向へ移動することによって、2層型光ディスクにおける記録又は再生が行われる方式である。このオポジット方式では、L0層における記録又は再生が終了されると、L1層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要はなく、L0層からL1層への焦点距離だけを切り換えればよいため、L0層からL1層への切り換え時間がパラレル方式と比較して短いという利点があるため、ビデオデータのような大容量のリアルタイムコンテンツ情報の記録に採用されている。
具体的には、先ず、L0層において、光ピックアップがリードインエリア101−0、データエリア102−0及びミドルエリア104−0を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が“02FFFFh”のリードインエリア101−0の終了位置(図2中のA地点を参照)、セクタ番号が“030000h”のデータエリア102−0の開始位置(図2中のB地点を参照)、セクタ番号が“1AFFFFh”のデータエリア102−0の終了位置(以下、適宜、L0層の「折り返し点」と称す:図2中のC地点を参照)に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−0へと移動されることによって、L0層における記録又は再生が行われる。尚、本実施例において、“30000h”等の末尾の“h”とは16進数で表現されていることを示す。他方、L1層において、具体的には、光ピックアップがミドルエリア104−1、データエリア102−1及びリードアウトエリア103−1を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすミドルエリア104−1、セクタ番号が“E50000h”のデータエリア102−1の開始位置(以下、適宜、L1層の「折り返し地点」と称す:図2中のD地点を参照)、セクタ番号が“FCFFEFh”のデータエリア102−1の終了位置(図2中のE地点を参照)に順次アクセスして、リードアウトエリア103−1へと移動されることによって、L1層における記録又は再生が行われる。
以上説明したL0層とL1層におけるセクタ番号はすべて、16進数における15の補数の関係にある。より具体的には、例えば、L0層における折り返し点(セクタ番号“1AFFFFh”)とL1層における折り返し点(セクタ番号“E50000h”)は15の補数の関係にある。形式的には、“1AFFFFh”の補数は、16進数のセクタ番号“1AFFFFh”を2進数“000110101111111111111111”に変換してからビット反転(インバート:invert)“111001010000000000000000”させ、16進数“E50000h”に再変換させることによって求められる。
よって、コンテンツ情報は、例えば、L0層のデータエリア102−0のセクタ番号“030000h”から“1AFFFFh”及びL1層のデータエリア102−1のセクタ番号“E50000h”から“FCFFEFh”において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。
以上説明した物理的セクタ番号に対して、論理ブロックアドレス(LBA:Logical Block Address)が、1対1に割り付けられている。より具体的には、例えば、セクタ番号“030000h”には“000000”LBAが対応し、セクタ番号“FCFFEFh”には、“30FFEF”LBAが対応する。
次に、図3を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクにおける通常のボーダーゾーンの物理的な情報量について説明する。ここに、図3は、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクのL0層における通常のボーダーゾーンの物理的な情報量を示したテーブルである。
図3に示されるように、横方向の列は、左から順番に、光ディスクの半径方向における内周部、中周部及び外周部に対応するボーダーゾーンの開始位置を示したセクタ番号である。縦方向の行は、上から順番に、1番最初に記録されるボーダーゾーン及び2番目以降に記録されるボーダーゾーンの情報量をECCブロック数とバイト数とで示している。通常のボーダーゾーンの情報量は、記録される開始位置によって異なると共に、1番最初に記録される場合には、半径方向に相対的に長いボーダーゾーンが記録される。他方、2番目以降に記録される場合には、半径方向に相対的に短いボーダーゾーンが記録される。
具体的には、1番最初に記録されるボーダーゾーンの半径方向の長さは、約0.5mmとなり、2番目以降に記録されるボーダーゾーンの半径方向の長さは約0.1mmとなるように規定されている。より具体的には、図3のテーブルに示されるように、光ディスクの記録領域のセクタ番号“165700h”以降の通常のボーダークローズ処理において、1番最初に記録されるボーダーゾーンの情報量は、“2944”ECCブロックであり、“92”MBである。他方、2番目以降に記録されるボーダーゾーンの情報量は、“608”ECCブロックであり、“19”MBである。詳細には、このように、1番最初に記録されるボーダーゾーンを0.5mmにする理由は、例えば、光ディスクのマルチボーダー構造を認識することができない初期に製造されたDVD−ROM再生専用ドライブ(以下、適宜「マルチボーダー非対応のROMドライブ」と称す)によっても、1番最初に記録されたボーダーゾーンによって形成された第1番目のボーダーを認識可能とするためである。より詳細には、マルチボーダー非対応のROMドライブは、基本的には、半径方向の長さの最小値が約0.5mmと規定されたリードアウトエリア等の緩衝用エリアを認識できるように設計されており、仮に緩衝用エリアをこれより小さくしてしまうと、記録又は再生時において光ピックアップが位置する記録又は再生位置が、当該緩衝用エリアを超えて基板外へ外れる可能性が生じるのである。緩衝用エリアの長さをこのように約0.5mmとすることで、マルチボーダー非対応のドライブであっても、リードインエリアから1番最初に記録されたボーダーゾーンまでのデータエリア(所謂、第1番目のボーダードエリア、略してボーダー)については、通常のDVD−ROMと同様に再生することが可能とされる。このように、0.5mmと0.1mmを混在させることは、ボーダーゾーンをすべて0.5mmで規定する場合と比較して、ボーダークローズ処理の時間を短縮させることが可能となる点で有利である。
次に、図4を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクにおける通常のボーダーゾーンの詳細なデータ構造について説明する。ここに、図4は、本発明の情報記録装置の第1実施例の記録対象となる、例えば、DVD−R等の2層型光ディスクのL0層における通常のボーダーゾーンの詳細なデータ構造を示したデータ構造図である。
図4に示されるように、通常のボーダーゾーン105−0(105−1:以下、括弧内は、L1層における符号番号を示す)は、ボーダーアウト105a−0(105a−1)、または、105c−0(105c−1)とボーダーイン105b−0(105b−1)を備えて構成されている。そして、通常のボーダーゾーンの情報量は、例えば、“2944”ECCブロック(前述した0.5mm用)又は“608”ECCブロック(前述した0.1mm用)である。
ボーダーイン105b−0(105b−1)には、最新の“5”ECCブロックの情報量の制御又は記録管理用データが記録されている。この制御又は記録管理用データのデータ構造は、リードインエリア内に記録されている制御又は記録管理用データのデータ構造と同じである。尚、ボーダーイン105b−0(105b−1)の最後に設けられるBSGA(Block SYNC Guard Area)は、ボーダーインの制御又は記録管理用データが未記録の場合に次に隣接する記録済みのECCブロックが再生可能であることを保証するために記録されるものである。
ボーダーアウト105a−0(105a−1)、または105c−0(105c−1)は、更に、ボーダーRMDエリア105d−0、ストップブロックSB、3個のネクストボーダーマーカーNM及び緩衝用データを含んだ緩衝用エリアを備えて構成されている。
ボーダーRMDエリア105d−0には、最新のRMD(Recording Management Data)等の記録管理用データが“5”ECCブロックの情報量だけコピーされて記録されている。このボーダーRMDエリア105d−0は、例えば、DVD−Rのリードインエリア内のRMエリアを読めないDVD−ROM再生専用ドライブに、ボーダーに記録された情報を再生するための管理情報等を提供することが可能である。
ストップブロックSBは、“2”ECCブロックの情報量であり、ボーダーアウト105a−0(105a−1)、または、105c−0(105c−1)の開始位置から相対的に38及び39番目に位置している。ストップブロックSBの領域の属性は、リードアウトエリアと同じ属性である。これは、光ピックアップにリードアウトエリアと同じ領域を認識させ、該光ピックアップの暴走を防止するためである。
各ネクストボーダーマーカーNMは、“2”ECCブロックの情報量であり、このネクストボーダーマーカーNMによって、次のボーダーが存在するか否かを判定することができる。具体的には、次のボーダーが存在せず、リードアウトエリアがまだ記録されていない場合には、最後に位置するボーダーアウトのネクストボーダーマーカーNMは未記録状態である。そして、ボーダークローズ処理においては、最後から二番目のボーダーアウトの各ネクストボーダーマーカーNMには、例えば、“00h”が記録される。そして、ファイナライズ処理においては、最後のボーダーアウトの各ネクストボーダーマーカーNMには、例えば、“00h”がパディング(Padding)され、各ネクストボーダーマーカーNMの領域の属性は、リードアウトエリアと同じ属性にされる。尚、DVD−RWの場合、ネクストボーダーマーカーNMは存在しない。
次に、図5を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による光ディスクの記録領域における一般的なボーダークローズ処理の手順について説明する。ここに、図5は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置による、光ディスクの記録領域におけるボーダークローズ処理の手順を4つフェイズで示した図式的概念図である。尚、図5は、理解しやすくするために、2層間を跨がない場合のL0層におけるボーダークローズ処理を示している。
先ず、図5の第1フェイズで示されるように、例えば、データ等の情報が、例えば、セクタ毎に、左側から右側(ディスク内周側から外周側)へ、例えば、DVD−R記録ドライブによって追記される。このような記録方式はシーケンシャル記録方式と称される(図5中、ステップS1、ステップS2及びステップS3参照)。
次に、図5の第2フェイズで示されるように、例えば、ホストコンピュータからの指示に応答して、DVD−R記録ドライブにおいて、光ディスクをROM再生専用ドライブで読込み可能とするためのボーダークローズ処理が行われる。具体的には、ボーダーアウト105a−0の記録(ステップS4)の後、リードインエリア101−0に管理情報等が記録される(ステップS5)。より具体的には、リードインエリア101−0にはボーダーアウト105a−0が開始される位置情報を示した物理的セクタ番号等に加えて、次のボーダーイン105b−0が開始される位置情報が記録される。尚、最初のボーダークローズ処理なので半径方向の長さが約0.5mmのボーダーアウト105a−0が記録される(前述した、図3の説明参照)。
以上より、第2フェイズの光ディスクにおける第1番目のボーダー(ボーダードエリア)106−0は、例えば、マルチボーダー非対応のドライブを含めて、すべてのDVD−ROM再生専用ドライブによって読み込み可能となる。
次に、図5の第3フェイズで示されるように、データ等の情報が、セクタ毎に、ステップS6において、DVD−R記録ドライブによって追記が行われる。具体的には、このステップでは、次の第4フェイズにおいてボーダーイン105b−0が記録される領域が空けられて、追記が行われる。
以上より、第3フェイズの光ディスクにおいては、最初のボーダークローズ処理が完了した第1番目のボーダー106−0内のデータ等の情報だけが、DVD−ROM専用ドライブによって認識すること可能となる。
次に、図5の第4フェイズで示されるように、第3フェイズのステップS6において追記された情報を、ROM再生専用ドライブによって、読み込み可能とするために2回目のボーダークローズ処理が行われる。尚、2回目以降のボーダークローズ処理なので半径方向の長さが約0.1mmのボーダーアウト105c−0が記録される(ステップS7)と共に、第3フェイズにおける空き領域に、ボーダーイン105b−0が記録される(ステップS8)。
以上より、第4フェイズの光ディスクにおいては、第1番目のボーダー106−0と第2番目のボーダー106−0の領域内のデータ等の情報を、光ディスクのマルチボーダー構造を認識することができるDVD−ROM再生専用ドライブ(以下、適宜「マルチボーダー対応のドライブ」と称す)によって読み込み可能となる。
(情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置)
次に、図6を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置300の構成について説明する。ここに、図6は、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置のブロック図である。尚、情報記録再生装置300は、光ディスク100に記録データを記録する機能と、光ディスク100に記録された記録データを再生する機能とを備える。
図6を参照して情報記録再生装置300の内部構成を説明する。情報記録再生装置300は、CPU(Central Processing Unit)の制御下で、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。
情報記録再生装置300は、光ディスク100、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、操作制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、及びバス357を備えて構成されている。
特に、前半に記述したスピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354及びメモリ355によって、ディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)が構成されていてもよい。また、後半に記述したデータ入出力制御手段306、操作制御手段307、操作ボタン310及び表示パネル311によって、本発明に係るホストコンピュータ(以下、適宜ホストと称す)が構成されてもよい。或いは、また、CPU(ドライブ制御手段)354及びバス357によって、本発明に係る通信手段が構成されていてもよい。
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボ制御を受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は光ディスク100への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Calibration)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。特に、信号記録再生手段353は、光ピックアップ352と共に、本発明に係る「書込手段」の一例を構成する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、映像データの圧縮伸張で用いるバッファやプログラム動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353、メモリ355と、バス357を介して接続され、各制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。特に、CPU354は、本発明に係る「第1、第2及び第3制御手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段306は、情報記録再生装置300に対する外部からデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。データの入出力が映像信号である場合には、データ入力時には外部から受け取ったデータを例えば、MPEGフォーマットに圧縮(エンコード)してからメモリ355へ出力し、データ出力時には、メモリ355から受け取ったMPEGフォーマット等のエンコードされたデータを伸張(デコード)してから外部へ出力する。
操作制御手段307は情報記録再生装置300に対する動作指示受付と表示を行うもので、記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU354に伝え、記録中や再生中といった情報記録再生装置300の動作状態を蛍光管などの表示パネル311に出力する。特に、本実施例では、操作制御手段307は、本発明に係るホストコンピュータとして、図示しないCPU及びメモリ等によって構成されていてもよい。
以上説明した、情報記録再生装置300の一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ355に格納されたプログラムをCPU354で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。
(情報記録装置の第1実施例の一具体例による記録動作の流れ)
次に図7及び図8を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の一具体例による、L0層及びL1層におけるボーダークローズ処理、ショートミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合の記録動作の流れ、並びにL0層及びL1層の記録領域の変遷について説明する。ここに、「ショートミドルエリア」とは、ミドルエリア等のファイナライズ処理を経て、完全に完成された緩衝用エリアとなる以前に、本発明に係る所定量の緩衝用データが記録された、所謂、暫定的な状態の緩衝用エリアのことである。より具体的には、第1記録層において、コンテンツ等の記録情報が記録されると共に引き続いて、所定量の緩衝用データがL0層のショートミドルエリアとして書き込まれる。そして、このL0層のショートミドルエリアからL1層への層間ジャンプを経て、所定量の緩衝用データがL1層のショートミドルエリアとして書き込まれると共に引き続いて、L1層において、複数の記録情報が記録される。あるいは、第1記録層において、コンテンツ等の記録情報が記録され、L0層からL1層への層間ジャンプを経て、引き続きL1層において、複数の記録情報が記録された場合に、該記録データを再生専用ROMドライブで再生可能なようにするためにホストコンピュータからの指示に応答してそれぞれのショートミドルエリアを記録するように構成してもよい。
このようにすれば、ビデオデータなどのリアルタイム性が要求されるデータの記録時に、記録動作をほとんど中断することなく層間をまたいだ記録を行うことが可能となり、バッファーオーバーフローなどの問題を回避することが可能となる。さらには、第1記録層において、コンテンツ等の記録情報が記録され、L0層からL1層への層間ジャンプを経て、引き続きL1層において、複数の記録情報が記録された場合に、ROMドライブで再生可能なようにするためのホストコンピュータからの指示が無い場合でも、例えばドライブの動作が停止しているような空き時間を利用して、ショートミドルエリアを記録するように構成してもよい。このようにすれば、ボーダークローズ等に伴う、緩衝用エリアの記録時間を短縮することが可能となる。
また、図7は本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置における、ショートミドルエリア又は通常のミドルエリアを記録した場合の光ディスクの記録動作の流れを示したフローチャート図である。また、図8は、図7のステップS101からS108及びステップS112からS118に対応した、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の一具体例による、L0層及びL1層におけるボーダークローズ処理、ショートミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合のL0層及びL1層の記録領域の変遷を示した図式的概念図である。尚、図8中、右側が外周側を、左側が内周側を示す。
先ず、図7において、光ディスク100が装填されると、先ず、CPU354の制御下で、光ピックアップ352によりシーク動作が行われる。そして、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理情報が取得されると同時に、光ディスク100を例えばDVD−R/RWとして、ユーザデータ等の追記を行うか否かが判定される(ステップS101)。ここで、光ディスク100への追記を行う場合(ステップS101:Yes)、情報記録再生装置による追記が、L0層において、例えば、セクタ単位又はECCブロック単位で行われる(ステップS102)。尚、図8中、ステップS102−1及びS102−2を参照。続いて、光ディスクが排出されるか否かが判定される(ステップS103)。ここで、排出されない場合(ステップS103:No)、更に、ドライブにおいて、ホストからボーダークローズ処理を行うように指示されたか否かが判定される(ステップS104)。ここで、ボーダークローズ処理を行うように指示された場合(ステップS104:Yes)、更に、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される、言い換えると、L0層及びL1層における最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS105)。ここで、最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS105:Yes)、半径方向の長さが約0.5mmのボーダーアウト105a−0が記録される(ステップS106)。より具体的には、例えば、“2944”ECCブロック(図3中、外周部を参照)がL0層において記録される。
続いて、リードインエリア101−0に管理情報等が記録される(ステップS107)。より具体的には、リードインエリア101−0にはボーダーアウト105a−0が開始される位置情報を示した物理的セクタ番号等の位置情報に加えて、次に記録されるボーダーイン105b−0が開始される位置情報が記録される。尚、図8中の第1ボーダークローズ処理のフェイズにおけるステップS106及びS107を参照。
続いて、ステップS106及びS107のボーダークローズ処理は、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS108)。ここで、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS108:No)、一連のシーケンシャル記録は一端中断される。
続いて、前述したステップS101からS104を通じて、情報記録再生装置による追記が、例えばL0層及びL1層において、例えば、セクタ単位、またはECCブロック単位ごとに行われる。尚、図8中の追記再開のフェイズにおけるステップS102−3からS102−5を参照。
続いて、前述したステップS105において、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される。ここで、最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS105:No)、半径方向の長さが約0.1mmのボーダーアウト105c−0が記録される(ステップS112)。より具体的には、例えば、“608”ECCブロック(図3中の外周部を参照)が記録される。そして、前回記録した通常のボーダーアウト105a−0の直後のボーダーイン105b−0が記録される(ステップS113)。尚、図8中の第2ボーダークローズ処理のフェイズにおけるステップS112及びS113を参照。
続いて、ステップS112及びS113のボーダークローズ処理は、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS114)。ここで、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS114:Yes)、半径方向の長さが約0.25mmのショートミドルエリア104s−0及び104s−1がL0層及びL1層において記録される(ステップS115)。尚、図8中の第2ボーダークローズ処理のフェイズにおけるステップS115−1及びS115−2を参照。
続いて、ドライブにおいて、ホストからファイナライズ処理を行うように指示されたか否かが判定される(ステップS116)。ここで、ファイナライズ処理を行うように指示された場合(ステップS116:Yes)、ステップS115におけるL0層及びL1層のショートミドルエリア(半径方向の長さ:約0.25mm)に、さらに緩衝用データが書き足されて、半径方向の長さが約0.5mm以上になった通常のミドルエリアが形成される(ステップS117)。尚、図8中のファイナライズ処理のフェイズにおけるステップS117−1及びS117−2を参照。
続いて、ステップS112におけるL1層の最後に記録されたボーダーアウト105c−1(半径方向の長さ:約0.1mm)に緩衝用データが書き足されて、半径方向の長さが約0.5mm以上となったリードアウトエリアがL1層に形成される(ステップS118)。尚、図8中のファイナライズ処理のフェイズにおけるステップS118を参照。
他方、ステップS104の判定の結果、ボーダークローズ処理を行うように指示されていない場合(ステップS104:No)、情報記録再生装置による追記が、L0層又はL1層において、例えば、セクタ単位、またはECCブロック単位等ごとに行われる(ステップS102)。
他方、ステップS101の判定の結果、光ディスク100への追記を行わない場合(ステップS101:No)、ステップS103の判定の結果、光ディスクが排出される場合(ステップS103:Yes)、ステップS108及びS114の判定の結果、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理でない場合(ステップS108及びS114:No)、並びに、ステップS110及びS116の判定の結果、ファイナライズ処理を行うように指示されていない場合(ステップS110及びS116:No)、一連のシーケンシャル記録は一端中断される。
以上より、一連のシーケンシャル記録は終了される。
以上のように、図7及び図8を参照して説明した本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の一具体例の処理により、例えば、記録すべき複数の記録情報がL0層及びL1層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理において、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量の緩衝用データがL0層及びL1層において、半径方向の長さが約0.25mmのショートミドルエリアとして記録されるので、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。具体的には、L0層及びL1層に記録される比較的に小さな情報量である所定量の緩衝用データの情報量は、通常の緩衝用データの情報量の約半分に相当するので、記録時間も約半分程度に短縮可能となる。より具体的には、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量の緩衝用データの情報量は、例えば光ディスクの外周部においては、半径方向の長さが合計0.5mm(0.25mm×2)に相当し前述したように約92MB(=46MB×2)である。よって、例えば、DVDフォーラムで定義された1倍速(1385(KB/秒))による記録時間は、約1分6秒となる。
(情報記録装置の第1実施例の他の一具体例による記録動作の流れ)
次に、図7及び図9を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の他の一具体例における、L1層におけるボーダークローズ処理、通常のミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合の記録動作の流れ並びにL0層及びL1層の記録領域の変遷について説明する。ここに、図9は、図7のステップS101からS111に対応した、本発明の情報記録装置の第1実施例の他の一具体例に係る情報記録再生装置による、L1層におけるボーダークローズ処理、通常のミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合のL0層及びL1層の記録領域の変遷を示した図式的概念図である。尚、図9中、図8と同様に、右側が外周側を、左側が内周側を示す。
前述したステップS101からS107における、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かの判定、データの追記及びボーダークローズ処理を通じて、情報記録再生装置による追記が、例えばL0層及びL1層において、例えば、セクタ単位、またはECCブロック単位ごとに行われる。そして、半径方向の長さが約0.5mmのボーダーアウト105a−1がL1層において記録される。そして、リードインエリア101−0に管理情報等が記録される。尚、図9中のデータ追記開始のフェイズにおける、ステップS102−6からS102−9、並びにボーダークローズ処理のフェイズにおける、ステップS106及びステップS107を参照。
続いて、ステップS106及びS107のボーダークローズ処理は、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理であるか否かが判定される(ステップS108)。ここで、L1層において行われた最初のボーダークローズ処理である場合(ステップS108:Yes)、半径方向の長さが約0.5mmの通常のミドルエリアがL0層及びL1層において記録される(ステップS109)。尚、図9中のボーダークローズ処理のフェイズにおけるステップS109−1及びS109−2を参照。なお、ここで通常の長さのミドルエリアを記録する理由は、マルチボーダー非対応機種が正しく第1ボーダーを読めるようにするため、最初のボーダーアウトの長さを0.5mmにしなければならないと規格上定められているためである。
続いて、ドライブにおいて、ホストからファイナライズ処理を行うように指示されたか否かが判定される(ステップS110)。ここで、ファイナライズ処理を行うように指示された場合(ステップS110:Yes)、ステップS106におけるL1層の最後に記録されたボーダーアウト105a−1(半径方向の長さ:約0.5mm)に緩衝用データが書き足されて、半径方向の長さが約0.5mm以上となったリードアウトエリアがL1層に形成される(ステップS111)。尚、図9中のファイナライズ処理のフェイズにおけるステップS111を参照。
以上より、一連のシーケンシャル記録は終了される。
以上のように、図7及び図9を参照して説明した本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の他の一具体例の処理により、記録すべき複数の記録情報がL0層及びL1層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理において、仮に、L0層に一度もボーダーゾーンが記録されていない場合には、マルチボーダー非対応のDVD−ROM再生専用ドライブの光ピックアップによるトラッキングサーボの正常な制御のために、通常の緩衝用データがL0層及びL1層において、半径方向の長さが約0.5mmの通常のミドルエリアとして記録される。
このようにボーダークローズ処理が行われた2層型DVD−R等の光ディスクは、マルチボーダー対応のROMドライブに加えて、マルチボーダー非対応のDVD−ROMドライブでの再生が、可能となる。
以上のように、図7から図9を参照して説明した本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置の全体の処理により、ショートミドルエリアと通常のミドルエリアを適切に使い分けて記録されることにより、2層型DVD−R/RW等の光ディスクに効率的に且つDVD−ROMとの互換性が保持されて情報が記録されることが可能となる。より具体的には、例えば、記録すべき複数の記録情報がL0層及びL1層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。さらに、ファイナライズ処理を行うことにより2層型DVD−R等の光ディスクを2層型DVD−ROMディスクとの規格上の互換性を持たせることも可能となる。
次に図10及び図11を参照して、本発明の情報記録装置の第1実施例による、ショートミドルエリアの半径方向の長さ及び該長さに影響を与える要因について説明する。ここに、図10は、一般のDVD−ROMドライブ等の情報記録再生装置が2層型光ディスクにおける所望のアドレスへアクセスする際の経路を示した図式的な概念図である。図11は、一般のDVD−ROMドライブ等の情報記録再生装置における所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差の4つの要因を示した図式的な概念図である。
本発明の情報記録装置の第1実施例に係る情報記録再生装置においては、ショートミドルエリアの半径方向の長さが、例えば、約0.25mmとなるように、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量の緩衝用データがL0層及びL1層において記録される。何故ならば、緩衝用エリアとして機能するための半径方向の長さが約0.1mmに加えて様々な要因による誤差のためのマージンの長さ、例えば約0.15mmが加算されて約0.25mmとなる。より詳細には、既存のDVD−ROM再生専用ドライブの光ピックアップの2回目以降のボーダークローズ処理において、トラッキングサーボの正常な制御のために必要な緩衝用エリアの半径方向の長さが約0.1mmである。また、同様に、最新のDVD−ROM再生専用ドライブの光ピックアップのボーダークローズ処理において、トラッキングサーボの正常な制御のために必要な緩衝用エリアの半径方向の長さが約0.1mmである。また、本願発明者の研究によれば、一般のDVD−ROMドライブ等の情報記録再生装置における所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差は約0.15mmであることが判明している。
以上より、ショートミドルエリアの半径方向の長さは、約0.25mm(=0.1+0.15)が望ましい。
具体的には、本願発明者の研究によれば、所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差としては、以下の4種類が大きな要因となっていることが判明している。第1の要因として、DVD−ROMドライブ等の情報記録再生装置における光ピックアップの動作の精度がある。第2の要因として、光ディスクのクランピングの精度がある。第3の要因として、光ディスクの反りや面ぶれがある。並びに、第4の要因として、2層型光ディスクにおける貼り合わせずれがある。より具体的には、図10に示されるように、第1の要因であるDVD−ROMドライブ等の情報記録再生装置における光ピックアップの移動制御の精度について説明する。ここで、L0層におけるデータエリアの最後、即ち、外周側にあるデータをDVD−ROM再生専用ドライブで読み出す場合において、L0層におけるデータエリアの最後のアドレスを仮に“W0”とする。
光ピックアップの移動には、例えば、ステッピングモータ等が使用される。また、光ピックアップの移動制御の方法には、一般的にある程度大きな距離を急いで移動させる「粗送り」と、細かく且つ精度よく移動させる、「精密送り」の2種類がある。先ず、データエリアの最後のデータを読み出すためには、ドライブは光ピックアップを例えば、粗送りによって、アドレス“W0”の近傍に大きくジャンプさせる。次に、精密送りによって、アドレス“W0”のさらに近傍に正確にジャンプさせる。
しかし、粗送りでアドレス“W0”の近傍にジャンプする場合に、、ドライブによっては、光ピックアップがアドレス“W0”を大きく行き過ぎたりしてしまう可能性がある。このように、ドライブが光ピックアップを移動させる際のステッピングモータの移動制御の精度の違いによって、ドライブごとに所望のアドレスと実際に光ピックアップがアクセスする位置との誤差が発生してしまう。
次に、図11(a)に加えて前述した図10を適宜参照して、第2の要因である光ディスクのクランピングの精度について説明する。光ディスクの回転時には、クランピングの精度を起因として、一般的に偏心、即ち、光ディスクの中心からわずかにずれて回転することがある。したがって、L0層のデータエリアの最後のアドレス“W0”にジャンプしたつもりでも正確に所望のアドレスに光ピックアップを移動させることは困難である。
このように、ステッピングモータによる移動制御は半径方向の距離で行うため、偏心による誤差の長さ分だけずれた場所にジャンプしてしまう可能性がある。よって、ドライブごとに所望のアドレスと実際に光ピックアップがアクセスする位置との誤差が発生してしまう。
次に、図11(b)に示されるように、第3の要因として、光ディスクには、一般的に記録面の反りや回転中の面ぶれがある。この場合も同様に反りや面ぶれの誤差分ずれた場所にジャンプする可能性がある。よって、光ディスクごとに所望のアドレスと実際に光ピックアップがアクセスする位置との誤差が発生してしまう。
次に、図11(c)に示されるように、第4の要因として、2層型光ディスクにおける貼り合わせずれがある。即ち、貼り合わせ構造をもつ2層型光ディスクの場合は、製造時における、貼りあわせ装置の精度により、第1層目と第2層目が少しずれて貼りあわされる場合がある。よって、光ディスクごとに所望のアドレスと実際に光ピックアップがアクセスする位置との誤差が発生してしまう。
以上説明した様々な誤差を考慮したうえで、光ピックアップが無信号又は未記録領域に飛び出さないように、外周部にミドルエリア等の緩衝用エリアが設けられている。又は、単層型ディスクの場合はリードアウトエリアが設けられている。
特に、本実施例においては、例えば、記録すべき複数の記録情報がL0層及びL1層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理において、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量の緩衝用データがL0層及びL1層において、半径方向の長さが約0.25mmのショートミドルエリアとして記録されるので、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。
次に、前述した図10において説明したように、ファイナライズ処理時にL1層において全未記録領域にリードアウトエリアを記録する理由について説明する。
仮に、L1層の内周側が、例えば、ダミーデータが記録されずに未記録である場合、光ピックアップが、暴走してしまうからである。具体的には、例えば、DVD−ROMドライブの光ピックアップが、2層型光ディスクにおいて、L0層の所定のセクタ番号(図10中の“X0”)からL1層にある目的のセクタ番号(図10中の“Y1”)にアクセスするために、先ず、L1層への焦点合わせ、即ち、層間フォーカスジャンプ(層間切り換え)を行った場合、層間フォーカスジャンプした先のL1層のセクタ番号(図10中の“Z1”)が未記録であると、光ピックアップは、例えば、位相差法によるトラッキングサーボの制御を行うことができずに、暴走してしまうのである。より詳細には、位相差法が採用されているDVD−ROM再生専用ドライブの光ピックアップは、グルーブ等の案内溝を利用したプッシュプル法が採用されているDVD−Rにおける未記録領域に対してはトラッキングサーボの制御が殆ど又は完全に不可能である。このことが、DVD−ROMドライブでDVD−Rを再生できない場合があることの一例であることも付記しておく。他方、DVD−R/RW記録装置は、プッシュプル法を採用しているので、未記録領域に対してもトラッキングサーボの制御を行うことができる。
また、一般のDVD−ROMドライブは規格上、光ピックアップを、目的のセクタ番号へアクセスさせるのに2種類のアクセス経路が定義されている。図10に示されるように、1種類目は、L0層のセクタ番号“X0”からL1層のセクタ番号“Z1”へ層間フォーカスジャンプしてからL1層を内周側から外周側へスキャンし、L1層のセクタ番号“Y1”へアクセスする第1パスに沿ったアクセス経路である。2種類目は、L0層のセクタ番号“X0”からL0層のセクタ番号“W0”まで内周側から外周側へスキャンしてから層間フォーカスジャンプしてL1層のセクタ番号“Y1”へアクセスする第2パスに沿ったアクセス経路である。
(情報記録装置の第2実施例の一具体例及び他の具体例による記録動作の流れ)
次に図12から図14を参照して、本発明の情報記録装置の第2実施例の一具体例及び他の具体例に係る情報記録再生装置における、L0層及びL1層におけるボーダークローズ処理、ショートミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合の記録動作の流れ並びにL0層及びL1層の記録領域の変遷について説明する。ここに、図12は本発明の情報記録装置の第2実施例に係る情報記録再生装置における、ショートミドルエリアを記録した場合の光ディスクの記録動作の流れを示したフローチャート図である。図13は、図12のステップS101からS118に対応した、本発明の情報記録装置の第2実施例の一具体例に係る情報記録再生装置による、L0層及びL1層におけるボーダークローズ処理、ショートミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合のL0層及びL1層の記録領域の変遷を示した図式的概念図である。図14は、図12のステップS101からS118に対応した、本発明の情報記録装置の第2実施例の他の一具体例に係る情報記録再生装置における、L1層におけるボーダークローズ処理、ショートミドルエリアの記録、及びファイナライズ処理を行った場合のL0層及びL1層の記録領域の変遷を示した図式的概念図である。尚、図13及び図14中、右側が外周側を、左側が内周側を示す。
本発明の情報記録装置の第2実施例に係る基本構成及び動作及び該情報記録装置の記録対象となる情報記録媒体のデータ構造等は、図1から図11を参照して説明した第1実施例と概ね同様である。また、図12において、第1実施例の記録動作の流れを示した図7と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
特に、第2実施例の一具体例及び他の具体例においては、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かの判定、言い換えると、L0層及びL1層における最初のボーダークローズ処理であるか否かの判定である、前述したステップS105の判断分岐が省略されている。加えて、第1実施例におけるステップS113の代わりに、前回記録した半径方向の長さが約0.1mmのボーダーアウト105c−0の直後のボーダーイン105b−0又はリードインエリア101−0に管理情報等が記録される(ステップS113a)。
このことによって、ボーダークローズ処理において、光ディスクに対する最初のボーダークローズ処理であるか否かに関わらず、半径方向の長さが約0.1mmのボーダーアウト105c−0が常に記録される(ステップS112)。従って、ボーダークローズ処理にかかる時間の短縮が可能となる。尚、図13及び図14は、最初のボーダークローズ処理が、L0層及びL1層のいずれにおいて行なわれているかに係らず、半径方向の長さが約0.1mmのボーダーアウト105c−0が常に記録されることを示している。
特に、例えば、記録すべき複数の記録情報がL0層及びL1層の両方に跨って書き込む又は書き込んだ直後のボーダークローズ処理において、最新のDVD−ROM再生専用ドライブの光ピックアップによるトラッキングサーボの正常な制御のために、通常の緩衝用データと比べて小さな情報量の緩衝用データがL0層及びL1層において、半径方向の長さが約0.25mmのショートミドルエリアとして常に記録できるので、ボーダークローズ処理にかかる時間の大幅な短縮が常に可能となる。
本実施例では、情報記録装置の一具体例として、例えば、2層型DVD−R等の追記型光ディスクの情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、2層型DVD−R/W等の書き換え型光ディスクの情報記録再生装置に適用可能である。加えて、例えば、3層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクの情報記録再生装置にも適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いるディスク等の大容量記録媒体の情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。