JP4438758B2 - 2ピース缶用冷延鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は飲料缶などとして利用される2ピース缶に用いられる冷延鋼板に関し、特に、高い製品歩留りが得られる2ピース缶用冷延鋼板を提案するものである。
飲料缶などに用いられる容器用の缶は、その形態の違いから2ピース缶と3ピース缶に分類される。
2ピース缶は、一体化された胴部・底部と蓋の2部品よりなる缶であり、加工時の主な変形様式は深絞り成形加工によるものである。一方、3ピース缶は、胴部、底部、蓋部が別々の3部品からなり、主な変形様式がロール成形であり、成形された胴は接着または溶接により円筒に成形される。
なかでも、2ピース缶は、製造工程がより短いという点、さらに“継目”がなく、均一で高い精度の巻締めが可能であるという点で、3ピース缶よりも有利である。
さて、これら製品の歩留り(缶/冷延鋼板の歩留りを指す。以下、単に「歩留り」と略記する)は、2ピース缶と3ピース缶とで、以下のように異なる。
まず、3ピース缶においては2ピース缶のような切り捨てが原理的に発生しないので、鋼板の切断から製品に至るまで、素材のロスが少なく歩留りという点では、大きな問題がない。
しかし、2ピース缶の製造においては、めっきあるいはPETなどの樹脂フィルムをラミネートされた鋼板が、まず所定の形状、ほとんどの場合は製品形状の関係から、図1(a)に示すように、円形に打ち抜き(ブランキング)され、その後、1回以上の深絞り、再しぼり、さらには、しごき成形などが行われ、この間、各工程で順次缶の径の縮小や高さの増加が生じつつ、所定形状の製品とされる。
このような2ピース缶における円筒成形においては、鋼板の機械的性質の面内異方性が大きい場合に、いわゆるイヤリング(耳立ち)という問題が発生する。これは、以下の点で問題となる。
すなわち、缶胴と缶底を形成する製缶の最終工程で、トリミングが行われ、缶の高さは一定に切りそろえられる。このとき、イヤリングが大きいと、トリミング量すなわち切り捨て量が大きくなるので、打ち抜き時にこのことを考慮して、通常、あらかじめ初期ブランク径を大きくするなどの対策がとられてきた。しかし、この対策では、実質的に切り捨て量が増加するため、歩留りの低下を生じ、はなはだ好ましくない。
したがって、2ピース缶を歩留りよく製造できることになれば、省資源がはかられ、製造コストの低減も可能となるので、上記2ピース缶の有利性が一層発揮されることが期待される。なお、2ピース缶としては、深絞り加工としごき加工を併用するいわゆるDI缶(Drain & Ironed can)、絞り加工と再絞り加工で製缶するDRD缶(Drawn & Re−Drawn can)、さらには再絞り加工工程で鋼板にストレッチ加工をほどこし鋼板厚みの低減をはかるDTR缶(Drawn Thin Redrawn can)などが含まれる。
ところで、従来から提案されてきた、2ピース缶の歩留りを改善するための方策では、鋼板の機械的性質の面内異方性、特にr値の面内異方性を改善することに重点がおかれてきた。すなわち、r値の面内異方性を表すΔr
Δr=((r+r90)−2×r45)/2
が、絶対値で0になるように鋼板の開発が行われてきた。
例えば、特許文献1には、鋼組成、熱延条件、冷延条件を最適化することにより、いわゆるノンイヤリング鋼板を製造する技術が開示されている。しかし、この技術により、Δr≒0が達成されたとしても、缶成形素材(ブランク)の形状が円形であることから、最大でもおよそ85%程度にしか到達できなかった。
一方では、缶製造コストの低減の観点から、缶用鋼板の板厚を薄くすることが指向されている。このような板厚の薄肉化に伴う、缶強度の低下に対処する技術として、例えば特許文献2記載の提案がある。
この提案は、焼鈍後の2次冷延、いわゆるダブルレデュース(以下、DRと略記する)により、鋼板の硬さを確保するとともに板厚の低減をはかるもので、DR後に過度に硬くならないように、熱間圧延後の巻取温度を制御し、鋼中の固溶NをAlNとして固定することで対処する技術である。
しかし、この方法で製造された鋼板のΔr値は、一般に負の大きな値(−0.4程度以下)であり、円形の缶成形素材(ブランク)では鋼板の圧延方向に村して45°の方向に大きな耳を生じて、歩留りが大きく低下するという問題があった。
特開平06−041683号公報 特開昭51−131413号公報
そこで、本発明は、2ピース缶を製造するための素材や製缶工程における上記問題点を解決し、鋼板の薄肉化がさらに進んだ不利な状況であっても、良好な歩留りで製缶が可能な、2ピース缶用冷延鋼板、2ピース缶用冷延鋼板の製造方法および2ピース缶用冷延鋼板の打ち抜き方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を解決するために多くの実験、研究を行なった結果、冷延鋼板の集合組織制御に基づくr値の適正化と、製缶工程における鋼板の打ち抜き方法の適正化とにより、顕著な歩留まりの向上が可能であることを知見した。
従来、2ピース缶のような深絞り用途には、深絞り性確保の上から高いr値(多くは平均r値)が、また、製缶時の耳発生(イヤリング)を抑制する上から小さなΔr(絶対値)が要求されてきた。しかし、近年、鋼板の成形時の摩擦を低減する技術(高潤滑技術)が向上し、また加工が極めて対象性の良い成形であるために、それほど際立った高いr値は必要ない場合がほとんどであった。
一方、製缶時の材料の歩留りという観点では、まず、円形に打抜く従来の方法では自ずと限界があった。これを向上させるには、図1(b)に示すように、限りなく正方形に近い形に打抜いて成形するのが有利であるが、この場合は、従来の冷延鋼板では、成形時にしわや割れが発生しやすくなるという問題のほかに、最終的にカップの縁を切るいわゆるトリミング工程まで考慮すれば、このような非円形ブランク材では切り捨て量が増大するだけで、歩留りの向上には寄与しないという問題があった。
発明者らは、上述した観点にたって、従来の打ち抜き方法、鋼板の材料特性について再検討を加え、2ピース缶の形成において、非円形のブランク材による最終的な歩留り向上を達成するためには、鋼板の集合組織の最適化制御が必須と考えた。
そして、鋼板の成分組成、熱延条件、冷延、焼鈍条件等を幅広く変化させて、鋼板の機械的性質、集合組織の異なる鋼板を製造し、製缶のシミュレーション試験をおこなった。 その結果、従来鋼に比してC量を低減させた鋼を使用し、熱延仕上げ、巻取り温度適正範囲に制御し、さらに熱延鋼板の厚みの低減により1次冷延圧下率を従来に比して低減することなどを結合して鋼板を製造することにより、この目標が達成できることが判明した。
本発明は上記のような知見に基づいて構成されたものであり、その要旨とするところは次のとおりである。
(1)C:0.02mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.1〜1.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.020mass%以下、Al:0.150mass%以下、N:0.0050mass%以下を含有し、さらに、Nb:0.003〜0.030mass%、Ti:0.003〜0.020mass%およびB:0.0050mass%以下の第1群のうちから選ばれる1種以上、および/または、Cu:0.2mass%以下、Ni:0.2mass%以下、Cr:0.2mass%以下およびMo:0.2mass%以下の第2群のうちから選ばれる1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、板面各方向のr値が下記(1)式の関係を満足することを特徴とする2ピース缶用冷延鋼板。

(r60+r120)/2+(r30+r330)/2≧(r30+r60) ・・・(1)
ただし、r30,r60,r120,r330:圧延方向に対してそれぞれ30°,60°,120°,330°の方向のr値
以上説明したように、本発明によれば、鋼組成、製造条件を制御することにより、鋼板の集合組織(面内異方性)が制御され、2ピース缶に成形した際の歩留りが高い冷延鋼板が提供可能となる。
まず、鋼の化学成分の限定理由について説明する。
C:0.02%以下
Cは、含有量が0.02mass%を超えるとDR後の鋼板が硬質化することにより製缶性やネック加工性が劣化するため、その上限を0.02mass%とする。なお、C量が極端に低い場合には、結晶粒の粗大化にともなう缶強度の低下を、高圧下率の2次冷延により確保する必要があるため、特に圧延直角方向の延性が劣化して、均一な深絞り加工が困難となるので、C量は0.0005mass%以上含有していることが望ましい。さらに、加工性の改善という観点では、0.015mass%以下がより望ましい。
Si:0.10mass%以下
Siは、多量に含有すると表面処理性の劣化、耐食性の劣化等の問題を招くので、その上限を0.10mass%とする。特に優れた耐食性が要求される場合には、0.02mass%以下に制限するのが好ましい。
Mn:0.1〜1.5mass%
Mnは、Sによる熱間割れを防止する有効な元素であり、また結晶粒を微細化する元素である。これらの効果を発揮させるためには、少なくとも0.1mass%以上の添加が必要である。一方、Mnを過剰に添加すると、耐食性を劣化させやすくなることに加え、鋼板を硬質化させてフランジ加工性、ネック加工性を劣化させるので、その上限を1.5mass%とする。なお、より良好な成形性が要求される用途では0.90mass%以下の範囲が望ましい。
P:0.02mass%以下
Pは、多量に含有すると、鋼を硬質化させ、フランジ加工性やネック加工性を劣化させるとともに、耐食性を劣化させるので、その上限を0.02mass%とする。これらの特性が特に重要視される場合は0.01mass%以下とすることが望ましい。
S:0.020mass%以下
Sは、鋼中で介在物として存在し、鋼板の延性を減少させ、さらに耐食性の劣化をもたらす元素であるので、その上限を0.020mass%とする。特に良好な加工性が要求される用途においては0.010mass%以下に制限することが望ましい。
Al:0.150mass%以下
Alは、鋼中のO濃度を低減し、清浄度を改善するのに有利な元素である。しかし、含有量が過度に多くなると、表面性状の劣化、圧延方向異方性の増大によるプレス成形の不安定化をもたらすので、その上限を0.150mass%とする。材質の安定性という観点では0.008〜0.100mass%の範囲とすることが望ましい。
N:0.0050mass%以下
Nは、0.0050mass%を超えて含有すると、最終製品の段階で、固溶Nとして非平衡的に残存する確率が高くなることで時効性が顕著に増加するため、その上限を0.0050mass%とする。この範囲であれば、厳しい促進時効条件下であっても、固溶Nによる顕著な材質劣化の問題は生じない。製造工程全体を考慮した材質の安定性という観点からは、0.0005〜0.0040mass%の範囲が好適である。
Nb:0.003〜0.030mass%
Nbは、鋼の組織微細化に寄与し、2ピース缶においては最終工程であるフランジ成形の際に重要な伸びフランジ成形性を改善し、肌荒れを防止するうえで有効な元素であるが、0.030mass%超えて添加すると、鋼の硬化が著しく、熱間圧延性、冷間圧延性が劣化する。また、スラブ製造時にも種々の割れの成因となる。なお、Nb添加による上記効果は概ね0.003mass%以上の添加で発揮される。従って、Nb添加量は0.003〜0.030mass%とする。材質上さらに好ましいのは0.02mass%以下である。
Ti:0.003〜0.020mass%
Tiも、Nbとほぼ同様の効果を有するが、0.020mass%を超えて添加すると缶用鋼板には致命的と言える表面欠陥の発生が増大する。なお、組織微細化のためには0.003mass%以上の添加が必要である。従って、Ti添加量は0.003〜0.020mass%とする。材質上さらに好ましいのは0.015mass%以下である。
B:0.0050mass%以下
Bは、組織の微細化効果と時効性の調整制御に有効な元素であるが、0.0050mass%を超えて添加すると鋼板の面内異方性が増加するので好ましくない。なお、B添加による前記効果は、概ね0.0002mass%以上の添加で得られる。従って、B添加量は0.0050mass%以下、好ましくは0.0002〜0.0020mass%とする。さらに望ましい範囲は0.0005〜0.0010mass%である。
Cu:0.2mass%以下、Ni:0.2mass%以下、Cr:0.2mass%以下およびMo:0.2mass%以下
Cu、Ni、CrおよびMoは、いずれも概ね0.01mass%以上の添加により鋼板の組織の均一、微細化をさらに促進する、有用な元素である。しかし、0.2mass%を超えて添加すると、冷間圧延性が低下することに加えて表面性状が悪化する。従って、これら元素はいずれも0.2mass%以下、好ましくは0.01〜0.2mass%の範囲で添加するものとする。
上述したこれらの選択的添加元素はおのおの群のなかで単独に添加してもよいし、複合添加してもよく、また、各群にわたり複合添加してもよい。いずれの場合においても、これらの元素による望ましい効果は相殺されることはない。
次に製造条件について説明する。スラブ加熱温度は、熱延において充分な熱延仕上げ温度を確保するための最低限の温度でよい。
仕上げ圧延温度:950〜700℃
仕上げ圧延温度は本発明で目指す望ましい集合組織を形成する上で重要な要件である。詳細な機構は必ずしも明らかではないが、少なくとも、フェライト相の高温域で仕上げ圧延を終了することが必要である。高温で仕上げることによる顕著な材質の劣化はないが、スケール厚みの増大などのために、次行程である酸洗において、ライン速度の低下などの問題を生ずる危険が増大する。したがって、仕上げ圧延温度は950〜700℃とする。なお、最終製品の成形性を向上させるという観点からは、800℃以上の温度が好適である。
熱延鋼板の厚み:1.80mm以下
熱延鋼板の厚みは材質の均一性を確保するうえで重要な要件であり、この厚みを1.80mm以下にすることにより、最終製品の材質(特にr値)の均一化をはかることができる。詳細な機構は必ずしも明らかではないが、1.8mm以下とすることにより、熱延鋼板の表層部と内部の組織が均一化することが1つの要因と考えられる。なお、材質の上から、1.2mm以下が好ましく、1.0mm以下とすればより一層の材質の均一化が達成される。
巻取温度;800〜500℃
巻取り温度は、操業の効率、鋼板の形状、材質の均一性、さらに本発明の主眼であるr値の面内異方性の観点から決定される。巻取温度を500℃以上とすることで本発明の主眼である望ましい成形性を得ることができる。この効果はより高くすることでさらに改善する傾向はあるものの、800℃を超えるような高温で巻取った場合はスケールに起因する欠陥の発生の危険性が高まる。
従って、これらの点を考慮して巻取温度は800〜500℃とする。なお、r値の観点からすると、巻取温度は750〜600℃とするのが望ましい。
また、熱間圧延後のスケールの除去については、特に限定する必要はなく、通常行われている酸洗方法で除去すればよい。
1次冷間圧延:圧下率75%以下
1次冷間圧延が、75%を超えると、(1)式を満足できなくなり、本発明で目指す効果が得られなくなる。したがって1次冷間圧延の圧下率は75%以下、好ましくは50〜75%とする。
連続焼鈍:再結晶温度以上〜850℃
連続焼鈍は、鋼板の機械的性質を決定するきわめて重要な工程である。焼鈍温度は、鋼板の再結晶温度以上が必要である。というのは、再結晶温度未満の温度でもある程度の延性は得られるものの、本発明で必要なr値の面内異方性の改善は達成できないからである。本発明に従う製造方法の条件範囲であれば、焼鈍温度を高くすることによる問題はなく、種々の機械的性質は望ましい方向に変化する。しかし、850℃を超える温度での焼鈍は顕著な粒成長を生じ、成形時の表面荒れ、肌荒れといった問題を引き起こす。従って、焼鈍温度は再結晶温度以上、850℃以下とする。
2次冷間圧延(焼鈍後の冷間圧延):圧下率6%以下
2次冷間圧延の目的は、製品厚みまで板厚を低減させることのほか、加工硬化により所定の硬さまで硬化させることにある。しかし、6%を超えて2次冷間圧延すると、鋼板の機械的性質、特にr値の面内異方性が顕著に増大する。
このため、2次冷間圧延の圧下率の上限を6%とした。なお、この圧下率における下限は、ストレッチヤーストレインの安定的な防止の観点から、1%以上とすることが望ましい。
表面処理:
本発明で得られた冷延鋼板は一般に表面処理が施される。適用される表面処理として、通常の缶用鋼板に用いられる、錫めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、ニッケル・クロムめっきなどいずれも可能である。
また、これらのめっきを行った後に、塗装あるいは有機樹脂フィルムを貼って製缶するような用途にもなんら問題なく適用可能である。
面内異方性:
面内異方性は本発明において特に重要な要件である。従来、鋼板の面内異方性は、圧延方向に対して0°,45°,90°の各方向で測定した値のみを用いて評価されてきた。 例えば、代表的な特性であるr値(例えば、薄板マニュアル冷延鋼板編)については、
Δr=((r+r90)−2×r45)/2
で定義されるパラメータにより面内異方性を評価し、また
r=((r+r90)+2×r45)/4
で定義される平均r値で深絞り性を評価していた。ただし、r,r45,r90は、それぞれ0°,45°,90°方向のr値を表す。
これらのパラメータのうち、従来から、平均r値は深絞り性に対応し、Δrは深絞り成形を行った際の耳発生に対応する(例えば、川鉄技報25(1993)1,27−35)と言われていた。
発明者らは、成分組成が広範囲に変化した鋼を種々の条件で製造した冷延鋼板について機械的性質を調査し、これと深絞り成形を行った際の耳発生との関係を調査した。
その結果、上述した従来のパラメータによる評価では、本発明が対象とするような極薄鋼板の成形時の耳発生の傾向を十分に表現することができず、製缶工程の下流工程における不具合発生など(耳発生に起因すると考えられるものに限定)との対応が十分でないことが判明した。
発明者らは、さらに検討を推し進め、鋼板の面内異方性をより詳細に検討し、缶用冷延鋼板においては、30°刻みのいわゆる六方異方と、45°刻みのいわゆる正方異方が混在して複雑な面内異方性を有すること、また、60°、120°および0°±30°のr値を評価すれば、その材料の成形時の耳発生の特徴が表現できることが明らかとなった。この知見をもとに、円筒成形時のブランク形状の最適化について検討した。
その結果、圧延方向に対して30°、60°、120°、330°(=−30°)方向のr値をr30,r60,r120,r330としたとき、
(r60+r120)/2+(r30+r330)/2≧(r30+r60
を満足する冷延鋼板を缶成形素材に用い、かつ
45/D>1.0
ここで、D,D45は圧延方向に対して0°,45°方向のブランク径(缶成形素材の打ち抜き径)
を満足するようなブランク形状を採用することにより、鋼板の歩留り向上が達成できることがわかった。
なお、ここで定義する歩留りは単なるブランク面積と残材の幾何学的な関係ではなく、複数回の絞り成形の繰り返しにより、規定の深さの円筒状のプレス品を得たのち、製品に要求される、形状、寸法などを全て勘案した後に、耳切りなどを行った最終製品の重量で算出したものである。このことは、r値の定義から単純に予想される効果だけではなく、円周方向の素材の流入状況に対しても従来は知見できなかったような現象を含むものと考えられる。
ブランク径の比、D45/Dは、冷延鋼板のr値の制御でさらに大きくすることが可能ではあるが、1.0超えとすることで製缶コストの低減が可能である。このD45/Dは、望ましくは1.05以上、さらに望ましくは1.10以上とすれば、極めて大きなコスト低減が達成できる。
表1に示す成分組成を含み、残部が実質的にFeからなる鋼を転炉で溶製し、この鋼スラブを表2に示す条件で熱間圧延したのち、1次冷延、連続焼鈍、2次冷延を行い、最終仕上げ板厚を0.20mmの冷延鋼板とした。そして、ハロゲンタイプの電気錫めっきラインにて25番相当の錫めっきを連続的に施してぶりきに仕上げた。このようにして得られた錫めっき鋼板の機械的性質を調査した結果を表3に示す。
本発明によれば、先の(1)式を満足する鋼板が製造できることがわかる。この鋼板を用いて、表4に示す条件で円筒絞り加工を行い、加工後の形状を調査した。その結果を表3に併記する。
本発明鋼板は、いずれも十分な深絞り成形性を示し、このような非円形のブランク条件でも成形可能であることがわかる。
次に、鋼3を用いて、表5に示す条件で板厚0.26mmの冷延鋼板を製造し、表面にCrめっきを行ったのち、樹脂フィルムを接着して供試鋼板を製造した。得られた冷延鋼板の(r60+r120)/2+(r30+r330)/2の値は3.05、また(r30+r60)の値は2.40であり、(1)式を満たしていた。
この鋼板を用いて、ブランク形状を表6に示す種々の条件に変化させて、絞り・1回再絞り成形を行い、歩留り向上効果を算出した結果を、表6に併せて示す。
歩留りは、初期の鋼板重量に対して、成形後、その後の製品特性を考慮して、適正量のトリミング(耳切)を行った後の全缶の合計重量の比で評価した。
表6から、45°方向と0°方向のブランク径の比を1.00超えとすることにより大きな歩留り向上効果が得られることが明らかである。この効果は、打ち抜き個数が極めて大きく高速なプロセスであるため、わずか数%の改善でもその利点はきわめて大きい。
またこのような歩留り向上効果が十分に発揮されるためには、幅方向の形状、材質の均一性が重要であることも明らかとなった。因みに、表1の鋼9に準じて製造した鋼板では、しわ発生、壁厚みの偏肉などで目標レベルの製缶が不可能であった。
Figure 0004438758
Figure 0004438758
Figure 0004438758
Figure 0004438758
Figure 0004438758
Figure 0004438758
鋼板からの板取り方法を示す図である。

Claims (1)

  1. C:0.02mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.1〜1.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.020mass%以下、Al:0.150mass%以下、N:0.0050mass%以下を含有し、さらに、Nb:0.003〜0.030mass%、Ti:0.003〜0.020mass%およびB:0.0050mass%以下の第1群のうちから選ばれる1種以上、および/または、Cu:0.2mass%以下、Ni:0.2mass%以下、Cr:0.2mass%以下およびMo:0.2mass%以下の第2群のうちから選ばれる1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、板面各方向のr値が下記(1)式の関係を満足することを特徴とする2ピース缶用冷延鋼板。

    (r60+r120)/2+(r30+r330)/2≧(r30+r60) ・・・(1)
    ただし、r30,r60,r120,r330:圧延方向に対してそれぞれ30°,60°,120°,330°の方向のr値」
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