JP4433986B2 - 変速機の同期装置および戻しスプリングの組付け方法 - Google Patents

変速機の同期装置および戻しスプリングの組付け方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両用歯車変速機等に適用され、少なくともカップリングスリーブとシンクロハブとボークリングとクラッチギヤとを備えた変速機の同期装置および戻しスプリングの組付け方法に関する。
従来、手動変速機の同期装置は、変速時、ドライバーがシフトレバー操作を行うことによりカップリングスリーブを動かすと、カップリングスリーブとボークリングとのチャンファ同士が接触し、カップリングスリーブの動きを阻止し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押して同期トルク(同期力)を発生することで、ボークリングとシンクロハブとの回転同期作用を行うようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平6−33952号公報 実開平6−8824号公報
しかしながら、従来の手動変速機の同期装置にあっては、カップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士が接触し、ボークリングテーパーコーン面がクラッチギヤテーパーコーン面を押すことで発生する同期トルク(同期力)の全てが、カップリングスリーブからシフトレバーにダイレクトに伝わる構成となっていたため、ドライバーのシフト操作力が重くなる、という問題があった。また、クラッチを切り離しておいてカップリングスリーブをシフト方向に動作させる力を、モータアクチュエーター等により得る自動変速型平行2軸式歯車変速機(以下、自動MTという。)の場合には、高出力のモータアクチュエーター等が必要であり、大型化するし、コスト的にも不利である、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができる変速機の同期装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で微少な同期トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転を受ける周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構を設け、
前記カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリングを初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す戻しスプリングを、前記対向する一対のボークリング間に介装し、
前記戻しスプリングは、前記対向する一対のボークリングを外側から挟み込むように構成した一対の係合部材をスプリング両端部に有し、該係合部材に、径方向に長く開口した戻しスプリング取付け長穴を形成したことを特徴とする。
よって、本発明の変速機の同期装置にあっては、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で微少な同期トルクが発生することにより、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、サポート同期力発生機構において、相対回転を受ける周方向の力が、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換される。このサポート同期力は、シンクロハブとボークリングとの間で発生し、その反力はシンクロハブで受けられ、カップリングスリーブ側に伝わるものではないため、装置内にて発生するメカ的な同期力(以下、「自発同期力」という。)ということができる。よって、回転同期のために必要とするシフト動作荷重は、自発同期力により予め低くなった相対回転数から相対回転数をゼロにするまでの荷重で良いことになるため、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができる。
上記シンクロハブとボークリングとの間でサポート同期力を発生させる構成を採用した場合、カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、ボークリングを初期位置に戻し、確実に引き摺りトルクの発生を抑えなければならない。このように引き摺りトルクの発生を抑える必要がある状況下でボークリングを初期位置に戻すため、戻しスプリングを一対のボークリング間に設定する必要がある。
そこで、例えば、戻しスプリングの両端部を一対のボークリングに直接固定する設定とした場合には、組付け時に戻しスプリングが脱落したりして作業性が非常に悪くなる。これに対し、本願発明の戻しスプリングは、一対のボークリングを外側から挟み込むように構成した一対の係合部材をスプリング両端部に有し、該係合部材に、径方向に長く開口した戻しスプリング取付け長穴を形成したため、戻しスプリングの組付け時、係合部材を用いて予め戻しスプリングをカップリングスリーブに仮止めしておき、その後、戻しスプリング取付け長穴を用い、係合部材を径方向内側に移動させ、一対のボークリングにスプリング両端部を固定することができる。
よって、戻しスプリングの組付け時に、戻しスプリングの脱落が確実に防止され、戻しスプリングの組付け作業性を向上させることができる。
以下、本発明の変速機の同期装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の同期装置のニュートラル状態を示す図2のA−A線断面図及びB部詳細図、図2は実施例1の同期装置のカップリングスリーブ及びシンクロハブを示す正面図である。実施例1の変速機の同期装置は、図1に示すように、カップリングスリーブ1と、メインギヤ2,2’と、クラッチギヤ3,3’と、ボークリング4,4’と、シンクロハブ5と、インサートキー6と、スプレッドスプリング7と、メインシャフト8と、リターンスプリング9(戻りスプリング)と、組付けプレート10,10’(係合部材)と、を備えている。
前記カップリングスリーブ1は、変速動作荷重(手動操作力やアクチュエータ駆動力)の入力部材で、前記シンクロハブ5とはスプライン嵌合されており、シンクロハブ5と一体に回転し、且つ、軸方向に移動可能である。このカップリングスリーブ1のスリーブ内面には、カップリングチャンファ1a(図3参照)が形成され、スリーブ外面の溝には、図外のシフトフォークが嵌着される。
前記メインギヤ2,2’は、前記メインシャフト8に対し回転可能に設けられ、変速動作が完了するとメインシャフト8と一体に回転する。
前記クラッチギヤ3,3’は、前記メインギヤ2,2’の回転と前記シンクロハブ5の回転とを同期させる同期部材であり、前記メインギヤ2,2’に対し圧入等により一体に固定される。このクラッチギヤ3,3’には、前記ボークリング4に形成されたボークリングテーパーコーン面4e,4e’とテーパ嵌合するクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’と、前記カップリングチャンファ1aと噛み合うクラッチギヤチャンファ3b,3b’と、が形成されている。
前記ボークリング4,4’は、前記メインギヤ2,2’の回転と前記シンクロハブ5の回転とを同期させる同期部材で、軸方向に移動可能で、且つ、シンクロハブ5に対して所定量(スプライン歯のチャンファ位置合わせ移動量:以下、「割り出し量」という。)だけ周方向に相対回転可能である。このボークリング4,4’には、前記クラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とテーパー嵌合するボークリングテーパーコーン面4e,4e’と、前記カップリングチャンファ1aと噛み合うボークリングチャンファ4b,4b’と、前記インサートキー6が配置されるボークリングキー溝4c(図3参照)と、が形成されている。
前記シンクロハブ5は、メインシャフト8にスプライン固定された同期部材である。このシンクロハブ5には、前記カップリングスリーブ1のカップリングチャンファ1aと嵌合するシンクロハブスプライン歯5a(図3参照)が形成されている。
前記インサートキー6は、前記シンクロハブ5の外周に3箇所形成されたインサートキー溝部5c(図3参照)の位置に配置された同期部材である。このインサートキー6は、シンクロハブ5とカップリングスリーブ1とスプレッドスプリング7,7により支持され、インサートキー6の外周に設けられたキー突起とカップリングスリーブ1のキー溝とがロックした状態で位置決めされており、シンクロハブ5と一体回転し、且つ、カップリングスリーブ1と連動して軸方向に移動可能である。
前記リターンスプリング9は、前記カップリングスリーブ1が中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’のスプライン歯が噛み合っているとき、後述するサポート同期力が発生しないように、前記ボークリング4,4’を初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離す戻し機構である。このリターンスプリング9は、図2に示すように、前記対向する一対のボークリング4,4’間に介装し、かつ、前記シンクロハブ5の外周に3箇所形成された図外のスプリング溝部の位置(隣接するインサートキー溝部5cとの周方向において中間位置)に配置され、両端部に組付けプレート10,10’を有する。
図3は実施例1の同期装置のサポート同期力発生機構を示す平面図である。前記サポート同期力発生機構とは、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’との間で微少な同期トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4,4’との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転を受ける周方向の力を、前記ボークリング4,4’をクラッチギヤ3,3’に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構をいう。
実施例1でのサポート同期力発生機構は、図3に示すように、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4の軸方向に対向する位置に設けられ、シンクロハブ5とボークリング4との割り出し相対回転によりカム面接触してサポート同期力を発生するシンクロハブ凹部5dとボークリング凸部4dとしている。
前記シンクロハブ凹部5dは、図3に示すすように、シンクロハブ5のインサートキー溝部5cの両側位置に形成した一対の斜面凹部による構成であり、このシンクロハブ凹部5dは、周方向の3箇所位置に配置される。
前記ボークリング凸部4dは、図3に示すように、ボークリングキー溝4cの両側に形成した一対の斜面凸部による構成であり、このボークリング凸部4dは、周方向の3箇所位置に配置される。なお、各カム面の傾斜角度は、適正なサポート同期力を得るべく決められるものであり、実施例1では、サポート同期力を発生するのに有効な45°程度の一定傾斜角を持つ傾斜面としている。
図4は実施例1の同期装置の組付けプレートを示す斜視図、図5は実施例1の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め上方矢視図、図6は実施例1の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め下方矢視図、図7は実施例1の同期装置においてリターンスプリング組付け状態を示すカップリングスリーブと組付けプレートとボークリングの斜視図である。以下、実施例1におけるリターンスプリング両端支持構造について説明する。
前記一対の組付けプレート10,10’は、前記リターンスプリング9のスプリング両端部に設けられ、前記対向する一対のボークリング4,4’を外側から挟み込むように構成される。この組付けプレート10は、図4に示すように、径方向に長く開口したリターンスプリング取付け長穴10b(戻しスプリング取付け長穴)と、該リターンスプリング取付け長穴10bの径方向内側位置に、前記ボークリング4と径方向に係合する係合凸部10aと、を形成している。そして、前記係合凸部10aは、前記クラッチギヤテーパーコーン面3eと対向する内周面を、クラッチギヤテーパーコーン面3eに沿う円弧形状(曲面形状)とし、かつ、テーパー面10cを有する形状に設定している。
前記対向する一対のボークリング4,4’には、図5及び図6に示すように、前記リターンスプリング取付け長穴10bに対応する位置に、ボークリングチャンファ4b(ボークリングスプライン歯)側から径方向に長く開口したリターンスプリング挿入溝4f(戻しスプリング挿入溝)を形成し、かつ、このリターンスプリング挿入溝4fが形成される部分には、前記取付けプレート10が溝嵌合により取付けられる係合部材取付け溝4gを形成している。前記係合部材取付け溝4gは、前記取付けプレート10を溝嵌合した状態で軸方向及び周方向に接触する溝段差面4i,4iと、前記係合凸部10aと径方向に接触する係合凸部嵌合溝4hとを有する。
前記取付けプレート10,10’は、図7に示すように、前記対向する一対のボークリング4,4’に形成した係合部材取付け溝4g,4g’に対して、リターンスプリング9による弾性力を加えながら溝嵌合により取付けられる。
次に、作用を説明する。
[リターンスプリング組付け方法]
以下、図8〜図17に示す図に基づいて、実施例1におけるリターンスプリング9の組付け方法について、各手順毎に説明する。
・リターンスプリング仮止め手順(図8)
図8に示すように、前記リーターンスプリング9の両端に組付けプレート10,10’を取付け、これをカップリングスリーブ1の三箇所位置に仮止めする。
・係合部材仮止め手順(図9)
図9に示すように、前記カップリングスリーブ1に仮止めした組付けプレート10,10’がカップリングスリーブ1から脱落しないように断面コ形の3分割円弧片によるプレート固定用治具11,11,11を取り付ける。
・シンクロハブ組付け手順(図10)
図10に示すように、前記組付けプレート10,10’をプレート固定用治具11,11,11により仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブ1の内側位置にシンクロハブ5を挿入しながら組付ける。
・キー及びスプリング取付け手順(図11)
図11に示すように、前記シンクロハブ5を組付けた状態から3箇所にインサートキー6,6,6を取付け、該インサートキー6,6,6を径方向外側に付勢するスプレッドスプリング7,7をシンクロハブ5の両側位置から取り付ける。
・ボークリング装着手順(図12)
図12に示すように、前記インサートキー6,6,6とスプレッドスプリング7,7を取り付けた状態で、一対のボークリング4,4’を両側からの挿入により装着する。
・カップリングスリーブスライド手順(図13)
図13に示すように、前記一対のボークリング4,4’の装着状態で、取付けプレート10(第1の係合部材)を取り付ける図面右方向(第1の方向)へカップリングスリーブ1をスライドさせる。
・第1の係合部材嵌合手順(図14)
図14に示すように、前記カップリングスリーブ1をスライドさせた状態で、取付けプレート10(第1の係合部材)をカップリングスリーブ1の内径方向へスライドさせて取付けプレート10を係合部材取付け溝4g(第1の係合部材取付け溝)に嵌合させる。
・第2の係合部材嵌合手順(図15)
図15に示すように、取付けプレート10をを係合部材取付け溝4gに嵌合させた状態で、取付けプレート10’(第2の係合部材)を取り付ける図面左方向(第2の方向)へカップリングスリーブ1をスライドさせ、かつ、取付けプレート10’をカップリングスリーブ1の内径方向へスライドさせて取付けプレート10’を係合部材取付け溝4g’(第2の係合部材取付け溝)に嵌合させる。
・治具取り外し手順(図16)
図16に示すように、前記両取付けプレート10,10’材を両係合部材取付け溝4g,4g’に嵌合させると、前記プレート固定用治具11,11,11を取り外す。
・組付け完了手順(図17)
図17に示すように、前記プレート固定用治具11,11,11を取り外した状態で、カップリングスリーブ1を図面右方向にスライドさせてニュートラル位置に戻す。
以上の手順により、リターンスプリング9が組付けられる。
[リターンスプリングの組付け作用]
本出願人は、特願2004−135994号の出願において、図5(a),(b)に示すように、カップリングスリーブ1と、シンクロハブ5と、ボークリング4と、クラッチギヤ3と、を備えた変速機の同期装置において、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4aとクラッチギヤテーパーコーン面3aとの間で微少な同期トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転を受ける周方向の力を、前記ボークリング4をクラッチギヤ3に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構(シンクロハブ凹部5dとボークリング凸部4d)を設けたものを提案した。
上記先願発明では、変速時において、シンクロハブ5とボークリング4との間の相対回転を受ける周方向の力が、ボークリング4をクラッチギヤ3に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換される。このサポート同期力は、シンクロハブ5とボークリング4との間で発生し、その反力はシンクロハブ5で受けられ、カップリングスリーブ1側に伝わるものではないため、自発同期力ということができる。よって、回転同期のために必要とするシフト動作荷重は、自発同期力により予め低くなった相対回転数から相対回転数をゼロにするまでの荷重で良いことになるため、同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができるという効果が得られる。
しかしながら、先願発明のように、上記シンクロハブ5とボークリング4との間でサポート同期力を発生させる構成を採用した場合、カップリングスリーブ1が中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3のスプライン歯が噛み合っているとき、ボークリング4を初期位置に戻し、確実に引き摺りトルクの発生を抑えなければならない。
例えば、カップリングスリーブ1が中立位置にあるとき、および、カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3のスプライン歯が噛み合っているとき、ボークリング4を初期位置に戻さないと、ボークリング4とシンクロハブ5とが一緒に回転し、両テーパーコーン面3e,4e間に引き摺りトルクが発生する。したがって、カップリングスリーブ1が中立位置にある状態からダウンシフト動作やアップシフト動作を行う場合、あるいは、アップシフト動作を行った後にダウンシフト動作を行う場合、両テーパーコーン面3e,4e間の引き摺りトルク(フリクション)が操作力や動作力を増大させる原因となる。
このように引き摺りトルクの発生を抑える状況下において、ボークリング4,4’を初期位置に戻すためには、リターンスプリング9を一対のボークリング4,4’間に設定する必要がある。
そこで、例えば、リターンスプリング9の両端部を一対のボークリング4,4’に直接固定する設定とした場合には、組付け時にリターンスプリング9が脱落したりして作業性が非常に悪くなる。
これに対し、実施例1のリターンスプリング9は、一対のボークリング4,4’を外側から挟み込むように構成した一対の組付けプレート10,10’をスプリング両端部に有し、該組付けプレート10,10’に、径方向に長く開口したリターンスプリング取付け長穴10bを形成したため、リターンスプリング9の組付け時には、上記リターンスプリング9の組付け方法にて説明したように、組付けプレート10,10’を用いて予めリターンスプリング9をカップリングスリーブ1に仮止めしておき、その後、リターンスプリング取付け長穴10bを用い、組付けプレート10,10’を径方向内側に移動させ、一対のボークリング4,4’にスプリング両端部を固定することができる。
よって、リターンスプリング9の組付け時に、リターンスプリング9の脱落が確実に防止され、リターンスプリング9の組付け作業性を向上させることができる。
[変速時の動作荷重特性について]
図18に示す動作荷重特性について説明する。まず、t0の時点でシフトレバーに対するシフト操作を開始すると、中立状態からカップリングスリーブ1とインサートキー6とが図1の右方向に移動して徐々に動作荷重が増し、t1の時点に近づくと、シフトレバーに加えた荷重が伝達されるシフト操作機構の途中位置に設けられたシフトチェックボールをスプリング付勢力に抗して乗り上げ、乗り上げるt1の時点で最大のシフトチェック荷重が作用し、その後、t2の時点まで動作荷重は低下する。なお、自動MTの場合、図18のt0の時点でシフト動作を開始すると、t2の時点まで徐々に動作荷重が上昇する。以下述べる作用は、手動変速機の場合も自動MTの場合も同様である。
次に、インサートキー6がボークリング4の溝壁面とのクリアランスを詰めて接触を開始すると、インサートキー荷重が上昇する。このインサートキー荷重の上昇によりボークリング4が図1の右方向に移動すると、クラッチギヤテーパーコーン面3aとボークリングテーパーコーン面4aとが接触して微少な同期トルクが発生し、t3の時点からサポート同期力による同期が開始される。
このサポート同期が開始されると、両テーパーコーン面3a,4aとの間で同期トルクが発生することにより、シンクロハブ5とボークリング4との間に相対回転が発生し、ボークリング4の割り出しが行われ、ボークリング4のボークリング凸部4dとシンクロハブ5のシンクロハブ凹部5dとが接触する。この凹凸部4d,5dの接触により発生する周方向の相対回転力は、傾斜角度を持つカム面により軸方向分力と周方向分力とに分けられる。このうち、軸方向分力が、ボークリング4をメインギヤ2側に押す方向に作用するサポート同期力となる。
前記サポート同期力は、図18に示すように、t3(同期開始点)〜t4(最大点)〜t5(切り替え点)の間で山なりの特性を示し、サポート同期力によりクラッチギヤテーパーコーン面3aとボークリングテーパーコーン面4aとの間で同期トルクが発生し、シンクロハブ5とメインギヤ2(=クラッチギヤ3)との相対回転数△Nは、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下する。
このサポート同期は、シンクロハブ5とボークリング4との間で行われ、サポート同期力の反力は変速軸に固定されたシンクロハブ5により受けられるため、サポート同期力の反力がカップリングスリーブ1に伝達されることは無い。つまり、メカ的に発生するサポート同期力は、シフト動作荷重を全く増大させることなく、シフト動作のために必要とする荷重をサポートすることになる。
さらに、カップリングスリーブ1が移動し、サポート同期力が低下する特性と、カップリングスリーブ1に加えられる動作荷重が増大する特性とが交差する交点となる時点t5からは、カップリングスリーブチャンファとボークリングチャンファが接触し、カップリングスリーブ1の動きは阻止され、そのときの接触力の大きさにより、クラッチギヤテーパーコーン面3aとボークリングテーパーコーン面4aとの間で同期トルクが発生し、従来と同様にボーク状態での同期が行われる。
このチャンファ同士を接触させての同期では、シンクロハブ5とメインギヤ2(=クラッチギヤ3)との相対回転数△Nを、予めメカ同期作用により低下させられていた相対回転数△N0から相対回転数ゼロまで低下するだけで良いため、t6時点での動作荷重のピーク値は低く、相対回転数がゼロとなるt7の時点で同期は終了する。
そして、同期が終了すると、同期トルクは消滅し、カップリングスリーブ1の阻止力も解除され、カップリングスリーブ1の移動が可能となり、t6の時点以降でカップリングスリーブ1が軸方向の移動に伴いインサートキー6がカップリングスリーブ1のキー溝から抜け、t7の時点でボークリング4を押し分け、さらに、t8の時点でカップリングスリーブ1がクラッチギヤ3のクラッチギヤチャンファ3bへ噛み合い、t9の時点で変速動作が終了する。
よって、従来の同期装置のように、同期中はカップリングスリーブとボークリングのチャンファ同士を接触させ、カップリングスリーブから加えられる動作荷重のみにより、初期相対回転数△N1から相対回転数ゼロまで低下させる同期作用を行う場合、図18の従来動作力の特性に示すように、t4の時点から少し遅れた時点から動作荷重が大きく上昇し、t6の時点から動作荷重が低下するという特性を示し、動作荷重のピーク値が高くなる。
これに対し、実施例1の同期装置では、上記のように、初期相対回転数△N1から相対回転数△N0まで低下させる同期力を、カップリングスリーブ1とボークリング4のチャンファ同士を接触させる前に、ボークリング4とシンクロハブ5とに形成した凹凸部4d,5dを接触させることにより発生するサポート同期力で予め補うようにしたため、図18の今回動作力の特性に示すように、t5〜t6〜t7までの領域による山なりの動作荷重特性を示す。
よって、動作荷重のピーク値については、図18の動作荷重のピーク値低減代に示すように、従来装置に比べて大幅に低下させることができる。この結果、例えば、アクチュエータによりシフト動作力を付与する場合、低くなった動作荷重のピーク値を出し得る定格出力を持つ小型アクチュエータを用いることができる。
加えて、図18のハッチングに示す領域が、従来装置での同期仕事量に対する同期仕事量低減代となり、従来装置での同期仕事量に比べ、カップリングスリーブ1に動作荷重を加えることなく行われるサポート同期による同期仕事量の分が減少し、同期仕事量の大幅な低減を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の変速機の同期装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) カップリングスリーブ1と、シンクロハブ5と、ボークリング4,4’と、クラッチギヤ3,3’と、を備えた変速機の同期装置において、変速時であって、ボークリングテーパーコーン面4aとクラッチギヤテーパーコーン面3aとの間で微少な同期トルクが発生することにより、前記シンクロハブ5と前記ボークリング4との間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転を受ける周方向の力を、前記ボークリング4をクラッチギヤ3に押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構を設け、前記カップリングスリーブ1が中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブ1とクラッチギヤ3,3’の一方のスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリング4,4’を初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面4e,4e’とクラッチギヤテーパーコーン面3e,3e’とを離すリターンスプリング9を、前記対向する一対のボークリング4,4’間に介装し、前記リターンスプリング9は、前記対向する一対のボークリング4,4’を外側から挟み込むように構成した一対の取付けプレート10,10’をスプリング両端部に有し、該取付けプレート10,10’に、径方向に長く開口したリターンスプリング取付け長穴10bを形成したため、リターンスプリング9の組付け時にリターンスプリング9の脱落を確実に防止しながら、リターンスプリング9によりボークリング4,4’を中立位置に戻することで引き摺りトルクの発生を抑え、確実に同期中の動作荷重のピーク値を有効に下げることができる。
この結果、リターンスプリング9の組付け作業性を向上できるのに加え、手動変速機の場合には、ドライバーがシフトレバーに加えるシフト操作力が軽減されるし、また、自動MTの場合には、シフトアクチュエーターとして、コスト的にもスペース的にも有利な小型アクチュエーターを用いることができる。
(2) 前記対向する一対のボークリング4,4’に、前記リターンスプリング取付け長穴10bに対応する位置に、ボークリングチャンファ4b側から径方向に長く開口したリターンスプリング挿入溝4fを形成したため、取付けプレート10,10’をそのまま径方向にスライドさせるだけで、リターンスプリング挿入溝4fとリターンスプリング取付け長穴10bにより、スプリング端部の取付け穴を形成することができる。
(3) 前記取付けプレート10,10’は、前記対向する一対のボークリング4,4’に形成した係合部材取付け溝4g,4g’に対して、リターンスプリングによる弾性力を加えながら溝嵌合により取付けたため、取付けプレート10,10’の組み付け後、リターンスプリングによる弾性力によって外れることを確実に防止することができる。
(4) 前記取付けプレート10は、前記リターンスプリング取付け長穴10bの径方向内側位置に、前記ボークリング4と径方向に係合する係合凸部10aを有し、前記係合部材取付け溝4gは、前記取付けプレート10を溝嵌合した状態で軸方向及び周方向に接触する溝段差面4i,4iと前記係合凸部10aと径方向に接触する係合凸部嵌合溝4hとを有するため、取付けプレート10は軸方向と周方向と径方向の3方向に対し位置決めされ、取付けプレート10の設定位置ずれを確実に防止することができる。
(5) 前記取付けプレート10の係合凸部10aは、前記クラッチギヤテーパーコーン面3eと対向する内周面を、クラッチギヤテーパーコーン面3eに沿う曲面形状に設定したため、同期作動時にリターンスプリング9の係合部位である取付けプレート10に応力が集中することを防止することができる。
(6) 実施例1の変速機の同期装置において、
前記リターンスプリング9の両端に取付けプレート10,10’を取付け、カップリングスリーブ1に仮止めする戻しスプリング仮止め手順と、
前記カップリングスリーブ1に仮止めした取付けプレート10,10’がカップリングスリーブ1から脱落しないようにプレート固定用治具11,11,11を取り付ける係合部材仮止め手順と、
前記取付けプレート10,10’をプレート固定用治具11,11,11により仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブ1にシンクロハブ5を組付けるシンクロハブ組付け手順と、
前記シンクロハブ5を組付けた状態からインサートキー6とスプレッドスプリング7,7を取り付けるキー及びスプリング取付け手順と、
前記インサートキー6とスプレッドスプリング7,7を取り付けた状態で、一対のボークリング4,4’を装着するボークリング装着手順と、
前記ボークリング4,4’の装着状態で、取付けプレート10を取り付ける方向へカップリングスリーブ1をスライドさせるカップリングスリーブスライド手順と、
前記カップリングスリーブ1をスライドさせた状態で、取付けプレート10をカップリングスリーブ1の内径方向へスライドさせて取付けプレート10を係合部材取付け溝4gに嵌合させる第1の係合部材嵌合手順と、
前記取付けプレート10を係合部材取付け溝4gに嵌合させた状態で、取付けプレート10’を取り付ける方向へカップリングスリーブ1をスライドさせ、かつ、取付けプレート10’をカップリングスリーブ1の内径方向へスライドさせて取付けプレート10’を係合部材取付け溝4g’に嵌合させる第2の係合部材嵌合手順と、
前記両取付けプレート10,10’を両係合部材取付け溝4g,4g’に嵌合させると、前記プレート固定用治具11,11,11を取り外す治具取り外し手順と、
前記プレート固定用治具11,11,11を取り外した状態で、カップリングスリーブ1をニュートラル位置に戻す組付け完了手順と、
を有するため、予め取付けプレート10,10’によりリターンスプリング9をカップリングスリーブ1に仮止めしておき、取付けプレート10,10’をカップリングスリーブ1からスライドさせての組付けとなることで、プレート固定用治具11,11,11を用いながらも、組付け時にリターンスプリング9が脱落することを防止することができる。
実施例2は、係合部材にカップリングスリーブとボークリングに対する挟み込み係合構造を設けることで、リターンスプリングの組付け時にプレート固定用治具の使用を省略するようにした例である。
図19は実施例2の同期装置のニュートラル状態を示す図2のA−A線断面図及びB部詳細図、図20は実施例2の同期装置の組付けプレートを示す斜視図、図21は実施例2の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め上方矢視図と斜め下方矢視図である。なお、全体構成及びサポート同期力発生機構の構成については実施例1と同様であるので説明を省略し、以下、実施例2において変更したリターンスプリング両端支持構造について説明する。
実施例2の取付けプレート10は、図20に示すように、三方向からの挟み込みにより後述する爪係合突起部4jとプレート引掛け溝1b,1b’(係合部材仮止め溝)とに係合するボークリング径方向係合爪10dを外周位置に有する。
前記ボークリング4は、図21に示すように、前記係合部材取付溝4gから外径方向に延出し、前記ボークリング径方向係合爪10dが係合する爪係合突起部4jを有する。
前記カップリングスリーブ1は、図22に示すように、前記リターンスプリング9を取り付けた前記一対の取付けプレート10,10’のボークリング径方向係合爪10d,10d’を係合することで仮止めするプレート引掛け溝1b,1b’を有する。以上により実施例2のリターンスプリング両端支持構造が構成される。なお、他の構成は実施例1と同様であるので、対応する構成には同一符号を付して説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[リターンスプリング組付け方法]
以下、図22〜図26に示す図に基づいて、実施例2におけるリターンスプリング9の組付け方法について、各手順毎に説明する。
・リターンスプリング仮止め手順(図22)
図22に示すように、リターンスプリング9の両端に取付けプレート10,10’を取付け、カップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1b,1b’に取付けプレート10,10’のボークリング径方向係合爪10d,10d’を係合する。
・シンクロハブ組付け手順(図23)
図23に示すように、前記取付けプレート10,10’をカップリングスリーブ1に対し仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブ1の内側に横からの挿入によりシンクロハブ5を組付ける。
・キー及びスプリング取付け手順(図24)
図24に示すように、前記シンクロハブ5を組付けた状態からインサートキー6,6,6を取付け、該インサートキー6,6,6を径方向外側に付勢するようにスプレッドスプリング7,7を取り付ける。
・第1の係合部材嵌合手順(図25)
図25に示すように、前記インサートキー6,6,6とスプレッドスプリング7,7を取り付けた状態で、ボークリング4(第1のボークリング)を装着すると同時に、取付けプレート10(第1の係合部材)のボークリング径方向係合爪10dをカップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1b(第1の係合部材仮止め溝)から外し、取付けプレート10を係合部材取付け溝4g(第1の係合部材取付け溝)に嵌合させる。
・第2の係合部材嵌合手順(図26)
図26に示すように、取付けプレート10を係合部材取付け溝4gに嵌合させた状態で、ボークリング4’(第2のボークリング)を装着すると同時に、取付けプレート10’(第2の係合部材)のボークリング径方向係合爪10d’をカップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1b’(第2の係合部材仮止め溝)から外し、取付けプレート10’を係合部材取付け溝4g’(第2の係合部材取付け溝)に嵌合させる。
以上の手順により、リターンスプリング9が組付けられる。なお、他の作用は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
この実施例2の変速機の同期装置にあっては、実施例1の(1)〜(5)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(7) 前記取付けプレート10は、三方向からの挟み込みにより後述する爪係合突起部4jとプレート引掛け溝1b,1b’とに係合するボークリング径方向係合爪10dを外周位置に有し、前記ボークリング4は、前記係合部材取付溝4gから外径方向に延出し、前記ボークリング径方向係合爪10dが係合する爪係合突起部4jを有し、前記カップリングスリーブ1は、前記リターンスプリング9を取り付けた前記一対の取付けプレート10,10’のボークリング径方向係合爪10d,10d’を係合することで仮止めするプレート引掛け溝1b,1b’を有するため、リターンスプリング9の組付け時に実施例1にて用いたプレート固定用治具11の使用を省略することができる。
(8) 実施例2の変速機の同期装置において、
前記リターンスプリング9の両端に取付けプレート10,10’を取付け、カップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1b,1b’に取付けプレート10,10’のボークリング径方向係合爪10d,10d’を係合するリターンスプリング仮止め手順と、
前記取付けプレート10,10’をカップリングスリーブ1に対し仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブ1にシンクロハブ5を組付けるシンクロハブ組付け手順と、
前記シンクロハブ5を組付けた状態からインサートキー6,6,6とスプレッドスプリング7,7を取り付けるキー及びスプリング取付け手順と、
前記インサートキー6,6,6とスプレッドスプリング7,7を取り付けた状態で、ボークリング4を装着すると同時に、取付けプレート10のボークリング径方向係合爪10dをカップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1bから外し、取付けプレート10を係合部材取付け溝4gに嵌合させる第1の係合部材嵌合手順と、
前記取付けプレート10を係合部材取付け溝4gに嵌合させた状態で、ボークリング4’を装着すると同時に、取付けプレート10’のボークリング径方向係合爪10d’をカップリングスリーブ1のプレート引掛け溝1b’から外し、取付けプレート10’を係合部材取付け溝4g’に嵌合させる第2の係合部材嵌合手順と、
を有するため、予め取付けプレート10,10’によりリターンスプリング9をカップリングスリーブ1に仮止めしておき、取付けプレート10,10’をカップリングスリーブ1からスライドさせての組付けとなることで、プレート固定用治具11,11,11を用いることなく、しかも、手順を少なくしながら、組付け時にリターンスプリング9が脱落することを防止することができる。
以上、本発明の変速機の同期装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1,2のシンクロハブとボークリングとの間のサポート同期力発生機構は、キー式同期装置に限らず、ピン式同期装置や、同期初期に相対回転するシンクロハブとボークリングを有する他の方式の同期装置にも適用することができる。
サポート同期力発生機構として、実施例1,2では斜面によるカム面接触を利用したものを示したが、シンクロハブとボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、相対回転を受ける周方向の力を、ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換する機構であれば、その具体的な機構は、実施例1,2に記載した機構に限られることはない。例えば、特願2004−135994号の出願に記載した様々な機構を採用することができる。
実施例1では、リターンスプリング両端支持構造として、治具を用いながらカップリングスリーブに係合部材を仮止めする構造を示し、実施例2では、リターンスプリング両端支持構造として、治具を用いないでカップリングスリーブに係合部材を仮止めする構造を示したが、係合部材の具体的構造やボークリングに形成した係合部材の取付け溝等の具体的な構造は、実施例1,2に限られることない。例えば、スプリング両端部に有する係合部材は、少なくとも径方向に長く開口した戻しスプリング取付け長穴を形成したものであれば、実施例1,2の構造に限定されない。
本発明の同期装置は、シフトレバーをドライバーによる手動動作により変速する手動変速機に適用することができるし、また、エンジンとの間に制御型クラッチを有し、変速時、制御型クラッチを切り離している間にモータアクチュエータ等により変速する、いわゆる自動MTと呼ばれる変速機にも適用することができる。
実施例1の同期装置のニュートラル状態を示す図2のA−A線断面図及びB部詳細図である。 実施例1の同期装置のカップリングスリーブ及びシンクロハブを示す正面図である。 実施例1の同期装置のサポート同期力発生機構を示す平面図である。 実施例1の同期装置の組付けプレートを示す斜視図である。 実施例1の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め上方矢視図である。 実施例1の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め下方矢視図である。 実施例1の同期装置においてリターンスプリング組付け状態を示すカップリングスリーブと組付けプレートとボークリングの斜視図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法においてリターンスプリング仮止め手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法において係合部材仮止め手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法においてシンクロハブ組付け手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法においてインサートキー及びスプレットスプリング取付け手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法においてボークリング装着手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法においてカップリングスリーブスライド手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法において第1の係合部材嵌合手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法において第2の係合部材嵌合手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法において治具取り外し手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1のリターンスプリング組付け方法において組付け完了手順を示す断面図及び正面図である。 実施例1の同期装置における動作時間に対する相対回転数特性と動作時間に対する動作荷重特性とを従来装置と比較した対比特性図である。 実施例2の同期装置のニュートラル状態を示す図2のA−A線断面図及びB部詳細図である。 実施例2の同期装置の組付けプレートを示す斜視図である。 実施例2の同期装置の組付けプレートが嵌合する係合部材取付け溝を有するボークリングを示す斜め上方矢視図と斜め下方矢視図である。 実施例2のリターンスプリング組付け方法においてリターンスプリング仮止め手順を示す断面図及び正面図である。 実施例2のリターンスプリング組付け方法においてシンクロハブ組付け手順を示す断面図及び正面図である。 実施例2のリターンスプリング組付け方法においてインサートキー及びスプレットスプリング組付け手順を示す断面図及び正面図である。 実施例2のリターンスプリング組付け方法において第1の係合部材嵌合手順を示す断面図及び正面図である。 実施例2のリターンスプリング組付け方法において第2の係合部材嵌合手順を示す断面図及び正面図である。
符号の説明
1 カップリングスリーブ
1a カップリングチャンファ
1b,1b’ プレート引掛け溝(係合部材仮止め溝)
2,2’ メインギヤ
3,3’ クラッチギヤ
3b クラッチギヤチャンファ
3e クラッチギヤテーパーコーン面
4,4’ ボークリング
4b ボークリングチャンファ
4c ボークリングキー溝
4d ボークリング凸部(サポート同期力発生機構)
4e ボークリングテーパーコーン面
4f リターンスプリング挿入溝(戻しスプリング挿入溝)
4g 係合部材取付け溝
4h 係合凸部嵌合溝
4i 溝段差面
4j 爪係合突起部
5 シンクロハブ
5a シンクロハブスプライン歯
5d シンクロハブ凹部(サポート同期力発生機構)
6 インサートキー
7,7’ スプレッドスプリング
8 メインシャフト
9 リターンスプリング(戻しスプリング)
10,10’ 組付けプレート(係合部材)
10a 係合凸部
10b リターンスプリング取付け長穴(戻しスプリング取付け長穴)
10c テーパー面
10d ボークリング径方向係合爪

Claims (8)

  1. カップリングスリーブと、シンクロハブと、ボークリングと、クラッチギヤと、を備えた変速機の同期装置において、
    変速時であって、ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面との間で微少な同期トルクが発生することにより、前記シンクロハブと前記ボークリングとの間に相対回転が発生しているとき、前記相対回転を受ける周方向の力を、前記ボークリングをクラッチギヤに押し付ける軸方向のサポート同期力に変換するサポート同期力発生機構を設け、
    前記カップリングスリーブが中立位置にあるとき、および、前記カップリングスリーブとクラッチギヤのスプライン歯が噛み合っているとき、前記サポート同期力が発生しないように、前記ボークリングを初期位置に戻し、前記ボークリングテーパーコーン面とクラッチギヤテーパーコーン面とを離す戻しスプリングを、前記対向する一対のボークリング間に介装し、
    前記戻しスプリングは、前記対向する一対のボークリングを外側から挟み込むように構成した一対の係合部材をスプリング両端部に有し、該係合部材に、径方向に長く開口した戻しスプリング取付け長穴を形成したことを特徴とする変速機の同期装置。
  2. 請求項1に記載された変速機の同期装置において、
    前記対向する一対のボークリングに、前記戻しスプリング取付け長穴に対応する位置に、ボークリングスプライン歯側から径方向に長く開口した戻しスプリング挿入溝を形成したことを特徴とする変速機の同期装置。
  3. 請求項1または2に記載された変速機の同期装置において、
    前記係合部材は、前記対向する一対のボークリングに形成した係合部材取付け溝に対して、戻しスプリングによる弾性力を加えながら溝嵌合により取付けたことを特徴とする変速機の同期装置。
  4. 請求項3に記載された変速機の同期装置において、
    前記係合部材は、前記戻しスプリング取付け長穴の径方向内側位置に、前記ボークリングと径方向に係合する係合凸部を有し、
    前記係合部材取付け溝は、前記係合部材を溝嵌合した状態で軸方向及び周方向に接触する溝段差面と前記係合凸部と径方向に接触する係合凸部嵌合溝とを有することを特徴とする変速機の同期装置。
  5. 請求項4に記載された変速機の同期装置において、
    前記係合部材の係合凸部は、前記クラッチギヤテーパーコーン面と対向する内周面を、クラッチギヤテーパーコーン面に沿う曲面形状に設定したことを特徴とする変速機の同期装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された変速機の同期装置において、
    前記係合部材は、三方向からの挟み込みにより後述する爪係合突起部と係合部材仮止め溝とに係合するボークリング径方向係合爪を外周位置に有し、
    前記ボークリングは、前記係合部材取付溝から外径方向に延出し、前記ボークリング径方向係合爪が係合する爪係合突起部を有し、
    前記カップリングスリーブは、前記戻しスプリングを取り付けた前記一対の係合部材のボークリング径方向係合爪を係合することで仮止めする係合部材仮止め溝を有することを特徴とする変速機の同期装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻しスプリングの両端に係合部材を取付け、カップリングスリーブに仮止めする戻しスプリング仮止め手順と、
    前記カップリングスリーブに仮止めした係合部材がカップリングスリーブから脱落しないようにプレート固定用治具を取り付ける係合部材仮止め手順と、
    前記係合部材をプレート固定用治具により仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブにシンクロハブを組付けるシンクロハブ組付け手順と、
    前記シンクロハブを組付けた状態からインサートキーとスプレッドスプリングを取り付けるキー及びスプリング取付け手順と、
    前記インサートキーとスプレッドスプリングを取り付けた状態で、一対のボークリングを装着するボークリング装着手順と、
    前記ボークリングの装着状態で、第1の係合部材を取り付ける第1の方向へカップリングスリーブをスライドさせるカップリングスリーブスライド手順と、
    前記カップリングスリーブをスライドさせた状態で、第1の係合部材をカップリングスリーブの内径方向へスライドさせて第1の係合部材を第1の係合部材取付け溝に嵌合させる第1の係合部材嵌合手順と、
    前記第1の係合部材を第1の係合部材取付け溝に嵌合させた状態で、第2の係合部材を取り付ける第2の方向へカップリングスリーブをスライドさせ、かつ、第2の係合部材をカップリングスリーブの内径方向へスライドさせて第2の係合部材を第2の係合部材取付け溝に嵌合させる第2の係合部材嵌合手順と、
    前記両係合部材を両係合部材取付け溝に嵌合させると、前記プレート固定用治具を取り外す治具取り外し手順と、
    前記プレート固定用治具を取り外した状態で、カップリングスリーブをニュートラル位置に戻す組付け完了手順と、
    を有することを特徴とする戻しスプリングの組付け方法。
  8. 請求項6に記載された変速機の同期装置において、
    前記戻しスプリングの両端に係合部材を取付け、カップリングスリーブの係合部材仮止め溝に係合部材のボークリング径方向係合爪を係合する戻しスプリング仮止め手順と、
    前記係合部材をカップリングスリーブに対し仮止めした状態を保ちながら、カップリングスリーブにシンクロハブを組付けるシンクロハブ組付け手順と、
    前記シンクロハブを組付けた状態からインサートキーとスプレッドスプリングを取り付けるキー及びスプリング取付け手順と、
    前記インサートキーとスプレッドスプリングを取り付けた状態で、第1のボークリングを装着すると同時に、第1の係合部材のボークリング径方向係合爪をカップリングスリーブの第1の係合部材仮止め溝から外し、第1の係合部材を第1の係合部材取付け溝に嵌合させる第1の係合部材嵌合手順と、
    前記第1の係合部材を第1の係合部材取付け溝に嵌合させた状態で、第2のボークリングを装着すると同時に、第2の係合部材のボークリング径方向係合爪をカップリングスリーブの第2の係合部材仮止め溝から外し、第2の係合部材を第2の係合部材取付け溝に嵌合させる第2の係合部材嵌合手順と、
    を有することを特徴とする戻しスプリングの組付け方法。
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